JP3864208B2 - 機密保護カード及びその製造方法 - Google Patents

Description

発明の属する技術分野
本発明は、例えば身分証明書又は運転免許証等の機密保護カード（security card）及びその製造方法に関する。
発明の背景
運転免許証、従業員証、軍人章等の身分証明書及びバッジは、不正な変造及び／又は偽造を防止するためにしばしば頑丈に製造される。
ヨーロッパ特許出願第９１３０４３８５．７号（Beck等）には、熱染料転写プリント、染料像受容層の追加によって修飾された不透明ポリ塩化ビニル（PVC）ベースシート、及び中間接着剤層を用いずにベースシート上の像上に貼合されたポリエステルカバーシートを含んで成る機密保護積層品が開示されている。このような積層品の２つの欠点は、ベースシート上に追加の染料受容層を必要とすること、及びカードが貼合される時に溶融するPVC基層とポリエステルカバーとの熱膨張係数が異なるために、貼合せ後の冷却時にそる傾向があることである。
米国特許第５，０６０，９８１号（Fossum等）には、ホットメルト接着剤層上に重合体像受容層を有する透明ポリエステルオーバーレイが開示されている。像形成後、前記オーバーレイは支持体上に貼合される。この方法の欠点は、ある製造条件下において、一般に紙である基層とポリエステルカバーシートとの熱膨張係数が異なるために、貼合せ後の冷却時にそる傾向があることである。
他の公知の方法は、透明ポリエステルフィルムのエンベロープ内に封入され、次いで熱貼合せ法により封止されるポリオレフィンコアー層を使用することである。これによって、そりを生じる原因となる熱膨張係数の違いは排除されるが、前面及び後面に情報を備えるための多段階の印刷工程が必要とされる。
種々の公知の機密保護カード構成及びそのようなカードを製造するための公知の方法があるにも関わらず、安価な材料を使用する容易且つ費用のかからない方法によって製造される改良型機密保護カードの必要性がある。
発明の要約
本発明は新規機密保護カード及びそのような機密保護カードを製造するための新規「オーバー・ザ・カウンター（over-the-counter）」法又は「デスクトップ（desk top）」法を提供する。
簡潔に要約すると、本発明の機密保護カードは裏地、カバーシート及び裏地とカバーシートとの間に像を有する機密保護像（security image）を含んで成る。裏地とカバーシートとは中間接着剤層を用いずに互いに直接接触するように一つに貼合され、且つ、裏地及びカバーシートのうちの一方は非晶質コポリエステル、例えば、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及びテレフタル酸のコポリマーを含んで成り、且つ、裏地及びカバーシートのうちの他の一方はポリ塩化ビニルを含んで成る。
簡潔に要約すると、本発明の方法は以下の工程を含んで成る：
ａ）第１及び第２面を有し、少なくともその第１面上にポリ塩化ビニルを含んで成る第１シートを提供する工程；
ｂ）好ましくは熱染料転写法によって第１シートの第１面上に像形成する工程；
ｃ）第１及び第２面を有し、少なくともその第１面上に非晶質コポリエステルを含んで成る第２シートを提供する工程；
ｄ）熱及び圧力を加えて像を封入するために、第２シートの第１面を第１シートの第１面に貼合せる工程；
但し第１シート及び第２シートの少なくとも一方は、それ自体を通して像が見えるように透明である。
本発明は集成するのに特別な染料受容層又は中間接着剤層を要しない新規機密保護カード及びその製造方法を提供する。本発明の方法は、本発明の機密保護カードを製造するための、従来のデスクトップ型貼合せ機を使用できる便利で費用のかからない方法を提供する。
本発明により提供される非晶質コポリエステル−PVC組合せの主たる利点は、貼合せ加工時に両方の材料が溶融又は軟化し、且つ、冷却時に両方の材料がほぼ同様な割合で収縮することによって、多くの現存するカード構成においてしばしば生じるそりの問題が無くなることである。また、透明であってもよく又は二酸化チタン（TiO₂）のような顔料を含んでもよいポリ塩化ビニル（PVC）材料は、熱染料転写システムでの使用に適する有効な染料受容材料として機能する。
図面の詳細な説明
本発明を図面を参照して説明すると、図１〜３は具体的な態様の本発明の機密保護カードの各断面図である。
理想化して描かれたこれらの図は一定尺度で描かれたものではなく、また、単に例示のためのものであって、無制限である。
具体的態様の詳細な説明
図１に示されている具体的な本発明の機密保護カードにおいて、カード１０は、裏地１２、透明カバーシート１４及び機密保護像１６を含んで成る。
裏地１２とカバーシート１４とは溶融して一つに貼合されるものであって、これらのうちの一方は好ましくは硬質ポリ塩化ビニルフィルムを含んで成り、他の一方は非晶質コポリエステルフィルムを含んでなる。他のシートは第１シートのポリ塩化ビニル層に接着される非晶質コポリエステルを含んでなる。市販コポリエステルの具体例には、２１重量％のテレフタル酸、２３重量％のイソフタル酸、５重量％のセバシン酸、２９重量％エチレングリコール及び２２重量％のネオペンチルグリコールを含んで成り、且つ、約４７℃のガラス転移温度（Ｔ_g）を有するとされているGoodyear製のVITEL（商標）PE-222溶剤ベースコポリエステル、並びに１６重量％のシクロヘキサンジメタノール、３４重量％のエチレングリコール及び５０重量％のテレフタル酸を含んで成り、且つ、８１℃のＴ_gを有するとされているフィルムの形態で供給元から容易に入手可能なEastman Chemical Products Company製のKODAR（商標）PETG 6763コポリエステルが含まれる。該コポリエステルは「非晶質」コポリエステルであるべきである。本明細書において、非晶質コポリエステルを他のシートのポリ塩化ビニルに貼合せるのに用いられる条件下において非晶質コポリエステルは実質的に結晶化しない、即ちコポリエステルが溶融結晶化温度（melt crystallization temperature）を示さないものである。溶融結晶化温度（Ｔ_c）はポリマー冷却時の比体積対温度曲線の傾きに大きな不連続として現れる。本発明に使用するのに適することが見出されたVITEL（商標）PE-222コポリエステル及びKODAR（商標）PETG 6763コポリエステルは、このような不連続性を示さないことが見出され、ここで述べる非晶質であると考えられる。シクロヘキサンジメタノール、テレフタル酸及びイソフタル酸を含んで成り、且つ、約８７℃のＴ_gを有するとされているEastman Chemical Products Company製のKODAR（商標）A150コポリエステルは約１３５℃のＴ_cを示すことによって非晶質コポリエステルではないとみなされており、本発明への使用には適しないことが見出された。
本発明の利点は、比較的穏やかな貼合せ条件下、デスクトップ型貼合せ機内で、例えば約１２０℃〜約１５０℃の間で約１分未満、場合によって約３０秒未満の時間を要して、ポリ塩化ビニルと非晶質コポリエステルとの間の優れた接着を達成できることである。特定の材料にとって適切な貼合せ温度、時間及び圧力は、試行錯誤により容易に決定できる。
機密保護像１６は裏地１２とカバーシート１４との間に封入された種々の表示材料から形成できる。所望であればカード１０はカバーシート１４の外面上に第２の像（図示されていない）を更に含んでよい。機密保護像１６はカード内に配置されているために、磨耗及び変造の企てから保護されており、よって本明細書において「機密保護像」と称する。典型的には個人カードに特徴的な情報（例えば、氏名、生年月日、個人の特徴、従業員番号等）を帯びる機密保護像１６は、カード１０の集成時にカバーシート１４又は裏地１２の内面に形成される。例えば、非晶質コポリエステル部材に貼合される前にポリ塩化ビニル部材表面に拡散した染料から成る像１８を使用できる。Imperial Chemical Industries,Inc.及び大日本印刷株式会社製の熱染料転写リボンが使用できる。本発明の利点は特殊な受容層を使用せずして熱染料転写法を用いて像を形成してよいことである。
本発明のカード１０の耐変造性を改良し、且つ、照合又は本物であることを確認することを容易にするために、機密保護像１６は、目視により発見できる変造跡を与えるように設計されたしばしば認証機能と称される認証マーク又は領域２０を含んで成るか、又は所望であればこれらから成る。具体例には、透明バインダー中の真珠箔粒子、ホログラム、ホログラフィー像又は回折効果等のような特別な光学的効果を備えたミクロ構造表面が含まれる。選ばれた認証マークの必要条件に依存して、認証マーク２０は数多くの方法、例えば印刷により適用されるか、又は電子録画若しくはコンピュター作製画像を適用するための幾つかの公知の方法のいずれかにより適用されてもよい。
所望の可視度の機密保護像１６を得るため及び所望の外観を機密保護カード１０に与えるために、裏地１２は透明又は不透明であり、任意に染料又は顔料を含み、所望の背景色又は不透明度を備えていてよい。機密保護像１６の読み易さ及び際立ちの程度を高めるための不透明白色背景を備えるために、裏地は二酸化チタン（TiO₂）のような顔料を一般に含む。裏地１２は、指定された第１表面（カバーシート表面１４を通して見えるようにされている）又は第２表面（カード１０の裏面上に見えるようにされている）の片方又は両方にカードの属する集団に共通のシンボル、ロゴ、装飾模様及び情報を事前印刷されていてよい。
多くの場合において、裏地１２は、集成されたカード１０の所望の硬さ及び強度の大部分を与えるように意図されたものであるから、カバーシート１４よりもかなり厚く、且つ、低可撓性である。例えば、慣用的なクレジットカードは一般に約６７５〜約８２５μｍ（２７〜３３ミル）の厚さである。現行の慣用的な厚さに見合うような本発明の機密保護カードを製造する場合には、約５００〜約５５０μｍ（２０〜２２ミル）の間の厚さの裏地、及び約１７５〜約２５０μｍ（７〜１０ミル）の間の厚さのカバーシートが適当であろうし、且つ、市販入手可能である。他の厚さの裏地及びカバーシートを本発明に従って使用してよいことが理解されるであろう。機密保護像１６を容易に確認及び判読することができると同時に、変造及び磨耗から保護するために、カバーシート１４は多くの場合に最適化される。カバーシート１４は、一般に、カード１０が曝される条件下、例えば、摩擦及び磨耗の条件下でその明澄性、透明性、色及び外観を保つように最適化される。
裏地が非晶質コポリエステルである場合には、透明ポリ塩化ビニルの薄い層は裏地の裏面に貼合される、即ちカバーシートが貼合される面と反対の面に貼合される。非晶質コポリエステル（又はポリ塩化ビニルが裏地として使用される場合にはポリ塩化ビニル）中への顔料の混合は、材料の汚れ易さ及び磨耗のし易さを増大させる。無着色層はカードの耐汚染性及び耐磨耗性を高める被覆として機能しうる。被覆層が使用される場合には、被覆層は裏地に直接接着する材料であることが好ましく、例えば、非晶質コポリエステル裏地に対してポリ塩化ビニル、若しくはポリ塩化ビニル裏地に対して非晶質コポリエステル、又はポリ塩化ビニル裏地に対して塩化ビニル／酢酸ビニルコポリマーであることが好ましい。
図２には、機密保護カード３０が裏地３２、例示的カバーシート３４及び機密保護像３６を含んで成る本発明の他の態様が示されている。カバーシート３４は米国特許第５，２５４，３９０号（Lu）に開示されている種類のものであり、整然と並んだ半球形レンズ要素及び内層３８を有するミクロ構造外層４０から成る。外層４０は、所望のレンズ要素を形成できるような材料、例えば硬化性ウレタン樹脂から製造される。本発明に係る内層３８はポリ塩化ビニル又は非晶質コポリエステルのいずれかより製造されるものであって、外層４０が接着する。
このようなレンズ要素を有するカバーシートが用いられる場合には、機密保護像３６はレンズ要素と共に機能するように特別に選ばれる。例えば、熱転写染料の像４２に加えて、機密保護像３６は正反射性材料４４、例えば液晶ポリマー、多層の高インデックス誘電体コーティング、ミクロ構造内部全反射性材料等を含んでよい。
他の態様において、本明細書において「第２の像」と称する追加の像をカバーシート又は裏地の外面上に形成してよい。第２の像は、装飾目的のためであっても、有用な情報を表すものであっても、及び／又はカードが本物であることを証明するための手段を備えていてよい。例えば、像がカバーシートの外面上に印刷されたものであってもよく、ホログラムがカバーシートの外面に接着したものであってもよい。第２の像はカバーシート若しくは裏地上に配置されるか、又は例えば、Minnesota Mining and Manufacturing Company製のCONFIRM（商標）ブランド再帰反射性機密保護ラミネートのような機密保護ラミネートにより被覆されていてよい。図２は、裏地３２の表面の第２の像４６に関する具体的態様を表す。機密保護像である限り、第２の像は肉眼で判読可能であるか及び／又は機械により判読可能なものであればよい。
本発明の他の態様は、機密保護カード５０が裏地５２、カバーシート５４及び機密保護像５６を含んでなる図３に示されている。カバーシート５４は、裏地５２の両面を覆うように裏地を包んでいる（図に示されていないが、一般に貼合せ後にカードの端は打抜かれる）。代替的に、独立の二片のカバーシートを材料を用いることができ、カバーシート材料の一片を裏地５２の片面に適用し、そして一片のカバーシートを裏地の他の面に適用することができる。このような態様がより有効な像領域を提供することによって、発行する当局に対してより多くのオプションを提供する。例えば、肉眼で判読可能な情報及び耐変造性像がカードの片面上に配置され、機械により判読可能な特徴、例えばバーコード、赤外線又は紫外線記号等は所望であれば他の面上に配置されてよい。
本発明の利点の一つは、大規模な精密装置を要せずして、本発明の機密保護カードを所望通りに大量又は少量で容易に製造できることである。具体的な発行方法は以下に述べる通りである。最初に、カード保持者の申請を完了する。第２番目に、コンピューターワークステーションのオペレーターが申請者のデータを慣用的なコンピューターのキーボードを用いてコンピューターシステムに入力する。第３番目に、コンピューターにサインのデジタル表示を与えるグラフィック書字板上に申請者がサインする。第４番目に、慣用的なビデオカメラを用いて電子的に申請者の肖像を得る。第５番目に、申請データ、サイン及び肖像をビデオディスプレイに映し出し、誤りを調べる。第６番目に、ビデオディスプレイに映し出したデジタル信号をプリンターに送る。第７番目に、３色染料を平滑なポリ塩化ビニルフィルム（カバーシートとして機能する）に逐次熱転写し、前もってビデオディスプレイ上に表示されたデータ、サイン及び肖像のフィルム中に拡散した着色像を形成する。第８番目に、像形成されたカバーシートを非晶質コポリエステル裏地と接触するように配置し、次いでデスクトップ型貼合せ機を用いて熱及び圧力を加え、カバーシート及び裏地を一つに貼合せる。第９番目に、所望の形及び寸法の身分証明書を結果として貼合された集成体から打抜く。第１０番目に、グラフィック内容、像、貼合せ及び打抜き品質の誤りを訂正するために完成したカードを検査する。最後に、完成したカードを意図したカード所持者に発行する。
有用な態様において、本発明の機密保護カードは裏地、カバーシート及び機密保護像から成る。上記したように、機密保護像は裏地とカバーシートとの間に位置し、裏地及びカバーシートは中間接着剤層を要せずして一つに貼合される。この裏地は非晶質コポリエステル又はポリ塩化ビニルを少なくともその第１面（内面）に含んで成り、また、カバーシートは他のポリ塩化ビニル又は非晶質コポリエステルを少なくともその第１面（内面）に含んで成り、裏地の第１面はカバーシートの第１面に貼合されている。像はポリ塩化ビニル部材の表面に拡散した染料を含んで成る。このカードは任意の第２の像をカバーシートの外面及び／又は裏地の外面上に更に含んでよい。
所望であれば、一つ以上の磁性ストリップを本発明の機密保護カードに組込むことができ、典型的には裏地の裏面に埋封されるか又は貼合される。このような用途のために販売されている市販入手可能な磁性ストリップ材料は一般に溶剤型コーティング又は他のポリマーコーティング（例えば、塩化ビニル／酢酸ビニルコポリマー）を有し、本明細書に開示したポリ塩化ビニル又は非晶質コポリエステルに対して十分な接着力を与える。同様に、本発明のカードに電子的インタラクティブ回路（electronically interactive circuits）を組込むことができる。
実施例
本発明を以下の無制限の例示的実施例により更に説明する。
実施例１
本例は非晶質コポリエステル裏地及びポリ塩化ビニルカバーシートを本発明の機密保護カード中に使用することを例示する。
米国特許第５，２５４，３９０号の実施例４に記載されているようなミクロ構造フィルムをカバーシートとして使用した。このカバーシートは、ミクロレンズ面と反対側に平滑面を備えた厚さ１７５μｍ（７ミル）の硬質ポリ塩化ビニルの薄い内層に接着された、最も厚い部分で約３７μｍ（１．５ミル）の整然と並んだ半球形ミクロレンズを外面に有する紫外線硬化型樹脂の外層を含んで成る。
３色像を形成させるために市販入手可能な三菱SU3-11C3H熱染料リボン（黄色、マゼンタ、及びシアン）を用い、三菱S-3600-30型熱染料プリンター内にカバーシートを装入することによりカバーシートの平滑面上に像を形成した。
非晶質コポリエステル（Eastman Chemical Products,Inc.製の８１℃のＴ_gを有するKODAR（商標）PETG 6763コポリエステル）を含んで成り、二酸化チタンを用いて不透明白色に着色されたKlockner-Pentaplast of America製のPENTAPRINT（商標）PR-801/11の厚さ５００μｍ（２０ミル）の裏地を使用した。
目視により確認できる照合機能を、完成したカードに付与するために、像を真珠箔インク配合物を用いて裏地の第１面又は内面、すなわちカバーシートが貼合される面にフレキソ印刷した。
次いで、カバーシート及び裏地は各像が付された面において接触するように互いに重ね合わせ、次いでデスクトップ型貼合せ機（Thermal Lamination Corporation 5500 HR型）に通し、約２５〜３０秒間の滞留時間で１３８℃（２５０°Ｆ）の界面温度（interfacial temperature）に加熱し、中間接着剤層を要せずしてカバーシートと裏地とを一つに接着させた。
室温に冷却後、貼合せたカバーシート及び裏地を打抜き、完成した本発明のカードを得た。得られた身分証明カードは写真のような像特性を示し、且つ、耐久性を有していた。
実施例２
本例は非晶質コポリマーカバーシート及びポリ塩化ビニル裏地を本発明の機密保護カード中に使用することを例示する。
硬質ポリ塩化ビニル層の代わりにLustro Company製のKODAR（商標）PETG 6763コポリエステルの厚さ１９０μｍ（７．５）の透明層を用いたことを除き、実施例１と同様にカバーシートを製造し、これをフレキソ印刷し、次いで前記と同じ会社によって製造された同一ポリエステルの厚さ３７５μｍ（１５ミル）の透明層を、TLC 5500 HR型貼合せ機に通過させることによって１２１℃（２５０°Ｆ）で２５〜３０秒間を要して像を付した面（ミクロレンズとは反対側）に貼合せた。
裏地はTransilwrap Company製のTiO₂で着色された厚さ１７５μｍ（７ミル）のポリ塩化ビニルシートであり、これに実施例１におけるように熱染料転写により像を付した。
カバーシートと裏地とを一つに貼合せ、実施例１におけるように打抜いた。フレキソ印刷及び熱染色像は共に、優れた像特性を有し、且つ、カードは耐久性を有していた。
比較例Ａ
本例は、カバーフィルム及び裏地の両方にポリ塩化ビニルフィルムを使用することを例示する。
Klockner-Pentaplast of America製のPENTAPRINT（商標）PR180/02ポリ塩化ビニルの厚さ２５０μｍ（１０ミル）の２枚のシートを、実施例１において使用したのと同じデスクトップ型貼合せ機内の１４０℃（２８５°Ｆ）の温度で５分間貼合せ、次いで冷却した。優れた接着力が得られたが、要した長い貼合せ時間は所望とするものよりも長いために、カードの現場発行にとって幾分実際的ではない。約２５〜３０秒間（本発明の機密保護カードの実施例におけるものと同様）の滞留時間で同一試料を試験した結果、接着力が劣っていた。
比較例Ｂ
本例は、ポリエステルフィルムを裏地として使用し、且つ、ポリ塩化ビニルをカバーフィルムとして使用することを例示する。
実施例１におけるものと同様な像を付したカバーシートを用いた。厚さ１７５μｍ（７ミル）のポリエチレンテレフタレート（PET）フィルムを裏地として用いた。
この裏地及びカバーシートを実施例１に記載したのと同一条件で同一の貼合せ機に通した。接着は得られなかった。次いで、裏地及びカバーシートを１６０℃（３６０°Ｆ）の温度の貼合せ機に通したが、接着しなかった。
比較例Ｃ
本例は実施例１に記載したようなポリ塩化ビニルカバーシートと他のコポリエステルの使用を例示する。
裏地はEastman Plastics Company製の８７℃（１８９°Ｆ）のＴ_gを有するコポリエステルであるKODAR（商標）A150Ａから製造されたKlockner Pentaplast製のApet（商標）8A1/21の厚さ２００μｍ（８ミル）のフィルムであった。
実施例１におけるのと同一条件下で貼合せ機に通した場合に、極めて弱い接着力が達成された。この結果、カバーシートと裏地とが容易に離層した。
実施例３
本例は本発明に従って他の非晶質コポリエステルを使用することを例示する。
VITEL（商標）PE-222の厚さ５０μｍ（２ミル）の層を、１３８〜１６６℃（２８０〜３３０°Ｆ）でPET剥離ライナー上に押出し、次いで実施例２で用いたのと同一のPETGの厚さ３７５μｍ（１５ミル）の層に貼合せ、次いで剥離ライナーを除去した。このシートのVITEL（商標）PE-222面を、比較例Ａで用いたようなポリ塩化ビニルのシートと接触させ、１２１℃（２５０°Ｆ）で２５〜３０秒間を要してTLC 5500 HR型貼合せ機内を通過させた。優れた接着力が得られた。
本発明の種々の修飾及び変更は、本発明の範囲及び目的から離れることなく明らかになるであろう。

Claims (14)

1. 裏地（１２）、カバーシート（１４）及び機密保護像（１６）を含んで成る機密保護カードにおいて、前記機密保護像が前記裏地と前記カバーシートとの間に配置され、前記裏地と前記カバーシートとが中間接着剤層を用いずに一つに貼合され、前記裏地が少なくともその第１面に溶融結晶化温度を示さないコポリエステル又はポリ塩化ビニルを含んで成り、前記カバーシートが少なくともその第１面にポリ塩化ビニル又はコポリエステルの他の一方を含んで成り、前記裏地の第１面が前記カバーシートの第１面に貼合されており、前記機密保護像がポリ塩化ビニル部材の表面の内側に拡散した１種以上の着色染料を含んで成る機密保護カード。
2. 前記裏地が非晶質コポリエステルを含んで成り、且つ、前記カバーシートがポリ塩化ビニルを含んで成ることを更に特徴とする請求項１記載のカード。
3. ａ）前記裏地が厚さ約５００〜５５０μｍであること；
   ｂ）前記カバーシートが厚さ約１７５〜約２５０μｍであること；又は
   ｃ）前記カードが厚さ約６７５〜約８２５μｍであること；
   の少なくとも一つを更に特徴とする請求項１記載のカード。
4. ａ）前記非晶質コポリエステルがエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及びテレフタル酸のコポリマーであること；又は
   ｂ）前記非晶質コポリエステルがテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールのコポリマーであること；
   の少なくとも一つを更に特徴とする請求項１記載のカード。
5. 前記カードが、前記カバーシートと前記裏地との間に配置された照合像（verification image）を更に含んで成ることを更に特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載のカード。
6. ａ）前記照合像が部分的に透明な正反射性材料を含んで成ること；又は
   ｂ）前記照合像が透明バインダー中に真珠箔粒子を含んでなること；
   の少なくとも一つを更に特徴とする請求項５記載のカード。
7. 前記カバーシートがそれらの前面から突き出ているレンズ要素を含んで成ることを更に特徴とする請求項１記載のカード。
8. 前記カードが、前記カバーシート又は前記裏地の少なくとも一方の外面に少なくとも一つの第２の像を更に含んで成ることを更に特徴とする請求項１記載のカード。
9. カバーシートが透明である請求項１〜８のいずれか１項に記載のカード。
10. 以下の工程を含んで成ることを特徴とする機密保護カードの製造方法：
    ａ）第１及び第２面を有し、少なくともその第１面にポリ塩化ビニルを含んで成る第１シートを提供する工程；
    ｂ）熱染料転写により前記第１シートの第１面に像を形成する工程；
    ｃ）第１及び第２面を有し、少なくともその第１面に非晶質コポリエステルを含んで成る第２シートを提供する工程；
    ｄ）前記像を封入するために、熱及び圧力を加えて前記第２シートの第１面を前記第１シートの第１面に貼合せる工程；
    但し前記第１シート及び第２シートの少なくとも一方は、前記像がそれらを通して目に見えるように透明である。
11. ａ）前記第２シートがエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及びテレフタル酸のコポリマーを含んでなること；又は
    ｂ）前記第２シートがテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、
    エチレングリコール及びネオペンチルグリコールのコポリマーを含んで成ること；
    の少なくとも一つを更に特徴とする請求項１０記載の方法。
12. （ｉ）工程ｄ）において、前記第１シートの第１面の温度及び前記第２シートの第１面の温度を約１２０〜約１５０℃の温度に上昇させること；及び
    （ｉｉ）前記熱及び圧力を約１分未満の間加えること；
    の少なくとも一つを更に特徴とする請求項１０記載の方法。
13. 前記熱及び圧力を加えることがデスクトップ型貼合せ機を用いて行われる請求項１２記載の方法。
14. 前記方法が、工程ｃ）の後に、前記第１シート及び前記第２シートの少なくとも一方の外面上に第２の像を形成する工程を更に含んで成ることを更に特徴とする請求項１０記載の方法。

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