JP3745269B2 - 情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート状等の基材の表面に、磁気層、ホログラム層、リライト層等の情報記録用部材を熱融着して積層する際に、プレス熱板と、基材もしくは記録用部材との間に介在する気泡によって、得られる製品の表面にナメや気泡が生じることを防止可能な情報記録媒体の製造方法に関するものである。ここで、「ナメ」とは、プレス時にプレス熱板との間に空気を抱き込むことにより製品の表面にくぼみを生じたり、もたらされる熱が不均一なことにより、表面が平滑にならない状態を指す。
【0002】
【従来の技術】
図1に例示するように、情報記録媒体1の一例であるカードは、シート状等の熱可塑性樹脂基材2上に、種々の情報記録用部材3が積層されたものであり得るが、製造の際には、接着剤による接着を利用して積層することも可能ではあるものの、熱プレスを用いた熱融着方法を利用して積層していることが多い。これは、従来、ポリ塩化ビニル樹脂シートが、カード等の基材として多用されており、このポリ塩化ビニル樹脂シートが熱融着に適していることにもよる。
【0003】
熱融着により、熱可塑性樹脂基材2上の一部に、情報記録用部材3を積層する際には、図2に示すように、情報記録用部材3を熱可塑性樹脂基材2上に押込んで、情報記録記録用部材3の上面と熱可塑性樹脂基材2の上面とが、同一平面になるようにするのが普通である。
【0004】
しかし、熱融着の過程において、熱可塑性樹脂基材2上の一部に、情報記録用部材3を積層しようとすると、段差が生じたものを押込むので、隙間の空気が逃げ場を失って、残存することにより、凹みを生じる。
【0005】
図2は、そのような積層構造中の欠点が生じる過程をモデル的に示すもので、まず、図2(a)に示すように、熱可塑性樹脂基材2上の一部の上に、情報記録用部材3を重ねたものを、プレス熱板5および5’の間に挟むと、情報記録用部材3の厚みがあるので、上の熱板5と熱可塑性樹脂基材2との間の情報記録用部材3の両側にわずかではあるが、隙間4が生じる。この状態では、図中、ハッチを付けた部分は、熱板と密着しているため、熱の伝導がよく、短時間で軟化温度に達する。
【0006】
続いて、図2(b)に示すように、熱可塑性樹脂基材2と情報記録用部材3との間に熱が伝わって、界面が軟化温度に達し、プレス熱板5および5’間の圧力により、情報記録用部材3が降下して、熱可塑性樹脂基材2中に埋め込まれて行く(図2(c))。このとき、空気4’は加圧されて外側に逃げようとするが、先に軟化した熱可塑性樹脂基材2の右側および左側の部分が、プレス熱板5と既に密着していて出口が無くなっており、結局、外部に逃げることができないまま冷却され、図2(d)に示すように、気泡に起因する凹み4”として形状が残存したまま製品となる。
【0007】
また、熱可塑性樹脂基材2と情報記録用部材3とが、同じ大きさおよび平面形状を有している場合、図2に示すような情報記録用部材3の周囲における凹部4は生じないが、平面どうしが互いに接するため、間に気泡が入りやすく、しかも熱プレスされる際に、気泡が逃げにくい問題がある。封入された気泡は、製品の外からも判別できたり、加熱により膨れたり、気泡部から剥離する原因となることもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、熱可塑性樹脂基材2上に、情報記録用部材3を熱プレスを用いた熱融着方法を利用して積層する際に、層間に気泡が生じる問題、あるいは、情報記録用部材3を熱プレスにより押込んで積層する際に、情報記録用部材の周囲に凹みが生じる等の、空気の介在に起因する問題を解決することを課題とする。
【0009】
【課題を解決する手段】
上記の課題は、熱可塑性樹脂基材2の表面を、熱融着に先立って粗面化しておくことにより、解決することができた。または、上記の課題は、熱融着の際に、プレス面を粗面としておくことにより、解決することができた。
【0010】
第1の発明は、熱可塑性樹脂基材の上面を、プレス面が粗面である熱板を用いて行なうか、もしくは、プレス面が平滑面である熱板を、プレス面が粗面である緩衝材を介して行なう第1の熱プレスにより粗面化を行ない、その後、前記熱可塑性樹脂基材の上面に、少なくとも下面が熱接着性である情報記録用部材を重ねて配置し、次いで第2の熱プレスにより、前記熱可塑性樹脂基材の上面に前記情報記録用部材を熱融着させて積層体を形成することを特徴とする情報記録媒体の製造方法に関するものである。
第2の発明は、第1の発明において、前記第2の熱プレスが、プレス面が粗面である熱板を用いて行なうか、もしくは、プレス面が平滑面である熱板を、プレス面が粗面である緩衝材を介して行なう粗面化プレスであることを特徴とする情報記録体の製造方法に関するものである。
第3の発明は、第1の発明において、前記第2の熱プレスが、プレス面が平滑面である熱板を用いて平滑面化を行なう平滑面化プレスであることを特徴とする情報記録体の製造方法に関するものである。
第4の発明は、熱可塑性樹脂基材の上面を、プレス面が平滑面である熱板を用いて行なう第1の熱プレスにより平滑面化を行ない、その後、前記熱可塑性樹脂基材の上面に、少なくとも下面が熱接着性である情報記録用部材を重ねて配置し、次いでプレス面が粗面である熱板を用いて行なうか、もしくはプレス面が平滑面である熱板を、プレス面が粗面である緩衝材を介して行なう第2の熱プレスにより、粗面化を行なうと共に、前記熱可塑性樹脂基材の上面に前記情報記録用部材を熱融着させて積層体を形成することを特徴とする情報記録媒体の製造方法に関するものである。
第5の発明は、第4の発明において、前記第2の熱プレスを行なった後、さらに、プレス面が平滑面である熱板を用いて行なう平滑面化プレスである第3の熱プレスを行なうことを特徴とする情報記録媒体の製造方法に関するものである。
第6の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記熱可塑性樹脂基材の上面に、前記第1の熱プレスを行なうのに先立って、転写シートを用いた転写印刷法を行なうことを特徴とする情報記録媒体の製造方法に関するものである。
第7の発明は、第4または第5の発明において、前記熱可塑性樹脂基材の上面に、第1の熱プレスを行なうと同時に、転写シートを用いた転写印刷法を行なうことを特徴とする情報記録媒体の製造方法に関するものである。
第8の発明は、第1〜第5いずれかの発明において、前記熱可塑性樹脂基材が、上層側の透明シートおよび下層側のシートの少なくとも2層以上のシートと、両シートの間のいずれかのシート側に積層された印刷層もしくは転写層からなることを特徴とする情報記録媒体の製造方法に関するものである。
第9の発明は、第1〜第8いずれかの発明において、前記第2の熱プレスにより、前記情報記録部材を前記熱可塑性樹脂基材の上面の一部に埋め込むことを特徴とする情報記録媒体の製造方法に関するものである。
第10の発明は、第1〜第3いずれかの発明における第1のプレスにおいて使用するか、または、第2、第4、もしくは第5いずれかの発明における第2の熱プレスにおいて使用する前記熱板の前記プレス面の平均粗さが0.01μm〜100μmであることを特徴とする情報記録媒体の製造方法に関するものである。
第11の発明は、第10の発明において、前記プレス面が、平均粗さが0.2μm〜1μmであることを特徴とする情報記録媒体の製造方法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図3に示すように、本発明の一実施例の製造方法においては、まず、熱可塑性樹脂基材2の情報記録用部材を積層する側(図3においては上面)を、プレス面(図では下面)を粗面5bとした金属製の熱板5aを用い、その粗面5bが接触するようにして行なう第1の熱プレスにより、粗面化を行なう(図3(a))。図3(a)では、熱可塑性樹脂基材2の上面にのみ、情報記録用部材3を積層することを想定し、上側の熱板のみ、粗面化したものを使用するよう描いたが、上下両面に情報記録用部材3を積層するのであれば、上下の熱板5a、および5’のいずれも、熱プレスの内側(=プレス面側)、即ち、熱可塑性樹脂基材2を向いた側を粗面化したものを用いることが必要である。
【0012】
熱板の粗面化の程度は、平均粗さRaで規定するのであれば、0.01μm〜100μmが好ましく、0.2μm〜1μmがより好ましい。
平均粗さが0.01μm未満の熱板を使用すると、熱可塑性樹脂基材2の表面を充分粗面化することができず、気泡が封入される問題や、凹部が形成される問題が解消しない。また、平均粗さが100μmを超える熱板を使用すると、熱可塑性樹脂基材2の粗面化された面が内部歪みを抱えることになる。さらに、通常、熱可塑性樹脂基材の表面に施され得る絵柄を、粗面化により外観的に歪ませるので、好ましくない。
【0013】
ところで、熱プレスにより、粗面化を行なう際には、プレス面側が粗面である緩衝材を介して行なうことによってもよく、この場合、プレスの熱板を粗面化する必要は必ずしもなく、プレス面が平滑面である熱板を用いて行なってよい。緩衝材のプレス面側の平均粗さについては、上記の熱板の粗面化の程度と同じである。なお、本発明において、プレス面が粗面である熱板を用いて行なう粗面化のための熱プレスは、このように、プレス面側が粗面である緩衝材を介して行なう熱プレスで置き換え得るので、特に記載がなくても、そのように緩衝材を介して行なう熱プレスで置き換えたものも、内容として含んでいるものとする。
【0014】
プレス面側が粗面である緩衝材としては、プレス面側の平均粗さRaが0.01μm〜100μm、より好ましくは0.2μm〜1μmであり、素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリプロピレン等の耐熱性のあるプラスチックフィルムであって、厚みが10μm〜200μm、より好ましくは50μm〜100μmのものを使用することが好ましい。
【0015】
図3においては、熱可塑性樹脂基材2を、四層の積層体として描いており、これは、プラスチックカードを想定したものである。ただし、熱可塑性樹脂基材2は、四層の積層体でなくても、一層のシートからなるものであってもよいし、二層や三層、もしくは五層以上の積層体であってもよい。複数の層を積層して熱可塑性樹脂基材2を構成する際には、各層の素材、厚み、もしくは熱的性質等が、熱可塑性樹脂基材2を厚み方向にスライスしたときに対称になるよう構成することが好ましい。このように、熱可塑性樹脂基材2が複数の層の積層体であるときは、積層体を製造する際に、熱プレスを利用するのが普通であるので、上記の第1の熱プレスによる粗面化を、積層体の製造を兼ねて行なってもよいし、あるいは、既に得られた積層体に対し、第1の熱プレスを行なってもよい。
【0016】
次いで、図3(b)に示すように、表面が粗面化された熱可塑性樹脂基材2の、粗面化された面上に、情報記録用部材3を重ねて配置し、次いで、第2の熱プレスを行なう。情報記録用部材3の下面側、即ち、熱可塑性樹脂基材2を向く側は、熱融着性であればそのままでよいが、熱融着性でなければ、熱融着性、もしくは接着性の素材で被覆して、熱接着性を付与しておく。
必要に応じ、情報記録用部材が熱プレスの際に動かないように、熱接着、もしくは熱融着を利用して、仮止めしておいてから、熱プレスするとよい。
【0017】
この第2の熱プレスに用いる熱板は、プレス面側が粗面であっても、あるいは鏡面であっても、熱可塑性樹脂基材2と情報記録用部材3との間に空気が閉じ込められにくい点では大差がないが、プレス面側が粗面である熱板を用いれば、空気がより逃げやすいので、より一層、空気が閉じ込められにくくなる利点が生じる。
【0018】
むしろ、第2の熱プレスは、得られる製品の表面状態を決定するので、表面が平滑な製品を得たいときは、プレス面が平滑面である熱板を用いて行ない、表面がつや消しの製品を得たいときは、プレス面が粗面である熱板を用いて行なう。なお、この明細書中で「平滑な」とは、鏡面であるものも含むものとする。
【0019】
先に述べたように、第2の熱プレスを、プレス面側が粗面である熱板を用いて行なえば、空気が逃げやすい利点があるので、一旦、プレス面側が粗面である熱板を用いて第2の熱プレスを行ない、その後、さらに第3の熱プレスを、プレス面が鏡面である熱板を用いて行なうことにより、鏡面化を行なってもよく、より欠点の少ない鏡面を有した製品を得ることができる。
【0020】
図3(b)に示すように、情報記録用部材3が熱可塑性樹脂基材2よりも小さいか、もしくは余白を残して積層する場合、情報記録用部材3側に接触する熱板5aのプレス面側は、熱プレスの際の熱板5aの下降、もしくは下側の熱板5’の上昇に伴なって、まず、情報記録用部材3の上面のみが熱板5aの平滑面5cに接触し、熱板5aの熱が情報記録用部材3を経由して、熱可塑性樹脂基材2に伝わって、熱可塑性樹脂基材2を軟化させると共に、情報記録用部材3が熱可塑性樹脂基材2に次第に押し付けられる。
【0021】
このとき、情報記録用部材3の下面と、熱可塑性樹脂基材2の粗面化された上面との間には、図3(b)逆三角形の断面形状を持つ微細凹部状の空隙が多数生じ得るが、それぞれの空隙内の空気は、加圧に伴ない、隣接する微細凹部を伝わって外側に逃げるので、情報記録用部材3と熱可塑性樹脂基材2との間に気泡が閉じ込められることが無い。
【0022】
その後、情報記録用部材3は、熱可塑性樹脂基材2に埋め込まれて行き、やがて、熱可塑性樹脂基材2の情報記録用部材3が積層していない部分も熱板5aに接触する。このとき、情報記録用部材3の周囲の、熱可塑性樹脂基材2との間には、先に図2を引用して説明したような隙間4が生じ始めるが、この隙間4内の空気は、加圧に伴ない、隣接する微細凹部を伝わって外側に逃げるので、上面が平滑な熱可塑性樹脂基材2を使用したときにくらべると、情報記録用部材3の周囲の、熱可塑性樹脂基材2との間に気泡が閉じ込められることが少なく、生じ始めた凹部も、その後、軟化し加圧された熱可塑性樹脂基材2が埋めて行き、最終的に凹部4”が形成されることが無い。
【0023】
上記とは異なり、情報記録用部材3が熱可塑性樹脂基材2と同じ大きさである場合にも、上記した情報記録用部材3の下面と、熱可塑性樹脂基材2の粗面化された上面との間に気泡が閉じ込められることが無いのと同様、得られる積層体において、気泡が閉じ込められることが無い。
【0024】
以上の方法においては、いずれにおいても、第1の熱プレスにより、熱可塑性樹脂基材2の上面(もしくは両表面)を、粗面化して行なう方法であるが、第1の熱プレスで平滑面を形成しても、第2の熱プレスをプレス面が粗面である熱板を用いて行なうことにより、空気が取り残されたことによる凹部や気泡の発生を少なくすることができる。
【0025】
図4は、本発明の別の実施例の製造方法を示すもので、図に示すように、熱可塑性樹脂基材2の上の熱板として、プレス面側が平滑面5cであるものを用いた第1の熱プレスにより、平滑面化を行なう(図4(a))。必要に応じて、この平滑面化を上下両表面に行なってもよい。また、熱可塑性樹脂基材2が複数の層の積層体であるときは、この平滑面化を、積層体の製造を兼ねて行なってもよい。
【0026】
次いで、図4(b)に示すように、表面が平滑面化された熱可塑性樹脂基材2の、平滑面化された面上に、情報記録用部材3を重ねて配置し、必要に応じて仮止めし、次いで、プレス面が粗面である熱板を用いた第2の熱プレスにより粗面化を行なうと共に、前記熱可塑性樹脂基材の上面に前記情報記録用部材を熱融着させて積層体を形成する。情報記録用部材3の下面側には必要に応じて、熱融着性、もしくは接着性の素材で被覆して、熱接着性を付与しておく。なお、この第2の熱プレスによる紙面化および積層体の形成も、熱可塑性樹脂基材の上下両表面を対象として行なってもよい。
【0027】
先に述べたように、第2の熱プレスを、プレス面側が粗面5bである熱板5aを用いて行なえば、空気が逃げやすい利点があるものの、この実施例の製造方法では、第1の熱プレスで平滑面化を行なっているので、熱可塑性樹脂基材2の上面は、平滑面となっているので、熱可塑性樹脂基材2と情報記録用部材3との間の空気は閉じ込められやすいように見えるが、実際には、この間に空気が閉じ込められ、気泡となることはごく少ない。
【0028】
この理由は、プレス面側が粗面5bである熱板5aを用いることにより、情報記録用部材3の上面と熱板5aのプレス面である粗面5bが接触し、また、情報記録用部材3が無く、熱可塑性樹脂基材2が露出している部分では、熱可塑性樹脂基材2の上面と熱板5aのプレス面である粗面5bとが接触するため、粗面5bに沿って空気が逃げやすく、従って、熱可塑性樹脂基材2と情報記録用部材3との間に多くの空気が閉じ込められることが無いので、結果として、気泡が発生しにくく、同様に、情報記録用部材3の周囲にも凹部が発生しにくいものと考えられる。
【0029】
この実施例の製造方法においても、情報記録用部材3が熱可塑性樹脂基材2よりも小さいか、もしくは余白を残して積層する場合と、両者が等しい大きさである場合があり、前者の場合には、情報記録用部材3が熱可塑性樹脂基材2中に埋め込まれ、後者の場合には、埋め込みを伴なわない積層が行なわれる。
【0030】
なお、上記の実施例の製造方法では、第2の熱プレスにより粗面化が行なわれるため、得られる製品は粗面化されたものになる。この製造方法で、表面が平滑な製品を得たいときは、第2の熱プレスを行なった後に、さらに、プレス面が平滑面である熱板を用いた第3の熱プレス(=平滑面化プレス)によって、平滑面化を行なうとよい。
【0031】
本発明における熱可塑性樹脂基材2は、基本的には、次のような熱可塑性樹脂のフィルム、シート、もしくは板の単層、もしくは複層の積層体である。
【0032】
熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称)もしくはポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABSなどの樹脂が挙げられる。
【0033】
塩素を含まず、加工性の優れた樹脂としては、非晶質ポリエステル樹脂(例えば、イーストマンコダック社製、「PET−G」)が好ましく、さらに耐熱性を要する場合には、非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のブレンド樹脂が好ましい。この「PET−G」としては、例えば、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、ジオール成分がエチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール=70/30(質量比)のものがある。本発明の製造方法を適用して効果の大きいものは、熱軟化時の流動性が高い樹脂を素材とする熱可塑性樹脂基材2である。中でも、非晶質ポリエステル樹脂を素材とする熱可塑性樹脂基材2を使用するときには、特に効果が大きい。
【0034】
本発明における熱可塑性樹脂基材2は、情報記録用部材3を積層する側の表面を粗面化できる限り、熱可塑性樹脂以外の素材の表面を熱可塑性樹脂で被覆した複合体であってもよく、このようなものも、熱可塑性樹脂基材2に含めるものとする。例えば、紙、樹脂含浸紙、もしくはラテックス含浸紙等の紙類、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂の硬化物からなるもの、木質系の板、アルミニウム、もしくは銅等の金属の箔、または金属板等の表面を、上記した熱可塑性樹脂で被覆したものである。
【0035】
これらのうち、樹脂含浸紙、もしくはラテックス含浸紙等は、紙に対する樹脂もしくはラテックスの含浸割合、または粗面化する際に必要な熱可塑性樹脂層の厚みによっては、単独でも熱可塑性樹脂基材として使用でき、あるいは、紙、木質系の板、アルミニウム、もしくは銅等の金属の箔、または金属板等を被覆する素材としても使用できる。
【0036】
熱可塑性樹脂基材2の厚みは、材質によっても異なるが、通常、10μm〜5mm程度の範囲である。また、熱可塑性樹脂を、紙、樹脂含浸紙、もしくはラテックス含浸紙等の紙類、木質系の板、アルミニウム、もしくは銅等の金属の箔、または金属板等の表面の被覆に用いる場合には、粗面化に必要な厚み、例えば、粗面化された熱板の平均粗さRaに匹敵する厚み、好ましくは、その2倍以上とするとよい。
【0037】
本発明の製造方法によって得られる情報記録媒体1が、磁気カードを兼ねていて、熱可塑性樹脂基材2をISO規格に準拠したものとする場合には、熱可塑性樹脂基材2の厚みは0.76mmである。例えば、厚み280μmの白色熱可塑性樹脂シートをコアシートとして、これを2枚重ね、重ねた両側にそれぞれ厚み100μmの透明熱可塑性樹脂シートをオーバーシートとして重ねて、熱プレスなどにより積層する4層構成の基材(合計厚み0.76mm)を用いるとよい。
【0038】
情報記録媒体1には、普通、種々の文字、図柄等が施されたり着色が施されることがある。クレジットカードを例にとっても、文字としては、カードの名称、発行会社名、もしくは内容自体はエンボスにより表示されることが多い氏名、有効期限の項目名、注意書等があり得るし、図柄としては、カードの種類を特徴付ける図柄やキャクター等があり得る。
【0039】
これらの文字や図柄は、通常、印刷手法によって形成されるが、印刷手段を用いて直接に形成される場合と、転写シートを用いた転写による場合とがある。また、文字や図柄は、熱可塑性樹脂基材2の表面に直接設けるほか、熱可塑性樹脂基材が複数の層の積層体である場合には、必ずしも最表面ではない、他の場所に設けることがある。
【0040】
本発明においては、熱プレスを用いるので、熱プレス時の熱と圧力を利用して転写を行なうことができる。通常の転写シートには、接着剤層として感熱接着剤層が積層されていることが多いからである。
【0041】
本発明の製造方法のうち、第1の熱プレスが、プレス面が粗面である熱板を用いて行なう熱プレスである場合には、転写シートを用いた転写が可能ではあるものの、一般的に言って、転写抜け等の欠点を起こさないためには、プレス面が平滑な熱板や表面が平滑な熱ローラを用いて転写を行なうことが好ましく、このような転写を行なう目的で、第1の熱プレスに先立って、即ち、第1の熱プレスにおいてではない、別の工程によって、転写シートを用いた転写を行なうことが好ましい。
【0042】
また、本発明の製造方法のうち、第1の熱プレスが、プレス面が平滑面である熱板を用いる場合には、熱可塑性樹脂基材2の表面の平滑面化を兼ねて、表面に転写を行なうことができる。また、前記したように、第1の熱プレスが、熱可塑性樹脂基材2を構成する各層の積層を兼ねる場合には、それら各層の積層、表面の平滑化、および表面への転写の同時に行なうことができる。
【0043】
いずれのタイミングで転写するにせよ、熱プレスにより文字、図柄等を施すことができる。転写の典型例として、磁気記録層を表面に有する磁気カードの磁気記録層上も含め、好ましくは全面を、下層を隠蔽し得る隠蔽層を、必要に応じ、そのほかの文字、図柄等を伴なって転写により形成することを挙げることができる。このようにすると、磁気記録層の存在を分からなくする事が出来る上、磁気記録層上にも、文字や図柄を施して差し支えない。
【0044】
文字、図柄等の形成は、熱可塑性樹脂基材2、もしくは熱可塑性樹脂基材2を構成する各層の任意の面に施すことができ、対象となる面に、転写、あるいは直接に印刷する方法で、文字、図柄等を施すことができる。一般論としては、上層側の透明シート、印刷層もしくは転写印刷層、および下層側のシートの構成とし、印刷層もしくは転写印刷層は、上層側の透明シートの下層側か、もしくは下層側のシートの上層側のいずれに、適用されたものであってもよい。通常の磁気カードやICカードにおけるように、四層構成の熱可塑性樹脂基材であれば、芯となる内側の2層(通常は、コアシートと呼ばれる乳白色シート)の各層の表面側を向いた面、あるいは、コアシートの表面側を被覆する透明層(通常は、オーバーシートと呼ばれる。)の内側を向いた面に印刷層もしくは転写印刷層を適用する。これら、通常の磁気カードやICカードにおいては、磁気記録層は最表層に設けるので、さらに別の層で覆わない限り、磁気記録層の存在が外側から見える。また、磁気記録層が、文字、図柄等を施した位置を覆わないよう、文字、図柄の位置を、磁気記録層を避けて決める必要が生じる。
【0045】
本発明の製造方法を適用することが好ましい情報記録用部材3としては、種々のものがあり、磁気記録層、光学記録層(ホログラムをも含む。)、感熱記録層、感熱発消色層、昇華方式の記録用の受像層、署名のための筆記性層、またはICモジュール、もしくはLSIモジュール、等である。これらは、単独、もしくは二以上、適宜に選択して適用し得る。これらのうち、磁気記録層、ICモジュール、もしくはLSIモジュールは、すでに確立された工程により形成されることが多く、また、これらのうち、感熱記録層、感熱発消色層、もしくは昇華方式の記録用の受像層は、それらの機能を発揮する上で、最表層に設けることが普通であり、しかも、通常は磁気カードとして作られたものに埋め込む等して適用されることが多いので、これら感熱記録層、感熱発消色層、もしくは昇華方式の記録用の受像層が本発明の製造方法を適用するのにより適した情報記録用部材である。
【0046】
磁気記録層は、磁性金属の蒸着、もしくはスパッタリングによる薄膜、または磁性金属粉末が分散した樹脂層であり得るが、薄膜単独の場合には、厚みがごく薄く、積層時の問題が生じにくいので、薄膜をフィルム状基材に積層した磁気薄膜フィルム(狭幅の場合にはテープとも称する。以下においても同様。)、Fe23等の磁性金属粉末の分散した樹脂層の単独もしくは他の機能層との積層体、または磁性金属粉末の分散した樹脂層の単独もしくは他の機能層との積層体がフィルム状基材に積層した磁気フィルムが、磁気記録層として適当である。ここで、他の機能層とは、保護層、接着剤層、もしくは各層間に設けられ得るプライマー層等である。これら、他の機能層は、以降に説明する各情報記録用部材にも付加してよい。
【0047】
光学記録層(ホログラムをも含む。)としては、フィルム状基材上に、レーザー等により溶融、蒸発、もしくは相変化して光の反射率が変化する、具体的には、比較的低融点の金属、もしくは合金の薄膜を形成したものが代表的である。
【0048】
感熱記録層としては、種々のものがあるが、代表的には、加熱により互いが融解して反応し、発色する電子供与性染料前駆体、具体的にはロイコ染料、および電子受容性化合物、具体的にはビスフェノールA等、の主成分が、樹脂バインダ中に分散した層単独か、もしくはフィルム状基材上に積層したものである。
【0049】
感熱発消色層は、例えば、加熱後急冷して発色させ、その後、再加熱して徐冷して消色させることが出来るものであり、リライト層、もしくはリライタブル層とも呼ばれる。感熱発消色層には、(1)ロイコ色素系、(2)高分子/有機低分子分散系、(3)液晶系の、おおよそ3タイプがあり、いずれも、発消色し得る成分が、樹脂バインダ中に分散した層単独か、もしくはそのような層がフィルム状基材上に積層したものである。
【0050】
上記(1)のロイコ色素系のものの場合、ロイコ色素と酸性化合物の組合せによって発消色し、フェノールアミン塩等の両性化合物を用いる競争反応系と、長鎖アルキル基を持つフェノール化合物、もしくは長鎖アルキル基を持つホスホン酸化合物等の長鎖アルキル酸性化合物を用いる相分離系のものがある。
【0051】
上記(2)の高分子/有機低分子分散系のものの場合、透明で成膜性を有する合成樹脂のバインダー中に、脂肪酸などの有機低分子の物質を均一に分散させ、有機低分子の融点以上に加熱し、急冷すると白濁状態に、また、有機低分子の融点近くまで加熱した後、徐冷すると透明状態となることを利用している。
【0052】
上記(3)の液晶系のものの場合、バインダ中にスメクチック液晶を分散させておき、熱と電界を用いることにより、液晶分子をランダム配向状態、又は配向状態として、各々における光散乱、もしくは光透過の性質を利用している。
【0053】
上記した感熱記録層、および感熱発消色層は、比較的安価な加熱手段を備えた装置を用いての発色(後者においては発消色)が可能であり、しかも、層を情報記録媒体の最表面に形成しなければならない必要性を有し、本発明の製造方法を適用するのに特に相応しい。ただ、感熱記録層は不可逆な記録を行なうものであるため、限られた面積で多くの情報を記録しようとすると、文字が小さくなって見づらくなるのに対し、感熱発消色層は、記録の書換えができるために、常に、記録可能領域をフルに使用しての記録が行なえる利点があり、熱可塑性樹脂基材2に情報記録用部材を積層する場合には、感熱発消色層の方が、感熱記録層よりも表示用としての優位性がある。従って、感熱発消色層の方が、本発明の製造方法を適用するのに特に相応しい。
【0054】
昇華方式の記録用の受像層は、昇華性染料がバインダ樹脂中に溶解した染料層を有する昇華転写シートを用い、サーマルヘッド等の加熱印字手段により、文字、もしくは画像を記録するためのもので、染料染着性のある樹脂を主成分として用いて構成された層単独か、もしくはフィルム状基材上に積層したものである。
【0055】
署名のための筆記性層は、サインパネルとも呼ばれ、情報記録媒体の保持者自身の署名を施すための層であり、ペンやボールペンでは筆記しにくいことが多い熱可塑性樹脂基材2の表面に、インキ受容性の体質顔料を多量に分散させた樹脂層単独か、もしくは、そのような層をフィルム状基材上に積層したものである。
【0056】
ICモジュール、LSIモジュール、あるいはこれらが伴なう接続用端子、アンテナ等も本発明の製造方法が適用可能である。ただし、厚みの厚い場合には、予め、熱可塑性樹脂基材に穴を形成してから埋め込むので、比較的、厚みの薄い場合に限られる。
【0057】
上記した情報記録用部材3は、概して、10μm〜100μm程度で、これらの厚みは、情報記録用部材3を構成する層の厚み、必要に応じて積層するフィルム状基材の厚み、さらには、保護層や、裏面に適用する接着剤層の厚み等の合計で決まり、上記の数値範囲を超えても差し支えないが、本発明の製造方法の効果が充分発揮できるのは、10μm以上、より好ましくは20μm以上である。
【0058】
上記した種々の情報記録用部材3は、熱可塑性樹脂基材2と積層する側が接着性を有している場合にはそのままで、接着性を有していない場合には、接着剤層、好ましくは感熱接着剤層を熱可塑性樹脂基材2の上面、情報記録用部材3の下面、もしくは両方に適用して、積層するとよい。
【0059】
接着剤層を構成する接着剤としては、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、もしくはゴム変性物系等の樹脂単独、もしくは2種以上の混合系で構成することができる。
【0060】
本発明の製造方法によって得られる情報記録媒体1は、上記のような情報記録用部材3を備える等して、種々の用途に適用することができる。
例えば、通行券、乗車券、搭乗券、プリペイドカード、入場券、遊戯券、ポイントカード、キャッシュカード、クレジットカード、IDカード、社員証、会員カード等として、広く利用できる。
【0061】
【実施例】
(実施例1)
非晶質ポリエステル樹脂(イーストマンコダック社製、「PET−G」)からなる厚み560μmの白色シートの両面に印刷を施した後、厚み100μmの非晶質ポリエステル樹脂の透明シートの片面に磁気記録層を設けたものを、磁気記録層の無い側が白色シート側になるようにして重ね、他の面にも、厚み100μmの非晶質ポリエステル樹脂の透明シートを重ね、それぞれを重ねた重ね合せ体の両側から、プレス面の表面粗さが0.45μmの粗面である2枚の熱板間にはさんで、熱板温度;120°、プレス圧;20kg/cm2、プレス時間;20分の条件で第1の熱プレスを行ない、両面に微小な凹凸のある樹脂基材シートを作製した。
【0062】
別に、厚み25μmのPET樹脂フィルムの片面に、アクリル樹脂をバインダとし、ロイコ色素と長鎖アルキル基を持つホスホン酸化合物とを分散させた塗料を塗布して乾燥させ、厚み15μmの感熱発消色層(=リライト層)を形成し、さらに、その上に、ウレタンアクリレート系の厚み5μmの保護層を塗付、および硬化により形成した。また、PET樹脂フィルムの上記の各層を設けなかった方の面に、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体からなる感熱接着剤を厚みが10μmになるよう塗付形成した。こうして得られた積層体を12mm幅にカットし、厚み55μmの感熱発消色テープとした。
【0063】
得られた感熱発消色テープを、上記で作製した樹脂基材シート上の所定の位置に、感熱接着剤側が樹脂基材シートの方を向くようにして重ねた後、重ねたものの両側から、表面が鏡面状の2枚の熱板間にはさんで、熱板温度;120°、プレス圧;20kg/cm2、プレス時間;12分の条件で第2の熱プレスを行ない、感熱発消色テープを樹脂基材シート上に、感熱発消色テープの上面が樹脂基材シートの上面と同一平面になるよう感熱発消色テープを埋め込んだ後、所定の寸法で打抜いて、感熱発消色部を有する磁気カードを得た。
【0064】
得られた感熱発消色部を有する磁気カードにおいては、感熱発消色テープと樹脂基材シートとの境界において、凹状の溝が生じることなく、互いが密に接着しており、また、感熱発消色テープの表面も平滑であり、カードを加熱して見ても、感熱発消色テープと樹脂基材シートとの間に気泡が封入されていることに起因する膨れは生じなかった。
【0065】
(実施例2)
重ね合せ体としては、実施例1における重ね合せ体の磁気記録層のある側に、さらに全面を覆い得る隠蔽層、および文字を伴なう転写シートを重ねたものを準備し、2枚の熱板としては、いずれもプレス面が鏡面状の熱板を用い、プレス条件は、実施例1におけるのと同様にして、第1の熱プレスを行ない、両面が平滑であり、磁気記録層側に隠蔽層、および文字が順に積層された樹脂基材シートを得た。
【0066】
得られた樹脂基材シート上の隠蔽層、および文字が施された側に、実施例1におけるのと同じ感熱発消色テープを用い、熱板としては、プレス面の表面粗さが0.45μmのもの2枚を用いて、それらの間にはさみ、プレス条件は、実施例1における第2のプレスと同様にして、第2の熱プレスを行ない、感熱発消色テープが樹脂基材シートの上面と同一平面になるよう埋め込まれた、感熱発消色部を有する磁気カードを得た。
【0067】
実施例2で得られた感熱発消色部を有する磁気カードにおいても、感熱発消色テープと樹脂基材シートとの境界において、凹状の溝が生じることなく、互いが密に接着しており、また、感熱発消色テープの表面も平滑であり、カードを加熱して見ても、感熱発消色テープと樹脂基材シートとの間に気泡が封入されていることに起因する膨れは生じなかった。
【0068】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、第1の熱プレスにより表面が粗面となった熱可塑性樹脂基材上に、第2の熱プレスにより、情報記録用部材を熱融着させる方法を取るため、第2の熱プレスの際に、熱可塑性樹脂基材と情報記録用部材との間の空気が粗面の微細凹部を伝わって逃げ、空気が閉じ込められることによる問題が生じない、情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、第2の熱プレスの際にも、プレス面が粗面である熱板または緩衝材を使用するために、空気が閉じ込められることをより一層解消可能な、情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
請求項3の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、第2の熱プレスにより、表面が平滑性を有する製品を得ることが可能な、情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
請求項4の発明によれば、第1の熱プレスにより表面が平滑となった熱可塑性樹脂基材上に、プレス面が粗面である熱板または緩衝材を使用した第2の熱プレスにより、情報記録用部材を熱融着させる方法を取るため、第2の熱プレスの際に、熱可塑性樹脂基材と情報記録用部材との間の空気が粗面の微細凹部を伝わって逃げ、空気が閉じ込められることによる問題が生じない、情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
請求項5の発明によれば、請求項4の発明の効果に加え、さらに、第3の熱プレスにより、表面が平滑性を有する製品を得ることが可能な、情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
請求項6の発明によれば、請求項1〜請求項3いずれかの発明の効果に加え、第1の熱プレスに先立って、熱可塑性樹脂基材の上面に転写シートを用いた転写印刷法を適用するので、粗面化を行なわせる第1の熱プレス時に転写印刷法を適用するのにくらべ、転写の欠点を生じさせにくい、情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
請求項7の発明によれば、請求項4または請求項5の発明の効果に加え、熱可塑性樹脂基材の上面への転写シートを用いた転写印刷法を、第1の熱プレスを利用して同時に行なうことが可能な、情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
請求項8の発明によれば、請求項1〜請求項5いずれかの発明の効果に加え、熱可塑性樹脂基材が、上層側の透明シート、印刷層もしくは転写印刷層、および下層側のシートからなるものであり、表面から見える印刷層を有する製品を得ることが可能な、情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
請求項9の発明によれば、請求項1〜請求項8いずれかの発明の効果に加え、情報記録用部材が熱可塑性樹脂基材よりも小さいか、もしくは余白を残して積層され、情報記録用部材が熱可塑性樹脂基材中に埋め込まれた製品を得ることが可能な、情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
請求項10の発明によれば、請求項1〜請求項3いずれかの発明における第1のプレス時、または、請求項2、請求項4、もしくは請求項5いずれかの発明における第2の熱プレス時に使用するプレス面の平均粗さを規定したので、それらのいずれかの発明の効果に加え、熱可塑性樹脂基材と情報記録用部材との間に空気が閉じ込められることによる問題が生じることがなく、しかも、粗面化された熱可塑性樹脂基材が内部歪みを生じることもない、情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
請求項11の発明によれば、プレス面の平均粗さをより狭く規定したので、請求項10の発明における空気が閉じ込められることによる問題、および内部歪みのいずれもが一層生じることがない、情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】情報記録媒体を例示する平面図である。
【図2】従来の情報記録媒体の積層構造中の欠点の生成過程を示す図である。
【図3】本発明の製造方法を示す図である。
【図4】本発明の別の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1 情報記録媒体
2 熱可塑性樹脂基材
3 情報記録用部材
4 空気(凹部)
5 熱板

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂基材の上面を、プレス面が粗面である熱板を用いて行なうか、もしくは、プレス面が平滑面である熱板を、プレス面が粗面である緩衝材を介して行なう第1の熱プレスにより粗面化を行ない、その後、前記熱可塑性樹脂基材の上面に、少なくとも下面が熱接着性である情報記録用部材を重ねて配置し、次いで第2の熱プレスにより、前記熱可塑性樹脂基材の上面に前記情報記録用部材を熱融着させて積層体を形成することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
  2. 前記第2の熱プレスが、プレス面が粗面である熱板を用いて行なうか、もしくは、プレス面が平滑面である熱板を、プレス面が粗面である緩衝材を介して行なう粗面化プレスであることを特徴とする請求項1記載の情報記録体の製造方法。
  3. 前記第2の熱プレスが、プレス面が平滑面である熱板を用いて平滑面化を行なう平滑面化プレスであることを特徴とする請求項1記載の情報記録体の製造方法。
  4. 熱可塑性樹脂基材の上面を、プレス面が平滑面である熱板を用いて行なう第1の熱プレスにより平滑面化を行ない、その後、前記熱可塑性樹脂基材の上面に、少なくとも下面が熱接着性である情報記録用部材を重ねて配置し、次いでプレス面が粗面である熱板を用いて行なうか、もしくはプレス面が平滑面である熱板を、プレス面が粗面である緩衝材を介して行なう第2の熱プレスにより、粗面化を行なうと共に、前記熱可塑性樹脂基材の上面に前記情報記録用部材を熱融着させて積層体を形成することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
  5. 前記第2の熱プレスを行なった後、さらに、プレス面が平滑面である熱板を用いて行なう平滑面化プレスである第3の熱プレスを行なうことを特徴とする請求項4記載の情報記録媒体の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、前記熱可塑性樹脂基材の上面に、前記第1の熱プレスを行なうのに先立って、転写シートを用いた転写印刷法を行なうことを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
  7. 請求項4または請求項5において、前記熱可塑性樹脂基材の上面に、第1の熱プレスを行なうと同時に、転写シートを用いた転写印刷法を行なうことを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項5いずれかにおいて、前記熱可塑性樹脂基材が、上層側の透明シートおよび下層側のシートの少なくとも2層以上のシートと、両シートの間のいずれかのシート側に積層された印刷層もしくは転写層からなることを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
  9. 前記第2の熱プレスにより、前記情報記録部材を前記熱可塑性樹脂基材の上面の一部に埋め込むことを特徴とする請求項1〜請求項8いずれか記載の情報記録媒体の製造方法。
  10. 請求項1〜請求項3いずれかにおける第1のプレスにおいて使用するか、または、請求項2、請求項4、もしくは請求項5いずれかにおける第2の熱プレスにおいて使用する前記熱板の前記プレス面の平均粗さが0.01μm〜100μmであることを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
  11. 前記プレス面が、平均粗さが0.2μm〜1μmであることを特徴とする請求項10記載の情報記録媒体の製造方法。
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