JP3935519B2 - 耐熱性プラスチックカード及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、比較的過酷な環境条件のもとで使用できる耐熱性に優れた、ICカード、キャッシュカード、クレジットカード等のようなプラスチックカードに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般のプラスチックカードは、白色の塩化ビニル樹脂製のコアシートをカードコアとしてこれに予め所望の印刷を施し、磁気ストライプを転写形成した塩化ビニル樹脂製の透明なオーバーシートを前記カードコアに重ね、熱平プレス法によりカードコア及びオーバーシートを融着により積層接着し、更に積層後のシートを所定の寸法に打ち抜くことにより、製造される。
例えば、図4はICカードとしての一例であり、2枚の塩化ビニル樹脂からなるコアシート31a及び31bをカードコアとして、各コアシートに印刷絵柄5を施した後に、その上下に同じく塩化ビニル樹脂からなるオーバーシート21a及び21bを熱平プレスで熱融着により積層接着させてカード基材として、これにICモジュール6を接着剤7で固定し埋設した構造のものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プラスチックカードは磁気カードやICカード等と各種の情報記憶手段を持つものが出現し、それに合わせてこれら携帯用情報記憶媒体としてのプラスチックカードの用途も広範な用途に使われる様になり、さらに今後もその用途が拡大すると期待されている。そして比較的過酷な環境条件下となる用途がある。例えば、有料道路の通行料金の支払いを通信によって自動的に行い料金所をノンストップで通過できるシステムが考えられている。かかるシステムに対応する携帯用情報記憶媒体としてのプラスチックカードは、非接触で料金所のシステムと通信を行える(非接触)ICカードが適している。ところが、従来の塩化ビニル樹脂を用いたカードでは、塩化ビニル樹脂の熱変形温度は高いものでもせいぜい80℃前後であるため、車載用のICカードとして使用した場合、自動車内の特に直射日光を受けるフロントガラス表面やダッシュボード上に装着或いは放置した場合には、100℃以上の高温に長時間さらされることになる。その結果、カード基材が収縮、変形し、所定の寸法規格を満たさなくなり実用に供することができない。
【0004】
また、車載用以外にも耐熱性が要求される用途がある。例えば、工場内の工程管理用のICカード、建設現場における作業管理用の計測データ記録用のICカード等である。
【0005】
以上の様に耐熱性の要求される用途に適するプラスチックカードを得るに当たり、塩化ビニル樹脂よりも耐熱性のあるプラスチックを使用することが考えられる。例えば、熱変形温度が100℃以上のものとして、ポリカーボネート、ポリアリレート、及び、ポリカーボネートとABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリカーボネートとPET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリマーアロイ、或いは、ABSやPET等にガラス繊維を充填したもの等がある。そして、これらの材料の中でも、耐折強度、耐衝撃強度、耐熱性、透明性に優れるポリカーボネートは、耐熱性が要求されるプラスチックカード用として望ましい特性を備えた材料である。しかしながら、ポリカーボネートのような耐熱性プラスチックからなるシートを用いる場合に最も問題となるのは、熱平プレスの際の温度が極めて高く、コアシート同士及びコアシートとオーバーシートとのラミネートが困難であることである。現状の塩化ビニル樹脂シートの熱平プレス温度は120〜150℃であり、例えば、ポリカーボネート製シートを使用して、同様に熱平プレスをする際には、その温度は200℃以上になり、特に、コアシート表面に印刷した絵柄のインキが変色するという問題が生ずる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、以上の問題点を解決し、ポリカーボネートの様な耐熱性プラスチックを使用した耐熱性のあるICカード等のプラスチックカードを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の耐熱性プラスチックカードは、第1に、白色不透明なポリカーボネート樹脂製カードコアの両面に、接着剤層を介して透明なポリカーボネート樹脂製オーバーシートを積層したプラスチックカードであって、該接着剤層が、該ポリカーボネート樹脂よりも低い軟化点を有する熱可塑性樹脂としての透明な飽和ポリエステル樹脂と、熱硬化剤成分としてエポキシ系樹脂と、を有する透明接着シートからなる熱硬化性接着剤により形成されている構成とし、第2に、2枚の白色不透明なポリカーボネート樹脂製カードコアの両面に、接着剤層を介して透明なポリカーボネート樹脂製オーバーシートを積層したプラスチックカードであって、該接着剤層が、該ポリカーボネート樹脂よりも低い軟化点を有する熱可塑性樹脂としての透明な飽和ポリエステル樹脂と、熱硬化剤成分としてエポキシ系樹脂と、を有する透明接着シートからなる熱硬化性接着剤により形成され、前記2枚の白色不透明なポリカーボネート樹脂からなるコアシートが、白色不透明化したシート状の熱硬化性接着剤によりラミネートされている構成とし、第3に、白色不透明なポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂製カードコアの両面に、接着剤層を介して透明なポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂製オーバーシートを積層したプラスチックカードであって、該接着剤層が、該ポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂よりも低い軟化点を有する熱可塑性樹脂としての透明な飽和ポリエステル樹脂と、熱硬化剤成分としてエポキシ系樹脂と、を有する透明接着シートからなる熱硬化性接着剤により形成されている構成とし、第4に、2枚の白色不透明なポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂製カードコアの両面に、接着剤層を介して透明なポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂製オーバーシートを積層したプラスチックカードであって、該接着剤層が、該ポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂よりも低い軟化点を有する熱可塑性樹脂としての透明な飽和ポリエステル樹脂と、熱硬化剤成分としてエポキシ系樹脂と、を有する透明接着シートからなる熱硬化性接着剤により形成され、前記2枚の白色不透明なポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂からなるコアシートが、白色不透明化したシート状の熱硬化性接着剤によりラミネートされている構成とするものである。
【0008】
また、上記耐熱性プラスチックカードにおいて、耐熱性プラスチックカードにICモジュールを埋設する凹部が切削加工され、ICモジュールがシート状の接着剤を介してコアシートに熱圧接着している構成のものでもある。
【0009】
そして、本発明の耐熱性プラスチックカードの製造方法は、多層構造からなる白色不透明なポリカーボネート樹脂製カードコアの両面に、接着剤を介して透明なポリカーボネート樹脂製オーバーシートを積層するプラスチックカードの製造方法であって、白色不透明なポリカーボネート樹脂製カードコア及び透明なポリカーボネート樹脂製オーバーシートを用意し、該ポリカーボネート樹脂よりも低い軟化点を有する飽和ポリエステル樹脂と、熱硬化剤成分としてエポキシ系樹脂を有する透明接着シートからなる熱硬化性接着剤により、コアシート/接着剤/オーバーシートからなる上側シートと、コアシート/接着剤/オーバーシートからなる下側シートの2枚を得、その後、白色不透明化したシート状の熱硬化性接着剤を介して、上側シートのコアシートと、下側シートのコアシートとを重ねて熱プレス機で熱圧をかけて各接着剤を熱硬化させてラミネートするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の耐熱性プラスチックカード及びその製造方法の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の耐熱性プラスチックカードの一実施例であるICカード1の斜視図であり、また図2は図1のA−A線での要部断面図である。図1及び図2に示すICカード1は、耐熱性プラスチックからなる多層構造のカードコア3の両面に印刷絵柄5が施されており、さらにそのカードコア3の表面側には透明な接着剤層4aを介して耐熱性プラスチックからなる透明なオーバーシート2aが、カードコア3の裏面側にも透明な接着剤層4bを介して耐熱性プラスチックからなる透明なオーバーシート2bが、積層されている。多層構造のカードコア3は、耐熱性プラスチックからなる2枚の白色のコアシート3a及び3bを、白色の接着剤層4cを介して積層したものである。
そして、上記各接着剤層4a,4b及び4cは、上記各耐熱性プラスチックよりも低い軟化点を有する熱可塑性樹脂と、熱硬化剤とを有する熱硬化性接着剤により形成されたものである。なお、カードコアが単層の場合は1枚のコアシートからなる。
【0012】
本発明でコアシート及びオーバーシートに用いる耐熱性プラスチックは、例えば、熱変形温度が100℃以上である、ポリカーボネート、ポリアリレート、及び、ポリカーボネートとABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリカーボネートとPET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリマーアロイ、或いは、ABSやPET等にガラス繊維を充填したもの等が挙げられる。なかでも、ポリカーボネートは、耐折強度、耐衝撃強度、耐熱性、透明性に優れる点で好ましい材料の一つである。
なお、本発明では、必要に応じてコアシート及びオーバーシートを別種の耐熱性プラスチックとしても良い。
【0013】
接着剤層4a、4b及び4cとしては、オーバーシート及びコアシートに用いる耐熱性プラスチックの軟化点よりも低い軟化点を有する熱可塑性樹脂と、熱硬化剤とを有する熱硬化性接着剤を用いる。かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。また、熱可塑性樹脂の軟化点は110〜150℃の範囲が好ましい。110℃未満であると、比較的過酷な環境下にカードが放置されたうえ、何らかの外力が加わった場合に接着面でのずれ、剥離が生ずるという心配があり、150℃を越えると目的とする平プレス温度条件範囲内では、樹脂が十分軟化せず、硬化反応も進まないことから接着力が発現しないこととなり好ましくない。
熱硬化剤としては、用いる熱可塑性樹脂の反応基によって、イソシアネート類、エポキシ樹脂、ポリアミン等のアミン系化合物或いはこれらの変性物を使い分ける。例えば、熱可塑性樹脂のポリエステル樹脂にエポキシ樹脂の熱硬化剤、熱可塑性樹脂の共重合ポリエステル樹脂にイソシアネートの熱硬化剤、熱可塑性樹脂のエポキシ樹脂に芳香族ポリアミンの硬化剤等といった具合である。
【0014】
以上のような特定の熱可塑性樹脂と熱硬化剤を用いる熱硬化性の接着剤の適用形態としては、これらを溶剤に溶解した溶液を、或いはフィルム状のものを使用する。
そして、接着剤層4a、4b及び4cとして、上記熱硬化性接着剤の熱硬化物を用いることで、加工時間の短縮と初期接着力の向上、及び接着完了後の高温での接着力の保持性に優れ剥がれにくいカードが得られる。
なお、ここでの熱可塑性樹脂の意味は、上述の説明にも有るように、エポキシ樹脂は一般には熱硬化剤と共に使用される熱硬化性樹脂でもあるが、熱硬化剤が共存しない状態で(或いは熱硬化させる前の状態で)熱可塑性を有する樹脂の意味である。
【0015】
接着剤層4a、4b及び4cの厚みとしては、室温での剥離接着強度(T形剥離)に4kgf/cm以上を確保でき、しかも積層したカード基材にICモジュールの埋設加工を施す際に影響のないコアシートの(総)厚が確保でき、また、熱硬化後の収縮がカードの変形を誘因したり、表面状態に影響しない様にするために、5〜30μmの範囲が好ましい。
【0016】
また、カードの規格である隠蔽性を確保する意味で、コアシートには白色不透明であることが要求されるが、コアシートに用いる耐熱性プラスチックに充分な隠蔽性のある白色不透明のものを用いることができれば不要であるが、そうでない場合には、図2の様に多層構造とするカードコアにおいてコアシートを積層する接着剤層4cに、酸化チタン等の顔料により白色、不透明化した接着剤を、白色不透明のプラスチックシートからなるコアシートと併用することで、カードコアとしての隠蔽性の確保が容易となる。
【0017】
一方、カードコアとオーバーシートとの接着に用いる接着剤層には透明な接着剤を用いる。カードコア表面に形成した印刷絵柄をオーバーシートを透かしてみる場合に、印刷絵柄の色調に影響のない透明性の高いものが好ましい。
【0018】
そして、図2の様な構成の耐熱性プラスチックカードを製造するには、図3に示す様に、コアシート及びオーバーシートを構成する耐熱性プラスチックからなる各シートを、上記した特定の熱硬化性の接着剤を介して重ねて、ステンレス鏡面板49a及び49bで挟み、熱板48a及び48bによる熱平プレスで熱圧をかけて、積層接着させればよい。接着剤がフィルム状であれば、必要に応じてシートと仮止めするなどした上で重ね合わせて熱平プレスをする。熱平プレス条件は、従来公知の塩化ビニル樹脂製の磁気ストライプ付きプラスチックカードの製造条件と同様で良い。
また、接着剤が液状であれば、例えば(印刷絵柄を形成済みの)コアシートにスクリーン印刷法や公知の塗工方法で接着剤を塗工し、このコアシートをオーバーシートと重ねて熱平プレスする。或いは、塗工面はオーバーシート側であっても良い。このように、接着剤が溶液の場合の塗工面は特に限定されない。また、塗工順も特に限定されない。
そして、ICカードの場合には、このようにして得られたカード基材に、さらにICモジュール埋設用の凹部を切削加工した後、該凹部にICモジュールを埋め込み接着剤で固定する。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0020】
《実施例1》
図2の様な構成のICカードを作製すべく、先ず、酸化チタンを添加して白色・不透明化した厚さ0.31mmのポリカーボネート樹脂製の2枚のコアシート3a,3bにそれぞれ絵柄を印刷して印刷絵柄5を形成した。これに、熱可塑性樹脂として融点が114℃で透明な飽和ポリエステル樹脂と、熱硬化剤成分としてエポキシ系樹脂を有する、厚さ30μmの透明接着シートからなる熱硬化性接着剤(4a及び4b)、厚さ50μmの透明なポリカーボネート樹脂製のオーバーシート2a,2bを重ねて四隅を超音波融着により仮止めした。そして、コアシート3a/接着剤(4a)/オーバーシート2aを重ねた上側シートと、コアシート3b/接着剤(4b)/オーバーシート2bからなる下側シートとの2枚を得た。
その後、飽和ポリエステル樹脂に酸化チタンを添加して白色不透明化した厚さ30μmのシート状の熱硬化性接着剤(4c)を介して、上側シートのコアシート3aと下側シートのコアシート3bとを重ね、これを2枚の鏡面仕上げしたステンレス製平板で挟み電熱プレス機で、150℃、10分間、100kg/cm2 の熱圧をかけて各接着剤を熱硬化させてラミネートし、冷却後、規定のカード寸法に抜き加工して厚さ0.80mmのカード基材とした。更に、このカード基材にICモジュールを埋設するための凹部を彫刻機で切削加工し、ICモジュール6を、シート状の接着剤7を介してコアシート3aに熱圧接着し、ICカードを作製した。
【0021】
このようにして作製したICカードを、耐熱性試験として、120℃の熱風循環型のオーブンに1時間保存した後、外形寸法及び厚みの変化を測定したところ、各0.07%及び0.13%であり、塩化ビニル樹脂製カードに比較してはるかに小さい値であり、カード基材に、そり、波打ち等の変形はなく、またカード基材の層間での剥がれ、浮きは全く認められなかった。更に、JIS X−6301の規格に従って、150℃に加熱した流動パラフィン中に5分間浸漬しても、カード基材の層間に間隙が生じることはなく、積層接着性にも問題はなかった。
また、接着力試験として、引っ張り試験機により室温での層間剥離力の評価を行った。多層構造のコアシート間のT形剥離試験では7.6kgf/cmと充分であり、またオーバーシートとコアシート間の剥離試験では、オーバーシートが引き裂かれて、十分な接着力を有していることが確認された。
【0022】
《実施例2》
実施例1と同様な層構成のICカードであるが、用いる接着剤及びその適用方法を以下に様に変えて、実施例2のICカードを作製した。
先ず、各々表面に印刷絵柄5が施されたコアシート3a及び3bに、イソホロンに溶解した軟化点が114℃の共重合ポリエステル樹脂にイソシアネートを前記樹脂固形分に対して10wt%添加し更に着色剤として酸化チタンを添加して白色・不透明化した熱硬化性接着剤を、それぞれのコアシートの印刷面と反対面の表面にスクリーン印刷法により各15g(dry)/m2 の厚みに塗布後熱風乾燥した後、これら各塗布面を内側にして向かい合わせてコアシート3aとコアシート3bとを固定した後、更に各コアシートの表面に、上記熱硬化性接着剤で着色剤を添加せずに透明の接着剤を15g(dry)/m2 の厚みに塗布後熱風乾燥した後、各表面にそれぞれオーバーシート2a及び2bを重ねた。後は、実施例1と同様にして同じ熱圧条件で積層してカード基材とした後、ICモジュールを埋設してICカードを製作した。
【0023】
このICカードを、実施例1と同様に耐熱性試験を行ったところ、基材変形や剥がれ等の問題は生じなかった。また、実施例1と同様の接着力試験では、多層構造のコアシート間では4.2kgf/cm、オーバーシートとコアシート間では、やはりオーバーシートが引き裂かれて、十分な接着力が確認された。
【0024】
《実施例3》
実施例1と同様な層構成のICカードであるが、用いる接着剤及びその適用方法を以下の様に変えて、実施例3のICカードを作製した。
先ず、エポキシ系樹脂とその硬化剤として芳香族ポリアミンを重量比で1:1に混合し更に着色剤で白色不透明化した熱硬化性接着剤を、Tダイコーティングによって印刷絵柄5が施されたコアシート3a及び3bに各15g/m2 塗布後すぐに、塗布面を内側にして向かい合わせてコアシート3aとコアシート3bとを固定した後、更に各コアシートの表面に同様にして上記熱硬化性接着剤で着色剤を添加せずに透明の接着剤を15g/m2 の厚みに塗布した後、各表面にそれぞれオーバーシート2a及び2bを重ねた。後は、実施例1と同様にして同じ熱圧条件で積層してカード基材とした後、ICモジュールを埋設してICカードを製作した。
【0025】
このICカードを、実施例1と同様に耐熱性試験を行ったところ、基材変形や剥がれ等の問題は生じなかった。また、実施例1と同様の接着力試験では、多層構造のコアシート間では4.0kgf/cm、オーバーシートとコアシート間では、やはりオーバーシートが引き裂かれて、十分な接着力が確認された。
【0026】
【発明の効果】
本発明の耐熱性プラスチックカードは、シート材料の優れた耐熱性と熱硬化性接着剤による接着剤層の耐熱性により、耐熱性、高温での寸法安定性に優れたカードが得られ、また外観的にも従来の塩化ビニル樹脂製のカードと何ら違和感がないカードが得られる。そして、例えば100℃以上の比較的過酷な環境下となる、例えば車載用途等のICカードとして使用できる。
【0027】
また、本発明の耐熱性プラスチックカードの製造方法によれば、上記ポリカーボネート等の耐熱性プラスチックで軟化しにくいシートを使用するにもかかわらず、特定の軟化点を持った熱可塑性樹脂と熱硬化剤とを有する熱硬化性の接着剤により、前記シートを接着積層するために、特別な設備を必要とせず、従来と同じ通常の塩化ビニル樹脂製のプラスチックカードの製造に用いる積層装置及び製造条件で、上記耐熱性プラスチックカードの製造ができ、しかも、優れた耐熱性を持つプラスチックカードが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐熱性プラスチックカードの一実施例であるICカードの斜視図。
【図2】図1のICカードのA−A線での断面図。
【図3】本発明の耐熱性プラスチックカードの製造方法(積層工程)を説明する説明図。
【図4】従来の塩化ビニル樹脂のシートを用いたICカードの断面図。
【符号の説明】
1 耐熱性プラスチックカード,ICカード
2a,2b 透明なオーバーシート(耐熱性プラスチック)
3 多層構造のカードコア(耐熱性プラスチック)
3a,3b 白色のコアシート(耐熱性プラスチック)
4a,4b 透明な接着剤層
4c 白色の接着剤層
5 印刷絵柄
6 ICモジュール
7 接着剤
8 カード基材
21a,21b 透明なオーバーシート(塩化ビニル樹脂)
31a,31b 白色のコアシート(塩化ビニル樹脂)
48a,48b 熱板
49a,49b ステンレス鏡面板
Claims (6)
- 白色不透明なポリカーボネート樹脂製カードコアの両面に、接着剤層を介して透明なポリカーボネート樹脂製オーバーシートを積層したプラスチックカードであって、該接着剤層が、該ポリカーボネート樹脂よりも低い軟化点を有する熱可塑性樹脂としての透明な飽和ポリエステル樹脂と、熱硬化剤成分としてエポキシ系樹脂と、を有する透明接着シートからなる熱硬化性接着剤により形成されていることを特徴とする耐熱性プラスチックカード。
- 2枚の白色不透明なポリカーボネート樹脂製カードコアの両面に、接着剤層を介して透明なポリカーボネート樹脂製オーバーシートを積層したプラスチックカードであって、該接着剤層が、該ポリカーボネート樹脂よりも低い軟化点を有する熱可塑性樹脂としての透明な飽和ポリエステル樹脂と、熱硬化剤成分としてエポキシ系樹脂と、を有する透明接着シートからなる熱硬化性接着剤により形成され、前記2枚の白色不透明なポリカーボネート樹脂からなるコアシートが、白色不透明化したシート状の熱硬化性接着剤によりラミネートされていることを特徴とする耐熱性プラスチックカード。
- 白色不透明なポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂製カードコアの両面に、接着剤層を介して透明なポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂製オーバーシートを積層したプラスチックカードであって、該接着剤層が、該ポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂よりも低い軟化点を有する熱可塑性樹脂としての透明な飽和ポリエステル樹脂と、熱硬化剤成分としてエポキシ系樹脂と、を有する透明接着シートからなる熱硬化性接着剤により形成されていることを特徴とする耐熱性プラスチックカード。
- 2枚の白色不透明なポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂製カードコアの両面に、接着剤層を介して透明なポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂製オーバーシートを積層したプラスチックカードであって、該接着剤層が、該ポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂よりも低い軟化点を有する熱可塑性樹脂としての透明な飽和ポリエステル樹脂と、熱硬化剤成分としてエポキシ系樹脂と、を有する透明接着シートからなる熱硬化性接着剤により形成され、前記2枚の白色不透明なポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイ樹脂からなるコアシートが、白色不透明化したシート状の熱硬化性接着剤によりラミネートされていることを特徴とする耐熱性プラスチックカード。
- 耐熱性プラスチックカードにICモジュールを埋設する凹部が切削加工され、ICモジュールがシート状の接着剤を介してコアシートに熱圧接着していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの1の請求項記載の耐熱性プラスチックカード。
- 多層構造からなる白色不透明なポリカーボネート樹脂製カードコアの両面に、接着剤を介して透明なポリカーボネート樹脂製オーバーシートを積層するプラスチックカードの製造方法であって、白色不透明なポリカーボネート樹脂製カードコア及び透明なポリカーボネート樹脂製オーバーシートを用意し、該ポリカーボネート樹脂よりも低い軟化点を有する飽和ポリエステル樹脂と、熱硬化剤成分としてエポキシ系樹脂を有する透明接着シートからなる熱硬化性接着剤により、コアシート/接着剤/オーバーシートからなる上側シートと、コアシート/接着剤/オーバーシートからなる下側シートの2枚を得、その後、白色不透明化したシート状の熱硬化性接着剤を介して、上側シートのコアシートと、下側シートのコアシートとを重ねて熱プレス機で熱圧をかけて各接着剤を熱硬化させてラミネートすることを特徴とする耐熱性プラスチックカードの製造方法。
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