JP2001055587A - 高カロリー燃料油 - Google Patents
高カロリー燃料油Info
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- Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
Abstract
低硫黄燃料油の提供。 【解決手段】 動粘度20cst以下、硫黄分0.3w
t%以下、引火点60℃以上、アニリン点40℃以上、
総発熱量9400kcal/Lの燃料油。混合基材とし
て分解軽油を適量用いることで好適な燃料油を得ること
ができる。
Description
等のいわゆる外燃用燃料油に関する、詳しくは高カロリ
ー燃料油に関するものである。
油はA重油である。A重油は、JIS K 2205の
1種1号又は2号の規定に適合するボイラーや各種炉等
の燃焼機器用、ディーゼルエンジン等の内燃機関用の燃
料として適当な品質を有する燃料油である。一般にA重
油は、ディーゼルエンジン自動車には使用できない品質
となっており、動粘度、硫黄分、残留炭素分、引火点等
が特定されている。通常、A重油あるいはA重油相当燃
料油は常圧蒸留装置より得られる直留軽質軽油(又は脱
硫処理した軽質軽油)、直留灯油(又は脱硫処理した灯
油)、直留重質軽油(又は脱硫処理した重質軽油)の直
留系基材を主体として用い、これに残留炭素付与用の常
圧残油、直脱残油、減圧残油等を混合して10%残油の
残留炭素分が税法上の制限値である0.2重量%を越え
るようにして製造される。
ありA重油またはA重油相当の燃料油の需要の増加に伴
い、重質油を分解等して得られる基材、例えば水素化分
解装置より得られる水素化分解軽油、重油直接脱硫装置
より得られる直脱軽油等を混合して製造することもあ
る。また、流動接触分解装置及び/又は残渣流動接触分
解装置より得られる分解軽油(LCOという)を用いる
ことも行われている(特開昭63−176910号公
報、特開平10−298564号公報、特開平10−2
98565号公報、特開平10−298566号公報、
特開平10−298567号公報、特開平10−298
568号公報)。
質にできるだけ近い燃料油を製造するにあたり、分解軽
油を利用することを目的としており特別に高品質の燃料
油の製造を狙ったものではない。それ故、これらの燃料
油は必ずしも近年の需要家に熱望されている高カロリー
燃料油とは言えず、また、特に分解軽油等の影響による
ゴム膨潤等に配慮した燃料油ではなかった。一般に、直
留系の基材を主体とした燃料油ではゴム膨潤に起因する
問題はほとんど起こらないが高カロリー燃料油は得られ
ず、分解軽油等を不用意に基材に用いると非常にゴム膨
潤性が悪くなり、ゴム材料と接触するような環境下では
使用に耐えなくなってしまう。
な課題を踏まえ、高カロリーで、かつゴム膨潤性の少な
い各種の燃焼機器に適した燃料油を提供することを目的
とする。
結果、本発明を完成したものである。すなわち、本発明
の要旨は下記のとおりである。 (1) 50℃における動粘度が20cst以下、硫黄
分が0.3wt%以下、引火点が60℃以上、アニリン
点が40℃以上であり、かつ総発熱量が9400kca
l/L以上である燃料油。
(1)記載の燃料油。 (3) 炭素/水素の原子比が6.8以上である(1)
または(2)記載の燃料油。 (4) 50℃における動粘度が1.5〜5.5cst
の範囲にあり、蒸留10%残油中の残留炭素が1.5%
以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料油。
(1)〜(4)のいずれかに記載の燃料油。 (6) 分解軽油が脱硫された分解軽油である(5)記
載の燃料油。 (7) 分解軽油の性状が、硫黄分が0.1wt%以
下、密度が0.880g/ml以上、アニリン点が35
℃以上である(5)または(6)記載の燃料油。
量%の範囲にある(5)または(7)記載の燃料油。 (9) 脱硫された分解軽油の混合量が50容量%以上
である(6)または(7)記載の燃料油。 (10) 他の混合基材として重油直接脱硫装置より得
られる直脱軽油、減圧軽油脱硫装置より得られる軽質脱
硫軽油、軽油脱硫脱ろう装置より得られる脱硫脱ろう軽
油から選ばれる少なくとも1種を用いた(5)〜(9)
のいずれかに記載の燃料油。
る動粘度が20cst以下で、硫黄分0.3wt%以下
で、引火点が60℃以上で、アニリン点40℃以上で、
かつ総発熱量が9400kcal/L以上である燃料油
である。本発明の燃料油は総発熱量が高く、かつゴム膨
潤性の指標となるアニリン点が高い燃料油である。燃料
油、特にボイラーや工業炉用の燃料油においては発熱量
の高いことは非常に重要な要素である。通常、燃料油の
総発熱量を高くするには芳香族含有量を増加させる方法
が取られる。芳香族含有量を増加させるには分解軽油や
高沸点留分を基材として用いればよい。しかし、芳香族
含有量を増加させると耐ゴム膨潤性が悪化することが知
られている。現実の燃料油の使用状況を考えるとゴムパ
ッキングや電磁弁中のダイアフラム用のゴムなど燃料油
がゴムと接触する場所は多く、ゴム膨潤性の少ない燃料
油も実用性からは重要な性能である。そこで、発熱量が
高くかつ耐ゴム膨潤性に優れた現実的な燃料油として上
記のようなアニリン点40℃以上で、かつ総発熱量が9
400kcal/L以上である燃料油が好適であること
を見い出し、この製造方法を提供するものである。ま
た、燃料油の硫黄分は0.3%以下、好ましくは0.1
%以下である。燃料油中の硫黄分が少なければそれだけ
燃焼排ガス中の硫黄酸化物は少なくなり好ましい燃料と
なる。また、高カロリー燃料油を要望する需要家はエネ
ルギーの効率的利用を図っている場合が多く、燃焼排ガ
スの温度は出来るだけ低くなるまで利用している。硫黄
分が0.3wt%より高い燃料油を使用して燃焼排ガス
の温度を下げると排ガスの露点が低くなるため燃焼機器
の腐食が問題となる。これを防ぐためには、燃料油の硫
黄分が0.3wt%以下であることが必要である。さら
には、燃料油の硫黄分が0.1wt%以下であることが
特に好適である。
子比が6.8以上、好ましくは6.8〜7.5とする。
炭素/水素の原子比は燃料油の総発熱量の指標となり、
これが大きいほど総発熱量は高くなる傾向にある。しか
し、芳香族含有量とも相関があり、上記範囲が最も好ま
しい。さらに、本発明の燃料油は、通常は50℃におけ
る動粘度が1.5〜5.5cstの範囲、さらには2.
0〜3.0cstの範囲にあり、蒸留10%残油中の残
留炭素が1,5%以下、さらには0.1〜0.6%の範
囲にあることが望ましい。このような性状であれば通常
のA重油の性状範囲にあり、通常の燃焼機器をそのまま
使用できる。特に、小型のA重油用燃焼機器では電磁弁
などにゴムを使用している場合が多く、本発明の燃料油
は高カロリーのメリットを活かして有効に使用できる。
なお、本発明の燃料油は、通常170〜380℃の沸点
範囲にあることが好ましい(10%残留炭素を含む場合
があるので380℃以上の高沸点留分が5%程度あって
もよい。)。また、密度は、通常0.87g/cc以
上、さらには0.88g/cc以上であることが望まし
い。
い基材について説明する。本発明の燃料油基材には分解
軽油(LCO)を使用することが好ましい。分解軽油は
減圧軽油接触分解装置や残油接触分解装置から得られる
軽油留分で芳香族含有量が高く、総発熱量が高い。それ
故、分解軽油を使用することにより総発熱量が高い燃料
油を容易に製造できる。しかし、分解軽油を無制限に使
用すると芳香族含有量が高くなりすぎゴム膨潤性を悪化
させる場合がある。分解軽油の使用量は通常25〜65
容量%、さらには25〜59容量%とすることが好まし
い。また、本発明の燃料油用の混合基材として脱硫され
た分解軽油(脱硫分解軽油)を使用することが好ましい
場合もある(脱硫された分解軽油も分解軽油の一種では
ある。)。脱硫された分解軽油を使用する場合はその混
合比を50容量%以上とすることが好適である。脱硫さ
れた分解軽油は硫黄分が低く、総発熱量が高いので多量
に混合しても本発明の燃料油の性状要件に適合しておれ
ば悪影響はでない。これらの方法により、総発熱量を9
400kcal/L、アニリン点を40℃以上とした燃
料油を容易に製造することができる。
油の硫黄分が0.3wt%より高濃度である場合、また
は製品燃料油の硫黄分を特に低くしたい場合など、必要
に応じて脱硫処理したもの(脱硫分解軽油)を使用する
ことが好適である。通常、混合基材としての分解軽油の
性状としては、水素化脱硫処理等によって硫黄分が0.
1wt%以下、密度が0.880g/ml以上、さらに
は0.885g/ml以上、アニリン点が35℃以上、
さらには40℃以上に調整しておくことが好ましい。
接脱硫装置より得られる直脱軽油、減圧軽油脱硫装置よ
り得られる軽質脱硫軽油、軽油脱硫脱ろう装置より得ら
れる脱硫脱ろう軽油等が挙げられる。これらの基材は通
常水素化脱硫処理された後のものであり、硫黄分が低
く、比較的高沸点留分が多く総発熱量が高く、水素化処
理によりアニリン点が高くなっている。それ故、これら
の基材を分解軽油と混合すると総発熱量を下げずに容易
にアニリン点を上げることができる。これらの基材は通
常は、それぞれ0〜60容量%、さらには0〜30容量
%使用することが好ましい。なお、これらの基材は1種
のみを用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
ば、出来上がりの燃料油が上記性状、品質を満足する範
囲内で好適に使用できる。具体的には直留軽油、脱硫軽
油、重質軽油、脱硫重質軽油、直留灯油、脱硫灯油、常
圧残油、脱硫残油、エクストラクトなどを挙げることが
できる。通常は、直留軽油、脱硫軽油、直留灯油、脱硫
灯油の混合割合は0〜25容量%、さらには0〜15容
量%とすることが好ましい。これらが多すぎると総発熱
量が高くならない。また、常圧残油、脱硫残油、エクス
トラクトは残留炭素量の調整に好都合な基材であるが、
通常は、常圧残油、脱硫残油の混合割合は0.1〜2容
量%、さらには0.1〜1容量%とすることが好まし
い。なお、上記で説明した基材の製造方法、精製方法に
ついてはどのような方法を用いてもよいが、石油精製に
おいて行われている通常の製造方法、精製方法(蒸留、
水素化脱硫など)を用いればよい。分解軽油の脱硫方法
としては、通常の軽油脱硫装置にて軽油脱硫とほぼ同じ
条件で脱硫しても良い。あるいは、通常の軽油と混合し
てこれを上記と同じように脱硫してもよい。また、重質
軽油脱硫装置や重油直接脱硫装置でそれぞれの通常の原
料油に混合してまたは分解軽油単独で脱硫しても良い。
この混合脱硫方法は脱硫軽油、直脱軽油等は本発明の燃
料油の混合基材として好適なものであるので、脱硫前の
脱硫原料段階で未脱硫の軽油等を分解軽油と混合してか
ら同時に脱硫することにより、容易に本発明の燃料油ま
たはその混合基材を製造することができる。たとえば、
通常の重油直接脱硫装置を用いて、常圧残油70vol
%、直留軽油5vol%、分解軽油25vol%の混合
油を原料として、反応温度390℃、水素分圧135kg
/cm2、質量流量8621kg/m2 /hrの反応条件で
反応させることにより、脱硫分解軽油12.8vol
%、直脱軽油19.6vol%を得ることができた例を
挙げることができる。この脱硫分解軽油と直脱軽油の混
合物を本発明の燃料油の基材とすることができる。
質、性状の燃料とすればよい。燃料油の硫黄分、炭素/
水素原子比、粘度、10%残留炭素、引火点等は通常の
方法(蒸留、脱硫、残炭源添加など)で基材の上記性状
を調整したものを混合すればよい。あるいは、基材を混
合した後に混合油の蒸留、脱硫などにより調整してもよ
い。通常は硫黄分の調整は脱硫処理により、粘度、10
%残留炭素、引火点等の調整は蒸留処理により、炭素/
水素原子比、10%残留炭素の調整は基材の混合量調整
により容易にできる。
が、本発明はこれに限定されるものではない。 〔実施例1、2、3及び比較例1、2、3〕表1、2に
示す性状の基材を表3、4に示す容量比に混合して表
5、6に示す燃料油を調製した。調製した燃料油につき
それぞれゴム膨潤テスト、電磁弁テスト、燃焼性テスト
を行い表7に示す結果を得た。
定の温度で12日間保持したのち、その寸法変化を測定
して体積の膨張した割合を体積膨張率として表す。 ・電磁弁テスト方法 電磁弁の移動コアごとに試料油に完全に浸漬し、所定の
温度で12日間保持したのち、コア部の寸法変化を測定
して、100×(コア部の寸法変化(mm))/(コア
部のクリアランス(mm))を閉塞率(%)とする。
用い10日間連続燃焼させ、燃焼状態の以上の有無を目
視で評価した。
膨潤性、燃焼性にも優れていることが判る。一方、比較
例1、3は耐ゴム膨潤性は優れているが発熱量が低い。
また、比較例2は発熱量が高いが耐ゴム膨潤性、燃焼性
が劣っている。
分多くのエネルギーを発生できるのでボイラーや燃焼機
器に有効に適用できる。さらに、本発明の燃料油は発熱
量が高くてもゴムの膨潤性が低く、燃焼機器等に使用さ
れているゴム部品の膨潤を抑えることができ各種の燃焼
機器に適用し易い燃料油である。
Claims (10)
- 【請求項1】 50℃における動粘度が20cst以
下、硫黄分が0.3wt%以下、引火点が60℃以上、
アニリン点が40℃以上であり、かつ総発熱量が940
0kcal/L以上である燃料油。 - 【請求項2】 硫黄分が0.1wt%以下である請求項
1記載の燃料油。 - 【請求項3】 炭素/水素の原子比が6.8以上である
請求項1または2記載の燃料油。 - 【請求項4】 50℃における動粘度が1.5〜5.5
cstの範囲にあり、蒸留10%残油中の残留炭素が
1.5%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の燃
料油。 - 【請求項5】 混合基材として分解軽油を用いた請求項
1〜4のいずれかに記載の燃料油。 - 【請求項6】 分解軽油が脱硫された分解軽油である請
求項5記載の燃料油。 - 【請求項7】 分解軽油の性状が、硫黄分が0.1wt
%以下、密度が0.880g/ml以上、アニリン点が
35℃以上である請求項5または6記載の燃料油。 - 【請求項8】 分解軽油の混合量が25〜65容量%の
範囲にある請求項5または7記載の燃料油。 - 【請求項9】 脱硫された分解軽油の混合量が50容量
%以上である請求項6または7記載の燃料油。 - 【請求項10】 他の混合基材として重油直接脱硫装置
より得られる直脱軽油、減圧軽油脱硫装置より得られる
軽質脱硫軽油、軽油脱硫脱ろう装置より得られる脱硫脱
ろう軽油から選ばれる少なくとも1種を用いた請求項5
〜9のいずれかに記載の燃料油。
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- 1999-07-26 JP JP21038899A patent/JP4049951B2/ja not_active Expired - Fee Related
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