JP2001055372A - セミカルバジド誘導体及び該セミカルバジド誘導体を含有する組成物 - Google Patents

セミカルバジド誘導体及び該セミカルバジド誘導体を含有する組成物

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JP2001055372A JP2000174911A JP2000174911A JP2001055372A JP 2001055372 A JP2001055372 A JP 2001055372A JP 2000174911 A JP2000174911 A JP 2000174911A JP 2000174911 A JP2000174911 A JP 2000174911A JP 2001055372 A JP2001055372 A JP 2001055372A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ポリカルボニル化合物と相溶性が高く、ポリ
カルボニル化合物の硬化剤として有用なセミカルバジド
誘導体またはその末端封鎖体を提供する。 【解決手段】 一般式6のセミカルバジド誘導体または
その末端封鎖体。 [A1 〜A3 は独立してアルキレン基、無置換又はアル
キル基、アルコキシもしくはアルキレン基置換のシクロ
アルキレン基、無置換又はアルキルもしくはアルコキシ
基置換のアリーレン基、或いは無置換又はアルキル基も
しくはアルコキシ基置換のアラルキレン基を表し;Bは
脂肪族/脂環族/芳香族トリオールに由来する、水酸基
のないトリオール残基を表し;i〜kは0〜50の整数
で、(i+j+k)≧1であり、X1 〜X3 は独立して
式3又は4である。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セミカルバジド誘
導体、及び該セミカルバジド誘導体とポリカルボニル化
合物とを含有する被覆用組成物に関する。更に詳細に
は、本発明は、1分子中にイソシアネート基を3〜20
個有するポリイソシアネートと、ヒドラジン又はその誘
導体、或いはその末端非封鎖体と末端封鎖体との混合物
とを反応させることにより得られるセミカルバジド誘導
体またはその末端封鎖体に関する。本発明は又、上記の
セミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体から選ばれる
少なくとも1つを硬化剤として、ポリカルボニル化合物
と組み合わせて用いた被覆用組成物に関する。更に、本
発明は、硬化剤としての上記のセミカルバジド誘導体及
びその末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つと、親水
性基含有化合物及びその末端封鎖体から選ばれる少なく
とも1つとを含有してなる組成物(以下、屡々、“セミ
カルバジド組成物”と称す)にも関し、また、このセミ
カルバジド組成物とポリカルボニル化合物とを含有して
なる被覆用組成物にも関する。
【0002】本発明の被覆用組成物は常温硬化性及び貯
蔵安定性に優れるのみならず、耐水性、耐汚染性、硬
度、強靭性、耐侯性、顔料分散性、光沢保持性、密着
性、防錆性、耐透水性、耐熱性、耐薬品性等の特性に優
れ、特に耐水性、耐汚染性及び硬度に極めて優れた皮膜
を形成するため、塗料、建材の下地処理材又は仕上げ
材、接着剤、感圧性粘着剤、紙加工剤及び編織布の仕上
げ剤として有用である。
【0003】
【従来の技術】近年、コーティング分野において水性エ
マルジョンは、有機溶剤系から水系への転換素材として
注目されているが、有機溶剤系コ−ティング材と比べ耐
水性、耐汚染性、硬度等の点でいまだ充分な物性を示し
ていない。これらの物性を向上させる目的で、水性エマ
ルジョン中に官能基を導入して、架橋重合体よりなる塗
膜(以下、屡々、“架橋塗膜”と称する)を形成させる
ことが一般に行われている。
【0004】該架橋塗膜を形成する水性エマルジョンと
しては、施工性、作業性等から、硬化剤とポリマーを混
合した形であり、且つ、塗布されると、加熱しなくて
も、水性媒体の蒸発に併って硬化皮膜を形成することの
できる一液常温硬化型(cold−curing,one−pack type
)に対する要求が大きく、その要求に対し近年カルボ
ニル基とヒドラジド基の脱水縮合反応を利用したヒドラ
ゾン架橋系水性エマルジョンが注目されている。
【0005】例えば、日本国特公昭46−20053号
公報、日本国特開昭57−3850号公報、日本国特開
昭57−3857号公報、日本国特開昭58−9664
3号公報、日本国特開平4−249587号公報等で
は、カルボニル基含有共重合体水分散液に、硬化剤とし
てジカルボン酸ジヒドラジドを添加することにより、常
温硬化性(cold−curing ability)と貯蔵安定性を兼ね
備え、硬度、耐汚染性等に優れた被覆用組成物を提供す
ることが提案されている。しかし、この方法では、硬化
剤として用いるジカルボン酸ジヒドラジドが、該被覆用
組成物貯蔵の際に加水分解して架橋能力(即ち、硬化特
性)が低下してしまい、優れた硬度、耐汚染性、耐溶剤
性等を有する架橋塗膜を形成する能力が経時的に低下す
るのみならず、上記公報では、ジカルボン酸ジヒドラジ
ドとしてアジピン酸ジヒドラジドのごとき、カルボニル
基含有共重合体との相溶性が低く且つ親水性の高い化合
物を用いているので、得られる架橋皮膜は耐水性が著し
く劣るという欠点があった。
【0006】このように、従来の硬化剤とポリカルボニ
ル化合物を含有する従来の水性被覆用組成物は、硬化特
性が経時的に低下するため、この被覆用組成物を基材表
面に塗布した際に充分な硬化性能を発揮できなかった。
また更に、ポリカルボニル化合物に対する相溶性に劣る
ジカルボン酸ジヒドラジドを硬化剤として用いているた
め、塗布して得られた架橋皮膜の耐水性が非常に悪くな
るという問題がある。従って、常温硬化性と貯蔵安定性
に優れ、耐水性、耐汚染性、硬度等に優れた架橋皮膜を
得ることのできる水性被覆用組成物の開発が望まれてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
ような問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、
(α)イソシアネート基(以下、屡々“NCO基”と称
する)を3〜20個有するポリイソシアネートと、ヒド
ラジン又はその誘導体、或いはその末端非封鎖体と末端
封鎖体との混合物とを反応させて得られるセミカルバジ
ド誘導体及びその末端封鎖体よりなる群から選ばれる少
なくとも1つ、及び(δ)該セミカルバジド誘導体及び
その末端封鎖体よりなる群から選ばれる少なくとも1つ
と、親水性基含有化合物及びその末端封鎖体から選ばれ
る少なくとも1つとを含有してなるセミカルバジド組成
物が、驚くべきことに、ポリカルボニル化合物と高い相
溶性を示すことを知見した。
【0008】更に本発明者らは、上記の(α)セミカル
バジド誘導体及びその末端封鎖体よりなる群から選ばれ
る少なくとも1つか、或いは(δ)該セミカルバジド誘
導体及びその末端封鎖体よりなる群から選ばれる少なく
とも1つと、親水性基含有化合物及びその末端封鎖体か
ら選ばれる少なくとも1つとを含有してなるセミカルバ
ジド組成物を、硬化剤として、ポリカルボニル化合物と
組み合わせて調製した水性被覆用組成物が、驚くべきこ
とに、常温硬化性及び貯蔵安定性に優れるのみならず、
架橋度が極めて高く、硬度、強靭性、耐水性、耐汚染性
等を含む様々な特性に優れており、特に耐水性に関して
は従来の有機溶剤系のコーティング材とほぼ同等である
皮膜を、比較的低温(周囲温度)で形成できることを知
見した。本発明は、上記の知見に基いて完成したもので
ある。
【0009】従って、本発明の1つの目的は、ポリカル
ボニル化合物と高い相溶性を示し、ポリカルボニル化合
物の硬化剤として極めて有用な新規化合勿を提供するこ
とにある。本発明の他の1つの目的は、上記の新規化合
物とポリカルボニル化合物とを含有してなる被覆用組成
物であって、常温硬化性及び貯蔵安定性に優れるのみな
らず、耐水性、耐汚染性、硬度、強靱性、耐侯性、顔料
分散性、光沢保持性、密着性、防錆性、耐透水性、耐熱
性、耐薬品性(例えば耐溶剤性)等の特性に優れ、特に
耐水性、耐汚染性、硬度及び強靱性に極めて優れた皮膜
を、比較的低温で形成することのできる被覆用組成物を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の1つの態様によ
れば、式(1)で表されるセミカルバジド誘導体または
その末端封鎖体が提供される。
【化5】 [式中、R1 は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20の
アルキレンジイソシアネート、置換されていないか或い
は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜8のアルコ
キシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で置換されてい
る炭素数5〜20のシクロアルキレンジイソシアネー
ト、置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキ
ル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている
炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネート、及び置
換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又
は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数
8〜20のアラルキレンジイソシアネートからなる群か
ら選ばれる少なくとも一種のジイソシアネートの3量体
〜20量体オリゴマーに由来する、末端イソシアネート
基を有さないポリイソシアネート残基、もしくはR1
炭素数1〜8のイソシアネートアルキル基で置挽されて
いる炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネートに由
来する、末端イソシアネート基を有さないトリイソシア
ネート残基を表し; R2 は、直鎖状又は分岐状の炭素
数2〜20のアルキレン基、炭素数5〜20のシクロア
ルキレン基、もしくは置換されていないか或いは炭素数
1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基
で置換されている炭素数6〜10のアリーレン基を表
し;各R3 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数
1〜20のアルキル基を表し;nは0又は1であり;そ
してl及びmは、各々0または正の整数であり、但し3
≦(l+m)≦20である。]
【0011】上記式(1)で表されるセミカルバジド誘
導体の末端封鎖体は、式(1)における末端基H2 NR
3 N−の少なくとも1つが、式R9 8 C=NR3 N−
で表される封鎖末端基(式中、R8 、R9 は各々独立し
て水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜20のアル
キル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは
置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基
又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素
数6〜10のアリール基を表し、R8 とR9 は場合によ
っては共同して環状構造を形成していてもよい。) また、本発明の他の1つの態様によれば、上記のセミカ
ルバジド誘導体及びその末端封鎖体からなる群から選ば
れる少なくとも1つ(α)と、式(7)で表される親水
性基含有化合物及びその末端封鎖体からなる群から選ば
れる少なくとも1つ(β)とを含有することを特徴とす
る組成物が提供される。
【0012】
【化6】
【0013】[式中、R4 は、直鎖状又は分岐状の炭素
数2〜20のアルキレンジイソシアネート、置換されて
いないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1
〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で
置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレンジイ
ソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜1
8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換
されている炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネー
ト、及び置換されていないか或いは炭素数1〜18のア
ルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されて
いる炭素数8〜20のアラルキレンジイソシアネートか
らなる群から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネー
トの3量体〜20量体のオリゴマーに由来する、末端イ
ソシアネート基を有さないポリイソシアネート残基を表
し、もしくはR4 は上記ジイソシアネートに由来する、
末端イソシアネート基を有さないジイソシアネート残基
を表し、もしくはR4 は炭素数1〜8のイソシアナトア
ルキル基で置換されている炭素数2〜20のアルキレン
ジイソシアネートに由来する、末端イソシアネート基を
有さないトリイソシアネート残基を表し;R5 は、直鎖
状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数
5〜20のシクロアルキレン基、もしくは置換されてい
ないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1
〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜10の
アリ−レン基を表し;各R6 は、それぞれ独立して、水
素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し;Yは、
非イオン系親水性基、イオン系親水性基及びイオン系親
水性基に転化しうる基よりなる群から選ばれる少なくと
も1つを有する有機基を表し;nは0又は1であり;そ
してp及びqは、各々0または正の整数であり、rは正
の整数であり、0≦(p+q)且つ2≦(p+q+r)
≦20である。]
【0014】上記式(7)で表される化合物の末端封鎖
体は、式(7)における末端基H2NR6 N−の少なく
とも1つが、式R9 8 C=NR6 N−で表される封鎖
末端基を有しており(式中、R8 、R9 は各々独立して
水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜20のアルキ
ル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置
換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又
は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数
6〜10のアリール基を表し、R8 とR9 は場合によっ
ては共同して環状構造を形成していてもよい)、そして
該組成物において、上記成分(α)の上記成分(β)に
対する重量比は99/1〜10/90である。
【0015】また、本発明の更に他の1つの態様によれ
ば、上記のセミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体か
ら選ばれる少なくとも1つ(α)と、カルボニル基含有
ポリウレタン、アセトアセチル化ポリビニルアルコー
ル、アセトアセチル化ヒドロキシアルキルセルロース、
及び(a)カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体
と、(b)該単量体(a)と共重合可能なエチレン性不
飽和単量体とのカルボニル基含共重合体からなる群より
選ばれる1種であるポリカルボニル化合物(γ)、とを
包含する被覆用組成物が提供される。
【0016】また、本発明の更に他の1つの態様によれ
ば、上記の組成物(δ)、並びにカルボニル基含有ポリ
ウレタン、アセトアセチル化ポリビニルアルコ−ル、ア
セトアセチル化ヒドロキシアルキルセルロース、及び
(a)カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体と、
(b)該単量体(a)と共重合可能なエチレン性不飽和
単量体とのカルボニル基含有共重合体からなる群より選
ばれる1種であるポリカルボニル化合物(γ)、を包含
する被覆用組成物が提供される。
【0017】本発明において、上記した、及び後述する
セミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体、親水性基含
有化合物、ビスセミカルバジド、モノケトン、モノアル
デヒド、ヒドラジン及びその誘導体中の末端基及びポリ
エチレングリコールモノアルキルエーテルの式中のR1
〜R11、A1 〜A3 、X1 〜X3 で表される基を置換し
ているアルキル基、及びアルコキシ基のアルキル部は、
直鎖状でもよいし分岐状でもよい。本発明のセミカルバ
ジド誘導体は、1分子中にNCO基を3〜20個有する
ポリイソシアネートをヒドラジン又はその誘導体と反応
させる事によって得ることができる。それに対し、NC
O基を2個持つジイソシアネートをヒドラジン又はその
誘導体と反応させることによって得られる化合物は、被
覆用組成物の硬化剤として用いた場合、架橋能力が低い
ため、強靱でかつ耐水性に優れた皮膜を得ることができ
ない。
【0018】1分子中にNCO基を3〜20個有するポ
リイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート
を、ビウレット結合、尿素結合、イソシアヌレート結
合、ウレタン結合、アロファネート結合、ウレトジオン
結合等を形成することによリオリゴマー化して3量体〜
20量体にしたものが挙げられる。これらのポリイソシ
アネートの製造方法や、ポリイソシアネート中の結合に
関しては、例えば、G・Oertel編、Polyurethane
Handbook (独国 Hanser Publishers出版、1985年)を
参照することができる。
【0019】本発明の、式(1)で表されるセミカルバ
ジド誘導体の製造に用いることのできるジイソシアネー
トは、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレン
ジイソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1
〜18のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は
炭素数1〜6のアルキレン基で置換されている炭素数5
〜20のシクロアルキレンジイソシアネート、置換され
ていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素
数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜2
0のアリーレンジイソシアネート、及び置換されていな
いか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜
8のアルコキシ基で置換されている炭素数8〜20のア
ラルキレンジイソシアネートからなる群から選ばれる少
なくとも一種のジイソシアネートである。
【0020】上記のジイソシアネート類の例としては、
へキサメチレンジイソシアネート(HDI)等のアルキ
レンジイソシアネート;4,4’−メチレンビスシクロ
ヘキシルジイソシアネート(水添MDI)、イソホロン
ジイソシアネート(IPDI)、ジメチルシクロへキサ
ンジイソシアネート(水添XDI)等のシクロアルキレ
ンジイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネートおよびその混合
物(TDIs)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソ
シアネート(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシ
アネート(NDI)、3,3−ジメチル−4,4−ジフ
ェニレンジイソシアネート(TODI)、粗製TDI
s、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、粗製
MDI、フェニレンジイソシアネート等のアリーレンジ
イソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XD
I)等のアラルキレンジイソシアネート等、及びこれら
の併用が挙げられる。
【0021】これらジイソシアネートのうち、これらジ
イソシアネートから得られるセミカルバジド誘導体を硬
化剤として、ポリカルボニル化合物と共に含有する被覆
用組成物より得られる皮膜の耐熱黄変性、耐侯性等の向
上の点からアルキレンジイソシアネート、シクロアルキ
レンジイソシアネートが望ましい。上記したように、こ
れらのジイソシアネート類の少なくとも一種の3量体〜
20量体オリゴマーであるポリイソシアネートをヒドラ
ジン又はその誘導体と反応させて本発明のセミカルバジ
ド誘導体を得る。この場合、式(1)におけるR1は、
末端イソシアネート基を有さない上記ポリイソシアネー
ト残基である。
【0022】更に、本発明のセミカルバジド誘導体は、
上記したポリイソシアネート以外にも、1,8−ジイソ
シアナト−4−イソシアネートメチルオクタンなどの、
炭素数1〜8のイソシアネートアルキル基で置換されて
いる炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネートを、
ヒドラジン又はその誘導体と反応させて得ることもでき
る。この場合、式(1)におけるR1 は、上記のアルキ
レンジイソシアネートに由来する、末端イソシアネート
基を有さないトリイソシアネート残基である。本発明に
おいては、ポリカルボニル化合物との相溶性の観点か
ら、ジイソシアネ−トをオリゴマー化して得られる、1
分子中にNCO基を3〜20個有するポリイソシアネー
トを用いることが好ましい。
【0023】本発明において、上記のポリイソシアネー
トとヒドラジン又はその誘導体との反応により得られる
セミカルバジド誘導体は、多官能となるため、該セミカ
ルバジド誘導体を硬化剤として用いた被覆用組成物は、
高い架橋能力を有し、強靱な皮膜を与えることができ
る。ポリイソシアネート1分子中のNCO基の数が20
を超えると、生成するセミカルバジド基[ここでは、便
宜上、式H2 NRN−C(=O)−NH−(式中、R
は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレン
基、炭素数5〜20のシクロアルキレン基、もしくは置
換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又
は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数
6〜10のアリーレン基を表す)で表される基を「セミ
カルバジド基」と称する]の数が過多になりセミカルバ
ジド誘導体の粘度が高くなるため取り扱いが困難とな
る。従って、本発明で用いるポリイソシアネートの1分
子中のNCO基の数は3〜20個であり、好ましくは3
〜10個である。
【0024】これらのポリイソシアネートのうち、好ま
しいものとしては、例えば、ジイソシアネ−トを触媒の
存在下に環状3量化反応を行い、かつその転化率が約5
〜約80重量%、好ましくは約10〜約60重量%とな
ったときに反応を停止した後、余剰のジイソシアネート
を除去精製して得られる、イソシアヌレート結合を有す
るポリイソシアネート(イソシアヌレート型ポリイソシ
アネート)が挙げられる。これらのイソシアヌレート型
ポリイソシアネートの具体例としては、日本国特開昭5
5−38380号公報等に記載のような、へキサメチレ
ンジイソシアネートに由来するポリイソシアネート、日
本国特開昭57−78460号公報に記載のようなイソ
ホロンジイソシアネートとへキサメチレンジイソシアネ
ートとを共重合して得られるポリイソシアネート、日本
国特開昭57−47321号公報等に記載のような多官
能アルコールで変性されたポリイソシアネート、日本国
特開昭64−33115号公報に記載のような低粘度ポ
リイソシアネート、日本国特願平6−16688号公報
に記載のような高分岐型ポリイソシアネートなどを挙げ
ることができる。
【0025】本発明においては、これらのイソシアヌレ
ート型ポリイソシアネートと、ヒドラジン又はその誘導
体、或いはその末端非封鎖体と末端封鎖体との混合物と
を反応させて得られるセミカルバジド誘導体又はその末
端封鎖体としては、式(1)の化合物においてR1 によ
り表されるポリイソシアネート残基が、上記した少なく
とも一種のジイソシアネートの3量体〜20量体オリゴ
マーの骨格の中で、少なくとも下式(2’)で表される
3量体骨格を含む構造を有するものが好ましい(ヒドラ
ジン又はその誘導体と、セミカルバジド誘導体のそれぞ
れの末端封鎖体については、後で説明する)。
【0026】
【化7】
【0027】[式中、A1 、A2 、A3 は、それぞれ独
立して、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレ
ン基、置換されていないか或いは炭素数1〜18のアル
キル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6
のアルキレン基で置換されている炭素数5〜20のシク
ロアルキレン基、置換されていないか或いは炭素数1〜
18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置
換されている炭素数6〜20のアリーレン基、もしくは
置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基
又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素
数8〜20のアラルキレン基を表す。] 例えば、上記式(2’)で表される3量体骨格を有す
る、ジイソシアネートのイソシアヌレート結合による3
量体と、ヒドラジン又はその誘導体、或いはその末端非
封鎖体と末端封鎖体との混合物とを反応させて得られる
セミカルバジド誘導体又はその末端封鎖体は、下式
(2)で表される。
【0028】
【化8】 [式中、A1 、A2 、A3 は、式(2’)で定義した通
りであリ;そしてX1 、X2 、X3 は、それぞれ独立し
て、式(3)または式(4)で表される基を表す。
【0029】
【化9】 (式中、R2 は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20の
アルキレン基、炭素数5〜20のシクロアルキレン基、
もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜18のア
ルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されて
いる炭素数6〜10のアリーレン基を表し;各R3 は、
それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアル
キル基を表し;nは0又は1である。)
【化10】 (式中、R3 は上で定義した通りである。)
【0030】上記式(2)で表されるセミカルバジド誘
導体の末端封鎖体は、式(3)又は(4)における末端
基H2 NR3 N−に由来する、式R9 8 C=NR3
−で表される少なくとも1つの封鎖末端基を有している
(式中、R8 、R9 は各々独立して水素原子、直鎖状又
は分岐状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜2
0のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或
いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のア
ルコキシ基で置換されている炭素数6〜10のアリール
基を表し、R8 とR9 は場合によっては共同して環状構
造を形成していてもよい。)。
【0031】また、ポリイソシアネートの他の好ましい
例としては、水、t−ブタノール、尿素等のいわゆるビ
ウレット化剤とジイソシアネートとを、ビウレット化剤
/ジイソシアネートのモル比を約1/2〜約1/10
0、好ましくは約1/3〜約1/50で反応させた後、
余剰のジイソシアネートを除去精製して得られるビウレ
ット結合を有するポリイソシアネート(ビウレット型ポ
リイソシアネート)が挙げられる。これらのビウレット
型ポリイソシアネートの具体例としては、日本国特開昭
53−106797号公報、日本国特開昭55−114
52号公報等に記載のような、へキサメチレンジイソシ
アネートに由来するポリイソシアネート、日本国特開昭
59−95259号公報に記載のようなイソホロンジイ
ソシアネートとへキサメチレンジイソシアネートとを共
重合して得られるポリイソシアネート等を挙げることが
できる。
【0032】本発明においては、これらのビウレット型
ポリイソシアネートと、ヒドラジン又はその誘導体、或
いはその末端非封鎖体と末端封鎖体との混合物とを反応
させて得られるセミカルバジド誘導体又はその末端封鎖
体としては、式(1)の化合物においてR1 により表さ
れるポリイソシアネート残基が、上記した少なくとも一
種のジイソシアネートの3量体〜20量体オリゴマーの
骨格の中で、少なくとも下式(5’)で表される3量体
骨格を含む構造を有するものも好ましい。
【0033】
【化11】 [式中、A1 、A2 、A3 は、それぞれ独立して、直鎖
状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレン基、置換さ
れていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素
数1〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン
基で置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレン
基、置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキ
ル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている
炭素数6〜20のアリーレン基、もしくは置換されてい
ないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1
〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数8〜20の
アラルキレン基を表す。]
【0034】例えば、上記式(5’)で表される3量体
骨格を有する、ジイソシアネートのビウレット結合によ
る3量体と、ヒドラジン又はその誘導体、或いはその末
端非封鎖体と末端封鎖体との混合物とを反応させて得ら
れるセミカルバジド誘導体又はその末端封鎖体は、下式
(5)で表される。
【化12】 [式中、A1 、A2 、A3 は、式(5’)で定義した通
りであり;そしてX1 、X2 、X3 は、それぞれ独立し
て、式(3)または式(4)で表される基を表す。]
【0035】
【化13】 (式中、R2 は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20の
アルキレン基、炭素数5〜20のシクロアルキレン基、
もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜18のア
ルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されて
いる炭素数6〜10のアリーレン基を表し;各R3 は、
それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアル
キル基を表し;nは0又は1である。)
【化14】 (式中、R3 は上で定義した通りである。)
【0036】上記式(5)で表されるセミカルバジド誘
導体の末端封鎖体は、式(3)又は式(4)における末
端基H2 NR3 N−に由来する、式R9 8 C=NR3
N−で表される少なくとも1つの封鎖末端基を有してい
る(式中、R8 、R9 は各々独立して水素原子、直鎖状
又は分岐状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜
20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか
或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8の
アルコキシ基で置換されている炭素数6〜10のアリー
ル基を表し、R8 とR9 は場合によっては共同して環状
構造を形成していてもよい。)。
【0037】上記のイソシアヌレート型ポリイソシアネ
ート、及びビウレット型ポリイソシアネートを用いて得
られるセミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体は、ポ
リカルボニル化合物との相溶性が良好である。従って、
ポリカルボニル化合物及び、硬化剤として該セミカルバ
ジド誘導体及びその末端封鎖体よりなる群から選ばれる
少なくとも1つを含有してなる被覆用組成物を基材表面
に塗布した際には、硬度、耐水性、耐薬品性、耐侯性、
耐熱性および外観等に優れた皮膜を得ることができる。
また、本発明に用いるポリイソシアネートの更に他の好
ましい例としては、日本国特開昭61−28518号公
報や日本国特開平4−50277号公報等に記載されて
いるような、ポリカプロラクトンポリオールとジイソシ
アネートとを−NCO/−OHのモル比を約3〜約5
0、好ましくは約5〜約40で反応させた後、余剰のジ
イソシアネートを除去精製して得られる、ウレタン結合
を有するポリイソシアネート(ウレタン型ポリイソシア
ネート)が挙げられる。
【0038】上記のウレタン型ポリイソシアネートを用
いて得られるセミカルバジド誘導体及びその末端封鎖剤
は、ポリカルボニル化合物との相溶性が良好である。従
って、ポリカルボニル化合物及び、硬化剤として該セミ
カルバジド誘導体及びその末端封鎖体よりなる群から選
ばれる少なくとも1つを含有してなる被覆用組成物を基
材表面に塗布した際は、柔軟性に優れた皮膜を得ること
ができる。この場合、特にセミカルバジド誘導体の重量
平均分子量が2,000未満、及び該セミカルバジド誘
導体の末端封鎖体の重量平均分子量が3,000未満の
場合には、硬度、柔軟性、耐水性、耐熱性等に優れた皮
膜を得ることができる。
【0039】本発明においては、これらのウレタン型ポ
リイソシアネートと、ヒドラジン又はその誘導体、或い
はその末端非封鎖体と末端封鎖体との混合物とを反応さ
せて得られるセミカルバジド誘導体又はその末端封鎖体
としては、式(1)の化合物においてR1 により表され
るポリイソシアネート残基が、上記した少なくとも一種
のジイソシアネートの3量体〜20量体オリゴマーの骨
格の中で、少なくとも下式(6’)で表される3量体骨
格を含む構造を有するものも好ましい。
【0040】
【化15】 [式中、A1 、A2 、A3 は、それぞれ独立して、直鎖
状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレン基、置換さ
れていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素
数1〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン
基で置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレン
基、置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキ
ル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている
炭素数6〜20のアリーレン基、もしくは置換されてい
ないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1
〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数8〜20の
アラルキレン基を表し;Bは炭素数1〜20の脂肪族ト
リオール、炭素数5〜20の脂環族トリオール又は炭素
数6〜20の芳香族トリオールに由来する、水酸基を有
さないトリオール残基を表し;そしてi,j及びkはそ
れぞれ0〜50の整数であり、但しi,j及びkは(i
+j+k)≧1の関係を満足する。]
【0041】例えば、上記式(6’)で表される3量体
骨格を有する、ジイソシアネートのウレタン結合による
3量体と、ヒドラジン又はその誘導体、或いはその末端
非封鎖体と末端封鎖体との混合物とを反応させて得られ
るセミカルバジド誘導体又はその末端封鎖体は、下式
(6)で表される。
【化16】 [式中、A1 、A2 、A3 、B及びi、j、kは、式
(6’)で定義した通りであリ;そしてX1 、X2 、X
3 は、それぞれ独立して、式(3)または式(4)で表
される基を表す。]
【0042】
【化17】 (式中、R2 は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20の
アルキレン基、炭素数5〜20のシクロアルキレン基、
もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜18のア
ルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されて
いる炭素数6〜10のアリーレン基を表し;各R3 は、
それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアル
キル基を表し;nは0又は1である。)
【0043】
【化18】 (式中、R3 は上で定義した通りである。) 上記式(6)で表されるセミカルバジド誘導体の末端封
鎖体は、式(3)又は(4)における末端基H2 NR3
N−に由来する、式R8 9 c=NR3 N−で表される
少なくとも1つの封鎖末端基を有している(式中、
8 、R9 は各々独立して水素原子、直鎖状又は分岐状
の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシク
ロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素
数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ
基で置換されている炭素数6〜10のアリール基を表
し、R8 とR9 は場合によっては共同して環状構造を形
成していてもよい。)。
【0044】本発明に用いるヒドラジン又はその誘導体
としては、例えばヒドラジン及びその水和物;モノメチ
ルヒドラジン、モノエチルヒドラジン、モノブチルヒド
ラジン等のモノアルキル置換ヒドラジン化合物;エチレ
ン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒ
ドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン等のジヒド
ラジン化合物;蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジ
ド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、
アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マ
レイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコ
ン酸ジヒドラジド、イソフクル酸ジヒドラジド、フタル
酸ジヒドラジド等のジカルボン酸ジヒドラジド;トリメ
リト酸トリヒドラジド等のトリカルボン酸トリヒドラジ
ド;下式(8)で表される炭酸ジヒドラジド;
【0045】
【化19】 (式中、xは0又は1の整数を表す。) 下式(9)で表されるビスセミカルバジド類;
【化20】 (式中、R7 は直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20のア
ルキレン基、炭素数5〜20のシクロアルキレン基、も
しくは置換されていないか或いは炭素数1〜18のアル
キル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されてい
る炭素数6〜10のアリーレン基を表す。)及びこれ等
の混合物が挙げられる。
【0046】本発明においては、セミカルバジド誘導体
が、ヒドラジン又はその誘導体の鎖延長により高分子化
することを防ぐ目的から、ヒトラジン又はその誘導体
を、下式(10)で表されるモノケトン(例えばアセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロへキサノン等)又はモノアルデヒド(例えばアセト
アルデヒド)等と反応させることにより、ヒドラジン又
はその誘導体の分子の一部の一つの末端基を封鎖し、ヒ
ドラゾン又はその誘導体として用いることもできる。
【化21】R8 9 C=O (10) (式中、R8 、R9 は各々独立して水素原子、直鎖状も
しくは分岐状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5
〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていない
か或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8
のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜10のアリ
ール基を表し、R8 とR9 は場合によっては共同して環
状構造を形成していてもよい。)
【0047】上記の、ヒドラジン又はその誘導体の末端
封鎖体を使用した場合は、少なくとも一つの末端セミカ
ルバジド基が封鎖されてセミカルバジド基となってい
る、セミカルバジド誘導体の末端封鎖体、又はセミカル
バジド誘導体とその末端封鎖体との混合物が得られる。
即ち、本発明のセミカルバジド誘導体の末端封鎖体は、
式(1)における末端基H2 NR3 N−の少なくとも1
つが式R8 9 C=NR3 N−(R3 、R8 及びR9
上に定義した通り)で表される封鎖末端基を有してい
る。
【0048】本発明においては、ポリカルボニル化合物
及びその硬化剤としてのセミカルバジド誘導体を含有す
る被覆用組成物を基材表面に塗布した時、セミカルバジ
ド誘導体のセミカルバジド基と、ポリカルボニル化合物
のカルボニル基との間の架橋が進行することが必要であ
る。従って、架橋度の高い塗膜を形成するためには、セ
ミカルバジド誘導体の末端部の加水分解による、封鎖剤
として用いたモノアルデヒドまたはモノケトンに由来す
る末端封鎖基(R8 9 C=)のモノアルデヒドまたは
モノケトンとしての脱離が必要である。
【0049】上記のセミカルバジド誘導体の末端封鎖
体、並びにセミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体と
の混合物からの、末端部の加水分解による末端封鎖基
(R8 9 C=)のモノケトン又はモノアルデヒドとし
ての脱離は、ポリカルボニル化合物と混合する前に、加
水分解及び留去により行っても良いし、或いは、それら
をそのまま硬化剤として用いた被覆用組成物を調製し
て、塗布後の硬化過程において自然に脱離させてもよ
い。従って、上記封鎖剤としては30〜200℃の沸点
を有するモノケトンが好ましい。
【0050】本発明のセミカルバジド誘導体及びその末
端封鎖体は、ポリイソシアネートと、ヒドラジン又はそ
の誘導体、或いはその末端封鎖体と末端非封鎖体との混
合物とを、ポリイソシアネートのNCO基と、ヒドラジ
ン又はその誘導体中の下式(11)で表される末端基及
びこれに由来する封鎖末端基の合計とのモル比が1:
1.5〜1:100、好ましくは2:5〜2:50とな
るような量比で、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜
60℃の温度で反応させることにより製造する。反応
は、ヒドラジン又はその誘導体の末端基が封鎖されてい
ない場合は瞬時に完了するが、封鎖されているヒドラジ
ン又はその誘導体を用いる場合は、30分〜10時間か
けて反応させる。
【化22】−NR10NH2 (11) (式中、R10は、水素原子または炭素数1〜20のアル
キル基を表す。) 反応完了後は、余剰のヒドラジン又はその誘導体或いは
それらの末端封鎖体は適宜蒸留、抽出等で除去すること
ができる。
【0051】本発明のセミカルバジド誘導体及びその末
端封鎖体の製造のための反応は、溶媒の非存在下又は存
在下のいずれの条件でも行うことができる。溶媒として
は、NCO基に不活性であるか、または反応成分よりも
活性の低いものが使用できる。具体的には、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン等のケトン系溶媒;ジオキサン、テトラヒド
ロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の
エーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミド等のアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリド
ン等のラクタム系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスル
ホキシド系溶媒;酢酸エチル、セロソルブアセテート等
のエステル系溶媒;t−ブタノール、ジアセトンアルコ
ール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素系溶媒;n−へキサン等の脂肪族炭化水素系溶
媒等やその併用が挙げられる。
【0052】これらの溶媒は、ポリイソシアネート/溶
媒の重量仕が0.1/99.9〜99/1、好ましくは
0.1/99.9〜50/50の範囲で用いることがで
きる。本発明によって得られるセミカルバジド誘導体
は、重量平均分子量が2,000未満であることが好ま
しく、また該セミカルバジド誘導体の末端封鎖体は、重
量平均分子量が3,000未満であることが好ましい。
セミカルバジド誘導体又はその末端封鎖体が上記の範囲
より大きな分子量を有すると、該セミカルバジド誘導体
及びその末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つとポリ
カルボニル化合物とを含有する被覆用組成物の皮膜形成
時における架橋度が低くなり、強靱でかつ耐水性に優れ
た皮膜を得ることができなくなる。
【0053】後述するように、ポリカルボニル化合物は
水性媒体中に溶解及び/又は分散しているのが好まし
い。従って、該ポリカルボニル化合物と混合する際の凝
集を防止し、拡散を良好にする観点から、本発明のセミ
カルバジド誘導体又はその末端封鎖体は、水性媒体中へ
の分散及び水性媒体中への溶解よりなる群から選ばれる
少なくとも一つの状態で用いることが好ましい。水性媒
体としては水、又は水とアセトン及び/又はエーテル等
の極性溶媒との混合物を用いることができる。本発明の
セミカルバジド誘導体及び/又はその末端封鎖体は、攪
拌下、水性媒体を添加する方法、あるいは攪拌下、水性
媒体に該セミカルバジド誘導体及び/又はその末端封鎖
体を添加する方法等によって水性媒体に分散及び/又は
溶解させることができる。この際、セミカルバジド誘導
体及び/又はその末端封鎖体の水性媒体中の濃度は、
0.1〜90重量%の範囲にできる。また、式(1)で
表されるセミカルバジド誘導体及び/又はその末端封鎖
体の水性媒体中への分散性、分散安定性や溶解性を補助
する目的で、下式(7)で表される親水性基含有化合物
及びその末端封鎖体からなる群から選ばれる少なくとも
1つを、界面活性剤として、該セミカルバジド誘導体及
びその末端封鎖体からなる群から選ばれる少なくとも1
つとを混合して使用することができる。
【0054】
【化23】
【0055】[式中、R4 は、直鎖状又は分岐状の炭素
数2〜20のアルキレンジイソシアネート、置換されて
いないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1
〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で
置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレンジイ
ソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜1
8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換
されている炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネー
ト、及び置換されていないか或いは炭素数1〜18のア
ルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されて
いる炭素数8〜20のアラルキレンジイソシアネートか
らなる群から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネー
トの3量体〜20量体のオリゴマーに由来する、末端イ
ソシアネート基を有さないポリイソシアネート残基を表
し、もしくはR4 は上記ジイソシアネートに由来する、
末端イソシアネート基を有さないジイソシアネート残基
を表し、もしくはR4 は炭素数1〜8のイソシアネート
アルキル基で置換されている炭素数2〜20のアルキレ
ンジイソシアネートに由来する、末端イソシアネート基
を有さないトリイソシアネート残基を表し;R5 は、直
鎖状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレン基、炭素
数5〜20のシクロアルキレン基、もしくは置換されて
いないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数
1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜10
のアリーレン基を表し;各R6 は、それぞれ独立して、
水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し;Y
は、非イオン系親水性基、イオン系親水性基及びイオン
系親水性基に転化しうる基よりなる群から選ばれる少な
くとも1つを有する有機基を表し;nは0又は1であ
り;そしてP及びqは、各々0または正の整数であり、
rは正の整数であり、0≦(p+q)且つ2≦(p+q
+r)≦20である。]。
【0056】上記式(7)で表される化合物の末端封鎖
体は、式(7)における末端基H2NR6 N−の少なく
とも1つが式R8 9 C=NR6 N−で表される封鎖末
端基を有しており(式中、R8 、R9 は各々独立して水
素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換
されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は
炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6
〜10のアリール基を表し、R8 とR9 は場合によって
は共同して環状構造を形成していてもよい。)。
【0057】即ち、式(1)で表されるセミカルバジド
誘導体及びその末端封鎖体からなる群から選ばれる少な
くとも1つ(α)と、式(7)で表される親水性基含有
化合物及びその末端封鎖体からなる群から選ばれる少な
くとも1つ(β)とを含有するいわゆるセミカルバジド
組成物を、ポリカルボニル用硬化剤として有利に用いる
ことができる。この本発明のセミカルバジド組成物は、
上記したようにポリカルボニル化合物と混合しやすいよ
うに、水性媒体中への分散及び水性媒体中への溶解から
なる群から選ばれる少なくとも一つの状態であることが
好ましい。
【0058】本発明のセミカルバジド誘導体及びその末
端封鎖体には、場合によっては、上記した式(7)で表
される親水性基含有化合物及びその末端封鎖体以外の、
他の界面活性剤を加えてもよい。このような界面活性剤
の例としては、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸、アル
キルコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポ
リオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩等のアニオン
性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルアリールエ
ーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマ
ー、エチレンオキサイドとリン酸類との公知の反応生成
物等のノニオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩等を
含有するカチオン性界面活性剤、(部分鹸化)ポリビニ
ルアルコール等の高分子分散安定剤等やそれらの混合物
が挙げられる。
【0059】しかし、界面活性剤としては、式(7)で
表される親水性基含有化合物及びその末端封鎖体が、セ
ミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体との親和性が高
いので特に好ましい。そして、特に、式(1)で表され
るセミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体からなる群
から選ばれる少なくとも一つ(α)と、式(7)で表さ
れる親水性基含有化合物及びその末端封鎖体からなる群
から選ばれる少なくとも一つ(β)とを含有するセミカ
ルバジド組成物であって、成分(α)の成分(β)に対
する重量比が10/90〜99/1の範囲内の組成物
を、ポリカルボニル化合物用の硬化剤として用いると、
特に安定で硬化性能に優れた被覆用組成物が得られる。
本発明の、式(7)で表される親水性基含有化合物及び
その末端封鎖体は、セミカルバジド基を有さない親水性
基含有化合物と、セミカルバジド基及び親水性基含有化
合物とに分類することができる。
【0060】セミカルバジド基を有さない親水性基含有
化合物又はその末端封鎖体は、1分子中にNCO基を3
〜20個有するところの、ジイソシアネートの3量体〜
20量体オリゴマーであるポリイソシアネート、1分子
中にNCO基を3個有する、炭素数1〜8のイソシアネ
ートアルキル基で置換されている炭素数2〜20のアル
キレンジイソシアネート(トリイソシアネート)、又は
上記ポリイソシアネートのオリゴマー化に用いるのと同
じジイソシアネートそのものを、非イオン系親水性基、
イオン系親水性基及びイオン系親水性基に転化しうる基
よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基(以下、屡
々、単に「親水性基」と称す)を有する活性水素含有化
合物とを反応させて製造する。〔上記のジイソシアネー
トを活性水素含有化合物と反応させた場合は、得られる
セミカルバジド基を有さない親水性基含有化合物のR4
は2価となる。〕本発明においては、セミカルバジド基
を有さない親水性基含有化合物又はその末端封鎖体を用
いることができる。しかし、耐水性の高い皮膜を得る観
点から、セミカルバジド基を有さない親水性基含有化合
物又はその末端封鎖体と、更にヒドラジン又はその誘導
体、或いはその末端非封鎖体と末端封鎖体との混合物と
を反応させて得られる、セミカルバジド基及び親水性基
含有化合物を用いるのが好ましい。
【0061】これらジイソシアネートとしては、上記し
た、式(1)で表されるセミカルバジド誘導体及びその
末端封鎖体の製造に用いるのと同じジイソシアネートを
用いることができる。即ち、直鎖状又は分岐状の炭素数
2〜20のアルキレンジイソシアネート、置換されてい
ないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜
8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で置
換されている炭素数5〜20のシクロアルキレンジイソ
シアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜18
のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換さ
れている炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネー
ト、並びに置換されていないか或いは炭素数1〜18の
アルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換され
ている炭素数8〜20のアラルキレンジイソシアネート
からなる群から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネ
ートを用いることができる。
【0062】本発明の、式(1)で表されるセミカルバ
ジド誘導体及びその末端封鎖体よりなる群から選ばれる
少なくとも1つ(α)と、式(7)で表される親水性基
含有化合物及びその末端封鎖体よりなる群から選ばれる
少なくとも1つ(β)とを含有してなるセミカルバジド
組成物を得る具体的方法としては、例えば以下に述べる
2通りの方法を挙げることができる。しかし、これらの
方法には限定されない。 方法〔I〕:成分(α)と成分(β)との混合物を単一
の反応系にて得る方法、及び 方法〔II〕:成分(β)のみをまず得、別途調製した
成分(α)と混合する方法。 上記の各方法は、組み合わせて実施してもよい。
【0063】まず、以下に方法〔I〕について具体的に
説明する。方法〔I〕においては、上記のポリイソシア
ネート又はイソシアネートアルキル基で置換されている
ジイソシアネート(トリイソシアネート)と、上記した
親水性基を有する活性水素含有化合物とを、NCO基と
親水性基のモル比が1.1/1〜500/1、好ましく
は2/1〜100/1となる量で、実質的に無水の条件
下で、約0℃〜約130℃、好ましくは約20℃〜約1
00℃の温度で、約30分〜約10時間かけて反応させ
(反応1)、得られる反応生成物と、ヒドラジン又はそ
の誘導体、或いはその末端非封鎖体と末端封鎖体との混
合物とを、上記した式(1)で表されるセミカルバジド
誘導体を製造する際の、ポリイソシアネートとヒドラジ
ン又はその誘導体の反応と実質的に同様の条件で反応さ
せる(反応2)ことにより、上記成分(α)と成分
(β)を含有するセミカルバジド組成物を単一の反応系
で得ることができる。
【0064】これらの反応は、溶媒の非存在下又は存在
下で行なうことができる。溶媒としては、NCO基に不
活性であるか、または反応成分よりも活性の低いものが
使用できる。上記溶媒の具体例としては、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロへ
キサノン等のケトン系溶媒;ジオキサン、テトラヒドロ
フラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエ
ーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド等のアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン
等のラクタム系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホ
キシド系溶媒;酢酸エチル、セロソルブアセテート等の
エステル系溶媒;t−ブタノール、ジアセトンアルコー
ル等のアルコール類;トルエンキシレン等の芳香族炭化
水素系溶媒;n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒等
やその併用が挙げられる。
【0065】これらの溶媒は、(反応1における)ポリ
イソシアネート又はトリイソシアネート/溶媒の重量
比、及び(反応2における)ポリイソシアネート又はト
リイソシアネートと活性水素含有化合物との反応生成物
/溶媒の重量比が、0.1/99.9〜99/1、好ま
しくは0.1/99.9〜50/50の範囲となるよう
にして用いることができる。また上記反応は、適宜触媒
を使用して行うことができる。触媒の具体例としては、
ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸第一錫、オクチル
酸鉛等の金属と有機及び無機酸の塩、及び有機金属誘導
体;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の有機
3級アミン;ジアザビシクロウンデセン系触媒等が挙げ
られる。
【0066】方法〔I〕に用いる親水性基、即ち非イオ
ン系親水性基、イオン系親水性基及びイオン系に転化し
うる基よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有
する活性水素含有化合物のうち、非イオン系親水性基を
有する化合物の例としては、下記の式(12)で表され
るポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、並び
にポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン−オキ
シプロピレン(ランダムおよび/またはブロック)グリ
コール、ポリオキシエチレン−オキシテトラメチレン
(ランダムおよび/またはブロック)グリコール等のポ
リエーテルポリオール等が挙げられる。
【0067】
【化24】 (式中、R11は炭素数1〜25のアルキル基を表し、n
は5〜80の整数を表す。)
【0068】これらのうち、ポリエーテルまたはポリオ
ールは、ポリイソシアネートと共に鎖延長反応を起こし
て高分子量化を招く傾向があるので、ポリエチレングリ
コールモノアルキルエーテルを用いるのが好ましい。イ
オン系親水性基を有する活性水素含有化合物としては、
アニオン基を有する活性水素含有化合物であるカルボン
酸又はスルホン酸、或いはそれらのアミン化合物との塩
又はそれらのアルカリ金属塩等が好ましい例として挙げ
られ、また、カチオン基を有する活性水素含有化合物で
あるオニウム塩等が好ましい例として挙げられる。
【0069】アニオン基を有する活性水素含有化合物と
しては、例えば、アニオン基に転化することが可能な酸
基を有する活性水素含有化合物を、上記したセミカルバ
ジド組成物の合成時か、又はセミカルバジド組成物を水
性媒体中へ分散及び/又は溶解させる際に塩基で中和す
ることにより、その酸基をアニオン基に転化して調製し
たものが挙げられる。中和は、セミカルバジド組成物を
水性媒体中へ分散及び/又は溶解させる際に行うのが好
ましい。
【0070】アニオン基に転化することが可能な酸基を
有する活性水素含有化合物としては、例えば乳酸、グリ
コール酸、4−ヒドロキシ酪酸、p−フェノールカルボ
ン酸等のモノヒドロキシカルボン酸;グリシン、アラニ
ン、アスパラギン酸、β−アラニン等のアミノ酸;p−
フェノールスルホン酸等のモノヒドロキシスルホン酸;
タウリン等のアミノスルホン酸等や、これらの併用、並
びにα,α’−ジメチロールプロピオン酸、α,α’−
ジメチロール酢酸等のα,α’−ジメチロールアルカン
酸が挙げられる。これらのうち、α,α’−ジメチロー
ルアルカン酸はポリイソシアネートと共に鎖延長反応を
起こして高分子量化を招く傾向があるので、上記したモ
ノヒドロキシカルボン酸、アミノ酸、モノヒドロキシス
ルホン酸、アミノスルホン酸又はそれらの併用が好まし
い。上記のアニオン基に転化することが可能な酸基を有
する活性水素含有化合物の酸基を中和するのに使用可能
な塩基としては、例えばトリエチルアミン、アンモニ
ア、ジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、
メチルジエタノールアミン、ジブチルアミン等のアミン
化合物;KOH、NaOH、LiOH等のアルカリ金属
の水酸化物;及びこれらの併用が挙げられる。
【0071】カチオン基を有する活性水素含有化合物と
しては、例えば、カチオン基に転化することが可能な塩
基を有する活性水素含有化合物を、上記したセミカルバ
ジド組成物の合成時か、又はセミカルバジド組成物を水
性媒体中へ分散及び/又は溶解させる際に酸基で中和す
ることにより、その塩基をカチオン基に転化して調製し
たものが挙げられる。また3級アミノ基を有する活性水
素含有化合物の場合は、上記したセミカルバジド組成物
の合成時か、又はセミカルバジド組成物を水性媒体中へ
分散及び/又は溶解させる際に、3級アミノ基をアルキ
ル化剤で4級化することによリカチオン基に転化して、
カチオン基を有する活性水素含有化合物を得ることがで
きる。中和は、セミカルバジド組成物を水性媒体中へ分
散及び/又は溶解させる際に行うのが好ましい。
【0072】カチオン基に転化することが可能な塩基を
有する活性水素含有化合物としては、例えばN−メチル
ジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン等
のN−アルキルジアルカノールアミンや、それらの炭素
数2〜4のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プ
ロピレンオキシド等)付加物、N,N−ジメチルエタノ
ールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等の
N.N−ジアルキルモノアルカノールアミン等、及びこ
れらの併用が挙げられる。これ等のうち、特にN,N−
ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノー
ルアミン等のN,N−ジアルキルモノアルカノールアミ
ンが好ましい。これらの活性水素含有化合物の塩基を中
和するのに使用可能な酸としては、例えば酢酸、乳酸、
塩酸、リン酸、硫酸及びこれらの併用が挙げられる。ま
た、アルキル化剤としては、例えばジメチル硫酸、ジエ
チル硫酸、メチルクロライド、メチルアイオダイド、ベ
ンジルクロライド等が挙げられる。
【0073】次に、方法〔II〕について具捧的に説明
する。上記したように、方法〔II〕においては、式
(7)で表される親水性基含有化合物及びその末端封鎖
体よりなる群から選ばれる少なくとも1つ(β)のみを
まず得てから、別途調製した式(1)で表されるセミカ
ルバジド誘導体及びその末端封鎖体よりなる群から選ば
れる少なくとも1つ(α)と混合する。まず、成分
(β)を得るための具体的方法としては、例えば、1分
子中にNCO基を2個有するジイソシアネートと、非イ
オン系親水性基、イオン系親水性基及びイオン系に転化
しうる基よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基
(親水性基)を有する活性水素含有化合物を、NCO基
の親水性基に対するモル比が1/1〜10/1になるよ
うな量比で反応させた後、ヒドラジン又はその誘導体と
反応させる方法、及び1分子中にNCO基を3〜20個
有するポリイソシアネート又は1分子中にNCO基を3
個有するトリイソシアネートと、非イオン系親水性基、
イオン系親水性基及びイオン系に転化しうる基よりなる
群から選ばれる少なくとも1つの基(親水性基)を有す
る活性水素含有化合物とを、NCO基の親水性基に対す
るモル比が0.1/1〜1.1/1になるような量比で
反応させた後、ヒドラジン又はその誘導体と反応させる
方法、などが挙げられる。
【0074】方法〔II〕において、1分子中にNCO
基を3〜20個有するポリイソシアネート及び1分子中
にNCO基を3個有するトリイソシアネートとしては、
式(1)で表されるセミカルバジド誘導体及びその末端
封鎖体の製造に用いるのと同じポリイソシアネート及び
トリイソシアネートを用いることができ、また、1分子
中にNCO基を2個有するジイソシアネートとしては、
ポリイソシアネートの合成に用いるジイソシアネートを
用いることができる。上記の2通りの方法で得られる異
なる2種の成分(β)は、それぞれ単独で成分(α)と
混合してもよいし、またその両方を成分(α)と混合し
ても良い。
【0075】方法〔II〕に用いる非イオン系親水性
基、イオン系親水性基及びイオン系に転化しうる基より
なる群から選ばれる少なくとも1つの基(親水性基)を
有する活性水素含有化合物としては、上記の〔I〕の方
法に用いるのと同じものが使用できる。方法〔II〕で
は、まず、1分子中にNCO基を2個有するジイソシア
ネート、1分子中にNCO基を3〜20個有するポリイ
ソシアネート又は1分子中にNCO基を3個有するトリ
イソシアネートと、非イオン系親水性基、イオン系親水
性基及びイオン系に転化し得る基よりなる群から選ばれ
る少なくとも1つの基(親水性基)を有する活性水素含
有化合物との反応を、方法〔I〕と同様の反応条件下に
て行う。上記の反応は、溶媒の非存在下または存在下
で、所望により触媒を使用して行うことができる。溶媒
及び触媒としては、方法〔I〕に用いるのと同じものが
使用できる。
【0076】次いで、得られる反応生成物と、ヒドラジ
ン又はその誘導体、或いはその末端封鎖体と末端非封鎖
体との混合物とを、該反応生成物中のNCO基の、ヒド
ラジン又はその誘導体中の末端基及びこれに由来する末
端封鎖基に対するモル比が1:1.5〜1:100、好
ましくは2:5〜2:50になるような量比で、上記し
た式(1)で表されるセミカルバジド誘導体又はその末
端封鎖体を製造する際の、ポリイソシアネートとヒドラ
ジン又はその誘導体、或いはその末端封鎖体と末端非封
鎖体との混合物との反応に用いる条件と実質的に同様の
条件下で反応させることにより、成分(β)を得る。
【0077】かくして得られた成分(β)と、別途調製
した成分(α)とを、(α)/(β)の重量比が10/
90〜99/1になるよう混合することにより本発明の
セミカルバジド組成物を得ることができる。上記の方法
[I]又は方法[II]によって得られる本発明のセミ
カルバジド組成物は、攪拌下、水性媒体を添加する方
法、あるいは攪拌下、水性媒体に該セミカルバジド組成
物を添加する方法等によって水性媒体に分散及び/又は
溶解させることができる。その際、セミカルバジド組成
物の水性媒体中の濃度は、0.1〜90重量%の範囲に
できる。また、所望であれば、セミカルバジド組成物の
分散性や分散安定性を補助する目的で上記した界面活性
剤を用いてもよい。
【0078】本発明のセミカルバジド誘導体及びその末
端封鎖体からなる群から選ばれる少なくとも1つ(α)
並びにセミカルバジド組成物(δ)は、ポリカルボニル
化合物(γ)との相溶性に優れているため、ポリカルボ
ニル化合物(γ)及び、その硬化剤として該セミカルバ
ジド誘導体及びその末端封鎖体からなる群から選ばれる
少なくとも1つ(α)或いはいわゆるセミカルバジド組
成物(δ)を含有してなる被覆用組成物は、常温硬化性
や貯蔵安定性に優れるのみならず、従来では達し得なか
った硬度、耐水性、耐汚染性等の様々な特性に優れた皮
膜を形成することができる。
【0079】本発明においては、上記のセミカルバジド
誘導体及びその末端封鎖体からなる群より選ばれる少な
くとも1つ(α)或いは上記のセミカルバジド組成物
(δ)と、カルボニル基含有ポリウレタン、アセトアセ
チル化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ヒドロ
キシアルキルセルロース、及び(a)カルボニル基含有
エチレン性不飽和単量体0.1〜30重量%と、(b)
該単量体(a)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体
70〜99.9重量%とのカルボニル基含有共重合体か
らなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するポリカ
ルボニル化合物(γ)を混合することにより、常温硬化
性や貯蔵安定性に優れるのみならず、硬度、耐水性、耐
汚染性等の様々な特性に優れた皮膜を形成することので
きる被覆用組成物を得ることができる。
【0080】本発明の被覆用組成物においては、成分
(α)又は成分(δ)と成分(γ)との重量比が0.1
/99.9〜90/10であることが好ましく、0.5
/99.5〜30/70であることが更に好ましい。ポ
リカルボニル化合物(γ)に関しては、例えば、日本国
特開平2−238015号公報に記載されているヒドロ
キシアセトン等のカルボニル基を有するモノ及び/また
はポリアルコールから製造できるカルボニル基含有ポリ
ウレタンを用いることができる。アセトアセチル化ポリ
ビニルアルコール及びアセトアセチル化ヒドロキシアル
キルセルロースの製造に関しては、例えば、「新実験化
学講座」第14巻(1977年、日本国丸善株式会社よ
り出版)を参照することができる。また、アセトアセチ
ル化ポリビニルアルコールの具体例として、Gohsefimer
−2 (日本国日本合学化学工業株式会社)を挙げること
ができる。
【0081】本発明の被覆用組成物においては、成分
(γ)が、(a)カルボニル基含有エチレン性不飽和単
量体0.1〜30重量%と、(b)該単量体(a)と共
重合可能なエチレン性不飽和単量体70〜99.9重量
%とのカルボニル基含有共重合体であることが好まし
い。カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体(a)の
例としては、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセト
ンメタクリルアミド、アクロレイン、ビニルメチルケト
ン、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトア
セトキシエチルアクリレート、ホルミルスチロール等、
及びその併用が挙げられる。
【0082】本発明において、単量体(a)と共重合可
能なエチレン性不飽和単量体(b)としては、アクリル
酸エステル、メタクリル酸エステル、カルボキシル基を
有するエチレン性不飽和単量体、アクリルアミド系単量
体、メタクリルアミド系単量体、シアン化ビニル等が挙
げられる。上記の(メタ)アクリル酸エステルの例とし
ては、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル、アルキル部の炭素数が1〜18
の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エ
チレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキ
シエチレンモノ(メタ)アクリレート、プロピレンオキ
サイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレ
ンモノ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の
数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)
アクリレート等が挙げられる。
【0083】(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具
体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸メチルシクロへキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル
等が挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキ
ルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−
ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ
プロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロへ
キシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシドデシル等が挙
げられる。
【0084】(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アク
リレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸エチレ
ングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレング
リコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、
メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、
(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキ
シ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙
げられる。(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アク
リレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸プロピ
レングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレ
ングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコ
ール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコ
ール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコー
ル、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリ
コール等が挙げられる。
【0085】(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリ
レートの具体例としては、ジ(メタ)アクリル酸エチレ
ングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコ
ール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコー
ル、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等
が挙げられる。カルボキシル基を有するエチレン性不飽
和単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸及びその半エス
テル、クロトン酸などがあり、(メタ)アクリルアミド
系単量体の具体例としては、例えば(メタ)アクリルア
ミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブ
トキシメチル(メタ)アクリルアミドなどがあり、ま
た、シアン化ビニルの具体例としては、例えば(メタ)
アクリロニトリルなどがある。
【0086】単量体(a)と共重合可能なエチレン性不
飽和単量体(b)の他の具体例としては、例えばエチレ
ン、プロピレン、イソブチレン等のオレフイン;ブタジ
エン等のジエン;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロ
オレフイン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪
酸ビニル、安息香酸ビニル、P−t−ブチル安息香酸ビ
ニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルへキサン酸ビニ
ル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカル
ボン酸ビニルエステル;酢酸イソプロペニル、プロピオ
ン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエス
テル;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテ
ル、シクロへキシルビニルエーテル等のビニルエーテ
ル;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合
物;酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル;
アリルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ア
リルフェニルエーテル等のアリルエーテル;γ−(メ
タ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン;4−
(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6,−テト
ラメチルピペリジン;4−(メタ)アクリロイルオキシ
−1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジン;パ
ーフルオロメチル(メタ)アクリレート;パーフルオロ
プロピル(メタ)アクリレート;パーフルオロプロピル
メチル(メタ)アクリレート;ビニルピロリドン;トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;(メ
タ)アクリル酸グリシジル;(メタ)アクリル酸2,3
−シクロへキセンオキサイド;(メタ)アクリル酸アリ
ル等やそれらの併用が挙げられる。
【0087】本発明の被覆用組成物は、水性媒体中への
分散及び水性媒体中への溶解からなる群より選ばれる少
なくとも一つの状態であることが好ましい。本発明の被
覆用組成物が、成分(α)と成分(γ)との水性媒体中
への分散及び溶解からなる群より選ばれる少なくとも1
つの状態で提供される場合には、該被覆用組成物は、そ
れぞれが水性媒体中への分散及び水性媒体中への溶解か
らなる群より選ばれる少なくとも1つの状態である成分
(α)と成分(γ)とを混合することにより得られたも
のであって、且つ成分(α)と成分(γ)の合計が、該
被覆用組成物の分散液及び/又はその溶液の重量に対し
て0.1〜70重量%の範囲にあることが好ましい。混
合する成分(α)の分散液及び/又は溶液においては、
成分(α)が、その分散液及び/又はその溶液の重量に
対して0.1〜90重量%の範囲にあることが好まし
い。また、混合する成分(γ)の分散液及び/又は溶液
においては、成分(γ)が、その分散液及び/又はその
溶液の重量に対して0.1〜70重量%の範囲にあるこ
とが好ましい。
【0088】同様に、本発明の被覆用組成物が、成分
(δ)と成分(γ)との水性媒体中への分散及び/又は
溶解からなる群より選ばれる少なくとも1つの状態で提
供される場合は、該被覆用組成物は、それぞれが水性媒
体中への分散及び水性媒体中への溶解からなる群より選
ばれる少なくとも1つの状態である成分(δ)と成分
(γ)とを混合することにより得られたものであって、
且つ成分(δ)と成分(γ)の合計が、該被覆用組成物
の分散液及び/又はその溶液の重量に対して0.1〜7
0重量%の範囲にあることが好ましい。混合する成分
(δ)の分散液及び/又は溶液においては、成分(δ)
が、その分散液及び/又はその溶液の重量に対して0.
1〜70重量%の範囲にあることが好ましい。また、混
合する成分(γ)の分散液及び/又は溶液において、成
分(γ)が、その分散液及び/又はその溶解液の重量に
対して0.1〜70重量%の範囲にあることが好まし
い。
【0089】上記の成分(α)と成分(γ)の分散液及
び/又は溶液、及び上記の成分(δ)と成分(γ)の分
散液及び/又は溶液のいずれにおいても、成分(γ)
が、(a)カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体
0.1〜30重量%と、(b)該単量体(a)と共重合
可能なエチレン性不飽和単量体70〜99.9重量%と
のカルボニル基含有共重合体であることが好ましい。本
発明においては、上記の分散液及び/又は溶液中の成分
(γ)としてのカルボニル基含有共重合体は、(a)カ
ルボニル基含有エチレン性不飽和単量体と、(b)該単
量体(a)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体との
懸濁重合、乳化重合及び溶液重合からなる群より選ばれ
る少なくとも1つの方法によって得られたものであるこ
とが好ましく、そのなかでも、乳化重合によって得られ
るラテックスであることが特に好ましい。
【0090】更に本発明においては、(a)カルボニル
基含有エチレン性不飽和単量体と、(b)該単量体
(a)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重
合を、スルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体及
びスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体から
なる群より選ばれる少なくとも1つの(c)乳化剤の存
在下において行うのが特に好ましい。本発明において、
スルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体及びスル
ホネート基を有するエチレン性不飽和単量体からなる群
より選ばれる少なくとも1つの乳化剤(c)は、ラジカ
ル重合性の二重結合を有し、かつスルホン酸基又はその
アンモニウム塩かアルカリ金属塩である基(アンモニウ
ムスルホネート基、又はアルカリ金属スルホネート基)
を有する化合物であることが好ましい。
【0091】これらのうち、ラジカル重合性の二重結合
を有し、かつスルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウ
ム塩またはカリウム塩である基により置換された炭素数
1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテ
ル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基、炭素数
6または10のアリール基及びコハク酸基からなる群よ
り選ばれる置換基を有する化合物であるか、スルホン酸
基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩で
ある基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネ
ート化合物であることがさらに好ましい。スルホン酸基
のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩であ
る基により置換されたコハク酸基を有する化合物の具体
例として、アリルスルホコハク酸塩、たとえば、式(1
6)、(17)、(18)、(19)で表される化合物
が挙げられる。
【0092】
【化25】
【0093】〔式中、R1'は水素またはメチル基であ
り、R2'は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜2
0のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル
基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数6〜19のア
ラルキル基等の炭化水素基、又はその一部が水酸基、カ
ルボン酸基等で置換されたもの、もしくはポリオキシア
ルキレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が
0〜20、及びアルキレン部分の炭素数が2〜4)、ポ
リオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アル
キル部分の炭素数が0〜20、及びアルキレン部分の炭
素数が2〜4)等のアルキレンオキサイド化合物を含む
有機基であり、Aは炭素数2〜4個のアルキレン基また
は置換されたアルキレン基であり、nは0〜200の整
数であり、Mはアンモニウム、ナトリウムまたはカリウ
ムである。〕 上記化合物(16)及び(17)を含むものとして、例
えば、日本国三洋化成(株)製エレミノール(商標)J
S−2があり、上記化合物(18)及び(19)を含む
ものとして、例えば、日本国花王(株)製ラテムル(商
標)S−120、S−180A及びS−180がある。
また,スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又
はカリウム塩である基により置換された炭素数2〜4の
アルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエ
ーテル基を有する化合物の例として、式(20)(2
1)で表される化合物が挙げられる。
【0094】
【化26】 (式中、R3'、R4'の各々は、それぞれ独立に、炭素数
6〜18のアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基
であり、R5'は水素またはプロペニル基であり、Aは炭
素数2〜4のアルキレン基であり、nは1〜200の整
数であり、Mはアンモニウム、ナトリウム又はカリウム
である。)
【0095】
【化27】 (式中、R6'は水素またはメチル基であり、R7'は炭素
数8〜24のアルキル基又はアシル基であり、Aは炭素
数2〜4のアルキレン基であり、nは0〜20の整数で
あり、mは0〜50の整数であリ、Mはアンモニウム、
ナトリウム又はカリウムである。)
【0096】上記式(20)で表されるアルキルフェノ
ールエーテル誘導体として、例えば日本国第一工業製薬
(株)製アクアロン(商標)HS−10があり、上記式
(21)で表される化合物として、例えば日本国旭電化
工業(株)製アデカリアソープ(商標)SE−1025
Nがある。その他、スルホネート基により置換されたア
リール基を有する化合物の具体例として、p−スチレン
スルホン酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリ
ウム塩が挙げられる。スルホネート基により置換された
アルキル基を有する化合物の具体例として、メチルプロ
パンスルホン酸(メタ)アクリルアミドのアンモニウム
塩、ナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられる。また
上記以外のスルホネート基を有する化合物の具体例とし
て、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又は
カリウム塩である基が結合しているビニル基を有するビ
ニルスルホネート化合物が挙げられる。
【0097】これらの乳化剤(c)としてのエチレン性
不飽和単量体は、エマルジョン中に、〔i〕単量体
(a)と単量体(b)との共重合体からなるエマルジョ
ン粒子にラジカル重合した共重合物として存在している
か、〔ii〕未反応物としてエマルジョン粒子へ吸着、
あるいはエマルジョン水相中に存在しているか、或いは
〔iii〕エマルジョン中に副生した水溶性又は親水性
単量体との共重合物、又は該エチレン性不飽和単量体の
重合物としてエマルジョン粒子へ吸着、或いはエマルジ
ョン水相中に存在している。
【0098】特に〔i〕の状態で存在する比率を高める
ことによって、単量体(a)と単量体(b)との共重合
体からなるエマルジョンを用いて得た被覆用組成物から
満足のいく耐水性を有する皮膜を得ることができる。ま
た乳化剤(c)としてのエチレン性不飽和単量体は、エ
マルジョンより得られるフィルムの熱分解ガスクロマト
グラム質量分析(Py−GC−MS)、又は熱分解質量
分析(Py−MS)により、同定することができる。他
の方法として、エマルジョンの水相成分を分離した後、
高速原子衝撃質量分析(FABマススペクトル)によっ
て同定することも可能である。
【0099】本発明では、スルホン酸基またはスルホネ
ート基を持つエチレン性不飽和単量体およびそれらの混
合物よりなる群から選ばれる乳化剤(c)以外に、乳化
剤として使用可能な通常の界面活性剤を併用することも
できる。例えば、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、
アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキ
ル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩
等のアニオン型界面活性剤やポリオキシエチレンアルキ
ルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロッ
クコポリマー等の非反応性ノニオン型界面活性剤、及び
日本国旭電化工業(株)製アデカリアソープNE−2
0、NE−30、NE−40等のα−〔1−〔(アリル
オキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕
−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン、及び日本国第一
製薬工業(株)製アクアロンRN−10、RN−20、
RN−30、RN−50等のポリオキシエチレンアルキ
ルプロペニルフェニルエーテル等の反応性ノニオン型界
面活性剤といわれるエチレン性不飽和単量体と共重合可
能なノニオン型界面活性剤等を併用することができる。
【0100】上記の界面活性剤の使用量は、単量体
(a)及び単量体(b)からなるエマルジョンに対する
重量%としてアニオン型界面活性剤については0.5%
以下、好ましくは0.25%以下、更に好ましくは0.
1%以下であり、非反応性ノニオン型界面活性剤及び反
応性ノニオン型界面活性剤については、2.0%以下、
好ましくは1.0%以下、更に好ましくは0.5%以下
である。この範囲を超えて使用すると、エマルジョンを
用いて得た被覆用組成物から満足のいく耐水性を有する
皮膜を得ることができなくなる。また、本発明の成分
(α)または成分(δ)と、成分(γ)とからなる被覆
用組成物において、乳化剤(c)を含む界面活性剤の合
計は、0.1〜20重量%であることが好ましい。
【0101】本発明において用いられるポリカルボニル
化合物(γ)を得るに当たっては、ラジカル重合触媒と
して、熱または還元性物質などによって、分解してラジ
カルを発生し、エチレン性不飽和単量体(a)及び
(b)の付加重合を起こす化合物を挙げることができ
る。これらの化合物としては、水溶性または油溶性の過
硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等を有利に使用する
ことができる。その例としては、過硫酸カリウム、過硫
酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−
ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロク
ロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)等を挙げることができる。ラジカル重合触媒
の量としてはエチレン性不飽和単量体(a)と(b)に
対して通常0.1〜1重量%配合される。
【0102】通常は常圧下、65〜90℃の重合温度で
行なうことが好ましいが、モノマーの重合温度における
モノマーの揮発を防止するなどの目的で、密閉系におい
て高圧下でも実施することができる。重合時間として
は、導入時間と、導入後の熟成(cooking)時間
がある。導入時間は、各種原料を反応系へ同時に導入す
る場合は通常数分であり、各種原料を反応系へ逐次導入
する場合は重合による発熱が除熱可能な範囲で反応系へ
逐次導入するため、最終的に得られるエマルジョン中の
重合体濃度によっても異なるが、通常10分以上であ
る。導入後の熟成(cooking)時間としては、少
なくとも10分以上であることが好ましい。この重合時
間以下では、各原料がそのまま残留してしまう恐れがあ
る。なお、重合速度の促進、及び70℃以下での低温の
重合が望まれるときには、例えば重亜硫酸ナトリウム、
塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元
剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利であ
る。さらに分子量を調節するために、ドデシルメルカプ
タン等の連鎖移動剤を任意に添加することも可能であ
る。
【0103】本発明において、被覆用組成物中のポリカ
ルボニル化合物(γ)を長期に安定に保つため、アンモ
ニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジメチルア
ミノエタノール等のアミン類、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸
等の酸類を用いて、該被覆用組成物のpHを4〜10の
範囲に調整することが好ましい。また、本発明の被覆用
組成物においては、所望であれば、ポリカルボニル化合
物の90重量%以下をポリエポキシ化合物へ置き換えて
用いることができる。ポリエポキシ化合物の併用によ
り、得られる皮膜の耐水性はさらに向上する。
【0104】ポリエポキシ化合物としては、例えばグリ
シジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有エチレ
ン性不飽和単量体を他の不飽和単量体と塊状重合法、懸
濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などにより共重合さ
せて得られるエポキシ基を含有する共重合体や、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキ
シ樹脂、環式脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエステ
ル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、
ヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシア
ヌレート等を水に分散させたもの、及びこれらの併用が
挙げられる。
【0105】本発明の被葎用組成物には、所望であれ
ば、従来、水系塗料等に添加配合される添加剤、例えば
顔料、充填剤、分散剤、光安定剤、湿潤剤、増粘剤、レ
オロジーコントロール剤、消泡剤、可塑剤、成膜助剤、
防錆剤、染料、防腐剤等を、目的に応じて単独又は組み
合わせて、従来用いられる量、配合してもよい。本発明
の被覆用組成物は、上記したように常温硬化性及び貯蔵
安定性に優れるのみならず、硬度、強靱性、耐水性、耐
汚染性等の種々の特性に優れるため、塗料、建材の下地
処理剤又は仕上げ剤、接着剤、感圧性粘着剤、紙加工剤
及び編織布の仕上げ剤として有用である。
【0106】
【発明の実施の形態】以下に、参考例、実施例及び比較
例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの
実施例などによって何ら限定されるものでない。なお、
参考例、実施例及び比較例中の部は重量部を意味する。
また、参考例、実施例及び比較例において各種の測定は
以下に示す方法に従って行った。 1.分子量分布の測定:ゲルパーミエーションクロマト
グラフィーを用いて、ポリスチレン標品検量線より求め
た。
【0107】2.赤外線吸収スペクトルは、日本国日本
分光(株)製FT/IR−5300で測定した。 3.被覆用組成物の硬化性能の測定:実施例9〜11及
び比較例1〜4で得られた皮膜の外観を目視にて以下の
判定基準に従って評価した。 ○:透明で平滑な皮膜 △:誘明であるが皮膜表面に荒れが見られる ×:不透明であり皮膜表面に荒れが見られる
【0108】更に、実施例9〜11及び地較例1〜4で
得られた皮膜をガラス表面から剥離して得たフィルムを
用いて以下の測定を行った。 (1)フィルム強度を、テンシロン引張試験機[(株)
オリエンテック製RTA−100]で測定用サンプル
長:300mm、引張速度:50mm/分の条件で測定
した。 (2)フィルムの耐溶剤性を、フィルムを200メッシ
ュの金網製の袋に入れた後、テトラハイドロフラン中に
室温にて24時間浸漬後、フィルム重量の保持率を、
(テトラハイドロフラン浸漬後のフィルム重量)÷(テ
トラハイドロフラン浸漬前のフィルム重量)×100と
して求めて評価した。 (3)フィルムの耐水性を、フィルムを水中に室温にて
6日間浸漬後、フィルムの状態を目視にて観察し、更に
フイルム吸水率(%)を、[(水浸漬後のフィルム重
量)−(水浸漬前のフィルム重量)]÷(水浸漬前のフ
ィルム重量)×100として求めて評価した。 (4)フィルムの強度保持率(%)を、フィルムを水中
に室温にて24時間浸漬後、破断強度および伸び率10
0%時の強度を測定し、浸漬前の破断強度および伸び率
100%時の強度に対するそれぞれの保持率を、(水浸
漬後の強度)÷(水浸漬前の強度)×100として求め
て評価した。
【0109】(参考例1) ポリカルボニル化合物(γ)の水性エマルジョンの調製 〔エマルジョン(1)〕還流冷却器、滴下槽、温度計お
よび攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水220
部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム〔ペレツクス
(商標)OTP、日本国花王(株)製〕の40%水溶液
2.3部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げて
から、次にメタクリル酸9部、スチレン4.5部、アク
リル酸ブチル234部、ダイアセトンアクリルアミド1
3.5部、メタクリル酸メチル189部、イオン交換水
230部、ペレックスOTPを9部、ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル〔エマルゲン(商標)95
0、日本国花王(株)製〕の25%水溶液10部、過硫
酸アンモニウム1部の混合液を反応容器中へ滴下槽よリ
3時間かけて流入させた。流入中は反応容器中の温度を
80℃に保った。流入終了後、反応容器中の温度を80
℃のまま2時間保った。その後室温まで冷却し、25%
アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整してから1
00メッシュの金網で濾過し、固形分46.8%、平均
粒径1050Åのカルボニル基含有共重合体水性エマル
ジョン(1)を得た。
【0110】〔エマルジョン(2)〕還流冷却器、滴下
槽、温度計および攪拌装置を有する反応器に、イオン交
換水218部、アデカリアソープ(商標)SE−102
5N〔日本国旭電化工業(株)製〕の25%水溶液3.
7部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてか
ら、次にメタクリル酸9部、スチレン4,5部、アクリ
ル酸ブチル234部、ダイアセトンアクリルアミド1
3.5部、メタクリル酸メチル189部、イオン交換水
225部、アデカリアソープSE−1025Nを14.
4部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル〔エ
マルゲン(商標)950、日本国花王(株)製〕の25
%水溶液8部、過硫酸アンモニウム1部の混合液を反応
容器中へ滴下槽よリ3時間かけて流入させた。流入中は
反応容器中の温度を80℃に保った。流入終了後、反応
容器中の温度を80℃のまま2時間保った。その後室温
まで冷却し、25%アンモニア水溶液を添加してpHを
8に調整してから100メッシュの金網で濾過し、固形
分46.8%、平均粒径1060Åのカルボニル基含有
共重合体水性エマルジョン(2)を得た。
【0111】(参考例2) ポリイソシアネートの合成 〔ポリイソシアネート(1)〕下式(13)で表される
イソホロンジイソシアネート222部、ヘキサメチレン
ジイソシアネート168部、ビウレット化剤としての水
2.4部を、エチレングリコールメチルエーテルアセテ
ートとリン酸トリメチルの1:1(重量比)の混合溶媒
130部に溶解し、反応温度160℃にて1.5時間反
応させた。
【0112】
【化28】
【0113】得られた反応液を薄膜蒸留缶(wiped film
evaporator )〔タイプ2−03WFE:日本国神鋼パ
ンテック(株)製〕を用いて、2段階の処理(1回目は
1.0mmHg/160℃の条件下、2回目は0.1m
mHg/200℃の条件下にて行った)により余剰のイ
ソホロンジイソシアネートおよびへキサメチレンジイソ
シアネート、および溶媒を留去回収し、残渣を得た。得
られた残渣は99.2重量%のポリイソシアネート
(1)(イソホロンジイソシアネートとヘキサメチレン
ジイソシアネートのコビウレット型ポリイソシアネー
ト)、0.7重量%の残存イソホロンジイソシアネー
ト、及び0.1重量%の残存へキサメチレンジイソシア
ネートを含んでいた。得られた残渣のNCO基含有量は
15.6重量%、粘度は20000(±3000)mP
a.sec/40°、数平均分子量は約800(±10
0)、平均NCO基数は約3.7であった。この残渣に
酢酸エチルを加え、ポリイソシアネート(1)の79.
6%溶液を得た。
【0114】〔ポリイソシアネート(2)〕へキサメチ
レンジイソシアネート168部、ビウレット化剤として
の水1.5部を、エチレングリコールメチルエーテルア
セテートとリン酸トリメチルの1:1(重量比)の混合
溶媒130部に溶解し、反応温度160℃にて1時間反
応させた。得られた反応液を薄膜蒸留缶(wiped film e
vaporator )〔タイプ2−03WFE:日本国神鋼パン
テック(株)製〕を用いて、2段階の処理(1回目は
1.0mmHg/160℃の条件下、2回目は0.1m
mHg/160℃の条件下にて行った)により余剰のへ
キサメチレンジイソシアネートおよび溶媒を留去回収
し、残渣を得た。得られた残渣は99.9重量%のポリ
イソシアネート(2)(へキサメチレンジイソシアネー
トのビウレット型ポリイソシアネート)及び0.1重量
%の残存へキサメチレンジイソシアネートを含んでい
た。得られた残渣の粘度は1900(±200)mP
a.sec/25°、数平均分子量は約600(±10
0)、平均NCO基数は約3.3、またNCO基含有量
は23.3重量%であった。
【0115】〔ポリイソシアネ−ト(3)〕ヘキサメチ
レンジイソシアネート1000部にイソシアヌレート化
触媒としてのテトラメチルアンモニウムアセテート0.
01部を加え、60℃にて4時間反応を行った。リン酸
0.2部を添加し、反応を停止した後、さらこ90℃に
て1時間加熱し、常温に冷却すると触媒失活物が固体と
して析出した。この析出物を濾過により除去した後、得
られた反応液を薄膜蒸留缶(wiped film evaporator)
〔タイプ2−03WFE:日本国神鋼パンテック(株)
製〕を用いて、1回目は1.0mmHg/160℃の条
件下、2回目は0.1mmHg/160℃の条件下にて
2段階の処理により余剰のヘキサメチレンジイソシアネ
ートおよび溶媒を留去回収し、残渣を得た。得られた残
渣は99.9重量%のポリイソシアネート(3)(へキ
サメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリ
イソシアネート)及び0.1重量%の残存へキサメチレ
ンジイソシアネートを含んでいた。得られた残渣の粘度
は1400(±200)mPa.sec/25°、数平
均分子量は約580(±80)、平均NCO基数は約
3.2、またNCO基含有量は23.4重量%であっ
た。
【0116】
【実施例1】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にアセトン23部、参考例2で得たポリイソシ
アネート(1)の79.6%酢酸エチル溶液(NCO基
含量15.6重量%)23部、「ユニオックス(商標)
M1000」〔日本国日本油脂(株)製、水酸基価5
6.9のポリオキシエチレンメチルエーテル〕10部、
触媒としてジブチル錫ジラウレート0.001部を入れ
60℃にて4時間反応させた。次に還流冷却器、温度計
および攪拌装置を有する反応器に入れたアセトン421
部にヒドラジン1水和物74部を攪拌しながら30分か
けて室温で添加した後更に1時間攪拌した。この反応液
に先に得られた反応物を40℃にて攪拌しながら1時間
かけて添加しその後更に40℃にて4時間攪拌した。そ
の後、反応系を40℃にて攪拌しながら1183部の水
を30分かけて添加し、さらに30分攪拌を続けた。得
られた反応液中のアセトン、酢酸エチル、ヒドラジン、
アセトンとヒドラジンの反応物、水等を加熱減圧下に留
去することにより固形分25%のセミカルバジド組成物
の水分散体を得た。
【0117】このものの赤外線吸収スペクトルを図1に
示す。得られたセミカルバジド組成物の水分散体50部
(固形分10部)にシクロへキサノン100部を添加し
150rpmにて5時間振とうした後、10000rp
mにて10分間遠心分離を行った。下層の水相には親水
基としてポリオキシエチレンメチルエーテル基が導入さ
れたポリイソシアネート(1)由来の親水性基含有化合
物及びその末端封鎖体が6.7部存在し、上層のシクロ
ヘキサノン相にはポリイソシアネート(1)由来のセミ
カルバジド誘導体が3.3部存在した。
【0118】
【実施例2】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にテトラハイドロフラン22部、参考例2で得
られたポリイソシアネート(1)の79.6%酢酸エチ
ル溶液(NCO基含量15.6重量%)23部、「ユニ
オックス(商標)Ml000」〔日本国日本油脂(株)
製、水酸基価56.9のポリオキシエチレンメチルエー
テル〕10部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.
001部を入れ60℃にて4時間反応させた。
【0119】次に還流冷却器、温度計および攪拌装置を
有する反応器に入れたテトラハイドロフラン147部に
ヒドラジン1水和物7.3部を攪拌しながら30分かけ
て室温で添加した後更に1時間攪拌した。この混合物に
先に得られた反応物を40℃にて攪拌しながら1時間か
けて添加しその後更に40℃にて4時間攪拌した。その
後、反応系を40℃にて攪拌しながら182部の水を3
0分かけて添加し、さらに30分攪拌を続けた。得られ
た反応液中のテトラハイドロフラン、酢酸エチル、ヒド
ラジン、水等を加熱減圧下に留去することにより固形分
30%のセミカルバジド組成物の水分散体を得た。この
ものの赤外線吸収スペクトルを図2に示す。
【0120】
【実施例3】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にアセトン259部、イソホロンジイソシアネ
ート(IPDI)86部、「ユニオックスM1000」
(日本国日本油脂(株)製、水酸基価56.9のポリオ
キシエチレンメチルエーテル)310部、触媒としてジ
ブチル錫ジラウレート0.04部を入れ60℃にて7時
間反応させた。次に還流冷却器、温度計および攪拌装置
を有する反応器に入れたアセトン2600部にヒドラジ
ン1水和物459部を攪拌しながら30分かけて室温で
添加した後更に1時間攪拌した。この反応液に先に得ら
れた反応物を40℃にて攪拌しながら1時間かけて添加
しさらに40℃にて4時間攪拌した。その後、反応系を
40℃にて攪拌しながら4100部の水を30分かけて
添加し、さらに30分攪拌を続けた。得られた反応液中
のアセトン、ヒドラジン、アセトンとヒドラジンの反応
物、水等を加熱減圧下に留去することにより固形分40
%のIPDI骨格を有する親水性基含有化合物及び末端
封鎖体の水分散液を得た。このものの赤外線吸収スペク
トルを図3に示す。
【0121】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器に入れたアセトン3390部にヒドラジン1水
和物597部を攪拌しながら30分かけて室温で添加し
た後更に1時間攪拌した。この反応液に参考例2で得ら
れたポリイソシアネート(1)の79.6%酢酸エチル
溶液(NCO基含量15.6重量%)161部を40℃
にて攪拌をしながら1時間かけて添加し、その後更に4
0℃にて4時間撹拝した。その後、反応系を40℃にて
攪拌しながら180部の水を30分かけて添加し、さら
に30分攪拌を続けた。得られた反応液中のアセトン、
酢酸エチル、ヒドラジン、アセトンとヒドラジンの反応
物、水等を加熱減圧下に留去することにより白色結晶の
セミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体を得た。この
ものの赤外線吸収スペクトルを図4に示す。得られたセ
ミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体20部をN−メ
チルピロリドン80部に溶解した後、上記IPDI骨格
を有する親水性基含有化合物及びその末端封鎖体の水分
散体(固形分40%)50部を室温にて攪拌しながら添
加し続いて水50部を攪拌しながら添加する事により固
形分20%のセミカルバジド組成物の水分散体を得た。
【0122】
【実施例4】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にいれたメチルエチルケトン3600部にヒド
ラジン1水和物400部を攪拌しながら約30分かけて
室温で添加した後、40℃にて1時間攪拌した。これに
参考例2で得られたポリイソシアネート(2)(NCO
基含量23.3wt%)144部をメチルエチルケトン
144部に溶解した溶液を40℃にて約1時間かけて添
加し、さらに40℃にて3時間撹絆を続けた。得られた
反応液中のメチルエチルケトン、ヒドラジン、メチルエ
チルケトンとヒドラジンの反応物、水等を加熱減圧下に
留去することにより168部のビウレット構造を有する
セミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体を得た。ゲル
パーミエーションクロマトグラフィーによる解析の結
果、得られたセミカルバジド化合物中には下式(14)
の化合物及びその末端封鎖体が47面積%存在した。
【0123】
【化29】 このものの赤外線吸収スペクトルを図5に示す。
【0124】
【実施例5】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にいれたテトラハイドロフラン720部にヒド
ラジン1水和物80部を室温で添加した。これに参考例
2で得られたポリイソシアネート(2)(NCO基含量
23.3wt%)72部をテトラハイドロフラン72部
に溶解した溶液を40℃にて約1時間かけて添加し、さ
らに40℃にて3時間攪拌を続けた。その後、反応系を
40℃にて攪拌しながら水を360部30分かけて添加
し、さらに30分反応を続けた。得られた反応液中のテ
トラハイドロフラン、ヒドラジン、水等を加熱減圧下に
留去することにより固形分23%のビウレット構造を有
するセミカルバジド誘導体の水溶液を得た。ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィーによる解析の結果、得ら
れたセミカルバジド誘導体中には下式(14)の化合物
が57面積%存在した。
【0125】
【化30】 このものの赤外線吸収スペクトルを図6に示す。
【0126】
【実施例6】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にいれたメチルエチルケトン3600部にヒド
ラジン1水和物400部を攪拌しながら約30分かけて
室温で添加した後、40℃にて1時間攪拌した。これに
参考例2で得られたポリイソシアネート(3)(NCO
基含量23.1wt%)73部をメチルエチルケトン7
3部に溶解した溶液を40℃にて約30分かけて添加
し、さらに40℃にて3時間攪拌を続けた。得られた反
応液中のメチルエチルケトン、ヒドラジン、メチルエチ
ルケトンとヒドラジンの反応物、水等を加熱減圧下に留
去することにより84部のイソシアヌレート構造を有す
るセミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体を得た。ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィーによる解析の結
果、得られたセミカルバジド誘導体中には下式(15)
の化合物及びその末端封鎖体が58面積%存在した。
【0127】
【化31】 このものの赤外線吸収スペクトルを図7に示す。得られ
たセミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体50部をト
ルエン40部に溶解した後、「GAFAC−RE61
0」(日本国東邦化学工業(株)製、特殊リン酸エステ
ル型非イオン性アニオン界面活性剤)10部を添加し
た。この混合物をホモジナイザーで5000rpmにて
強攪拌し、そこにイオン交換水100部を20分かけて
添加する事によリセミカルバジド誘導体及びその末端封
鎖体の水分散体を得た。
【0128】
【実施例7】アジピン酸ジヒドラジド120部をイオン
交換水1180部に溶解した後、メチルエチルケトン3
7部を攪拌しながら約10分かけて室温で添加した。こ
れに参考例2で得られたポリイソシアネート(3)13
部をトルエン13部に溶解し実施例6に用いたと同じア
ニオン界面活性剤(GAFAC−RE610)2.5部
っを添加した混合物をホモジナイザーで5000rpm
にて強攪拌しながら約20分かけて添加する事によりセ
ミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体の水分散体を得
た。このものの赤外線吸収スペクトルを図8に示す。
【0129】
【実施例8】トリメチロールプロパンにε−カプロラク
トンを逐次付加させて得た数平均分子量800のトリオ
ールにヘキサメチレンジイソシアネートをNCO基/O
H基のモル比が8となるような量比で反応させた後、余
剰のへキサメチレンジイソシアネートを蒸留除去するこ
とによりへキサメチレンジイソシアネートのトリオール
変性ウレタン型オリゴマー(NCO基含量8.0wt
%)を得た。還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にいれたメチルエチルケトン1200部にヒド
ラジン1水和物133部を攪拌しながら約30分かけて
室温で添加した後、40℃にて1時間攪拌した。これに
上記へキサメチレンジイソシアネートのトリオール変性
ウレタン型オリゴマー140部を、トルエン15部とメ
チルエチルケトン124部の混合物に溶解した溶液を攪
拌しながら、40℃にて約1時間かけて添加し、さらに
40℃にて3時間攪拌を続けた。得られた反応液中のメ
チルエチルケトン、ヒドラジン、トルエン、メチルエチ
ルケトンとヒドラジンの反応物、水等を加熱減圧下に留
去することにより147部のウレタン構造を有するセミ
カルバジド誘導体及びその末端封鎖体を得た。このもの
の赤外線吸収スペクトルを図9に示す。
【0130】
【実施例9】参考例1で合成したカルボニル基含有共重
合体水性エマルジョン(1)100部に実施例1で得た
セミカルバジド組成物の水分散体13.2部を添加し、
室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。得られた被
覆用組成物をガラス板上にて室温で成膜した後、さらに
室温で1カ月間乾燥し、透明で平滑な塗膜を得た。この
塗膜の物性を測定した。結果を表1に示す。
【0131】
【実施例10】参考例1で合成したカルボニル基含有共
重合体水性エマルジョン(2)100部に実施例1で得
たセミカルバジド組成物の水分散体13.2部を添加
し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。得られ
た被覆用組成物をガラス板上にて室温で成膜した後、さ
らに室温で1カ月間乾燥し、透明で平滑な塗膜を得た。
この塗膜の物性を測定した。結果を表1に示す。
【0132】
【実施例11】参考例1で合成したカルボニル基含有共
重合体水性エマルジョン(2)100部に実施例2で得
たセミカルバジド組成物の水分散体10.5部を添加
し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。得られ
た被覆用組成物をガラス板上にて室温で成膜した後、さ
らに室温で1カ月間乾燥し、透明で平滑な塗膜を得た。
この塗膜の物性を測定した。結果を表1に示す。
【0133】
【実施例12】参考例1で合成したカルボニル基含有共
重合体水性エマルジョン(1)100部に実施例3で得
たセミカルバジド組成物の水分散体18.8部を添加
し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。得られ
た被覆用組成物をガラス板上にて室温で成膜した後、さ
らに室温で1カ月間乾燥し、透明で平滑な塗膜を得た。
この塗膜をガラス板から剥離してフィルムを得、このフ
ィルムの物性を測定した。フィルムの耐溶剤性の指標で
ある重量保持率は92%であった。また耐水性試験の結
果は、吸水率が5%、塗膜状態は無変化であり、良好で
あった。
【0134】
【実施例13】参考例1で合成したカルボニル基含有共
重合体水性エマルジョン(2)100部に実施例3で得
たセミカルバジド組成物の水分散体18.8部を添加
し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。得られ
た被覆用組成物をガラス板上にて室温で成膜した後、さ
らに室温で1カ月間乾燥し、透明で平滑な塗膜を得た。
この塗膜の物性をガラス板から剥離してフィルムを得、
このフィルムの測定した。フィルムの耐溶剤性の指標で
ある重量保持率は95%であった。また耐水性試験の結
果は、吸水率が4%、フィルムの状態は無変化であり、
良好であった。
【0135】
【比較例1】参考例1で合成したカルボニル基含有共重
合体水性エマルジョン(1)単独で、実施例9と実質的
に同様の方法で成膜乾燥して塗膜を得た。この塗膜の物
性を測定した。結果を表1に示す。
【比較例2】実施例1で得たセミカルバジド組成物の水
分散体をアジピン酸ジヒドラジド(日本国日本ヒドラジ
ン工業(株)製)の5%水溶液14.5部に代える他は
実施例9と実質的に同様の方法で配合し、成膜乾燥して
塗膜を得た。この塗膜の物性を測定した。結果を表1に
示す。
【0136】
【比較例3】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にイソホロンジイソシアネート(IPDI)を
105.2部、ポリテトラメチレングリコール(重量平
均分子量2000)を308.7部、ジメチロールプロ
ピオン酸21.2部、トリエチルアミン16.0部、メ
チルエチルケトン452.7部、ジブチル錫ジラウレー
ト0.013部を入れ、窒素気流下80℃にて5時間ウ
レタン化反応を行い、NCO基末端プレポリマー溶液を
得た。得られたプレポリマー溶液290部に、攪拌下、
40℃で309部の水を添加し、さらに40℃にて4時
間攪拌した。得られた反応液中のメチルエチルケトンを
加熱減圧下に留去した後、イオン交換水で濃度を調整
し、固形分30%のセミカルバジド基含有オリゴウレタ
ンの水分散体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィーによる解析の結果、重量平均分子量は29,0
00であった。このものの赤外線吸収スペクトルを図1
0に示す。更に、参考例1で合成したカルボニル基含有
共重合体水性エマルジョン(2)100部に上記セミカ
ルバジド基含有オリゴウレタンの水分散体を100部添
加し、混合した被覆用組成物をガラス板上にて室温で成
膜した後、さらに室温で1カ月間乾燥し、透明で平滑な
塗膜を得た。この塗膜の物性を測定した。結果を表1に
示す。
【0137】
【比較例4】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にテトラハイドロフラン360部にヒドラジン
1水和物40部を攪拌しながら30分かけて室温で添加
した後、この溶液にへキサメチレンジイソシアネート1
6部とテトラハイドロフラン16部とからなる混合物を
室温にて1時間かけて添加し、更に24時間攪拌した。
その後、反応系を攪拌しながら80部の水を30分かけ
て添加し、さらに30分攪拌を続けた。得られた反応液
中のテトラハイドロフラン、ヒドラジン、水等を加熱減
圧下に留去することにより固形分30%のセミカルバジ
ド誘導体の水溶液を得た。参考例1で合成したカルボニ
ル基含有共重合体水性エマルジョン(1)100部にこ
のセミカルバジド誘導体の30%水溶液3.2部を添加
し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。得られ
た被覆用組成物をガラス板上にて室温で成膜した後、さ
らに室温で1カ月間乾燥して塗膜を得た。結果を表1に
示す。
【0138】
【表1】
【0139】
【発明の効果】本発明の、セミカルバジド誘導体、その
末端封鎖体又はそれらの混合物(α)、或いは上記
(α)と、親水性基含有化合物、その末端封鎖体又はそ
れらの混合物とを含有してなるセミカルバジド組成物
(δ)は、ポリカルボニル化合物を高い相溶性を示し、
また、種々の溶剤に対する溶解性に優れる。上記(α)
又は(δ)を硬化剤として、ポリカルボニル化合物と組
み合わせて調整した被覆用組成物は、常温硬化性及び貯
蔵安定性に優れるのみならず、架橋度が極めて高く、硬
度、強靱性、耐水性、耐汚染性等を含む様々な特性に優
れており、特に耐水性に関しては従来の有機溶剤系のコ
ーティング材とほぼ同等である皮膜を、比較的低温(周
囲温度)で形成することができる。従って、本発明の被
覆用組成物は、塗料、建材の下地処理材又は仕上げ材、
接着剤、感圧性粘着剤、紙加工剤、又は編織布の仕上げ
剤等に有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られるセミカルバジド組
成物の赤外線吸収スペクトルである。
【図2】図2は、実施例2で得られるセミカルバジド組
成物の赤外線吸収スペクトルである。
【図3】図3は、実施例3で得られる親水性基含有化合
物の赤外線吸収スペクトルである。
【図4】図4は、実施例3で得られるセミカルバジド誘
導体の赤外線吸収スペクトルである。
【図5】図5は、実施例4で得られるセミカルバジド誘
導体の赤外線吸収スペクトルである。
【図6】図6は、実施例5で得られるセミカルバジド誘
導体の赤外線吸収スペクトルである。
【図7】図7は、実施例6で得られるセミカルバジド誘
導体の赤外線吸収スペクトルである。
【図8】図8は、実施例7で得られるセミカルバジド誘
導体の赤外線吸収スペクトルである。
【図9】図9は、実施例8で得られるセミカルバジド誘
導体の赤外線吸収スペクトルである。
【図10】図10は、比較例3で得られるセミカルバジ
ド基含有オリゴウレタンの赤外線吸収スペクトルであ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(6)で表されるセミカルバジド誘導
    体またはその末端封鎖体。 【化1】 [式中、A1 、A2 、A3 は、それぞれ独立して、直鎖
    状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレン基、置換さ
    れていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素
    数1〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン
    基で置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレン
    基、置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキ
    ル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている
    炭素数6〜20のアリーレン基、もしくは置換されてい
    ないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1
    〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数8〜20の
    アラルキレン基を表し;Bは炭素数1〜20の脂肪族ト
    リオール、炭素数5〜20の脂環族トリオール又は炭素
    数6〜20の芳香族トリオールに由来する、水酸基を有
    さないトリオール残基を表し;そしてi,j及びkはそ
    れぞれ0〜50の整数であり、但しi,j及びkは(i
    +j+k)≧1の関係を満足する。] X1 、X2 、X3 は、それぞれ独立して、式(3)また
    は式(4)で表される基を表す。] 【化2】 (式中、R2 は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20の
    アルキレン基、炭素数5〜20のシクロアルキレン基、
    もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜18のア
    ルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されて
    いる炭素数6〜10のアリーレン基を表し;各R3 は、
    それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアル
    キル基を表し;nは0又は1である。) 【0043】 【化3】 (式中、R3 は上で定義した通りである。) 上記式(6)で表されるセミカルバジド誘導体の末端封
    鎖体は、式(3)又は(4)における末端基H2 NR3
    N−に由来する、式R8 9 c=NR3 N−で表される
    少なくとも1つの封鎖末端基を有している(式中、
    8 、R9 は各々独立して水素原子、直鎖状又は分岐状
    の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシク
    ロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素
    数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ
    基で置換されている炭素数6〜10のアリール基を表
    し、R8 とR9 は場合によっては共同して環状構造を形
    成していてもよい。)。
  2. 【請求項2】 水性媒体中への分散及び水性媒体中への
    溶解からなる群から選ばれる少なくとも一つの状態であ
    ることを特徴とする請求項1記載のセミカルバジド誘導
    体又はその末端封鎖体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のセミカルバジド誘導体又
    はその末端封鎖体(α)と、式(7)で表される親水性
    基含有化合物及びその末端封鎖体からなる群から選ばれ
    る少なくとも一つ(β)とを含有することを特徴とする
    組成物。 【化4】 [式中、R4 は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20の
    アルキレンジイソシアネート、置換されていないか或い
    は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜8のアルコ
    キシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で置換されてい
    る炭素数5〜20のシクロアルキレンジイソシアネー
    ト、置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキ
    ル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている
    炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネート、及び置
    換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又
    は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数
    8〜20のアラルキレンジイソシアネートからなる群か
    ら選ばれる少なくとも一種のジイソシアネートの3量体
    〜20量体のオリゴマーに由来する、末端イソシアネー
    ト基を有さないポリイソシアネート残基を表し、もしく
    はR4 は上記ジイソシアネートに由来する、末端イソシ
    アネート基を有さないジイソシアネート残基を表し、も
    しくはR4 は炭素数1〜8のイソシアネートアルキル基
    で置換されている炭素数2〜20のアルキレンジイソシ
    アネートに由来する、末端イソシアネート基を有さない
    トリイソシアネート残基を表し;R5 は、直鎖状又は分
    岐状の炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数5〜20
    のシクロアルキレン基、もしくは置換されていないか或
    いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のア
    ルコキシ基で置換されている炭素数6〜10のアリーレ
    ン基を表し;各R6 は、それぞれ独立して、水素原子又
    は炭素数1〜20のアルキル基を表し;Yは、非イオン
    系親水性基、イオン系親水性基及びイオン系親水性基に
    転化しうる基よりなる群から選ばれる少なくとも1つを
    有する有機基を表し;nは0又は1であり;そしてP及
    びqは、各々0または正の整数であり、rは正の整数で
    あり、0≦(p+q)且つ2≦(p+q+r)≦20で
    ある。]。上記式(7)で表される化合物の末端封鎖体
    は、式(7)における末端基H2NR6 N−の少なくと
    も1つが式R8 9 C=NR6 N−で表される封鎖末端
    基を有しており(式中、R8 、R9 は各々独立して水素
    原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜20のアルキル
    基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換
    されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は
    炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6
    〜10のアリール基を表し、R8 とR9 は場合によって
    は共同して環状構造を形成していてもよい)、そして該
    組成物において、上記成分(α)の上記成分(β)に対
    する重量比は10/90〜99/1である。
  4. 【請求項4】 水性媒体中への分散及び媒体中への溶解
    からなる群より選ばれる少なくとも一つの状態であるこ
    とを特徴とする請求項3記載の組成物。
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