JP3511306B2 - 水系被覆組成物 - Google Patents

水系被覆組成物

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JP3511306B2
JP3511306B2 JP02044794A JP2044794A JP3511306B2 JP 3511306 B2 JP3511306 B2 JP 3511306B2 JP 02044794 A JP02044794 A JP 02044794A JP 2044794 A JP2044794 A JP 2044794A JP 3511306 B2 JP3511306 B2 JP 3511306B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は水系被覆組成物に関す
る。さらに詳しく言えば、架橋性の水系ポリウレタン樹
脂を含有してなる被覆組成物に関するものであり、金
属、プラスチック、紙、木、セメント、皮革等の基材の
被覆剤として有用である。 【0002】 【従来の技術】水系ポリウレタン樹脂は、造膜性に優
れ、耐摩耗性、接着性、ゴム弾性等を有する皮膜を与え
る事から、塗料あるいは接着剤、コーティング剤の用途
に多く用いられている。しかしながら、特に常乾で使用
する場合は耐水性、耐溶剤性等の点において十分な物性
を示さないため、使用される範囲がほとんど室内に限ら
れていた。また、硬度と弾性のバランスの面においても
より向上が望まれているのが現状である。 【0003】これらの課題に対し、低温硬化性と貯蔵安
定性を兼ね備えた架橋システムを水系ポリウレタン樹脂
に導入することは有用である。例えば、ヒドラジド基を
ポリウレタン連鎖に組み入れしかもホルムアルデヒドを
添加する事により低温での自己架橋性ポリウレタンエマ
ルジョンを提供することが米国特許第4598121号
明細書で提案されている。しかしながら、ホルムアルデ
ヒドを使用することは有毒で環境上望ましくないので、
特定の用途に限定せざるを得ない。 【0004】米国特許第4983662号明細書では、
前記ホルムアルデヒドの代わりにカルボニル官能基を有
するビニル重合体あるいは非ビニル系ポリカルボニル化
合物を用いた自己架橋性のポリウレタン水性分散体を提
供することが提案されている。しかし、この方法による
とヒドラジド基をポリウレタン連鎖に懸垂した形で導入
するために煩雑な工程と特殊な原料を用いなければなら
ないばかりか、ヒドラジド基をポリウレタンエマルジョ
ンの粒子表面に有効に導入することが困難であり、ま
た、残存するヒドラジド基導入原料が生成する皮膜の耐
候性、耐水性等に対し悪影響を及ぼす。 【0005】また、特開平1−301761号公報では
NCO基を有するウレタンプレポリマーをヒドラジンや
水溶性ジヒドラジン類(エチレン−1,4−ジヒドラジ
ン等)で鎖伸長することによってヒドラジン基をポリウ
レタンに導入しカルボニル官能基を有するビニル重合体
と架橋させることが提案されている。しかし、この方法
で用いるヒドラジンや水溶性ジヒドラジン類は有毒なう
えNCO基との反応の制御が困難である。そのため得ら
れる水性ポリウレタン樹脂は、残存する上記ヒドラジン
誘導体のため有毒であり、またヒドラジン基もポリウレ
タンに有効に導入されていない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解消するポリウレタン系水性被覆組成物、
すなわち製造が容易であると共に、得られたポリウレタ
ン系水性被覆組成物は毒性の問題がなく貯蔵安定性も良
好であり、常乾で使用する場合においても耐水性、耐溶
剤性等の点において十分な物性を示し、硬度と弾性のバ
ランスのとれた皮膜を得ることができるポリウレタン系
水性被覆組成物を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定のヒ
ドラジド基含有水系ポリウレタン樹脂とポリカルボニル
化合物からなる水性被覆組成物を用いることにより上記
問題点を解決し得る事を見いだし、本発明を完成するに
至った。即ち本発明は、ポリイソシアネート化合物
(a)と非イオン系及び/またはイオン系親水性基(ま
たは後に親水性基に転化させ得る基)を有する活性水素
化合物(b)から誘導されるNCO基を有するウレタン
プレポリマーをヒドラジド基含有化合物と反応させて得
られた水系ポリウレタン樹脂(A)と、ポリカルボニル
化合物(B)からなり、その固形分重量比が、(A)/
(B)=100/0.1〜0.5/100であることを
特徴とする毒性の問題がなく貯蔵安定性も良好な水系被
覆組成物である。 【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、NCO基を有するウレタンプレポリマーを合成
するのに用いるポリイソシアネート化合物(a)として
は、例えば、2,4ートリレンジイソシアネート、2,
6ートリレンジイソシアネートおよびその混合物(TD
I)、ジフェニルメタンー4,4'ージイソシアネート
(MDI)、ナフタレンー1,5ージイソシアネート
(NDI)、3,3ージメチルー4,4ービフェニレン
ジイソシアネート(TODI)、粗製TDI、ポリメチ
レンポリフェニルジイソシアネート、粗製MDI等の芳
香族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート
(XDI)、フェニレンジイソシアネート等の芳香脂環
族ジイソシアネート、4,4'-メチレンビスシクロヘキ
シルジイソシアネート(水添MDI)、イソフォロンジ
イソシアネート(IPDI)、ジメチルシクロヘキサン
ジイソシアネート(水添XDI)等の脂環族ジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等
の脂肪族ジイソシアネート等のジイソシアネート類、更
には、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチ
ルオクタン、ジイソシアネート化合物をビュレット結
合、尿素結合、イソシアヌレート結合、ウレタン結合、
アロファネート結合、ウレトジオン結合等によりオリゴ
マー化した多官能イソシアネート等、およびこれらの併
用が挙げられる。 【0009】また、本発明において、NCO基を有する
ウレタンプレポリマーを合成するのに用いる非イオン系
及び/またはイオン系親水性基(または後に親水性基に
転化させ得る基)を有する活性水素化合物(b)のうち
イオン系親水性基としては、カルボン酸の3級アミン塩
等のアニオン基、4級アンモニウム塩等のカチオン基が
挙げられる。 【0010】アニオン基(または後にアニオン基に転化
させ得る基)を有する活性水素化合物としては、α,
α’−ジメチロールプロピオン酸、α,α’−ジメチロ
ール酢酸、α,α’−ジメチロール酪酸、α,α’−ジ
メチロール吉草酸等のα,α’−ジメチロールアルカン
酸類、タウリン等のアミノスルホン酸類等、およびこれ
らの併用が挙げられる。これらのうちα,α’−ジメチ
ロールプロピオン酸が好ましい。これらの活性水素化合
物の酸基はウレタンプレポリマーの合成時、あるいは乳
化(あるいは水溶化)時に塩基で中和することによって
アニオン基に転化できる。中和に用いる塩基としては、
例えばトリエチルアミン、アンモニア、ジエタノールア
ミン、ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノール
アミン、およびジブチルアミン等のアミン化合物、KO
H、NaOH、およびLiOH等のアルカリ金属の水酸
化物、およびこれらの併用が挙げられる。 【0011】カチオン基(または後にカチオン基に転化
させ得る基)を有する活性水素化合物としては、N−メ
チルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミ
ン等のN−アルキルジアルカノールアミン類、トリエタ
ノールアミン、トリプロパノールアミン等のトリアルカ
ノールアミン類、N,N−ジメチルエタノールアミン、
N,N−ジエチルエタノールアミン等のN,N−ジアル
キルモノアルカノールアミン類、また、これらの炭素数
2〜4のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロ
ピレンオキシド等)付加物等、さらにはこれらの併用が
挙げられる。これらの活性水素化合物の3級アミノ基は
ウレタンプレポリマーの合成時、あるいは乳化(あるい
は水溶化)時に酸で中和またはアルキル化剤で4級化す
ることによってカチオン基に転化できる。中和に用いる
酸としては、例えば酢酸、乳酸、塩酸、リン酸、硫酸等
やこれらの併用が挙げられる。アルキル化剤としては、
例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロライ
ド、メチルアイオダイド、ベンジルクロライド等が挙げ
られる。 【0012】また、非イオン系親水性基としては、例え
ば懸垂したポリオキシアルキレン基、特にポリオキシエ
チレン基等が挙げられる。これらの基を有する活性水素
化合物としては、例えば米国特許第3905929号明
細書に記載されたごとき懸垂したポリオキシエチレン連
鎖を有するジオール等が挙げられる。また該ウレタンプ
レポリマーの合成原料としては、必要に応じて他の活性
水素化合物(c)を用いることができる。他の活性水素
化合物(c)としては数平均分子量400〜8000の
ポリオール類が好ましく、必要に応じて多価アルコール
類及び/または多価アミン類から選ばれる分子量400
以下の低分子活性水素化合物を併用することができる。 【0013】上記数平均分子量400〜8000のポリ
オール類としては、ポリカーボネートポリオール、ポリ
エーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブ
タジエングリコール類等でこれらは単独あるいは2種以
上の併用で用いることができる。またこれらの中で耐水
性、耐候性等の点からポリカーボネートポリオールを用
いるのが好ましい。 【0014】ポリカーボネートポリオールとしては、触
媒の存在下あるいは不存在下に2価アルコール類をホス
ゲン、ジアルキルカーボネート、ジアリルカーボネー
ト、アルキレンカーボネートの中から選ばれたカーボネ
ート化剤と反応させて得られる生成物が挙げられる。上
記2価アルコール類としては、例えばエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,
4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5
−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール等やこれらの2種以上の併用が挙
げられる。得られるポリカーボネートポリオールは単独
あるいは2種以上の併用で用いることができる。これら
ポリカーボネートポリオールの中では、柔軟性等の点か
ら特開平2−289616号公報、特開平5−2526
4号公報等に掲載されているような非晶性ポリカーボネ
ートポリオールが好ましく、また耐溶剤性、耐熱黄変性
等の点から酸性物質の存在下で製造されるポリテトラメ
チレンカーボネートジオールが好ましい。(例えば、特
願平4−258748号に記載された方法) ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール、ポリオキシエチレン−オキシプロ
ピレン(ランダムおよび/またはブロック)グリコー
ル、ポリオキシエチレン−オキシテトラメチレン(ラン
ダムおよび/またはブロック)グリコール、ポリオキシ
プロピレン−オキシテトラメチレン(ランダムおよび/
またはブロック)グリコール、ポリヘキサメチレングリ
コール等や、これらの2種以上の併用が挙げられる。 【0015】ポリエステルポリオールの具体例として
は、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペー
ト、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリブチレンヘ
キサメチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、
ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート、ポリ
エチレンアゼレート、ポリエチレンセバケート、ポリブ
チレンアゼレート、ポリブチレンセバケート、ポリカプ
ロラクトンジオール等や、これらの2種以上の併用が挙
げられる。 【0016】ポリブタジエングリコール類としては、両
末端に水酸基を有するポリブタジエンホモポリマータイ
プ、ポリブタジエンコポリマータイプ(スチレンブタジ
エンコポリマー、アクリロニトリルブタジエンコポリマ
ー等)および、これらの不飽和二重結合の一部または全
部を水素添加したもの等やこれらの2種以上の併用が挙
げられる。 【0017】また分子量が通常400以下の低分子活性
水素化合物の具体例としては、例えばエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,
4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5
−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、シクロ
ヘキサンジメタノール等の2価アルコール類;グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等
の3価以上のアルコール類;モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン等のアミノアルコール類;エチレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン等の脂肪族アミン類;イソホロンジアミン、4,4−
メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂環式アミ
ン類等や、これらの2種以上の併用が挙げられる。 【0018】該ウレタンプレポリマーは、(a)と
(b)、及び必要に応じて(c)を約30℃〜約130
℃の温度で実質的に無水の条件下でウレタン化反応させ
ることにより得られる。該ウレタンプレポリマーを製造
する際に用いるポリイソシアネート化合物(a)のNC
O基と非イオン系及び/またはイオン系親水性基(また
は後に親水性基に転化させ得る基)を有する活性水素化
合物(b)(及び必要に応じて他の活性水素化合物
(c))中のNCO基と反応しうる活性水素基(ただし
COOH等のイオン系親水性基(または後に親水性基に
転化させ得る基)は除く)との当量比は通常1.1〜
5.0:1.0、好ましくは1.1〜2.0:1.0で
ある。 【0019】該ウレタンプレポリマーの製造にあたり、
必要であれば触媒を使用することができる。触媒の具体
例としては、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸第一
錫、オクチル酸鉛等の金属と有機及び無機酸の塩、及び
有機金属誘導体、トリエチルアミン、及びトリエチレン
ジアミン等の有機3級アミン類、ジアザビシクロウンデ
セン系触媒等が挙げられる。 【0020】また該ウレタンプレポリマーは、無溶媒ま
たは溶媒中で製造できる。溶媒としては、NCO基に不
活性であるか、または反応成分よりも活性の低いものが
使用できる。具体的には、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトンシクロヘキサノン等のケト
ン系溶媒;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレ
ングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド
系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム系溶
媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、酢
酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒、
t−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール
類、トルエンキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、n−
ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒等やその併用が挙げ
られる。これらの中で、水への乳化分散性等の点からア
セトン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリ
ドンが特に好ましい。溶媒は該水系ポリウレタン樹脂
(ポリウレタンエマルジョンあるいはポリウレタン水溶
液)中に残存しても良いが、エマルジョン(あるいは水
溶液)とした後に常圧あるいは減圧下で加熱し蒸留除去
することもできる。 【0021】本発明における水系ポリウレタン樹脂
(A)は、前述の方法で得られるNCO基を有するウレ
タンプレポリマーをヒドラジド基含有化合物と反応させ
ることによって得られる。このとき該ウレタンプレポリ
マーのNCO基と該ヒドラジド基含有化合物の活性水素
基との当量比は1.0:0.3〜10.0、好ましくは
1.0:1.0〜2.0である。 【0022】上記ヒドラジド基含有化合物の具体例とし
ては、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、こは
く酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン
酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸
ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒ
ドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒド
ラジド等のジカルボン酸ジヒドラジド類、ニトリロトリ
酢酸トリヒドラジド、トリメリト酸トリヒドラジド等の
トリカルボン酸トリヒドラジド類、一般式(1)で表さ
れる炭酸ジヒドラジド類、一般式(2)で表されるビス
セミカルバジド類、一般式(3)で表される水溶性酸ヒ
ドラジド系ポリマー等(例えば、特開昭55−6535
号公報に記載されている)、これらの併用が挙げられ
る。 【0023】 【化1】 【0024】 【化2】 【0025】 【化3】【0026】これらのヒドラジド基含有化合物は、適当
な親水性を有する化合物を使用することが好適である。
例えばアジピン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジ
ド、セバチン酸ジヒドラジド、カルボジヒドラジド等が
挙げられる。また、上記トリカルボン酸トリヒドラジド
類や水溶性酸ヒドラジド系ポリマー等のヒドラジド基を
1分子中に3個以上有するものを含有する多官能ヒドラ
ジド化合物の使用は水系ポリウレタン樹脂へのヒドラジ
ド基の導入量を増加させるため好ましい。該ヒドラジド
基含有化合物は、必要によりヒドラジド基の少なくとも
1部をあらかじめモノアルデヒドまたはモノケトン等
(好ましくは30〜200℃の沸点を有する、例えばア
セトン、メチルエチルケトン等)と反応させ、ヒドラゾ
ン基として封鎖して用いることもできる。 【0027】本発明において、該ウレタンプレポリマー
に該ヒドラジド基含有化合物を反応させて水系ポリウレ
タン樹脂を得る方法の具体例としては、適度な撹拌
下、該ウレタンプレポリマー中に該ヒドラジド基含有化
合物の水溶液を加え反応させる方法。適度な撹拌下、
該ウレタンプレポリマー中に水を加え分散体(または水
溶液)としてから該ヒドラジド基含有化合物の水溶液を
加え反応させる方法。適度な撹拌下、該ヒドラジン誘
導体の水溶液中に該ウレタンプレポリマーを加え反応さ
せる方法。無溶媒あるいは有機溶媒中でウレタンプレ
ポリマーとヒドラジド基含有化合物を反応させた後、水
を加え分散体(または水溶液)とする方法等が挙げられ
る。上記〜のいずれの方法においても、必要により
該水系ポリウレタン樹脂の分散性や分散安定性を補助す
る目的で界面活性剤を任意の段階で加えても良い。この
界面活性剤は、該ウレタンプレポリマーにカチオン系ま
たはアニオン系親水基を導入した場合は、同じイオン性
基であるか非イオン性であれば良い。 【0028】また該ウレタンプレポリマーと該ヒドラジ
ド基含有化合物を反応させる際、必要とあらば該ヒドラ
ジド基含有化合物に鎖伸長剤を併用させることもでき
る。該鎖伸長剤としては、例えばエチレンジアミン、プ
ロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレン
ジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、
ジアミノジフェニルメタン、ジアミノシクロヘキシルメ
タン、ピペラジン、2ーメチルピペラジン、イソフォロ
ンジアミン等の各種ジアミン類;ジエチレントリアミン
等のポリエチレンポリアミン類等やそれらの併用が挙げ
られる。かくして得られる水系ポリウレタン樹脂(A)
の樹脂分の濃度は0.1〜95wt%で製造できるが、
製造上10〜50wt%が好ましい。 【0029】また該水系ポリウレタン樹脂(A)の製造
に当たり必要により、耐候性等を向上させる目的で各種
の添加剤を含有させても良い。添加剤を用いる場合は、
通常ウレタンプレポリマーの合成時に添加すると良い
が、添加剤が水溶性である場合やイソシアネート成分等
の反応成分と反応する場合には分散体(または水溶液)
としてから添加すると良い。添加剤の具体例としては、
例えばヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオ
エーテル系等の酸化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾ
トリアゾール系、サリチレート系等の紫外線吸収剤、ヒ
ンダードアミン系等の光安定剤、有機ハロゲン系等の難
燃化剤や帯電防止剤、撥水処理剤等さらにはこれらの併
用が挙げられる。 【0030】本発明では、このようにして得られた水系
ポリウレタン樹脂(A)とポリカルボニル化合物(B)
が混在することにより、機能的な結び付きが強固に発現
する。この結び付きは、水系ポリウレタン樹脂(A)中
のヒドラジン官能基及び/またはヒドラゾン官能基とポ
リカルボニル化合物(B)中のカルボニル基が、皮膜化
する際に有機的に反応することによって生じるものと考
えられる。 【0031】ポリカルボニル化合物(B)としては、カ
ルボニル基を2個以上有する化合物であり、例えばグリ
オキサル、2,5−ヘキサンジオン、アセチルアセトン
等のポリケトン類、グルタールジアルデヒド、こはく酸
ジアルデヒド等のポリアルデヒド類、特開平2−238
015号公報に記載されているがごときヒドロキシアセ
トン等のカルボニル基のあるモノ及び/またはポリアル
コールを原料とするカルボニル基含有ポリウレタン類、
特開昭63−51180号公報、特開昭62−7274
2号公報、特公平1−13501号公報、特公平1−4
5497号公報、及び特開平4−214747号公報等
に記載されているがごときダイアセトンアクリルアミ
ド、ダイアセトンメタクリルアミド、アクロレイン、ビ
ニルメチルケトン、アセトアセトキシエチルメタクリレ
ート等のカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体を共
重合成分とする共重合体水性エマルジョン類等、及びこ
れらの併用が挙げられる。これらのポリカルボニル化合
物(B)の中で、本発明における水系ポリウレタン樹脂
(A)とによって生成する皮膜の硬度と弾性のバランス
の面からカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体を共
重合成分とする共重合体水性エマルジョン類が好まし
く、さらに耐候性の面から特開平4−214747号公
報記載の加水分解性シランの存在下においてカルボニル
基含有エチレン性不飽和単量体を他のエチレン性不飽和
単量体と共重合させて得られる共重合体水性エマルジョ
ン類が好ましい。 【0032】本発明において、該水系ポリウレタン樹脂
(A)と該ポリカルボニル化合物(B)の配合割合は、
その固形分重量比が(A)/(B)=100/0.1〜
0.5/100の範囲内であることが必要である。この
範囲を逸脱すると生成する皮膜は耐水性、耐アルカリ性
等の点において十分な物性を示さないばかりか、硬度と
弾性のバランスにおいても不十分となる。 【0033】本発明の水系被覆組成物は、必要により顔
料、充填剤、分散剤、湿潤剤、増粘剤、レオロジーコン
トロール剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、防錆剤等がそ
れぞれの目的に応じて選択、組み合わされて配合され、
クリアーコート剤、トップコート剤、塗料、アンダーコ
ート剤、布や紙の含浸剤、各種接着剤等として各種用途
に利用することができる。 【0034】 【実施例】実施例中の部は重量部を意味する。実施例中
に用いられる各測定値の測定方法は、下記の通りであ
る。物性測定に用いる試料フィルム(厚さが約100μ
m、幅10mm、長さ60mm)は、水系被覆組成物を
ガラス板上にて、室温5日間成膜して作成した。引張強
度は、テンシロン引張試験機((株)オリエンテックR
TAー100)、雰囲気25℃×65%RH、測定長3
0mm、引張速度300mm/分で測定した。耐水性
は、試料フィルムをイオン交換水中に室温にて1週間浸
漬後のフィルム状態を白化の有無で判定した。耐溶剤性
は、試料フィルムをアセトン中に室温にて24時間浸漬
後のフィルム状態で判定した。 【0035】水系ポリウレタン樹脂(A)の製造例 水酸基価が54.6のポリテトラメチレンカーボネート
ジオール(C4PCDL)1116部、イソホロンジイ
ソシアネート(IPDI)363部、トリエチルアミン
(TEA)55部、ジメチロールプロピオン酸(DMP
A)73部、メチルエチルケトン(MEK)1607
部、ジブチル錫ジラウレート(BTL)0.04部を還
流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にい
れ、80℃にて6時間ウレタン化反応を行い、NCO末
端のプレポリマー溶液を得た。30℃に調節した該プレ
ポリマー溶液に3.5%アジピン酸ジヒドラジド水溶液
4089部を撹拌しながら約30分かけて添加した。続
いてこれを減圧下に3時間かけて80℃まで昇温し、そ
のまま2時間保持することによってMEKを除去した
後、イオン交換水を加えて濃度を調整し、固形分30
%、粘度(B型粘度計、60rpm、20℃)16cp
s、粒径1040 、pH7.8のポリウレタンエマル
ジョン(A−1)を得た。 【0036】上記と同様の方法で、表1に示した原料を
使用して、表1に記載の性状を有する水系ポリウレタン
樹脂(A−2)、(A−3)をそれぞれ調整した。 ポリカルボニル化合物(B)の製造例 還流冷却器、滴下槽、温度計および撹拌装置を有する反
応器に、イオン交換水300部、ペレックスOTP(花
王(株)製、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムの4
0%水溶液)2部、エマルゲン950(花王(株)製、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの25%水
溶液)1部、ドデシルベンゼンスルホン酸1部を投入
し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、次にメタ
クリル酸11部、スチレン194部、アクリル酸ブチル
275部、ダイアセトンアクリルアミド20部、イオン
交換水330部、エマルゲン950を5部、過硫酸アン
モニウム1部の混合液を反応容器中へ滴下槽より3時間
かけて流入させた。流入中は反応容器中の温度を80℃
に保った。流入終了後、反応容器中の温度を85℃にし
て6時間保った。その後室温まで冷却し、25%アンモ
ニア水溶液を添加してpHを8に調整してから100メ
ッシュの金網で濾過し、固形分42.8%、粒径105
0 のカルボニル基含有共重合体水性エマルジョン(B
−1)を得た。 【0037】 【実施例1〜3、比較例1〜4】水系ポリウレタン樹脂
(A)とポリカルボニル化合物(B)を表2に示す配合
にして、それぞれ水系被覆組成物を得た。これらの組成
物は、全て40℃で1カ月の保存しても、ほとんど粘度
変化はなく、貯蔵安定性が良好であった。フィルムの物
性試験結果を表2に示す。 【0038】 【表1】 【0039】 【表2】 【0040】 【発明の効果】以上の結果からも明らかなように、本発
明による水系被覆組成物は製造が比較的容易な上、貯蔵
安定性に優れるばかりか、常乾で使用する場合において
も耐水性、耐溶剤性等の点において十分な物性を示すと
共に硬度と弾性のバランスのとれた皮膜を得ることがで
きる。従って、本発明により、クリアーコート剤、トッ
プコート剤、塗料、アンダーコート剤、布や紙の含浸
剤、各種接着剤等として各種用途に利用することができ
る優れた水系被覆組成物が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 175/04 C09D 5/00 C09D 179/08

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリイソシアネート化合物(a)と非イ
    オン系及び/またはイオン系親水性基(または後に親水
    性基に転化させ得る基)を有する活性水素化合物(b)
    から誘導されるNCO基を有するウレタンプレポリマー
    をヒドラジド基含有化合物と反応させて得られた水系ポ
    リウレタン樹脂(A)と、ポリカルボニル化合物(B)
    からなり、その固形分重量比が(A)/(B)=100
    /0.1〜0.5/100であることを特徴とする毒性
    の問題がなく貯蔵安定性も良好な水系被覆組成物。
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