JP2001049269A - A重油組成物 - Google Patents

A重油組成物

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JP2001049269A JP11222604A JP22260499A JP2001049269A JP 2001049269 A JP2001049269 A JP 2001049269A JP 11222604 A JP11222604 A JP 11222604A JP 22260499 A JP22260499 A JP 22260499A JP 2001049269 A JP2001049269 A JP 2001049269A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 近年の高性能エンジンへの使用に耐え得り、
冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりを起
こさず、かつ常温においてスラッジによるフィルターの
目詰まりを起こさないA重油組成物を提供する。 【解決手段】 A重油組成物は、水素化分解軽油および
エキストラクト(潤滑油中の芳香分を除く工程で副生す
る高芳香族分の油)を用いて得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、A重油組成物に関
する。更に詳しくは、近年の高性能エンジンへ十分な性
能を持ち、優れた低温流動性を有し、かつ常温でのフィ
ルター通油性能に優れるA重油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】A重油
は、ボイラー燃料やディーゼルエンジン燃料として用い
られているが、近年A重油に使用されるエンジンの高出
力化及び低燃費化等に伴い、A重油としては、より高性
能化の要望が年々高まっている。これら高性能エンジン
の燃料としてA重油を用いた場合、着火性の悪化や、煤
の発生が増大してバーナー及び炉内の清掃頻度が増える
といった燃焼性に関する問題が生じることがある。一
方、A重油としては、ガソリンや灯油に比べ重質分をよ
り多く含んでいるため、低温時のワックス析出が問題と
なることがある。低温時におけるワックス析出は、燃料
系統中の夾雑物防止用のフィルターを閉塞させ、最悪の
場合燃料供給が不可能となる恐れがある。低温時のワッ
クス析出を抑える方法としては、流動性向上剤を添加す
る方法が一般的であるが、実際の厳しい冬期の使用条件
下では充分な効果が発揮できないのが現状である。ま
た、従来は低温時のフィルター目詰まり性の判断に、目
詰まり点による試験が用いられてきた。この試験方法で
は流動性向上剤を添加することにより、低温流動性が改
善されるが、この試験方法は試料油の冷却速度が早く急
冷(約40℃/時間)であるため、実際の使用条件下と
は大きく異なる。冷却速度が遅ければ遅いほど、析出す
るワックスが大きくなりフィルターの目詰まりを起こす
ことが知られており、目詰まり点による評価では不十分
であることが分かっている。一般に、低温性能に優れた
A重油は、燃焼性が悪くなる場合が多く、これら全ての
性能を同時に満たすA重油が望まれている。また、残留
炭素分付与用基材から起因されるスラッジにより、常温
でも上記燃料系統中の夾雑物防止用のフィルターを閉塞
させ、燃料供給が不可能となる問題がしばしば生じる。
これを解決する方法として、残留炭素付与用基材から起
因されるスラッジを溶解するために、A重油製品の芳香
族分を多くすることが考えられる。しかし、A重油の芳
香族分を多くすると、燃焼性が悪化する傾向がある。こ
のように、低温性能、燃焼性、常温通油性能の全てを同
時に満たすA重油は得られていない。本発明の目的は、
近年の高性能エンジンへの使用に耐え得り、冬期におい
てワックスによるフィルターの目詰まりを起こさず、か
つ常温においてスラッジによるフィルターの目詰まりを
起こさないA重油組成物を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の基材を組
み合せて使用することにより、燃焼性が高く、冬期にお
いてワックスによるフィルターの目詰まりを起こさず、
かつ常温においてスラッジによるフィルターの目詰まり
を起こさないことを見出し本発明を完成させるに至っ
た。つまり、本発明のA重油組成物は、水素化分解軽油
およびエキストラクトを用いることを特徴とする。
【0004】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をさらに詳細に説
明する。本発明のA重油組成物は、水素化分解軽油およ
びエキストラクトを用いることが必要である。水素化分
解軽油は、A重油基材として使用する。本発明でいう水
素化分解軽油とは、水素化分解装置から得られる、軽油
留分である。具体的には、その蒸留性状として、50%
留出点が250〜350℃であり、15℃の密度が0.
810〜0.880g/cm3の範囲である。水素化分
解装置は、重質軽油等をアモルファス系Ni−Mo触媒
等の触媒条件下で、8〜15MPaの運転水素圧力下、
330〜450℃の運転反応温度で、液空間速度0.1
〜1.0/hの条件で水素化分解と同時に脱硫及び脱窒
素を行う。エキストラクトは、残留炭素分付与用基材と
して使用する。本発明でいうエキストラクトとは、フル
フラール等の溶剤を用いて潤滑油中の芳香族分を除く工
程で副生する高芳香族分の油であり、具体的には、その
性状として、15℃の密度が0.95〜1.05g/c
3、100℃における動粘度が5〜100mm2/s、
硫黄分が0.5〜5.0質量%である。本発明のA重油
組成物は上記した通り、水素化分解軽油及びエキストラ
クトを使用することが必要であるが、その他のA重油基
材および残留炭素付与用基材を併用して用いても良い。
その他のA重油基材としては、常圧蒸留装置より得られ
る直留灯油(又は脱硫処理した灯油)、直留軽質軽油
(又は脱硫処理した軽質軽油)、直留重質軽油(又は脱
硫処理した重質軽油)、流動接触分解装置及び/又は残
渣流動接触分解装置より得られる軽質サイクル油、減圧
蒸留装置より得られる減圧軽油を水素化脱硫した水素化
脱硫減圧軽油、直接A重油脱硫装置より得られる直脱軽
油等が挙げられる。これらの中の1種のみを併用しても
良く、2種以上を併用しても良い。その他の残留炭素付
与用基材としては、常圧残油、直脱残油、減圧残油、ス
ラリー油等が挙げられ、これらの中の1種のみを併用し
ても良く、2種以上を併用しても良い。本発明のA重油
組成物は上記した通り、水素化分解軽油及びエキストラ
クトを使用することが必要であるが、両者の配合量につ
いては特に制限はない。しかしながら、その効果を十分
に発揮させるためには、水素化分解軽油をA重油組成物
全量基準で50%以上使用することが好ましく、75%
以上使用することがより好ましく、85%以上使用する
ことがさらにより好ましく、90%以上使用することが
最も好ましい。また、残留炭素分についての免税条件を
満たすために、通常は99.5容量%以下、好ましくは
99容量%以下で使用される。また、残留炭素分につい
ての免税条件を満たすために、エキストラクトは通常A
重油組成物全量基準で0.5容量%以上、好ましくは1
容量%以上で使用される。また、ドライスラッジによる
常温でのフィルター目詰まり、低温流動性等を考慮する
と、5容量%以下で使用されることが好ましく、3容量
%以下で使用されることがより好ましい。
【0005】本発明のA重油組成物の飽和分および芳香
族分については、特に制限はない。しかしながら、飽和
分は燃焼性、冬期においてワックスによるフィルターの
目詰まりの防止等の点から、55容量%以上であること
が好ましく、60%容量以上であることがより好まし
く、65容量%以上であることがさらにより好ましく、
70容量%以上であることがさらにより一層好ましく、
75容量%以上であることが最も好ましい。また、芳香
族分は燃焼性の点から、45容量%以下であることが好
ましく、35容量%以下であることがより好ましく、3
0容量%以下であることがさらにより好ましく、25容
量%以下であることが最も好ましい。本発明において、
飽和分及び芳香族分とは、JPI−5S−49−97
「炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ
法」に準拠して測定された値を表すものを意味してい
る。上記飽和分に含まれるノルマルパラフィン、イソパ
ラフィン、ナフテン等のそれぞれの含有量については特
に制限はない。しかしながら、燃焼性、冬期においてワ
ックスによるフィルターの目詰まりの防止等の点を、全
て同時に満たすことができ、かつこれらの効果により優
れることから、A重油組成物全量基準でナフテン分が4
0質量%以上であることが好ましく、45質量%以上で
あることがより好ましく、50質量%以上であることが
さらにより好ましく、55質量%以上であることが最も
好ましい。また、同様の理由によりA重油組成物全量基
準で一環ナフテン分が25質量%以上であることが好ま
しく、30質量%以上であることがより好ましく、35
質量%以上であることがさらにより好ましい。また、低
温時のワックス析出を減少させる点から、ノルマルパラ
フィンは20質量%以下であることが好ましく、15質
量%以下であることがより好ましい。本発明において、
ナフテン分及び一環ナフテン分とは、ASTM D27
86「質量分析法」に準拠して得られたA重油組成物全
量を基準とした値を表すものを意味し、ノルマルパラフ
ィンは、以下に示すガスクロマトグラフィー法により定
量されるA重油組成物全量を基準としたノルマルパラフ
ィン分の含有量を表すものを意味している。 カラム:ステンレス製 内径0.25mm、長さ25m インジェクション温度:360℃ キャリアーガス:ヘリウム 検出器:水素炎イオン化方式(FID) カラム温度速度:8℃/min(140−355℃)
【0006】本発明において、セタン指数およびセタン
価は特に制限はない。しかしながら、セタン指数は燃焼
性の点から、58以上であることが好ましく、60以上
であることがより好ましい。また、セタン価は燃焼性に
より優れる点から、58以上であることが好ましく、6
0以上であることがより好ましく、62以上であること
が最も好ましい。本発明において、セタン指数はJIS
K 2204−1992「軽油」に準拠して得られた
値を表すものを意味している。つまり次の式によって算
出する。 セタン指数(C)=0.49083+1.06577(X)−0.001052
2(X)2 X=97.833(logA)2+2.2088BlogA+0.01247
2−423.51logA−4.7808B+419.59 A:(9/5)[101.3kPa(760mmHg)における50
%留出温度(℃)]+32 B:API度(101.3kPa(760mmHg)における50
%留出温度(℃)は、JIS K2254「石油製品−
蒸留試験方法」によって測定し、API度は、JISK
2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度
・質量・容量換算表」によって15℃の密度から換算し
て求める。) また、セタン価とは、JIS K 2280「石油製品
−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタ
ン指数算出方法」に準拠して得られた値を表すものを意
味している。本発明のA重油組成物の曇り点は特に制限
はないが、燃料系統中の夾雑物阻止用のフィルターを閉
塞させる低温時のワックス析出を減少させる点から、−
8℃以下であることが好ましく、−10℃以下であるこ
とがより好ましく、−12℃以下であることがさらによ
り好ましく、−15℃以下であることが最も好ましい。
本発明のA重油組成物は、流動点については特に制限は
ないが、低温時のワックス析出を減少させる点から、−
15℃以下であることが好ましい。本発明において、曇
り点及び流動点とは、JIS K 2269「原油及び
石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に準
拠して得られた値を表すものを意味している。
【0007】また、本発明のA重油組成物のCFPP
(目詰まり点)については特に制限はないが、冬期にお
いてワックスによるフィルター目詰まりの防止の点によ
り優れることから、−10℃以下であることが好まし
く、−12℃以下であることがより好ましく、−15℃
以下であることが最も好ましい。本発明において、CF
PPとは、JIS K 2288「軽油−目詰まり点試
験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味してい
る。また、本発明のA重油組成物の−10℃におけるワ
ックス含有量については特に制限はないが、冬期におい
てワックスによるフィルター目詰まりの防止の点により
優れることから、1.0質量%以下であることが好まし
く、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.
3質量%以下であることが最も好ましい。本発明におい
て、−10℃におけるワックス含有量とは、メンブラン
フィルター、メチルエチルケトン−アセトン混合溶剤及
び試料を−10℃まで冷却し、試料17gを、目開き
5.0μmのメンブランフィルターで吸引ろ過し、フィ
ルター上のワックスをメチルエチルケトン−アセトン混
合溶剤30mlで洗浄した後、フィルターに捕集したワ
ックス量を測り、試料全量に対するワックス量を表すも
のを意味している。また、本発明のA重油組成物の硫黄
分、窒素分については特に制限はないが、排ガス中の有
害物質を低減するには、硫黄分は0.5質量%以下であ
ることが好ましく、0.3質量%以下であることがより
好ましく、0.2質量%以下であることが最も好まし
い。窒素分は0.02質量%以下であることが好まし
く、0.015質量%以下であることがより好ましく、
0.01質量%以下であることが最も好ましい。本発明
において、硫黄分、窒素分とは、それぞれ、JIS K
2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」、J
IS K 2609「原油及び石油製品−窒素分試験方
法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の10%残留炭素分は0.2重量
%以上であり、好ましくは0.2〜1.0重量%であ
る。この範囲より小さい場合、10%残留炭素分が0.
2重量%以上というA重油の免税条件を満たさなくな
る。また、10%残留炭素分が好ましい範囲より多くな
った場合、色相が悪くなり商品のイメージが悪くなる、
ドライスラッジが増え、常温でフィルターに目詰まりを
起こしやすくなる、低温流動性に悪影響を及ぼす等の恐
れがある。本発明において、10%残留炭素分とは、J
IS K 2270「原油及び石油製品−残留炭素分試
験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味してい
る。本発明のA重油の色相については特に制限はない
が、商品のイメージ及び常温及び低温時のフィルター目
詰まりの点から、7.0以下であることが好ましく、
6.0以下であることがより好ましく、5.0以下であ
ることが最も好ましい。本発明において、色相とは、J
IS K 2580「石油製品−色試験方法」に準拠し
て得られる「ASTM色」を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物のアスファルテン分は特に制限は
ないが、色相やドライスラッジによる常温でのフィルタ
ー目詰まり、低温流動性等の点から、0.01質量%以
下であることが好ましく、0.005質量%以下である
ことがより好ましく、0.002質量%以下であること
が最も好ましい。本発明において、アスファルテン分と
は、IP143「アスファルテン分試験方法」に準拠し
て得られた値を表すものを意味している。本発明のA重
油組成物のドライスラッジ量については特に制限はない
が、常温でのフィルター目詰まりが起こり難くなる点か
ら、2.0mg/100ml以下であることが好まし
く、1.5mg/100ml以下であることがより好ま
しく、1.0mg/100ml以下であることが最も好
ましい。本発明において、ドライスラッジ量とは、常温
において、試料を目開き1.2μmのフィルターで吸引
ろ過し、ろ過後のフィルター及びフィルター上の残留物
をn−ヘプタンで洗浄し乾燥後残留物の質量から、試料
100ml当りの残留物の質量で表される値を意味して
いる。
【0008】また、本発明のA重油組成物の蒸留性状に
ついては何ら制限はないが、通常は下記性状を満たすも
のが用いられる。 蒸留初留点: 130〜210℃ T10: 180〜260℃ T50: 250〜330℃ T90: 300〜380℃ 本発明において、上記蒸留性状は、JIS K 225
4「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して得られる値を
意味している。本発明のA重油組成物の動粘度について
は特に制限はないが、通常30℃で3〜5mm2/s、
50℃で2〜3.5mm2/sのものが用いられる。本
発明において、動粘度とは、JIS K 2283「原
油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方
法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の引火点については特に制限はな
いが、通常50〜120℃のものが用いられる。本発明
において、引火点とは、JIS K 2265「原油及
び石油製品−引火点試験方法」に準拠して得られた値を
表すものを意味している。本発明のA重油組成物の総発
熱量については特に制限はないが、通常35000〜5
0000J/gのものが用いられる。本発明において、
総発熱量とは、JIS K 2279「原油及び石油製
品−発熱量試験方法及び計算による推定方法」に準拠し
て得られた値を表すものを意味している。本発明のA重
油組成物の水分含有量については特に制限はないが、通
常0.05容量%以下のものが用いられる。本発明にお
いて、水分含有量とは、JIS K 2275「原油及
び石油製品−水分試験方法」に準拠して得られた値を表
すものを意味している。本発明のA重油組成物の密度に
ついては特に制限はないが、通常0.8〜0.92g/
cm3のものが用いられる。本発明において、密度と
は、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試
験方法及び密度・質量・容量換算表」に準拠して得られ
た値を表すものを意味している。
【0009】以上のように本発明のA重油組成物は、水
素化分解軽油およびエキストラクトを用いることによ
り、燃焼性が高く、冬期においてワックスによるフィル
ターの目詰まりを起こさず、かつ常温においてスラッジ
によるフィルターの目詰まりを起こさないものである。
また、本発明のA重油組成物としては、必要に応じて添
加剤を配合することができる。ここでいう添加剤として
は、セタン価向上剤、酸化防止剤、安定化剤、分散剤、
金属不活性化剤、微生物殺菌剤、助燃剤、帯電防止剤、
識別剤、着色剤等の各種添加剤が挙げられ、これら添加
剤を適宜加えることができる。これらの中でも、冬期に
おいてワックスによるフィルター目詰まりを防止する効
果により優れることから、流動性向上剤を添加すること
が好ましい。流動性向上剤としては、たとえばエチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重
合体等のポリマー型添加剤、油溶性分散剤型添加剤及び
アルケルコハク酸等を用いることが出来る。また、流動
性向上剤の添加量については何ら制限はないが、A重油
組成物全量基準で0.001〜0.1容量%であること
が好ましく、0.01〜0.03質量%であることがよ
り好ましい。
【0010】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるも
のではない。実施例1〜3及び比較例1,2 表1に示す性状を有する各基材(水素化分解軽油、直留
軽油、分解軽油、エキストラクト、常圧残油)を表2の
各例に示すような容量比で混合し、実施例1〜3及び比
較例1,2のA重油組成物を調製し、これら調整した各
組成物の性状を表2に記載した。各試料油(各組成物)
について、低温流動性性能評価、燃焼性性能評価及び常
温通油性性能評価を下記の方法により行った。その結果
を表2に併記した。低温流動性性能評価 以下の方法により、低温時における燃料フィルター前後
での負圧の大きさを測定し低温流動性の性能評価を行っ
た。試験器としては、ビニールハウス栽培の加温用に使
用されている暖房機のバーナー部分と、それに付帯する
燃料フィルター(100メッシュ)からなる低温流動性
試験器を用いて行った。試験条件は冬期の厳しい外気温
度変化をもとに、冷却速度0.5℃/h、冷却開始温度
5℃、ソーキングは試験温度で5時間とした。判定は燃
料フィルター前後で負圧を1時間測定し、測定時間中負
圧が700mmHg以下である場合を合格とし、測定時
間中に負圧が700mmHgより大きくなることがあっ
た場合を不合格とした。負圧測定が合格となる最低温度
を表2に示した。燃焼性性能評価 以下の方法により、着火遅れを測定することにより燃焼
性の性能評価を行った。着火遅れは、エンジン性能、排
ガスに悪影響を与え、特に近年の高性能エンジンにおけ
るトラブルの主要原因となる。燃焼室の容積が1リット
ルである燃料着火性試験機を用い、圧力45バーレル、
温度450℃の空気中に燃料を噴射して、噴射から着火
するまでの時間を測定した。その結果を表2に示した。常温通油性性能評価 以下の方法により、常温時における通油時間を測定する
ことにより常温通油性の性能評価を行った。孔径5μm
のフィルターを用いて、負圧を500mmHgとし、5
00mlの試料をろ過する際の通油時間を測定した。そ
の結果を表2に示した。常温時の通油性が悪い場合は、
フィルターに目詰まりを起こし、通油時間が長くなる。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】表2の結果から明らかなように、本発明に
かかる実施例1〜3のA重油組成物は、いずれも着火性
がよく燃焼性に優れ、近年の高性能エンジンへ十分な性
能を持ち、優れた低温流動性を有し、且つ常温でのフィ
ルター通油性能に優れることが分かる。これに対して、
水素化分解軽油を含まない比較例1は、低温流動性及び
燃焼性が悪く、エキストラクトを含まない比較例2は、
常温通油性が悪い。
【0014】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、燃焼性が
高く、近年の高性能エンジンへの使用に耐え得り、冬期
においてワックスによるフィルターの目詰まりを起こさ
ず、かつ、常温においてスラッジによるフィルターの目
詰まりを起こさないA重油組成物が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 和夫 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 上原 淳 東京都港区西新橋一丁目3番12号 日石三 菱株式会社内 Fターム(参考) 4H013 CB02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素化分解軽油およびエキストラクトを
    用いて得られるA重油組成物。
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