JP5046979B2 - A重油組成物 - Google Patents

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明は、A重油組成物に関する。更に詳しくは、近年の外燃機器用ボイラーへ十分な性能を持ち、燃料容量当りの発熱量が高い省燃費で、かつ優れた低温流動性を有し、低温でのフィルター通油性能に優れるJIS1種重油規格を満たすA重油組成物に関する。
従来、A重油組成物の基材としては、原油の常圧蒸留装置から得られる直留灯油又は脱硫処理した灯油、直留軽質軽油又は脱硫処理した軽質軽油、重質軽油、分解装置から得られる接触分解軽油、直接脱硫装置から得られる直脱軽油が知られている。従来のA重油組成物は上記基材を1種または2種以上配合し、その他に残留炭素基材として、常圧残油、直脱残油、減圧残油を1種または2種以上付与することにより製造されている。また、これらのA重油組成物には、必要に応じてセタン価向上剤や低温流動性向上剤等の添加剤が配合される(例えば、非特許文献1参照。)。
小西誠一著,「燃料工学概論」,裳華房,1991年3月,p.136−144
A重油組成物は、ボイラー等の外燃機器燃料、小型漁船や建設機械等のオフロード用ディーゼルエンジン機器燃料、ガスタービン機器燃料などとして広く用いられている。
A重油組成物を用いる各種燃焼機器には、燃料油中の異物を除去する目的で、燃料系統に目開き5〜250μmのフィルターが設けられている。しかし、このような燃焼機器を冬季に使用すると、A重油組成物から析出したワックスなどにより、フィルターの閉塞が起こりやすくなる。
さらに近年A重油組成物に使用されるボイラーやエンジンの高出力化及び低燃費化等に伴い、A重油組成物としては、より高性能化の要望が年々高まっている。これら高性能ボイラーへの燃料としてA重油組成物を用いた場合、着火性の悪化や、煤の発生が増大するといった燃焼性に関する問題が生じることがある。
そこで、かかる問題を解決すべく、A重油組成物の低温流動性および燃焼性を改善するための検討が行われており、低温流動性能の改善には芳香族分の増配合、低温流動性向上剤の添加、残渣油の増量などの方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3及び非特許文献2を参照。)。
しかし、上述の各方法で得られるA重油組成物はそれぞれ次の点で改善の余地があり、いずれもA重油組成物として実用に供し得るには未だ十分とは言えない。すなわち、芳香族分の増配合は燃焼ガス中の煤塵量の増加や着火不良の原因となる。また、低温流動性向上剤の性能は、使用基材との相性によるところが多く、単に添加するだけではA重油組成物として充分な低温性能を得ることは困難である。残留炭素基材の増量は燃焼ガス中の煤塵量の増加の原因となり得るばかりか、他基材との溶解性が悪化し、常温時のスラッジ生成に伴うフィルター通油性が懸念される。
通常、低温性能に優れたA重油組成物は、パラフィン量が少なくなり燃焼性が悪くなる場合が多い。また、容量当りの発熱量が高い場合もパラフィン量が少なくなり燃焼性が悪くなる場合が多い。このように、発熱量が高く、低温性能、燃焼性の両方を同時に満たすA重油組成物は得られていない。
特開2000−144152号公報 特開2001−279272号公報 特開2005−194423号公報 野村宏次,「舶用燃料の科学」,成山堂,1994年,p.164−166
JIS1種重油規格を満たすA重油組成物は、ボイラー燃料やオフロード用ディーゼルエンジン燃料として用いられているが、近年A重油組成物に使用されるボイラーの高出力化及び低燃費化等に伴い、A重油組成物としては、容量当りの発熱量の高く、また高性能化の要望が年々高まっている。これら高性能ボイラーの燃料としてA重油組成物を用いた場合、着火性の悪化や、煤の発生が増大してバーナー及び炉内の清掃頻度が増えるといった燃焼性に関する問題が生じることがある。一方、A重油組成物としては、ガソリンや灯油に比べ重質分をより多く含んでいるため、低温時のワックス析出が問題となることがある。低温時におけるワックス析出は、燃料系統中の夾雑物防止用のフィルターを閉塞させ、最悪の場合燃料供給が不可能となる恐れがある。低温時のワックス析出を抑える方法としては、流動性向上剤を添加する方法が一般的であるが、実際の厳しい冬期の使用条件下では充分な効果が発揮できないのが現状である。また、従来は低温時のフィルター目詰まり性の判断に、目詰まり点による試験が用いられてきた。流動性向上剤を添加することにより、低温流動性が改善されるが、この試験方法は試料油の冷却速度が急冷(約40℃/時間)であるため、実際の使用条件下とは大きく異なる。冷却速度が遅ければ遅いほど、析出するワックスが大きくなりフィルターの目詰まりを起こすことが知られており、目詰まり点による評価では不十分であることが分かっている。
一般に、容量当りの発熱量の高く、低温性能に優れたA重油組成物は、燃焼性が悪くなる場合が多く、これら全ての性能を同時に満たすA重油組成物が望まれている。
このように、低燃費性、低温性能と燃焼性の全てを同時に満たすA重油組成物は得られていない。本発明の目的は、容量当りの発熱量が高く、近年の高性能ボイラーの使用に耐え得り、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりを起こさないA重油組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定性状の基材を組み合わせて使用することにより、燃焼性が高く、かつ冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりを起こさないことを見出し本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、炭素数16から25までの直鎖飽和分量が30質量%以下であり、2環芳香族分量が40容量%以下であり、−15℃における析出ワックス量が2.5質量%以下である接触分解軽油をA重油組成物全量基準で15〜99容量%配合することを特徴とするセタン指数が30以上43.5以下であり、密度が879kg/m 以上940kg/m 以下で、かつJIS1種重油規格を満たす外燃機器用ボイラーに用いられるA重油組成物に関する。
また本発明のA重油組成物は、飽和分量を10容量%以上であり、オレフィン分量が15容量%以下である接触分解軽油を配合することが望ましい。
また本発明のA重油組成物は、引火点が60℃以上であり、50℃における動粘度が2.7mm/s以下である接触分解軽油を配合することが望ましい。
本発明によれば、燃焼性が良く、近年の高性能ボイラーへの使用に耐え得り、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりを起こさないA重油組成物が得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のA重油組成物は、炭素数16から25までの直鎖飽和分量が30質量%以下であり、2環芳香族分が40容量%以下であり、−15℃における析出ワックス量が2.5質量%以下である接触分解軽油(LCO)を用いることを特徴とする。
本発明のA重油組成物に用いる接触分解軽油の炭素数16から25までの直鎖飽和分量は30質量%以下であることが必要であり、25質量%以下であることが好ましい。接触分解軽油の炭素数16から25までの直鎖飽和分量が30質量%より多い場合は容量当りの発熱量が小さくなり、さらに、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりを起こりやすくなる。
本発明において、炭素数16から25までの直鎖飽和分量(直鎖飽和炭化水素含有量)は、GC−FIDを用いて測定される値(質量%)である。すなわち、カラムにはメチルシリコンのキャピラリーカラム(ULTRAALLOY−1)、キャリアガスにはヘリウムを、検出器には水素イオン検出器(FID)を用い、カラム長30m、キャリアガス流量1.0mL/min、分割比1:79、試料注入温度360℃、カラム昇温条件140℃→(8℃/min)→355℃、検出器温度360℃の条件で測定された値である。
本発明のA重油組成物に用いる接触分解軽油の2環芳香族分量は40容量%以下であることが必要であり、35容量%以下であることが好ましい。接触分解軽油の2環芳香族分量が40容量%より多い場合、外燃機器用ボイラーにおいて着火性の悪化や、煤の発生が増大しやすくなる。
本発明において、2環芳香族分量とは、JPI−5S−49−47「炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に準拠して得られる値を意味する。
本発明のA重油組成物に用いる接触分解軽油の−15℃における析出ワックス量は2.5質量%以下であることが必要であり、2.0質量%以下であることが好ましい。接触分解軽油の−15℃における析出ワックス量が2.5質量%より多い場合は容量当りの発熱量が小さくなり、さらに、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりを起こりやすくなる。
本発明において、−15℃における析出ワックス量とは、試料10mlを低温恒温槽内で−15℃まで冷却し、析出したワックスを吸引ろ過によりミリポアファイルタ(細孔径5.0μm、直径47mm)に捕集した後、常温にてワックスが捕集されたフィルターをヘキサンで洗浄し、乾燥させフィルター重量からワックス量を定量して得られる値を意味する。
本発明における接触分解軽油とは、流動接触分解装置または残渣流動接触分解装置から得られる軽油留分のことを指す。
本発明において、接触分解軽油はA重油基材として使用する。
本発明のA重油組成物に用いる接触分解軽油の飽和分量は10容量%以上であることが好ましく、12容量%以上であることがより好ましい。接触分解軽油の飽和分量が10容量%より少ない場合、外燃機器用ボイラーにおいて着火性の悪化や、煤の発生が増大しやすくなる。
本発明において、飽和分量とは、JPI−5S−49−47「炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に準拠して得られる値を意味する
本発明のA重油組成物に用いる接触分解軽油のオレフィン分量は15容量%以下であることが好ましく、12容量%以下であることがより好ましい。接触分解軽油のオレフィン分量が15容量%より多い場合、外燃機器用ボイラーにおいて着火性の悪化や、煤の発生が増大しやすくなる。
本発明において、オレフィン分量とは、JPI−5S−49−47「炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に準拠して得られる値を意味する
本発明のA重油組成物に用いる接触分解軽油の密度は879kg/m以上940kg/m以下であることが好ましい。接触分解軽油の密度が879kg/mより低い場合、容量当りの発熱量が小さくなり、また冬期においてはワックスによるフィルターの目詰まりを起こりやすくなる。また、接触分解軽油の密度が940kg/mより高い場合、外燃機器用ボイラーにおいて着火性の悪化や、煤の発生が増大しやすくなる。
本発明において、密度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」に準拠して得られる値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物に用いる接触分解軽油の引火点は60℃以上であることが好ましく、62℃以上であることがさらに好ましい。接触分解軽油の引火点が60℃より低い場合、A重油基材として引火点規格を満足することが困難になる。
本発明において、引火点とは、JIS K 2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」に準拠して得られる値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物に用いる接触分解軽油の50℃における動粘度は2.7mm/s以下であることが好ましく、2.5mm/s以下であることがより好ましい。接触分解軽油の動粘度が2.7mm/sより大きい場合、燃料噴射システム内部の抵抗が増加して噴射系が不安定化し、排出ガス中のNOx、PMの濃度が高くなってしまう。
ここでいう動粘度とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される動粘度を意味する。
本発明のA重油組成物を構成する接触分解軽油の配合割合に関しては、特に制限しないが、その効果を十分に発揮させるためには、接触分解軽油をA重油組成物全量基準で15容量%以上使用することが好ましく、20容量%以上使用することがより好ましく、25容量%以上使用することがさらに好ましく、30容量%以上使用することが特に好ましく、35容量%以上使用することが最も好ましい。しかし、接触分解軽油を多くすると、燃焼性が悪化する傾向があるため、燃焼性を考慮すると99容量%以下で使用されることが好ましく、95容量%以下で使用されることがより好ましく、90容量%以下で使用されることが特に好ましい。
本発明のA重油組成物において、接触分解軽油以外のA重油基材としては、常圧蒸留装置より得られる直留軽油留分またはその脱硫軽油留分、直留灯油留分またはその脱硫灯油留分、水素化分解軽油、水素化分解灯油、残油脱硫軽油留分、水素化脱硫軽油留分または水素化精製軽油留分の抽出によりノルマルパラフィン分を除去した残分である脱ノルマルパラフィン軽油留分、重質軽油留分、減圧軽油を脱硫した軽油、流動接触分解灯油が挙げられる。本発明においては、これらの中の1種もしくは2種以上からなる基材に、上記した流動接触分解軽油を配合する。
A重油組成物には残留炭素基材が配合される場合もある。
残留炭素基材の種類は特に限定するものではないが、常圧残油、残油脱硫重油、減圧残油、スラリー油、エキストラクト油等が挙げられ、これらを単独、もしくは2種以上併用して用いる。ここで常圧残油とは、常圧蒸留装置で原油を常圧において蒸留して得られる残油である。残油脱硫重油とは、残油脱硫装置において常圧残油または減圧残油を脱硫したときに得られる重油である。減圧残油とは、減圧蒸留装置で常圧残油を減圧下で蒸留して得られる残油である。スラリー油はとは、流動接触分解装置から得られる残油である。エキストラクト油とは、潤滑油原料用減圧蒸留装置からの留分を、溶剤抽出法により抽出分離したもののうち潤滑油に適さない芳香族成分のことである。
流動接触分解軽油を配合して得られる本発明のA重油組成物は、JIS1種重油規格を満たすものであることが必要である。
JIS1種重油規格とは、JIS K 2205「重油」に規定された「1種」を満足させる規格であり、具体的には引火点60℃以上、流動点5℃以下、残留炭素分4質量%以下、50℃における動粘度20mm/s以下、硫黄分2.0質量%以下、水分0.3容量%以下、灰分0.05質量%以下であることが必要である。
本発明のA重油組成物の引火点は、JIS1種重油規格である60℃以上であることが必要である。引火点が60℃に満たない場合には、安全上の理由によりA重油組成物として取り扱うことができない。同様の理由により、引火点は61℃以上であることが好ましく、62℃以上であることがより好ましい。
本発明において、引火点とは、JIS K 2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」に準拠して得られる値を表すものを意味している。
また、本発明のA重油組成物の流動点は、JIS1種重油規格である5℃以下であることが必要である。さらに、低温流動性の観点から、2.5℃以下であることが好ましい。
ここで流動点とは、JIS K 2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」により測定される流動点を意味する。
本発明のA重油組成物における残留炭素分は、JIS1種重油規格である4質量%以下であることが必要である。さらに、微小粒子やPM低減の観点、並びにエンジンに搭載される排ガス後処理装置の性能維持の観点から、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
ここでいう残留炭素分とは、JIS K 2270「原油及び石油製品−残留炭素分試験方法」により測定される残留炭素分を意味する。
本発明のA重油組成物の10%残留炭素分については特に制限はないが、税法上のA重油の免税条件である「10%残油の残留炭素分0.2質量%以上」の点から0.2質量%以上であることが要望されている。しかし、スラッジによるフィルター目詰まり防止の点から、0.8質量%以下が好ましく、0.6質量%以下がより好ましい。
ここでいう10%残留炭素分とは、JIS K 2270「原油及び石油製品−残留炭素分試験方法」により測定される残留炭素分を意味する。
本発明のA重油組成物における50℃における動粘度は、JIS1種重油規格である20mm/s以下であることが必要であり、15mm/s以下であることが好ましい。50℃における動粘度が20mm/sより大きい場合、燃料噴射システム内部の抵抗が増加して噴射系が不安定化し、排出ガス中のNOx、PMの濃度が高くなってしまう。
ここでいう動粘度とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される動粘度を意味する。
本発明のA重油組成物における硫黄分は、JIS1種重油規格である2質量%以下であることが必要である。さらに、微小粒子やPM低減の観点、並びにエンジンに搭載される排ガス後処理装置の性能維持の観点から、1.5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
ここでいう硫黄分とは、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により測定される残留炭素分を意味する。
本発明のA重油成物においては、水分の含有量はJIS1種重油規格である0.3容量%以下であることが必要である。さらに、部材への悪影響の観点から、0.2容量%以下であることが好ましく、0.1容量%以下であることがより好ましい。
なお、本発明でいう水分とは、JIS K 2275「水分試験方法(原油および石油製品)」によって測定される値を意味する。
本発明のA重油成物においては、灰分の含有量はJIS1種重油規格である0.05質量%以下であることが必要である。さらに、微小粒子やPM低減の観点から、0.04質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以下であることがより好ましい。
なお、本発明でいう灰分とは、JIS K 2272「原油及び石油製品の灰分並びに硫酸灰分試験方法」によって測定される値を意味する。
本発明のA重油組成物のセタン指数は特については制限はないが、セタン指数は燃焼性の点から、30以上であることが好ましく、35以上であることがより好ましい。本発明において、セタン指数はJIS K 2204−1992「軽油」に準拠して得られる値を表すものを意味している。つまり次の式によって算出する。
[セタン指数(C)=0.49083+1.06577(X)−0.0010522(X)2]
[X=97.833(logA)2+2.2088BlogA+0.01247B2−423.51logA−4.7808B+419.59]
A:(9/5)[101.3kPa(760mmHg)における50容量%留出温度(℃)]+32
B:API度(101.3kPa(760mmHg)における50容量%留出温度(℃)は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」によって測定し、API度は、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」によって15℃の密度から換算して求める。)
本発明のA重油組成物の曇り点については特に制限はないが、燃料系統中の夾雑物阻止用のフィルターを閉塞させる低温時のワックス析出を減少させる点から、7℃以下であることが好ましく、6℃以下であることがより好ましく、5℃以下であることがさらにより好ましく、4℃以下であることが最も好ましい。
本発明において、曇り点とは、JIS K 2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に準拠して得られる値を表すものを意味している。
また、本発明のA重油組成物のCFPP(目詰まり点)については特に制限はないが、冬期においてワックスによるフィルター目詰まりの防止の点により優れることから、−3℃以下であることが好ましく、−5℃以下であることがより好ましく、−7℃以下であることが最も好ましい。
本発明において、CFPPとは、JIS K 2288「軽油−目詰まり点試験方法」に準拠して得られる値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の修正目詰まり点については特に制限はないが、冬期においてワックスによるフィルター目詰まりの防止の点により優れることから、−3℃以下であることが好ましく、−5℃以下であることがより好ましい。修正目詰まり点が−3℃より高い場合は、冬季にポンプやバーナーのフィルター閉塞が起こり易くなるため好ましくない。
なお、本発明でいう修正目詰まり点は、石油学会規格 JPI−5S−47−96「A重油の低温流動性試験方法」の解説に記載の修正法4で測定される値を意味する。
また、本発明のA重油組成物の窒素分については特に制限はないが、排ガス中の有害物質を低減するには、0.02質量%以下であることが好ましく、0.015質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが最も好ましい。
本発明において窒素分とは、JIS K 2609「原油及び石油製品−窒素分試験方法」に準拠して得られる値を表すものを意味している。
また、本発明のA重油組成物の蒸留性状については何ら制限はないが、通常は下記性状を満たすものが好ましい。
10容量%留出温度(T10): 180〜280℃
50容量%留出温度(T50): 240〜340℃
90容量%留出温度(T90): 280〜380℃
本発明において、上記蒸留性状は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して得られる値を意味している。
本発明のA重油組成物の密度については特に制限はないが、通常800〜940kg/mであることが好ましい。
本発明において、密度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」に準拠して得られる値を表すものを意味している。
また、本発明のA重油組成物には、必要に応じて添加剤を配合することができる。ここでいう添加剤としては、セタン価向上剤、酸化防止剤、安定化剤、分散剤、金属不活性化剤、微生物殺菌剤、助燃剤、帯電防止剤、識別剤、着色剤等の各種添加剤が挙げられ、これら添加剤を適宜加えることができる。これらの中でも、冬期においてワックスによるフィルター目詰まりを防止する効果により優れることから、流動性向上剤を添加することが好ましい。流動性向上剤としては、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリマー型添加剤、油溶性分散剤型添加剤及びアルケルコハク酸等を用いることが出来る。また、流動性向上剤の添加量については何ら制限はないが、A重油組成物全量基準で0.001〜0.1容量%であることが好ましく、0.01〜0.05質量%であることがより好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
[実施例1,2及び比較例1〜4]
表1に示す性状を有する各基材(流動接触分解軽油、直留軽油、残留炭素基材)を表2の各例に示すような容量比で混合し、実施例1、2及び比較例1〜3のA重油組成物を調製し、これら調製した各組成物の性状を表2に記載した。各試料油(各A重油組成物)について、低温流動性性能評価、燃焼性性能評価を下記の方法により行った。その結果を表3に記した。
(低温流動性性能評価)
試料容器として、20Lペール缶を用意し、ペール缶の上面に試料吸引管を差し込む穴を設けた。穴の形成位置は、上面の中心と外周上の点とを結ぶ直線の中点とした。一方、試料吸引管として外径10mmの銅管を用意し、その一端をシリコンゴム管を介してフィルター(ネポン株式会社製、コードNo.120267)の入口に接続した。また、フィルターの出口を銅管を介して吸引ポンプに接続した。吸引ポンプは、通油量を1〜10L/hrの範囲内で調節可能なものを用いた。
次に、温度が20〜25℃の試料(A重油組成物)約15Lを上記のペール缶に入れ、ペール缶の上面の穴に試料吸引管付き蓋をした後、ペール缶とフィルターとを低温恒温槽内に収容し、ポンプを駆動させ、通油量が9.5±0.2L/hrとなるようにポンプ圧力を調整した。低温恒温槽としては、プログラム温度調節機能を備え、温度制度±0.5℃以内で−30℃以下まで冷却可能な恒温槽を用いた。ペール缶とフィルターとを低温恒温槽に収容した後、低温恒温槽内を所定の温度プロファイルで冷却し、吸引ポンプを駆動させた。より具体的には、試料の曇り点より8℃高い温度から冷却速度1℃/hrで所定の温度まで冷却した。その温度で3時間保持し、圧力計で圧力を測定して通油限界を判定した。通油限界の判定は、保持温度で60分間通油中に差圧が33kPa(250mmHg)以下である場合を合格、33kPaを超えた場合を不合格とし、不合格となるまで1℃間隔で保持温度を低くして試験を繰り返した。 判定が不合格となった最高温度(目詰まり温度)を低温性能の評価の指標とした。なお、試料は試験ごとに新油に取り替えた。目詰まり温度が−9℃以下を良好(○)、−8℃以上を不良(×)と判断した。得られた結果を表3に示す。
(燃焼性性能評価)
以下の方法により、着火遅れを測定することにより燃焼性の性能評価を行った。着火遅れは、エンジン性能、排ガスに悪影響を与え、特に近年の高性能エンジンにおけるトラブルの主要原因となる。燃焼室の容積が1リットルである燃料着火性試験機を用い、圧力45バーレル、温度450℃の空気中に燃料を噴射して、噴射から着火するまでの時間を着火遅れ時間として測定した。着火遅れ時間が5ms以下を良好(○)、5ms以上を不良(×)と判断した。得られた結果を表3に示す。
表3の結果から明らかなように、本発明にかかる実施例1,2のA重油組成物は、いずれも着火性がよく燃焼性に優れ、近年の高性能エンジンへ十分な性能を持ち、低温時のフィルター通油性能に優れることが分かる。
Figure 0005046979
Figure 0005046979
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Claims (3)

  1. 炭素数16から25までの直鎖飽和分量が30質量%以下であり、2環芳香族分量が40容量%以下であり、−15℃における析出ワックス量が2.5質量%以下である接触分解軽油をA重油組成物全量基準で15〜99容量%配合することを特徴とするセタン指数が30以上43.5以下であり、密度が879kg/m 以上940kg/m 以下で、かつJIS1種重油規格を満たす外燃機器用ボイラーに用いられるA重油組成物。
  2. 飽和分量が10容量%以上であり、オレフィン分量が15容量%以下である接触分解軽油を配合することを特徴とする請求項1に記載のA重油組成物。
  3. 引火点が60℃以上であり、50℃における動粘度が2.7mm/s以下である接触分解軽油を配合することを特徴とする請求項1または2に記載のA重油組成物。
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