JP5483913B2 - 軽油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼルエンジン用燃料などに使用される燃料油に関するもので、特に、低温流動性向上剤の添加効果に優れた低硫黄軽油組成物に関するものである。
軽油などの燃料油組成物には、通常n−パラフィン(ノルマルパラフィン)分が含まれており、これに起因して寒冷地などの低温条件下ではワックス分が析出し、機器のフィルターに目詰まりを生じたり、流動性が損なわれるなどの問題がある。
たとえば、燃料油組成物をディーゼルエンジン用燃料として用いる場合には、析出したワックスは、ディーゼル車の燃料ラインなどに設置されているフィルターを閉塞させるため、エンジンへの燃料供給を阻害し、正常な運転を妨げる可能性がある。そのため、冬季に使用される燃料油は、灯油留分の配合や、低温流動性向上剤の添加により、日本工業規格(JIS K 2204)に定められたガイドラインに従って、低温性能の確保を行っている。
しかしながら、近年は、燃料噴射システムの高圧化などにより、エンジンへ供給される燃料量が従来と比較して増大しており、かつ、システムの高圧化により夾雑物へのセンシティビティが高まっていることから、燃料ラインに設置されるフィルターのメッシュサイズがこれまでのものに比べ微細化される傾向にある。そのため、軽油中のワックスが燃料ライン中のフィルターを閉塞させる可能性が高まってきている。
更に、軽油のサルファーフリー化により、使用する基材が深度脱硫を行った軽油、もしくは灯油に限定されるため、重質なn−パラフィンを希釈する効果が大きい(芳香族分を多く含む)分解軽油などを添加できなくなり、軽油の低温流動性能を確保することが難しくなってきている。
このような状況下、軽油の低温性能を確保するための効果的な方法として、灯油留分の配合量を増加させることが考えられる。しかし、冬季は灯油の需要が高いため、低温性能の確保を目的に灯油留分を多量に使用することは好ましくない。
そのため、低温流動性向上剤を添加することにより、効果的に低温性能を改善する燃料油組成物の提案が種々されている。
たとえば、特許文献1では、低温流動性向上剤の添加効果を引き出すため、重質なn−パラフィン分の含有量を規定している。しかし、この軽油組成物は元々の低温性能が優れているため、低温流動性向上剤の添加効果を引き出す燃料油組成物としては、更なる検討が必要である。
特許文献2には、軽油組成物中の最大含有量の炭素数以上の炭素数nにおいて、含有されるn−パラフィンの炭素数nとその含有量A(重量%)との傾き(△n/△A)が、−6.3以上、−4.0以下という特定範囲であることにより、低温特性に優れた軽油組成物が開示されている。また特許文献3は、n−パラフィンの分布が低温流動性に与える影響を規定したものとして、組成物中の炭素数17〜25のn−パラフィン含有量から求めた線形回帰直線の傾き及びと徐冷曇り点との関係を規定し、低温流動性に優れた軽油組成物を開示している。さらに特許文献4は、炭素数19〜27のn−パラフィン含有量から求めた線形回帰直線の傾きを、特許文献5は炭素数20〜27のn−パラフィン含有量から求めた線形回帰直線の傾きを規定した、低温流動性に優れた軽油組成物を開示している。
特許文献2〜4はいずれも、n−パラフィン含有量とその分布曲線の傾きが低温流動性に影響を与えることを開示しており、燃料油中の特定の組成、特に軽質留分の蒸留性状と重質留分の蒸留性状を調整するものではあるが、低温流動性向上剤を添加した際の添加効果を十分に引き出すまでには至っていない。
このような状況において、本願出願人は、燃料油組成物中に含まれるn−パラフィン含有量を炭素数について測定した分布において、測定される最大炭素数をNとしたときに、炭素数21から炭素数N+1までの範囲における分布曲線の線形回帰直線の傾きが−0.18〜0.00を満たす、低温流動性向上剤の添加効果に優れた低硫黄軽油組成物を提案している(特許文献6参照)。
しかしながら、これらの従来技術においては、ガスクロマトグラフィーなどで測定される、燃料油中に存在するn−パラフィン全量を基準としており、低温で実際に析出する成分を制御することについては検討されておらず、実際の燃料油の低温特性の制御にはさらなる改良の余地があった。
特開平11−71586号公報 特開2001−172652号公報 特開2004−75732号公報 特開2004−75724号公報 特開2004−75723号公報 特開2007−197473号公報
本発明は、低温特性に優れ、流動性向上剤の添加効果に優れた、軽油などの燃料油組成物を提供することを課題としている。
本発明者は、上記の技術背景に鑑みて鋭意研究した結果、燃料油組成物の基本性状に加え、実際に低温で析出するワックスのn−パラフィンの組成を特定することにより、低温流動性向上剤の添加効果を十分に引き出すことができることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の燃料油組成物は、
硫黄濃度が10質量ppm以下であって、
−10℃で析出するワックス量が2.7質量%以下であり、
−10℃で析出するワックス中において、炭素数24〜30のn−パラフィンの含有割合が20〜35質量%であり、かつ、
−10℃で析出するワックス中における、炭素数24〜30の各炭素数のn−パラフィン含有割合(質量%)から求めた線形回帰直線の傾きが、−1.8〜−2.3の範囲であることを特徴としている。
このような本発明の燃料油組成物は、前記線形回帰直線の傾きが、−1.9〜2.3の範囲であることが好ましい。
本発明の燃料油組成物は、低温流動性向上剤を、10〜1000容量ppm含むことが好ましい。
本発明の燃料油組成物は、JIS K 2269により測定した流動点が5℃以下、曇り点が5℃以下であり、JIS K 2288により測定した目詰まり点が5℃以下であることが好ましい。
本発明の燃料油組成物は、JIS K 2265により測定した引火点が45℃以上、JIS K 2254により測定した蒸留性状90%留出温度が240〜350℃、JIS K 2280により測定したセタン指数が45以上であることが好ましい。
本発明によれば、低温特性に優れ、流動性向上剤の添加効果に優れた、寒冷地用燃料として好適な、軽油などの燃料油組成物を提供する
図1は、実施例1〜4の燃料油組成物の、−10℃で析出するワックス中における、炭素数24〜30の各炭素数のn−パラフィン含有割合と、それから求めた線形回帰直線を示すグラフである。 図2は、比較例1〜6の燃料油組成物の、−10℃で析出するワックス中における、炭素数24〜30の各炭素数のn−パラフィン含有割合と、それから求めた線形回帰直線を示すグラフである。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の燃料油組成物は、炭素数24〜30の成分を含む炭化水素系燃料油組成物であって、好ましくは軽油組成物である。
本発明の燃料油組成物において、硫黄含有量は10質量ppm以下、好ましくは8質量ppm以下である。硫黄含有量が10質量ppm以内であれば、排気ガス中の硫黄酸化物の含有量が少なくなり、排気ガスを処理する触媒を被毒する場合が少ないため好ましい。なお、硫黄含有量はJIS K 2541の微量電量滴定式酸化法により測定することができる。
本発明の燃料油組成物では、−10℃で析出するワックス量が、燃料油組成物100質量%中の2.7質量%以下、好ましくは0.5〜2.5である。−10℃で析出するワックス量が2.7質量%以下であれば、これまでの実車試験の結果から、低温条件下でのワックス析出が抑制できるため好ましい。−10℃で析出するワックス量は、少ない方が好ましいものの、原油を蒸留して得られる留分を脱硫して本願発明の燃料油組成物を得る場合、燃料油組成物中には、全量で通常0.5質量%程度以上のワックス分が含まれる。
本発明において、−10℃で析出するワックスとは、試料を−10℃まで冷却した際に析出してくるワックスの総量を意味し、市販の自動恒温ろ過試験機で測定できる。これは−10℃まで10℃/Hrで冷却されるが試料温度が−10℃を超えないよう適宜冷却速度は調整される。このワックスは、通常n−パラフィンを主成分とする。−10℃で析出するワックスの量は、このようにして冷却した燃料油組成物中に析出した固形分を回収して測定することができる。たとえば、上記冷却条件で−10℃に冷却し、ワックスが析出した状態の燃料油組成物を、細孔径5μmのろ紙を用いて吸引ろ過し、ワックスを溶解させない洗浄液でろ物を洗浄して油分を排することにより析出したワックスを回収し、その重量から求めることができる。この測定は、たとえば、自動恒温ろ過試験機を用いて行うことができる。また、示差走査熱量計等を用いて、上記冷却条件により−10℃で析出するワックス量を測定することによっても求めることができる。
本発明の燃料油組成物では、−10℃で析出するワックス100質量%のうち、炭素数24〜30のn−パラフィン含有量(Separation Normal Paraffin Ratio[SNPR])が20〜35質量%、好ましくは21〜28質量%である。
本発明の燃料油組成物は、好ましくは、低温流動性向上剤(Flow Improver:FI)を含有する。低温流動性向上剤としては、低温時に燃料油組成物中に生じるワックス結晶の成長を阻害することにより、低温流動性を向上させる作用を有するものであれば特に制限なく用いることができ、軽油などの燃料油組成物に添加する公知の低温流動性向上剤をいずれも好適に用いることができる。このような低温流動性向上剤の適切なものの例としては、アルケニルコハク酸アミド、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン-アルキルアクリレート共重合体や、ポリアルキルアクリレンなどのポリマーなどが挙げられ、これらの中でもエチレン‐酢酸ビニル共重合体が好ましい。これらの低温流動性向上剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
燃料油組成物中における低温流動性向上剤の添加量は、通常10〜1000容量ppmであり、好ましくは50〜600容量ppm、さらに好ましくは50〜350容量ppmである。10ppm以下では、低温流動性向上剤の十分な効果が得られない場合があり、1000ppm以上を超えて添加しても、さらなる向上効果は得られない場合がある。
本発明の燃料油組成物では、低温初期に析出するワックス含有量すなわち−10℃の環境下で析出するワックス中のn−パラフィンの炭素数24から炭素数30の範囲におけるSNPRが、上記特定の範囲内にあることにより、低温時に析出するワックスの成長を抑制する低温流動性向上剤の効果が十分に発現するため好ましい。
例えば、燃料油組成物を寒冷地でディーゼル車用燃料として使用した場合、ワックスとして析出しうる炭素数16または17以降のn−パラフィンの内、0℃付近から−10℃付近という比較的高い温度で析出する炭素数24以上から30までのn−パラフィンがある程度の量存在することによって、低温流動性向上剤によるワックスの成長抑制機構が十分に発現され、低温流動性向上剤の添加効果は大きくなる。一方、炭素数24以上の重質なn−パラフィンの含有量が多すぎると、逆に燃料油組成物の低温性能は悪化する。
このため、−10℃で析出するワックス100質量%のうち、炭素数24〜30のn−パラフィン含有量が20〜35質量%、好ましくは21〜28質量%である場合に、燃料油組成物が、低温流動性向上剤の添加効果を引き出すのに最適なn−パラフィン分布を有しているといえる。
また、本発明の燃料油組成物では、−10℃で析出するワックス中における、炭素数24〜30の各炭素数のn−パラフィン含有割合(質量%)から求めた線形回帰直線の傾きが、−1.8〜−2.3、好ましくは−1.9〜−2.3の範囲である。
ここで、当該線形回帰直線の傾きは、燃料油組成物を上述のように−10℃に冷却した際に析出するワックス100質量%中における、各炭素数のn−パラフィン含有量の分布曲線(Separation Normal Paraffin Slope:SNPS)の線形回帰直線の傾きであって、横軸にn−パラフィンの炭素数(単位:個)、縦軸にn−パラフィンの含有量(単位:質量%)をとり、各炭素数のn−パラフィン含有量をプロットしたときに描かれる、n−パラフィンの分布曲線の線型回帰直線の傾きとして得られる。
低温流動性向上剤は、軽油組成物中にワックスが急激に析出した場合、析出したワックスへの吸着が追いつかず、ワックス成長抑制機構が十分に機能しない。そのため、析出したワックス中の炭素数30〜炭素数24の範囲の低温初期に析出するn−パラフィンの含有量によって低温流動性向上剤の添加効果は、影響を受ける。
すなわち、−10℃の環境下で燃料油中から析出するワックス中の低温初期に析出するn−パラフィンが一定範囲含有されていることが必要であり、そのSNPSの傾きが−1.8 〜 −2.3であることにより低温流動性向上剤の添加効果を十分に引き出すことが可能となる。
SNPSの線形回帰曲線の傾きが本発明で特定するよりも緩やかで、たとえば−1程度であるなど−1.8よりも大きい場合には、低温初期において低温流動性向上剤が作用するn−パラフィンの含有量が少なく、その後急激なワックス析出により低温流動性向上剤の効果が追いつかず、十分な効果が発揮されない場合がある。このような場合は、低温流動性向上剤を増量することにより効果向上を行っているが、不経済である。
本発明の燃料油組成物は、15℃における密度が通常0.70〜0.86g/cm3、好ましくは0.75〜0.85g/cm3である。15℃における密度が0.70〜0.86g/cm3を満たす場合には、軽油の使用を前提に設計されたディーゼル車に対し、ディーゼル燃焼時の着火性を維持し、適切な燃焼状態を保つことができるため好ましい。なお、燃料油組成物の15℃における密度はJIS K 2249の密度試験方法及び密度・質量・容量換算表により測定することができる。
本発明の燃料油組成物では、30℃における動粘度が通常1.700〜6.000mm2/s、好ましくは2.000〜5.400mm2/sである。30℃における動粘度が1.700〜6.000mm2/sであれば、軽油の使用を前提に設計されたディーゼル車に対し、燃料供給ポンプの磨耗や、燃料自体の流動性の面で適切に使用することが可能であるため好ましい。なお、30℃における動粘度はJIS K 2283の動粘度試験方法及び粘度指数算出方法により測定することができる。
本発明の燃料油組成物では、10容量%留出温度が通常170〜260℃、好ましくは180〜250℃、90容量%留出温度が通常240〜350℃、好ましくは250〜340℃である。10容量%留出温度が170℃以上であれば軽油として適切な引火点および動粘度を保つことができ、260℃以下であればワックス析出温度が制限され、低温流動性を保つ面で好ましい。90容量%留出温度が240℃以上であれば、軽油として適切な引火点および動粘度を保つことができ、350℃以下であれば燃料噴霧時の霧化不良に伴う燃焼室汚染、ノズルへのカーボン付着などを抑えることができるため好ましい。なお、蒸留性状はJIS K 2254の常圧法蒸留試験により測定することができる。
本発明の燃料油組成物では、通常曇り点が5.0℃以下、好ましくは2.0℃以下、さらに好ましくは0.0℃以下である。曇り点が5℃以下であれば、JIS推奨の各種JIS規格軽油の使用最低温度における、燃料の固化や始動性不良といったディーゼル車の低温作動性に関する問題の原因となるワックス分が少なくなるため好ましい。なお、曇り点はJIS K 2269の流動点ならびに石油製品曇り点試験方法により測定することができる。
本発明の燃料油組成物では、通常流動点が5.0℃以下、好ましくは−2.5℃以下、さらに好ましくは−7.5℃以下である。流動点が5℃以下であれば、JIS推奨の各種JIS規格軽油の使用最低温度における、燃料の固化によるディーゼル車の低温作動性に関する問題が起きる可能性が低くなるため好ましい。なお、流動点はJIS K 2269の流動点ならびに石油製品曇り点試験方法により測定することができる。
本発明の燃料油組成物では、低温ろ過器目詰まり点(CFPP:Cold Filter Plugging Point)が通常5℃以下、好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−5℃以下である。CFPPが5℃以下であれば、JIS推奨の各種JIS規格軽油の使用最低温度における、始動性不良といったディーゼル車の低温作動性に関する問題が起きる可能性が低くなるため好ましい。なお、CFPPはJIS K 2288の目詰まり点試験法により測定することができる。
本発明の燃料油組成物は、寒冷地で使用可能な軽油であることが特に好ましく、具体的には、JIS K 2265により測定した引火点が45℃以上、JIS K 2254により測定した蒸留性状90%留出温度が240〜350℃、JIS K 2280により測定したセタン指数が45以上の条件をいずれも満たすことが好ましい。
本発明の燃料油組成物の基材としては、原油の常圧蒸留から得られる直留灯油、直留軽油、または、流動接触分解装置(Fluid Catalyst Cracking Unit)から得られる分解軽油(ライトサイクルオイル:LCO)等を深度脱硫した深度脱硫灯油、深度脱硫軽油、深度脱硫分解軽油、脱ロウ軽油などが好適に使用される。
本発明の燃料油組成物は、これらの基材を得る際、本発明で特定する範囲になるように脱硫装置の運転条件を変更したり、各蒸留装置での蒸留性状を調整することにより得ることができる。また、本発明の燃料油組成物は、これらの基材を適宜配合して、本発明で特定する範囲を満たすものとすることにより得ることができる。本発明では、燃料油組成物の製造において、さらに使用用途(たとえば軽油など)の規格(JIS規格等)に適合するよう調製することが好ましい。
本発明の燃料油組成物には、低温流動性向上剤以外の各種添加剤、たとえば、潤滑性向上剤、セタン価向上剤、清浄剤等の各種添加剤を添加しても良い。燃料油組成物中に添加される各種添加剤の総量は、燃料油組成物のフィルタビィリティーの観点から、0.2容量%以下が好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、各性状はそれぞれ以下の方法により測定あるいは評価した。
(1)密度(15℃):JIS K 2249 「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」により測定した。
(2)硫黄含有量:JIS K 2541 「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により測定した。
(3)動粘度(30℃):JIS K 2283 「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定した。
(4)蒸留性状(初留点、10%留出温度、90%留出温度、終点):JIS K 2254 「石油製品−蒸留試験方法」により測定した。
(5)曇り点(CP):JIS K 2269 「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験法」により測定した。
(6)流動点(PP):JIS K 2269 「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験法」により測定した。
(7)目詰まり点(CFPP、低温ろ過器目詰まり点):JIS K 2288 「石油製品−軽油−目詰まり点試験方法」により測定した。
(8)n−パラフィン量:n−パラフィン量はガスクロマトグラフィーにより測定を行った。以下に測定条件を示す。
装置:6890(Agilent Technologies)
カラム:DB‐1 30m×0.25mm I.D.膜厚0.25μm
検出器:FID
オーブン温度:50℃で1分保持後、5℃/分で340℃まで昇温し、20分保持。
試料量:0.1μl(二硫化炭素で1/2に希釈)
(9)−10℃におけるワックス析出量:−10℃におけるワックス析出量は全自動恒温ろ過試験機((株)コスモトレードアンドサービス製、AF-301)を用いて測定する。この方法では、−10℃における燃料油組成物中の析出ワックスを、ろ紙を用いて吸引ろ過し、ワックスを溶解させない洗浄液(2−ブタノン)でろ物の油分を排し、その重量を測定することにより−10℃におけるワックス析出量を定量する。
(10)低温流動性向上剤添加効果:低温流動性向上剤を含まない場合(FI(0))と、低温流動性向上剤を300容量ppm含む場合(FI(300))の燃料油組成物について、それぞれの目詰まり点(CFPP)測定値から、下記式(I)により算出した値が、1.5以上であればA(添加効果良好)、1.5未満ではB(添加効果不良)と評価した。
(CFPPFI(300)−CFPPFI(0))/FI添加量×100 …(I)
式(I)中、CFPPFI(300)は、低温流動性向上剤を300容量ppm添加時の目詰まり点(℃)を、CFPPFI(0)は、低温流動性向上剤無添加時の目詰まり点(℃)を、FI添加量は、低温流動性向上剤添加時の添加量(容量ppm、ここでは300)をそれぞれ示す。
[実施例1〜4、比較例1〜6]
表1に示す性状を有する脱硫灯油基材と、表2に示す性状を有する脱硫軽油基材とを、表3に示す配合比で配合して、燃料油組成物を得た。得られた燃料油組成物の特性を表4に示す。
得られた燃料油組成物について、−10℃で析出するワックス中における、炭素数24〜30のn−パラフィンの含有割合を求めた。また、−10℃で析出するワックス中における、炭素数24〜30の各炭素数のn−パラフィン含有割合(質量%)から求めた線形回帰直線の傾きを求めた。さらに、上記で得られた低温流動性向上剤(FI)を含有しない燃料油組成物(FI(0))と、エチレン−酢酸ビニル共重合体系低温流動性向上剤を300容量ppm配合した燃料油組成物(FI(300))とについて、それぞれ目詰まり点(CFPP)を測定し、この結果から低温流動性向上剤添加効果を評価した。結果をそれぞれ表5に示す。また、炭素数24〜30の各炭素数のn−パラフィン含有割合(質量%)と、それから求めた線形回帰直線については、図1(実施例1〜4)および図2(比較例1〜6)にグラフを示す。
なお、本実施例および比較例においては、FI添加量を300ppmとしたが、FI添加量は、添加効果及び経済性の面から50〜350ppmの添加が望ましく、この範囲で同様に低温流動性向上剤添加効果を算出することができる。
Figure 0005483913
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上記表5に示す結果より、実施例1から4については、式(I)により求められる値が1.5以上であって、比較例と比べて低温流動性向上剤添加効果が高く、経済性に優れていることがわかる。すなわち、実施例1〜4で得られた燃料油組成物は、低温流動性向上剤添加効果を十分に引き出せることがわかる。一方、表5に示す結果から明らかなように、比較例1から4は本発明で規定している範囲を外れているため、300容量ppmという十分量の低温流動性向上剤を添加した場合にも、低温流動性向上剤のワックス成長抑制効果を十分に引き出せていないことがわかる。
また、比較例5、6は−10℃で析出するワックス量が2.7質量%を超えるものであり、これではワックス含有量が多すぎるため流動性向上剤を多く添加する必要があり経済的でなくなるほか、低温条件下においてディーゼル燃料油として使用する場合には、ワックス析出による不具合が生じる懸念がある。
本発明の燃料油組成物は、低温流動性向上剤の効果を十分に引き出すことのできる低硫黄燃料油であって、特にディーゼルエンジン用の軽油として有用である。

Claims (6)

  1. 硫黄濃度が10質量ppm以下であって、
    −10℃で析出するワックス量が2.7質量%以下であり、
    −10℃で析出するワックス中において、炭素数24〜30のn−パラフィンの含有割合が20〜35質量%であり
    −10℃で析出するワックス中における、炭素数24〜30の各炭素数のn−パラフィン含有割合(質量%)から求めた線形回帰直線の傾きが、−1.8〜−2.3の範囲であり、かつ、
    JIS K 2254により測定した蒸留性状90%留出温度が240〜350℃であることを特徴とする軽油組成物
  2. 前記線形回帰直線の傾きが、−1.9〜−2.3の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の軽油組成物
  3. 低温流動性向上剤を、10〜1000容量ppm含むことを特徴とする請求項1または2に記載の軽油組成物
  4. JIS K 2269により測定した流動点が5℃以下、曇り点が5℃以下であり、JIS K 2288により測定した目詰まり点が5℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の軽油組成物
  5. JIS K 2265により測定した引火点が45℃以上JIS K 2280により測定したセタン指数が45以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の軽油組成物
  6. 深度脱硫灯油、深度脱硫軽油、深度脱硫分解軽油または脱ロウ軽油を、基材として含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の軽油組成物。
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