JP4593376B2 - ディーゼルエンジン用燃料油組成物 - Google Patents

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Description

本発明はディーゼル自動車用の燃料油組成物に関し、低硫黄、低芳香族分で、低温流動性に優れるディーゼルエンジン用燃料油組成物に関するものである。
ディーゼル車から排出されるPMやNOxを低減することは、大気環境改善のために社会的に要請されており、近年では特に自動車排ガス規制の強化が進められている。それに伴い、燃料品質への要求も厳しくなってきており、ディーゼル車用燃料である軽油には、粒子状物質の一成分であるサルフェートを低減し、かつ排出ガスの後処理装置における触媒被毒を抑制し、後処理効率を向上させるために、低硫黄化することが求められている。
PM、NOx等の排ガスを低減させる燃料として、低硫黄、低芳香族分のパラフィン系燃料が注目されているが、パラフィン系燃料は従来軽油と比較して低温流動性に劣り、低温流動性を確保するため軽質化した場合、動粘度が低くなり過ぎるといった性質があり、従来軽油の使用を前提に設計されている現行のディーゼル車には適用が難しい場合がある。
パラフィン系燃料を利用するディーゼル車用の燃料油組成物に関しては、これまでにも種々検討されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。しかしながら、特許文献1に関しては、低温流動性の改善には至っておらず、特許文献2も析出WAX量を含めた根本的な低温流動性の改善には至っておらず、更なる改良が望まれている。
特開平11−12581号公報 特開2005−2229号公報
本発明は上記従来技術に鑑みなされたものであり、動粘度を従来軽油と同等に保ったまま低温流動性を改善した、低硫黄、低芳香族分のディーゼル車用の環境対応型燃料油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を行なった結果、適切な組成、性状を有するパラフィン組成物に、適正な組成、性状を有する軽油を特定の比率で配合することで、動粘度を従来軽油と同等に保ったまま低温流動性を改善できるとの知見得て、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に示す特徴を有するディーゼルエンジン用燃料油組成物を提供するものである。
(1)10容量%留出温度が180〜225℃、90容量%留出温度が315〜350℃、終点温度−90容量%留出温度の差が23〜35℃の蒸留性状を有し、硫黄分が10質量ppm以下であり、飽和分が83.1〜98容量%、芳香族分が2〜16.9容量%で、かつ、2環芳香族類含有量が1.5容量%以下及び3環以上の多環芳香族類含有量が0.5容量%以下であり、ナフテン類含有量が13〜34.1容量%であり、炭素数9以上のn−パラフィン含有量が33質量%以下、炭素数25以上のn−パラフィン含有量が0.05〜0.35質量%、炭素数16〜18のn−パラフィン含有量が8.0質量%以下であり、n−パラフィン含有量の分布における、炭素数21以上のn−パラフィン分布曲線を直線回帰した傾きXが−0.14以上であり、−10℃における析出WAX量が2.6質量%以下であることを特徴とするディーゼルエンジン用燃料油組成物。
(2)10容量%留出温度が170〜260℃、90容量%留出温度が245〜350℃の蒸留性状を有し、芳香族分および硫黄分を含まず、n−パラフィン含有量が97質量%以下、炭素数16〜18のn−パラフィン含有量が20.0質量%以下であり、パラフィン分岐度指数が0.200〜0.750であるパラフィン組成物と、10容量%留出温度が180〜220℃、90容量%留出温度が315〜350℃、終点温度−90容量%留出温度の差が23〜35℃の蒸留性状を有し、硫黄分が25質量ppm以下であり、飽和分が75〜98容量%、芳香族分が2〜25容量%で、かつ、2環芳香族類含有量が3.0容量%以下及び3環以上の多環芳香族類含有量が1.0容量%以下であり、ナフテン類含有量が33〜97容量%であり、炭素数9以上のn−パラフィン含有量が25質量%以下、炭素数25以上のn−パラフィン含有量が0.05〜0.50質量%、炭素数16〜18のn−パラフィン含有量が6.5質量%以下であり、n−パラフィン含有量の分布における、炭素数21以上のn−パラフィン分布曲線を直線回帰した傾きXが−0.17以上であり、−10℃における析出WAX量が3.0質量%以下である軽油組成物とを、パラフィン組成物:軽油組成物=3:97〜60:40(容量%:容量%)で混合してなることを特徴とする上記(1)記載のディーゼルエンジン用燃料油組成物。
本発明は、良好な低温流動性を有し、従来軽油の使用を前提として設計されたディーゼル車輌にも使用可能な、低硫黄、低芳香族分である環境対応型ディーゼルエンジン用燃料油組成物を提供できるものである。
以下に発明の詳細を記載する。
本発明におけるディーゼルエンジン用燃料油組成物の蒸留性状は、10容量%留出温度が180〜225℃、好ましくは185〜220℃、90容量%留出温度が315〜350℃、好ましくは320〜345℃であり、終点温度−90容量%留出温度の差が23〜35℃、好ましくは24〜34℃である。
10容量%留出温度が、180℃以上であれば、軽油として適切な引火点および動粘度を保つことができ、225℃以下であれば、WAX析出温度の上昇を防ぎ低温流動性を保つ面で好ましい。90容量%留出温度が315℃以上であれば、動粘度を適切に保つことができ、350℃以下であればWAX析出温度の上昇を防ぎ低温流動性を保つ面で好ましい。そして終点温度−90容量%留出温度の差が23℃以上であることにより、低温流動性向上剤を添加した際に、その添加効果が大きく、目詰まり点(CFPP)および流動点(PP)が大幅に改善できるため好ましく、終点温度−90容量%留出温度の差が35℃以下であることによりWAX析出温度の上昇を防ぎ低温流動性を良好にするために好ましい。
また本発明におけるディーゼルエンジン用燃料油組成物に含まれる硫黄分は10質量ppm以下、好ましくは8質量ppm以下である。硫黄分を10質量ppm以下とすることで、エンジンから排出される粒子状物質(PM)の成分であるサルフェートの排出量を少なくし、排ガス後処理装置の性能に対する影響も小さくなり好ましい。
なお本発明における、蒸留性状はJIS K2254の常圧法蒸留試験、硫黄分はJIS K2541の微量電量滴定式酸化法により、それぞれ測定できる。
本発明におけるディーゼルエンジン用燃料油組成物の飽和分は、80〜98容量%、好ましくは83〜98容量%、芳香族分は2〜20容量%、好ましくは2〜17容量%であり、その内2環芳香族類含有量は1.5容量%以下、好ましくは1.4容量%以下、3環以上の多環芳香族類の含有量は0.5容量%以下、好ましくは0.3容量%以下である。
飽和分が80容量%以上、芳香族分が20容量%以下であり、その内2環芳香族類含有量が1.5容量%以下、3環以上の多環芳香族類含有量が0.5容量%以下であることにより、エンジンから排出される粒子物質(PM)および窒素酸化物(NOx)の排出量を少なくすることができるため好ましい。また、飽和分が98容量%以下、芳香族分が2容量%以上であることにより、低温下で析出するWAXの希釈効果が大きくなり、低温流動性を保つことができ、好ましい。
なお、ここでの組成割合は、JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法(HPLC)」に基づいて求められる。
本発明におけるディーゼルエンジン用燃料油組成物のナフテン類含有割合は、13〜95容量%、好ましくは15〜93容量%であり、その内3環以上のナフテン類含有量は13容量%以下、好ましくは11容量%以下であることがより好ましい。ナフテン類含有割合が13容量%以上であることにより、WAXの主成分であるn−パラフィンが希釈される効果が大きくなるため、低温流動性を保つことができ、好ましい。またナフテン類量が95容量%以下であることにより、エンジンから排出される粒子物質(PM)の排出量を少なくする可能性があるため好ましい。更に、3環以上のナフテン類含有量が13容量%以下であることにより、粒子物質の排出量をより少なくできる。
なおここでのナフテン類含有割合は、高速液体クロマトグラフ法(HPLC)によりディーゼルエンジン用燃料油組成物を芳香族分と飽和分に分画採取した後、飽和分をガスクロマトグラフ法−質量分析法(GC−MS)で分析し、ASTMD 2786に従って解析を行い、各環数別のナフテン類割合を算出し、ここで得られた割合を、JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」により求めた飽和分割合に乗ずることで求められる。
本発明におけるディーゼルエンジン用燃料油組成物の炭素数9以上のn−パラフィン含有量は、33質量%以下、好ましくは30質量%以下である。炭素数9以上のn−パラフィン含有量が33質量%以下であることにより、低温下で析出するWAX量が少なくなるため好ましい。
また、本発明におけるディーゼルエンジン用燃料油組成物の炭素数16〜18のn−パラフィン含有量は、8.0質量%以下、好ましくは7.5質量%以下、炭素数25以上のn−パラフィン含有量は、0.05〜0.35質量%、好ましくは0.08〜0.32質量%であり、炭素数21以上のn−パラフィン分布曲線を直線回帰した傾きXは、−0.14以上、好ましくは−0.13以上である。炭素数16〜18のn−パラフィン含有量が8.0質量%以下、炭素数25以上のn−パラフィン含有量が0.05質量%以上であり、炭素数21以上のn−パラフィン分布曲線を直線回帰した傾きXが−0.14以上であれば、低温流動性向上剤を添加した際に、その添加効果が大きく、目詰まり点(CFPP)および流動点(PP)が大幅に改善できるため好ましい。また、炭素数25以上のn−パラフィン含有量が0.35質量%以下であれば、曇り点(CP)が低く、低温下での析出WAX量も少なくできるため好ましい。
なおここでのn−パラフィン含有量は、ガスクロマトグラフ法(GC)により求めることができ、ここで求めた各炭素数別のn−パラフィン含有量を縦軸に、n−パラフィンの炭素数を横軸にプロットすることで、n−パラフィン分布曲線を描くことができる。
本発明におけるディーゼルエンジン用燃料油組成物は、現行のディーゼルエンジンに使用可能であることを目的としており、燃料品質としてはJISK 2204で定められる軽油規格に適合することを基本とする。JIS規格軽油としては、特1号、1号、2号、3号、特3号全般を示すが、本発明のディーゼルエンジン用燃料油組成物は、特に低温流動性が要求される2号軽油への適合を目的とする。そして本発明のディーゼルエンジン用燃料油組成物の−10℃における析出WAX量は、2.6質量%以下、好ましくは2.4質量%以下である。−10℃における析出WAX量を2.6質量%以下にすることにより、JISで推奨される2号軽油の使用最低温度である−10℃において、フィルタ閉塞といったディーゼル車の低温作動性に関する問題が起きる可能性が小さくなるため好ましい。
なおここでの析出WAX量は、試料を冷却し所定温度で析出したWAXを、所定温度にて吸引ろ過によりフィルタ上に捕集し、フィルタ上のWAX重量を定量し、試料量に対する割合を算出することにより求めることができる。
本発明におけるディーゼルエンジン用燃料油組成物の目詰まり点(CFPP)は、低温流動性向上剤添加時において、−5℃以下、好ましくは−7℃以下であり、(低温流動性向上剤添加後の目詰まり点−添加前の目詰まり点)が−4℃以下、好ましくは−5℃以下である。目詰まり点(CFPP)が−5℃以下であり、(低温流動性向上剤添加後の目詰まり点−添加前の目詰まり点)が、−4℃以下であることにより、低温下で析出するWAX結晶の微細化効果が大きく、低温時の始動性不良といったディーゼル車の低温作動性に関する問題が起きる可能性が小さくなるため好ましい。なお、目詰まり点(CFPP)は、JISK2288に定められる方法に基づいて求められる。
本発明におけるディーゼルエンジン用燃料油組成物の流動点(PP)は、低温流動性向上剤添加時において−7.5℃以下、好ましくは−10.0℃以下である。流動点(PP)が−7.5℃以下であることにより、低温下において燃料の固化によるディーゼル車の低温作動性の問題が起きる可能性が小さくなるため好ましい。なお、流動点(PP)は、JISK2269に定められる方法に基づいて求められる。
本発明におけるディーゼルエンジン用燃料油組成物のHFRRによる磨耗痕跡は、潤滑性向上剤の添加時において500μm以下、好ましくは460μm以下である。HFRRによる磨耗痕跡が500μm以下であることにより、ディーゼル車の燃料供給ポンプ部品等の摩擦磨耗を少なくすることができ好ましい。なおHFRRによる摩擦痕跡は、JPI−5S−50−97に基づいて求められる。
なお本発明のディーゼルエンジン用燃料油組成物を基に、灯油等を適量混合することで、3号、特3号軽油への適用も可能である。
本発明のディーゼルエンジン用燃料油組成物は、硫黄分、芳香族分を含まないパラフィン組成物に、低硫黄、低芳香族分の軽油を配合することで製造することができる。
その配合割合は、パラフィン組成物:軽油組成物=3:97〜60:40(容量%:容量%)が好ましく、5:95〜55:45(容量%:容量%)がより好ましい。軽油組成物の配合量が40容量%以上であれば、配合した後のディーゼルエンジン用燃料油組成物の動粘度およびWAXの主成分となるn−パラフィンの含有量と分布を適正化できるため好ましい。またパラフィン組成物の配合量が3容量%以上であれば、硫黄分、芳香族分を低減させる効果が大きくなるため好ましい。
本発明におけるパラフィン組成物の蒸留性状は、10容量%留出温度が170〜260℃、好ましくは175〜250℃、90容量%留出温度が245〜350℃、好ましくは255〜345℃である。蒸留性状を本範囲にすることで、軽油を配合した際の蒸留性状を請求項1で示される範囲に適合させることが可能であり、動粘度への適合および低温流動性の確保の面から好ましい。
本発明におけるパラフィン組成物のn−パラフィン含有量は、97質量%以下、好ましくは95質量%以下であり、炭素数16〜18のn−パラフィン含有量は20.0質量%以下、好ましくは19.5質量%以下である。パラフィン組成物のn−パラフィン含有量が97質量%以下であり、炭素数16〜18のn−パラフィン含有量が20.0質量%以下であれば、軽油を配合した際に良好な低温流動性を有することが可能であるため好ましい。
本発明におけるパラフィン組成物のパラフィン分岐度指数は、0.200〜0.750、好ましくは0.220〜0.730である。パラフィン分岐度指数とは、パラフィン分子の平均的な分岐度合いを表す指標であり、パラフィン分岐度指数が大きいほど、パラフィン中のイソパラフィンの割合が多く、またはイソパラフィン分子自体の分岐度合いが大きいことを意味する。パラフィン組成物のパラフィン分岐度指数が0.200以上であれば、WAXの主成分となるn−パラフィン比率が小さくなり、低温流動性が良好にあるため好ましい。また、パラフィン分岐度指数が大きすぎる場合、粘度が高くなりすぎ通油性が低下する可能性があり、0.750以下であれば適切な粘度にすることが可能であるため好ましい。
なおここでのパラフィン分岐度指数とは、1H−NMRにより測定される全プロトンの積分値を1とした際の、末端メチル基のプロトン比率で表される。
パラフィン組成物において、n−パラフィン以外の成分は、イソパラフィンであることを基本とするが、ナフテン類を含有していても良い。パラフィン組成物中のナフテン類含有量は、軽油組成物を混合した際のディーゼルエンジン用燃料油組成物のナフテン類量が請求項1を満たす範囲であれば良く、特に制限されない。
本発明におけるパラフィン組成物の製造方法は特に定めるものではないが、市販溶剤の配合、種々の原料から得られる水素化分解油から得られる精製油、芳香族抽出処理をした後のラフィネート留分、あるいは合成ガスからフィッシャー・トロプシュ合成で得られたパラフィン系炭化水素類等が使用可能である。
本発明において、パラフィン組成物に混合する軽油組成物の蒸留性状は、10容量%留出温度が180〜220℃、好ましくは185〜215℃、90容量%留出温度が315〜350℃、好ましくは320〜345℃であり、終点温度−90容量%留出温度の差が23〜35℃、好ましくは24〜34℃である。蒸留性状を本範囲にすることで、パラフィン組成物に混合した際の蒸留性状を請求項1で示される範囲に適合させることが可能であり、動粘度への適合および低温流動性の改善の面から好ましい。
また本発明で使用する軽油組成物に含まれる硫黄分は25質量ppm以下、好ましくは20質量ppm以下である。硫黄分を25質量ppm以下とすることで、パラフィン組成物に混合した際の硫黄分を10質量ppm以下にすることが可能であり、エンジンから排出される粒子状物質(PM)の低減や、排ガス後処理装置の性能に対する影響の面で好ましい。
本発明で使用する軽油組成物の組成は、飽和分が75〜98容量%、好ましくは78〜98容量%、芳香族分が2〜25容量%、好ましくは2〜22容量%であり、その内2環芳香族類含有量が3.0容量%以下、好ましくは2.5容量%以下、3環以上の多環芳香族類の含有量が1.0容量%以下、好ましくは0.8容量%以下である。飽和分が75容量%以上、芳香族分が25容量%以下であり、その内2環芳香族類含有量が3.0容量%以下、3環以上の多環芳香族類含有量が1.0容量%以下であることにより、パラフィン組成物に混合した際の組成を請求項1で示される範囲に適合させることが可能であり、粒子物質(PM)および窒素酸化物(NOx)の排出量を低減する効果の面で好ましい。また飽和分が98容量%以下、芳香族分が2容量%以上であることにより、パラフィン組成物に混合した際の組成を請求項1で示される範囲に適合させることが可能であり、低温下で析出するWAXの希釈効果の面で好ましい。
本発明で使用する軽油組成物のナフテン類含有割合は、33〜97容量%、好ましくは35〜95容量%である。ナフテン類含有割合が33容量%以上であることにより、パラフィン組成物に混合した際のナフテン含有量を請求項1で示される範囲に適合させることが容易であり、WAXの主成分であるn−パラフィンが希釈される効果が大きくなるため、低温流動性を保つ面で好ましい。またナフテン類量が97容量%以下であり、その内3環以上のナフテン類含有量が13容量%以下であることにより、パラフィン組成物に混合した際の組成を請求項1で示される範囲に適合させることが容易であり、粒子物質(PM)の排出量を少なくする可能性があるため好ましい。更に、3環以上のナフテン類含有量が13容量%以下、好ましくは11容量%以下とすることにより、粒子物質の排出量をより少なくできる。
本発明に使用する軽油組成物の炭素数9以上のn−パラフィン含有量は、25質量%以下、好ましくは22質量%以下である。炭素数9以上のn−パラフィン含有量が25質量%以下であることにより、パラフィン組成物に混合した際に、n−パラフィン量を低減する効果が大きく、低温流動性の面で好ましい。
また、本発明における軽油組成物の炭素数16〜18のn−パラフィン含有量は、6.5質量%以下、好ましくは6.0質量%以下、炭素数25以上のn−パラフィン含有量は0.05〜0.50質量%、好ましくは0.08〜0.45質量%であり、炭素数21以上のn−パラフィン分布曲線を直線回帰した傾きXは−0.17以上、好ましくは−0.16以上である。炭素数16〜18のn−パラフィン含有量が6.5質量%以下、炭素数25以上のn−パラフィン含有量が0.05質量%以上であり、炭素数21以上のn−パラフィン分布曲線を直線回帰した傾きXが−0.17以上であれば、パラフィン組成物に混合した際に、低温流動性向上剤の添加効果が大きく、目詰まり点(CFPP)および流動点(PP)が大幅に改善できるため好ましい。また、炭素数25以上のn−パラフィン含有量が0.50質量%以下であれば、曇り点(CP)が低く、低温下での析出WAX量も少なくできるため好ましい。
本発明において使用する軽油組成物の−10℃における析出WAX量は、3.0質量%以下、好ましくは2.7質量%以下である。−10℃における析出WAX量が3.0質量%を超えないようにすれば、WAX量の増加を抑えることが可能であり、低温流動性の面で好ましい。
本発明における軽油組成物は、種々の石油留分から蒸留によりその蒸留性状を調整し、水素化脱硫、芳香族抽出処理等の処理を行なった軽油留分に、灯油等を適宜配合して製造される軽油が挙げられる。JIS規格軽油としては、特1号、1号、2号、3号、特3号全般が使用可能であり、特に限定されない。その他、灯油留分を混合していない軽油基材や、重油を接触分解、水素化脱硫、水素化分解処理等をした後に分留される軽油留分等でも、その性状が請求項3を満たすものであれば使用可能であり、特に限定されない。
本発明におけるディーゼルエンジン用燃料油組成物には、低温流動性向上剤を10〜1000容量ppm、好ましくは50〜700容量ppm添加することが好ましい。低温流動性向上剤を10ppm以上添加することにより、目詰まり点(CFPP)や流動点(PP)を改善することができ好ましい。また低温流動性向上剤の添加量が1000容量ppm以下であることにより、添加剤自体の凝集等を防ぐことができ好ましい。
本発明において使用する低温流動性向上剤は、種々のものが使用でき、例えばアルケニルコハク酸イミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、ポリエチレングリコール誘導体等の共重合ポリマー、塩素化ポリエチレン、ポリアルキルアクリレート等のポリマーが挙げられる。これらの低温流動性向上剤は、1種単独でもよいし、2種以上を組合わせて用いても良い。
また、本発明のディーゼルエンジン用燃料油組成物には必要に応じて、その他各種の添加剤を適宜配合することができる。このような添加剤としては、潤滑性向上剤、セタン価向上剤、界面活性剤、防腐剤、防錆剤、泡消剤、清浄剤、酸化防止剤、色相改善剤、など公知の燃料添加剤が挙げられる。これらを一種または数種組み合わせて添加することができる。
次に、本発明を実施例、比較例によりさらに具体的に説明する。なお本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。
実施例、比較例において、引火点、蒸留性状、硫黄分、30℃動粘度、目詰まり点、流動点は、JISK2204に定められる方法に準拠して測定を行なった。その他に、15℃密度はJIS K 2249、曇り点はJIS K 2269、窒素量はJIS K 2609、酸素量はJISK 2536の方法により測定を行った。
−10℃における析出WAX量は下記の方法で測定した。
試料20mlを曇り点(CP)より約3℃高い温度に冷却し、低温恒温槽内のろ過器の中でさらに−10℃に冷却した。そして析出したWAXを吸引ろ過によりミリポアフィルタ(細孔径5.0μm、直径47mm)に捕集した。次にこのフィルタを2−ブタノンで洗浄し、乾燥した後に、フィルタ重量の増量をはかり、WAX量を定量した。
飽和分、芳香族分の割合と、芳香族分の環数別割合は、JPI-5S-49-97に基づいて測定を行った。HPLCの装置構成及び分析条件を以下に示す。
装置:Agilent 1100 Series(ALS:G1329A, Bin Pump: G1312A, Degasser: G1379A, Rid: G1362A, Colcom: G1316A)
移動相:n−ヘキサン
流量:1.0ml/min
カラム:硝酸銀含浸シリカカラム(4.6mml.D.*70mmL. センシュー科学製AgNO3-1071-Y)
アミン修飾カラム(4.0mml.D.*250mmL. 2本 センシュー科学製 LICHROSORB-NH2)
カラム温度:35℃
試料濃度:10vol%
注入量:5μl
ナフテン類および環数別ナフテン類の含有量分析は下記方法で行なった。
まず試料をHPLCにより飽和分と芳香族分により分画後、飽和分についてGC−MSによりタイプ分析を行なった。ここで得られた分析結果を基に、ASTMD 2786に従って解析を行い、飽和分中のパラフィン類と、ナフテン類および環数別ナフテン類の含有割合を求めた。ここで得られた飽和分中のナフテン類および環数別ナフテン類の割合を、上記のように求めた飽和分割合に乗ずることで、ナフテン類および環数別ナフテン類の含有量を求めた。分析条件を下記に示す。
装置:HP−6890 HP5973 四重極質量分析計
カラム:DB−1:30m×0.25mmI.D.×0.25μm
オーブン温度:40℃(1min)→10℃/min→280℃(5min)
注入口温度:43℃ Oven track mode ON
インターフェース温度:300℃
キャリアガス:He:55KPa Constant flow mode ON
Solvent Delay:4.5min
質量範囲:50〜500 Threshold=100 Sampling♯3
イオン化電圧:70eV
注入方法:オンカラム注入 1.0μl
n−パラフィン含有量とその炭素数別の分布は、ガスクロマトグラフィ(GC)により測定を行なった。以下に測定条件を示す。
・軽油組成物とディーゼルエンジン用燃料油組成物について
装置:5890 series2(Agilent Technologies)
カラム:Ultra 1 (Agilent) Crosslinked Methyl Silicone Gum、50m×0.20mmI.D.
膜厚0.33μm
検出器:FID
オーブン温度:60℃(0min)−(6℃/min)→ 340℃(10min) Run 56.7min
注入口:On-column
注入口温度:オーブントラックモード(オーブン温度+3℃)
検出器温度:350℃
キャリアガス:He 280kPa (定圧) 1.3mL/min 線速度29.7cm/sec(at 60℃)
メイクアップガス:He
FID燃焼ガス:H2 30 mL/min , Air 400mL/min
注入量:0.2μl
定量法:内標準法(内標準物質:フタル酸ジブチルエステル)
・パラフィン組成物について
装置:6890 (Agilent Technologies)
カラム:DB-1 30m×0.25mmI.D. 膜厚0.25μm
検出器:FID
オーブン温度:50℃(1min)−(5℃/min)→ 340℃(20min) Run 79min
注入口:Split(Back) 100:1
キャリアガス:He 83kPa (定圧) 1.0mL/min Total 100mL/min
平均線速度:26cm/sec
メイクアップガス:He
FID燃焼ガス:H2 30 mL/min , Air 400mL/min
注入量:0.1μl
試料希釈:二硫化炭素で1/2に希釈
ベースライン:補正あり
パラフィン組成物のパラフィン分岐度指数は、1H−NMRにより測定される全プロトンの積分値を1とした際の、末端メチル基のプロトン比率として算出した。1H−NMRの測定条件を下記に示す。
装置:日本電子(株)製核磁気共鳴装置Alpha-400
試料管:5mm
試料量:0.1g
溶媒:重水素化クロロホルム(0.5ml)
積算回数:4回
プロトンの化学シフト範囲
・メチルプロトン:0.5-1.0ppm
・メチレンおよびメチンプロトン:1.0-2.0ppm
潤滑性測定は、JPI−5S−50−97に準拠し、HFRR(High Frequency Reciprocation Wear Rig)により測定を行ない、ディスク上に残る摩擦磨耗痕径で評価した。
<実施例1>
市販のn−パラフィン溶剤(n−C7〜n−C21)を用いて、沸点範囲が160〜320℃になるように調整したn−パラフィン混合物60質量%に、沸点300℃以上のパラフィンWAXを、ゼオライト触媒を用いて、反応温度260℃、水素圧力10MPaの条件で水素化分解を行った後、常圧蒸留により分留した沸点範囲160〜320℃の水素化分解油を40質量%混合することにより得られたパラフィン組成物20容量%に、原油を常圧蒸留することにより得られた沸点範囲150〜370℃で90%留出温度が350℃の軽油留分を硫黄分10質量ppm以下に水素化脱硫した脱硫軽油基材75容量%に、原油を常圧蒸留することにより得られた沸点範囲140〜280℃の灯油留分を硫黄分10質量ppm以下に水素化脱硫した脱硫灯油基材25容量%を混合することにより得られた軽油組成物を80容量%混合することにより、ディーゼルエンジン用燃料油組成物を得た。そして得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物に、エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る流動性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し500容量ppm、また長鎖アルキルエステルから成る潤滑性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し100mg/kg添加した。得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物の性状を表1に示す。
<実施例2>
市販のn−パラフィン溶剤(n−C10〜n−C21)を用いて、沸点範囲が210〜320℃になるように調整したn−パラフィン混合物60質量%に、沸点300℃以上のパラフィンWAXを、ゼオライト触媒を用いて、反応温度260℃、水素圧力10MPaの条件で水素化分解を行った後、常圧蒸留により分留した沸点範囲210〜320℃の水素化分解油を40質量%混合することにより得られたパラフィン組成物5容量%に、原油を常圧蒸留することにより得られた沸点範囲150〜370℃で90%留出温度が350℃の軽油留分を硫黄分10質量ppm以下に水素化脱硫した脱硫軽油基材75容量%に、原油を常圧蒸留することにより得られた沸点範囲140〜280℃の灯油留分を硫黄分10質量ppm以下に水素化脱硫した脱硫灯油基材25容量%を混合することにより得られた軽油組成物を95容量%混合することにより、ディーゼルエンジン用燃料油組成物を得た。そして得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物に、エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る流動性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し500容量ppm、また長鎖アルキルエステルから成る潤滑性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し100mg/kg添加した。得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物の性状を表1に示す。
<実施例3>
沸点300℃以上のパラフィンWAXを、ゼオライト触媒を用いて、反応温度260℃、水素圧力10MPaの条件で水素化分解を行った後、常圧蒸留により沸点範囲210〜320℃に分留することにより得られたパラフィン組成物50容量%に、原油を常圧蒸留することにより得られた沸点範囲150〜370℃で90%留出温度が350℃の軽油留分を硫黄分10質量ppm以下に水素化脱硫した脱硫軽油基材75容量%に、原油を常圧蒸留することにより得られた沸点範囲140〜280℃の灯油留分を硫黄分10質量ppm以下に水素化脱硫した脱硫灯油基材25容量%を混合することにより得られた軽油組成物を50容量%混合することにより、ディーゼルエンジン用燃料油組成物を得た。そして得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物に、エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る流動性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し500容量ppm、また長鎖アルキルエステルから成る潤滑性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し100mg/kg添加した。得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物の性状を表1に示す。
<比較例1>
市販のn−パラフィン溶剤(n−C7〜n−C21)を用いて、沸点範囲が160〜320℃になるように調整したn−パラフィン混合物60質量%に、沸点300℃以上のパラフィンWAXを、ゼオライト触媒を用いて、反応温度260℃、水素圧力10MPaの条件で水素化分解を行った後、常圧蒸留により分留した沸点範囲160〜320℃の水素化分解油を40質量%混合することによりパラフィン組成物を調整し、軽油組成物は混合しなかった。そして得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物に、エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る流動性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し500容量ppm、また長鎖アルキルエステルから成る潤滑性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し100mg/kg添加した。得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物の性状を表2に示す。
<比較例2>
市販のn−パラフィン溶剤(n−C7〜n−C21)を用いて、沸点範囲が160〜320℃になるように調整したn−パラフィン混合物60質量%に、沸点300℃以上のパラフィンWAXを、ゼオライト触媒を用いて、反応温度260℃、水素圧力10MPaの条件で水素化分解を行った後、常圧蒸留により分留した沸点範囲160〜320℃の水素化分解油を40質量%混合することにより得られたパラフィン組成物70容量%に、原油を常圧蒸留することにより得られた沸点範囲150〜370℃で90%留出温度が350℃の軽油留分を硫黄分10質量ppm以下に水素化脱硫した脱硫軽油基材75容量%に、原油を常圧蒸留することにより得られた沸点範囲140〜280℃の灯油留分を硫黄分10質量ppm以下に水素化脱硫した脱硫灯油基材25容量%を混合することにより得られた軽油組成物を30容量%混合することにより、ディーゼルエンジン用燃料油組成物を得た。そして得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物に、エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る流動性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し500容量ppm、また長鎖アルキルエステルから成る潤滑性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し100mg/kg添加した。得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物の性状を表2に示す。
<比較例3>
市販のn−パラフィン溶剤(n−C10〜n−C21)を用いて、沸点範囲が210〜320℃になるように調整したパラフィン組成物5容量%に、原油を常圧蒸留することにより得られた沸点範囲150〜370℃で90%留出温度が350℃の軽油留分を硫黄分10質量ppm以下に水素化脱硫した脱硫軽油基材75容量%に、原油を常圧蒸留することにより得られた沸点範囲140〜280℃の灯油留分を硫黄分10質量ppm以下に水素化脱硫した脱硫灯油基材25容量%を混合することにより得られた軽油組成物を95容量%混合することにより、ディーゼルエンジン用燃料油組成物を得た。そして得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物に、エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る流動性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し500容量ppm、また長鎖アルキルエステルから成る潤滑性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し100mg/kg添加した。得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物の性状を表2に示す。
<比較例4>
市販のn−パラフィン溶剤(n−C7〜n−C21)を用いて、沸点範囲が160〜320℃になるように調整したパラフィン組成物20容量%に、原油を常圧蒸留することにより得られた沸点範囲150〜370℃で90%留出温度が350℃の軽油留分を硫黄分10質量ppm以下に水素化脱硫した脱硫軽油基材75容量%に、原油を常圧蒸留することにより得られた沸点範囲140〜280℃の灯油留分を硫黄分10質量ppm以下に水素化脱硫した脱硫灯油基材25容量%を混合することにより得られた軽油組成物を80容量%混合することにより、ディーゼルエンジン用燃料油組成物を得た。そして得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物に、エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る流動性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し500容量ppm、また長鎖アルキルエステルから成る潤滑性向上剤をディーゼルエンジン用燃料油組成物全量に対し100mg/kg添加した。得られたディーゼルエンジン用燃料油組成物の性状を表2に示す。
Figure 0004593376
Figure 0004593376
パラフィン組成物の性状は請求項を満たすが、軽油組成物を混合しない比較例1は、目詰まり点、流動点は2号軽油のJIS規格に適合するが、30℃動粘度が2号軽油としては低すぎ(2号軽油:JISでは30℃動粘度が2.5mm2/s以上)、さらに低温流動性向上剤の添加効果がほとんどないため、3号あるいは特3号への適用もできない結果となった。そして、パラフィン組成物および軽油組成物の性状は請求項を満たすが、軽油組成物の配合量が少ない比較例2のディーゼルエンジン用燃料油組成物も、目詰まり点、流動点は2号軽油のJIS規格に適合するが、30℃動粘度が2号軽油としては低く、さらに請求項の範囲より、ナフテン類含有量が少なく、炭素数9以上および炭素数16−18のn−パラフィン量が多く、炭素数25以上のn−パラフィン含有量が少ないため、低温流動性向上剤の添加効果がなく、3号あるいは特3号への適用もできない結果となった。
軽油組成物の性状および配合量は請求項を満たすが、パラフィン組成物のn−パラフィン含有量が請求項の範囲より多く、パラフィン分岐度指数が小さい比較例3は、ディーゼルエンジン用燃料油組成物の−10℃における析出WAX量が請求項の範囲より多く、目詰まり点に対する低温流動性向上剤の添加効果が小さく、目詰まり点が2号軽油のJIS規格(2号軽油:JISでは目詰まり点が−5℃以下)に適合しない結果となった。そして、軽油組成物の性状および配合量は請求項を満たすが、パラフィン組成物のn−パラフィン含有量が請求項の範囲より多い比較例4は、ディーゼルエンジン用燃料油組成物の炭素数9以上および炭素数16−18のn−パラフィン含有量が請求項の範囲より多くなり、−10℃における析出WAX量が多くなり、目詰まり点に対する低温流動性向上剤の添加効果が小さく、目詰まり点が2号軽油のJIS規格に適合しない結果となった。
一方、全ての項目が請求項の範囲を満たす実施例1〜3のディーゼルエンジン用燃料油組成物は、30℃動粘度が2号軽油のJIS規格に適合し、−10℃における析出WAX量が少なく、かつ低温流動性向上剤の添加効果も大きい結果となった。

Claims (2)

  1. 10容量%留出温度が180〜225℃、90容量%留出温度が315〜350℃、終点温度−90容量%留出温度の差が23〜35℃の蒸留性状を有し、硫黄分が10質量ppm以下であり、飽和分が83.1〜98容量%、芳香族分が2〜16.9容量%で、かつ、2環芳香族類含有量が1.5容量%以下及び3環以上の多環芳香族類含有量が0.5容量%以下であり、ナフテン類含有量が13〜34.1容量%であり、炭素数9以上のn−パラフィン含有量が33質量%以下、炭素数25以上のn−パラフィン含有量が0.05〜0.35質量%、炭素数16〜18のn−パラフィン含有量が8.0質量%以下であり、n−パラフィン含有量の分布における、炭素数21以上のn−パラフィン分布曲線を直線回帰した傾きXが−0.14以上であり、−10℃における析出WAX量が2.6質量%以下であることを特徴とするディーゼルエンジン用燃料油組成物。
  2. 10容量%留出温度が170〜260℃、90容量%留出温度が245〜350℃の蒸留性状を有し、芳香族分および硫黄分を含まず、n−パラフィン含有量が97質量%以下、炭素数16〜18のn−パラフィン含有量が20.0質量%以下であり、パラフィン分岐度指数が0.200〜0.750であるパラフィン組成物と、10容量%留出温度が180〜220℃、90容量%留出温度が315〜350℃、終点温度−90容量%留出温度の差が23〜35℃の蒸留性状を有し、硫黄分が25質量ppm以下であり、飽和分が75〜98容量%、芳香族分が2〜25容量%で、かつ、2環芳香族類含有量が3.0容量%以下及び3環以上の多環芳香族類含有量が1.0容量%以下であり、ナフテン類含有量が33〜97容量%であり、炭素数9以上のn−パラフィン含有量が25質量%以下、炭素数25以上のn−パラフィン含有量が0.05〜0.50質量%、炭素数16〜18のn−パラフィン含有量が6.5質量%以下であり、n−パラフィン含有量の分布における、炭素数21以上のn−パラフィン分布曲線を直線回帰した傾きXが−0.17以上であり、−10℃における析出WAX量が3.0質量%以下である軽油組成物とを、パラフィン組成物:軽油組成物=3:97〜60:40(容量%:容量%)で混合してなることを特徴とする請求項1記載のディーゼルエンジン用燃料油組成物。
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