JP4058201B2 - 低温運転性に優れた軽油組成物およびその製造方法 - Google Patents

低温運転性に優れた軽油組成物およびその製造方法 Download PDF

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車用ディーゼル燃料などに用いられる軽油組成物及びその製造方法に関し、特に、低温使用における運転性に優れた軽油組成物及び経済的にそれを製造する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
軽油組成物(以下、単に軽油ともいう)は、冬季などの低温環境で使用される場合に、含有されているワックス分が析出し、外観が悪化して商品価値が損なわれたり、また、極度な低温環境に曝された場合、車両燃料系のフィルターの目詰まりによってディーゼルエンジンへの燃料供給に支障をきたし、エンジンがかからなくなったり、エンジンが停止するトラブルが発生するおそれがある。
このため、低温環境で使用される軽油は、低温流動性、曇り点、目詰まり点を、精製会社独自に、或いは当業界の基準として規定している。JIS規格においても、軽油は流動点により、特1号、1号、2号、3号、特3号の5種類に分類され、後者ほど低温に対応できる仕様になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来の品質評価指標を満たしていても、低温での使用において問題を生じることがある。
そのために、3号軽油、特3号、更には、それ以上の低温特性を有する軽油を使用すれば良いといえる。このような軽油を提供するために、製品の品質設計、精製条件を厳格に設定して、品質的に十分に余裕を持った製品、低温環境の使用に耐える製品を製造しなければならない。しかし、こうすると余計な精製費用がかさみ、歩留まりも低下することからコスト的に高いものになることがどうしても避けられない。
また、現在、サービスステーションで販売されている軽油は専ら2号軽油であり、低温特性を高めた軽油を並行して供給することは設備的に対応が困難な状況にある。したがって、2号軽油であっても、より低温特性を改善したものが求められている。
【0004】
本発明は、軽油の低温使用時における特性を改善するもので、新しい品質評価指標により、確実に所定の低温運転性が得られる軽油組成物を提供するものである。さらに、新しい品質評価指標に基づいて前記軽油組成物の製造工程を管理することにより、簡便で低コストな軽油組成物の製造方法を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による軽油の製造方法は、一つ又は複数の基材からなる軽油組成物の製造方法において、該軽油組成物との界面からの全反射光の温度変化に基づいてワックス析出点を測定し、及び、該軽油組成物の使用予定温度までにおけるワックス結晶化潜熱に基づいてワックス析出量を測定することにより製造工程を管理することを特徴とする。
また、本発明による低温運転性に優れた軽油組成物は、50%留出温度が260℃以上、90%留出温度が300℃〜350℃、かつ、セタン指数が45以上の軽油組成物であり、更に、当該軽油組成物との界面からの全反射光の温度変化に基づいて測定したワックス析出点が−2.5℃以下であり、かつ−6℃までのワックス結晶化潜熱に基づくワックス析出量が1.7%以下であり、かつ当該軽油組成物に含まれる各炭素数のノルマルパラフィンの含有重量分布において、最大含有量以上の炭素数のノルマルパラフィンにつき、それらの炭素数(X)と含有量(Y:重量%)との相関を一次式で近似したときその傾きの逆数(ΔX/ΔY)が−2.5以下であることを特徴とする。
【0006】
【好ましい実施の態様】
本発明を、より詳細に説明する。最初に、この発明でいう「ワックス析出点」、「ワックス析出量」及び「ノルマルパラフィンの炭素数別の含有量分布」について説明する。
【0007】
[ワックス析出点]
本発明でいう「ワックス析出点」は、軽油組成物との界面における全反射光の温度変化に基づいて測定される温度である。この具体的な測定方法は、国際公開番号 WO 98/01748などに開示している。
分析対象となる軽油組成物を冷却していくと、その界面で全反射する光の入射角(全反射臨界角)が不連続的に変化する温度がある。このときの温度がワックス析出点である。つまり、光を入射する光導波部分と軽油との界面に全反射臨界角程度の入射角で光を照射し、該界面から光が反射してくるかを測定する装置を用いてワックス析出点は検出される。より詳しく説明すると、入射角は、液相での軽油に対して全反射する角度から、析出したワックスに対して全反射しない角度の範囲で軽油界面に当て、軽油を徐々に冷却しながら、界面から反射する反射光を法線に対して入射光の反対側に設けられた光検出器(例えば、CCDセンサー)で捕捉する。このとき、ワックスが析出すると、所定入射角の入射光は析出したワックス内に侵入し、ワックス表面から反射する光量は減少するので、光検出器で捕捉する反射光分布が変化することになる。こうして、屈折率が不連続に変化する温度をワックス析出点として精度よく、迅速に測定することができる。光導波部分を冷却することによって軽油を冷却する、及び/又は、光導波部分の幅が5〜500μmであることが測定精度を向上できるので好ましい。
【0008】
[ワックス析出量]
本発明でいう「ワックス析出量」は、DSC(示差熱量分析計)によって計測されたワックス結晶化潜熱に基づいて求めた値である。多数の軽油組成物について、ワックス結晶化潜熱とワックス析出量との関連を調査した結果、約−30℃までの温度において軽油留分中に析出するワックスの量Y(g/g軽油組成物)と、常温から前記温度までにおける結晶化潜熱X(cal/g)との間に、Y=2.3488Xの相関(96%以上の相関)があることを見出した。したがって、ワックス量は、DSCで求めたある温度までの結晶化潜熱X(cal/g)に係数2.3488を乗ずることによって、その温度において析出するワックス量(g/g)として求めることができる。このワックス量を「ワックス析出量」とした。この結果、ある温度ごとに析出したワックスを回収して直接その重量を求めるよりも、結晶化潜熱の測定によって求めることにより、高精度で、簡便に、しかも測定はごく短時間に行うことができる。
【0009】
[ノルマルパラフィンの炭素数別の含有量分布]
軽油組成物中に含有される炭化水素の炭素数ごとの含有重量分布を、ガスクロマトグラフィなどの分析法で測定し、そのうちノルマルパラフィンについて、最大含有量の炭素数以上の炭素数Xとその含有量Yとの相関関係(ΔY/ΔX)を一次式で近似してその傾きを求めた。最大含有量の炭素数以上のノルマルパラフィンを対象とするので、一般に炭素数Xが大きくなるほどその含有量Yは小さくなり、傾きはマイナスである。ここでは、前記傾きの逆数(ΔX/ΔY)をPD指数(normal Paraffin Distribution Index)と定義する。
【0010】
本発明の軽油組成物は、上記のように、50%留出温度が260℃以上、90%留出温度が300℃〜350℃の蒸留性状、45以上のセタン指数を有し、かつ、全反射光の温度変化から測定したワックス析出点が−2.5℃以下、−6℃までのワックス結晶化潜熱に基づくワックス析出量が1.7%(0.017g/g)以下であり、また、当該軽油組成物に含まれる最大含有量以上の炭素数のノルマルパラフィンにおいて、それらの炭素数(X)と含有量(Y:重量%)との相関を一次式で近似したときその傾きの逆数(ΔX/ΔY)が−2.5以下であるものである。
【0011】
本発明の軽油組成物の蒸留性状において、50%留出温度を260℃以上とし、90%留出温度を300℃〜350℃とする。50%留出温度が低いと、燃費が悪くなる傾向を示すので、好ましくは270℃〜300℃である。また、90%留出温度が低いと、やはり燃費が悪くなる傾向を示し、潤滑性も低くなり、一方高くなると、流動点、ワックス析出等の低温性能に悪影響を及ぼし易くなるので、320℃〜350℃が好ましい。
セタン指数は45以上が必要であり、これ未満ではディーゼルエンジンの効率が悪化してゆく、より好ましくは、50以上である。なお、セタン指数はセタン価であってもよい。
【0012】
本発明の軽油組成物のワックス析出点は、−2.5℃以下とする。この値が−2.5℃を超えると、低温流動性が悪化し、エンジンへ軽油を供給する際に流れにくくなる。なお、ここでいう「ワックス析出点」は、上述のように軽油組成物の界面における全反射光の温度変化に基づいて測定される温度である。
本発明の軽油組成物の−6℃までのワックス析出量は、軽油組成物に対して1.7重量%以下である。この値を超えると、軽油の低温流動性が悪くなる。なお、このワックス析出量は、DSC(示差熱量分析計)により求めたワックス結晶化潜熱(cal/g)から算出した値である。すなわち、該ワックス結晶化潜熱に相関係数2.3488(g/cal)を乗じて得た値であり、パーセント表示の場合、さらに100を乗じて得た値である。
【0013】
また、本発明の軽油組成物に含まれるノルマルパラフィンの炭素数による重量分布において、前記のPD指数が−2.5以下であり、特には、−3.5〜−8が好ましい。軽油の低温特性にはワックス分、特にノルマルパラフィンが、何らかの影響を及ぼしていると考え、種々検討したところ、PD指数が−2.5以下であると、優れた低温特性が得られることを見出した。この相関関係は、より炭素数の大きなノルマルパラフィンが含まれても、炭素数に対する含有量分布の減少勾配(PD指数の逆数)がなだらな方が優れた低温特性を示している。これが何によってもたらされるのかは、定かでないが、炭素数による含有量の分布が狭い範囲に固まっていると(傾きが急であると)、特に重質側のノルマルパラフィンが炭素数の狭い範囲に、すなわち、分子の結晶構造が近似するもの同士が集中するため、結晶性が加速されて大きなワックスが析出されるものと考えられる。
【0014】
本発明の軽油組成物の好ましい態様は、JIS2号軽油に相当するものであるが、本発明はこの態様に限定されることなく、上記のように各種の物性を特定した構成によって、従来のものと比較して車両等のディーゼルエンジンに使用したとき、より低温環境においても軽油の流れに支障をきたさない、より実用性能に優れた効果を奏するものである。
【0015】
また、本発明は、前記軽油組成物の製造に有用な上記の製造方法に関する。すなわち、一つ又は複数の基材からなる軽油組成物の製造方法において、該軽油組成物の界面からの全反射光の温度変化に基づいてワックス析出点を測定し、及び該軽油組成物の使用予定温度までにおけるワックス結晶化潜熱に基づいてワックス析出量を測定することにより製造工程を管理する軽油組成物の製造方法である。
【0016】
本発明に用いる基材である軽油基材としては、通常、沸点範囲150〜360℃の石油留分であり、20%留出温度が200〜280℃、50%留出温度が260〜300℃、90%留出温度が300〜380℃の蒸留性状のものが好ましく使用できる。
このような軽油基材は、原油の常圧蒸留及び/又は減圧蒸留の軽油留分、接触分解・熱分解の軽油留分、重油の直接・間接脱硫で副生する軽油留分などとして得られる軽油留分が挙げられる。これらの軽油留分はそのまま軽油基材として用いることができるが、通常、これらの軽油留分のうち、硫黄分を多く含有するものは水素化脱硫され(脱硫軽油留分)、不飽和分を多く含むものは水素化処理(水素添加)して安定性を改善する(水素化軽油留分)こともある。また、基材として灯油留分も重要な基材として好ましく用いることができる。また、例えば、改質ガソリン製造装置から副生される炭素数9以上の芳香族を主成分とする留分(芳香族留分)なども配合基材として用いることができる。
結局、軽油基材として、これらの軽油留分、脱硫軽油留分や水素化軽油留分などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜組み合わせて混合し、軽油組成物を調製することができる。更に、上記各種の軽油留分に加えて、上記各種の灯油留分及び/又は芳香族留分を配合して軽油組成物を調製することができる。
【0017】
この製造された軽油組成物の好ましい特性は、セタン指数(又は、セタン価)が40〜60、特には45〜55であり、15℃における密度が0.76〜0.92g/cm3、特には0.80〜0.88g/cm3であり、30℃における動粘度が1.5〜5.0mm2/sである。また、環境規制上、硫黄分は水素化脱硫処理などにより0.05質量%以下に低減されているものが好ましく、0.005質量%以下に低減することもできる。これらの基材を1種又は2種以上を適宜選択、混合して本発明の軽油組成物を製造することができる。
【0018】
本発明の低温運転性に優れた軽油組成物は、−2.5℃以下のワックス析出点を有する。このワックス析出点は厳しく管理する必要があるが、本発明の製造方法に示す測定方法によって、すなわち、該軽油組成物の界面からの全反射光の温度変化に基づいてワックス析出点を測定することによって、精度よく、迅速に測定することができる。この測定方法は、既に前記[ワックス析出点の測定]の項に記したとおりである。製造の管理にこの方法を用いる場合、種々の軽油基材の個々について、その軽油基材の製造工程においてワックス析出点を把握してその運転条件の変更に利用することができ、軽油基材がそれのみで軽油組成物の主成分となる場合、非常に効率的である。特には、複数の基材を配合して軽油組成物を製造する配合工程に好適であり、軽油組成物のワックス析出点をこの方法で測定し、得られた数値をフィードバックして混合する基材個々の配合量を変更、微調整することができる。
また、本発明の製造方法では、使用予定温度までにおけるワックス結晶化潜熱の測定値から求めたワックス析出量に基づいて軽油組成物の製造工程を管理することを含んでいる。このワックス析出量の測定、算出の詳細は、前記[ワックス結晶化潜熱によるワックス析出量]の項に記載したとおりである。この方法は、ワックス析出点の場合と同様に、精度よく、迅速に求めることができるので、個々の軽油基材の製造工程において、或いは複数の基材を配合する配合工程において有効に用いることができ、軽油組成物の製造工程を管理する上で有用である。
【0019】
本発明の軽油組成物は、エーテル化合物やエステル化合物などの含酸素化合物に代表される他の基材を20重量%、特には10重量%まで含んでいてもよい。さらに、低温流動性向上剤、耐摩耗性向上剤、セタン指数向上剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、腐食防止剤等の公知の燃料添加剤を添加してもよい。
耐摩耗性向上剤としては、長鎖(例えば、炭素数12〜24)の脂肪酸またのその脂肪酸エステルが好ましく用いられる。10〜500ppm、好ましくは50〜100ppmの添加量で十分に耐摩耗性が向上する。
低温流動性向上剤としては、100〜1000ppm、特には150〜600ppm添加することができ、エチレン共重合体などを用いることができるが、特に、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどの飽和脂肪酸のビニルエステルが好ましく用いられる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。
表1に示す物性の実施例1〜3及び比較例1〜3の供試油について、後述の評価試験を実施して、低温運転(実用)性能を評価した。
実施例及び比較例の供試油は、次の基材を、混合して調製した。
脱硫直留軽油:常圧蒸留で得られた軽油留分を水素化脱硫した基材。
脱硫直留灯油:常圧蒸留で得られた灯油留分を水素化脱硫した基材。
脱硫脱ろう軽油:脱硫直留軽油を水素化脱ろうした基材。
各供試油の物性は表1に示すとおりである。
【0021】
【表1】
Figure 0004058201
【0022】
なお、表1に示す物性は、次の試験方法に準じて行った。
密度:JIS K 2249。CFPP:JIS K 2288。蒸留性状、セタン指数、流動点、動粘度、硫黄分、10%残炭及び引火点:「JIS K2204 軽油」に記載のJIS試験方法。
ワックス析出点:本文中に記した方法によって測定した。(株)ジャパンエナジーで試作した測定器を用い、供試油を6℃/分で冷却し、CCDセンサーで捕捉した全反射光の温度変化を統計処理してワックス析出点を測定した。
ワックス析出量:本文中に記した方法によって測定した。具体的には、供試油10mgを示差走査熱量測定器(セイコー電子工業(株)製、DSC220C)にかけ、常温から測定温度(例えば、−6℃)まで3℃/分で冷却してその間の結晶化潜熱を測定し、その測定値に2.3488を乗じて、測定温度(例えば、−6℃)におけるワックス析出量を求めた。なお、表中の数値は供試油全体に対する重量%の値である。
【0023】
次いで、実施例1〜3及び比較例1〜3の各供試油について、実用性能を把握するため実機を模した次の評価試験を行って低温運転性を評価した。
乗用車用ディーゼルエンジンの燃料系統として下記の流路のシミュレータ実験装置を用い、供試油(実施例1〜3及び比較例1〜3)を分配型燃料ポンプで循環した。シミュレータではエンジンを運転させず、燃料ポンプをモータで駆動した。
Figure 0004058201
燃料タンク及び燃料ポンプなどのエンジン部品はカローラ用ディーゼルエンジン(トヨタ自動車製、2C型)のものを使用した。燃料タンク部及びエンジン部は別々の恒温槽に収納し、燃料タンク部及びエンジン部をそれぞれ独立して温度コントロールできるようになっている。流路全体を下記の温度プロファイルでコントロールして、それぞれの供試油についてワックス析出量、メインフィルタ前後の差圧、及び差圧解消時間(上限30分)を測定した。
[温度プロファイル]
1.装置全体をワックス析出点+5℃まで急冷する。
2.装置全体をワックス析出点+5℃から試験温度まで1℃/時で降温する。
3.試験温度で4時間ソーキングする。
4.ソーキングの4時間が経過する2分前に予備運転のため燃料ポンプをモータ(回転数:400rpm)で駆動し循環を開始する。
5.実車におけるエンジンによる熱条件を反映させるため、ソーキング終了後エンジン部を0.3℃/分、燃料タンク部を0.05℃/分で昇温を開始すると同時にモータ回転数を1000rpmに上げて循環を継続する。(差圧及び差圧解消時間を測定。)
ソーキングとは、供試油を含む装置全体を均一な温度とするために試験温度で静置することである。それぞれの供試油について、試験温度は、−5、−6、−7及び−8℃にて実施した。なお、差圧が0.3kg/cm2を超えた場合、あるいは急激に差圧が上昇してポンプが締め切り運転の様相を呈した場合、流れないもの(「流れず」)とし、ポンプ及びモータの保護のためモータを手動で停止した。
このようにして行った評価試験結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
Figure 0004058201
【0025】
表2から、本発明の範囲内の実施例1〜3の軽油は−6又は−7℃で流量を確保しているが、ワックス析出点、ワックス析出量、又はPD指数のいずれかが本発明の範囲を外れる比較例1〜3の油は、−6℃で流量を確保することができないことが分かる。
【0026】
【発明の効果】
本発明による軽油組成物は、特定の蒸留性状、セタン指数に加え、その界面の全反射光の温度変化に基づくワックス析出点、ワックス結晶化潜熱に基づくワックス析出量を特定し、更に含有されるノルマルパラフィンの分子量による分布特性を特定したものである。この結果ディーゼルエンジン燃料として、より低温においても通油に支障をきたさない優れた実用性能を有している。また、本発明の製造方法は、ワックス析出点を全反射光の温度変化から、またワックス析出量を結晶化潜熱から、高精度で、特に迅速に求めることができる方法を利用するものであるので、軽油組成物の製造工程、特に配合工程の管理に有用である。

Claims (2)

  1. 一つ又は複数の基材からなる軽油組成物の製造方法において、該軽油組成物との界面からの全反射光の温度変化に基づいてワックス析出点を測定し、該軽油組成物の使用予定温度までにおけるワックス結晶化潜熱に基づいてワックス析出量を測定することにより製造工程を管理することを特徴とする低温運転性に優れた軽油組成物の製造方法。
  2. 50%留出温度が260℃以上、90%留出温度が300℃〜350℃、かつ、セタン指数が45以上の軽油組成物であり、更に、当該軽油組成物との界面からの全反射光の温度変化に基づいて測定されたワックス析出点が−2.5℃以下であり、かつ−6℃までのワックス結晶化潜熱の測定値に基づくワックス析出量が1.7%以下であり、かつ当該軽油組成物に含まれる各炭素数のノルマルパラフィンの含有重量分布において、最大含有量以上の炭素数のノルマルパラフィンにつき、それらの炭素数(X)と含有量(Y:重量%)との相関を一次式で近似したときその傾きの逆数(ΔX/ΔY)が−2.5以下であることを特徴とする低温運転性に優れた軽油組成物。
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