JP4617180B2 - 軽油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、排出ガス性能、燃費を悪化させることなく、ディーゼル自動車における良好な低温性能、常温性能を有する、硫黄含有量が10質量ppm以下の低硫黄の軽油組成物に関する。
近年、環境的見地から、ディーゼル自動車においては排出ガス中のPM(粒子状物質)、NOx(窒素酸化物)、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)といった環境汚染物質の排出量の大幅な低減が求められている。このために、エンジンの改良、燃料噴射制御の精密化とともに、酸化触媒、NOx還元触媒、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)等の後処理装置の採用等によるディーゼル自動車の排出ガスのクリーン化が進められている(例えば、非特許文献1参照。)。一方、これらの後処理装置の能力を効果的に発揮し、かつ耐久を維持するため、軽油には硫黄分の含有量の一層の低減が求められている(例えば、非特許文献2参照。)。
軽油の低硫黄化を行う場合、脱硫触媒の寿命を確保するためには、直留軽油基材として、留出温度範囲を限定して軽質留分の含有量を低量にすることが有効である。しかしながら基材に含まれる軽質留分の低量化を図ることにより、降温時のワックス析出率が増大する。すなわち、温度の降下に伴い一気にワックスが析出してくるようになる。
また、直留軽油を低硫黄化するためには、一般に高度の水素化精製処理が必要であるが、基材の水素化が進むと、軽油の低温性能は悪化する方向となる。
さらに、低硫黄軽油を製造するためには、比較的硫黄分の高い分解系基材(マイルドハイドロクラッキング装置から得られる軽油留分(MHC−GO)等)の配合が制限されることになる。一般に分解系基材は低温流動性に優れるため、軽油への分解系基材の配合量が制限されると、軽油の低温性能が悪化するおそれがある。
一方、ディーゼル自動車においては、後処理装置の機能をより発揮させるため燃料噴射系制御の高精度化が進められている。噴射系が精密になると、燃料中のより細かいゴミを取り除くことが必要となるため、目の細かいフィルターが設けられることになる。このような目の細かいフィルターは、低温時に軽油から析出するワックス分により、閉塞を起こし易い傾向にある。
また、こうした精密な噴射制御を行うディーゼル自動車では、排出ガス対策のために燃料噴射圧の高圧化が図られており、燃料噴射圧の高圧化に伴い、フィルターを通過する単位時間当たりの燃料量が増加し、低温時に軽油から析出するワックス分によりフィルター閉塞をさらに起こし易くなるおそれがある。
ここで、JIS K2204「軽油」では、軽油を低温流動性等に基づいて特1号、1号、2号、3号および特3号の5つのグレードに分類しており、その解説に参考として地域別、季節別の使用ガイドラインを設けている。このガイドラインでは、地域別、月別の最低気温が−10℃の場合には、2号軽油を使用するのが望ましいとしている。しかしながら、低硫黄軽油と、後処理装置を搭載してより精密な噴射制御を行うディーゼル自動車との組み合わせにおいては、JISの2号軽油の規格を満足していても、最低気温が−10℃の場合にディーゼル自動車の燃料噴射装置に設けられるフィルターの閉塞を起こす懸念がある。
また、ディーゼル自動車が移動体であること、軽油が製造されてからディーゼル自動車に給油され使い切るまでに一般にある程度の期間を有することから、軽油はそれが使用される最低気温における低温流動性を備えていると同時に、それが使用されうるよりも高い温度の環境下においても実用性能上問題なく使用できることが要求される。
低温での軽油中のワックス量を制御するためには、通常、灯油留分を軽油留分に混合しておこなう。しかしながら灯油留分を軽油留分に多量に混合すると、引火点、動粘度の低下により、常温での始動性に問題が生じる場合がある。また、密度が低下することにより燃費が悪化するという問題が生じる。
松尾繁著,ディーゼルエンジンの現状と将来,「自動車技術」,2003年,No.57(1),p41―46, 「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」,環境省中央環境審議会大気環境部会,第七次答申,2003年 特開2004−75723号
本発明は、硫黄分が10質量ppm以下の低硫黄軽油において、特にJISのガイドラインの2号軽油を使用するのが望ましい地域、月において、低温におけるワックス析出量が比較的多いレベルにあっても、ディーゼル自動車において、低温でのフィルター閉塞を抑制し良好な低温始動性、環境汚染を抑制した排出ガス性能および優れた燃費特性を有し、低温、常温におけるスムーズな作動性を有する軽油組成物を提供するものである。
本発明者らは、JISの2号軽油の規格を満足していても、最低気温が−10℃の場合にディーゼル自動車の始動時における燃料噴射装置に設けられるフィルターの閉塞を起こす懸念を鑑みて、JISのガイドラインの2号軽油を使用するのが望ましい地域、月において、硫黄分の含量が低減された軽油組成物であっても、ディーゼル自動車の低温始動時におけるフィルター閉塞の抑制と、実用性能や排ガス浄化性能を満足する軽油組成物について、既に開発を行なった(特許文献1等)。この軽油組成物においては、低硫黄化軽油において、ディーゼル自動車における低温実用性能を確保するために含有成分を調整すると共に、ワックスの含有量を低減し、低温でのフィルター閉塞を抑制するとともに、実用性能や排ガス浄化性能の実現を図った。
本発明者らは、更なる研究を重ね、低硫黄軽油と、後処理装置を搭載してより精密な噴射制御を行うディーゼル自動車との組み合わせにおける低温でのフィルター閉塞防止には、低温で析出する軽油中に含まれるワックスの量とその結晶サイズを制御すればよいことに思い至った。そして、従来着目されたことがないワックス結晶サイズを含めたワックスの質と低温実用性能(実車のメインフィルター閉塞)に着目し、鋭意研究を行なった。ワックス量は規定以下であっても、様々な部分に目の細かいフィルターが設けられた精密な噴射系を有する最新のディーゼル車においては結晶サイズに起因するフィルター目詰まりが起きることがあり得るが、逆に、ワックス量が比較的多くても、低温下においてワックスがフィルターを総て透過するような超微細な形状となる軽油組成物ではフィルターの目詰まりが抑制されることの知見を得た。特定の性状を総て同時に満たす軽油組成物が上記課題を解決できることを見い出し、かかる知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、硫黄分が10質量ppm以下、徐冷曇り点が−7.0℃以上0.0℃以下、流動点が−7.5℃以下、目詰まり点が−5℃以下、セタン指数が45.0以上、30℃における動粘度が2.5〜6.0mm2/s、引火点が50℃以上、180℃における留出量(E180)と280℃における留出量(E280)の差(E280−E180)が30〜55vol%、300℃における留出量(E300)と350℃における留出量(E350)の差(E350−E300)が20〜40vol%、かつ−10℃でのワックス透過率が10%以上である軽油組成物であって、低温流動性向上剤を50〜500mg/Lと、パラフィン系ワックスを0.01〜0.5質量%とを含有し、該パラフィン系ワックスが、炭素数17から45の直鎖飽和炭化水素を30質量%以上含有するものであることを特徴とする軽油組成物に関する。
また、本発明は、好ましくは、軽油基材、灯油基材、合成軽油及び合成灯油のいずれか1種または2種以上を含む請求項1に記載の軽油組成物や、潤滑性向上剤を含有し、該潤滑性向上剤の含有量が25〜500mg/Lであることを特徴とする請求項1または2に記載の軽油組成物に関する。
本発明の軽油組成物は、硫黄分が10質量ppm以下の低硫黄軽油において、特にJISのガイドラインの2号軽油を使用するのが望ましい地域、月において、低温におけるワックス析出量が比較的多いレベルにあっても、ディーゼル自動車において、低温でのフィルター閉塞を抑制し良好な低温始動性、環境汚染を抑制した排出ガス性能および優れた燃費特性を有し、低温、常温におけるスムーズな作動性を有するものである。
本発明の軽油組成物は、硫黄分が10質量ppm以下、徐冷曇り点が−7.0℃以上0.0℃以下、流動点が−7.5℃以下、目詰まり点が−5℃以下、セタン指数が45.0以上、30℃における動粘度が2.5〜6.0mm2/s、引火点が50℃以上、180℃における留出量(E180)と280℃における留出量(E280)の差(E280−E180)が30〜55vol%、300℃における留出量(E300)と350℃における留出量(E350)の差(E350−E300)が20〜40vol%、−10℃でのワックス透過率が10%以上である軽油組成物であって、低温流動性向上剤を50〜500mg/Lと、パラフィン系ワックスを0.01〜0.5質量%とを含有し、該パラフィン系ワックスが、炭素数17から45の直鎖飽和炭化水素を30質量%以上含有するものであれば、特に制限されるものではない。
[軽油組成物の硫黄分]
本発明の軽油組成物においては、硫黄分が10質量ppm以下であることが必要である。軽油組成物中の硫黄分が10質量ppm以下であれば、ディーゼル自動車の後処理装置の排出ガス浄化性能を良好に保持することができる。なお、硫黄分は、ディーゼル自動車の後処理装置の排出ガス浄化性能の観点から5質量ppm以下が好ましく、1質量ppm以下がより好ましい。
なお、ここでいう硫黄分とは、JIS K2541「硫黄分試験法」により測定される硫黄分の含有量を意味する。
[軽油組成物の徐冷曇り点]
本発明の軽油組成物において、徐冷曇り点は、−7.0℃以上0.0℃以下であることが必要である。徐冷曇り点が0.0℃以下であれば、JIS2号軽油が使用される環境においてディーゼル自動車の燃料噴射装置のフィルターにワックスが付着しても容易に溶解し、−7.0℃以上であれば、低温流動性向上剤による目詰まり点降下能を十分に得ることができる。フィルター付着ワックスの溶解性の観点から、徐冷曇り点は、−1.5℃以下であることがより好ましく、−3.0℃以下であることがさらに好ましい。
ここで、徐冷曇り点とは、曇り点(JIS K2269)より10℃以上高い温度から曇り点を検知するまでは0.5℃/分で徐冷し、0.1℃単位で検知して得られた曇り点のことである。徐冷曇り点の検知方法は、試料に光を照射し、試料容器底のアルミ面における反射光が所定量低下(厚さ15mmの試料液の底面より3mmの高さから照射した光の反射光が7/8以下に低下)した点を徐冷曇り点とする。
[軽油組成物の流動点]
本発明の軽油組成物において、流動点は、ディーゼル自動車における燃料ラインでの流動性確保の点から、−7.5℃以下であることが必要であり、−10.0℃以下であることが好ましく、−12.5℃以下であることがより好ましい。
ここでいう流動点とは、JIS K2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」により測定される値を意味する。
[軽油組成物の目詰まり点]
本発明の軽油組成物において、目詰まり点は、ディーゼル自動車の燃料噴射装置に設けられるフィルター閉塞性防止の観点から、−5℃以下であることが必要であり、−8℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることがより好ましい。
ここでいう目詰まり点とは、JIS K2288「石油製品−軽油−目詰まり点試験方法」により測定される値を意味する。
[軽油組成物のセタン指数]
本発明の軽油組成物において、セタン指数は、エンジン着火性の点から、45.0以上であることが必要であり、50.0以上であることが好ましく、55.0以上であることがより好ましい。
ここでいうセタン指数とは、JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」により算出される値を意味する。
[軽油組成物の動粘度]
本発明の軽油組成物において、30℃における動粘度は、2.5〜6.0mm2/sであることが必要である。30℃における動粘度が2.5mm2/s以上であれば、30℃における動粘度が2.5mm2/s以上であることが規定されるJIS2号軽油を満たし、ディーゼル自動車において比較的高い温度下で使用された場合に、始動不良を起こしたり、アイドリング時のエンジン回転が不安定となることを抑制し、また、燃料噴射ポンプに与える負荷を低減することができる。ディーゼル自動車における高温時の始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保および燃料噴射ポンプの耐久性確保の観点から、30℃における動粘度は2.7mm2/s以上が好ましく、3.0mm2/s以上がより好ましい。また、30℃における動粘度が6.0mm2/s以下であれば、排出ガス中の黒煙量を抑制することができる。黒煙量増加防止の観点から、30℃における動粘度は5.5mm2/s以下であることが好ましく、5.0mm2/s以下であることがより好ましい。
ここでいう30℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される値を意味する。
[軽油組成物の引火点]
本発明の軽油組成物において、引火点は50℃以上であることが必要である。引火点が50℃以上であれば、引火点が50℃以上であることが規定されるJIS2号軽油を満たし、取り扱い時の安全性を確保することができる。取り扱い時の安全性確保の観点から、引火点は60℃以上であることが好ましい。
ここでいう引火点とは、JIS K2265「原油及び石油製品引火点試験方法」により測定される値を意味する。
[軽油組成物の留出量]
本発明の軽油組成物において、180℃における留出量(E180)と280℃における留出量(E280)の差(E280−E180)は30〜55vol%であることが必要である。JIS2号軽油の使用される環境下では(E280−E180)が55vol%以下であれば、ディーゼル自動車において一部の軽質留分が気化してエンジン内において噴霧範囲が広範囲となることに伴う排出ガス中の未燃分HC量の増加を抑制することができ、高温時の始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性を確保することができる。かかる観点から、(E280−E180)は好ましくは53vol%以下、より好ましくは51vol%以下である。
一方、JIS2号軽油の使用される環境下では(E280−E180)が30vol%以上であれば、ディーゼル自動車において低温時の始動、運転をスムーズに行なうことができ、(E280−E180)は好ましくは35vol%以上、より好ましくは40vol%以上である。
本発明の軽油組成物において、300℃における留出量(E300)と350℃における留出量(E350)の差(E350−E300)は20〜40vol%であることが必要である。JIS2号軽油の使用される環境下ではE350−E300が40vol%以下であれば、ディーゼル自動車においてワックス析出量を低減することができ低温時の始動、運転をスムーズに行なうことができる。また、エンジンから排出されるPM(粒子状物質)量の低減のため、(E350−E300)は好ましくは35vol%以下である。
一方、JIS2号軽油の使用される環境下では(E350−E300)が20vol%以上であれば、析出ワックスの結晶成長抑制、ディーゼル自動車における高温時の始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性を確保することができ、更に低温流動性向上剤により、ワックスを微細化させ、目詰まり点(CFPP)を低下させる効果を確保することができ、かかる観点からE350−E300は好ましくは25vol%以上である。
ここでE180、E280、E300、E350とは、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して測定される値を意味する。
[軽油組成物のワックス透過率]
本発明の軽油組成物において、−10℃におけるワックス透過率は10%以上が必要である。ディーゼル自動車において燃料タンク内で析出したワックスによるフィルターの目詰まりを防止する観点から、−10℃でのワックス透過率10%以上が必要であり、好ましくは20%以上、最も好ましくは30%以上である。
ここでいうワックス透過率は、所定量の軽油組成物中に含有されるワックス量に対する、−10℃においてディーゼル車のメインフィルターを介して吸引したときのフィルターを透過したろ液中のワックス量の割合として求めることができるものである。かかるワックス透過率は、ディーゼル車のメインフィルターと同質の試験用フィルターを備えたディーゼル車用ディーゼル燃料の評価装置を用いて求めることができる。なお、本評価において、試験用フィルターはスパイラル型と呼ばれるディーゼル車のメインフィルターと同質のものを用いた。
上記ディーゼル車用ディーゼル燃料の評価装置は、具体的には、図1、2に示すものを挙げることができる。かかるディーゼル車用ディーゼル燃料の評価装置には、冷却槽10内のクーラント中に浸漬される試料供給容器11と、先端が試料供給容器11の底面から1mm上方に位置するように挿入される試料吸引管12と、試料吸引管12の他端が挿入される試料回収容器(ろ液回収容器)13と、試料吸引管12に設けられるフィルターユニット14と、これらを収納して冷却する低温恒温恒湿装置15と、試料回収容器13を負圧にする吸引装置16と、吸引装置16と試料回収容器13を接続するエアー吸引管17とが設けられる。エアー吸引管17には、調圧器18と、調圧器18の上流と下流にそれぞれ圧力計19、20と、リリーフバルブ21とが設けられる。試料供給容器11内の試料の冷却後、濾過操作を行なう間は、これらの試料供給容器11、試料吸引管12、フィルターユニット14、試料回収容器13、エアー吸引管17、吸引ポンプ16を一体的に接続し、内部を気密に保持可能となっている。また、試料供給容器とフィルターユニット内の温度を測定し、冷却温度を確認できる温度センサ22、23と、これらの温度センサからの検出値を記録する温度記録計24が設けられる。上記フィルターユニット14には、図2に示すように、Oリング25、ディーゼル車の燃料噴射システムに装着されるメインフィルターと同質の、例えば、スパイラル型と呼ばれるディーゼル車のメインフィルターと同質の試験用フィルター26、サポートスクリーン27、ガスケット28とを順次積層してフィルターホルダー29に収納し、フィルターホルダー29内部を気密に保持可能となっている。
このようなディーゼル車用ディーゼル燃料の評価装置を用いて、評価対象の軽油組成物のワックス透過率は、以下のようにして求めることができる。
評価対象の軽油組成物の所定量、例えば50mlをサンプルとして試料供給容器11に採取し、冷却条件:(1)室温から5℃まで1.0hで冷却、(2)5℃で1h保持、(3)5℃から−10℃まで1.0℃/hの冷却速度で冷却、(4)−10℃で1h保持した後、吸引装置を駆動して所定の吸引圧力、例えば20KPaで吸引し、試料供給容器11内のサンプルを試験用フィルター26を透過させ試料回収容器13にろ液として回収する。回収したろ液量を測定する。
サンプルのろ液量から式(1)により、軽油組成物のワックス透過率を求めることができる。
ワックス透過率(%)=(A2(ml)×Z2(質量%))÷(A1(ml)×Z1(質量%))×100 (1)
式(1)中、A1はサンプルの液量(50mL)、A2は試験用フィルターを透過して回収した試料回収容器中のろ液量を示す。Z1、Z2はそれぞれ、以下に示す方法により算出されるサンプルおよびろ液のワックス濃度(質量%)を示す。
以下にワックス濃度(Z)の算出方法を詳述する。ワックス濃度(Z)は低温示差走査熱量計より求められる軽油組成物の−10℃における析出ワックス量と相関の高い発明者が経験上見い出した指標で、式(2)より求めることができる。
ワックス濃度(Z質量%)=(X+10)×(1.5708×Y+0.0129) (2)
式(2)中、Xは上記の方法により測定した徐冷曇り点(℃)であり、Yは炭素数20〜27のノルマルパラフィン含有量から求めた線形回帰直線の傾きである。
上記線形回帰直線の傾き(Y)は、炭素数20〜27のノルマルパラフィン含有量から求めたものである。ここで、ノルマルパラフィン含有量は、例えば、無極性カラム(ステンレスキャピラリーカラムULTRA ALLOY-1内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)とFID(水素炎イオン化検出器)を装着し、所定の温度プログラム(カラム恒温層温度:140℃から350℃まで8℃/minで昇温し、350℃で1min保持、検出器温度:360℃一定、注入部温度:360℃一定)で作動させたガスクロマトグラフより定量した値とすることができる。またガスクロマトグラフとは、試料中の各組成物の物性(沸点、極性等)を利用して各組成物を分離・定量分析する分析手法のことである。例えば、ある基材の線形回帰直線の傾きは、以下のようにして求めることができる。まず、ガスクロマトグラフによって試料中のノルマルパラフィン分を炭素数20〜27それぞれのピークとして分離測定する。得られた各炭素数のノルマルパラフィンの面積をノルマルパラフィン以外の成分を含めた全成分の総面積で除し、各炭素数のノルマルパラフィンの含有量を質量%で求める。次いでこれらの各含有量をY軸に、X軸には炭素数20を7、炭素数21を6、炭素数22を5、炭素数23を4、炭素数24を3、炭素数25を2、炭素数26を1、炭素数27を0としてプロットし、これらのプロットに対する線形回帰直線を求めることにより、その基材の線形回帰直線の傾きYを特定することができる。
表1にワックス透過率の計算例を示す。徐冷曇り点(X)と炭素数20〜27のノルマルパラフィン含有量から求めた線形回帰直線の傾き(Y)から式(2)を用いてサンプルのワックス濃度(Z1)とろ液のワックス濃度(Z2)を求め、求めたサンプルのワックス濃度(Z1)、ろ液のワックス濃度(Z2)を式(1)に挿入しワックス透過率(%)を算出することができる。
Figure 0004617180
[軽油組成物のワックス結晶サイズ]
本発明の軽油組成物においては、ワックス結晶サイズは特に限定されるものではないが−10℃で10μm以下が好ましい。ワックス結晶サイズが10μmであれば、析出したワックスがディーゼル自動車の燃料噴射装置に設けられるメインフィルターを透過し、メインフィルターの閉塞を抑制することができる。本発明の軽油組成物においては、JIS2号軽油が適用される地域や時期における低温時であっても、燃料タンク内の軽油中に析出するワックス結晶サイズを10μmとすることができる。
ここで−10℃のワックス結晶サイズとは、光学偏向顕微鏡で−10℃において観察される大きめのワックス結晶を30個抽出し、各結晶の最大長さの計測値の平均値を意味する。具体的には、評価対象の軽油組成物50mlを試料容器に採取し、(1)室温から5℃まで1.0hで冷却、(2)5℃で1h保持、(3)5℃から−10℃まで1.0℃/hの冷却速度で冷却、(4)−10℃で1h保持した後、ピペット等で試料容器底部のサンプルを採取し、−10℃下におかれた光学偏向顕微鏡でワックス結晶を観察しサイズの測定をする。図3に実施例1および比較例1の−10℃における光学偏向顕微鏡でのワックス結晶の観察例(倍率:1000倍)を示す。
[軽油組成物の蒸留性状]
本発明の軽油組成物においては、蒸留性状は特に限定されるものではないが、初留点(IBP)が140〜230℃、10vol%留出温度(T10)が165〜250℃、50vol%留出温度(T50)が240〜310℃、90vol%留出温度(T90)が300〜350℃、95vol%留出温度(T95)が305〜365℃、終点(EP)が310〜380℃であることが好ましい。
[IBP]
本発明の軽油組成物において、IBPが140℃以上であると、一部の軽質留分が気化してディーゼル自動車のエンジン内において噴霧範囲が広範囲となることに伴う排出ガス中の未燃分HC量の増加を抑制することができ、高温時の始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保することができるため、好ましい。これらの観点から、IBPはより好ましくは150℃以上、さらに好ましくは155℃以上、最も好ましくは160℃以上である。一方、IBPが230℃以下であると、ディーゼル自動車において低温時の始動、運転をスムーズに行なうことができるため、好ましく、より好ましくは220℃以下であり、更に好ましくは215℃以下である。
[T10]
本発明の軽油組成物において、T10が165℃以上であると、IBPが140℃以上の場合と同様に、排出ガスに含有されるHC量の増加を抑制することができ、ディーゼル自動車における高温時の始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保の観点から好ましく、より好ましくは170℃以上、最も好ましくは175℃以上である。一方、T10が250℃以下であると、ディーゼル自動車における低温時の始動および運転をスムーズに行なうことができるため好ましく、より好ましくは245℃以下、さらに好ましくは240℃以下、最も好ましくは235℃以下である。
[T50]
本発明の軽油組成物において、T50は、ディーゼル自動車における燃料消費率、エンジン出力、および高温における始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保の観点から、好ましくは240℃以上であり、より好ましくは245℃以上、さらに好ましくは250℃以上、さらにより好ましくは255℃以上、最も好ましくは260℃以上である。一方、エンジンから排出されるPM増加防止の点から、T50は好ましくは310℃以下であり、より好ましくは300℃以下、さらに好ましくは295℃以下、最も好ましくは290℃以下である。
[T90]
本発明の軽油組成物において、T90はディーゼル自動車においてエンジンから排出される粒子状物質(PM)増加防止の点から、350℃以下が好ましく、より好ましくは345℃以下であり、さらに好ましくは340℃以下であり、最も好ましくは335℃以下である。また、低温流動性向上剤によるCFPP降下能確保、ディーゼル自動車における高温時の始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保、および燃料消費率の点から、T90の下限は300℃以上であることが好ましく、310℃以上であることがより好ましく、315℃以上であることが最も好ましい。
[T95]
本発明の軽油組成物において、T95は、低温流動性向上剤によるCFPP降下能確保、ディーゼル自動車における高温の始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保、および燃料消費率の点から、305℃以上であることが好ましく、より好ましくは315℃以上、最も好ましくは320℃以上である。一方、エンジンから排出されるPM増加防止の点から、T95は好ましくは365℃以下であり、より好ましくは355℃以下、さらに好ましくは350℃以下、さらにより好ましくは345℃以下、最も好ましくは340℃以下である。
[EP]
本発明の軽油組成物において、EPは、低温流動性向上剤によるCFPP降下能確保、ディーゼル自動車における高温時の始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保、および燃料消費率の点から、310℃以上であることが好ましく、より好ましくは320℃以上、最も好ましくは325℃以上である。一方、エンジンから排出されるPM増加防止の点から、EPは380℃以下であることが好ましく、より好ましくは377℃以下、最も好ましくは374℃以下である。
ここでいう蒸留性状とは、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法」により測定される値を意味する。
[流動性向上剤]
本発明の軽油組成物において、ディーゼル自動車の燃料タンク内で析出したワックスの凝集沈降を防止する点およびフィルター閉塞防止の点から低温流動性向上剤を含有する。低温流動性向上剤の含有量としては50〜500mg/Lであり、100〜300mg/Lであることが好ましい。本発明の軽油組成物に適用する低温流動性向上剤としては、市販の商品を使用することができるが、市販品を使用する場合、本発明の軽油組成物への添加量としては、低温流動性に寄与する有効成分が適当な溶剤で希釈されていることがあるため、有効成分が上記低温流動性向上剤の含有量となる範囲であることが好ましい。
かかる低温流動性向上剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体に代表されるエチレン−不飽和エステル共重合体、アルケニルコハク酸アミド、ポリエチレングリコールのジベヘン酸エステルなどの線状の化合物、アルキルフマレートまたはアルキルイタコネート−不飽和エステル共重合体などからなるくし形ポリマーなどの低温流動性向上剤、フタル酸、コハク酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ酢酸などの酸またはその酸無水物などとヒドロカルビル置換アミンなどとの反応生成物などからなる極性窒素化合物を含有する低温流動性向上剤などを挙げることができ、これらの化合物の1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。この中でも汎用性の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体系添加剤、極性窒素化合物を含有する低温流動性向上剤を好ましく使用することができ、ワックス結晶微細化促進および、ワックスの凝集沈降を防止する点で、極性窒素化合物を含有する低温流動性向上剤の使用がさらに好ましい。また、特に赤外分光光度計において1600cm-1付近に特異的な吸収を有する極性窒素化合物を含有する低温流動性向上剤を使用することが好ましい。低温流動性向上剤中の極性窒素化合物の含有量としては、低温流動性向上剤全量(有効成分が溶剤で希釈されている場合は希釈品)に対して10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上、最も好ましくは30質量%以上である。
[潤滑性向上剤]
本発明の軽油組成物において、ディーゼル自動車における噴射ポンプ内の潤滑性確保の観点から潤滑性向上剤を含有することが好ましい。潤滑性向上剤の含有量は25〜500mg/Lであることが好ましく、25〜300mg/Lであることがより好ましく、25〜200mg/Lであることがさらに好ましい。特に、HFRRのWS1.4値が500μm以下であることが好ましく、より好ましくは460μm以下、更に好ましくは420μm以下、最も好ましくは400μm以下となるように潤滑性向上剤を添加するのがよい。本発明の軽油組成物に適用する潤滑性向上剤としては、市販の商品を使用することができるが、市販品を使用する場合、本発明の軽油組成物への添加量としては、潤滑性に寄与する有効成分が適当な溶剤で希釈されていることが通例であるため、有効成分が上記潤滑性向上剤の含有量となる範囲であることが好ましい。
かかる潤滑性向上剤の種類は特に限定されるものではないが、エステル系、カルボン酸系、アルコール系、フェノール系、アミン系等の潤滑性向上剤の1種または2種以上を使用することができる。この中でも、汎用性の観点から、エステル系、カルボン酸系の潤滑性向上剤の使用が好ましい。さらに添加濃度に対する添加効果が飽和に達しにくく、HFRRのWS1.4値をより小さくできる点からはエステル系潤滑性向上剤が好ましく、添加濃度に対する添加効果の初期応答性が高く、潤滑性向上剤の添加量を少なくできる可能性があるという点からはカルボン酸系潤滑性向上剤が好ましい。
エステル系の潤滑性向上剤としては、例えば、グリセリンのカルボン酸エステル等を挙げることができ、具体的には、リノール酸、オレイン酸、サリチル酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ヘキサデセン酸等のグリセリンエステルを挙げることができ、これらの1種または2種以上を適宜使用することができる。
上記低温流動性向上剤が潤滑性改善効果を併せ持つ場合には、低温流動性向上剤のみの使用でも潤滑性の改善を図ることができるが、低温流動性向上剤と潤滑性向上剤を組み合わせることにより、潤滑性の一層の改善を図ることができる。
上記HFRRのWS1.4値とは、軽油の潤滑性の判断指標であり、社団法人石油学会から発行されている石油学会規格JPI−5S−50−98「軽油−潤滑性試験方法」により測定される値を意味する。
[その他の添加物]
本発明の軽油組成物においては、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、他の任意の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤としては、2−エチルヘキシルナイトレートに代表される硝酸エステル系、有機過酸化物系等のセタン価向上剤、アルケニルコハク酸誘導体、カルボン酸のアミン塩等の清浄剤、フェノール系、アミン系等の酸化防止剤、サリチリデン誘導体等の金属不活性化剤、ポリグリコールエーテル等の氷結防止剤、脂肪族アミン、アルケニルコハク酸エステル等の腐食防止剤、アニオン系、カチオン系、両性系界面活性剤等の帯電防止剤、アゾ染料等の着色剤、シリコン系等の消泡剤などを挙げることができる。これらの他の添加剤は、単独または数種類を組み合わせて添加することができる。添加量も適宜選択することができるが、その他の添加剤全量で、軽油組成物に対して、例えば、0.5質量%以下とすることができ、好ましくは0.2質量%以下である。なお、ここでいう添加量全量とは、添加剤の有効成分としての添加量を意味している。
[パラフィン系ワックス]
本発明の軽油組成物において、ディーゼル自動車の燃料タンク内で析出したワックスの凝集沈降を防止する点およびワックス結晶の微細化によるフィルター閉塞防止の点から、パラフィン系ワックスを軽油組成物全量中に0.01〜0.5質量%含有する。含有するパラフィン系ワックスが0.5質量%以下であると、ディーゼル自動車においてフィルターの目詰まり及び、目詰まり点の退行現象を抑制できる。なお、目詰まり点の退行現象とは、例えば、-3℃の目詰まり点が、燃料への低温流動性向上剤の添加で−12℃に一度は低下するが時間が経過するに従い、-10℃、-8℃、-5℃のように上昇する現象をいう。パラフィン系ワックスの軽油組成物全量に対する含有量は好ましくは0.4質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である。一方、軽油組成物中のパラフィン系ワックスが0.01質量%以上であると、低温流動性向上剤とパラフィン系ワックスとの相互作用により、ワックス中の炭素数の大きいノルマルパラフィンが核として、低温流動性向上剤がさらに多量に析出するワックス結晶の微細化を促進させ、ワックスの凝集沈降およびフィルター閉塞を抑制することができる。軽油組成物中のパラフィン系ワックスの含有量としては、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。
本発明の軽油組成物に含まれるパラフィン系ワックスとしては、炭素数は17以上45以下(nC17〜nC45)の直鎖飽和炭化水素(ノルマルパラフィン)を30質量%以上含有するものである。低温流動性向上剤とパラフィン系ワックスとの作用を促進させる点から、炭素数は17以上45以下(nC17〜nC45)の直鎖飽和炭化水素の含有量は45質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
また、前記パラフィン系ワックスに含有される直鎖飽和炭化水素(ノルマルパラフィン)の炭素数は17以上45以下(nC17〜nC45)であり、18以上42以下(nC18〜nC42)が好ましい。パラフィン系ワックス中の直鎖飽和炭化水素の炭素数が17以上であれば、ワックスと低温流動性向上剤との相互作用を促進させることができる。一方、パラフィン系ワックスに含有される直鎖飽和炭化水素(ノルマルパラフィン)の炭素数が45以下であれば、ディーゼル自動車の燃料噴射装置の目詰まりの発生をより抑制することができる。
前記パラフィン系ワックスの種類としては、上述の性状を満たす限り特に限定されないが、石油精製から得られるパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス、FT合成により得られるFTワックス、FTワックスを水素化処理したワックス等を好ましく挙げることができ、これらを単独または数種類を組み合わせて用いることができる。
上記石油系ワックスは、例えば、原油を減圧蒸留し得られる重質留出油、または残渣油を特定温度に保ち固化した炭化水素を分離して取り出すことで得られ、工業的製造方法としては、主として(1)プレス発汗法、(2)溶剤抽出法の2つを挙げることができる。具体的には、プレス発汗法とは、粘度が低く結晶の大きいワックスを含む原料油をプレス濾過し分離した後、さらに残った油を発汗させてワックスを分別する方法である。一方、(2)溶剤抽出法とは、粘度が高く結晶の小さなワックスを含む原料油はプレス濾過できないため、溶剤を加えて結晶化させてワックスを濾過する方法で、通常の石油系ワックスはこの方法で製造される。
FTワックスとしては、例えば、天然ガス、石油系重質残油のガス化等により生成した一酸化炭素と水素とをFT触媒を用いて合成(FT合成)することにより得られるものを挙げることができる。
これらのうち低温流動性向上剤とパラフィン系ワックスとの相互作用を効果的に得るためには、石油系ワックスであるパラフィンワックスを特に好ましいものとして挙げることができる。
[軽油基材]
本発明の軽油組成物において、本発明が必要とする上述の燃料特性を満たす範疇において、軽油基材、灯油基材、合成軽油及び合成灯油を1種または2種以上配合することができるが、軽油基材と灯油基材の配合量の合計を100vol%としたとき、軽油基材は60〜100vol%、灯油基材は0〜40vol%配合するのが好ましい。軽油基材とは、具体的には、原油の常圧蒸留装置から得られる直留軽油や、常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧軽油、硫黄分含有量に応じて前述の直留または減圧軽油を水素化精製装置で水素化処理した水素化精製軽油、水素化精製よりも苛酷な条件で一段階または多段階で水素化脱硫して得られる水素化脱硫軽油、上記の種々の軽油基材を水素化分解して得られる水素化分解軽油などを挙げることができる。また、灯油基材とは、具体的には、原油の常圧蒸留装置から得られる直留灯油や、常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧灯油、硫黄分含有量に応じて前述の直留または減圧灯油を水素化精製装置で水素化処理した水素化精製灯油、水素化精製よりも苛酷な条件で一段階または多段階で水素化脱硫して得られる水素化脱硫灯油、上記の種々の灯油基材を水素化分解して得られる水素化分解灯油などを挙げることができる。
前述の水素化脱硫条件は、特に限定されるものではないが、一般的に、水素分圧は1MPa以上が好ましく、3MPa以上がより好ましく、5MPa以上が最も好ましい。上限は特に限定されないが、反応器の耐圧力性の観点から10MPa以下が好ましい。また、反応温度は300℃以上が好ましく、320℃以上がより好ましく、340℃以上が最も好ましい。上限は特に限定されないが、反応器の耐熱性の観点から400℃以下が好ましい。さらに、液空間速度は6/h以下が好ましく、4/h以下がより好ましく、2/h以下が最も好ましい。下限は特に限定されないが、偏流の観点から0.1/h以上が好ましい。
また、上記水素化脱硫に使用される触媒としては、特に限定されるものではないが、Ni、Co、Mo、W、Pd、Ptなどの金属を2〜3種類組み合わせて用いるものを挙げることができる。具体的には、Co−Mo系、Ni−Mo系、Ni−Co−Mo系、Ni−W系等の触媒を好ましく用いることができ、中でも汎用性の点から、Co−Mo系、Ni−Mo系の触媒がより好ましい。
また、上記合成軽油や、合成灯油は、天然ガス、アスファルト分、石炭等を原料とし、これを化学合成させることで得られる合成軽油や、合成灯油をいう。上記化学合成方法としては間接液化法、直接液化法などがあり、代表的な合成手法として、フィッシャートロップス合成法(FT合成法)を挙げることができるが、本発明の軽油組成物において使用する合成軽油はこれらの製造方法により限定されるものではない。合成軽油や、合成灯油は一般に飽和炭化水素類が主成分であり、詳しくはノルマルパラフィン類、イソパラフィン類、ナフテン類から構成されており、芳香族分をほとんど含有していない基材である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
参考例1、2、実施例〜7および比較例1〜6]
表2の原料油を表3に示す条件で水素化脱硫処理して得られる水素化脱硫軽油1〜2、並びに水素化脱硫灯油を、表5に示す配合比で混合し、これに低温流動性向上剤、潤滑性向上剤、表4に示すパラフィン系ワックスを表5に示す濃度で添加することにより、本発明の軽油組成物(参考例1、2、実施例〜7)および比較例の軽油組成物(比較例1〜6)を調製した。これらの軽油組成物の性状を表5に示す。
基材及び軽油組成物の性状は以下の分析法で測定した。
硫黄分は、JIS K2541「硫黄分試験法」により測定した。
密度は、JIS K2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」により測定した。
蒸留性状(IBP、T10、T50、T90、T95、EP、E180、E280、E300、E350)は、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法」に準拠して測定した。
ノルマルパラフィンの炭素数およびその含有量(質量%)は、上述したように無極性カラムとFID(水素炎イオン化検出器)を装着し、所定の温度プログラムで作動させたガスクロマトグラフより定量した値である。
引火点は、JIS K2265「原油及び石油製品引火点試験方法」により測定した。
徐冷曇り点は、市販の徐冷曇り点測定装置(型式:MPC−101A、田中科学機器製作株式会社製)により測定した。
流動点は、JIS K2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」により測定した。
目詰まり点は、JIS K2288「石油製品−軽油−目詰まり点試験方法」により測定した。
セタン指数は、JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」により測定した。
動粘度(30℃)は、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定した。
HFRRのWS1.4は石油学会規格JPI−5S−50−98「軽油−潤滑性試験方法」により測定した。
ワックス透過率は、図1、2に示したディーゼル車用ディーゼル燃料の評価装置を用い、以下の条件で試料供給容器中のサンプルの全量が試料回収容器に回収されるまでの時間、または試料供給容器からサンプル量が減量されなくなるまで吸引ろ過を行ない、試料回収容器に回収されたサンプル量を測定し、式(1)および式(2)を用いて算出した。
サンプル量:50mL
冷却:サンプルを環境温度を室温から5℃まで急冷し、5℃で1時間保持した後、1℃/hの冷却速度で−10℃に達するまで徐冷し、−10℃で1時間保持した。
吸引圧力:20KPa
次に、実施例1〜7及び比較例1〜6の各軽油組成物について、以下に示す各種試験を行った。
[低温実車試験]
環境温度の制御が可能なシャーシダイナモメータ上で、室温で、(1)供試ディーゼル自動車の燃料系統を評価燃料でフラッシング(洗浄)、(2)フラッシング燃料の抜き出し、(3)メインフィルターの新品への交換、(4)燃料タンクに評価燃料の規定量(供試車両の燃料タンク容量の1/2)の張り込みを行なった。その後、(5)環境温度を室温から5℃まで急冷し、(6)5℃で1時間保持した後、(7)1℃/hの冷却速度で−10℃に達するまで徐冷し、(8)−10℃で1時間保持した後、走行試験を開始した。走行試験は、(9)エンジン始動、(10)5分間アイドリング、(11)50km/hまで加速、(12)50km/hで1時間走行を行ない、その間の運転状況により合格、不合格を以下の基準により判定した。結果を表5に示す。
評価基準
良(◎):エンジン始動、アイドリング、加速に問題がなく、全走行に渡って50km/h走行が維持できた場合
可(○):一回目のクランキングではエンジンが始動できなかったり、走行中一時的に車速が低下したがその後回復した場合など、軽微の不具合を生じたが、走行が継続できた場合
不可(×):始動不可(10秒間のクランキングを30秒間隔で5回繰り返しても始動しない場合)、アイドリングストール、エンジン停止などにより走行維持ができなかった場合
低温実車試験には、下記のA、Bの2台のディーゼル自動車を用いた。
車両Aは、短期規制適合の以下のディーゼルトラックである。
車両A諸元
最大積載量:2t
エンジン種類:直列4気筒ディ−ゼル
エンジン総排気量:4.3L
燃料噴射ポンプ:列型
適合規制:短期排出ガス規制適合(ベース車両)
車両Bは、長期規制適合の以下のスポーツユーティリティビークルである。
車両B諸元
最大積載量:2t
エンジン種類:直列4気筒ディ−ゼル
エンジン総排気量:4.8L
燃料噴射システム:コモンレール方式
適合規制:長期排出ガス規制適合
排出ガス後処理装置:酸化触媒
[高温始動性試験]
環境温度の制御が可能な室内で、試験車両に評価燃料を15L給油し、環境温度を35℃に設定した後、エンジンを始動させアイドリングにて保持した。アイドリング中の車両の燃料噴射ポンプ出口温度が安定した時点でエンジンを停止させ、5分間放置した後、エンジンを再始動させた。この時エンジンが正常に始動した場合は合格(○)、始動しなかった場合は不合格(×)とした。結果を表5に示す。
高温始動性試験に用いた車両Cは、長期規制適合、七都府県市指定低公害車の以下のディーゼルトラックである。
車両C諸元
最大積載量:4t
エンジン種類:直列6気筒ディ−ゼル
エンジン総排気量:8.2L
燃料噴射ポンプ:高圧分配型
適合規制:長期排出ガス規制適合(七都府県市指定低公害車)
排出ガス後処理装置:酸化触媒
[車両排ガス試験]
上記車両ABを用いて、PMの測定を行った。PMは全量希釈トンネルにて希釈した排ガスを炭化フッ素被膜ガラス繊維フィルターで捕集し、分析した。試験モードは、図4に示す実走行を模擬した過渡運転モードで行い、排ガス成分は試験モード1kmあたりの排出量として算出し、比較例4の燃料を供試した車両の場合の結果を100として、各結果を相対的に比較、定量化した。結果を表5に示す。
[車両燃費試験]
上記車両Bを用いて、燃費の測定を行った。試験モードは、図4に示す実走行を模擬した過渡運転モードで行い、燃費は試験モード中に消費した燃料容積流量を燃料温度補正し、重量値に置き換えた値について、比較例5の燃料を供試した場合の結果を100として、各結果を相対的に比較、定量化した。従って、燃料の消費量が比較例5より少なければ、100より小さな値になり、多ければ100を超える値となる。結果を表5に示す。
各試験の結果から、比較例1〜6の軽油組成物は車両による低温実車試験、高温始動性試験のいずれかには不合格であったのに対し、実施例1〜7の軽油組成物は低温実車試験、高温始動性試験のいずれにも合格であり、排出ガスおよび燃費の悪化を招くことなく、優れた低温性能を有することが分かる。
Figure 0004617180
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本発明の軽油組成物のワックス透過率の測定に用いるディーゼル車用ディーゼル燃料の評価装置の一例の構成を示す図である。 図1に示すディーゼル車用ディーゼル燃料の評価装置のフィルターユニットの構成を示す図である。 本発明の軽油組成物の−10℃におけるワックス結晶の光学偏向顕微鏡写真を示す図である。 本発明の軽油組成物について排ガス試験、燃費試験における実車試験の運転モードを示す図である。

Claims (3)

  1. 硫黄分が10質量ppm以下、徐冷曇り点が−7.0℃以上0.0℃以下、流動点が−7.5℃以下、目詰まり点が−5℃以下、セタン指数が45.0以上、30℃における動粘度が2.5〜6.0mm2/s、引火点が50℃以上、180℃における留出量(E180)と280℃における留出量(E280)の差(E280−E180)が30〜55vol%、300℃における留出量(E300)と350℃における留出量(E350)の差(E350−E300)が20〜40vol%、かつ−10℃でのワックス透過率が10%以上である軽油組成物であって、低温流動性向上剤を50〜500mg/Lと、パラフィン系ワックスを0.01〜0.5質量%とを含有し、該パラフィン系ワックスが、炭素数17から45の直鎖飽和炭化水素を30質量%以上含有するものであることを特徴とする軽油組成物。
  2. 軽油基材、灯油基材、合成軽油及び合成灯油のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の軽油組成物。
  3. 潤滑性向上剤を含有し、該潤滑性向上剤の含有量が25〜500mg/Lであることを特徴とする請求項1または2に記載の軽油組成物。
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