JP4577925B2 - A重油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、A重油組成物に関する。更に詳しくは、近年の高性能エンジンへ十分な性能を持ち、優れた低温流動性を有し、かつ常温でのフィルター通油性能に優れるA重油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
A重油は、ボイラー燃料やディーゼルエンジン燃料として用いられているが、近年A重油に使用されるエンジンの高出力化及び低燃費化等に伴い、A重油としては、より高性能化の要望が年々高まっている。
これら高性能エンジンの燃料としてA重油を用いた場合、着火性の悪化や、煤の発生が増大してバーナー及び炉内の清掃頻度が増えるといった燃焼性に関する問題が生じることがある。
一方、A重油としては、ガソリンや灯油に比べ重質分をより多く含んでいるため、低温時のワックス析出が問題となることがある。低温時におけるワックス析出は、燃料系統中の夾雑物防止用のフィルターを閉塞させ、最悪の場合燃料供給が不可能となる恐れがある。
低温時のワックス析出を抑える方法としては、流動性向上剤を添加する方法が一般的であるが、実際の厳しい冬期の使用条件下では充分な効果が発揮できないのが現状である。また、従来は低温時のフィルター目詰まり性の判断に、目詰まり点による試験が用いられてきた。この試験方法では流動性向上剤を添加することにより、低温流動性が改善されるが、この試験方法は試料油の冷却速度が早く急冷(約40℃/時間)であるため、実際の使用条件下とは大きく異なる。冷却速度が遅ければ遅いほど、析出するワックスが大きくなりフィルターの目詰まりを起こすことが知られており、目詰まり点による評価では不十分であることが分かっている。
一般に、低温性能に優れたA重油は、燃焼性が悪くなる場合が多く、これら全ての性能を同時に満たすA重油が望まれている。
また、残留炭素分付与用基材から起因されるスラッジにより、常温でも上記燃料系統中の夾雑物防止用のフィルターを閉塞させ、燃料供給が不可能となる問題がしばしば生じる。
これを解決する方法として、残留炭素付与用基材から起因されるスラッジを溶解するために、A重油製品の芳香族分を多くすることが考えられる。しかし、A重油の芳香族分を多くすると、燃焼性が悪化する傾向がある。
このように、低温性能、燃焼性、常温通油性能の全てを同時に満たすA重油は得られていない。
本発明の目的は、近年の高性能エンジンへの使用に耐え得り、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりを起こさず、かつ常温においてスラッジによるフィルターの目詰まりを起こさないA重油組成物を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の基材を組み合せて使用することにより、燃焼性が高く、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりを起こさず、かつ常温においてスラッジによるフィルターの目詰まりを起こさないことを見出し本発明を完成させるに至った。
つまり、本発明のA重油組成物は、水素化分解軽油およびエキストラクトを用いることを特徴とする。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のA重油組成物は、水素化分解軽油およびエキストラクトを用いることが必要である。
水素化分解軽油は、A重油基材として使用する。
本発明でいう水素化分解軽油とは、水素化分解装置から得られる、軽油留分である。具体的には、その蒸留性状として、50%留出点が250〜350℃であり、15℃の密度が0.810〜0.880g/cm3の範囲である。水素化分解装置は、重質軽油等をアモルファス系Ni−Mo触媒等の触媒条件下で、8〜15MPaの運転水素圧力下、330〜450℃の運転反応温度で、液空間速度0.1〜1.0/hの条件で水素化分解と同時に脱硫及び脱窒素を行う。
エキストラクトは、残留炭素分付与用基材として使用する。
本発明でいうエキストラクトとは、フルフラール等の溶剤を用いて潤滑油中の芳香族分を除く工程で副生する高芳香族分の油であり、具体的には、その性状として、15℃の密度が0.95〜1.05g/cm3、100℃における動粘度が5〜100mm2/s、硫黄分が0.5〜5.0質量%である。
本発明のA重油組成物は上記した通り、水素化分解軽油及びエキストラクトを使用することが必要であるが、その他のA重油基材および残留炭素付与用基材を併用して用いても良い。
その他のA重油基材としては、常圧蒸留装置より得られる直留灯油(又は脱硫処理した灯油)、直留軽質軽油(又は脱硫処理した軽質軽油)、直留重質軽油(又は脱硫処理した重質軽油)、流動接触分解装置及び/又は残渣流動接触分解装置より得られる軽質サイクル油、減圧蒸留装置より得られる減圧軽油を水素化脱硫した水素化脱硫減圧軽油、直接A重油脱硫装置より得られる直脱軽油等が挙げられる。これらの中の1種のみを併用しても良く、2種以上を併用しても良い。
その他の残留炭素付与用基材としては、常圧残油、直脱残油、減圧残油、スラリー油等が挙げられ、これらの中の1種のみを併用しても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明のA重油組成物は上記した通り、水素化分解軽油及びエキストラクトを使用することが必要であるが、両者の配合量については特に制限はない。
しかしながら、その効果を十分に発揮させるためには、水素化分解軽油をA重油組成物全量基準で50%以上使用することが好ましく、75%以上使用することがより好ましく、85%以上使用することがさらにより好ましく、90%以上使用することが最も好ましい。また、残留炭素分についての免税条件を満たすために、通常は99.5容量%以下、好ましくは99容量%以下で使用される。
また、残留炭素分についての免税条件を満たすために、エキストラクトは通常A重油組成物全量基準で0.5容量%以上、好ましくは1容量%以上で使用される。また、ドライスラッジによる常温でのフィルター目詰まり、低温流動性等を考慮すると、5容量%以下で使用されることが好ましく、3容量%以下で使用されることがより好ましい。
【0005】
本発明のA重油組成物の飽和分および芳香族分については、特に制限はない。
しかしながら、飽和分は燃焼性、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりの防止等の点から、55容量%以上であることが好ましく、60%容量以上であることがより好ましく、65容量%以上であることがさらにより好ましく、70容量%以上であることがさらにより一層好ましく、75容量%以上であることが最も好ましい。また、芳香族分は燃焼性の点から、45容量%以下であることが好ましく、35容量%以下であることがより好ましく、30容量%以下であることがさらにより好ましく、25容量%以下であることが最も好ましい。
本発明において、飽和分及び芳香族分とは、JPI−5S−49−97「炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に準拠して測定された値を表すものを意味している。
上記飽和分に含まれるノルマルパラフィン、イソパラフィン、ナフテン等のそれぞれの含有量については特に制限はない。しかしながら、燃焼性、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりの防止等の点を、全て同時に満たすことができ、かつこれらの効果により優れることから、A重油組成物全量基準でナフテン分が40質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらにより好ましく、55質量%以上であることが最も好ましい。また、同様の理由によりA重油組成物全量基準で一環ナフテン分が25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、35質量%以上であることがさらにより好ましい。
また、低温時のワックス析出を減少させる点から、ノルマルパラフィンは20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、ナフテン分及び一環ナフテン分とは、ASTM D2786「質量分析法」に準拠して得られたA重油組成物全量を基準とした値を表すものを意味し、ノルマルパラフィンは、以下に示すガスクロマトグラフィー法により定量されるA重油組成物全量を基準としたノルマルパラフィン分の含有量を表すものを意味している。
カラム:ステンレス製 内径0.25mm、長さ25m
インジェクション温度:360℃
キャリアーガス:ヘリウム
検出器:水素炎イオン化方式(FID)
カラム温度速度:8℃/min(140−355℃)
【0006】
本発明において、セタン指数およびセタン価は特に制限はない。しかしながら、セタン指数は燃焼性の点から、58以上であることが好ましく、60以上であることがより好ましい。また、セタン価は燃焼性により優れる点から、58以上であることが好ましく、60以上であることがより好ましく、62以上であることが最も好ましい。
本発明において、セタン指数はJIS K 2204−1992「軽油」に準拠して得られた値を表すものを意味している。つまり次の式によって算出する。
セタン指数(C)=0.49083+1.06577(X)−0.0010522(X)2
X=97.833(logA)2+2.2088BlogA+0.01247B2−423.51logA−4.7808B+419.59
A:(9/5)[101.3kPa(760mmHg)における50%留出温度(℃)]+32
B:API度
(101.3kPa(760mmHg)における50%留出温度(℃)は、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法」によって測定し、API度は、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」によって15℃の密度から換算して求める。)
また、セタン価とは、JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の曇り点は特に制限はないが、燃料系統中の夾雑物阻止用のフィルターを閉塞させる低温時のワックス析出を減少させる点から、−8℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることがより好ましく、−12℃以下であることがさらにより好ましく、−15℃以下であることが最も好ましい。
本発明のA重油組成物は、流動点については特に制限はないが、低温時のワックス析出を減少させる点から、−15℃以下であることが好ましい。
本発明において、曇り点及び流動点とは、JIS K 2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
【0007】
また、本発明のA重油組成物のCFPP(目詰まり点)については特に制限はないが、冬期においてワックスによるフィルター目詰まりの防止の点により優れることから、−10℃以下であることが好ましく、−12℃以下であることがより好ましく、−15℃以下であることが最も好ましい。
本発明において、CFPPとは、JIS K 2288「軽油−目詰まり点試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
また、本発明のA重油組成物の−10℃におけるワックス含有量については特に制限はないが、冬期においてワックスによるフィルター目詰まりの防止の点により優れることから、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以下であることが最も好ましい。
本発明において、−10℃におけるワックス含有量とは、メンブランフィルター、メチルエチルケトン−アセトン混合溶剤及び試料を−10℃まで冷却し、試料17gを、目開き5.0μmのメンブランフィルターで吸引ろ過し、フィルター上のワックスをメチルエチルケトン−アセトン混合溶剤30mlで洗浄した後、フィルターに捕集したワックス量を測り、試料全量に対するワックス量を表すものを意味している。
また、本発明のA重油組成物の硫黄分、窒素分については特に制限はないが、排ガス中の有害物質を低減するには、硫黄分は0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%以下であることが最も好ましい。窒素分は0.02質量%以下であることが好ましく、0.015質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが最も好ましい。
本発明において、硫黄分、窒素分とは、それぞれ、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」、JIS K 2609「原油及び石油製品−窒素分試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の10%残留炭素分は0.2重量%以上であり、好ましくは0.2〜1.0重量%である。この範囲より小さい場合、10%残留炭素分が0.2重量%以上というA重油の免税条件を満たさなくなる。また、10%残留炭素分が好ましい範囲より多くなった場合、色相が悪くなり商品のイメージが悪くなる、ドライスラッジが増え、常温でフィルターに目詰まりを起こしやすくなる、低温流動性に悪影響を及ぼす等の恐れがある。
本発明において、10%残留炭素分とは、JIS K 2270「原油及び石油製品−残留炭素分試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油の色相については特に制限はないが、商品のイメージ及び常温及び低温時のフィルター目詰まりの点から、7.0以下であることが好ましく、6.0以下であることがより好ましく、5.0以下であることが最も好ましい。
本発明において、色相とは、JIS K 2580「石油製品−色試験方法」に準拠して得られる「ASTM色」を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物のアスファルテン分は特に制限はないが、色相やドライスラッジによる常温でのフィルター目詰まり、低温流動性等の点から、0.01質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以下であることがより好ましく、0.002質量%以下であることが最も好ましい。
本発明において、アスファルテン分とは、IP143「アスファルテン分試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物のドライスラッジ量については特に制限はないが、常温でのフィルター目詰まりが起こり難くなる点から、2.0mg/100ml以下であることが好ましく、1.5mg/100ml以下であることがより好ましく、1.0mg/100ml以下であることが最も好ましい。
本発明において、ドライスラッジ量とは、常温において、試料を目開き1.2μmのフィルターで吸引ろ過し、ろ過後のフィルター及びフィルター上の残留物をn−ヘプタンで洗浄し乾燥後残留物の質量から、試料100ml当りの残留物の質量で表される値を意味している。
【0008】
また、本発明のA重油組成物の蒸留性状については何ら制限はないが、通常は下記性状を満たすものが用いられる。
蒸留初留点: 130〜210℃
T10: 180〜260℃
T50: 250〜330℃
T90: 300〜380℃
本発明において、上記蒸留性状は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して得られる値を意味している。
本発明のA重油組成物の動粘度については特に制限はないが、通常30℃で3〜5mm2/s、50℃で2〜3.5mm2/sのものが用いられる。
本発明において、動粘度とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の引火点については特に制限はないが、通常50〜120℃のものが用いられる。
本発明において、引火点とは、JIS K 2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の総発熱量については特に制限はないが、通常35000〜50000J/gのものが用いられる。
本発明において、総発熱量とは、JIS K 2279「原油及び石油製品−発熱量試験方法及び計算による推定方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の水分含有量については特に制限はないが、通常0.05容量%以下のものが用いられる。
本発明において、水分含有量とは、JIS K 2275「原油及び石油製品−水分試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の密度については特に制限はないが、通常0.8〜0.92g/cm3のものが用いられる。
本発明において、密度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
【0009】
以上のように本発明のA重油組成物は、水素化分解軽油およびエキストラクトを用いることにより、燃焼性が高く、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりを起こさず、かつ常温においてスラッジによるフィルターの目詰まりを起こさないものである。また、本発明のA重油組成物としては、必要に応じて添加剤を配合することができる。ここでいう添加剤としては、セタン価向上剤、酸化防止剤、安定化剤、分散剤、金属不活性化剤、微生物殺菌剤、助燃剤、帯電防止剤、識別剤、着色剤等の各種添加剤が挙げられ、これら添加剤を適宜加えることができる。
これらの中でも、冬期においてワックスによるフィルター目詰まりを防止する効果により優れることから、流動性向上剤を添加することが好ましい。流動性向上剤としては、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリマー型添加剤、油溶性分散剤型添加剤及びアルケルコハク酸等を用いることが出来る。
また、流動性向上剤の添加量については何ら制限はないが、A重油組成物全量基準で0.001〜0.1容量%であることが好ましく、0.01〜0.03質量%であることがより好ましい。
【0010】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
実施例1〜3及び比較例1,2
表1に示す性状を有する各基材(水素化分解軽油、直留軽油、分解軽油、エキストラクト、常圧残油)を表2の各例に示すような容量比で混合し、実施例1〜3及び比較例1,2のA重油組成物を調製し、これら調整した各組成物の性状を表2に記載した。
各試料油(各組成物)について、低温流動性性能評価、燃焼性性能評価及び常温通油性性能評価を下記の方法により行った。その結果を表2に併記した。
低温流動性性能評価
以下の方法により、低温時における燃料フィルター前後での負圧の大きさを測定し低温流動性の性能評価を行った。
試験器としては、ビニールハウス栽培の加温用に使用されている暖房機のバーナー部分と、それに付帯する燃料フィルター(100メッシュ)からなる低温流動性試験器を用いて行った。
試験条件は冬期の厳しい外気温度変化をもとに、冷却速度0.5℃/h、冷却開始温度5℃、ソーキングは試験温度で5時間とした。
判定は燃料フィルター前後で負圧を1時間測定し、測定時間中負圧が700mmHg以下である場合を合格とし、測定時間中に負圧が700mmHgより大きくなることがあった場合を不合格とした。負圧測定が合格となる最低温度を表2に示した。
燃焼性性能評価
以下の方法により、着火遅れを測定することにより燃焼性の性能評価を行った。着火遅れは、エンジン性能、排ガスに悪影響を与え、特に近年の高性能エンジンにおけるトラブルの主要原因となる。
燃焼室の容積が1リットルである燃料着火性試験機を用い、圧力45バーレル、温度450℃の空気中に燃料を噴射して、噴射から着火するまでの時間を測定した。その結果を表2に示した。
常温通油性性能評価
以下の方法により、常温時における通油時間を測定することにより常温通油性の性能評価を行った。孔径5μmのフィルターを用いて、負圧を500mmHgとし、500mlの試料をろ過する際の通油時間を測定した。その結果を表2に示した。常温時の通油性が悪い場合は、フィルターに目詰まりを起こし、通油時間が長くなる。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
表2の結果から明らかなように、本発明にかかる実施例1〜3のA重油組成物は、いずれも着火性がよく燃焼性に優れ、近年の高性能エンジンへ十分な性能を持ち、優れた低温流動性を有し、且つ常温でのフィルター通油性能に優れることが分かる。
これに対して、水素化分解軽油を含まない比較例1は、低温流動性及び燃焼性が悪く、エキストラクトを含まない比較例2は、常温通油性が悪い。
【0014】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、燃焼性が高く、近年の高性能エンジンへの使用に耐え得り、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりを起こさず、かつ、常温においてスラッジによるフィルターの目詰まりを起こさないA重油組成物が得られる。
Claims (1)
- 水素化分解軽油68〜99.5容量%およびエキストラクト0.5〜5容量%を用いて得られる、セタン指数が58以上、曇り点が−8℃以下、ナフテン分が40質量%以上、一環ナフテン分が25質量%以上、ノルマルパラフィン分が20質量%以下であるA重油組成物。
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