JP2001049173A - ガラス用コーティング組成物およびコーティングガラス塗膜の形成方法 - Google Patents

ガラス用コーティング組成物およびコーティングガラス塗膜の形成方法

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JP2001049173A
JP2001049173A JP11225915A JP22591599A JP2001049173A JP 2001049173 A JP2001049173 A JP 2001049173A JP 11225915 A JP11225915 A JP 11225915A JP 22591599 A JP22591599 A JP 22591599A JP 2001049173 A JP2001049173 A JP 2001049173A
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Jiyunseishi Shimada
遵生子 嶋田
Toshiki Sakagami
俊規 阪上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定のオルガノシラン成分とシリル基を有す
るフッ素系重合体を含有し、保存安定性に優れ、かつ密
着性、耐アルカリ性、耐有機薬品性、耐候性、耐湿性、
耐(温)水性などを低下させずに、撥水性および撥油性
による防汚性機能に優れたガラス用コーティング組成物
を提供すること。 【解決手段】 (a)(R1 n Si(OR2 4-n
表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解
物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる少
なくとも1種、ならびに、(b)加水分解性基および/
または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基含
有フッ素系重合体を含む、ガラス用コーティング組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撥水性および撥油
性による防汚性機能に優れたガラス用コーティング組成
物に関し、詳しくは、シリル基を有するフッ素系重合体
を含有するオルガノシラン系の防汚性に優れたガラス用
コーティング組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】オルガノシラン系コーティング材は、耐
候(光)性、耐汚染性などに優れたメンテナンスフリー
のコーティング材として技術開発が進められている。こ
のようなオルガノシラン系コーティング材に対する要求
性能はますます厳しくなっており、近年では、塗膜外
観、密着性、耐候性、耐熱性、耐アルカリ性、耐有機薬
品性、耐湿性、耐(温)水性、耐絶縁性、耐摩耗性、耐
汚染性などに優れ、硬度の高い塗膜を形成することので
きるコーティング材が求められている。
【0003】特に、耐汚染性を改善するためには、塗膜
表面を親水性化するとよいことが認められているが、こ
れは、汚染回復性(洗浄性)の向上を目的としてなされ
る処理であり、汚染物質の付着量に対して汚染回復性が
上回った場合のみ、耐汚染性の効果が得られる。これに
対し、塗膜に撥水・撥油性を持たせる方法によれば、汚
染物質が親水性、親油性のいずれの物質であっても、塗
膜への付着性を低減させることができる。従来、塗膜へ
の撥水・撥油性の付与は、オイルや界面活性剤の添加に
よって行われているが、このような方法では、長期にわ
たって耐汚染性を維持することは困難である。
【0004】一方、オルガノシラン系コーティング材に
対する要求性能をある程度満たすコーティング用組成物
として、オルガノシランの部分縮合物、コロイダルシリ
カの分散液およびシリコーン変性アクリル樹脂を配合し
た組成物(特開昭60−135465号公報)、オルガ
ノシランの縮合物、ジルコニウムアルコキシドのキレー
ト化合物および加水分解性シリル基含有ビニル系樹脂を
配合した組成物(特開昭64−1769号公報)、オル
ガノシランの縮合物、コロイド状アルミナおよび加水分
解性シリル基含有ビニル系樹脂を配合した組成物(米国
特許第4,904,721号明細書)などが提案されて
いる。
【0005】しかしながら、上記特開昭60−1354
65号公報および米国特許第4,904,721号明細
書に記載されている組成物から得られる塗膜は、長時間
の紫外線照射により光沢が低下するという欠点がある。
また、上記特開昭64−1769号公報に記載されてい
る組成物は、保存安定性が充分ではなく、固形分濃度を
高くすると短期間でゲル化し易いという問題を有してい
る。
【0006】さらに、本願出願人は、既に、オルガノシ
ランの加水分解物および/またはその部分縮合物、加水
分解性および/または水酸基と結合したケイ素原子を有
するシリル基を有するビニル系樹脂、金属キレート化合
物、ならびにβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエ
スエル類を含有するコーティング用組成物(特開平5−
345877号公報)を提案している。この組成物は、
オルガノシラン系コーティング材に求められている上記
塗膜性能のバランスに優れているが、これらの性能に新
たに撥水性、撥油性、滑り性などを付与した新規な材料
が強く求められている。
【0007】さらに、特開平9−227161号公報に
は、窓ガラス基材の表面に、実質的に透明な光触媒性酸
化物粒子を含有する表面層を備えた防曇性窓ガラスが提
案されているが光および水(雨)が存在する場所でしか
有効でない。また、親水性であると同時に親油性である
が故に、油に対しては汚れやすい。また、特開平9−2
35140号公報には、ガラス本体表面に膜厚が10〜
200nmの酸化チタンなどの光触媒活性を示す金属酸
化物の薄膜を形成したガラスが提案されているが、結合
剤が用いられておらず、耐久性に劣ると考えられる。さ
らに、特開平9−227159号公報には、ガラス基材
の表面に実質的に透明で光触媒性半導体材料を含む層を
備えた乗物用の窓ガラスが提案されているが、これも、
結合剤が用いられておらず、耐久性に劣ると考えられ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定のオル
ガノシラン成分とシリル基を有するフッ素系重合体を含
有し、保存安定性に優れ、かつ密着性、耐アルカリ性、
耐有機薬品性、耐候性、耐湿性、耐(温)水性などを低
下させずに、撥水性および撥油性による防汚性機能に優
れたガラス用コーティング組成物を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)下記一
般式(1) (R1 n Si(OR2 4-n ・・・・・(1) (式中、R1 は、2個存在するときは同一または異な
り、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、R2 は、同一
または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数
1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である。)
で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分
解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる
少なくとも1種、ならびに(b)(b−1)下記一般式
(2)で表される構成単位(以下「(b−1)構成単
位」ともいう)、 (式中、R3 〜R5 はCm 2m+1、m=0〜5の整数、
Yはそれぞれ独立に、F、HおよびClから選ばれ
る。)および/または(b−2)下記一般式(3)で表
される構成単位(以下「(b−2)構成単位」ともい
う) 〔式中、Rfはフッ素原子を含むアルキル基またはアル
コキシアルキル基を示し、R3 〜R5 は一般式(2)と
同義であり、同義の範囲内で、一般式(2)のR 3 〜R
5 と異なっていてもよい。〕を有し、かつ、加水分解性
基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有する
シリル基を含む重合体(以下「シリル基含有フッ素系重
合体」ともいう)の群から選ばれる少なくとも1種を含
有することを特徴とするガラス用コーティング組成物を
提供するものである。また、本発明は、上記ガラス用コ
ーティング組成物からなる塗膜を有するコーティングガ
ラスを提供するものである。さらに、本発明は、下記
(i)または(ii)の組成物からなる塗膜を有し、その
上に、上記ガラス用コーティング組成物からなる塗膜を
有することを特徴とするコーティングガラスを提供する
ものである。 (i)上記(a)成分 を含有するコーティング組成物(以下「組成物(i)」
ともいう)。 (ii)上記(a)成分、ならびに(b’)加水分解性基
および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシ
リル基を含有する重合体(以下「シリル基含有重合体」
ともいう)を含有するコーティング組成物(以下「組成
物(ii)」ともいう)。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について順次説明す
る。ガラス用コーティング組成物 (a)成分; 本発明のコーティング組成物に配合される
(a)成分は、上記一般式(1)で表されるオルガノシ
ラン(以下「オルガノシラン(1)」ともいう)、オル
ガノシラン(1)の加水分解物、およびオルガノシラン
(1)の縮合物から選択された少なくとも1種である。
すなわち、(a)成分は、これら3種のうちの1種だけ
でもよいし、任意の2種の混合物であってもよいし、3
種類すべてを含んだ混合物であってもよい。ここで、上
記オルガノシラン(1)の加水分解物は、オルガノシラ
ン(1)に2〜4個含まれるOR2 基がすべて加水分解
されている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解さ
れているもの、2個以上が加水分解されているもの、あ
るいはこれらの混合物であってもよい。また、上記オル
ガノシラン(1)の縮合物は、オルガノシラン(1)の
加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結
合を形成したものであるが、本発明では、シラノール基
がすべて縮合している必要はなく、僅かな一部のシラノ
ール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているもの
の混合物などをも包含した概念である。
【0011】一般式(1)において、R1 の炭素数1〜
8の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−
ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エ
チルヘキシル基などのアルキル基、アセチル基、プロピ
オニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、ト
リオイル基などのアシル基、ビニル基、アリル基、シク
ロヘキシル基、フェニル基、グリシジル基、(メタ)ア
クリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセ
トアミド基、イソシアナート基、フルオロアルキル基な
どのほか、これらの基の置換誘導体などを挙げることが
できる。
【0012】R1 の置換誘導体における置換基として
は、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミ
ノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリ
シドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メ
タ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基
などを挙げることができる。ただし、これらの置換誘導
体からなるR1 の炭素数は、置換基中の炭素原子を含め
て8以下である。一般式(1)中に、R1 が2個存在す
るときは、相互に同一でも異なってもよい。
【0013】また、R2 の炭素数1〜5のアルキル基と
しては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることが
でき、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセ
チル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カ
プロイル基などを挙げることができる。一般式(1)中
に複数個存在するR2 は、相互に同一でも異なってもよ
い。
【0014】このようなオルガノシラン(1)の具体例
としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロ
ポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテト
ラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、
エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシ
シラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピ
ルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラ
ン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエ
トキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−
ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキ
シシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロ
ヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシ
ラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,
3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、
3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラ
ン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチル
トリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキ
シシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−
ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキ
シプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエ
トキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキ
シシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシ
ラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシ
プロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリル
オキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロ
ピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエ
トキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラ
ン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ト
リデカフルオロオクチルトリメトキシシランなどのトリ
アルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメ
チルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジ
エチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシ
シラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−
プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキ
シシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−
ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシ
シラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−
ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキ
シシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n
−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメト
キシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−
n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロ
ヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ
デシルメチルジメトキシシランなどのジアルコキシシラ
ン類のほか、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチ
ルジアセチルオキシシランなどを挙げることができる。
【0015】これらのうち、トリアルコキシシラン類、
ジアルコキシシラン類が好ましく、また、トリアルコキ
シシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシランが好ましく、さらに、ジアルコキ
シシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメ
チルジエトキシシランが好ましい。
【0016】本発明において、オルガノシラン(1)と
しては、特に、トリアルコキシシランのみ、あるいは、
トリアルコキシシラン40〜95モル%とジアルコキシ
シラン60〜5モル%との組み合わせが好ましい。ジア
ルコキシシランをトリアルコキシシランと併用すること
により、得られる塗膜を柔軟化し、耐アルカリ性を向上
させることができる。
【0017】オルガノシラン(1)は、そのまま、ある
いは加水分解物および/または縮合物として使用され
る。オルガノシラン(1)を加水分解物および/または
縮合物として使用する場合は、予め加水分解・縮合させ
て(a)成分として使用することもできるが、後述する
ように、オルガノシラン(1)を残りの成分と混合して
組成物を調製する際に、適量の水を添加することによ
り、オルガノシラン(1)を加水分解・縮合させて、
(a)成分とすることが好ましい。本発明における水の
使用量は、(a)成分中の(R1 n SiO(4-n)/2
表される構造単位1モルに対して、通常、0.5〜3モ
ル、好ましくは、0.7〜2モル程度である。(a)成
分が縮合物として使用されるとき、該縮合物のポリスチ
レン換算重量平均分子量(以下「Mw」ともいう)は、
好ましくは、800〜100,000、さらに好ましく
は、1,000〜50,000である。
【0018】また、(a)成分の市販品には、三菱化学
(株)製のMKCシリケート、コルコート製のエチルシ
リケート、東レ・ダウコーニング社製のシリコンレジ
ン、東芝シリコーン(株)製のシリコンレジン、信越化
学工業(株)製のシリコンレジン、日本ユニカ(株)製
のシリコンオリゴマーなどがあり、これらをそのまま、
または縮合させて使用してもよい。
【0019】本発明において、(a)成分は、単独でま
たは2種以上を混合して使用することができる。
【0020】(b)シリル基含有フッ素系重合体;本発
明における(b)成分は、上記(b−1)構成単位と上
記(b−2)構成単位とを有し、かつ、すなわち、加水
分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を
有するシリル基(以下、「特定シリル基」ともいう))
を有し、好ましくは、特定のシリル基を重合体分子鎖の
末端および/または側鎖に有するフッ素系重合体であ
る。このような(b)成分は、本発明のコーティング組
成物から得られる塗膜を硬化させる際に、そのシリル基
中の加水分解性基および/または水酸基が、上記(a)
成分と共縮合することにより、優れた塗膜性能をもたら
すことができる。(b)成分における特定シリル基の含
有量は、(b)成分中に、通常、0.1〜60モル%、
好ましくは、0.5〜50モル%である。
【0021】特定シリル基は、好ましくは下記一般式
(4) (式中、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アセトキシ
基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基などの
加水分解性基または水酸基を示し、R6 は水素原子、炭
素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアラ
ルキル基を示し、iは1〜3の整数である)で表され
る。
【0022】(b)成分は、上記一般式(2)で表され
る(b−1)構成単位を構成することとなる単量体(以
下「(b−1)単量体」ともいう)および/または上記
一般式(3)で表される(b−2)構成単位を構成する
こととなる単量体(以下「(b−2)単量体」ともい
う)と、上記一般式(4)で表される(b−3)特定シ
リル基を構成する、加水分解性基および/または水酸基
と結合したケイ素原子を含有する(b−3)単量体を重
合して得られ、また、必要に応じて、(b−4)これら
の単量体と共重合可能な他の単量体(以下「(b−4)
単量体」ともいう)をさらに含めて重合して得てもよ
い。上記(b−4)単量体は、(b−1)単量体と(b
−2)単量体に含まれない、フッ素原子を有するもので
あってもよい。
【0023】また、(b)成分は、上記の(b−1)単
量体および/または(b−2)単量体を重合して得られ
る重合体、または、これらの単量体に、必要に応じて、
(b−4)単量体をさらに含めて重合して得られる重合
体の炭素−炭素二重結合に、上記加水分解性基または水
酸基と反応し得る官能基を有するシラン化合物(以下
「(b−5)シラン化合物」ともいう)を付加反応させ
て得てもよい。
【0024】(b−1)単量体;(b−1)単量体は、
下記一般式(2)’で表される。 (式中、R3 〜R5 はCm 2m+1、m=0〜5の整数、
Yはそれぞれ独立に、F,HおよびClから選ばれ
る。)
【0025】上記(b−1)単量体としては、例えば、
1個の重合性の不飽和二重結合基および少なくとも1個
のフッ素原子を有する化合物を挙げることができる。 (b−1)単量体の具体例としては、 (イ)CF2 =CF2 、CHF=CF2 、CH2 =CF
2 、CH2 =CHF、CClF=CF2 、CHCl=C
2 、CCl2 =CF2 、CClF=CClF、CHF
=CCl2 、CH2 =CClF、CCl2 =CClFな
どのフルオロエチレン類;CF3 CF=CF2 、CF3
CF=CHF、CF3 CH=CF2 、CF3 CF=CH
2 、CF3 CF=CHF、CHF2 CF=CHF、CF
3 CH=CH2 、CH3 CF=CF2 、CH3 CH=C
2 、CH3 CF=CH2 、CF2 ClCF=CF2
CF3 CCl=CF2 、CF3 CF=CFCl、CF2
ClCCl=CF2 、CF2 ClCF=CFCl、CF
2 CCl=CClF、CF2 CCl=CCl2 、CCl
3 CF=CF2 、CF2 ClCCl=CCl2 、CFC
2CCl=CCl2 、CF3 CF=CHCl、CCl
2 CF=CHCl、CF3CCl=CHCl、CHF
2 CCl=CCl2 、CF2 ClCH=CCl2 、CF
2 ClCCl=CHCl、CCl3 CF=CHClなど
のフルオロプロペン類; (ロ)CF3 CF2 CF=CF2 、CF3 CF=CFC
3 、CF3 CH=CFCF3 、CF2 =CFCF2
HF2 、CF3 CF2 CF=CH2 、CF2 CH=CH
CF3 、CF2 =CFCF2 CH3 、CF2 =CFCH
2 CH3 、CF 3 CH2 CH=CH2 、CF3 CH=C
HCH3 、CF2 =CHCH2 CH3 、CH3 CF2
H=CH2 、CFH2 CH=CHCFH2 、CH3 CF
2 CH=CH2 、CH2 =CFCH2 CH3 、CF
3 (CF2 2 CF=CF2 、CF3(CF2 2 CF
=CF2 などの炭素数4以上のフルオロオレフィン類;
などが挙げられる。
【0026】これらのフッ素原子を含有する(b−1)
単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて
使用してもよい。
【0027】(b−2)単量体;(b−2)単量体は、
下記一般式(3)’で表される。 〔式中、Rfはフッ素原子を含むアルキル基またはアル
コキシアルキル基を示し、R3 〜R5 は、一般式
(2)’と同義であり、同義の範囲内で、一般式(2)
のR3 〜R5 と異なっていてもよい。〕
【0028】上記(b−2)単量体としては、例えば、
1個の重合性の不飽和二重結合基、エーテル結合および
少なくとも1個のフッ素原子を有する化合物を挙げるこ
とができる。 (b−2)単量体の具体例としては、 (イ)CH2 =CH−O−Rf (Rfは、フッ素原子を含むアルキル基もしくはアルコ
キシアルキル基を示す)で表される(フルオロアルキ
ル)ビニルエーテル、または、(フルオロアルコキシア
ルキル)ビニルエーテル類; (ロ)パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフ
ルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロ
ピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエ
ーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテル)
などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類; (ハ)パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテ
ル)などのパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエ
ーテル)類;などを挙げることができる。これらのフッ
素原子を含有する(b−2)単量体は、1種単独である
いは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】なお、(b−1)単量体と(b−2)単量
体を併用する場合には、ヘキサフルオロプロピレンとパ
ーフルオロアルキルパーフルオロビニルエーテルまたは
パーフルオロアルコキシアルキルパーフルオロビニルエ
ーテルとを組み合わせて使用することが好ましい。
【0030】(b−3)単量体;(b−3)単量体は、
1分子中に重合性の不飽和二重結合、ならびに加水分解
性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を含有
する単量体である。上記(b−3)単量体としては、例
えば、下記一般式(4)’ 〔式中のX,R6 ,iは、上記一般式(4)におけるそ
れぞれX,R6 ,iと同義であり、R7 は、重合性二重
結合を有する有機基を示す〕で表されるシラン化合物
(以下「不飽和シラン化合物」ともいう)などを挙げる
ことができる。
【0031】上記不飽和シラン化合物の具体例として
は、CH2 =CHSi(CH3 ) (OCH3 ) 2 、CH
2 =CHSi(OCH3 ) 3 、CH2 =CHSi(OC
2 5 ) 3 、CH2 =CHSi(CH3 ) Cl2 、CH
2 =CHSiCl3 、CH2 =CHCOO(CH2 ) 2
Si(CH3 ) (OCH3 ) 2 、CH2 =CHCOO
(CH2 ) 2 Si(OCH3 ) 3 、CH2 =CHCOO
(CH2 ) 3 Si(CH3 ) (OCH3 ) 2 、CH2
CHCOO(CH2 ) 3 Si(OCH3 ) 3 、CH2
CHCOO(CH2 ) 2 Si(CH3 ) Cl2 、CH2
=CHCOO(CH2 ) 2 SiCl3 、CH2 =CHC
OO(CH2 ) 3 Si(CH3 ) Cl2 、CH2 =CH
COO(CH2 ) 3 SiCl3 、CH2 =C(CH3 )
COO(CH2 ) 2 Si(CH3 ) (OCH3 ) 2 、C
2 =C(CH3 ) COO(CH2 ) 2 Si(OC
3 ) 3 、CH2 =C(CH3 ) COO(CH2 ) 3
i(CH3 ) (OCH3 ) 2 、CH2 =C(CH3 ) C
OO(CH2 ) 3 Si(OCH3 ) 3 、CH2 =C(C
3 ) COO(CH2 ) 2 Si(CH3 ) Cl2 、CH
2 =C(CH3 ) COO(CH2 ) 2 SiCl3 、CH
2 =C(CH3 ) COO(CH2 ) 3 Si(CH3 ) C
2 、CH2 =C(CH3 ) COO(CH2 ) 3 SiC
3
【0032】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【0033】などを挙げることができる。これらは、1
種単独あるいは2種以上を併用して用いることができ
る。
【0034】(b−4)単量体;上記(b−1)〜(b
−3)単量体と共重合可能な他の単量体である(b−
4)単量体としては、例えば、 (イ)メチル(メタ)アクリレート、 エチル(メタ)
アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブ
チル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリ
レート、アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メ
タ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2
−エチルへキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート
などの炭素数4〜12のアルキル(メタ)アクリレート
類; (ロ)スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチ
レン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−
メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、4
−エチルスチレン、4−エトキシスチレン、3,4−ジ
メチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2−クロ
ロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロ−3−メ
チルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジク
ロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、1−ビニル
ナフタレンなどの芳香族ビニル単量体;
【0035】(ハ)ヒドロキシメチル(メタ)アクリレ
ート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシアミル(メタ)アク
リレート、ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレートな
どのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;アリル
グリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどのエポ
キシ化合物;
【0036】(ニ)ジビニルベンゼン、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、 テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能性単量
体;
【0037】(ホ)(メタ)アクリルアミド、N−メチ
ロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル
(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)
アクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミ
ド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、
マレイミドなどの酸アミド化合物; (へ)塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニルエス
テルなどのビニル化合物; (ト)1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタ
ジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−
ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,
3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、イ
ソプレン、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基などの
置換基で置換された置換直鎖共役ペンタジエン類、直鎖
状および側鎖状の共役ヘキサジエンなどの脂肪族共役ジ
エン; (チ)(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、モ
ノアルキルイタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル
酸などのエチレン性不飽和カルボン酸;
【0038】(リ)アクリロニトリル、メタアクリロニ
トリルなどのシアン化ビニル化合物; (ヌ)4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイ
ルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6
−ペンタメチルピペリジンなどのピペリジン系モノマ
ー;
【0039】(ル)ビニルグリシジルエーテル、2−ヒ
ドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピ
ルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエー
テル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒド
ロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチル
ビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテ
ルなどのビニルエーテル類;
【0040】(ヲ)アリルグリシジルエーテル、2−ヒ
ドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチル
アリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなど
のアリルエーテル類; (ワ)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、
n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエー
テル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエ
ーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチ
ルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−
オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテ
ル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシ
ルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテルもしく
はシクロアルキルビニルエーテル類;
【0041】(カ)2,2,2−トリフルオロエチル
(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフ
ルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフル
オロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パー
フルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−
(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレー
ト、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリ
レート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル
(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプ
タデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどのフッ
素含有(メタ)アクリル酸エステル類;などのほか、ジ
カプロラクトンなどが挙げられる。これらは、1種単独
あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0042】(b−5)シラン化合物;付加反応に用い
る(b−5)シラン化合物としては、メチルジクロルシ
ラン、トリクロルシラン、フェニルジクロルシランなど
のハロゲン化シラン類;メチルジエトキシシラン、メチ
ルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリ
メトキシシラン、トリエトキシシランなどのアルコキシ
シラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセ
トキシシラン、トリアセトキシシランなどのアシロキシ
シラン類;メチルジアミノキシシラン、トリアミノキシ
シラン、ジメチル・アミノキシシランなどのアミノキシ
シラン類などを挙げることができる。これらは、1種単
独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0043】上記(b)成分を製造する際の重合方法と
しては、例えば、一括して単量体を添加して重合する方
法、単量体の一部を重合したのち、その残りを連続的に
あるいは断続的に添加する方法、もしくは、単量体を重
合の始めから連続的に添加する方法などが挙げられる。
また、これらの重合方法を組み合わせた重合方法を採用
することもできる。好ましい重合方法としては、溶液重
合が挙げられる。溶液重合に使用される溶媒は、通常の
ものを使用できるが、そのうち、ケトン類、アルコール
類が好ましい。この重合において、重合開始剤、分子量
調整剤、キレート化剤、無機電解質は、公知のものを使
用することができる。
【0044】(b)成分を構成する(b−1)構成単位
と(b−2)構成単位との合計含有量は、(b)成分中
に、通常、0.5〜80モル%、好ましくは、1〜70
モル%である。0.5モル%未満では、撥水、撥油性を
有しつつ、透明性、密着性などにも優れたバランスの良
い塗膜を得るのが難しい場合がある。一方、80モル%
を超えると、得られる塗膜が基板との密着性に劣るもの
となる場合がある。このうち、(b−1)構成単位の含
有量は、(b)成分中に、好ましくは、0.5〜70モ
ル%である。また、(b−2)構成単位の含有量は、
(b)成分中に、好ましくは、0.5〜70モル%であ
る。さらに、(b−3)構成単位の含有量は、特定シリ
ル基の含有量が、(b)成分中に、通常、0.1〜60
モル%、好ましくは、0.5〜50モル%となる量であ
る。0.1モル%未満では、(a)成分との共縮合の効
果が得られない。一方、60モル%を超えると、得られ
るコーティング組成物の保存安定性が悪くなる傾向にあ
る。なお、共重合可能な他の単量体である(b−4)単
量体からなる構成単位〔(b−4)構成単位〕は、
(b)成分中に、通常、90モル%以下、好ましくは、
80モル%以下程度である。
【0045】(b)成分のMwは、好ましくは、1,0
00〜50,000、さらに好ましくは、5,000〜
30,000である。
【0046】本発明において、(b)成分は、単独でま
たは上記のようにして得られた2種以上を混合して使用
することができる。
【0047】本発明における(b)成分の使用量は、
(a)成分中の(R1 n SiO(4-n )/2 〔R1 および
nは、上記式(1)と同じ。以下、同様〕で表される構
造単位100重量部に対して、通常、20〜500重量
部、好ましくは、25〜400重量部、さらに好ましく
は、50〜300重量部である。この場合、(b)成分
の使用量が20重量部未満では、得られる塗膜の耐アル
カリ性、耐クラック性が低下する傾向がある。一方、5
00重量部を超えると、塗膜の耐候性が低下する傾向が
ある。
【0048】なお、本発明においては、(b)成分と併
用して、フッ素原子を含有せず、特定シリル基を含有す
るビニル系共重合体(以下「(b’)成分」ともいう)
を、本発明の効果を損なわない範囲で用いてもよい。こ
の(b’)成分は、上記(b−3)単量体と(b−4)
単量体とを共重合させるか、または、(b−4)単量体
を重合して得られる重合体に、上記(b−5)シラン化
合物を付加反応させるなどして得られる。(b’)成分
の含有量は、(a)成分100重量部に対して、通常、
500重量部以下である。
【0049】また、本発明の組成物および後述する下塗
り用コーティング組成物には、主として、(a)成分、
(b)成分、後記(c)〜(e)成分などを均一に混合
させ、組成物の全固形分濃度を調整し、かつ組成物の分
散安定性および保存安定性をさらに向上させるために、
有機溶剤が使用される。
【0050】このような有機溶剤としては、上記各成分
を均一に混合できるものであれば特に限定されないが、
例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル
類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤のうち、アルコール類の具体例として
は、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコー
ル、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、
sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n
−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジ
エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレング
リコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエ
ーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどを挙げる
ことができる。
【0051】また、芳香族炭化水素類の具体例として
は、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類
の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンな
どを、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケ
トンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチ
ル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを
挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独でまた
は2種以上を混合して使用することができる。
【0052】以上、本発明のコーティングの組成物は、
撥水性および撥油性による防汚性機能を有し、防汚性に
優れた塗膜を提供することが可能であるが、基材との長
期密着性を付与し、紫外線の遮蔽などの機能を付与する
目的で、基材の表面に下塗りを施すことが好ましい。下
塗り層を形成するための下塗り用組成物としては、上記
組成物(i)または組成物(ii)を好ましいものとして
挙げることができ、中でも組成物(ii)が特に好ましく
用いられる。
【0053】以下、下塗り用の組成物(i)、組成物
(ii)について、説明する。組成物(i) 下塗り用の組成物(i)は、上記のように、上記(a)
成分を含有する。組成物(i)は、上記オルガノシラン
(1)に、適量の水を添加することにより、オルガノシ
ラン(1)を加水分解・縮合させることが好ましい。な
お、上述したように、(a)成分として、オルガノシラ
ン(1)の加水分解物および/または縮合物を使用する
こともできる。
【0054】組成物(ii) 下塗り用の組成物(ii)は、上記のように、上記(a)
成分および(b’)シリル基含有重合体を含有する。
【0055】(b’)シリル基含有重合体;(b’)成
分は、フッ素原子を含有せず、特定シリル基を、好まし
くは重合体分子鎖の末端および/または側鎖に有する重
合体である。組成物(ii)において、(b’)成分は、
塗膜を硬化させる際に、そのシリル基中の加水分解性基
および/または水酸基が上記(a)成分と共縮合するこ
とにより、優れた塗膜性能をもたらす成分である。
(b’)成分におけるケイ素原子の含有量は、(b’)
成分に対して、通常、0.001〜20重量%、好まし
くは0.01〜15重量%である。好ましい特定シリル
基は、上記一般式(4)で表される基である。
【0056】(b’)シリル基含有重合体は、上記
(b)シリル基含有フッ素系重合体の製造において、
(b−1)単量体および(b−2)単量体を用いずに、
(b−4)単量体として上述した単量体のうちフッ素を
含有しない単量体を少なくとも1種用いる以外は、上記
(b)成分の製造方法と同様にして得られる。
【0057】また、(b’)成分の他の例としては、特
定シリル基含有エポキシ樹脂、特定シリル基含有ポリエ
ステル樹脂などを挙げることができる。上記特定シリル
基含有エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジル
エーテル、脂肪族ポリグリシジルエステルなどのエポキ
シ樹脂中のエポキシ基に、特定シリル基を有するアミノ
シラン類、ビニルシラン類、カルボキシシラン類、グリ
シジルシラン類などを反応させることにより製造するこ
とができる。また、上記特定シリル基含有ポリエステル
樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂中に含有されるカル
ボキシル基や水酸基に、特定シリル基を有するアミノシ
ラン類、カルボキシシラン類、グリシジルシラン類など
を反応させることにより製造することができる。
【0058】(b’)成分のMwは、好ましくは2,0
00〜100,000、さらに好ましくは4,000〜
50,000である。組成物(ii)における(b’)成
分の使用量は、(a)成分中の(R1 n SiO
(4-n)/2 で表される構造単位100重量部に対して、通
常、2〜900重量部、好ましくは、10〜850重量
部、さらに好ましくは、20〜800重量部である。こ
の場合、(b’)成分の使用量が2重量部未満では、得
られる塗膜が耐アルカリ性に劣るものとなる場合があ
り、一方、900重量部を超えると、塗膜の長期耐候性
が低下する傾向がある。
【0059】本発明において、(b’)成分は、単独で
または上記のようにして得られた2種以上を混合して使
用することができる。組成物(ii)においては、上記
(b’)成分を、水および/または有機溶媒の存在下で
(a)成分と共縮合させることが好ましい。なお、組成
物(ii)において、(a)成分の種類・量は、本発明の
コーティング組成物と同様であるので、省略する。
【0060】本発明のコーティング組成物や、必要に応
じて用いられる下塗り用である組成物(i)〜(ii)に
は、それぞれ、さらに、下記の(c)〜(e)成分を配
合することができる。以下、これらの成分について、説
明する。
【0061】(c)成分;(c)成分は、(a)成分、
(b)成分、(b’)成分などの加水分解・縮合反応を
促進する触媒である。(c)成分を使用することによ
り、得られる塗膜の硬化速度を高めるとともに、使用さ
れるオルガノシラン成分の重縮合反応により生成される
ポリシロキサン樹脂の分子量が大きくなり、強度、長期
耐久性などに優れた塗膜を得ることができ、かつ塗膜の
厚膜化や塗装作業も容易となる。
【0062】このような(c)成分としては、酸性化合
物、アルカリ性化合物、金属塩、アミン化合物、有機金
属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有
機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまと
めて「有機金属化合物等」ともいう)が好ましい。上記
酸性化合物としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン
酸、アルキルチタン酸、p−トルエンスルホン酸、フタ
ル酸などを挙げることができ、好ましくは、酢酸であ
る。また、上記アルカリ性化合物としては、例えば、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることがで
き、好ましくは、水酸化ナトリウムである。また、上記
金属塩としては、例えば、ナフテン酸、オクチル酸、亜
硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩
などを挙げることができる。
【0063】また、上記アミン化合物としては、例え
ば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエ
チレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、m−フェ
ニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、エタノール
アミン、トリエチルアミン、3−アミノプロピル・トリ
メトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシ
ラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・ト
リメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノ
プロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチ
ル)−アミノプロピル・メチル・ジメトキシシラン、3
−アニリノプロピル・トリメトキシシランや、アルキル
アミン塩類、四級アンモニウム塩類のほか、エポキシ樹
脂の硬化剤として用いられる各種変性アミンなどを挙げ
ることができ、好ましくは、3−アミノプロピル・トリ
メトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシ
ラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・ト
リエトキシシランである。
【0064】また、上記有機金属化合物等としては、例
えば、下記一般式(5)で表される化合物(以下「有機
金属化合物(5)」ともいう)、同一のスズ原子に結合
した炭素数1〜10のアルキル基を1〜2個有する4価
スズの有機金属化合物(以下「有機スズ化合物」ともい
う)、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物など
を挙げることができる。
【0065】 M(OR8 p (R9 COCHCOR10q ・・・(5) 〔式中、Mはジルコニウム、チタンまたはアルミニウム
を示し、R8 およびR9は、同一または異なって、エチ
ル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル
基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル
基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基な
どの炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R10は、
8 およびR9 と同様の炭素数1〜6の1価の炭化水素
基のほか、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ
基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブト
キシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリ
ルオキシ基などの炭素数1〜16のアルコキシル基を示
し、pおよびqは0〜4の整数で、(p+q)=(Mの
原子価)である。〕
【0066】有機金属化合物(5)の具体例としては、 (イ)テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−
ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−
n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコ
ニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテー
ト)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトア
セテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセト
アセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセト
アセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合
物;
【0067】(ロ)テトラ−i−プロポキシチタニウ
ム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテー
ト)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチル
アセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス
(アセチルアセトン)チタニウムなどの有機チタン化合
物; (ハ)トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プ
ロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−
i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、
i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アル
ミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナー
ト)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)
アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミ
ニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセ
トアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化
合物; などを挙げることができる。
【0068】これらの有機金属化合物(5)およびその
部分加水分解物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルア
セトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビ
ス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロ
ポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス
(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいは、
これらの化合物の部分加水分解物が好ましい。
【0069】また、有機スズ化合物の具体例としては、
(C4 9 2 Sn(OCOC11232 、(C
4 9 2 Sn(OCOCH=CHCOOCH3 2
(C4 9 2 Sn(OCOCH=CHCOOC
4 9 2 、(C8 172 Sn(OCOC
8 172 、(C8 172 Sn(OCOC
11232 、(C8 172 Sn(OCOCH=CHC
OOCH3 2 、(C8 172 Sn(OCOCH=C
HCOOC4 9 2 、(C8 172 Sn(OCOC
H=CHCOOC8 172 、(C8 172 Sn(O
COCH=CHCOOC16332 、(C8 172
n(OCOCH=CHCOOC17352 、(C
8 172 Sn(OCOCH=CHCOOC
18372 、(C8 172 Sn(OCOCH=CHC
OOC20412
【0070】 (C4 9 )Sn(OCOC11233 、 (C4 9 )Sn(OCONa)3 などのカルボン酸型有機スズ化合物;
【0071】(C4 9 2 Sn(SCH2 COOC8
172 、(C4 9 2 Sn(SCH2 CH2 COO
8 172 、(C8 172 Sn(SCH2 COOC
8 172 、(C8 172 Sn(SCH2 CH2 CO
OC8 172 、(C8 172 Sn(SCH2 COO
12252 、(C8 172 Sn(SCH2 CH2
OOC12252 、(C4 9 )Sn(SCOCH=C
HCOOC8 173 、(C8 17)Sn(SCOCH
=CHCOOC8 173
【0072】 などのメルカプチド型有機スズ化合物;
【0073】 (C4 9 2 Sn=S、(C8 172 Sn=S、 などのスルフィド型有機スズ化合物;
【0074】 (C4 9 )SnCl3 、(C4 9 2 SnCl2 、 (C8 172 SnCl2 などのクロライド型有機スズ化合物; (C4 9 2 SnO、(C8 172 SnOなどの有
機スズオキサイドや、これらの有機スズオキサイドとエ
チルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエ
チル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反
応生成物;などを挙げることができる。
【0075】(c)成分は、単独でまたは2種以上を混
合して使用することができ、また亜鉛化合物やその他の
反応遅延剤と混合して使用することもできる。
【0076】(c)成分は、組成物を調製する際に配合
してもよく、また、塗膜を形成する段階で組成物に配合
してもよく、さらには、組成物の調製と塗膜の形成との
両方の段階で配合してもよい。(c)成分の使用量は、
有機金属化合物等以外の場合、上記(a)成分中の(R
1 n SiO(4-n)/2 で表される構造単位100重量部
に対して、通常、0〜100重量部、好ましくは、0.
01〜80重量部、さらに好ましくは、0.1〜50重
量部であり、有機金属化合物等の場合、上記(a)成分
中の(R1 nSiO(4-n)/2 で表される構造単位10
0重量部に対して、通常、0〜100重量部、好ましく
は、0.1〜80重量部、さらに好ましくは、0.5〜
50重量部である。この場合、(c)成分の使用量が1
00重量部を超えると、組成物の保存安定性が低下した
り、塗膜にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
【0077】(d)成分;(d)成分は、下記一般式
(6) R9 COCH2 COR10 ・・・(6) 〔式中、R9 およびR10は、有機金属化合物(5)にお
ける上記各一般式のそれぞれR9 およびR10と同義であ
る〕で表されるβ−ジケトン類およびβ−ケトエステル
類、カルボン酸化合物、ジヒドロキシ化合物、アミン化
合物、およびオキシアルデヒド化合物からなる群から選
択される少なくとも1種である。このような(d)成分
は、特に、上記(c)成分として有機金属化合物等を使
用する場合に併用することが好ましい。
【0078】(d)成分は、組成物の安定性向上剤とし
て作用するものである。すなわち、(d)成分が上記有
機金属化合物等の金属原子に配位して、該有機金属化合
物等による上記(a)成分と(b)成分や(b’)成分
との共縮合反応を促進する作用を適度にコントロールす
ることにより、得られる組成物の保存安定性をさらに向
上させる作用をなすものと推定される。
【0079】(d)成分の具体例としては、アセチルア
セトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト
酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセ
ト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、ア
セト酢酸−t−ブチル、ヘキサン−2,4−ジオン、ヘ
プタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、
オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、
5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、マロン酸、シュ
ウ酸、フタル酸、グリコール酸、サリチル酸、アミノ酢
酸、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコー
ル、カテコール、エチレンジアミン、2,2−ビピリジ
ン、1,10−フェナントロリン、ジエチレントリアミ
ン、2−エタノールアミン、ジメチルグリオキシム、ジ
チゾン、メチオニン、サリチルアルデヒドなどを挙げる
ことができる。これらのうち、アセチルアセトン、アセ
ト酢酸エチルが好ましい。(d)成分は、単独でまたは
2種以上を混合して使用することができる。
【0080】(d)成分の使用量は、上記有機金属化合
物等における有機金属化合物1モルに対して、通常、2
モル以上、好ましくは3〜20モルである。この場合、
(e)成分の使用量が2モル未満では、得られる組成物
の保存安定性の向上効果が不充分となる傾向がある。
【0081】(e)成分;(e)成分は、無機化合物の
粉体および/またはゾルもしくはコロイドからなり、塗
膜の所望の特性に応じて配合される。
【0082】(e)成分をなす化合物の具体例として
は、SiO2 、Al2 3 、AlGaAs、Al(O
H)3 、Sb2 5 、Si3 4 、SnO2 、Sn−I
2 3、In2 3 、Sb−In2 3 、InP、I
nSb、InAs、InGaAlP、MgF、Ce
3 、CeO2 、3Al2 3 ・2SiO2 、BeO、
SiC、AlN、Fe、Fe2 3 、Co、Co−Fe
x 、CrO2 、Fe4 N、BaTiO3 、BaO−A
2 3 −SiO2 、Baフェライト、SmCO5 、Y
CO5 、CeCO5 、PrCO5 、Sm2 CO17、Nd
2 Fe14B、ZrO2 、Al4 3 、AlN、SiC、
α−Si、SiN4 、CoO、Sb−SnO2 、MnO
2 、MnB、Co3 4 、Co3 B、LiTaO3 、M
gO、MgAl24 、BeAl2 4 、ZrSi
4 、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnSb、ZnT
e、PbTe、PbS、PbSe、GeSi、FeSi
2 、CrSi2 、CoSi2 、MnSi1.73、Mg2
i、β−B、BaC、BP、TiB2 、ZrB2 、Hf
2 、Ru2 Si3 、RuO2 、TiO2 、TiO3
SrTiO 3 、FeTiO3 、PbTiO3 、Al2
iO5 、Zn2 SiO4 、Zr2 SiO4 、2MgO2
−Al2 3 −5SiO2 、WO3 、Bi2 3 、Cd
O、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO
3 、MoS2 、LaRhO3、GaN、CdP、Nb2
5 、GaAsP、Li2 O−Al2 3 −4Si
2 、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフ
ェライト、Liフェライト、Srフェライトなどを挙げ
ることができる。これら(e)成分は、単独でまたは2
種以上を混合して使用することができ、好ましくはコロ
イド状シリカおよびコロイド状アルミナが挙げられる。
【0083】上記コロイド状シリカは、スノーテック
ス、イソプロパノールシリカゾル、メタノールシリカゾ
ル〔以上、日産化学工業(株)製〕;カタロイド、オス
カル〔以上、触媒化成工業(株)製〕;Ludex(米
国デユポン社製);Syton(米国モンサント社
製);Nalcoag(米国ナルコケミカル社製)の商
品名で市販されている。また、上記コロイド状アルミナ
は、例えば、合成アルミナ、ベーマイト、擬ベーマイト
等を使用することができる。このようなコロイド状アル
ミナは、例えば、アルミナゾル100、アルミナゾル5
20〔以上、日産化学工業(株)製〕などの名称で市販
されている。さらに、(e)成分としては、光触媒能を
付与するためにはTiO2 (アナターゼ型を含むことが
好ましい)、紫外線吸収能を付与するためにはCe
2 、ZnOなどを用いることが好ましい。さらに、有
機系紫外線吸収剤および安定剤を併用してもよい。有機
系紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾト
リアゾール系、トリアジン系、フェノール系、安定剤と
してはヒンダードアミン系があり、単独でもよく、共重
合成分中に付加したものでもよい。
【0084】(e)成分の平均粒径は、好ましくは30
μm以下、より好ましくは0.005〜20μm、さら
に好ましくは0.005〜10μmである。平均粒径が
30μmを超えると、得られる塗膜の表面が平滑になら
ない場合がある。
【0085】(e)成分の存在形態には、粉体、水に分
散した水系のゾルもしくはコロイド、イソプロピルアル
コールなどの極性溶媒や、トルエンなどの非極性溶媒中
に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドがある。溶媒
系のゾルもしくはコロイドの場合、半導体の分散性によ
ってはさらに水や溶媒にて希釈して用いてもよく、また
分散性を向上させるために表面処理して用いてもよい。
(e)成分が水系のゾルもしくはコロイド、あるいは溶
媒系のゾルもしくはコロイドである場合、固形分濃度は
40重量%以下が好ましい。
【0086】(e)成分を組成物中に配合する方法とし
ては、組成物の調製後に添加してもよく、あるいは、組
成物の調製時に添加して、(e)成分を、上記(a)成
分、(b)成分もしくは(b’)成分などと共加水分解
・縮合させてもよい。
【0087】(e)成分の使用量は、上記(a)成分中
の(R1 n SiO(4-n)/2 で表される構造単位100
重量部に対して、固形分で、通常、0〜500重量部、
好ましくは、0.1〜400重量部である。
【0088】他の添加剤;また、本発明のコーティング
組成物および下塗り用の組成物には、得られる塗膜の着
色、厚膜化などのために、別途充填材を添加・分散させ
ることもできる。このような充填材としては、例えば、
非水溶性の有機顔料や無機顔料、顔料以外の、粒子状、
繊維状もしくは鱗片状のセラミックス、金属あるいは合
金、ならびにこれらの金属の酸化物、水酸化物、炭化
物、窒化物、硫化物などを挙げることができる。ただ
し、この他の添加剤としては、上記の(e)成分を除
く。
【0089】上記充填材の具体例としては、鉄、銅、ア
ルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボ
ンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、顔料用酸化
チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガ
ン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ム
ライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、
窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石
灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、
亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー
緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン
緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントグリ
ーン、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸
銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マ
ンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カ
ルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カ
ドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、
ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン
赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモ
ン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、
酸化ジルコン、タングステン白、鉛、亜鉛華、バンチソ
ン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーン
黒、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性
黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンな
どを挙げることができる。これらの充填材は、単独でま
たは2種以上を混合して使用することができる。充填材
の使用量は、組成物の全固形分100重量部に対して、
通常、300重量部以下である。
【0090】さらに、本発明のコーティング組成物およ
び下塗り用の組成物には、所望により、オルトギ酸メチ
ル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公
知の脱水剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレン脂肪酸エステル、ポリカルボン酸型高分子界
面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩、ポリアク
リル酸塩、ポリアミドエステル塩、ポリエチレングリコ
ールなどの分散剤;メチルセルロース、エチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど
のセルロース類や、ひまし油誘導体、フェロけい酸塩な
どの増粘剤;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウ
ム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、カ
ルシウムアジドなどの無機発泡剤や、アゾビスイソブチ
ロニトリルなどのアゾ化合物、ジフェニルスルホン−
3,3’−ジスルホヒドラジンなどのヒドラジン化合
物、セミカルバジド化合物、トリアゾール化合物、N−
ニトロソ化合物などの有機発泡剤のほか、界面活性剤、
シランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料な
どの他の添加剤を配合することもできる。
【0091】また、組成物のコーティング性をより向上
させるためにレベリング剤を配合することができる。こ
のようなレベリング剤のうち、フッ素系のレベリング剤
(商品名、以下同様)としては、例えば、ビーエムケミ
ー(BM−CHEMIE)社のBM1000、BM11
00;エフカケミカルズ社のエフカ772、エフカ77
7;共栄社化学(株)製のフローレンシリーズ;住友ス
リーエム(株)のFCシリーズ;東邦化学(株)のフル
オナールTFシリーズなどを挙げることができ、シリコ
ーン系のレベリング剤としては、例えば、ビックケミー
社のBYKシリーズ;シュメグマン(Sshmegma
nn)社のSshmegoシリーズ;エフカケミカルズ
社のエフカ30、エフカ31、エフカ34、エフカ3
5、エフカ36、エフカ39、エフカ83、エフカ8
6、エフカ88などを挙げることができ、エーテル系ま
たはエステル系のレベリング剤としては、例えば、日信
化学工業(株)のカーフィノール;花王(株)のエマル
ゲン、ホモゲノールなどを挙げることができる。
【0092】このようなレベリング剤を配合することに
より、塗膜の仕上がり外観が改善され、薄膜としても均
一に塗布することができる。レベリング剤の使用量は、
全組成物に対して、好ましくは、0.01〜5重量%、
さらに好ましくは0.02〜3重量%である。また所望
の用途により抗菌剤を用いてもよい。抗菌剤としては、
金属イオン担持無機系抗菌剤および有機系抗菌剤が挙げ
られる。 (1)金属イオン担持無機系抗菌剤;金属としては、
銀、銅、亜鉛、担持する担体としては合成ゼオライト、
リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸バナジ
ウム、ケイ酸カルシウム、シリカゲル、アミノ酸、金属
石鹸、セラミックス、アパタイト、活性炭、モンモリナ
イト、低分子ガラスなどが挙げられる。 (2)有機系抗菌剤;有機系抗菌剤としては、フェノー
ルエーテル誘導体、スルホン誘導体、イミダゾール誘導
体、オキシビスフェノキシアルシン、有機窒素硫黄系化
合物、ニトリル誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、イソ
チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアジン
誘導体、ピロール誘導体、脂肪族イミド誘導体などが挙
げられる。
【0093】なお、本発明に用いられる組成物、好まし
くは、下塗り用の組成物(i)〜(ii)には、他の樹脂
をブレンドしてもよい。他の樹脂としては、アクリル−
ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、アクリル
樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、エポキ
シ樹脂エマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポリ
エステルエマルジョンなどが挙げられる。
【0094】また、上記(b’)成分が規定されていな
い本発明のコーティング組成物や組成物(ii)には、別
途、(b’)水および/または有機溶剤を配合すること
ができる。この場合、(b’)成分の配合量は、組成物
(i)と同様である。
【0095】本発明のコーティング組成物および下塗り
用の組成物を調製するに際しては、(c)成分と(d)
成分とを使用しない場合は、各成分の混合方法は特に限
定されないが、(c)成分と(d)成分とを使用する場
合は、好ましくは、(a)〜(e)成分のうち(d)成
分を除いた混合物を得たのち、これに(d)成分を添加
する方法が採用される。
【0096】本発明のコーティング組成物の調製法の具
体例としては、下記〜の方法などを挙げることがで
きる。 (a)成分を構成するオルガノシラン(1)、(b)
成分、(c)成分および必要量の有機溶剤からなる混合
物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行った
のち、(d)成分を添加する方法。 (a)成分を構成するオルガノシラン(1)、および
必要量の有機溶剤からなる混合物に、所定量の水を加え
て加水分解・縮合反応を行い、次いで(b)成分および
(c)成分を加えて混合して、さらに縮合反応を行った
のち、(d)成分を添加する方法。
【0097】(a)成分を構成するオルガノシラン
(1)、(c)成分および必要量の有機溶剤からなる混
合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行
い、次いで(b)成分を加えて混合して、さらに部分縮
合反応を行ったのち、(d)成分を添加する方法。 (a)成分を構成するオルガノシラン(1)の一部、
(b)成分、(c)成分および必要量の有機溶剤からな
る混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を
行い、次いでオルガノシラン(1)の残部を添加して、
さらに加水分解・部分縮合反応を行なったのち、(d)
成分を添加する方法。
【0098】なお、本発明においては、(a)〜(b)
成分、および(c)〜(d)成分以外の成分は、組成物
を調製する適宜の段階で添加することができる。
【0099】本発明のコーティング組成物の全固形分濃
度は、通常、1〜45重量%、好ましくは、2〜40重
量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。組成物
の全固形分濃度が45重量%を超えると、保存安定性が
低下する傾向がある。
【0100】また、本発明に用いられることのある下塗
り用の組成物(i)〜(ii)の全固形分濃度は、通常、
50重量%以下、好ましくは、40重量%以下であり、
基材の種類、塗装方法、塗装膜厚などに応じて適宜調整
される。
【0101】コーティングガラス 本発明のコーティングガラスの構成としては、例えば、
基材(ガラス)/本発明のコーティング組成物、基材
(ガラス)/上記下塗り用の組成物(i)〜(ii)のい
ずれか/本発明のコーティング組成物、あるいは、基材
(ガラス)/プライマー/上記下塗り用の組成物(i)
〜(ii)のいずれか/本発明のコーティング組成物など
が挙げられる。本発明のコーティング組成物および上記
下塗り用の組成物(i)〜(ii)を基材に塗布する際に
は、いずれの組成物の場合も、刷毛、ロールコーター、
フローコーター、遠心コーター、超音波コーターなどを
用いたり、ディップコート、流し塗り、スプレー、スク
リーンプロセス、電着、蒸着などが挙げられる。
【0102】本発明のコーティング組成物の場合、乾燥
膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜20μm程度、
2回塗りでは厚さ0.1〜40μm程度の塗膜を形成す
ることができる。その後、常温で乾燥するか、あるい
は、30〜200℃程度の温度で、通常、1〜60分程
度加熱して乾燥することにより、塗膜を形成することが
できる。
【0103】なお、あらかじめ下塗りを施す場合には、
上記組成物(i)〜(ii)を用い、乾燥膜厚として、1
回塗りで厚さ0.05〜20μm程度、2回塗りでは厚
さ0.1〜40μm程度の塗膜を形成させることができ
る。その後、常温で乾燥するか、あるいは、30〜20
0℃程度の温度で、通常、1〜60分程度加熱して乾燥
することにより、各種の壁紙基材に塗膜を形成すること
ができる。なお、下塗りと上塗りの総計膜厚は、乾燥膜
厚で、通常、0.1〜80μm、好ましくは、0.2〜
60μm程度である。
【0104】さらに、用途に応じてプライマーを用いる
場合には、プライマーの種類は特に限定されず、基材と
組成物との密着性を向上させる作用を有するものであれ
ばよく、基材の種類、使用目的に応じて選択する。プラ
イマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用するこ
とができ、また、顔料、染料などの着色成分を含んでい
ても良い。
【0105】プライマーの種類としては、例えば、アル
キド樹脂、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエ
ステル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、ア
クリルシリコン樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、エポ
キシ樹脂エマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポ
リエステルエマルジョンなどを挙げることができる。ま
た、これらのプライマーには、厳しい条件での基材と塗
膜との密着性が必要な場合、各種の官能基を付与するこ
ともできる。このような官能基としては、例えば、水酸
基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミン
基、グリシジル基、アルコキシシリル基、エーテル結
合、エステル結合などを挙げることができる。さらに、
プライマーには、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などが配
合されていてもよい。
【0106】基材 本発明の組成物を適用しうるガラス基材としては、クリ
アガラス、グリーンガラス、ブロンズガラス、強化ガラ
ス、部分強化ガラス、合わせガラス、ITOの導電膜被
覆ガラスなどが挙げられる。また、本発明のガラス基材
が適用される箇所としては、建材の窓ガラス、自動車の
前後方窓ガラス、鉄道車両、航空機、船舶、屋根付きス
クーター、潜水艦、宇宙船、ジェットコースター、観覧
車などの各種の窓;自動車のサイドミラー、インナーミ
ラー、路上に設置されるカーブミラーなどの交通安全用
ミラー、発電用保護ガラス;太陽電池などの保護膜、モ
ニター用などのガラス、家庭用ミラーなどの鏡、建材の
ガラス戸、家具などのガラス部材などが挙げられる。
【0107】これらのガラス基材には、下地調整、密着
性向上、多孔質基材の目止め、平滑化、模様付けなどを
目的として、予め表面処理を施すこともできる。例え
ば、研磨、脱脂、メッキ処理、酸処理、クロメート処
理、火炎処理、カップリング処理、UVオゾン処理など
を挙げることができる。また、本発明に用いられる基材
としては、無機系のガラスのみならず、ポリカーボネー
ト、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチ
レンテレフタレート、ABS樹脂などの合成樹脂も適用
可能である。合成樹脂系基材に対する表面処理として
は、例えば、ブラスト処理、アルカリ処理、溶剤などに
よる脱脂処理、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ
放電処理、UVオゾン処理、プラズマ処理、イオン処理
などを挙げることができる。
【0108】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態
をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これら
の実施例になんら制約されるものでない。なお、実施例
および比較例中の部および%は、特記しない限り重量基
準である。また、実施例および比較例における各種の測
定・評価は、下記の方法により行った。
【0109】(1)Mw 下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)法により測定した。 試料:テトラヒドロフランを溶媒として使用し、オルガ
ノシランの縮合物1gまたはシリル基含有ビニル系樹脂
0.1gを、それぞれ100ccのテトラヒドロフラン
に溶解して調製した。 標準ポリスチレン:米国プレッシャーケミカル社製の標
準ポリスチレンを使用した。 装置:米国ウオーターズ社製の高温高速ゲル浸透クロマ
トグラム(モデル150−C ALC/GPC) カラム:昭和電工(株)製のSHODEX A−80M
(長さ50cm) 測定温度:40℃ 流速:1cc/分
【0110】(2)保存安定性 硬化促進剤を添加しない組成物を、ポリエチレン製ビン
内に、常温で3ヶ月密栓保存して、ゲル化の有無を目視
により判定した。ゲル化を生じていないものについて
は、東京計器(株)製のBM型粘度計による粘度測定を
行い、変化率が20%以内のものを、“良好”とした。 (3)密着性 JIS K5400による碁盤目テスト(ます目100
個)により、テープ剥離試験を3回実施し、その平均に
拠った。 (4)硬度 JIS K5400による鉛筆硬度に拠った。
【0111】(5)耐アルカリ性 試験片を、飽和水酸化カルシウム水溶液中に60日間浸
漬したのち、塗膜の状態を目視により観察した。変化の
ないものを“良好”とした。 (6)耐有機薬品性 塗膜上にイソプロピルアルコールを2cc滴下し、5分
後に布で拭き取ったのち、塗膜の状態を目視により観察
した。変化のないものを“良好”とした。 (7)耐湿性 試験片を、温度50℃、湿度95%の環境下に、連続
1,000時間保持したのち、取り出して塗膜の状態を
目視により観察した。変化のないものを“良好”とし
た。 (8)耐候性 JIS K5400により、サンシャインウエザーメー
ターで3,000時間照射試験を実施して、塗膜の外観
(割れ、剥がれなど)を目視により観察した。変化のな
いものを“良好”とした。
【0112】(9)耐水性 試験片を、水道水中に常温で60日間浸漬したのち、塗
膜の状態を目視により観察した。変化のないものを“良
好”とした。 (10)耐温水性 試験片を、60℃の温水中に14日間浸漬したのち、塗
膜の状態を目視により観察した。変化のないものを“良
好”とした。 (11)耐汚染性 塗膜上に、カーボンブラック/灯油=1/2(重量比)
の混合物からなるペーストを塗り付け、室温で24時間
放置したのち、スポンジを用いて水洗して、塗膜の汚染
状態を観察し、下記基準で評価した。 ○;汚染なし △;少し汚染されている。 ×;汚染が著しい。
【0113】(12)透明性 各組成物を、石英ガラス上に、乾燥膜厚10μmとなる
ように塗布したのち、可視光の透過率を測定して、下記
基準で評価した。 ◎;透過率が80%を超える。 ○;透過率が60〜80% △;透過率が60%未満(13)撥水性 塗膜に超純水を1滴乗せ、傾けたときに液滴の滑り角度
を評価した。 ◎:転落角が50度以下 ○:転落角が50〜70度 △:転落角が70度以上 (14)接触角 塗膜に超純水またはコールタール(JIS K2439
規定工業用コールタール)を3μl乗せたときの接触角
を、協和界面化学(株)製、自動接触角計により測定し
た。
【0114】参考例1〔(b)成分の重合〕 電磁攪拌機を備えたステンレス製のオートクレーブを窒
素ガスで十分置換したのち、当該オートクレーブ内にメ
チルイソブチルケトンを150部とエチルビニルエーテ
ル30部と過酸化ラウロイル(ラジカル重合開始剤)2
部とを仕込み、オートクレーブ内の溶液をドライアイス
−メタノールにより−50℃まで冷却したのち、窒素ガ
スによって系内の酸素を再度除去した。次いで、ヘキサ
フルオロプロピレン20部、パーフルオロ(メチルビニ
ルエーテル)45部、ビニルトリメトキシシラン5部を
添加し、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が6
0℃に達した時点におけるオートクレーブ内の圧力は、
5kgf/cm2 であった。反応系の温度を60℃に保
持しながら攪拌することにより、20時間重合反応を継
続させ、オートクレーブ内の圧力が1.5kgf・cm
2 に低下した時点で水冷して反応を停止させ、固形分濃
度40%の(b)成分(以下、「(B−1)」ともい
う)を得た。
【0115】参考例2〜5〔(b)成分の重合〕 表1に示す単量体成分を用いた以外は、参考例1と同様
にして、(B−2)〜(B−5)の(b)成分を得た。
【0116】
【表1】
【0117】参考例6〔シリル基含有ビニル重合体
(b’)の合成〕 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、メチルメタクリ
レート70部、n−ブチルアクリレート40部、γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン20部、アク
リル酸5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13
部、1,1,1−トリメチルアミンメタクリルイミド2
部およびi−プロピルアルコール150部メチルエチル
ケトン50部、メタノール25部を加えて混合したの
ち、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビ
スイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した
溶液を30分間かけて滴下したのち、80℃で5時間反
応させて固形分濃度40%のシリル基含有ビニル重合体
溶液(b’−1)を得た。
【0118】合成例1〜9、比較合成例1〜2 還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、表2および表3
に示す各成分(水と後添加成分を除く)を加えて混合
し、水を添加後、撹拌し、60℃で5時間反応させた。
次いで、後添加成分を加えて室温まで冷却し、固形分濃
度20%の本発明のコーティング組成物(A)〜(K)
および比較用の組成物(a)〜(b)を得た。得られた
組成物の保存安定性を評価した。評価結果を、表2およ
び表3に併せて示す。
【0119】
【表2】
【0120】
【表3】
【0121】(*1):トルエン分散酸化亜鉛(固形分
濃度30%) (*2):水分散(pH4)アナターゼ型酸化チタン
(固形分30%)
【0122】参考例7〔下塗り用コーティング組成物の
合成〕 還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、メチルトリメト
キシシラン70部、グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン30部、水20部、i−プロピルアルコール15
0部および10-2mol/l塩酸水溶液20部を加えてよく
攪拌し、60℃で4時間反応させた。次いで、室温まで
冷却し、トルエン分散酸化亜鉛(固形分濃度30%)2
0部を添加して、固形分濃度20%の組成物を得た。得
られた組成物100部に、i−プロピルアルコール10
0部を加えてよく混合したのち、ジブチルスズジアセテ
ートとシリケートオリゴマーからなる反応物のi−プロ
ピルアルコール溶液(固形分15%)を10部添加、よ
く攪拌し、下塗り用コーティング組成物(p−1)を得
た。
【0123】参考例8〜11〔下塗り用コーティング組
成物の合成〕 還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、表4に記載した
種類、部数の各成分(後添加成分以外)を加えてよく攪
拌し、60℃で4時間反応させた。次いで、室温まで冷
却し、後添加成分を添加して固形分濃度20%の組成物
を得た。得られた組成物100部に、i−プロピルアル
コール100部を加えてよく混合したのち、ジブチルス
ズジアセテートとシリケートオリゴマーからなる反応物
のi−プロピルアルコール溶液(固形分15%)を10
部添加、よく攪拌し、下塗り用コーティング組成物(i
−1)〜(ii−3)を得た。
【0124】
【表4】
【0125】表4において (*1)高松油脂(株)製、ポリエステル樹脂(固形分
濃度20%) (*2)トルエン分散酸化亜鉛(固形分濃度30%) (*3)メタノール分散体(固形分濃度30%)
【0126】実施例1〜16、比較例1〜2 厚さ5mmのガラス表面に、必要に応じて、表5〜8に
記載した下塗り用コーティング組成物を乾燥膜厚が2μ
mになるように塗布、乾燥し、次いで本発明のコーティ
ング組成物を乾燥膜厚が2μmになるように塗布、乾燥
し、コーティングガラスのサンプルとした。得られたサ
ンプルに対して各種評価を行った。結果を表5〜8に併
せて示す。
【0127】
【表5】
【0128】
【表6】
【0129】
【表7】
【0130】
【表8】
【0131】
【発明の効果】本発明のガラス用コーティング組成物
は、特定のオルガノシラン成分とシリル基を有するフッ
素系重合体を含有しているため、保存安定性に優れ、か
つ密着性、耐アルカリ性、耐有機薬品性、耐候性、耐湿
性、耐(温)水性などを低下させずに、耐汚染性などが
改良された塗膜を形成することができる。しかも、該塗
膜は、硬度が高く、耐久性、耐摩耗性に優れ、撥水性お
よび撥油性による防汚性機能を有する。従って、長期的
に美観を損なわず、メンテナンスフリーのコーティング
ガラスとして有用である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 CD101 CD102 CD111 CD112 CD121 CD122 CD131 CD132 CE061 CE062 CL001 CL002 DL021 DL022 DL051 DL052 GA12 GA15 JC32 NA03 NA04 NA05 NA07 NA12 NA26 PC03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)下記一般式(1) (R1 n Si(OR2 4-n ・・・・・(1) (式中、R1 は、2個存在するときは同一または異な
    り、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、R2 は、同一
    または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数
    1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である。)
    で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分
    解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる
    少なくとも1種、ならびに(b)(b−1)下記一般式
    (2)で表される構成単位 (式中、R3 〜R5 はCm 2m+1、m=0〜5の整数、
    Yはそれぞれ独立に、F、HおよびClから選ばれ
    る。)および/または(b−2)下記一般式(3)で表
    される構成単位 〔式中、Rfはフッ素原子を含むアルキル基またはアル
    コキシアルキル基を示し、R3 〜R5 は一般式(2)と
    同義であり、同義の範囲内で、一般式(2)のR 3 〜R
    5 と異なっていてもよい。〕を有し、かつ、加水分解性
    基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有する
    シリル基を含む重合体の群から選ばれる少なくとも1種
    を含有することを特徴とするガラス用コーティング組成
    物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のガラス用コーティング組
    成物からなる塗膜を有するコーティングガラス。
  3. 【請求項3】 下記(i)または(ii)の組成物からな
    る塗膜を有し、その上に、請求項1記載のガラス用コー
    ティング組成物からなる塗膜を有することを特徴とする
    コーティングガラス。 (i)(a)下記一般式(1) (R1 n Si(OR2 4-n ・・・・・(1) (式中、R1 は、2個存在するときは同一または異な
    り、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、R2 は、同一
    または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数
    1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である。)
    で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分
    解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれた
    少なくとも1種を含有するコーティング組成物。 (ii)上記(a)成分、ならびに(b’)加水分解性基
    および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシ
    リル基を含有する重合体を含有するコーティング組成
    物。
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