JP2001038200A - 窒素酸化物等の吸着剤、その製造方法および窒素酸化物等の除去方法 - Google Patents

窒素酸化物等の吸着剤、その製造方法および窒素酸化物等の除去方法

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JP2001038200A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 5ppm程度以下の低濃度の窒素酸化物等
(窒素酸化物および/または硫黄酸化物)を吸着除去す
るのに好適な吸着剤、その製造方法、およびこの吸着剤
を用いた窒素酸化物等の除去方法を提供する。 【解決手段】 銅とアルカリ金属元素とを含有する窒素
酸化物等の吸着剤であって、銅の少なくとも一部が0価
または1価である。この吸着剤に窒素酸化物等を含むガ
スを接触させて窒素酸化物等を吸着除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒素酸化物等の吸
着剤、その製造方法、およびこの吸着剤を用いた窒素酸
化物等の除去方法に関する。なお、本発明の「窒素酸化
物等」とは、窒素酸化物および/または硫黄酸化物を意
味する。
【0002】
【従来の技術】ボイラなどの固定式窒素酸化物発生源か
らの窒素酸化物の除去方法に関しては、従来から、アン
モニアを還元剤に用いて窒素酸化物を選択的に還元して
無害な窒素と水とに変換する接触還元法が最も経済的な
方法として広く用いられている。
【0003】これに対し、道路トンネル、シェルター付
道路、大深度地下空間、道路交差点などにおける換気ガ
スもしくは大気、および家庭内で使用される燃焼機器か
ら排出されるガスなどに含まれる窒素酸化物の濃度は、
5ppm程度と、ボイラ排ガス中の窒素酸化物濃度に比
べて著しく低く、またガス温度は常温であり、しかもガ
ス量は莫大なものである。このため、例えば道路トンネ
ルの換気ガスに上記接触還元法を適用して窒素酸化物を
効率よく除去するためには、この換気ガスの温度を30
0℃以上にすることが必要であり、その結果、多大なエ
ネルギーが必要となることから、上記接触還元法をその
まま適用することには経済的に問題がある。
【0004】このような事情から、上記のような道路ト
ンネルの換気ガスなど、窒素酸化物の濃度が低い、例え
ば5ppm以下の排ガスから窒素酸化物を効率よく除去
することが望まれている。そこで、低濃度の窒素酸化物
を吸着剤に吸着させて除去する方法、およびこれに適し
た吸着剤が提案されている。
【0005】本出願人は、上記のような低濃度の窒素酸
化物含有ガスから窒素酸化物を吸着除去するに好適な吸
着剤を提案している(特開平10−128105、特開
平10−192698、特開平10−309435、特
開平11−28351、特開平11−28352、特願
平11−143361、特願平11−113365およ
び特願平11−220687)。また、本出願人は、窒
素酸化物のほかに硫黄酸化物を含有するガスから窒素酸
化物を効率よく除去する方法として、あらかじめ硫黄酸
化物を除去した後、窒素酸化物用吸着剤に接触させて窒
素酸化物を吸着除去する方法を提案している(特開平1
0−76136)。さらに、本出願人は、使用によって
性能の低下した吸着剤を還元剤の存在下で加熱して再生
する方法も提案している(特願平11−14953
8)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、窒素
酸化物等を吸着除去するに好適な、特に5ppm程度以
下の低濃度の窒素酸化物等を吸着除去するに好適な吸着
剤、この吸着剤の製造方法、およびこの吸着剤を用いた
窒素酸化物等の除去方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、下記の吸着剤が上記課題を解決できることを見
出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、銅とアルカリ金属元
素とを含有する窒素酸化物等の吸着剤であって、銅の少
なくとも一部が0価または1価であることを特徴とする
窒素酸化物等の吸着剤である。
【0009】また、本発明は、(A)銅と(B)アルカ
リ金属元素と(D)チタン、ケイ素、アルミニウム、ジ
ルコニウムおよびアルカリ土類金属元素から選ばれる少
なくとも1種の元素、あるいは(A)銅と(B)アルカ
リ金属元素と(C)白金、金、ルテニウム、ロジウムお
よびパラジウムから選ばれる少なくとも1種の元素と
(D)チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムお
よびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種
の元素とを含有する吸着剤前駆体を製造し、次いで該前
駆体を還元剤の存在下に加熱処理することを特徴とする
窒素酸化物等の吸着剤の製造方法である。
【0010】また、本発明は、上記成分(A)、(B)
および(D)、あるいは上記成分(A)、(B)、
(C)および(D)、あるいは上記成分(A)、
(B)、(D)および(E)マンガン、ニッケル、コバ
ルトおよび鉛から選ばれる少なくとも1種の元素、ある
いは上記成分(A)、(B)、(C)、(D)および
(E)マンガン、ニッケル、コバルトおよび鉛から選ば
れる少なくとも1種の元素を含有し、しかも成分(B)
(アルカリ金属元素)をその有機酸塩の形態で含有する
吸着剤前駆体を製造し、次いで該前駆体を不活性ガス中
で加熱処理することを特徴とする窒素酸化物等の吸着剤
の製造方法である。
【0011】また、本発明は、窒素酸化物等を含むガス
を上記吸着剤に接触させて窒素酸化物等を除去すること
を特徴とする窒素酸化物等の除去方法である。
【0012】さらに、本発明は、窒素酸化物および硫黄
酸化物を含むガスを、該ガスからあらかじめ硫黄酸化物
を除去した後、窒素酸化物用吸着剤に接触させて窒素酸
化物を除去する方法において、該窒素酸化物用吸着剤と
して上記吸着剤を用いることを特徴とする窒素酸化物お
よび硫黄酸化物の除去方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の吸着剤は、5ppm以下
の低濃度の窒素酸化物等、代表的には窒素酸化物、また
は窒素酸化物と硫黄酸化物とを吸着するためのものであ
る。この窒素酸化物はNOxとして示されるものであ
り、具体的にはNOおよびNO2を挙げることができ
る。また、硫黄酸化物とはSOxで示されるものであ
り、具体的にはSO2を挙げることができる。本発明の
吸着剤は特にNO2の吸着除去に優れている。
【0014】本発明の吸着剤は、アルカリ金属元素と銅
とを必須成分として含有するものであり、この銅の少な
くとも一部が0価または1価である、すなわち銅の少な
くとも一部が0価または1価の原子価を有することを特
徴とする。その具体的な形態としては、銅の実質的に
全てが0価である、銅の実質的に全てが1価である、
銅の一部が0価で、残余が1価である、銅の一部が
0価であり、残余が2価である、銅の一部が0価であ
り、残余が1価および2価であるものを挙げることがで
きる。銅は必ずしもその全てが0価または1価である必
要はなく、本発明の効果が得られる程度の有効量が0価
または1価であればよい。
【0015】なかでも、後記のとおり、銅とアルカリ金
属元素とを含有する吸着剤前駆体を予め調製し、この前
駆体を還元剤の存在下に加熱処理するか、あるいは不活
性ガス中で加熱処理して、銅の少なくとも一部を0価ま
たは1価に変換した吸着剤が好適である。
【0016】吸着剤が0価または1価の銅を含有してい
ることはX線回折による格子面間隔(d値)を測定する
ことにより確認することができる。Cu(0価)のd値
は、2.09±0.01と1.81±0.01と1.2
8±0.01とにあり、Cu 2O(1価)のd値は2.
47±0.01と2.14±0.01と1.51±0.
01とにある。
【0017】本発明の銅とアルカリ金属元素とを含有す
る吸着剤の代表例としては次のものを挙げることができ
る。なお、割合については、成分(A)、(B)、
(D)および(E)は酸化物換算であり、成分(C)は
金属換算である。 <吸着剤1>(A)銅、および(B)アルカリ金属元素
(Li、Na、K、Rb、Cs)を含有する吸着剤。
【0018】各成分の割合については、成分(A)は7
0〜99質量%、好ましくは80〜99質量%であり、
成分(B)は1〜30質量%、好ましくは1〜20質量
%である(合計100質量%。以下同じ)。 <吸着剤2>(A)銅、(B)アルカリ金属元素、およ
び(D)チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム
およびアルカリ土類金属元素(Be、Mg、Ca、S
r、Ba)から選ばれる少なくとも1種の元素を含有す
る吸着剤。
【0019】各成分の割合については、成分(A)は
0.5〜89質量%、好ましくは1〜75質量%であ
り、成分(B)は1〜30質量%、好ましくは1〜20
質量%であり、成分(D)は10〜98.5質量%、好
ましくは20〜98質量%である。 <吸着剤3>(A)銅、(B)アルカリ金属元素、およ
び(C)白金、金、ルテニウム、ロジウムおよびパラジ
ウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する吸着
剤。
【0020】各成分の割合については、成分(A)は6
0〜99質量%、好ましくは75〜99質量%であり、
成分(B)は1〜30質量%、好ましくは1〜20質量
%であり、成分(C)は0.01〜10質量%、好まし
くは0.05〜5質量%である。 <吸着剤4>(A)銅、(B)アルカリ金属元素、
(C)白金、金、ルテニウム、ロジウムおよびパラジウ
ムから選ばれる少なくとも1種の元素、および(D)チ
タン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムおよびアル
カリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素を
含有する吸着剤。
【0021】各成分の割合については、成分(A)は
0.5〜89質量%、好ましくは1〜75質量%であ
り、成分(B)は1〜30質量%、好ましくは1〜20
質量%であり、成分(C)は0.01〜10質量%、好
ましくは0.05〜5質量%であり、成分(D)は10
〜98.5質量%、好ましくは20〜98質量%であ
る。 <吸着剤5>(A)銅、(B)アルカリ金属元素、およ
び(E)マンガン、ニッケル、コバルトおよび鉛から選
ばれる少なくとも1種の元素を含有する吸着剤。
【0022】各成分の割合については、成分(A)は
0.5〜98質量%、好ましくは1〜94質量%であ
り、成分(B)は1〜30質量%、好ましくは1〜20
質量%であり、成分(E)は1〜98.5質量%、好ま
しくは5〜98質量%である。 <吸着剤6>(A)銅、(B)アルカリ金属元素、
(D)チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムお
よびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種
の元素、および(E)マンガン、ニッケル、コバルトお
よび鉛から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する吸
着剤。
【0023】各成分の割合については、成分(A)は
0.5〜88質量%、好ましくは1〜75質量%であ
り、成分(B)は1〜30質量%、好ましくは1〜20
質量%であり、成分(D)は10〜97.5質量%、好
ましくは20〜97質量%であり、成分(E)は1〜8
8.5質量%、好ましくは1〜75質量%である。 <吸着剤7>(A)銅、(B)アルカリ金属元素、
(C)白金、金、ルテニウム、ロジウムおよびパラジウ
ムから選ばれる少なくとも1種の元素、(D)チタン、
ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムおよびアルカリ土
類金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素、および
(E)マンガン、ニッケル、コバルトおよび鉛から選ば
れる少なくとも1種の元素を含有する吸着剤。
【0024】各成分の割合については、成分(A)は
0.5〜88質量%、好ましくは1〜75質量%であ
り、成分(B)は1〜30質量%、好ましくは1〜20
質量%であり、成分(C)は0.01〜10質量%、好
ましくは0.05〜5質量%であり、成分(D)は10
〜97.5質量%、好ましくは20〜94質量%であ
り、成分(E)は1〜88.5質量%、好ましくは4〜
75質量%である。
【0025】上記吸着剤のなかでも、吸着剤2、吸着剤
4、吸着剤6および吸着剤7が好ましい。
【0026】本発明の吸着剤における銅(成分(A))
の原子価数については、その少なくとも一部が0価また
は1価であり、具体的には金属銅(0価)、または酸化
物、複合酸化物、アルカリ金属やアルカリ土類金属との
複合酸化物や複塩(1価)などの形態で含有される。成
分(A)の出発原料としては、酸化物、水酸化物、炭酸
塩、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、有機金属塩、酢酸
塩やシュウ酸塩などの有機酸塩などを用いることができ
る。特に原子価数が0の銅を有効量含有する吸着剤が好
適に用いられる。
【0027】成分(B)のアルカリ金属元素の形態につ
いては特に制限はなく、吸着剤として窒素酸化物等を吸
着し得るものであれば、いずれの形態にあってもよい。
例えば、水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩の形態で含
有される。成分(B)の出発原料としては、各元素の水
酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、亜硝酸塩などの
ほか、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、ソルビン酸塩
などの有機酸塩などを用いることができる。
【0028】成分(C)、(D)および(E)の形態に
ついても特に制限はなく、窒素酸化物等を吸着する機能
が得られる限り、いずれの形態にあってもよい。
【0029】成分(C)の場合、例えば金属、酸化物、
複合酸化物などとして含有される。成分(C)のなかで
も、耐久性に優れた吸着剤が得られるという点におい
て、ルテニウムが好適に用いられる。その出発原料とし
ては、各元素の酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、ハ
ロゲン化物、有機金属塩、アンモニウム錯体などを用い
ることができる。
【0030】成分(D)の場合、例えば酸化物、複合酸
化物、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩などとして
含有される。成分(D)のなかでも、耐久性に優れた吸
着剤が得られるので、ジルコニウムおよびアルカリ土類
金属が好適に用いられる。その出発原料としては、各元
素の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ハロゲン化
物、リン酸塩などを用いることができる。
【0031】成分(E)の場合、例えば金属、酸化物、
複合酸化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属との複合
酸化物や複塩などとして含有される。その出発原料とし
ては、各元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫
酸塩、ハロゲン化物、有機金属塩、酢酸塩やシュウ酸塩
などの有機酸塩などを用いることができる。
【0032】本発明の吸着剤としては、必須成分として
の銅の有効量が0または1の原子価を有するものであれ
ば、いずれも使用することができる。なかでも、銅とア
ルカリ金属元素とを含有する吸着剤前駆体を還元剤の存
在下に加熱処理するか、あるいはアルカリ金属元素がそ
の有機酸塩の形態で含有される場合には、不活性ガス中
で加熱処理して得られるものが好適に用いられる。
【0033】本発明にいう「吸着剤前駆体」とは、銅と
アルカリ金属元素とを含有し、例えば前記吸着剤(1)
〜(7)の組成を有し、銅が2価の銅化合物、好ましく
は酸化銅(2価)の形態で含有されているものを意味す
る。
【0034】上記吸着剤前駆体は、この種の吸着剤の調
製に一般に用いられている方法により調製することがで
きる。前記の成分(A)、成分(B)、成分(C)、成
分(D)および成分(E)を含有する吸着剤前駆体につ
いて、その代表的な調製方法を以下に説明するが、本発
明はこれに限定されるものではない。
【0035】成分(A)、成分(B)、成分(C)およ
び成分(E)の出発原料の水溶液、または粉体を一般に
用いられている成型助剤とともに成分(D)に加え、混
合、攪拌し、押出成型機で成型する。得られた成型体を
50〜120℃で乾燥した後、200〜600℃、好ま
しくは250〜500℃で1〜10時間、好ましくは2
〜6時間空気中、窒素などの不活性ガス中などで焼成す
る。なお、最後の焼成工程は、必須ではなく、適宜省略
することもできる。
【0036】そのほか、成分(A)〜(C)および成分
(E)のうちの少なくとも一つと成分(D)とを含有す
る成型体をあらかじめ作成し、この成型体に残りの成分
を含浸担持させてもよい。例えば、成分(A)、成分
(C)、成分(D)および成分(E)からなる成型体を
上記のように調製した後、成分(B)を含浸担持させ
る。
【0037】本発明の好適な吸着剤は、上記吸着剤前駆
体を還元剤の存在下に加熱処理することにより得られ
る。この吸着剤前駆体のなかでも、成分(B)がその有
機酸塩の形態で含有される場合には、この吸着剤前駆体
を不活性ガス中で加熱処理することによっても本発明の
好適な吸着剤を得ることができる。なお、成分(B)が
その有機酸塩として含有される場合でも、還元剤の存在
下での加熱処理により本発明の好適な吸着剤が得られ
る。
【0038】そこで、最初に、還元剤を用いた還元処理
について説明する。この還元剤とは、水素および燃焼性
有機化合物を意味する。この燃焼性有機化合物として
は、炭化水素類、好ましくは炭素数1〜4の飽和または
不飽和の炭化水素類を挙げることができる。本発明で
は、水素または炭化水素類、特に水素が還元剤として好
適に用いられる。上記炭化水素類の代表例としては、メ
タン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレ
ン、ブタジエンなどの飽和または不飽和の炭化水素類を
挙げることができる。
【0039】上記還元剤は、通常、他のガスで希釈し
て、例えば、窒素などの不活性ガスとの混合ガスとして
使用する。具体的には、還元剤として水素を用いる場
合、水素と窒素、ヘリウムなどの不活性ガスとの混合ガ
スとして使用する。この混合ガス中の水素の濃度は、通
常、0.1〜20容量%であり、好ましくは0.5〜1
0容量%である。なお、空気との混合ガスとすることも
できるが、爆発の危険があるので、一般的には、上記の
ような不活性ガスとの混合ガスとして使用するのがよ
い。燃焼性有機化合物の場合にも、窒素などの不活性ガ
スとの混合ガスとして使用する。この混合ガス中の燃焼
性有機化合物の濃度は、通常、0.001〜1容量%で
あり、好ましくは0.01〜0.5容量%である。
【0040】上記還元剤の希釈に用いることのできるガ
スとしては、上記の窒素、ヘリウムなどの不活性ガスお
よび空気のほかに、水蒸気(H2O)、二酸化炭素ガス
などを挙げることができる。かくして、上記混合ガスの
代表例としては、水素と不活性ガス、燃焼性有機化合物
と不活性ガスとの組み合せを挙げることができる。
【0041】加熱温度は、通常、200〜600℃であ
り、好ましくは300〜500℃、より好ましくは30
0〜400℃である。なお、吸着剤前駆体は、通常、常
温であるが、上記加熱温度までの昇温速度には特に制限
はなく、適宜決定することができる。加熱時間は、一概
に特定できないが、通常、30分〜10時間、好ましく
は30分〜5時間の範囲で適宜選ぶことができる。
【0042】本発明の加熱処理は、還元剤の通風下で行
うのが好ましい。還元剤の通風下で加熱処理を行う場
合、通風の程度については特に制限はなく、新たな還元
剤が供給されるような条件下にすればよい。
【0043】次に、アルカリ金属元素がその有機酸塩の
形態で含有される吸着剤前駆体を不活性ガス中で加熱処
理する方法について説明する。なお、この吸着剤前駆体
は、例えば、成分(A)、成分(C)、成分(D)およ
び成分(E)からなる成型体を前記のように調製した
後、成分(B)としてのアルカリ金属有機酸塩を含浸担
持させて得られる。このアルカリ金属有機酸塩の代表例
としては、酢酸カリウム、クエン酸三カリウム、ソルビ
ン酸カリウムなどを挙げることができる。なかでも、酢
酸カリウムが好適に用いられる。不活性ガスとしては、
通常、窒素が用いられる。加熱条件については、前記還
元剤の存在下での加熱処理の場合と同じである。
【0044】上記不活性ガス中での加熱処理により、銅
の少なくとも一部が0価または1価となる理由は明らか
ではないが、例えば酸化銅(2価)の場合では、加熱処
理によってアルカリ金属有機酸塩が熱分解し、この熱分
解の際に酸化銅が保持する酸素が消費され、酸化銅が還
元されるものと考えられる。なお、本発明は、このよう
な理論的考察によって限定されるものではない。
【0045】本発明の吸着剤の形状については特に制限
はなく、円柱状、円筒状、球状、板状、ハニカム状、そ
の他一体に成型されたもののなかから適宜選択すること
ができる。この成型には、一般的な成型方法、例えば打
錠成型、押出成型などを用いることができる。球状の場
合、その平均粒径は、通常、1〜10mmである。ハニ
カム状吸着剤の場合は、いわゆるモノリス担体と同様で
あり、押出成型法やシート状素子を巻き固める方法など
により製造することができる。そのガス通過口(セル形
状)の形は、6角形、4角形、3角形、またはコルゲー
ション形のいずれであってもよい。セル密度(セル数/
単位断面積)は、通常、25〜800セル/平方インチ
(×2.54cm)であり、好ましくは25〜500セ
ル/平方インチ(×2.54cm)である。
【0046】本発明の方法によれば、窒素酸化物等を含
むガスを上記吸着剤に接触させて窒素酸化物等(窒素酸
化物および/または硫黄酸化物)を吸着せしめてガスを
浄化する。上記ガスの代表例は、前記の道路トンネルな
どからの換気ガスないしは大気ガスであり、本発明の方
法は、窒素酸化物および硫黄酸化物の濃度が5ppm以
下という濃度が低いガスからの窒素酸化物等の吸着除去
に好適に用いられる。上記のガスと吸着剤との接触方法
については特に制限はなく、通常、この吸着剤からなる
層中にガスを導入して行う。この処理条件については、
処理すべきガスの性状などにより異なるので一概に特定
できないが、例えば、吸着剤層に供給するガスの温度
は、通常、0〜100℃であり、特に0〜50℃とする
のが好ましい。また、吸着剤層に供給するガスの空間速
度(SV)は、通常、500〜50000hr-1(ST
P)であり、2000〜30000hr-1(STP)の
範囲が好ましい。
【0047】窒素酸化物のほかに硫黄酸化物を含有する
ガスから窒素酸化物を効率よく除去してガスを浄化する
に際しては、あらかじめ硫黄酸化物を除去した後、本発
明の吸着剤に接触させて窒素酸化物を吸着除去すると吸
着剤の耐久性が向上し、長期にわたって効果的に窒素酸
化物を除去することができる。
【0048】硫黄酸化物の除去方法には特に制限はな
く、ガスを水洗して除去する方法、ガスを硫黄酸化物吸
着用の吸着剤に接触させて除去する方法などを用いるこ
とができる。なかでも、装置がコンパクトになる、消費
エネルギーが少ないなどの点から、硫黄酸化物用吸着剤
を用いる方法が好適に用いられる。
【0049】上記硫黄酸化物用吸着剤としては、SOx
を吸着し得るものであればいずれでもよく、なかでも活
性炭、遷移金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属
から選ばれる少なくとも1種を含有する吸着剤が好適に
用いられる。遷移金属の代表例としては、Ni、Co、
Fe、Mn、Cr、Mo、W、V、Nb、Zn、Cuな
どを挙げることができる。アルカリ金属およびアルカリ
土類金属の代表例としては、それぞれ、Li、Na、K
およびMg、Ca、Baを挙げることができる。これら
元素の吸着剤中の形態については特に制限はなく、SO
xを吸着し得るものであれば、どのような形態であって
もよい。具体的には、例えば、酸化物、炭酸塩、硫酸
塩、塩化物および水酸化物を挙げることができる。
【0050】上記硫黄酸化物用吸着剤は、担体として、
アルカリ土類金属塩、アルミナ、シリカ、チタニア、ジ
ルコニア、シリカ−アルミナ、アルミナ−ジルコニア、
シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニアおよびチタニア
−ジルコニアの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0051】かくして、本発明の好適な態様は、窒素酸
化物および硫黄酸化物を含むガスを最初に硫黄酸化物用
吸着剤に接触させて硫黄酸化物を吸着除去し、次いで本
発明の吸着剤に接触させて窒素酸化物を吸着除去してガ
スを浄化することからなるものである。これにより、本
発明の吸着剤の耐久性が向上する。
【0052】
【発明の効果】本発明の吸着剤は、窒素酸化物等、特に
低濃度の窒素酸化物等に対して高い吸着性能を有し、し
かも優れた耐久性を示す。
【0053】窒素酸化物および硫黄酸化物を含有するガ
スを浄化するに当たり、あらかじめ硫黄酸化物を除去
し、その後に本発明の吸着剤に接触させて窒素酸化物を
除去すると、吸着剤の耐久性が向上し、長期にわたり効
果的に窒素酸化物を吸着除去することができる。
【0054】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。 実施例1 塩基性炭酸銅(日本化学産業(株)製、銅金属を50質
量%含有)1000gに適量の水を添加しつつニーダー
でよく混合した後、押出成型機で直径5mm、長さ5m
mのペレット状に成形した。このペレットを100℃で
10時間乾燥した後、500℃で3時間空気雰囲気下で
焼成した。さらに、このペレットを4N−KOH水溶液
に2分間含浸した後、120℃で5時間乾燥してペレッ
ト状の吸着剤前駆体を得た。この前駆体の組成は、C
u:K(CuO:K2Oとして)=92.5:7.5
(質量%)であった。
【0055】次いで、このペレットを400℃で2時
間、水素/窒素(5/95容量%)の雰囲気下で加熱処
理(還元処理)して吸着剤(1)を得た。吸着剤(1)
のX線回折を図1に示す。 実施例2 塩基性炭酸銅(日本化学産業(株)製、銅金属を50質
量%含有)239.6g、炭酸カルシウム800gに適
量の水を添加しつつニーダーでよく混合した後、押出成
型機で直径5mm、長さ5mmのペレット状に成形し
た。このペレットを100℃で10時間乾燥した後、5
00℃で3時間空気雰囲気下で焼成した。さらに、この
ペレットを4N−炭酸カリウム水溶液に2分間含浸した
後、120℃で5時間乾燥してペレット状の吸着剤前駆
体を得た。この前駆体の組成は、Cu:Ca:K(Cu
O:CaO:K2Oとして)=23.1:69.2:
7.7(質量%)であった。
【0056】次いで、このペレットを400℃で2時
間、水素/窒素(5/95容量%)の雰囲気下で加熱処
理して吸着剤(2)を得た。吸着剤(2)のX線回折を
図2に示す。 実施例3 実施例2において、4N−K2CO3水溶液の代わりに4
N−CH3COOK水溶液を用いた以外は実施例2と同
様にしてペレット状の吸着剤前駆体を得た。
【0057】次いで、このペレットを400℃で2時
間、窒素雰囲気下で加熱処理して吸着剤(3)を得た。
吸着剤(3)のX線回折を図3に示す。 実施例4 水400L(リットル)にアンモニア水(NH3、25
%)286Lを添加し、これにスノーテックスNCS−
30(日産化学(株)製シリカゾル、SiO2を約30
質量%含有)24kg加えた。得られた溶液中に硫酸チ
タニルの硫酸水溶液(TiO2として250g/L含
有。全硫酸濃度1100g/L)153Lを水300L
に添加して希釈したチタン含有硫酸水溶液を攪拌下、徐
々に添加し共沈ゲルを得た。さらに、そのまま15時間
放置してTiO2−SiO2ゲルを得た。このゲルをろ過
し、水洗した後、200℃で10時間乾燥した。次い
で、600℃で6時間空気雰囲気下で焼成し、更にハン
マーミルを用いて粉砕し、分級機で分級して平均粒径1
0μmの粉体を得た。得られた粉体は(以下、TS−1
と称す)の組成はTi:Si=4:1(原子比)であっ
た。
【0058】実施例2における炭酸カルシウムの代わり
に上記TS−1を用いた以外は実施例2と同様にして吸
着剤前駆体を調製し、さらに実施例2と同様にして加熱
処理して、表1に示す組成の吸着剤(4)のペレットを
得た。 実施例5〜8 実施例2における炭酸カルシウムの代わりに酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸バリウ
ムを用いた以外は実施例2と同様にして吸着剤前駆体を
調製し、さらに実施例2と同様にして加熱処理して、表
1に示す組成の吸着剤(5)〜(8)のペレットを得
た。 実施例9 酸化ルテニウム(田中貴金属(株)製、ルテニウム金属
を65質量%含有)1.5g、塩基性炭酸銅(日本化学
産業(株)製、銅金属を50質量%含有)239.6
g、炭酸カルシウム800gに炭酸カリウム73.3g
を水100gに溶解した炭酸カリウム水溶液を加え、更
に適量の水を添加しつつニーダーでよく混合した後、押
出成型機で直径5mm、長さ5mmのペレット状に成形
した。このペレットを100℃で10時間乾燥した後、
500℃で3時間空気雰囲気下で焼成してペレット状の
吸着剤前駆体を得た。この前駆体の組成は、Ru:C
u:Ca:K(Ru:CuO:CaO:K2Oとして)
=0.2:23.1:69.0:7.7(質量%)であ
った。
【0059】次いで、このペレットを400℃で2時
間、水素/窒素(5/95容量%)の雰囲気下で加熱処
理して吸着剤(9)を得た。吸着剤(9)のX線回折を
図4に示す。 実施例10 酸化ルテニウム(田中貴金属(株)製、ルテニウム金属
を65質量%含有)1.5g、塩基性炭酸銅(日本化学
産業(株)製、銅金属を50質量%含有)239.6
g、炭酸カルシウム800gに適量の水を添加しつつニ
ーダーでよく混合した後、押出成型機で直径5mm、長
さ5mmのペレット状に成形した。このペレットを10
0℃で10時間乾燥した後、500℃で3時間空気雰囲
気下で焼成した。さらに、このペレットを4N−CH3
COOK水溶液に2分間含浸した後、120℃で5時間
乾燥してペレット状の吸着剤前駆体を得た。この前駆体
の組成は、Ru:Cu:Ca:K(Ru:CuO:Ca
O:K2Oとして)=0.2:23.1:69.0:
7.7(質量%)であった。
【0060】次いで、このペレットを400℃で2時
間、窒素雰囲気下で加熱処理して吸着剤(10)を得
た。吸着剤(10)のX線回折を図5に示す。 実施例11〜14 実施例9における酸化ルテニウムの代わりに白金硝酸水
溶液、塩酸金水溶液、硝酸ロジウム水溶液、硝酸パラジ
ウム水溶液を用いた以外は実施例9と同様にして吸着剤
前駆体を調製し、この吸着剤前駆体を実施例9と同様に
加熱処理して表1に示す組成の吸着剤(11)〜(1
4)のペレットを得た。 実施例15 塩基性炭酸銅(日本化学産業(株)製、銅金属を50質
量%含有)159.7g、炭酸マンガン132.2g、
炭酸カルシウム750gに適量の水を添加しつつニーダ
ーでよく混合した後、押出成型機で直径5mm、長さ5
mmのペレット状に成型した。このペレットを100℃
で1時間乾燥した後、500℃で3時間空気雰囲気下で
焼成した。さらに、このペレットを4N−CH3COO
K水溶液に2分間含浸した後、120℃で5時間乾燥し
てペレット状の吸着剤前駆体を得た。この前駆体の組成
は、Cu:Mn:Ca:K(CuO:MnO2:Ca
O:K2Oとして)=14.9:14.9:62.7:
7.5(質量%)であった。
【0061】次いで、このペレットを400℃で2時間
窒素雰囲気下で加熱処理して吸着剤(15)を得た。 実施例16 酸化ルテニウム(田中貴金属(株)製、ルテニウム金属
を65質量%含有)159.7g、塩基性炭酸銅(日本
化学産業(株)製、銅金属を50質量%含有)159.
7g、塩基性炭酸ニッケル224.5g、炭酸カルシウ
ム750gに適量の水を添加しつつニーダーでよく混合
した後、押出成型機で直径5mm、長さ5mmのペレッ
ト状に成形した。このペレットを100℃で10時間乾
燥した後、500℃で3時間空気雰囲気下で焼成した。
さらに、このペレットを4N−CH3COOK水溶液に
2分間含浸した後、120℃で5時間乾燥してペレット
状の吸着剤前駆体を得た。この前駆体の組成は、Ru:
Cu:Ca:K(Ru:CuO:CaO:K2Oとし
て)=0.1:14.9:14.9:62.6:7.5
(質量%)であった。
【0062】次いで、このペレットを400℃で2時
間、窒素雰囲気下で加熱処理して吸着剤(16)を得
た。 比較例1〜3 実施例1、2および11において最後の水素/窒素(5
/95容量%)の雰囲気下での加熱処理を行わなかった
以外は実施例1、2および11と同様にして表1に示す
組成の吸着剤(比較1)〜(比較3)のペレットを得
た。なお、代表例として比較2の吸着剤のX線回折を図
6に示す。 比較例4 実施例15において最後の窒素雰囲気での加熱処理を、
空気雰囲気下での加熱処理に変更した以外は実施例15
と同様にして表1に示す組成の吸着剤(比較4)のペレ
ットを得た。
【0063】上記のようにして得られた吸着剤(1)〜
(16)および比較吸着剤(比較1)〜(比較4)の組
成をまとめて表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】なお、表1において、成分A、B、Cおよ
びDは、酸化物および金属として示してある。 実施例17 吸着剤(1)〜(16)および比較吸着剤(比較1)〜
(比較4)の窒素酸化物吸着能および硫黄酸化物吸着能
を下記の2つの方法により評価した。 (評価方法(1))吸着剤35mlを内径30mmのガ
ラス製反応管に充填した。この吸着剤層に下記組成の合
成ガス(A)を下記条件下に導入した。 合成ガス(A)組成 一酸化窒素(NO):0.9ppm、二酸化窒素(NO
2):0.1ppm、二酸化硫黄(SO2):0.05p
pm、H2O:1.9容量%、残り:空気 処理条件 ガス量:17.3NL/min、処理温度:25℃、空
間速度(SV):30,000hr-1(STP)、 ガ
ス湿度:60%RH 上記合成ガスを導入してから1時間後、上記吸着剤層の
入口および出口における合成ガス中の窒素酸化物(N
O、NO2)濃度を化学発光式NOx計により、また、
硫黄酸化物(SO2)濃度を紫外線吸収式SO2計で測定
し、次式に従ってNO、NO2およびSO2除去率を算出
した。 NO除去率(%)={(入口NO濃度−出口NO濃度)
/(入口NO濃度)}×100 NO2除去率(%)={(入口NO2濃度−出口NO2
度)/(入口NO2濃度)}×100 SO2除去率(%)={(入口SO2濃度−出口SO2
度)/(入口SO2濃度)}×100 (評価方法(2))ここでは、下記の加速耐久試験を行
った後の各吸着剤の窒素酸化物吸着能および硫黄酸化物
吸着能を評価方法(1)と同様にして評価した。 <加速耐久試験>吸着剤35mlを内径30mmのガラ
ス製反応管に充填した。この吸着剤層に下記組成の合成
ガス(B)を下記条件下に導入した。 合成ガス(B)組成 一酸化窒素(NO):2.7ppm、二酸化窒素(NO
2):0.3ppm、二酸化硫黄(SO2):0.15p
pm、H2O:1.9容量%、残り:空気 処理条件 ガス量:17.3NL/min、処理温度:25℃、空
間速度(SV):30,000hr-1(STP)、 ガ
ス湿度:60%RH 上記加速耐久試験を200時間行った後、合成ガス
(A)を導入してから1時間後、上記吸着剤層の入口お
よび出口における合成ガス中の窒素酸化物(NO、NO
2)濃度および硫黄酸化物(SO2)濃度を評価方法
(1)と同様にして測定し、NO、NO2およびSO2
去率を算出した。評価試験の結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】実施例18 (硫黄酸化物用吸着剤の調製)実施例4で得られたTS
−1粉体1000gに適量の水を添加しつつニーダーで
よく練った後、押出成型機で直径5mm、長さ5mmの
ペレット状に成形した。このペレットを100℃で10
時間乾燥した後、350℃で3時間空気雰囲気下で焼成
した。さらに、このペレットを6N−炭酸ナトリウム水
溶液に2分間含浸した後、120℃で5時間乾燥した。
このようにして得られた硫黄酸化物用吸着剤の組成は、
TS−1:Na(TS−1:Na2Oとして)=76.
1:23.9(質量%)であった。 (評価方法)実施例17の評価方法(1)および(2)
において、ガスの流れに対して前段に上記硫黄酸化物用
吸着剤を19ml、後段に実施例2で得た吸着剤(2)
を35ml充填した以外は評価方法(1)および(2)
と同様にして、その窒素酸化物吸着能および硫黄酸化物
吸着能を評価した。結果を表3に示す。
【0068】表2および表3の結果より、前段に硫黄酸
化物用吸着剤を設置することにより吸着剤(2)の耐久
性能が向上することがわかる。 実施例19 実施例18の評価方法において、後段の吸着剤として実
施例9で得た吸着剤(9)を用いた以外は実施例18と
同様にして、その窒素酸化物吸着能および硫黄酸化物吸
着能を評価した。結果を表3に示す。
【0069】表2および表3の結果より、前段に硫黄酸
化物用吸着剤を設置することにより吸着剤(9)の耐久
性能が向上することがわかる。
【0070】
【表3】
【0071】
【図面の簡単な説明】
【図1】 吸着剤(1)のX線回折図である。
【図2】 吸着剤(2)のX線回折図である。
【図3】 吸着剤(3)のX線回折図である。
【図4】 吸着剤(9)のX線回折図である。
【図5】 吸着剤(10)のX線回折図である。
【図6】 比較用吸着剤(比較2)のX線回折図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 20/06 B01D 53/34 123Z 20/08 129A 20/10 (72)発明者 小野 博信 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 Fターム(参考) 4D002 AA02 AA12 AC10 BA04 CA07 DA01 DA04 DA11 DA12 DA16 DA19 DA21 DA23 DA24 DA25 DA46 GA02 GB01 GB02 GB03 GB08 GB11 GB12 4G066 AA02B AA13B AA15B AA16B AA20A AA20B AA21B AA22B AA23A AA23B AA26B AA27B AA28A AA28B AA37A AA43A AA47A AA53A AB23A BA09 BA31 CA23 CA28 DA02 FA02 FA03 FA05 FA12 FA17 FA21 FA22 FA27 FA28 FA40

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅とアルカリ金属元素とを含有する窒素
    酸化物等の吸着剤であって、銅の少なくとも一部が0価
    または1価であることを特徴とする窒素酸化物等の吸着
    剤。
  2. 【請求項2】 銅とアルカリ金属元素とを含有する吸着
    剤前駆体を還元剤の存在下に加熱処理して得られたもの
    である請求項1記載の吸着剤。
  3. 【請求項3】 還元剤が水素である請求項2記載の吸着
    剤。
  4. 【請求項4】 銅とアルカリ金属元素とを含有する吸着
    剤前駆体であって、アルカリ金属元素をその有機酸塩の
    形態で含有するものを不活性ガス中で加熱処理して得ら
    れたものである請求項1記載の吸着剤。
  5. 【請求項5】 (A)銅と(B)アルカリ金属元素と
    (D)チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムお
    よびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種
    の元素とを含有する請求項1ないし4のいずれかに記載
    の吸着剤。
  6. 【請求項6】 (A)銅と(B)アルカリ金属元素と
    (C)白金、金、ルテニウム、ロジウムおよびパラジウ
    ムから選ばれる少なくとも1種の元素と(D)チタン、
    ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムおよびアルカリ土
    類金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素とを含有
    する請求項1ないし4のいずれかに記載の吸着剤。
  7. 【請求項7】 (A)銅と(B)アルカリ金属元素と
    (D)チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムお
    よびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種
    の元素と(E)マンガン、ニッケル、コバルトおよび鉛
    から選ばれる少なくとも1種の元素とを含有する請求項
    1ないし4のいずれかに記載の吸着剤。
  8. 【請求項8】 (A)銅と(B)アルカリ金属元素と
    (C)白金、金、ルテニウム、ロジウムおよびパラジウ
    ムから選ばれる少なくとも1種の元素と(D)チタン、
    ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムおよびアルカリ土
    類金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素と(E)
    マンガン、ニッケル、コバルトおよび鉛から選ばれる少
    なくとも1種の元素とを含有する請求項1ないし4のい
    ずれかに記載の吸着剤。
  9. 【請求項9】 請求項5の成分(A)、(B)および
    (D)、または請求項6の成分(A)、(B)、(C)
    および(D)を含有する吸着剤前駆体を製造し、次いで
    該前駆体を還元剤の存在下に加熱処理することを特徴と
    する窒素酸化物等の吸着剤の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項5の成分(A)、(B)および
    (D)、請求項6の成分(A)、(B)、(C)および
    (D)、請求項7の成分(A)、(B)、(D)および
    (E)、または請求項8の成分(A)、(B)、
    (C)、(D)および(E)を含有し、しかも成分
    (B)(アルカリ金属元素)をその有機酸塩の形態で含
    有する吸着剤前駆体を製造し、次いで該前駆体を不活性
    ガス中で加熱処理することを特徴とする窒素酸化物等の
    吸着剤の製造方法。
  11. 【請求項11】 窒素酸化物等を含むガスを請求項1な
    いし8のいずれかに記載の吸着剤に接触させて窒素酸化
    物等を除去することを特徴とする窒素酸化物等の除去方
    法。
  12. 【請求項12】 窒素酸化物および硫黄酸化物を含むガ
    スを、該ガスからあらかじめ硫黄酸化物を除去した後、
    窒素酸化物用吸着剤に接触させて窒素酸化物を除去する
    方法において、該窒素酸化物用吸着剤として請求項1な
    いし8のいずれかに記載の吸着剤を用いることを特徴と
    する窒素酸化物および硫黄酸化物の除去方法。
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JP2009541026A (ja) * 2006-06-21 2009-11-26 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 流れからcoを除去するための吸着組成物及び方法
JP2010240620A (ja) * 2009-04-09 2010-10-28 Japan Pionics Co Ltd 窒素酸化物を含むガスの処理方法及び処理装置

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