JP2001031641A - N′−n−オクタデシルウレイドアルカン酸アミド化合物 - Google Patents

N′−n−オクタデシルウレイドアルカン酸アミド化合物

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JP2001031641A
JP2001031641A JP11207993A JP20799399A JP2001031641A JP 2001031641 A JP2001031641 A JP 2001031641A JP 11207993 A JP11207993 A JP 11207993A JP 20799399 A JP20799399 A JP 20799399A JP 2001031641 A JP2001031641 A JP 2001031641A
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JP11207993A
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Masaru Shimada
勝 島田
Masashi Torii
昌史 鳥居
Hiroaki Matsui
宏明 松井
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可逆性感熱記録材料の消色促進剤として有用
な新規N′−n−オクタデシルアルカン酸アミド化合物
を提供する。 【解決手段】 下記一般式(I)で表わされるN′−n
−オクタデシルウレイドアルカン酸アミド化合物。 【化1】 (式中、R1、R2;水素、アルキル基、アラルキル基、
シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、フェニル
基、またはR1、R2は炭素、酸素、窒素と共に複素環を
形成してもよい。n;1〜11の整数)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なN′−n−
オクタデシルウレイドアルカン酸アミド化合物に関し、
更に詳しくは、熱エネルギーを制御することにより発色
画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録材料の消色促
進剤として有用な新規なN′−n−オクタデシルウレイ
ドアルカン酸アミド化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、感熱記録媒体は広く知られてお
り、ファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機な
どのプリンターに使用されている。しかし、これらの実
用化されている従来の記録媒体はいずれも不可逆的な発
色であり、一度記録した画像を消去して繰り返して使用
することはできなかった。そこで電子供与性呈色性化合
物(以下、発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受
容性化合物(以下、顕色剤ともいう)とを主成分とする
感熱記録層を設けて構成される可逆性感熱記録媒体が提
案されている。
【0003】例えば、特許公報によれば発色と消色を可
逆的に行うことができる記録媒体も提案されており、例
えば、顕色剤として没食子酸とフロログルシノールの組
合せを用いる特開昭60−193691号公報、顕色剤
にフェノールフタレインやチモールフタレインなどの化
合物を用いる特開昭61−237684号公報、発色剤
と顕色剤とカルボン酸エステルの均質相溶体を記録層に
含有する特開昭62−138556号、特開昭62−1
38568号および特開昭62−140881号各公
報、顕色剤にアスコルピン酸誘導体を用いる特開昭63
−173684号公報、顕色剤にビス(ヒドロキシフェ
ニル)酢酸または没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を
用いる特開平2−188293号および特開平2−18
8294号各公報などが開示されている。
【0004】さらに、本発明者らは、先に特開平5−1
24360号公報において、顕色剤として長鎖脂肪族炭
化水素基を有する有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸
化合物またはフェノール化合物を用い、これと発色剤で
あるロイコ染料とを組み合わせることによって、発色と
消色を加熱冷却条件により容易に行わせることができ、
しかもその発色状態と消去状態を常温において安定に保
持させることが可能であり、その上発色と消色を安定し
て繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物、および
これを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体を提案した。
これは発色の安定性と消色性のバランスや発色濃度の点
で実用レベルの性能を有するものであるが、さらに高速
消去性と広範囲な使用環境下での保存安定性の面で改良
すべき余地があった。その後、長鎖脂肪族炭化水素基を
もつフェノール化合物について特定の構造のものの使用
が提案されているが(特開平6−210954号公
報)、これも同様の問題を有しており、未だ十分に満足
しうるものはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、可逆
性感熱記録材料の消色促進剤として用いたとき、高速消
去性と使用環境下での保存安定性、特に高温環境下に於
いて優れる可逆性感熱記録材料を与える新規な化合物を
提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、新規な消色促進剤を種々研究し、合
成、検討し、その結果、新規な消色促進剤として有用な
化合物の製造に成功し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明によれば、下記一般式
(I)〜(VIII)で表わされるN′−n−オクタデシル
ウレイドアルカン酸アミド化合物が提供される。
【化9】 (式中、R1、R2;水素、アルキル基、アラルキル基、
シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、フェニル
基、またはR1、R2は炭素、酸素、窒素と共に複素環を
形成してもよい。n;1〜11の整数)
【化10】 (式中、R3;C1〜18のアルキル基、アラルキル基、
m;0〜17の整数、n;1〜11の整数)
【化11】 (式中、R4;C1〜4のアルキル基、n;1〜11の整
数)
【化12】 (式中、R3;水素、C1〜4アルキル基、シクロヘキシ
ル基、n;1〜11の整数
【化13】 (式中、n;1〜11の整数)
【化14】 (式中、n;1〜11の整数)
【化15】 (式中、n;1〜11の整数)
【化16】 (式中、R6;水素、C1〜4アルキル基、ヒドロキシア
ルキル基、アラルキル基、P;2〜4の整数、n;1〜
11の整数)
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、さらに詳
しく説明する。本発明は、前記一般式(I)〜(VIII)
で表わされる新規なN′−n−オクタデシルウレイドア
ルカン酸アミド化合物に関するものであるが、これら本
発明の化合物は下記の反応(a)、(b)の2段階の反
応で合成することができる。なお、式中R1、R2、nは
前記と同様である。
【化17】
【化18】
【0009】上記(a)、(b)の反応は、いずれも原
料化合物の当量を混合して行われ、ほぼ定量的に目的の
化合物を合成することができる。またこの合成は有機溶
媒中で行われ、使用される溶媒としては、特に限定され
ないが、不活性溶媒を用いることが好ましい。ここでい
う不活性溶媒としては、トルエン、クロロベンゼン、ク
ロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、トリクロロ
エチレン、アセトン、メチルエチルケトン等を挙げるこ
とができる。なお、本発明の化合物は、これらの合成方
法に何ら限られるものではない。
【0010】本発明の化合物は可逆性感熱記録材料に含
有される消色促進剤として有用であり、この可逆性感熱
記録材料は、この化合物とともに後述する顕色剤と発色
剤を組み合わせることによって構成されるものである。
【0011】本発明の化合物を使用した可逆性感熱記録
媒体は、支持体上に顕色剤と発色剤および本発明の化合
物を主成分とした記録層を設けたものである。支持体と
しては、紙、樹脂フィルム、合成紙、金属箔、ガラスま
たはこれらの複合体などを使用でき、記録層を保持でき
るものであればよい。
【0012】ここで用いる発色剤は電子供与性を示すも
のであり、それ自体無色あるいは淡色の染料前駆体(ロ
イコ染料)であり、特に限定されず、従来公知のもの、
例えばトリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラ
ン系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミ
ン系化合物、インドリノフタリド系化合物、アザフタリ
ド系化合物などから選択できる。
【0013】発色剤の具体例としては、例えば次の化合
物が挙げられるが、何等これらに限定されるものではな
い。2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフ
ルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチル
アミノフルオラン、2−(N−メチル−o−クロロアニ
リノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ
−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルア
ミノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキ
シル−N−エチルアミノ)フルオラン、2,3−ジメチ
ル−6−ジメチルアミノフルオラン、2−(o−クロロ
アニリノ)−3−クロロ−6−ジメチルアミノフルオラ
ン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニ
ル)−3−(1−エチル−2−メチルインド−3−イ
ル)−4−アザフタリド等。
【0014】次に、本発明の化合物とともに用いられる
発色剤と組み合わせて使用される顕色剤について説明す
る。顕色剤には、前記特開平5−124360号公報
に、長鎖炭化水素基を持つリン酸化合物、脂肪酸化合
物、フェノール化合物の代表例とともに開示されている
ように、顕色剤と発色剤が凝集構造を形成することによ
り発色が安定化し、また両者のうち少なくとも一方の化
合物の分子が凝集あるいは結晶化することにより、発色
剤と顕色剤が相分離して消色するため、分子内に発色剤
を発色させることができる顕色能を持つ構造と、分子間
の凝集力をコントロールする構造を併せ持つ化合物が使
用される。顕色能を持つ構造としては、一般の感熱記録
媒体と同様に、例えば、フェノール性水酸基、カルボキ
シル基、リン酸基などの酸性の基が挙げられるが、これ
らに限らず発色剤を発色できる基を持っていればよい。
このような基としては、例えばチオ尿素基、カルボン酸
金属塩などがある。分子間の凝集力をコントロールする
代表的な構造としては、長鎖アルキル基などの炭化水素
基がある。この炭化水素基の炭素数は、一般には8以上
であることが良好な発色・消色特性を得る上で好まし
い。また、この炭化水素基には不飽和結合が含まれてい
てもよく、また分枝状の炭化水素基も包含される。この
場合も、主鎖部分は炭素数8以上であることが好まし
い。また、この炭化水素基は、例えばハロゲン原子、水
酸基、アルコキシ基などの基で置換されていてもよい。
【0015】上記のように顕色剤は、顕色能を持つ構造
と炭化水素基で代表される凝集力を制御する構造が連結
した構造を持つ。この連結部分には下記に示すようなヘ
テロ原子を含む2価の基、またはこれらの基が複数個組
み合わせた基をはさんで結合していてもよい。また、フ
ェニレン、ナフチレンなどの芳香環または複数環などを
はさんで結合していてもよいし、これら両方をはさんで
いてもよい。炭化水素基は、その鎖状構造中に上記と同
様な2価の基、すなわち芳香環やヘテロ原子を含む2価
の基を有するものであってもよい。以下、本発明に用い
られる顕色剤について具体的に例示する。
【0016】有機リン酸系の顕色剤としては、以下のよ
うな化合物が例示できる。ドデシルホスホン酸、テトラ
デシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデ
シルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、ドコシルホス
ホン酸、テトラコシルホスホン酸、リン酸ジテトラデシ
ルエステル、リン酸ジヘキサデシルエステル、リン酸ジ
オクタデシルエステル、リン酸ジエイコシルエステル、
リン酸ジベヘニルエステルなど。
【0017】脂肪族カルボン化合物としては、以下のよ
うな化合物が例示できる。2−ヒドロキシテトラデカン
酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、2−ヒドロキシオ
クタデカン酸、2−ヒドロキシエイコサン酸、2−ヒド
ロキシドコサン酸、2−ブロモヘキサデカン酸、2−ブ
ロモオクタデカン酸、2−ブロモエイコサン酸、2−ブ
ロモドコサン酸、3−ブロモオクタデカン酸、3−ブロ
モドコサン酸、2,3−ジブロモオクタデカン酸、2−
フルオロドデカン酸、2−フルオロテトラデカン酸、2
−フルオロヘキサデカン酸、2−フルオロオクタデカン
酸、2−フルオロエイコサン酸、2−フルオロドコサン
酸、2−ヨードヘキサデカン酸、2−ヨードオクタデカ
ン酸、3−ヨードヘキサデカン酸、3−ヨードオクタデ
カン酸、パーフルオロオクタデカン酸など。
【0018】脂肪族ジカルボン酸およびトリカルボン酸
化合物としては、以下のような化合物が例示できる。2
−ドデシルオキシこはく酸、2−テトラデシルオキシこ
はく酸、2−ヘキサデシルオキシこはく酸、2−オクタ
デシルオキシこはく酸、2−エイコシルオキシこはく
酸、2−ドデシルオキシこはく酸、2−ドデシルチオこ
はく酸、2−テトラデシルチオこはく酸、2−ヘキサデ
シルチオこはく酸、2−オクタデシルチオこはく酸、2
−エイコシルチオこはく酸、2−ドコシルチオこはく
酸、2−テトラコシルチオこはく酸、2−ヘキサデシル
ジチオこはく酸、2−オクタデシルジチオこはく酸、2
−エイコシルジチオこはく酸、ドデシルこはく酸、テト
ラデシルこはく酸、ペンタデシルこはく酸、ヘキサデシ
ルこはく酸、オクタデシルこはく酸、エイコシルこはく
酸、ドコシルこはく酸、2,3−ジヘキサデシルこはく
酸、2,3−ジオクタデシルこはく酸、2−メチル−3
−ヘキサデシルこはく酸、2−メチル−3−オクタデシ
ルこはく酸、2−オクタデシル−3−ヘキサデシルこは
く酸、ヘキサデシルマロン酸、オクタデシルマロン酸、
エイコシルマロン酸、ドコシルマロン酸、ジヘキサデシ
ルマロン酸、ジオクタデシルマロン酸、ジドコシルマロ
ン酸、メチルオクタデシルマロン酸、2−ヘキサデシル
グルタル酸、2−オクタデシルグルタル酸、2−エイコ
シルグルタル酸、ドコシルグルタル酸、2−ペンタデシ
ルアジピン酸、2−オクタデシルアジピン酸、2−エイ
コシルアジピン酸、2−ドコシルアジピン酸、2−ヘキ
サデカノイルオキシプロパン−1,2,3−トリカルボ
ン酸、2−オクタデカノイルオキシプロパン−1,2,
3−トリカルボン酸など。
【0019】顕色剤には、分子間凝集力を制御する構造
を持つフェノール化合物も好ましく用いられる。これに
は、例えば下記一般式(IX)で表されるフェノール化合
物が例示できる。
【化19】 一般式(IX)で表されるフェノール化合物の具体例を下
記表1および2にp、q、r、s、X、A、Y、Zの数
または構造で示す。但し、これらのそれぞれの具体例に
おいてフェノール部のnは1〜3であり、例えば、4−
ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒ
ドロキシフェニル、2,4−ジヒドロキシフェニル、
3,4−ジヒドロキシフェニルまたは3,4,5−トリ
ヒドロキシフェニルなどの水酸基を少なくとも一つ以上
有するフェニル基である。このフェニル基には、水酸基
以外の置換基を有していてもよい。また、フェノール性
水酸基を有するものであれば、他の芳香環であってもよ
い。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】可逆性感熱記録材料において、発色剤と顕
色剤の割合は、使用する化合物の組合せにより適切な範
囲が変化するが、おおむねモル比で発色剤1に対し顕色
剤が0.1〜20の範囲であり、好ましくは0.2から
10の範囲である。この範囲より顕色剤が少なくても多
くても発色状態の濃度が低下し、実用に適さない。ま
た、本発明の化合物の割合は顕色剤に対し、0.1重量
%から300重量%が好ましく、より好ましくは3重量
%から100重量%が好ましい。
【0023】記録層は本発明の化合物と顕色剤および発
色剤が存在していればどのようなものでもよいが、一般
的にはバインダー樹脂中に本発明の化合物と顕色剤およ
び発色剤が細かく均一に分散した状態で用いられる。本
発明の化合物と顕色剤および発色剤は個々に粒子を形成
していてもよいが、より好ましくは複合された粒子とし
て分散された状態を形成するのが好ましい。これは本発
明の化合物と顕色剤および発色剤を一旦溶融したり溶解
することによって達成できる。このような記録層の形成
は、各材料をそれぞれ溶剤中で分散溶解したのち混合し
た液、あるいは各材料を混合して溶剤中で分散または溶
解した液を支持体上に塗布し、乾燥することによって行
なわれる。本発明の化合物と顕色剤および発色剤はマイ
クロカプセル中に内包して用いることもできる。本発明
の化合物は、単独で用いてもよいし、組み合わせて用い
てもよい。
【0024】本発明の化合物を用いた可逆性感熱記録媒
体には、必要に応じて記録層の塗布特性を改善したり制
御するための添加剤を用いることができる。これらの添
加剤には、たとえば分散剤、界面活性剤、導電剤、充填
剤、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、発色
安定化剤、他の消色促進剤などがある。
【0025】記録層の形成に用いられるバインダー樹脂
としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩
化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリ
スチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリ
エステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカ
ーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル
酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重
合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコー
ル、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース、デンプン類などがある。これらのバインダー
樹脂の役割は、組成物の各材料が記録消去の熱印加によ
って片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにあ
る。したがって、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂
を用いることが好ましい。例えば、熱、紫外線、電子線
などで、バインダー樹脂を架橋させてもよい。
【0026】本発明の化合物を用いた可逆性感熱記録媒
体は、基本的に支持体上に上記の記録層が設けられたも
のであるが、記録媒体としての特性を向上するため、保
護層、接着層、中間層、アンダーコート層、バックコー
ト層などを設けることができる。
【0027】サーマルヘッドを用いた印字では、熱と圧
力のため記録層の表面が変形し、いわゆる打痕ができる
場合がある。これを防止するため、表面に保護層を設け
ることが好ましい。保護層には、ポリビニルアルコー
ル、スチレン無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性
ポリエチレン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素−
ホルムアルデヒド樹脂のほか、紫外線硬化樹脂および電
子線硬化樹脂などが使用できる。また、保護層中には紫
外線吸収剤などの添加剤を含有させることができる。
【0028】記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗
布による記録層の変質防止、保護層中の添加剤の記録層
への移行を防止する目的で、両者の間に中間層を設ける
ことも好ましい。また、記録層の上に設置される保護
層、中間層には酸素透過性の低い樹脂を用いることが好
ましい。記録層中の発色剤および顕色剤の酸化を防止ま
たは低減することが可能になる。
【0029】また、印加した熱を有効に利用するため、
支持体と記録層の間に断熱性のアンダーコート層を設け
ることができる。断熱性のアンダーコート層は、有機ま
たは無機の微小中空体粒子をバインダー樹脂を用いて塗
布することにより形成できる。支持体と記録層の接着性
の改善や支持体への記録層材料の浸透防止を目的とした
アンダーコート層を設けることもできる。
【0030】中間層、アンダーコート層には、前記の記
録層用の樹脂と同様の樹脂を用いることができる。ま
た、保護層、中間層、記録層およびアンダーコート層に
は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、
酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルクな
どのフィラーを含有させることができる。その他、滑
剤、界面活性剤、分散剤などを含有させることもでき
る。
【0031】本発明の化合物を用いた可逆性感熱記録媒
体において、発色画像を形成させるためには、一旦発色
温度以上に加熱したのち急冷されるようにすればよい。
具体的には、例えばサーマルヘッドやレーザー光で短時
間加熱すると記録層が局部的に加熱されるため、直ちに
熱が拡散し急激な冷却が起こり、発色状態が固定でき
る。一方、消色させるためには適当な熱源を用いて発色
温度以上に加熱し徐冷するか、発色温度よりやや低い温
度に一時的に加熱すればよい。長時間加熱すると記録媒
体の広い範囲が昇温し、その後の冷却は遅くなるため、
その過程で消色が起きる。徐冷型の場合の加熱方法とし
ては、加熱バー、熱ローラー、熱スタンプ、熱風などを
用いてもよいし、サーマルヘッドの発熱素子を一斉に加
熱することにより全幅を加熱してもよい。記録媒体を消
色温度域に加熱するためには、例えばサーマルヘッドへ
の印加電圧やパルス幅を調節することによって、印加エ
ネルギーを記録時よりやや低下させればよい。この方法
を用いれば、サーマルヘッドだけで記録・消去ができ、
いわゆるオーバーライトが可能になる。もちろん、加熱
バー、熱ローラー、熱スタンプ、熱風によって消色温度
域に加熱して消去することもできる。
【0032】また、本発明の化合物を用いた可逆性感熱
記録媒体は、必要に応じ、1層あるいは多層の着色層を
記録媒体の全面もしくは一部に設けてもよく、これらの
着色層上にさらに保護層を設けてもよい。このとき着色
層および保護層は、耐久性を満足するものが好ましい。
また、保護層は着色層を覆っていればよく、着色層が記
録媒体の一部分に設けられている場合には着色層を覆う
部分だけでも良く、記録媒体全体を覆っていても良い。
また、本発明の化合物を用いた可逆性感熱記録媒体の表
面および裏面の最上層が具備すべき特性としては、前記
の繰り返し耐久性に加え、搬送性、耐指紋性などの汚れ
・付着物に対する耐性、印字装置のクリーニング性など
が挙げられる。また、本発明の化合物を用いた可逆性感
熱記録媒体は、任意の形状に加工することができ、ま
た、支持体を介して、又は介せず直接粘着剤などを片面
に設けて他の媒体に貼り付けることもできる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
【0034】実施例1(下記構造式(A)で表される中
間体の合成)
【化20】 6−アミノヘキサン酸13.1gを乾燥ジメチルホルム
アミド500ml中に加え、70〜80℃に加温、撹拌
し、これにイソシアン酸−n−オクタデシルエステル2
9.6gを一度に加えて3時間同温度で撹拌を続けた。
終了後冷却して析出物を濾取し、トルエン600mlに
て再結晶してmp.127〜128℃の6−(N′−n
−オクタデシルウレイド)ヘキサン酸(A)38.4g
(収率90.0%)を得た。 元素分析 計算値 C% 70.37 実測値 C% 70.29 H% 11.81 H% 11.95 N% 6.57 N% 6.51 赤外吸収スペクトル測定結果を図1に示す。
【0035】実施例2(下記構造式(B)で表されるア
ミド化合物の合成)
【化21】 実施例1で合成した6−(N′−n−オクタデシルウレ
イド)ヘキサン酸4.3gと1−ヒドロキシベンゾトリ
アゾール1.4gを2−ブタノン200ml中に加え、
これにN,N′−ジイソプロピルカルボジイミド1.4
gを加えて約80℃で30分間撹拌した後、N−メチル
−n−ブチルアミン0.97gを加えて同温度で3時間
反応する。冷却後析出物を濾取し、2−ブタノン150
mlにて再結晶しmp.86〜87℃の目的物(B)
4.2g(収率85.0%)を得た。 元素分析 計算値 C% 72.67 実測値 C% 72.56 H% 11.99 H% 12.04 N% 8.47 N% 8.38 赤外吸収スペクトル測定結果を図2に示す。
【0036】実施例3(下記構造式(C)で表されるア
ミド化合物の合成)
【化22】 実施例1で合成した6−(N′−n−オクタデシルウレ
イド)ヘキサン酸8.5gと1−ヒドロキシベンゾトリ
アゾール2.7gをテトラヒドロフラン250ml中に
加え、これにN,N′−ジイソプロピルカルボジイミド
2.8gを加えて65℃で30分間撹拌した後、モルホ
リン1.9gを加えて同温度で3時間反応する。冷却後
析出物を濾取し、2−プロパノール250mlにて再結
晶しmp.120〜121℃の目的物(C)3.96g
(収率80.0%)を得た。 元素分析 計算値 C% 70.26 実測値 C% 70.40 H% 11.59 H% 11.65 N% 8.48 N% 8.41 赤外吸収スペクトル測定結果を図3に示す。
【0037】実施例4〜20 実施例1および2または3と同様の方法で下記一般式
(X)で表される表3及び表4に示すN′−n−オクタ
デシルウレイドアルカン酸アミド化合物を合成した。
【化23】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】次に本発明のN′−n−オクタデシルウレ
イドアルカン酸アミド化合物を用いた応用例によって本
発明をさらに詳しく説明する。
【0041】 応用例1 1)2−アニリノ−3−メチル−6 ジブチルアミノフルオラン 2部 2)下記構造の顕色剤 8部
【化24】 3)下記構造の消色促進剤 3部
【化25】 4)アクリルポリオール樹脂の15%テトラヒドロ フラン(THF)溶液 70部 上記組成物をボールミルを用いて平均粒径0.1〜3μ
mまで粉砕分散した。得られた分散液に日本ポリウレタ
ン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイ
ソシアネート 75%酢酸エチル溶液)10部を加え、
良く撹拌し記録層塗布液を調製した。上記組成の記録層
塗布液を、厚さ188μmのポリエステルフィルム上に
ワイヤーバーを用い塗布し、100℃2分で乾燥した
後、60℃24時間加熱して、膜厚約8.0μmの記録
層を設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0042】応用例2 応用例1中の消色促進剤の代わりに下記の消色促進剤を
用いた他は、応用例1と同様にして可逆性感熱記録媒体
を作製した。 消色促進剤
【化26】
【0043】応用例3 応用例1中の顕色剤と消色促進剤の代わりに下記の顕色
剤と消色促進剤を用いた他は、応用例1と同様にして可
逆性感熱記録媒体を作製した。顕色剤
【化27】 消色促進剤
【化28】
【0044】比較例1 応用例1中の顕色剤と消色促進剤の代わりに下記の顕色
剤を用いて、消色促進剤を用いなかった他は、応用例1
と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。顕色剤
【化29】
【0045】比較例2 応用例1中の消色促進剤の代わりに下記の消色促進剤を
用いた他は、応用例1と同様にして可逆性感熱記録媒体
を作製した。 消色促進剤
【化30】
【0046】〈画像濃度〉以上のようにして作製した可
逆性感熱記録媒体を大倉電機社製感熱印字装置にて、電
圧13.3V、パルス幅1.2msecで印字し、得ら
れた画像をマクベス濃度計RD−914で測定した。 <消し残り濃度>また、発色画像を、東洋精機社製熱傾斜
試験機で110℃、1秒の条件で消色して消色後の画像
部の濃度と地肌濃度を測定した。次に下記式から消し残
り濃度を算出した。消し残り濃度は、消色させた後に到
達する濃度であり、低い程高速消去性に対応する。 消し残り濃度=(消色後の画像部の濃度)− 地肌濃度 <濃度保持率>次いで、得られた画像部および地肌部の濃
度を測定しそれぞれ試験前画像濃度、試験前地肌濃度と
して測定した後、このサンプルを50℃乾燥条件下で2
4時間保存し、同様に画像部および地肌部の濃度を測定
してそれぞれ試験後画像濃度、試験後地肌濃度とする。
次に下記の式から濃度保持率を算出した。
【数1】
【0047】以上の結果を表5に示す。
【表5】
【0048】
【発明の効果】本発明のN′−n−オクタデシルウレイ
ドアルカン酸アミド化合物は新規な化合物であり、本発
明の化合物は可逆性感熱記録媒体の消色促進剤として有
用である。そして、本発明の化合物を消色促進剤として
用いた可塑性感熱記録媒体は、高速消去性が達成でき、
画像の保存性にも優れた書き換型記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた6−(N′−n−オクタデ
シルウレイド)ヘキサン酸の赤外吸収スペクトル図
【図2】実施例2で得られた6−(N′−n−オクタデ
シルウレイド)ヘキサン酸アミドの赤外吸収スペクトル
【図3】実施例3で得られた6−(N′−n−オクタデ
シルウレイド)ヘキサン酸アミドの赤外吸収スペクトル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 宏明 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H026 AA07 AA09 DD01 DD03 DD43 DD53 4H006 AA01 AB76

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表わされるN′−n
    −オクタデシルウレイドアルカン酸アミド化合物。 【化1】 (式中、R1、R2;水素、アルキル基、アラルキル基、
    シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、フェニル
    基、またはR1、R2は炭素、酸素、窒素と共に複素環を
    形成してもよい。n;1〜11の整数)
  2. 【請求項2】 下記一般式(II)で表わされるN′−n
    −オクタデシルウレイドアルカン酸アミド化合物。 【化2】 (式中、R3;C1〜18のアルキル基、アラルキル基、
    m;0〜17の整数、n;1〜11の整数)
  3. 【請求項3】 下記一般式(III)で表わされるN′−n
    −オクタデシルウレイドアルカン酸アミド化合物。 【化3】 (式中、R4;C1〜4のアルキル基、n;1〜11の整
    数)
  4. 【請求項4】 下記一般式(IV)で表わされるN′−n
    −オクタデシルウレイドアルカン酸アミド化合物。 【化4】 (式中、R5;水素、C1〜4アルキル基、シクロヘキシ
    ル基、n;1〜11の整数)
  5. 【請求項5】 下記一般式(V)で表わされるN′−n
    −オクタデシルウレイドアルカン酸アミド化合物。 【化5】 (式中、n;1〜11の整数)
  6. 【請求項6】 下記一般式(VI)で表わされるN′−n
    −オクタデシルウレイドアルカン酸アミド化合物。 【化6】 (式中、n;1〜11の整数)
  7. 【請求項7】 下記一般式(VII)で表わされるN′−n
    −オクタデシルウレイドアルカン酸アミド化合物。 【化7】 (式中、n;1〜11の整数)
  8. 【請求項8】下記一般式(VIII)で表わされるN′−n
    −オクタデシルウレイドアルカン酸アミド化合物。 【化8】 (式中、R6;水素、C1〜4アルキル基、ヒドロキシア
    ルキル基、アラルキル基、P;2〜4の整数、n;1〜
    11の整数)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002248870A (ja) * 2001-02-27 2002-09-03 Ricoh Co Ltd 熱可逆記録媒体、カード及びラベルと画像処理方法
JP2002275149A (ja) * 2001-03-21 2002-09-25 Ricoh Co Ltd 新規な尿素結合を有するカルバミド酸エステル化合物

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JP2002248870A (ja) * 2001-02-27 2002-09-03 Ricoh Co Ltd 熱可逆記録媒体、カード及びラベルと画像処理方法
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JP4620888B2 (ja) * 2001-03-21 2011-01-26 株式会社リコー 新規な尿素結合を有するカルバミド酸エステル化合物

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