JP2001019922A - クロロプレンラテックスを用いた接着剤組成物 - Google Patents

クロロプレンラテックスを用いた接着剤組成物

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JP2001019922A JP11189982A JP18998299A JP2001019922A JP 2001019922 A JP2001019922 A JP 2001019922A JP 11189982 A JP11189982 A JP 11189982A JP 18998299 A JP18998299 A JP 18998299A JP 2001019922 A JP2001019922 A JP 2001019922A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 初期接着性能、特に湿潤状態における接着性
能に優れ、かつ耐熱性とのバランスにも優れたクロロプ
レンラテックス接着剤を提供する。 【解決手段】 (A)クロロプレンまたはクロロプレン
及びそれと共重合可能な単量体を30℃より低い温度で
重合して得られ、ロジン酸、ロジン酸ナトリウムおよび
ロジン酸カリウムから選ばれる1種または2種以上と、
水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを含みクロロプ
レン重合体が3〜40重量%のゲル分を含み、ゾルの重
量平均分子量が40万以上であるクロロプレンラテック
ス、および(B)PH調整剤を含み、PHが7〜10で
あるクロロプレンラテックス接着剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリクロロプレンラ
テックス接着剤に関する。さらに詳しくは初期接着性
能、特に湿潤状態における接着性能に優れ、かつ耐熱性
とのバランスに優れたクロロプレンラテックス接着剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリクロロプレンをベースとした
接着剤は溶剤型が主流であった。しかし、近年溶剤型接
着剤は製造や使用の際の有機溶剤による毒性、火気危険
性、環境汚染などの問題から、脱溶剤化の要求が高まっ
ている。
【0003】脱溶剤化の手法としては、溶剤型接着剤を
ラテックス接着剤に代替する方法が有効と考えられ、各
種ポリマーを使用したラテックス接着剤の検討が盛んに
行われている。
【0004】なかでもクロロプレンラテックス接着剤
は、接合する被着体の双方に塗布し、これら接着剤層を
乾燥した後に貼り合わせることにより、貼り合わせ直後
から高い接着性を発現する。こうした特徴から水系コン
タクト型接着剤として利用が期待されている反面、乾燥
時間が必要となるために、接着剤を塗布してから接着す
るのに時間を要すること、また乾燥時間を短縮するには
特殊な乾燥設備が必要となりコストアップにつながるな
どの課題があった。
【0005】例えば特公昭51−39262号公報に
は、クロロプレン100重量部に対し、3〜5重量部の
長鎖脂肪酸またはロジン酸の塩類を乳化剤に用い、n−
ドデシルメルカプタン0.09〜0.15重量部の存在
下で、該単量体を20℃より低温でアルカリ性乳化液中
で重合を行い、単量体の転化率90〜98%で重合を停
止し、ゲル分40〜90重量%を含有するポリクロロプ
レンのラテックスをつくり粘着付与樹脂を配合したポリ
クロロプレンラテックス接着剤の製造方法が開示されて
いる。また特開平4−298536号公報にはアクリル
酸エステルコポリマーを含む第一分散液とクロロプレン
重合体のコロイド状第二分散液を予め混合した後、また
は同時に混合しながら塗布し、湿潤状態で被着体を押し
つけることで接着する方法が開示されている。また特開
平10−195406号公報にはアクリルエマルジョン
とクロロプレンラテックス、更に必要に応じてウレタン
樹脂エマルジョンと可塑剤を含有する水系接着剤組成物
が開示されている。しかし、これらの公報の実施例に従
い作製されたラテックスは、初期接着性能、特に湿潤状
態における接着性能および耐熱性とのバランスが十分と
は言えず、この改良が課題となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術の問題点を解決し、初期接着性能、特に湿潤状
態における接着性能に優れ、かつ耐熱性とのバランスに
も優れたクロロプレンラテックス接着剤を提供するもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、ロジン系の乳
化剤を使用し、30℃より低い温度で重合し、水酸化ナ
トリウムおよび水酸化カリウムを含有するクロロプレン
ラテックスを用い、更にPH調整剤の使用によりラテッ
クスPHを7〜10とすることで、初期接着性能、特に
湿潤状態における接着性能に優れ、かつ耐熱性とのバラ
ンスにも優れたクロロプレンラテックス接着剤が得られ
ることを見いだし、本発明の完成に至った。
【0008】即ち本発明は、(A)クロロプレンまたは
クロロプレン及びそれと共重合可能な単量体を30℃よ
り低い温度で重合して得られ、ロジン酸、ロジン酸ナト
リウムおよびロジン酸カリウムから選ばれる1種または
2種以上と、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを
含みクロロプレン重合体が3〜40重量%のゲル分を含
み、ゾルの重量平均分子量が40万以上であるクロロプ
レンラテックス、および(B)PH調整剤を含み、PH
が7〜10であるクロロプレンラテックス接着剤であ
る。また、本発明は、(A)クロロプレンラテックス
が、ナトリウムイオン量がラテックスの固形分あたり
0.15〜1.0重量%、カリウムイオン量がラテック
スの固形分あたり0.15〜1.0重量%であるクロロ
プレンラテックスである上記のクロロプレンラテックス
接着剤である。更に本発明は、上記のクロロプレンラテ
ックス接着剤に、粘着付与樹脂および/または可塑剤お
よび/または軟化剤を配合してなるクロロプレンラテッ
クス接着剤組成物である。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明にお
けるクロロプレン重合体は、2−クロロ−1,3−ブタ
ジエン(以下クロロプレンと記す)の単独重合体および
クロロプレンと共重合可能な他の単量体の1種以上を共
重合して得られる共重合体である。
【0010】本発明におけるクロロプレンと共重合可能
な単量体としては、例えば2,3−ジクロロ−1,3−
ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、ブタジ
エン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、アク
リル酸及びそのエステル類、メタクリル酸及びそのエス
テル類等が挙げられ、必要に応じてこれらを2種以上用
いてもかまわない。
【0011】本発明におけるクロロプレン重合体のゲル
分とは、トルエン溶媒に不溶な成分の含有率をいい、ゾ
ルとはトルエン溶媒に可溶な成分をいう。本発明におけ
るクロロプレン重合体は、そのゲル分が3〜40重量%
の範囲にあることが好ましい。なお、ゲル分は下記の方
法で求めることが出来る。クロロプレン重合体ラテック
スを凍結乾燥し重量をAとする、23℃で20時間トル
エンに溶解(0.6重量%に調整)し、遠心分離機を使
用し、更に200メッシュの金網を用いて不溶分すなわ
ちゲルを分離する。ゲルを分離した残りをゾルとする。
ゲルを風乾後110℃雰囲気下で、1時間乾燥し重量を
Bとする。下記の式に従ってゲル分を算出する。 ゲル分=B/A×100 (%)
【0012】また本発明においては、クロロプレン重合
体のゾル、即ちトルエン溶媒可溶成分の重量平均分子量
が重要な役割を果たし、本発明におけるクロロプレン重
合体のゾルの重量平均分子量は40万以上であることが
好ましい。重量平均分子量の好ましい範囲は45万以上
120万以下である。
【0013】本発明においてクロロプレン重合体のゲル
分、およびゾルの重量平均分子量を以上のように規定し
ているのは以下の理由による。
【0014】本発明における優れた初期接着性能の発現
は、クロロプレン重合体が分子運動性に優れたゾルを多
量に含むことによる。この為クロロプレンラテックス粒
子間および接着界面におけるクロロプレン分子鎖の融合
がすみやかに起こり、接着強度が瞬時に発現し、優れた
初期接着性能を発現することが可能となる。クロロプレ
ン重合体のゲル分が40重量%を越えると、この初期接
着性能が大幅に低下する。
【0015】一方、これまでに知られている一般的なク
ロロプレンラテックス接着剤においては、ゲル分の低い
クロロプレン重合体を使用した場合は耐熱性が劣る傾向
にあり、初期接着性と耐熱性のバランスに劣っていた。
本発明においては、クロロプレン重合体のゲル分が3〜
40重量%、ゾルの重量平均分子量を40万以上とする
ことにより、優れた初期接着性能と耐熱性のバランスが
優れたものとなる。ゲル分が3重量%未満、ゾルの重量
平均分子量が40万未満の場合には耐熱性が著しく低下
する。
【0016】なお本発明において、更に高度な初期接着
性と耐熱性のバランス化が要求される場合にはゲル分は
5〜30重量%でありかつゾルの重量分子量は50万以
上とすることが好ましい。
【0017】この様なクロロプレンラテックス接着剤を
得るには、周知の重合方法を用いて、クロロプレン重合
体のゲル分が3〜40重量%、ゾルの重量平均分子量が
40万以上となるよう調整すればよいが、高度な分子制
御が必要となるため、以下の方法で調整することが好ま
しい。
【0018】一般には、クロロプレンラテックスを得る
には、水性乳化液中でラジカル重合する方法が簡便であ
り工業的にも有利な方法である。この際に使用する乳化
剤としては、例えばロジン酸の塩類、脂肪酸の塩類、ア
ルキルベンセンスルホン酸Naなどのアルキルスルホン
酸塩、ラウリル硫酸Naなどのアルキル硫酸エステル塩
のごときアニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤、カチオ
ン系乳化剤、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子
などが挙げられる。しかし、本発明においては、重合制
御面、および初期接着性能、特に湿潤状態における接着
性能の観点から、少なくともロジン酸および/またはロ
ジン酸塩を使用することが必要であり、ロジン酸、ロジ
ン酸ナトリウムおよびロジン酸カリウムから選ばれる1
種または2種以上と、水酸化ナトリウムおよび水酸化カ
リウムとを用いる。また、ロジン酸、ロジン酸ナトリウ
ムおよびロジン酸カリウムから選ばれる1種または2種
以上をクロロプレンまたはクロロプレン及びそれと共重
合可能な単量体100重量部に対して3〜7重量部含
み、かつ水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムをナト
リウムイオン量とカリウムイオン量の合計量がロジン酸
の中和量より過剰となるように使用することが好まし
い。更に、これに上記の乳化剤の1種あるいは2種以上
を併用しても構わない。特にロジン酸とノニオン乳化剤
の併用は、ラテックスの多価イオンに対する安定性や凍
結・低温安定性を高める上で有効であり、ノニオン乳化
剤は重合時あるいは重合後に添加することが出来る。
【0019】クロロプレン重合体のゲル分、及びゾルの
分子量の制御は、連鎖移動剤の使用とその使用量、
重合温度と、さらに最終重合率の調整によって可能と
なる。
【0020】まず連鎖移動剤としては、クロロプレン重
合体の製造に一般的に用いられるものであれば特に制限
はなく、例えばn−ドデシルメルカプタンやtert−
ドデシルメルカプタン等の長鎖アルキルメルカプタン
類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドやジエチ
ルキサントゲンジスルフィド等のジアルキルキサントゲ
ンジスルフィド類、ヨードホルム等の公知の連鎖移動剤
を使用することができる。なお、ゲル分、およびゾルの
分子量制御面において長鎖アルキルメルカプタン類また
はジアルキルキサントゲンジスルフィド類の使用が好ま
しい。
【0021】次に重合触媒は、通常クロロプレンの乳化
重合に用いられる過硫酸カリウム等の加硫酸塩、第3−
ブチルヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が使用
でき、特に限定されるものではない。またアントラキノ
ンスルホン酸ナトリウムや、ホルムアミジンスルフィン
酸などを併用することでより円滑に重合反応を進めるこ
とが出来る。また重合温度については、一般のクロロプ
レンの乳化重合では0〜55℃の範囲であることが重合
制御上好ましいが、本発明におけるゲル分が3〜40重
量%、ゾルの重量平均分子量が40万以上のクロロプレ
ン重合体を得るには、30℃より低い温度で重合するこ
とが必要であり、5〜20℃の低温で行うことがより好
ましい。より低温で重合を行うことにより、ゲル分を低
く抑えかつゾルの重量平均分子量を大きくすることがで
きる。また重合温度を低くすることにより、クロロプレ
ン重合体主鎖中の1,4−トランス構造が増加し、結晶
性の高いクロロプレン重合体を得ることができる。クロ
ロプレン重合体の結晶化により、初期接着力が向上する
ほか、凝集力の高い接着剤層を得ることが可能となる。
【0022】本発明の製造方法において用いられるクロ
ロプレンまたはクロロプレン及びそれと共重合可能な単
量体の最終重合率は、80〜95%の範囲であることが
好ましく、この範囲の最終重合率とすることにより、目
的のゲル分とゾルの重量平均分子量を有するクロロプレ
ン重合体の制御が可能となる。最終重合率をこの範囲に
制御するには、フェノチアジン、ヒドロキシアミン、タ
ーシャリーブチルカテコールなどの重合停止剤を添加
し、所定の最終重合率となるよう重合を停止すればよ
い。
【0023】またこの最終重合率範囲において、目標と
するゲル分、およびゾルの分子量を達成できるよう連鎖
移動剤の添加量を調整すればよいが、例えば連鎖移動剤
としてn−ドデシルメルカプタンを使用した場合、その
使用量をクロロプレンまたはクロロプレン及びそれと共
重合可能な単量体100重量部当たり0.06〜0.1
8重量部使用し、最終重合率を80〜95%の範囲で重
合することで達成できる。
【0024】本発明において、クロロプレンラテックス
の固形分濃度は特に限定されるものではないが、45〜
65重量%の範囲にあることが好ましく、より好ましく
は50〜65重量%、更に好ましくは55〜65重量%
の範囲である。より高い固形分濃度とすることにより、
より初期接着性に優れたラテックスとなる。特に湿潤状
態における接着に対して、高固形分化による接着性能の
向上が顕著となる。なお、固形分濃度は、重合時のモノ
マー/水比あるいはモノマー分添などにより調節できる
ほか、濃縮あるいは水等の添加により希釈することで、
必要な濃度に制御することができる。濃縮の方法として
は、減圧濃縮などがあるが、特に限定するものではな
い。
【0025】また本発明においては、このような高濃度
ラテックスを取扱い易くし、また特に湿潤状態における
高度な接着性能を発現するためには、乳化剤としてロジ
ン酸を用い、更にラテックス中にナトリウムイオンとカ
リウムイオンを特定量含有することが好ましい。この際
のロジン酸の使用量としてはクロロプレンまたはクロロ
プレン及びそれと共重合可能な単量体100重量部に対
して3〜7重量部の範囲が好ましく、より好ましくは4
〜6重量部の範囲である。またラテックス中のナトリウ
ムイオン量は、ラテックスの固形分あたり0.15〜
1.0重量%、より好ましくは0.3〜1.0重量%、
更に好ましくは0.5〜1.0重量%であり、カリウム
イオン量がラテックスの固形分あたり0.15〜1.0
重量%であることが好ましい。これにより低温安定性や
放置中の層分離安定性に優れ、かつ貯蔵安定性に優れ、
更に湿潤状態での接着性能に優れたクロロプレンラテッ
クスを得ることができる。
【0026】本発明のクロロプレンラテックス接着剤に
おいては、クロロプレンラテックスに対して、クロロプ
レンラテックスにPH調整剤を添加し、PHを7〜10
とすることが必要である。このようなPH調整剤として
は、一般的な無機酸、有機酸などの酸性物質やその塩
類、アミノ酸類などの両性塩類の他、PHが10以下の
エマルジョン類や各種ラテックス類を使用することが出
来、これらの1種または2種以上を併用することが出来
る。例えば有機酸としては、酢酸、ぎ酸、グリコール
酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、マロ
ン酸、フタル酸、イソフタル酸、乳酸、酪酸、アスコル
ビン酸、コハク酸、酒石酸、アクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸、アジピン酸、シュウ酸、アビエチン酸
等が挙げられ、無機酸としてはホウ酸、リン酸、塩酸、
硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸などが挙げられ、これら有
機酸、無機酸とナトリウム、カリウム、アンモニア、ア
ミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノール
アミンとの塩類などが挙げられる。またアミノ酸類とし
ては、グリシン、グリシルグリシン、アスパラギン、ア
スパラギン酸、アラニン、フェニルアラニン、アルギニ
ン、グルタミン、グルタミン酸などが挙げられ、PH1
0以下のエマルジョンとしては、アクリル酸エステルや
メタクリル酸エステルの共重合体エマルジョンやアクリ
ル酸、メタクリル酸等を共重合したスチレン−ブタジエ
ン共重合体やクロロプレンなどのカルボキシル変性合成
ゴムラテックスなどが挙げられるが、特にこれらに限定
されるものではない。なお接着性能、ラテックスの安定
性の面ではグリシン、アラニン、フェニルアラニン、グ
ルタミン酸などのアミノ酸類やマロン酸などの有機酸が
好ましい。
【0027】また使用の際にその用途の要求特性に応じ
て、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジン樹
脂、重合ロジン樹脂、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹
脂、テルペンフェノール樹脂、C5留分系石油樹脂、C
9留分系石油樹脂、C5留分/C9留分系石油樹脂、D
CPD系石油樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン
樹脂、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂などの粘着
付与樹脂を添加することが出来る。粘着付与樹脂の添加
方法としては、接着剤組成物中に樹脂を均一に分散させ
るために、エマルジョンとしてから添加するのが好まし
い。その他酸化亜鉛など金属酸化物、炭酸カルシウムや
シリカなどの無機充填剤、ジブチルフタレートやプロセ
スオイルなどの可塑剤・軟化剤、更に各種老化防止剤や
加硫促進剤、イソシアネート類などの硬化剤、増粘剤な
どを任意に配合することができる。
【0028】本発明により得られたクロロプレンラテッ
クス接着剤は、紙、木材、布、皮革、レザー、ゴム、プ
ラスチック、フォーム、陶器、ガラス、セラミック、金
属などの同種、あるいは異種の接合接着用として好適で
ある。特に湿潤状態における接着性能に優れており、少
なくとも片面が紙、木材、布、皮革、レザー、フォーム
などの多孔質体である場合より高い接着性能が得られ
る。また接着時の施工方法に関しては、刷毛塗り、コテ
塗り、スプレー塗布、ロールコーター塗布などが可能で
あるが、スプレー塗布による方法が作業性、初期接着性
において優れている。
【0029】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、これらの実施例は本発明を限定するものでない。な
お、以下の説明における部および%は重量基準によって
示す。
【0030】実験例1 クロロプレンラテックスAの製
造 内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、水1
00部、酸価160の不均化ロジン酸5部、水酸化ナト
リウム0.8部、水酸化カリウム0.3部、ホルムアル
デヒドナフタレンスルホン酸縮合物のナトリウム塩0.
3部、亜硫酸水素ナトリウムを0.3部仕込み、溶解
後、撹拌しながらクロロプレン単量体100部とn−ド
デシルメルカプタン0.14部を加えた。過硫酸カリウ
ム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下10
℃で重合し、最終重合率が90%に達したところでフェ
ノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で
未反応単量体を除去し、クロロプレンラテックスAを得
た。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃
度が55重量%となるよう調整した。ラテックス中のナ
トリウムイオン(Naイオン)は0.63%、カリウム
イオン(Kイオン)量は0.27%となる。なおラテッ
クス中のナトリウムイオン(Naイオン)、カリウムイ
オン(Kイオン)量については、各添加剤の含有量を全
て合計し、ラテックス中の固形分に対する割合(%)と
した。
【0031】次に、このクロロプレンラテックスについ
て、表1に示した各種配合処方で接着剤を調整し、以下
の方法により接着性を評価した。 〔初期接着強度〕密度30kg/m3のウレタンフォー
ム(厚さ20mm×長さ50mm×幅50mm)を被着
体に用い、23℃雰囲気下で70g/m2の接着剤をス
プレー塗布した。塗布後23℃雰囲気中で1分間放置
後、接着剤が未乾燥の状態で2個のウレタンフォームの
接着面同士を重ね合わせ、厚さ40mmを10mmに圧
縮して5秒間保持した。その後直ちに引張り試験機(引
張り速度200mm/min)で接着面と垂直方向に引
張り試験を行い強度を測定した。 〔耐熱クリープ試験〕密度30kg/m3のウレタンフ
ォーム(厚さ50mm×長さ100mm×幅100m
m)を被着体に用い、23℃雰囲気下で70g/m2
接着剤をスプレー塗布した。塗布後23℃雰囲気中で1
分間放置後、接着剤塗布面を摘むよう(厚さ方向を折り
たたむように)に接着し、60℃雰囲気下で4時間放置
した。放置後、接着状態を保持したものを○、接着面が
開放したものを×と表示した。
【0032】また得られたクロロプレン重合体のゲル分
及びゾルの分子量を下記の方法に従い測定した。 〔ゲル分測定〕ラテックス試料を凍結乾燥し精秤してA
とした。23℃で20時間、トルエンで溶解(0.6%
に調製)し、遠心分離機を使用し、更に200メッシュ
の金網を用いてゲル分を分離した。ゲル分を風乾後11
0℃雰囲気下で、1時間乾燥し、精秤してBとした。ゲ
ル分は下式に従がって算出した。 ゲル分=B/A×100 (%)
【0033】〔分子量測定〕下記の条件でGPC測定を
行った。分子量の算出はポリスチレン換算で求めた。試
料は分離したゾルを0.1%THF溶液に調製した。 カラム:PLゲル 10μm GUARD+ PLゲル 10μm Mixed−B×3本 カラムサイズ:7.5mmφ×50mm(GUAR
D)、7.5mmφ×300mm(Mixed−B) カラム温度:35℃ 溶媒:THF、流出速度:1ml/min 検出器:SIMADZU RID−6A
【0034】クロロプレンラテックスAのゲル分は10
%、ゾル分の重量平均分子量(Mw)は66万であっ
た。
【0035】実施例1 クロロプレンラテックスAに対してPH調整剤としてグ
リシンを1部添加した。その時のラテックスPHおよび
接着物性を表1に示した。
【0036】実施例2 クロロプレンラテックスAに対してPH調整剤としてア
ラニンを1部添加した。その時のラテックスPHおよび
接着物性を表1に示した。
【0037】実施例3 クロロプレンラテックスAに対してPH調整剤としてグ
リシンを2部添加した。その時のラテックスPHおよび
接着物性を表1に示した。
【0038】実施例4 クロロプレンラテックスAに対してPH調整剤としてマ
ロン酸を2部添加した。その時のラテックスPHおよび
接着物性を表1に示した。
【0039】実施例5 クロロプレンラテックスAに対してPH調整剤としてフ
ェニルアラニンを2部添加した。その時のラテックスP
Hおよび接着物性を表1に示した。
【0040】実施例6 クロロプレンラテックスAに対してPH調整剤としてグ
リシンを5部、その他可塑剤DBPを5部添加した。そ
の時のラテックスPHおよび接着物性を表1に示した。
【0041】実施例7 クロロプレンラテックスAに対してPH調整剤としてグ
リシンを5部、その他アクリルエマルジョンであるポリ
トロンA−65(旭化成社製)を20部添加した。その
時のラテックスPHおよび接着物性を表1に示した。
【0042】比較例1 クロロプレンラテックスAをそのまま接着剤として使用
し評価した。接着物性を表1に示した。なお耐熱クリー
プについては、被着体をつまみ接着することが出来ず、
測定することが出来なかった。
【0043】比較例2 クロロプレンラテックスAに対してアクリルエマルジョ
ンであるポリトロンA−65(旭化成社製)を20部添
加した。その時のラテックスPHおよび接着物性を表1
に示した。
【0044】実施例8 クロロプレンラテックスの製造において、表2に示すよ
うに水酸化ナトリウムを0.6部、水酸化カリウムを
0.5部として、クロロプレンラテックスAと同様に製
造を行った。このラテックスに対してPH調整剤として
グリシンを1部添加し、接着物性を評価し表2に示し
た。
【0045】実施例9 クロロプレンラテックスの製造において、表2に示すよ
うに重合温度を15℃として、クロロプレンラテックス
Aと同様に製造を行った。このラテックスに対してPH
調整剤としてグリシンを1部添加し、接着物性を評価し
表2に示した。
【0046】比較例3 クロロプレンラテックスの製造において、表2に示すよ
うにn−ドデシルメルカプタンの添加量を0.04部、
重合率97%としてクロロプレンラテックスAと同様に
製造を行った。このラテックスに対してPH調整剤とし
てグリシンを1部添加し、接着物性を評価し表2に示し
た。
【0047】比較例4 クロロプレンラテックスの製造において、表2に示すよ
うにn−ドデシルメルカプタンの添加量を0.3部とし
てクロロプレンラテックスAと同様に製造を行った。こ
のラテックスに対してPH調整剤としてグリシンを1部
添加し、接着物性を評価し表2に示した。
【0048】比較例5 クロロプレンラテックスの製造において、表2に示すよ
うに水酸化ナトリウムを添加せず、水酸化カリウムを
1.5部としてクロロプレンラテックスAと同様に製造
を行った。このラテックスに対してPH調整剤としてグ
リシンを1部添加し、接着物性を評価し表2に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】以上の実施例と比較例の比較より、本発
明のクロロプレンラテックス接着剤は、初期接着性、特
に湿潤状態における接着性能に優れ、かつ耐熱性とのバ
ランスが良好なことが明かであり、本発明は合板など木
材接着、ウレタンフォームの接着、紙材などの接着に特
に好適なクロロプレンラテックス接着剤を提供すること
が出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J040 BA172 BA202 CA151 CA161 DK012 DN032 DN072 EB032 EB082 EL012 HA096 HA146 HA226 HA256 HA286 HA326 HB05 HB24 HB26 HB34 HC01 HC09 HD03 HD05 JA03 JB09 KA10 KA18 KA26 KA31 LA01 LA06 LA08 QA05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)クロロプレンまたはクロロプレン
    及びそれと共重合可能な単量体を30℃より低い温度で
    重合して得られ、ロジン酸、ロジン酸ナトリウムおよび
    ロジン酸カリウムから選ばれる1種または2種以上と、
    水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを含みクロロプ
    レン重合体が3〜40重量%のゲル分を含み、ゾルの重
    量平均分子量が40万以上であるクロロプレンラテック
    ス、および(B)PH調整剤を含み、PHが7〜10で
    あることを特徴とするクロロプレンラテックス接着剤。
  2. 【請求項2】 (A)クロロプレンラテックスが、ナト
    リウムイオン量がラテックスの固形分あたり0.15〜
    1.0重量%、カリウムイオン量がラテックスの固形分
    あたり0.15〜1.0重量%であるクロロプレンラテ
    ックスであることを特徴とする請求項1記載のクロロプ
    レンラテックス接着剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のクロロプレンラ
    テックス接着剤に、粘着付与樹脂および/または可塑剤
    および/または軟化剤を配合してなることを特徴とする
    クロロプレンラテックス接着剤組成物。
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