JP2004352921A - ポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリビニルアルコールを乳化/分散剤として乳化重合されたポリクロロプレン系ラテックス接着剤は、硬化剤を併用して2液型で用いても耐水強度、耐熱強度の向上が充分でなかった。
【解決手段】ポリビニルアルコールを乳化/分散剤として乳化重合されたポリクロロプレン系ラテックスを主成分とする主剤に、イソホロンジイソシアネートを主成分とする硬化剤を組み合わせることで、常態、耐水、耐熱接着強度に優れるポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物を与える。
【解決手段】ポリビニルアルコールを乳化/分散剤として乳化重合されたポリクロロプレン系ラテックスを主成分とする主剤に、イソホロンジイソシアネートを主成分とする硬化剤を組み合わせることで、常態、耐水、耐熱接着強度に優れるポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物を与える。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に耐熱接着強度に優れるポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物に関する。本発明の接着剤は、その優れた接着特性から、木工・建材,ラバー製スポンジ,布類,靴用材料等、種々の被着体を接着する際に有用に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリクロロプレン系接着剤としては、ポリクロロプレンを溶剤に溶解することによって製造した溶剤系の接着剤が主に使用されていた。しかし、溶剤系接着剤の場合、トルエン,酢酸エチル,メチルエチルケトン等の有機溶剤が多量に用いられていることから、作業員の安全衛生面、環境面で好ましくなかった。そのため、ポリクロロプレン水系接着剤の開発が進められてきており、幾つかの提案がなされている。これらの一つにポリビニルアルコールを乳化/分散剤として用い、かつエチレン性不飽和カルボン酸を共重合したノニオン型ポリクロロプレン系ラテックスを用いる技術(例えば特許文献1参照。)があり、特にカルボン酸を共重合させたことに伴う被着体への接着性の良さが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−303043号公報(第2頁;請求項3、第4頁;実施例1〜6)
【0004】
しかしながら、このタイプのポリクロロプレン水系接着剤であっても、実用上、耐熱強度や耐水性が不足することが往々にしてあった。これら欠点の解決策として、ポリイソシアネート類を硬化剤として用いる2液型タイプも提案されている(例えば特許文献2参照。)が、その効果は必ずしも充分とは云えないものであった。特に耐熱性については、このタイプの場合、硬化剤を用いた効果が殆ど発現しないのが実情であった。
【0005】
【特許文献2】特開2002−80807号公報(第2頁;請求項1、第4頁;実施例1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる現状を鑑み、特に耐熱強度の向上したポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリビニルアルコールを乳化/分散剤として乳化重合したポリクロロプレン系ラテックスを主成分とする主剤と、イソホロンジイソシアネートを主成分とする硬化剤とを組み合わせることによって、耐熱強度が大幅に改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、ポリビニルアルコールを乳化/分散剤として乳化重合されたポリクロロプレン系ラテックスを主成分とする主剤と、イソホロンジイソシアネートを主成分とする硬化剤からなるポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物に関するものである。
【0009】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。本発明で云うポリクロロプレン系ラテックスとは、ポリクロロプレン系重合体を水媒体中に乳化分散させたものである。ここで云うポリクロロプレン系重合体とは、2−クロロ−1,3−ブタジエン(以下クロロプレンと記す)の単独重合体、またはクロロプレンと、クロロプレンと共重合可能な単量体との共重合体とのことである。ここで云う共重合体とは、ポリクロロプレン存在下にその他の単量体をグラフト重合させた様なグラフト共重合体も含む。
【0010】
クロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸又はそのエステル類、メタクリル酸又はそのエステル類等が挙げられ、必要に応じて2種類以上用いても構わない。接着強度の観点からは、不飽和カルボン酸類、特にメタクリル酸を共重合することが好ましい。
【0011】
ポリクロロプレンの重合方法は、特に限定されるものではないが、乳化重合による方法が一般的であり、かつ簡便である。
本発明を完成させるに当たっては、ポリクロロプレンを水に分散させる必要があるが、乳化重合であれば、得られたポリクロロプレンラテックスをそのまま使用することが出来る。
【0012】
本発明のポリクロロプレン系ラテックスに用いられる乳化/分散剤はポリビニルアルコール(以下PVAと称す)に限定される。これは、PVAを用いることによって被着体との密着性が向上するためである。
なお、本発明で云うPVAとはポリビニルアルコールのホモポリマーのみならず、その共重合体(例えば、アクリルアミドとの共重合体)、あるいはこれら(共)重合体を化学修飾したもの等も含まれる。
また、PVAのケン化度は特に規定されるものではないが、好ましくは75〜90モル%、より好ましくは80〜85モル%である。
【0013】
本発明の場合、通常クロロプレンの乳化重合に使用されている各種アニオン型乳化剤、例えば、ロジン酸のアルカリ金属塩、炭素数が8〜20個のアルキルスルホネート、アルキルアリールサルフェート、ナフタリンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物等を用いた場合には、被着体との良好な密着性が得られない。
【0014】
本発明におけるポリクロロプレン系ラテックス中のPVAの添加量は、単量体の合計100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましい。0.5質量部未満の場合には乳化力が十分でなく、20質量部を超えると耐水接着力を低下させてしまう欠点がある。
【0015】
本発明におけるポリクロロプレン系ラテックスの重合温度は特に限定されるものではないが重合反応を円滑に行うために、重合温度を0〜50℃とすることが好ましく、より好ましくは30〜45℃である。
重合の開始剤としては、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、第3−ブチルヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
重合は、連鎖移動剤を用いて分子量やゲル含有量を制御することができる。ここで用いる連鎖移動剤の種類は特に限定されるものではなく、通常クロロプレンの乳化重合に使用されるものが使用できる。例えばn−ドデシルメルカプタンやtert−ドデシルメルカプタン等の長鎖アルキルメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドやジエチルキサントゲンジスルフィド等のジアルキルキサントゲンジスルフィド類、ヨードホルム等の公知の連鎖移動剤を使用することができる。
【0017】
ポリクロロプレンの重合停止剤(重合禁止剤)は特に限定するものでなく、例えば、2,6−ターシャリーブチルー4−メチルフェノール、フェノチアジン、ヒドロキシアミン等が使用できる。
【0018】
ポリクロロプレンの最終重合率は特に限定されるものではなく、任意に調節することができる。重合を途中で停止した場合、未反応のモノマーは通常脱モノマー操作によって除去されるが、その方法は特に限定されるものではない。
本発明のポリクロロプレン系ラテックスは、濃縮あるいは水等の添加で希釈することで、固形分濃度を必要な濃度に制御することができる。濃縮の方法としては減圧濃縮などがあるが、特に限定するものではない。
【0019】
本発明におけるポリクロロプレン系ラテックスの構造は特に限定されるものではないが、重合温度、重合開始剤、連鎖移動剤、重合停止剤、最終重合率、脱モノマー、濃縮条件等を適切に選定、制御することで、固形分濃度、トルエン可溶部の分子量、トルエン不溶分(ゲル含有量)等を調整することが可能である。
初期接着力と常態接着力のバランスの点からは、ポリクロロプレン系ラテックス中の(共)重合体のゲル含有量を3〜60重量%に調整することが好ましい。
【0020】
本発明には、イソホロンジイソシアネート(以下IPDI)を主成分とする硬化剤が用いられる。
硬化剤には、他種のポリイソシアネート類を併用しても良いが、耐熱性の低下を引き起こさない範囲で併用しなければならない。
硬化剤の使用量は特に限定されるものではないが、通常は0.5質量部から10質量部の範囲で用いられる。0.5質量部以下では耐熱強度の改良効果が不充分であり、10部を超えた場合接着剤層の硬化を引き起こし、接着強度を低下させる原因となることがある。
【0021】
本発明のポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物を用いる場合、硬化剤の主剤への添加は、接着剤の使用直前に行うことが好ましい。ポリイソシアネートの添加から実際に使用するまでの間に長時間が経過すると、ラテックス粘度の上昇,乳化系の破壊,接着強度改良効果の低下と云った不具合が生じることがある。
【0022】
本発明のポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物には、初期接着力,耐水接着力,粘着保持時間等の特性をより実用的にバランスするために、粘着付与樹脂を添加することができる。
水系接着剤に粘着付与樹脂を配合する場合、その種類は特に限定されるものではない。具体的には、ロジン樹脂、重合ロジン樹脂、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、C5留分系石油樹脂、C9留分系石油樹脂、C5/C9留分系石油樹脂、DCPD系石油樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂などが挙げられる。十分な初期接着力を得るためには、軟化点温度が50〜160℃の樹脂が好ましい。
【0023】
粘着付与樹脂の添加方法は特に限定されるものではないが、ラテックス組成物中に樹脂を均一に分散させるために、水性エマルジョンとしてから添加することが好ましい。
さらに粘着付与樹脂の水性エマルジョンの製法には、トルエン等の有機溶剤に溶解させたものを、乳化剤を用いて水中に乳化/分散させた後、有機溶剤を減圧しながら加熱して取り除く方法と、微粒子に粉砕して乳化/分散させる方法などがあるが、より微粒子のエマルジョンが作製できる前者が好ましい。
【0024】
本発明のポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物には、上述した以外にも要求性能に合わせて、増粘剤、金属酸化物、充填剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、消泡剤等を任意に添加することができる。
【0025】
本発明のポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物は、木工・建材,スポーツシューズ,スポンジラミネーション等種々の用途で好適に用いられるが、特に耐熱強度が要求される用途に好適に用いられる。
【0026】
以下、実施例及び比較例により本発明の効果を詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。なお、以下の説明において特に断りのない限り、部および%は質量基準で表す。
【0027】
[実験例1]
内容積3リットルの反応器を用いて、窒素雰囲気中で、水96重量部にポリビニルアルコール(PVA203:クラレ製)3.5重量部を60℃で溶解させた。このポリビニルアルコール水溶液を室温近くまで冷却した後、この中にクロロプレン単量体97重量部、メタクリル酸3重量部、オクチルメルカプタン0.4重量部を加えた。これを45℃に保持しながら亜硫酸ナトリウムと過硫酸カリウムを開始剤として重合を開始した。重合は、重合による発熱が認められなくなった点を終点とし、ポリクロロプレン系ラテックスを得た。次に、このポリクロロプレン系ラテックスに20重量%ジエタノールアミン水溶液を添加してpHを7に調製し、減圧加熱により濃縮し、固形分を50重量%になるように調製した。
【0028】
[実施例]
実験例1で得られたポリクロロプレン系ラテックス100部に対し、粘着付与樹脂エマルジョン(タマノールE−100:荒川化学製)50部を加え、2液型接着剤の主剤とした。
[試験片作製]
次に得られた主剤に硬化剤としてイソホロンジイソシアネート(DEGUSSA製)2部を加え、充分に撹拌し、接着剤組成物を調製した。
帆布(25×150mm)2枚各々に、接着剤組成物150g(固形分)/m2を刷毛で塗布し、3時間室温で乾燥した。更に接着剤組成物150g(固形分)/m2を塗布し、80℃で9分間乾燥させた。乾燥後、直ちに塗布面を貼り合わせ、ハンドローラーで圧着した。
貼り合わせた帆布を5日間室温で養生後、接着試験に供した。
【0029】
〔常態剥離強度〕
貼り合わせた帆布を用い、引張り試験機にて、室温下、引張り速度200mm/minでT型剥離強度を測定した。
〔耐水強度〕
貼り合わせた帆布を水中に2日間浸漬した。取り出した帆布の表面の水分を拭き取った後、直ちに引張り試験機を用い、室温下、引張り速度200mm/minでT型剥離強度を測定した。
〔耐熱強度〕
貼り合わせた帆布を用い、引張り試験機にて、80℃の下、引張り速度200mm/minでT型剥離強度を測定した。
〔軟化点〕
貼り合わせた帆布を、接着面が25×25mmになる様に切断し、剥離試験片を作製した。試験片を38℃に保った試験槽の中にセットし、500gのおもりを吊るした。5分間に2℃の速度で試験槽の温度を昇温し、おもりが落下した時の温度を測定した。
【0030】
[比較例1]
硬化剤を使用しなかった以外は実施例と同様に試験し、比較例1とした。
【0031】
[比較例2]
実施例で使用したイソホロンジイソシアネートの替わりに、硬化剤として水分散型ポリイソシアネートであるタケネートWD−730(三井武田ケミカル製)2部を使用した以外は実施例と同様に試験し、比較例1とした。
【0032】
[比較例3]
実施例で使用したイソホロンジイソシアネートの替わりに、硬化剤としてブロック型ポリイソシアネートであるタケネートWB−700(固形分44%;三井武田ケミカル製)4.55部を使用した以外は実施例と同様に試験し、比較例3とした。
【0033】
実施例及び比較例の試験結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
表1より明らかな如く、本発明のポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物は、良好な常態接着強度,耐水接着強度,耐熱接着強度を兼ね備えるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に耐熱接着強度に優れるポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物に関する。本発明の接着剤は、その優れた接着特性から、木工・建材,ラバー製スポンジ,布類,靴用材料等、種々の被着体を接着する際に有用に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリクロロプレン系接着剤としては、ポリクロロプレンを溶剤に溶解することによって製造した溶剤系の接着剤が主に使用されていた。しかし、溶剤系接着剤の場合、トルエン,酢酸エチル,メチルエチルケトン等の有機溶剤が多量に用いられていることから、作業員の安全衛生面、環境面で好ましくなかった。そのため、ポリクロロプレン水系接着剤の開発が進められてきており、幾つかの提案がなされている。これらの一つにポリビニルアルコールを乳化/分散剤として用い、かつエチレン性不飽和カルボン酸を共重合したノニオン型ポリクロロプレン系ラテックスを用いる技術(例えば特許文献1参照。)があり、特にカルボン酸を共重合させたことに伴う被着体への接着性の良さが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−303043号公報(第2頁;請求項3、第4頁;実施例1〜6)
【0004】
しかしながら、このタイプのポリクロロプレン水系接着剤であっても、実用上、耐熱強度や耐水性が不足することが往々にしてあった。これら欠点の解決策として、ポリイソシアネート類を硬化剤として用いる2液型タイプも提案されている(例えば特許文献2参照。)が、その効果は必ずしも充分とは云えないものであった。特に耐熱性については、このタイプの場合、硬化剤を用いた効果が殆ど発現しないのが実情であった。
【0005】
【特許文献2】特開2002−80807号公報(第2頁;請求項1、第4頁;実施例1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる現状を鑑み、特に耐熱強度の向上したポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリビニルアルコールを乳化/分散剤として乳化重合したポリクロロプレン系ラテックスを主成分とする主剤と、イソホロンジイソシアネートを主成分とする硬化剤とを組み合わせることによって、耐熱強度が大幅に改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、ポリビニルアルコールを乳化/分散剤として乳化重合されたポリクロロプレン系ラテックスを主成分とする主剤と、イソホロンジイソシアネートを主成分とする硬化剤からなるポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物に関するものである。
【0009】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。本発明で云うポリクロロプレン系ラテックスとは、ポリクロロプレン系重合体を水媒体中に乳化分散させたものである。ここで云うポリクロロプレン系重合体とは、2−クロロ−1,3−ブタジエン(以下クロロプレンと記す)の単独重合体、またはクロロプレンと、クロロプレンと共重合可能な単量体との共重合体とのことである。ここで云う共重合体とは、ポリクロロプレン存在下にその他の単量体をグラフト重合させた様なグラフト共重合体も含む。
【0010】
クロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸又はそのエステル類、メタクリル酸又はそのエステル類等が挙げられ、必要に応じて2種類以上用いても構わない。接着強度の観点からは、不飽和カルボン酸類、特にメタクリル酸を共重合することが好ましい。
【0011】
ポリクロロプレンの重合方法は、特に限定されるものではないが、乳化重合による方法が一般的であり、かつ簡便である。
本発明を完成させるに当たっては、ポリクロロプレンを水に分散させる必要があるが、乳化重合であれば、得られたポリクロロプレンラテックスをそのまま使用することが出来る。
【0012】
本発明のポリクロロプレン系ラテックスに用いられる乳化/分散剤はポリビニルアルコール(以下PVAと称す)に限定される。これは、PVAを用いることによって被着体との密着性が向上するためである。
なお、本発明で云うPVAとはポリビニルアルコールのホモポリマーのみならず、その共重合体(例えば、アクリルアミドとの共重合体)、あるいはこれら(共)重合体を化学修飾したもの等も含まれる。
また、PVAのケン化度は特に規定されるものではないが、好ましくは75〜90モル%、より好ましくは80〜85モル%である。
【0013】
本発明の場合、通常クロロプレンの乳化重合に使用されている各種アニオン型乳化剤、例えば、ロジン酸のアルカリ金属塩、炭素数が8〜20個のアルキルスルホネート、アルキルアリールサルフェート、ナフタリンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物等を用いた場合には、被着体との良好な密着性が得られない。
【0014】
本発明におけるポリクロロプレン系ラテックス中のPVAの添加量は、単量体の合計100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましい。0.5質量部未満の場合には乳化力が十分でなく、20質量部を超えると耐水接着力を低下させてしまう欠点がある。
【0015】
本発明におけるポリクロロプレン系ラテックスの重合温度は特に限定されるものではないが重合反応を円滑に行うために、重合温度を0〜50℃とすることが好ましく、より好ましくは30〜45℃である。
重合の開始剤としては、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、第3−ブチルヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
重合は、連鎖移動剤を用いて分子量やゲル含有量を制御することができる。ここで用いる連鎖移動剤の種類は特に限定されるものではなく、通常クロロプレンの乳化重合に使用されるものが使用できる。例えばn−ドデシルメルカプタンやtert−ドデシルメルカプタン等の長鎖アルキルメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドやジエチルキサントゲンジスルフィド等のジアルキルキサントゲンジスルフィド類、ヨードホルム等の公知の連鎖移動剤を使用することができる。
【0017】
ポリクロロプレンの重合停止剤(重合禁止剤)は特に限定するものでなく、例えば、2,6−ターシャリーブチルー4−メチルフェノール、フェノチアジン、ヒドロキシアミン等が使用できる。
【0018】
ポリクロロプレンの最終重合率は特に限定されるものではなく、任意に調節することができる。重合を途中で停止した場合、未反応のモノマーは通常脱モノマー操作によって除去されるが、その方法は特に限定されるものではない。
本発明のポリクロロプレン系ラテックスは、濃縮あるいは水等の添加で希釈することで、固形分濃度を必要な濃度に制御することができる。濃縮の方法としては減圧濃縮などがあるが、特に限定するものではない。
【0019】
本発明におけるポリクロロプレン系ラテックスの構造は特に限定されるものではないが、重合温度、重合開始剤、連鎖移動剤、重合停止剤、最終重合率、脱モノマー、濃縮条件等を適切に選定、制御することで、固形分濃度、トルエン可溶部の分子量、トルエン不溶分(ゲル含有量)等を調整することが可能である。
初期接着力と常態接着力のバランスの点からは、ポリクロロプレン系ラテックス中の(共)重合体のゲル含有量を3〜60重量%に調整することが好ましい。
【0020】
本発明には、イソホロンジイソシアネート(以下IPDI)を主成分とする硬化剤が用いられる。
硬化剤には、他種のポリイソシアネート類を併用しても良いが、耐熱性の低下を引き起こさない範囲で併用しなければならない。
硬化剤の使用量は特に限定されるものではないが、通常は0.5質量部から10質量部の範囲で用いられる。0.5質量部以下では耐熱強度の改良効果が不充分であり、10部を超えた場合接着剤層の硬化を引き起こし、接着強度を低下させる原因となることがある。
【0021】
本発明のポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物を用いる場合、硬化剤の主剤への添加は、接着剤の使用直前に行うことが好ましい。ポリイソシアネートの添加から実際に使用するまでの間に長時間が経過すると、ラテックス粘度の上昇,乳化系の破壊,接着強度改良効果の低下と云った不具合が生じることがある。
【0022】
本発明のポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物には、初期接着力,耐水接着力,粘着保持時間等の特性をより実用的にバランスするために、粘着付与樹脂を添加することができる。
水系接着剤に粘着付与樹脂を配合する場合、その種類は特に限定されるものではない。具体的には、ロジン樹脂、重合ロジン樹脂、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、C5留分系石油樹脂、C9留分系石油樹脂、C5/C9留分系石油樹脂、DCPD系石油樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂などが挙げられる。十分な初期接着力を得るためには、軟化点温度が50〜160℃の樹脂が好ましい。
【0023】
粘着付与樹脂の添加方法は特に限定されるものではないが、ラテックス組成物中に樹脂を均一に分散させるために、水性エマルジョンとしてから添加することが好ましい。
さらに粘着付与樹脂の水性エマルジョンの製法には、トルエン等の有機溶剤に溶解させたものを、乳化剤を用いて水中に乳化/分散させた後、有機溶剤を減圧しながら加熱して取り除く方法と、微粒子に粉砕して乳化/分散させる方法などがあるが、より微粒子のエマルジョンが作製できる前者が好ましい。
【0024】
本発明のポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物には、上述した以外にも要求性能に合わせて、増粘剤、金属酸化物、充填剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、消泡剤等を任意に添加することができる。
【0025】
本発明のポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物は、木工・建材,スポーツシューズ,スポンジラミネーション等種々の用途で好適に用いられるが、特に耐熱強度が要求される用途に好適に用いられる。
【0026】
以下、実施例及び比較例により本発明の効果を詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。なお、以下の説明において特に断りのない限り、部および%は質量基準で表す。
【0027】
[実験例1]
内容積3リットルの反応器を用いて、窒素雰囲気中で、水96重量部にポリビニルアルコール(PVA203:クラレ製)3.5重量部を60℃で溶解させた。このポリビニルアルコール水溶液を室温近くまで冷却した後、この中にクロロプレン単量体97重量部、メタクリル酸3重量部、オクチルメルカプタン0.4重量部を加えた。これを45℃に保持しながら亜硫酸ナトリウムと過硫酸カリウムを開始剤として重合を開始した。重合は、重合による発熱が認められなくなった点を終点とし、ポリクロロプレン系ラテックスを得た。次に、このポリクロロプレン系ラテックスに20重量%ジエタノールアミン水溶液を添加してpHを7に調製し、減圧加熱により濃縮し、固形分を50重量%になるように調製した。
【0028】
[実施例]
実験例1で得られたポリクロロプレン系ラテックス100部に対し、粘着付与樹脂エマルジョン(タマノールE−100:荒川化学製)50部を加え、2液型接着剤の主剤とした。
[試験片作製]
次に得られた主剤に硬化剤としてイソホロンジイソシアネート(DEGUSSA製)2部を加え、充分に撹拌し、接着剤組成物を調製した。
帆布(25×150mm)2枚各々に、接着剤組成物150g(固形分)/m2を刷毛で塗布し、3時間室温で乾燥した。更に接着剤組成物150g(固形分)/m2を塗布し、80℃で9分間乾燥させた。乾燥後、直ちに塗布面を貼り合わせ、ハンドローラーで圧着した。
貼り合わせた帆布を5日間室温で養生後、接着試験に供した。
【0029】
〔常態剥離強度〕
貼り合わせた帆布を用い、引張り試験機にて、室温下、引張り速度200mm/minでT型剥離強度を測定した。
〔耐水強度〕
貼り合わせた帆布を水中に2日間浸漬した。取り出した帆布の表面の水分を拭き取った後、直ちに引張り試験機を用い、室温下、引張り速度200mm/minでT型剥離強度を測定した。
〔耐熱強度〕
貼り合わせた帆布を用い、引張り試験機にて、80℃の下、引張り速度200mm/minでT型剥離強度を測定した。
〔軟化点〕
貼り合わせた帆布を、接着面が25×25mmになる様に切断し、剥離試験片を作製した。試験片を38℃に保った試験槽の中にセットし、500gのおもりを吊るした。5分間に2℃の速度で試験槽の温度を昇温し、おもりが落下した時の温度を測定した。
【0030】
[比較例1]
硬化剤を使用しなかった以外は実施例と同様に試験し、比較例1とした。
【0031】
[比較例2]
実施例で使用したイソホロンジイソシアネートの替わりに、硬化剤として水分散型ポリイソシアネートであるタケネートWD−730(三井武田ケミカル製)2部を使用した以外は実施例と同様に試験し、比較例1とした。
【0032】
[比較例3]
実施例で使用したイソホロンジイソシアネートの替わりに、硬化剤としてブロック型ポリイソシアネートであるタケネートWB−700(固形分44%;三井武田ケミカル製)4.55部を使用した以外は実施例と同様に試験し、比較例3とした。
【0033】
実施例及び比較例の試験結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
表1より明らかな如く、本発明のポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物は、良好な常態接着強度,耐水接着強度,耐熱接着強度を兼ね備えるものである。
Claims (2)
- ポリビニルアルコールを乳化/分散剤として乳化重合されたポリクロロプレン系ラテックスを主成分とする主剤と、イソホロンジイソシアネートを主成分とする硬化剤からなるポリクロロプレン2液型水系接着剤組成物。
- 請求項1のポリクロロプレン2液型水系接着剤において、ポリクロロプレン系ラテックスが、クロロプレンとカルボキシル基含有エチレン系単量体の共重合体よりなる水系接着剤。
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