JP2001012550A - 捩り振動ダンパ - Google Patents

捩り振動ダンパ

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JP2001012550A
JP2001012550A JP11188522A JP18852299A JP2001012550A JP 2001012550 A JP2001012550 A JP 2001012550A JP 11188522 A JP11188522 A JP 11188522A JP 18852299 A JP18852299 A JP 18852299A JP 2001012550 A JP2001012550 A JP 2001012550A
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hub
mass
torsional vibration
fluid
elastic
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JP11188522A
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English (en)
Inventor
Masami Hasegawa
雅己 長谷川
Tsutomu Kano
努 鹿野
Hisao Futamata
久夫 二又
Takayuki Yanase
貴之 柳瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nok Vibracoustic Co Ltd
Original Assignee
Nok Vibracoustic Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 捩り振動に対する高減衰を得ることのできる
捩り振動ダンパを提供する。 【解決手段】 ハブ1と、その外周側に同心的に離間配
置された環状の質量体2と、ハブ1のリム部12の外周
面に軸方向適当な間隔をもって圧入嵌着される一対のス
リーブ4,4と質量体2の内周面との間に加硫成形され
た一対の弾性体3,3とからなる。弾性体3,3の間に
は、円周方向に連続した流体封入室Sが画成されてお
り、この流体封入室Sにはシリコンオイル等の粘性流体
5が封入されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸、例えばエ
ンジンのクランク軸の主に捩り振動を吸収する捩り振動
ダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等のエンジンにおいては、ピスト
ンの往復運動をクランクにより回転運動に変換している
ため、クランク軸には、回転に伴って捩り振動(回転方
向の振動)が生じる。そして、このような捩り振動を有
効に吸収するために、エンジンのクランク室から突出し
た前記クランク軸の軸端には、捩り振動ダンパが装着さ
れる。
【0003】捩り振動ダンパとしては、エンジンのクラ
ンク軸の軸端に取り付けられるハブと、その外周に同心
的に配置された環状の質量体とを、環状のエラストマか
らなる弾性体を介して弾性的に連結した構造を有するト
ーショナルダンパが知られている。この種のトーショナ
ルダンパは、前記質量体と弾性体からなる共振系が、ハ
ブを介して入力されるクランク軸の捩り振動の振動変位
に対して異なる位相角で共振することによって制振機能
を発揮し、弾性体が繰り返し変形を受けることによる内
部摩擦によって減衰力を得るものである。
【0004】ところが、エラストマからなる弾性体のみ
による振動減衰性能には限界があるため、大きな捩り振
動に対する低減を十分に行えない場合があり、弾性体の
受ける変形が大きくなって破損するおそれも考えられ
る。そこで従来、エラストマからなる弾性体の減衰機能
に加え、粘性流体の粘性抵抗によって、高減衰を得るこ
とのできる、いわゆるビスカスラバーダンパ(典型的な
従来技術としては、例えば実開平2−43545号公報
参照)が開発されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術によるビスカスラバーダンパにおいては、ハブ、質量
体及び弾性体の間に粘性流体を封入する流体室(隙間)
を画成するための構成が極めて複雑であり、多数の部品
の組み合わせからなるため大型化し、しかも製造コスト
が著しく高いものであった。
【0006】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たもので、その主な技術的課題とするところは、粘性流
体の粘性抵抗を利用して捩り振動に対する高減衰を得る
ことができ、かつ構造の簡素な捩り振動ダンパを提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した技術的課題を有
効に解決するための手段として、本発明に係る捩り振動
ダンパは、回転軸に取り付けられるハブと、このハブと
同心的に配置された環状の質量体と、前記ハブと質量体
とを弾性的に連結するエラストマからなる複数の弾性体
とを備え、前記ハブ、質量体及び複数の弾性体の間に、
粘性流体を封入した流体封入室が画成されている。そし
て、この構成において付加される一層好ましい構成とし
ては、複数の質量体を備え、各質量体がそれぞれ弾性体
を介して前記ハブに連結され、前記流体封入室が前記ハ
ブ、複数の質量体及び複数の弾性体及び前記複数の質量
体間に介在された密封手段により画成される。また、他
の好ましい構成としては、前記ハブ及び質量体にそれぞ
れ互いに対応する螺旋状に延びる凹凸条が形成され、こ
の凹凸条が前記流体封入室を介して互いに遊嵌される。
【0008】また、他の解決手段としては、回転軸に取
り付けられるハブと、このハブと同心的に配置された環
状の質量体と、前記ハブと質量体とを弾性的に連結する
エラストマからなる弾性体とを備え、前記弾性体とハブ
又は質量体にそれぞれ互いに対応する螺旋状に延びる凹
凸条が形成され、双方の凹凸条間に、粘性流体を封入し
た流体封入室が画成される。
【0009】本発明の捩り振動ダンパは、エラストマか
らなる弾性体を流体封入室の形成手段としたことによっ
て、簡素な構造とすることができるものである。質量体
と弾性体は、所定の捩り方向固有振動数を有する共振系
を構成し、共振による動的制振機能を発揮する。一方、
流体封入室に封入された粘性流体は、剪断を受けた時の
粘性抵抗によって振動に対する減衰力を発生する。特
に、前記流体封入室が、複数の質量体間に延びる構成と
したり、あるいは互いに遊嵌された螺旋状の凹凸条間に
形成されることによって、前記粘性流体の接触面積を増
大させることができる。また、前記螺旋状の凹凸条は、
弾性体の嵌合面における滑りを有効に防止することがで
きる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る捩り振動ダン
パの好ましいいくつかの実施形態について、図1乃至図
7を参照しながら順次説明する。
【0011】[実施形態1]まず、図1に示す実施形態
1の捩り振動ダンパは、内周孔11においてエンジンの
クランク軸(図示省略)の軸端に取り付けられるハブ1
と、その外周側に同心的に離間配置された環状の質量体
2とを、環状のエラストマからなる一対の弾性体3,3
を介して弾性的に連結した構造を有する。ハブ1及び質
量体2は、共に鋼材等の金属からなり、質量体2の外周
面には、図示されていない補機に前記クランク軸の回転
力を伝達する無端ベルト(図示省略)を掛けるためのV
溝21が形成されている。
【0012】弾性体3,3は、ハブ1の外周部に形成さ
れたリム部12の外周面に軸方向適当な間隔をもって圧
入嵌着される一対のスリーブ4,4と、質量体2の内周
面との間に、それぞれ一体的に加硫成形されている。そ
して、これら両弾性体3,3の間には、円周方向に連続
した流体封入室Sが画成されており、この流体封入室S
には例えばシリコンオイル等の粘性流体5が封入されて
いる。
【0013】なお、粘性流体5の封入は、質量体2の内
周に弾性体3,3を介して加硫接着されたスリーブ4,
4を、例えば粘性流体が満たされた槽内でハブ1のリム
部12の外周面に圧入することによって行われる。ま
た、前記リム部12に、スリーブ4,4の内周面に密接
して粘性流体5を密封するための密封手段(図示省略)
を設けることも好適である。
【0014】この実施形態1によれば、流体封入室S
を、ハブ1と質量体2との間に、弾性体3,3で画成し
たことによって、簡素な構造となっている。質量体2と
弾性体3からなる共振系Dが、前記質量体2の慣性質量
と、前記弾性体3のばね定数とによって決まる捩り方向
固有振動数を、クランク軸の捩り振動が最大となる回転
数域に合わせて設定されている。このためクランク軸の
捩り振動が増大する回転数域において、前記共振系D
が、ハブ1を介して入力されるクランク軸の捩り振動の
振動変位に対して異なる位相角で共振し、これによって
動的吸振機能を発揮する。そしてこのとき、前記弾性体
3,3は繰り返し捩り方向への剪断変形を受けるので、
エラストマの内部摩擦による減衰力を生じる。
【0015】ハブ1と質量体2との捩り方向相対変位及
びこれに伴う弾性体3,3の捩り変形が繰り返し行われ
ると、流体封入室Sに封入された粘性流体5は、回転方
向への慣性によって、ハブ1のリム部11、質量体2の
内周面及び弾性体3,3の内側面との摩擦を生じ、剪断
を受ける。このため、粘性流体5の粘性抵抗によって大
きな減衰力を発生し、弾性体3,3による減衰力を補
う。
【0016】また、弾性体3,3が、繰り返し変形を受
けるのに伴い発生する熱等によって高温になると、その
間に介在する粘性流体5が熱膨張し、前記弾性体3,3
に強制的な変形を与える。このため、熱による弾性体
3,3のばね定数の低下が有効に抑えられ、特性の悪化
が抑制される。
【0017】図2は、クランク軸における捩り振動の大
きさを、上記実施形態1の捩り振動ダンパを装着した場
合と、流体封入室の存在しないトーショナルダンパを装
着した場合と、ダンパを装着しない場合とで比較したも
のである。この図2から明らかなように、従来のトーシ
ョナルダンパによれば、クランク軸の捩り振動が最大と
なる回転数域に合わせて固有振動数を設定することによ
って、この回転数域における捩り振動が著しく低減され
るが、これによって、その両側の回転数域には顕著な捩
り振動のピークが存在する。これに対し、上記実施形態
の構成によれば、粘性流体5の有する減衰力によって、
前記トーショナルダンパにおける捩り振動のピークを著
しく低減することができる。
【0018】[実施形態2]次に、図3に示す実施形態
2の捩り振動ダンパは、基本的には図1と同様、内周孔
11においてエンジンのクランク軸(図示省略)の軸端
に取り付けられるハブ1と、そのリム部12の外周側に
同心的に離間配置された環状の質量体2とを、環状のエ
ラストマからなる一対の弾性体3,3を介して弾性的に
連結した構造を有する。前記弾性体3,3は、前記リム
部12の外周面と質量体2の内周面との間に圧入嵌着さ
れており、前記リム部12、質量体2及び両弾性体3,
3の間に画成された、円周方向に連続した流体封入室S
には、例えばシリコンオイル等の粘性流体5が封入され
ている。
【0019】ハブ1のリム部12の外周面には、弾性体
3,3との嵌合部の間に位置して、円周方向に連続した
凸部13が形成され、これに対応して、質量体2の内周
面には、円周方向に連続した凹部22が形成されてい
る。そしてこのような形状とすることによって、ハブ1
及び質量体2に対する粘性流体5の接触面積を大きくし
てある。
【0020】上記構成によれば、先の実施形態1とほぼ
同様の作用・効果が発揮される。また、その製造に際し
ては、粘性流体が満たされた槽内で、ハブ1のリム部1
2における凸部13の軸方向両側の外周面と、質量体2
における凹部22の軸方向両側の内周面と、弾性体3,
3とを、互いに圧入嵌合することによって、前記弾性体
3,3の装着と粘性流体5の封入とを同時に行うことが
できる。また、この構成においては弾性体3,3にスリ
ーブを加硫接着するものではなく、しかも弾性体3,3
自体が粘性流体5に対する密封手段を兼ねるものである
ため、部品数の少ない簡素な構造になり、安価に製作す
ることができる。
【0021】[実施形態3]次に、図4に示す実施形態
3の捩り振動ダンパは、軸方向に並んだ二個の質量体
2,2を有するものである。すなわち、内周孔11にお
いてエンジンのクランク軸(図示省略)の軸端に取り付
けられるハブ1のリム部12の外周側に質量体2,2が
配置されており、これら各質量体2,2が、それぞれ環
状のエラストマからなる弾性体3を介して、前記リム部
12に弾性的に連結されている。前記各弾性体3,3
は、前記リム部12の外周面と各質量体2,2の内周面
との間に圧入嵌着されている。
【0022】軸方向に互いに近接対向している質量体
2,2の外周部間には、密封手段として、パッキング6
が介装されている。このパッキング6は、一方の質量体
2の端面に形成された円周溝23に収容されており、例
えばエラストマからなるOリングが適用される。
【0023】ハブ1のリム部12、一対の弾性体3,
3、一対の質量体2,2及びパッキング6によって画成
された、円周方向に連続した流体封入室Sには、例えば
シリコンオイル等の粘性流体5が封入されている。前記
質量体2,2は、弾性体3,3の軸方向弾性によって互
いに近接する方向に付勢されており、パッキング6は、
前記付勢力によって、双方の質量体2,2と適当な面圧
で密接されている。
【0024】質量体2,2の互いの対向面のうちの一方
には、パッキング6による密封部の内周側に、円周方向
に連続又は断続し軸方向に突出した凸部24が形成され
ており、他方には、前記凸部24と遊嵌される凹部25
が形成されている。このため、粘性流体5が封入された
流体封入室Sは、ラビリンス状に曲がりくねった細長い
断面形状を呈する。したがって粘性流体5の接触面積が
大きく、高減衰が得られるようになっている。
【0025】一方の質量体2及び弾性体3で構成される
共振系D1と、他方の質量体2及び弾性体3で構成され
る共振系D2の捩り方向固有振動数が互いに同一である
場合は、質量体2,2が一体物のように動作するので、
その慣性質量が大きくなり、共振による動的制振力を増
大することができる。また、質量体2,2の形状による
慣性質量の相違によって、前記共振系D1,D2の捩り
方向固有振動数が互いに異なる場合は、共振による動的
吸振が行われる回転数域を拡大することができる。そし
てこの場合は、質量体2,2が互いに円周方向相対変位
することによって、その間に介在する粘性流体5が顕著
な剪断を受けるので、高減衰を得ることができる。
【0026】なお、この実施形態3において、パッキン
グ6としては図示のようなOリングのほか、例えば粘性
流体5に作用する遠心力や熱膨張による圧力増大に対処
可能なリップ型の構造のもの等、種々のシール部材が使
用可能である。
【0027】[実施形態4]図5に示す実施形態4の捩
り振動ダンパは、基本的には先の図3の実施形態と同
様、内周孔11においてエンジンのクランク軸(図示省
略)の軸端に取り付けられるハブ1のリム部12と、そ
の外周側に同心的に離間配置された環状の質量体2と
を、エラストマからなる一対の弾性体3,3を介して弾
性的に連結した構造を有する。前記弾性体3,3は、前
記リム部12における軸方向両端近傍の外周面と、質量
体2における軸方向両端近傍の内周面との間に圧入嵌着
されており、前記リム部12、質量体2及び両弾性体
3,3の間に画成された、円周方向に連続した流体封入
室Sには、例えばシリコンオイル等の粘性流体5が封入
されている。
【0028】ハブ1のリム部12は、軸方向一端12a
が、他端12bよりも大径となるように形成されてお
り、その外周面には、弾性体3,3との嵌合部の間に位
置して、螺旋状に延びる凹凸条14が形成されている。
一方、質量体2の内周面には、前記弾性体3,3との嵌
合部の間に位置して、前記凹凸条14と対応する螺旋状
に延びる凹凸条26が形成されている。そして前記凹凸
条14,26は、互いに隙間をもって弛く螺合してお
り、粘性流体5が封入された流体封入室Sは、この凹凸
条14,26の間に位置して形成されている。
【0029】ハブ1のリム部12における弾性体3,3
との嵌合面は、その軸方向中間部が隆起した形状をな
し、質量体2における弾性体3,3との嵌合面は、その
軸方向中間部が前記隆起形状に対応して外周側へ凹んだ
形状をなす。このため、弾性体3,3は断面形状が緩や
かに蛇行した状態で前記嵌合面間に圧入されており、こ
れによってハブ1と質量体2の間からの脱落が防止され
ている。
【0030】この図5に示された実施形態4の構成によ
れば、基本的には上述の各実施形態によるものと同様、
質量体2と弾性体3,3からなる共振系が、特定の回転
数域において、入力されるクランク軸の捩り振動の振動
変位に対して、異なる位相角で共振することによって動
的吸振機能を発揮すると共に、弾性体3の内部摩擦によ
る減衰力を生じる。一方、流体封入室Sに封入された粘
性流体5は、回転方向への慣性によって、ハブ1の凹凸
条14及び質量体2の凹凸条26の表面で摩擦を受ける
が、前記凹凸条14,26によって接触面積が大きく、
かつ流体封入室Sにおける径方向隙間が狭いものとなっ
ているため、粘性流体5の粘性抵抗による大きな減衰力
を発生する。
【0031】流体封入室Sを挟んで対向するハブ1側の
凹凸条14と質量体2側の凹凸条26は、螺旋状に延び
ているため、捩り振動の入力によってハブ1と質量体2
に繰り返し円周方向相対変位を生じると、その振動の半
周期では、図6(A)に示されるように、凹凸条14,
26の一側の対向面同士が近接し、次の半周期では図6
(B)に示されるように、凹凸条14,26の他側の対
向面同士が近接する。このため粘性流体5は、図中多数
の矢印で示されるように、ハブ1と質量体2の繰り返し
円周方向相対変位に伴って、流体封入室S内を前記凹凸
条14,26の対向面間の距離が狭まる側から拡大する
側へ向けて強制的に反復流動させられることになり、こ
の時の粘性抵抗によっても顕著な減衰を生じる。
【0032】また、ハブ1と質量体2の円周方向相対変
位が所定の変位量に達すると、その時点で、凹凸条1
4,26の互いに近接する対向面同士が接触するので、
前記変位量がそれ以上に増大することはない。すなわ
ち、凹凸条14,26はハブ1と質量体2の過大な相対
変位を防止するストッパとしての機能を併せ持つもので
ある。したがって、軸方向両側の弾性体3,3の過大変
形や、ハブ1のリム部12の外周面又は質量体2の内周
面と弾性体3,3との嵌合面に円周方向の滑りが発生す
るのを有効に防止することができる。
【0033】[実施形態5]図7に示す実施形態5の捩
り振動ダンパも、基本的には、内周孔11においてエン
ジンのクランク軸(図示省略)の軸端に取り付けられる
ハブ1のリム部12と、その外周側に同心的に離間配置
された環状の質量体2とを、エラストマからなる弾性体
3を介して弾性的に連結した構造を有するものである。
前記弾性体3は、前記リム部12の外周面に加硫接着等
により一体化されており、質量体2とは適当な締め代を
もって螺合されている。
【0034】すなわち弾性体3の外周面には螺旋状に連
続して延びる凹凸条31が形成されており、質量体2の
内周面には前記凹凸条31と対応する凹凸条27が形成
されており、両者は互いに適当な締め代をもって螺合さ
れている。そして、前記凹凸条31,27の互いに対向
する両側面間にはそれぞれ流体封入室S,Sが画成され
ており、この流体封入室Sには、例えばシリコンオイル
等の粘性流体5が封入されている。
【0035】なお、流体封入室Sは互いに二重螺旋をな
すように延びているが、その延長方向末端は、質量体2
及び弾性体3の軸方向一端近傍で行き止まりとなってお
り、すなわち質量体2の一端内周面28と弾性体3の一
端外周面32は、全周が互いに適当な締め代をもって密
接している。また、質量体2と弾性体3の他方の端面2
a,3aに達する前記流体封入室S,Sの端部において
も、質量体2と弾性体3同士が互いに密接している。そ
して、このような構造によって粘性流体5が密封されて
いる。
【0036】この図7に示された実施形態5の構成によ
れば、質量体2と弾性体3からなる共振系が、特定の回
転数域において、入力されるクランク軸の捩り振動の振
動変位に対して、異なる位相角で共振することによって
動的吸振機能を発揮すると共に、弾性体3の内部摩擦に
よる減衰力を生じ、これに伴って、流体封入室Sに封入
された粘性流体5が剪断を受け、粘性流体5の粘性抵抗
による大きな減衰力を発生する。
【0037】また、凹凸条27,31は螺旋状をなすた
め、先の図5における実施形態と同様、弾性体3と質量
体2との嵌合面に円周方向の滑りが発生するのを防止す
るためのストッパとして機能する。
【0038】また、この実施形態5による捩り振動ダン
パは、一個のハブ1、一個の質量体2及び一個の弾性体
3のみで構成され、弾性体3が共振系のばね手段、流体
封入室Sを形成する手段、弾性体3と質量体2との滑り
防止手段及び粘性流体5に対する密封手段を兼ねている
ため、部品数が少ない簡素な構造となり、しかも小型化
が可能で、安価に製作することができる。
【0039】なお、図7に示された構成とは逆に、弾性
体3を質量体2の内周面に一体的に接着し、この弾性体
3の内周面及びハブ1のリム部12の外周面に互いに対
応する螺旋状に延びる凹凸条を設けて、このハブ1と弾
性体3との間に、前記凹凸条による流体封入室を形成し
ても良い。
【0040】
【発明の効果】本発明の捩り振動ダンパによると、共振
系の動的制振機能及び弾性体の変形時の内部摩擦による
減衰力に加えて、流体封入室に封入された粘性流体の粘
性抵抗によって、高減衰を得るものであり、エラストマ
からなる弾性体を流体封入室の形成手段としたことによ
って、構造の簡素化、小型化及び低コスト化を実現する
ことができる。しかも、前記流体封入室が、ラビリンス
状の断面形状に形成され、あるいは互いに遊嵌された螺
旋状の凹凸条間に形成されることによって、前記粘性流
体の接触面積を増大させると共に、弾性体の嵌合面にお
ける滑りを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る捩り振動ダンパを、
軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。
【図2】捩り振動低減性能を従来技術と比較して示す線
図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る捩り振動ダンパを、
軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。
【図4】本発明の実施形態3に係る捩り振動ダンパを、
軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。
【図5】本発明の実施形態4に係る捩り振動ダンパを、
軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。
【図6】上記実施形態4における凹凸条の作用を示す説
明図である。
【図7】本発明の実施形態5に係る捩り振動ダンパを、
軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。
【符号の説明】
1 ハブ 11 内周孔 12 リム部 13,24 凸部 14,26,27,31 凹凸条 2 質量体 21 V溝 22,25 凹部 23 円周溝 28 一端内周面 3 弾性体 32 一端外周面 4 スリーブ 5 粘性流体 6 パッキング(密封手段) D,D1,D2 共振系 S 流体封入室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鹿野 努 神奈川県藤沢市辻堂新町4−3−1 エ ヌ・オー・ケー・メグラスティック株式会 社内 (72)発明者 二又 久夫 神奈川県藤沢市辻堂新町4−3−1 エ ヌ・オー・ケー・メグラスティック株式会 社内 (72)発明者 柳瀬 貴之 神奈川県藤沢市辻堂新町4−3−1 エ ヌ・オー・ケー・メグラスティック株式会 社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に取り付けられるハブ(1)と、 このハブ(1)と同心的に配置された環状の質量体
    (2)と、 前記ハブ(1)と質量体(2)とを弾性的に連結するエ
    ラストマからなる複数の弾性体(3)とを備え、 前記ハブ(1)、質量体(2)及び複数の弾性体(3,
    3)の間に、粘性流体(5)を封入した流体封入室
    (S)が画成されたことを特徴とする捩り振動ダンパ。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、 複数の質量体(2)を備え、 各質量体(2)がそれぞれ弾性体(3)を介してハブ
    (1)に連結され、 流体封入室(S)がハブ(1)、前記複数の質量体
    (2)、弾性体(3)及び前記複数の質量体(2)間に
    介在された密封手段(6)により画成されたことを特徴
    とする捩り振動ダンパ。
  3. 【請求項3】 請求項1の記載において、 ハブ(1)及び質量体(2)にそれぞれ互いに対応する
    螺旋状に延びる凹凸条(14,26)が形成され、 この凹凸条(14,26)が流体封入室(S)を介して
    互いに遊嵌されたことを特徴とする捩り振動ダンパ。
  4. 【請求項4】 回転軸に取り付けられるハブ(1)と、 このハブ(1)と同心的に配置された環状の質量体
    (2)と、 前記ハブ(1)と質量体(2)とを弾性的に連結するエ
    ラストマからなる弾性体(3)とを備え、 前記弾性体(3)とハブ(1)又は質量体(2)にそれ
    ぞれ互いに対応する螺旋状に延びる凹凸条(31,2
    7)が形成され、 双方の凹凸条(31,27)間に、粘性流体(5)を封
    入した流体封入室(S)が画成されたことを特徴とする
    捩り振動ダンパ。
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