JP2004162768A - トルク変動吸収ダンパ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】動的吸振部2の第一弾性体22及びカップリング部3の第二弾性体32が、ハブ1に取り付けられた中間リング4に接着されているため、動的吸振部2及びカップリング部3を、中間リング4を介して連続した一つの成形体として製作することができる。また、第二弾性体32が、円周方向複数のすぐり部32aを有することによって、径方向肉厚を増大することなく低ばね定数とすることができ、すぐり部32aによって放熱面積を増大させることができる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関等における駆動軸から他の回転機器へトルクを伝達すると共にそのトルクの変動を吸収するトルク変動吸収ダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の内燃機関からの駆動力の一部は、クランクシャフトの先端に設けられたプーリから無端ベルトを介して例えばオルタネータやウォーターポンプ等の補機に与えられるが、クランクシャフトは内燃機関の各行程によるトルク変動を伴って回転されるので、前記プーリにはトルク変動を吸収して伝達トルクの平滑化を図るためのトルク変動吸収ダンパが用いられる。
【0003】
従来の技術によるこの種のトルク変動吸収ダンパとしては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−208134(第1図)
【0005】
この特許文献1に記載されたトルク変動吸収ダンパは、ハブの外周にベアリングを介してプーリが同心的かつ円周方向相対変位可能に配置され、前記ハブに固定された内周スリーブに第一弾性体を介して環状質量体を弾性的に連結した動的吸振部と、前記内周スリーブと、前記プーリに圧入された外周スリーブとを第二弾性体を介して弾性的に連結したカップリング部とを具える。そして、第一弾性体と環状質量体で構成される動的吸振部が、所定の振動数域において捩り方向へ共振することによる動的吸振効果によって、クランクシャフトの捩り振動を低減すると共に、クランクシャフトからハブへ入力された駆動トルクを、第二弾性体の捩り方向剪断変形作用によってトルク変動を吸収しながら、プーリへ伝達するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載された従来のトルク変動吸収ダンパによれば、プーリが第二弾性体の外周に接着された外周スリーブを圧入することによって第二弾性体と連結されているため、部品点数が多いばかりでなく、ハブへの内周スリーブの圧入と、プーリへの外周スリーブの圧入を行わなければならず、コストが高くなる問題があった。
【0007】
また、カップリング部の第二弾性体は、ハブとプーリを径方向に連結した構造となっているが、プーリの径方向寸法は制約されているため、第二弾性体の径方向肉厚を大きくすることによって第二弾性体の捩り方向ばね定数を十分に低くすることが困難であった。
【0008】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、部品点数が少なく、第二弾性体の捩り方向ばね定数を十分に低くしたトルク変動吸収ダンパを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係るトルク変動吸収ダンパは、ハブに第一弾性体を介して環状質量体を弾性的に連結した動的吸振部と、前記ハブにベアリングを介して円周方向相対変位可能に支持したプーリを前記ハブに第二弾性体を介して弾性的に連結したカップリング部とを備え、前記第一弾性体及び第二弾性体が、前記ハブに取り付けられた中間リングに接着されたものである。
【0010】
また、請求項2の発明に係るトルク変動吸収ダンパは、請求項1に記載された構成において、カップリング部の第二弾性体に、円周方向所定間隔で複数のすぐり部が形成されたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るトルク変動吸収ダンパの好ましい第一の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す断面図、図2は、図1のトルク変動吸収ダンパを分解して軸心Oを通る平面で切断して示す断面図である。なお、この形態の説明において用いられる「正面側」とは、図1における左側、すなわち車両のフロント側のことであり、「背面側」とは、図1における右側、すなわち図示されていない内燃機関が存在する側のことである。
【0012】
図1に示されるように、第一の形態のトルク変動吸収ダンパは、内燃機関のクランクシャフトの軸端に取り付けられるハブ1と、このハブ1の外周側に設けられた動的吸振部2及びカップリング部3とを備える。
【0013】
ハブ1は、内周に図示されていない内燃機関のクランクシャフトが挿通される軸孔1aが開設されたボス部11と、その正面側の端部から展開した円盤部12と、その内周寄りの位置から正面側へ突出した内筒部13と、円盤部12の外周に沿って正面側へ突出したリム部14からなり、FCあるいはアルミなどの金属材料で製作されたものである。
【0014】
ハブ1の内筒部13には、中間リング4が取り付けられている。詳しくは、この中間リング4は、鋼板等の金属板を打ち抜きプレス成形して製作されたものであって、前記内筒部13の内周面に所要の締め代をもって圧入嵌着されたスリーブ部41と、前記内筒部13の先端の正面側から外周へ円盤状に展開したフランジ部42からなる。
【0015】
動的吸振部2は、ハブ1における円盤部12の正面側かつ内筒部13の内周側空間に配置されFCなど比重の大きい金属材料で製作された環状質量体21と、この環状質量体21と前記内筒部13に圧入嵌着された中間リング4のスリーブ部41との径方向対向面間にゴム状弾性材料で加硫成形されると共に加硫接着された第一弾性体22とからなる。すなわち動的吸振部2は、環状質量体21が、第一弾性体22によって、スリーブ部41を介してハブ1の内筒部13に弾性的に連結されたものであり、この動的吸振部2の捩り方向固有振動数は、環状質量体21の円周方向慣性質量と、第一弾性体22の捩り方向剪断ばね定数によって、例えばクランクシャフトの捩れ角が最大となる所定の振動数域、言い換えればクランクシャフトの捩り方向固有振動数と合致するように同調されている。
【0016】
カップリング部3は、ハブ1にベアリング5を介して円周方向相対変位可能に支持されたプーリ31と、このプーリ31をハブ1に弾性的に連結している第二弾性体32とからなる。
【0017】
カップリング部3におけるプーリ31は、鋼板などの金属板の打ち抜きプレス成形によって製作されたものであって、外周面にポリV溝31bが形成されたプーリ本体31aと、その背面側の端部から内周側へ延びる径方向段差部31cと、その内周端部から背面側へ延びる被支持筒部31dと、更にその背面側の端部から内周側へ延びる内向きフランジ部31eと、この内向きフランジ部31eの内周端部に円周方向等間隔で形成され背面側へ屈曲突出した複数の係合突起31fとを有する。ハブ1の円盤部12には、その軸心を中心とする円弧状に延びる複数の係合孔12aが開設されており、プーリ31の係合突起31fは、それぞれこの係合孔12aに、円周方向所定のクリアランスをもって遊嵌されている。
【0018】
カップリング部3における第二弾性体32は、耐熱性、耐寒性及び機械的強度に優れたゴム状弾性材料で加硫成形されたものであって、その正面側の端部が中間リング4のフランジ部42に一体的に加硫接着されており、背面側の端部が、前記フランジ部42と軸方向に対向したプーリ31の内向きフランジ部31eに一体的に加硫接着されている。すなわちカップリング部3は、プーリ31を、第二弾性体32によって、中間リング4を介してハブ1の内筒部13に弾性的に連結した構造となっている。そして、前記第二弾性体32は、所要の径方向肉厚を有することによって、トルクを伝達するのに必要な強度が確保されると共に、中間リング4のフランジ部42及びプーリ31の内向きフランジ部31eとの連結方向(軸方向)に所要の肉厚を有することによって、動的吸振部2における第一弾性体22に比較して捩り方向ばね定数を十分に低くしてある。
【0019】
プーリ31における径方向段差部31cは、ハブ1におけるリム部14の正面側に位置しており、被支持筒部31dは、前記リム部14の内周側に位置している。ベアリング5は、PTFE等の耐摩耗性に優れた低摩擦係数の合成樹脂材料で成形されたものであって、前記径方向段差部31cとハブ1におけるリム部14の先端との間に介在されたスラスト受け部51と、前記被支持筒部31dと前記リム部14との間に介在された筒状本体部52とからなる断面L字形に形成されている。すなわち、このベアリング5は、スラスト受け部51において、ハブ1とプーリ31の相対的な軸方向の挙動を規制し、筒状本体部52において、ハブ1とプーリ31の相対的な偏心を規制した状態で、ハブ1に対してプーリ31を円周方向相対変位可能に支持している。
【0020】
上述のように、動的吸振部2における第一弾性体22は中間リング4のスリーブ部41に加硫接着され、カップリング部3における第二弾性体32は、同じ中間リング4のフランジ部42に加硫接着されていることから、動的吸振部2及びカップリング部3は、図2に示されるように、中間リング4を介して一体の加硫成形体Aを構成している。すなわち、この加硫成形体Aは、所定の金型内に、中間リング4と、環状質量体21及びプーリ31を同心的にセットして、中間リング4のスリーブ部41と環状質量体21との径方向対向面間に画成された環状のキャビティ内、及び中間リング4のフランジ部42とプーリ31の内向きフランジ部31eとの軸方向対向面間に画成された環状のキャビティ内に、それぞれ成形用未加硫ゴム材料を充填して加熱・加圧することにより、第一弾性体22及び第二弾性体32を加硫成形と同時に加硫接着したものである。
【0021】
したがって、以上の構成を具える第一の形態のトルク変動吸収ダンパは、動的吸振部2及びカップリング部3が、一つの加硫成形体Aとして同時成形されたものであるため、成形工程が一回で済み、しかも図2に示されるように、ハブ1と、ベアリング5と、加硫成形体Aとを、互いに同心的に配置して、係合突起31fと係合孔12aの位相を合わせながら、加硫成形体Aにおける中間リング4のスリーブ部41を、ハブ1の内筒部13に圧入すると共に、プーリ31の径方向段差部31c及び被支持筒部31dを、ベアリング5を介してハブ1のリム部14に嵌合させるだけで、容易に組み立てられる。したがって、嵌合工程も一回で済み、安価な製品を提供することができる。
【0022】
ハブ1とプーリ31との捩れ角が同じである場合に受ける第二弾性体32の歪は、この第二弾性体32が外周側にあるほど小さくなる。本形態によれば、第二弾性体32が動的吸振部21よりも外周側に存在するため、捩り入力に対する歪が小さく、このため第二弾性体32の耐久性が高いものとなっている。
【0023】
また、本形態によれば、ハブ1とプーリ31との捩れ角が同じである場合に受ける第二弾性体32の歪は、ハブ1とプーリ31との連結方向の肉厚、すなわち軸方向の肉厚が大きいほど小さくなるから、第二弾性体32の耐久性を確保するために、その径方向寸法を大きく取る必要がない。したがって、プーリ31の外径寸法の制約等によって、当該トルク変動吸収ダンパの径方向のサイズを大きく取れないような場合でも、ハブ1の内環12とプーリ31の内向きフランジ部31eとの軸方向距離を十分に取ることによって、第二弾性体32の優れた耐久性を確保することができる。言い換えれば、第二弾性体32の径方向寸法を大きく取る必要がないことから、環状質量体2及びプーリ4の外径寸法を小さくすることができる。
【0024】
このトルク変動吸収ダンパは、ハブ1のボス部11が、図示されていない内燃機関のクランクシャフトの軸端に装着されることによって、このクランクシャフトと共に回転される。クランクシャフトのトルクは、カップリング部3によって、ハブ1から中間リング4及び第二弾性体32を介してプーリ31へ伝達され、更に、そのプーリ本体31aのポリV溝31bに巻き掛けられたベルト(不図示)を介して、冷却ファンや、オルタネータ等の補機の回転軸に伝達される。
【0025】
内燃機関の駆動は、吸気、圧縮、爆発(膨張)及び排気の各行程を繰り返しながら行われ、ピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換しているため、クランクシャフトには、回転に伴って周期的なトルク変動を生じるが、このトルク変動は、カップリング部3における第二弾性体32が低ばねで捩り方向へ剪断変形されることによって、熱エネルギに変換されるので、ベルトへの伝達トルクが平滑化される。また、動的吸振部2は、クランクシャフトの捩り振動による捩れ角が最大となる振動数域で円周方向に共振し、その共振によるトルクは入力振動のトルクと方向が逆になるため、クランクシャフトの捩れ角のピークを有効に低減することができる。
【0026】
クランクシャフトへの取付状態では、第一弾性体22及び第二弾性体32は、ハブ1における円盤部12の正面側に位置するので、ハブ1の背面側に位置する内燃機関の輻射熱から保護される。また、第二弾性体32の外周は、プーリ31におけるプーリ本体31aとの間で、正面側へ開放された環状空間Sとなっているため、プーリ本体31aにVベルトとの摩擦によって発生する熱が効率良く放熱され、第二弾性体32とハブ1の間にも環状空間S’が存在するため、ハブ1側からの伝熱も少ないものとなる。しかも第一弾性体22及び第二弾性体32は、ハブ1の正面に位置しているため、正面側から図示されていない冷却ファンにより送られる空気に曝され、変形動作に伴う内部発熱による熱蓄積が、有効に抑制される。
【0027】
プーリ31の軸方向の挙動は、その径方向段差部31cが、第二弾性体32の軸方向圧縮弾性によって、ハブ1におけるリム部14の端面にベアリング5のスラスト受け部51を介して押し付けられることによって規制される。また、Vベルトの張力によって、プーリ31に作用する径方向の荷重は、その被支持筒部31dが、ベアリング5の筒状本体部52を介してハブ1におけるリム部14の内周面で支持されるため、プーリ31の偏心が防止される。
【0028】
大きなトルク変動の入力によって、ハブ1とプーリ31の円周方向相対変位量(捩れ角)が所定の大きさに達した場合は、プーリ31に形成された係合突起31fと、ハブ1の円盤部12に開設された係合孔12aが円周方向に干渉するので、ハブ1とプーリ31の円周方向相対変位が制限され、第二弾性体32の過大な捩り変形が防止される。
【0029】
また、何らかの原因によって、第二弾性体32が万一破損するようなことがあっても、プーリ31の内向きフランジ部31eが、ハブ1と中間リング4のフランジ部42の間に位置しているので、プーリ31の脱落が確実に防止され、係合突起31fと係合孔12aの係合状態も保持されるので、ハブ1からプーリ31への駆動トルクの伝達が継続して行われ、補機へのトルク遮断による内燃機関の停止といった事態を回避することができる。
【0030】
次に、図3は、本発明に係るトルク変動吸収ダンパの好ましい第二の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す断面図、図4は、図3のトルク変動吸収ダンパの部分的な正面図である。なお、この形態の説明において用いられる「正面側」とは、図3における左側、すなわち車両のフロント側のことであり、「背面側」とは、図3における右側、すなわち図示されていない内燃機関が存在する側のことである。
【0031】
この形態において、先に説明した図1に示される第一の形態と異なるところは、プーリ31が、その被支持筒部31dの背面端部から内周側へ延びる径方向部31e’(図1における内向きフランジ部31eに相当)と、その内周端部から正面側へ延びるスリーブ部31gを有し、中間リング4が、正面側で軸方向へコ字形に折り返された二重筒状を呈するものであって、インナースリーブ部43及びアウタースリーブ部44を有し、そのいずれか一方又は双方が、ハブ1における内筒部13に所要の締め代をもって圧入嵌着されていること、及びカップリング部3における第二弾性体32が、プーリ31におけるスリーブ部31gと、中間リング4におけるアウタースリーブ部44との互いに径方向に対向する周面間に加硫接着されており、この第二弾性体32には、複数のすぐり部32aが円周方向等間隔で形成されていることにある。
【0032】
また、ハブ1の円盤部12に開設された係合孔12aに遊嵌されて、ハブ1に対するプーリ31の円周方向相対変位を制限する係合突起31fは、プーリ31の径方向部31e’の一部を背面側へ打ち抜き屈曲させることによって形成されている。
【0033】
その他の部分の構成は、図1と同様である。したがって、この第二の形態においても、動的吸振部2及びカップリング部3の機能が第一の形態と同様であることはもちろん、動的吸振部2及びカップリング部3が、一つの加硫成形体Aとして同時成形されたことによって、成形工程が少なくなり、第一の形態と同様にして組み立てられるので、安価に提供できることや、第一弾性体22及び第二弾性体32の放熱性が良く、かつ内燃機関の輻射熱から保護されるなど、第一の形態と基本的に同様の効果を奏する。
【0034】
ここで、第二弾性体32は、動的吸振部2よりも外周側に位置しているため、円周が長く、したがって中間リング4のアウタースリーブ部44及びプーリ31のスリーブ部31gに対する十分な接着面積が確保されている。また、中間リング4のアウタースリーブ部44及びプーリ31のスリーブ部31gとの連結方向(径方向)に対する肉厚は、比較的小さく形成されているが、円周方向に複数のすぐり部32aを有することによって、低い捩り方向ばね定数を設定してあり、このため、十分なトルク変動吸収機能が確保されている。しかも、このすぐり部32aは、放熱面積を増大させると共に、正面からの空気を流通させる作用を奏するので、熱による第二弾性体32の劣化を一層確実に防止することができる。
【0035】
次に、図5は、本発明に係るトルク変動吸収ダンパの好ましい第三の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す断面図である。なお、この形態の説明において用いられる「正面側」とは、図5における左側、すなわち車両のフロント側のことであり、「背面側」とは、図5における右側、すなわち図示されていない内燃機関が存在する側のことである。
【0036】
この形態において、先に説明した図3に示される第二の形態と異なるところは、プーリ31のスリーブ部31gが、正面側で相対的に小径、背面側で相対的に大径になるテーパ状をなすように形成され、中間リング4のアウタースリーブ部44が、プーリ31のスリーブ部31gと対応する方向へ傾斜したテーパ状に形成された点にある。したがって、前記スリーブ部31gとアウタースリーブ部44の間に加硫接着された第二弾性体32も、テーパ状に形成されている。また、中間リング4は、インナースリーブ部43がハブ1の内筒部13の内周面に所要の締め代をもって圧入され、テーパ状アウタースリーブ部44と内筒部13との間は、環状空間S’となっている。
【0037】
プーリ31のスリーブ部31gは、中間リング4のアウタースリーブ部44よりも傾斜角度が大きく、このため、第二弾性体32は、大径側(背面側)ほど肉厚が大きく、捩り変形を受けた時に、単位体積あたりの歪がほぼ均一になるように考慮されている。そして、この第二弾性体32も、所要の径方向肉厚を有すると共に、先の図4のような円周方向複数のすぐり部(不図示)が形成されることによって、低い捩り方向ばね定数を設定してあり、十分なトルク変動吸収機能と放熱性が確保されている。
【0038】
その他の部分の構成は、図3と同様である。したがって、この第三の形態においても、動的吸振部2及びカップリング部3の機能が第一及び第二の形態と同様であることはもちろん、動的吸振部2及びカップリング部3が、一つの加硫成形体Aとして同時成形されたことによって、成形工程が少なくなり、第一及び第二の形態と同様にして組み立てられるので、安価に提供できることや、第一弾性体22及び第二弾性体32の放熱性が良く、かつ内燃機関の輻射熱から保護されるなど、第一及び第二の形態と基本的に同様の効果を奏する。
【0039】
この第三の形態によれば、第二弾性体32が接着された中間リング4のテーパ状アウタースリーブ部44は、ハブ1の内筒部13から離間しているので、ハブ1からの伝熱が少ない。しかも、プーリ31のスリーブ部31gもテーパ状をなすため、正面側からの空気との接触面積が大きく、かつ正面側からの風当たりも良いため、放熱性が良い。したがって、熱による第二弾性体32の劣化を有効に防止することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明に係るトルク変動吸収ダンパによれば、動的吸振部の第一弾性体及びカップリング部の第二弾性体が、ハブに取り付けられた中間リングに接着されているため、動的吸振部及びカップリング部を、中間リングを介して連続した一つの成形体として製作することができ、このため、部品数及び組立工数を削減して、安価なコストで提供することができる。
【0041】
請求項2の発明に係るトルク変動吸収ダンパによれば、カップリング部の第二弾性体が、円周方向複数のすぐり部を有することによって、径方向肉厚を増大することなく低ばね定数として、所要のトルク変動吸収効果を確保することができると共に、すぐり部によって放熱面積が増大するので、第二弾性体の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトルク変動吸収ダンパの第一の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図2】図1のトルク変動吸収ダンパを分解して、その軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図3】本発明に係るトルク変動吸収ダンパの第二の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図4】図3に示される形態の部分的な正面図である。
【図5】本発明に係るトルク変動吸収ダンパの第三の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。
【符号の説明】
1 ハブ
1a 軸孔
11 ボス部
12 円盤部
12a 係合孔
13 内筒部
14 リム部
2 動的吸振部
21 環状質量体
22 第一弾性体
3 カップリング部
31 プーリ
31a プーリ本体
31b ポリV溝
31c 径方向段差部
31d 被支持筒部
31e 内向きフランジ部
31e’ 径方向部
31f 係合突起
31g スリーブ部
32 第二弾性体
32a すぐり部
4 中間リング
41 スリーブ部
42 フランジ部
43 インナースリーブ部
44 アウタースリーブ部
5 ベアリング
51 スラスト受け部
52 筒状本体部
A 加硫成形体
S,S’ 環状空間
Claims (2)
- ハブ(1)に第一弾性体(22)を介して環状質量体(21)を弾性的に連結した動的吸振部(2)と、前記ハブ(1)にベアリング(5)を介して円周方向相対変位可能に支持したプーリ(31)を前記ハブ(1)に第二弾性体(32)を介して弾性的に連結したカップリング部(3)とを備え、前記第一弾性体(22)及び第二弾性体(32)が、前記ハブ(1)に取り付けられた中間リング(4)に接着されたことを特徴とするトルク変動吸収ダンパ。
- カップリング部(3)の第二弾性体(32)に、円周方向所定間隔で複数のすぐり部(32a)が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のトルク変動吸収ダンパ。
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