JP5831702B2 - 回転変動吸収ダンパプーリ - Google Patents

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本発明は、自動車用内燃機関のクランクシャフト等の回転軸から伝動ベルトを介して他の回転機器へトルクを伝達すると共にその回転変動を吸収してベルト駆動を平滑化する回転変動吸収ダンパプーリに関する。
自動車の内燃機関で発生する駆動力の一部は、クランクシャフトの先端に設けられたプーリから、これに巻き掛けられた伝動ベルトを介して例えばオルタネータやウォーターポンプ等の補機に与えられるが、クランクシャフトはトルク変動を伴って回転されるので、前記プーリには、トルク変動を吸収して伝達トルクの平滑化を図るためのトルク変動吸収機構が設けられる。
従来、このようなトルク変動吸収機構が設けられたクランクプーリ(回転変動吸収ダンパプーリ)としては、例えば図6に示すように、自動車用内燃機関のクランクシャフトの端部に取り付けられて一体に回転するハブ100と、このハブ100に取り付けられたダイナミックダンパ部110及びフレキシブルカップリング部120を備えるものが知られている。ダイナミックダンパ部110は、ハブ100の外筒部101と、その外周に配置した質量体112の間に、ゴム状弾性を有するダンパゴム111を介在させたものであり、カップリング部120は、内径の被支持筒部121aがハブ100の外筒部101にベアリング122を介して支持されたプーリ本体121と、ハブ100の内筒部102の外周面に嵌着されたスリーブ123と前記プーリ本体121の内径の被支持筒部121aとの間に加硫接着されたゴム状弾性を有するカップリングゴム124とからなる。
すなわち従来の回転変動吸収ダンパプーリは、ダイナミックダンパ部110が、所定の振動数域において円周方向へ共振することによる動的吸振効果によって、クランクシャフトの捩り振動を低減すると共に、クランクシャフトからハブ100へ入力された駆動トルクを、カップリングゴム124の円周方向剪断変形作用によって反復的な回転変動(伝達トルクの変動)を吸収しながらプーリ本体121へ伝達するものである(例えば下記の特許文献1参照)。
しかしながら、従来の回転変動吸収ダンパプーリは、プーリ本体121と、低ばねのカップリングゴム124によって共振点(共振周波数)の低い振動系を構成しているため、内燃機関を起動し、あるいは停止する際に、クランクシャフトの回転数の変化に伴うトルク変動の周波数の変化が、クランクシャフトの回転変動が前記共振点を通過することによってプーリ本体121が捩り方向(円周方向)へ大きく振動し、プーリ本体121と、これに巻き掛けられた伝動ベルトとの間にスリップを生じてしまう問題が指摘される。また、常用回転域で急激なトルク変動が発生した場合も、同様なベルトスリップが発生することがあった。
そしてこのようなベルトスリップを生じると、「ベルト鳴き」と呼ばれる異音が発生するばかりか、伝動ベルトの耐久性を低下させ、走行に支障を来たすなどの懸念がある。
さらには、このようなベルト鳴きには、回転に伴い伝動ベルトがプーリ本体121の外周面に巻き込まれる過程で、伝動ベルトとプーリ本体121のミスアライメントに起因して、プーリ本体121のV溝と伝動ベルトのリブのスティック−スリップによって発生する3kHz以上の高周波異音もある。
実用新案登録第2605662号
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、回転変動を吸収しながらトルクを伝達する回転変動吸収ダンパプーリにおいて、ベルトスリップやミスアライメント等によるベルト鳴きの発生を有効に防止することにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る回転変動吸収ダンパプーリは、内周部材と、その外周側にベアリングを介して前記内周部材と相対回転可能かつ軸方向相対変位可能に配置され、外周面に伝動ベルトが巻き掛けられる溝が形成されたプーリ本体とを備え、前記内周部材に、前記プーリ本体にその軸方向両側から対向する一対のフランジを設け、これら各フランジと前記プーリ本体の対向端面間に、それぞれ軸方向へ適宜圧縮された状態で一対のスプリングクラッチが介装され、このスプリングクラッチは、その軸方向一端が前記内周部材側に固定されると共に軸方向他端が前記内周部材側及び前記プーリ本体に対して非固定であり、内周部材の正方向の回転に対する前記プーリ本体の遅角差動時に前記プーリ本体側との摩擦力によって拡径される方向へコイル状に巻かれたものである。
上記構成において、プーリ本体と、その軸方向両側に位置して内周部材に設けた一対のフランジの対向端面間に介装されたスプリングクラッチは、内周部材の回転時には遠心力によって前記プーリ本体側の内周面と接触され、その摩擦力によって、拡径方向への捩り変形を生じるトルクを伝達し、縮径方向への捩り変形を生じるトルクを遮断するワンウェイクラッチ機能を奏すると共に、内周部材とプーリ本体の軸方向相対変位を許容するものである。
すなわち内周部材の正方向の回転に対するプーリ本体の遅角差動時には、一端が内周部材側に固定されたスプリングクラッチはプーリ本体側の内周面との摩擦力によって拡径するように捩り変形を受けてプーリ本体側の内周面と圧接するので、内周部材からスプリングクラッチを介してプーリ本体への正回転方向のトルク伝達が行われ、内周部材の正方向の回転に対するプーリ本体側の進角差動時には、スプリングクラッチがプーリ本体側との摩擦力によって縮径するように捩り変形を受けるので、スプリングクラッチとプーリ本体側の内周面との摩擦力が減少し、これによってプーリ本体が自由回転状態となってプーリ本体とその外周面の溝に巻き掛けられる伝動ベルトの滑りが防止される。
また、プーリ本体とその外周面の溝に巻き掛けられた伝動ベルトに互いに軸方向のミスアライメントがあった場合、回転に伴って伝動ベルトがプーリ本体の溝に咬み込まれて行く過程で、前記ミスアライメントによりプーリ本体に生じる軸方向移動が、その軸方向両側のスプリングクラッチの伸縮によって許容され、ミスアライメントが緩和される。
請求項2の発明に係る回転変動吸収ダンパプーリは、請求項1に記載の構成において、スプリングクラッチは、捩り変形を受けていない状態ではプーリ本体側の内周面より僅かに小径であることを特徴とする。
上記構成によれば、スプリングクラッチの伸縮によるプーリ本体の軸方向変位が容易に行われるため、プーリ本体とその外周面の溝に巻き掛けられた伝動ベルトとの軸方向のミスアライメントが、一層良好に緩和される。
請求項3の発明に係る回転変動吸収ダンパプーリは、請求項1又は2に記載の構成において、内周部材が、回転軸に取り付けられるハブの外周にゴム状弾性材料からなる弾性体を介して連結された質量体であることを特徴とする。
上記構成において、内周部材は、弾性体のばね定数及び質量体の慣性質量によって所定の捩り方向固有振動数を有するため、回転軸から所定振動数域の捩り振動が入力されたときに捩り方向へ共振し、回転軸の共振を動的に吸収する制振機能を発揮する。
本発明に係る回転変動吸収ダンパプーリによれば、内周部材とプーリ本体の間に介在するスプリングクラッチが、内周部材に対するプーリ本体の遅角差動時には正回転方向のトルク伝達を行い、進角差動時にはトルク伝達を遮断するといったワンウェイクラッチ作用によって、プーリ本体とその外周面の溝に巻き掛けられる伝動ベルトの滑りを防止し、この滑りに起因する耐久性の低下やベルト鳴きを有効に防止する。しかもこのスプリングクラッチが、その軸方向伸縮性によってプーリ本体の軸方向変位を許容する機能を有するので、プーリ本体とその外周面の溝に巻き掛けられた伝動ベルトとの軸方向のミスアライメントも有効に吸収することができる。
本発明に係る回転変動吸収ダンパプーリの好ましい実施の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す断面図である。 図1に示す実施の形態におけるスプリングクラッチを示す斜視図である。 図1に示す実施の形態の一部を示す断面斜視図である。 図1に示す実施の形態の他の一部を示す断面斜視図である。 図1に示す実施の形態におけるプーリ本体と伝動ベルトの軸方向ミスアライメント状態を示す斜視図である。 従来の技術による回転変動吸収ダンパプーリの一例を、軸心Oを通る平面で切断して示す断面図である。
以下、本発明に係る回転変動吸収ダンパプーリの好ましい実施の形態について図1〜図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる「正面側」とは、図1における左側、すなわち車両のフロント側のことであり、「背面側」とは、図1における右側、すなわち不図示の内燃機関が存在する側のことである。
まず図1において、参照符号1は、自動車の内燃機関のクランクシャフト(不図示)の軸端に取り付けられるハブである。このハブ1は、金属材料の鋳造等により製作されたものであって、クランクシャフトに固定される内筒部11と、この内筒部11から外径側へ展開する中間部12と、その外径端部に形成された外筒部13を有する。なお、参照符号11aは内筒部11の内周の軸孔に形成されたキー溝である。
ハブ1の外筒部13の外周側には質量体3が同心的に配置されており、前記外筒部13に、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)からなる弾性体2を介して連結されている。弾性体2は、環状(筒状)に成形した後で、ハブ1の外筒部13と質量体3の間に圧入されることによって質量体3をハブ1の外周側に連結する嵌合型のものや、あるいは質量体3とその内周に配置した不図示の金属スリーブとの間に一体成形した後、前記金属スリーブをハブ1の外筒部13の外周面に圧入することによって質量体3をハブ1の外周側に連結するブッシュ型のものなどが適用可能である。
質量体3は、金属からなるものであって、厚手の円筒状に形成された本体部31と、その正面側の端部から外径側へ鍔状に延びる正面フランジ32と、前記本体部31の背面側の端部外周面に圧入一体化された背面フランジ部材33からなる。なお、質量体3は請求項1に記載された内周部材に相当するものであり、正面フランジ32及び背面フランジ部材33は請求項1に記載されたフランジに相当するものである。
弾性体2と質量体3はばね−質量系(副振動系)を構成しており、このばね−質量系の捩り方向(円周方向)固有振動数は、質量体3の捩り方向慣性質量と弾性体2の捩り方向剪断ばね定数によって、クランクシャフトの捩り角が最大となる所定の振動数域、すなわちクランクシャフトの捩り方向共振域に同調されている。
質量体3の外周側には、ベアリング4を介してプーリ本体5が前記質量体3と相対回転可能かつ軸方向相対変位可能に配置されている。
ベアリング4は摺動性及び耐摩耗性に優れたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの合成樹脂材料からなり、円筒状に成形されている。
プーリ本体5は、内周面がベアリング4の外周面に支持された被支持部51と、この被支持部51の外周面に形成され不図示の伝動ベルトが巻き掛けられるポリV溝52と、前記被支持部51の外径部から軸方向両側へ円筒状に突出した正面カバー部53及び背面カバー部54を有する。なお、ポリV溝52は、請求項1に記載された溝に相当するものである。
質量体3における正面フランジ32の内側面は、プーリ本体5における被支持部51の正面側の端面51aと軸方向に対向しており、前記正面フランジ32の外径端部は、プーリ本体5における正面カバー部53の正面側の端部内周面と径方向に対向している。同様に、質量体3における背面フランジ部材33の内側面は、プーリ本体5における被支持部51の背面側の端面51bと軸方向に対向しており、前記背面フランジ部材33の外径端部は、プーリ本体5における背面カバー部54の背面側の端部内周面と径方向に対向している。
質量体3における正面フランジ32及び背面フランジ部材33と、プーリ本体5における被支持部51との対向端面間には、それぞれ軸方向へ適宜圧縮された状態で、図2に示すような円筒コイル状の一対のスプリングクラッチ6,7が介装されている。
このうち、正面側のスプリングクラッチ6は、軸方向一端(正面側の端部)に、内径側へ延びる係合突部6aが形成されており、この係合突部6aは、図1及び図3に示すように、質量体3における本体部31の外周面に正面フランジ32の背面側に位置して形成された環状段差部34の円周方向一カ所を切り欠いた係合切欠34aに係止され、軸方向他端(背面側の端部)は、図1に示すように質量体3及びプーリ本体5のいずれに対しても非固定で、プーリ本体5における被支持部51の正面側の端面51aと摺動可能に当接される摺動端6bとなっている。
また、背面側のスプリングクラッチ7は、軸方向一端(背面側の端部)に、内径側へ延びる係合突部7aが形成されており、この係合突部7aは、図1及び図4に示すように、質量体3における本体部31の背面側の端部外周面に圧入嵌合された背面フランジ部材33の嵌合筒部33aの円周方向一カ所を切り欠いた係合切欠33bに係止され、軸方向他端(正面側の端部)は、図1に示すように質量体3及びプーリ本体5のいずれに対しても非固定で、プーリ本体5における被支持部51の背面側の端面51bと摺動可能に当接される摺動端7bとなっている。
そして、スプリングクラッチ6,7は、その一端の係合突部6a,7aにハブ1から弾性体2及び質量体3(質量体3の環状段差部34の係合切欠34a及び背面フランジ部材33の係合切欠33b)を介して伝達される正回転方向のトルクと、摺動端6b,7bがプーリ本体5の被支持部51の軸方向両端面51a,51bと接触していることによる摩擦力によって捩り変形を受け、その捩り変形によって拡径させる方向のトルク(図2に示すR方向のトルク)を伝達し、その反対方向(捩り変形によって縮径させる方向)のトルクを遮断する、ワンウェイクラッチの機能を有するものである。
したがってこのスプリングクラッチ6,7は、係合突部6a,7aに与えられる質量体3の正方向の回転に対してプーリ本体5に遅角差動が生じた場合(質量体3の回転速度がプーリ本体5の回転速度より速くなった場合)に拡径され、質量体3の正方向の回転に対してプーリ本体5に進角差動が生じた場合(質量体3の回転速度がプーリ本体5の回転速度より遅くなった場合)に縮径されるように、螺旋の方向が設定されており、すなわちスプリングクラッチ6,7は、図2に示すように、互いに逆向きの螺旋状に巻かれている。また、このスプリングクラッチ6,7は、図1に示すように、捩り変形を受けていない状態ではプーリ本体5における正面カバー部53及び背面カバー部54の内周面より僅かに小径となっている。
以上の構成を備える回転変動吸収ダンパプーリは、ハブ1の内筒部11が不図示のクランクシャフトの軸端に装着されることによって、このクランクシャフトと共に正回転方向へ回転され、その駆動トルクを、プーリ本体5のポリV溝52に巻き掛けられた伝動ベルトを介して、冷却水循環ポンプや、オルタネータや、冷却ファン等の補機の回転軸に伝達するものである。
また、内燃機関の駆動は、吸気、圧縮、爆発(膨張)及び排気の各行程を繰り返しながら、ピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換しているため、このクランクシャフトには、回転に伴って捩り振動(回転方向の振動)を生じる。そして、クランクシャフトからハブ1へ入力される捩り振動の振動数が、クランクシャフトの振幅が極大となる振動数域(クランクシャフトの捩り方向共振域)になると、プーリ本体5及び弾性体2によって構成されるばね−質量系が、入力振動と逆位相の振動波形で共振し、すなわちその共振によるトルクは入力振動のトルクと逆方向に生じ、このような動的吸振効果(ダイナミックダンパ効果)によって、クランクシャフトの捩り振動のピークを有効に低減することができる。
また、ハブ1から弾性体2を介して質量体3へ伝達された正回転方向の駆動トルクは、更に質量体3の環状段差部34の係合切欠34a及び背面フランジ部材33の係合切欠33bを介してスプリングクラッチ6,7の係合突部6a,7aへ伝達されるので、質量体3がプーリ本体5に対して正回転方向へ先行することによって、プーリ本体5に質量体3との遅角差動を生じると、スプリングクラッチ6,7は、その摺動端6b,7bとプーリ本体5における被支持部51の軸方向両端面51a,51bとの摩擦によって、拡径されるように捩り変形を受ける。このため、スプリングクラッチ6,7は拡径によってプーリ本体5における正面カバー部53及び背面カバー部54の内周面と圧接し、その摩擦力が増大すると共に剛性が高くなるので、このスプリングクラッチ6,7を介して質量体3からプーリ本体5への正回転方向の駆動トルクの伝達が行われる。
また、正方向の回転の減速時には、プーリ本体5におけるポリV溝52に巻き掛けられた不図示の伝動ベルト及びこれによって駆動される補機が、慣性によって等速回転を継続しようとするので、質量体3に対してプーリ本体5が正回転方向へ先行する進角差動を生じる。そしてこの場合は、スプリングクラッチ6,7は、その外周面とプーリ本体5における正面カバー部53及び背面カバー部54の内周面との摩擦、及び摺動端6b,7bとプーリ本体5における被支持部51の軸方向両端面51a,51bとの摩擦によって、縮径されるように捩り変形を受ける。このため、スプリングクラッチ6,7は縮径によってプーリ本体5における正面カバー部53及び背面カバー部54の内周面との圧接状態が解除され、これによってプーリ本体5が自由回転状態となって、ポリV溝52と伝動ベルトの滑りが防止される。
そして、例えば内燃機関の起動時のように、クランキングによる反復的な回転変動が大きくなったり、あるいは既述したばね−質量系の動的吸振によって質量体3に大きな振れ回りを生じたりした場合は、質量体3に対するプーリ本体5の相対的な遅角差動と進角差動が反復的に発生することになるが、上述のように、プーリ本体5の相対的な遅角差動に対してはスプリングクラッチ6,7による正回転方向の駆動トルクの伝達が行われ、プーリ本体5の相対的な進角差動に対してはスプリングクラッチ6,7による駆動トルクの伝達が遮断されるといった、ワンウェイクラッチ動作が繰り返され、質量体3からプーリ本体5へ伝達される回転変動は半周期のみとなるので、ポリV溝52と伝動ベルトの滑りが有効に低減される。
したがって、上述のようなベルトスリップによって生じる「ベルト鳴き」の発生や、伝動ベルトの摩耗による耐久性低下を有効に防止することができる。
さらに、スプリングクラッチ6,7は、圧縮ばねとしての機能によって、プーリ本体5の被支持部51を軸方向両側から弾性的に押圧しており、その軸方向伸縮性と、プーリ本体5の軸方向変位を許容している。このため、例えば当該回転変動吸収ダンパプーリのハブ1と、不図示の補機のプーリの相対的な軸方向のずれや、クランクシャフトと補機のプーリの軸心の相対的な傾斜などによって、図5に示すように、プーリ本体5と、その外周面のポリV溝52を経由して走行する伝動ベルト10との間に軸方向のミスアライメントαがあっても、プーリ本体5の回転に伴って伝動ベルト10のリブ10aがポリV溝52へ咬み込まれて行く過程で、伝動ベルト10の張力によってプーリ本体5に軸方向変位力が与えられると、プーリ本体5はスプリングクラッチ6,7を伸縮させながら、前記ミスアライメントαを解消する方向へ、ベアリング4の外周を容易に軸方向変位することができる。
したがって、プーリ本体5の回転に伴って、伝動ベルト10のリブ10aがプーリ本体5のポリV溝52へ咬み込まれて行く過程で、ミスアライメントαに起因して、前記リブ10aがポリV溝52の内側面に強く擦れることによるスティック−スリップや、これによって生じる「ベルト鳴き」の発生及び伝動ベルト10の耐久性低下を有効に防止することができる。
1 ハブ
2 弾性体
3 質量体(内周部材)
32 正面フランジ(フランジ)
33 背面フランジ部材(フランジ)
33b,34a 係合切欠
4 ベアリング
5 プーリ本体
51 被支持部
51a,51b 端面
52 ポリV溝(溝)
53 正面カバー部
54 背面カバー部
6,7 スプリングクラッチ
6a,7a 係合突部(軸方向一端)
6b,7b 摺動端(軸方向他端)

Claims (3)

  1. 内周部材と、その外周側にベアリングを介して前記内周部材と相対回転可能かつ軸方向相対変位可能に配置され、外周面に伝動ベルトが巻き掛けられる溝が形成されたプーリ本体とを備え、前記内周部材に、前記プーリ本体にその軸方向両側から対向する一対のフランジを設け、これら各フランジと前記プーリ本体の対向端面間に、それぞれ軸方向へ適宜圧縮された状態で一対のスプリングクラッチが介装され、このスプリングクラッチは、その軸方向一端が前記内周部材側に固定されると共に軸方向他端が前記内周部材側及び前記プーリ本体に対して非固定であり、内周部材の正方向の回転に対する前記プーリ本体の遅角差動時に前記プーリ本体側との摩擦力によって拡径される方向へコイル状に巻かれたことを特徴とする回転変動吸収ダンパプーリ。
  2. スプリングクラッチは、捩り変形を受けていない状態ではプーリ本体側の内周面より僅かに小径であることを特徴とする請求項1に記載の回転変動吸収ダンパプーリ。
  3. 内周部材が、回転軸に取り付けられるハブの外周にゴム状弾性材料からなる弾性体を介して連結された質量体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転変動吸収ダンパプーリ。
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