JP5791875B2 - ダンパ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車のエンジンのクランクシャフト等、回転軸に発生する捩り振動を吸収するトーショナルダンパや、プーリにおけるトルクの変動を吸収するトルク変動吸収ダンパなど、回転部分に設けられるダンパに関する。
図8は、従来の技術によるダンパを、その軸心Oを通る平面で切断して示す断面図で、図における左側が車両のフロント側となる正面側、右側が車両の内燃機関が存在する背面側である。このダンパ(トーショナルダンパ)100は、ボス部101aが内燃機関のクランクシャフト200の軸端に取り付けられてこのクランクシャフト200と一体に回転するハブ101と、その外周側に同心的に配置された環状の質量体102と、これらハブ101と質量体102とを弾性的に連結するゴム状弾性材料からなる弾性体103とを備える。
弾性体103及び質量体102からなるばね−質量系には、所定の捩り方向固有振動数が設定されている。すなわちこのダンパ100は、クランクシャフトの捩り振幅が最大となる所定の振動周波数域において、捩り方向に加振されることによって弾性体103及び質量体102からなるばね−質量系が共振し、その振動変位によるトルクが入力振動によるトルクと逆方向へ生じることによって、動的吸振効果を発揮するものである。
また、ハブ101の背面側には環状突条101bが形成されており、この環状突条101bは、内燃機関のフロントカバー300に形成した環状凹部301に僅かな隙間をもって近接し、外部からの塵埃等がフロントカバー300の内側へ侵入するのを防止するラビリンスシールLSを構成している(例えば下記の特許文献参照)。
実開平1−116237号公報
上記構成において、ラビリンスシールLSにおける十分なシール機能を確保するには、ハブ101の環状突条101bとフロントカバー300の環状凹部301の間の隙間を可及的に小さくすることが要求される。したがってハブ101の環状突条101bは切削加工等による厳しい寸法公差が必要であり、加工コストが高くなる問題がある。しかも、内燃機関における他の構成部品の積み上げ公差によってハブ101の環状突条101bとフロントカバー300の環状凹部301の間の隙間のバラつきが大きくなり、この隙間を小さくすると環状突条101bと環状凹部301が互いに金属同士で干渉するおそれがあるので、ラビリンスシールLSの機能を高めることには限界があった。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、回転部分の振動又はトルク変動を吸収するダンパであって、非回転側部材との間にラビリンスシールを構成するものにおいて、ラビリンスシールによる十分なシール機能を確保することにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係るダンパは、回転軸と一体に回転するハブとこのハブにベアリングを介して支持されたプーリとの間に介在されてトルク変動を吸収するゴム状弾性材料からなるカップリングゴムに、非回転側部材と隙間をもって近接対向されてラビリンスシールを構成する環状突条が延在され、この環状突条は、遠心力によって前記非回転側部材との径方向対向距離が可変であることを特徴とする。なお、ここでいうゴム状弾性材料とは、ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料のことである。
本発明に係るダンパによれば、非回転側部材と隙間をもって近接対向されてラビリンスシールを構成する環状突条が、ハブとこのハブにベアリングを介して支持されたプーリとの間に介在されてトルク変動を吸収するカップリングゴムから延在されたものであるため、この環状突条はカップリングゴムの成形時に同時に成形することができるので低コストで設けられ、しかも非回転側部材と干渉しても金属接触のような問題を生じないので、非回転側部材との隙間を小さくしてラビリンスシールによるシール機能を高めることができる。
また、回転時には環状突条が遠心力によって拡径変形して非回転側部材との径方向対向距離が小さくなるのでラビリンスシール機能が高まり、停止時には環状突条と非回転側部材の径方向対向距離が広がるので、侵入した泥水等を容易に排出可能である。
本発明に係るダンパの第一の形態を、その軸心Oを通る平面で切断して示す半断面図である。 本発明に係るダンパの第二の形態を、その軸心Oを通る平面で切断して示す半断面図である。 本発明に係るダンパの第三の形態を、その軸心Oを通る平面で切断して示す半断面図である。 図2又は図3におけるラビリンスシール部の形状変更例を示す部分断面図である。 図2又は図3におけるラビリンスシール部の形状変更例を示す部分断面図である。 図2又は図3におけるラビリンスシール部の形状変更例を示す部分断面図である。 図2又は図3におけるラビリンスシール部の形状変更例を示す部分断面図である。 従来の技術によるダンパの一例を、その軸心Oを通る平面で切断して示す半断面図である。
以下、本発明に係るダンパの好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明でいう「正面側」とは図における左側、すなわち車両のフロント側のことであり、「背面側」とは図における右側、すなわち図示されていない内燃機関が存在する側のことである。
まず図1に示される第一の形態は、本発明をトルク変動吸収ダンパ1に適用したものであって、参照符号11は、自動車における内燃機関のクランクシャフト3の軸端に取り付けられるハブである。このハブ11は、金属材料の鋳造等により製作されたものであって、クランクシャフト3に固定されるボス部11aと、その正面側の端部から外径側への段差をもって形成された第一支持筒部11bと、この第一支持筒部11bの正面側の端部から外径側へ展開する円盤部11cと、更にその外径端部から正面側へ延びる第二支持筒部11dと、背面側へ延びる第三支持筒部11eからなる。
ハブ11の第二支持筒部11dの外周側には環状質量体12が配置されており、この環状質量体12と前記第二支持筒部11dは、ダンパゴム13を介して円周方向相対変位可能に弾性的に連結されることによって、ダイナミックダンパ部Dが構成されている。
環状質量体12は金属材料の鋳造等によって製作されたものであり、ダンパゴム13は、耐熱性、耐寒性及び機械的強度に優れたゴム状弾性材料で加硫成形されたものであり、ハブ11の第二支持筒部11dの外周面とこれに径方向に対向する環状質量体12の内周面の間に圧入嵌着されたものである。また、第二支持筒部11dの外周面と環状質量体12の内周面には、互いに対応する凹部及び凸部が円周方向に連続して形成されており、このため、ダンパゴム13は径方向にうねった形状となっており、これによって、軸方向や円周方向のスベリが起こりにくくなっている。
ダイナミックダンパ部Dの捩り方向固有振動数は、環状質量体12の円周方向慣性質量と、ダンパゴム13の捩り方向剪断ばね定数によって、クランクシャフト3の捩れ角が最大となる所定の振動数域、言い換えればクランクシャフト3の捩り方向固有振動数と合致するように同調されている。
参照符号14はプーリである。このプーリ14は、金属板の塑性加工等によって製作されたものであって、ハブ11における第三支持筒部11eの外周側に配置されたプーリ本体14aと、その背面側の端部から前記ダイナミックダンパ部D及びハブ11の第二支持筒部11dの背面側を延びる径方向部14bと、その内周端部から、前記第三支持筒部11eの内周側を正面側へ向けて延びる内径筒部14cとからなる。プーリ本体14aの外周面にはポリV溝が形成されており、図示されていない無端ベルトが巻き掛けられるようになっている。
プーリ14のプーリ本体14aと、その内周側に位置するハブ11の第三支持筒部11eの間には、円筒状のラジアルベアリング15が円周方向摺動可能に介装されている。このラジアルベアリング15は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の耐摩耗性に優れた低摩擦材料からなるものであって、プーリ14は、このラジアルベアリング15を介して、前記第三支持筒部11eに円周方向相対変位可能に支持されている。
ハブ11の第三支持筒部11eにおける背面側の端部と、これに軸方向に対向したプーリ14の径方向部14bの間には、平ワッシャ状のスラストベアリング16が円周方向摺動可能に介装されている。このスラストベアリング16も、ラジアルベアリング15と同様、PTFE等の耐摩耗性に優れた低摩擦材料からなるものであって、プーリ14は、このスラストベアリング16によって、ハブ11に対する軸方向相対変位が規制されている。また、スラストベアリング16とラジアルベアリング15は互いに連続一体化したものとすることもできる。
ハブ11の第一支持筒部11bの外周面には金属製のスリーブ17が圧入嵌着されており、このスリーブ17と、その外周側に位置するプーリ14の内径筒部14cとの間が、カップリングゴム18を介して弾性的に連結され、これによってフレキシブルカップリング部FCが構成されている。すなわちフレキシブルカップリング部FCは、クランクシャフト3からハブ11へ入力された駆動トルクを、カップリングゴム18の円周方向剪断変形作用によって平滑化しながら、プーリ14へ伝達するものである。
カップリングゴム18は、耐熱性、耐寒性及び機械的強度に優れたゴム状弾性材料からなり、図示されていない金型内に、スリーブ17とプーリ14を同心的にセットし、このスリーブ17とプーリ14の内径筒部14cとの間に前記金型によって画成された環状のキャビティに、未加硫ゴム材料を充填して加熱・加圧することによって、加硫成形と同時にスリーブ17と前記内径筒部14cに加硫接着したものである。
そして、クランクシャフト3のトルク変動は、アイドリング以下の低回転領域で顕著になることから、カップリングゴム18は、円周方向の剪断ばね定数がダンパゴム13に比較して十分に低いものであると共に、捩り方向への許容変形量が大きなものとなっており、かつ大きなトルク伝達力を与えるため、軸方向及び径方向の肉厚が十分に大きく形成されている。また、このカップリングゴム18は、ハブ11とプーリ14の間で円周方向剪断変形を受けた時に径方向全域で剪断応力がほぼ均一になるように、軸方向の肉厚が外径側ほど減少する形状となっている。
カップリングゴム18の背面部には、軸心Oを中心とする円筒状に延びる環状突条18aが形成されており、この環状突条18aは、当該トルク変動吸収ダンパ1の背面側に存在する内燃機関のフロントカバー4の内径部に軸心Oを中心とする円周状に連続して形成された環状凹部4aに遊嵌されている。このためクランクシャフト3と共に回転するトルク変動吸収ダンパ1のカップリングゴム18に形成された環状突条18aと、非回転である前記フロントカバー4の環状凹部4aの内面は、断面略コ字形に屈曲した狭い隙間を介して近接対向し、ラビリンスシール部LSを構成している。
ハブ11のボス部11aと内燃機関のフロントカバー4の内径部との間には、オイルシール5が装着されている。詳しくはこのオイルシール5は、フロントカバー4の内径部に嵌着されて、不図示のシールリップがハブ11のボス部11aの外周面に摺動可能に密接されることによって密封機能を奏するもので、ラビリンスシール部LSは、このオイルシール5よりも外側に位置している。
以上の構成を備える第一の形態のトルク変動吸収ダンパ1は、ハブ11のボス部11aがクランクシャフト3の軸端に取り付けられることによって、このクランクシャフト3と共に回転される。クランクシャフト3のトルクは、ハブ11からフレキシブルカップリング部FCのスリーブ17及びカップリングゴム18を介してプーリ14へ伝達され、更に、プーリ14のプーリ本体14aに巻き掛けられた無端ベルトを介して不図示の補機へ伝達される。
クランクシャフト3には、特にアイドリング以下の低回転域で顕著なトルク変動を生じるが、このトルク変動は、フレキシブルカップリング部FCにおけるカップリングゴム18が低ばねで捩り方向へ剪断変形されることによって熱エネルギに変換されるので、伝達トルクが平滑化される。また、ダイナミックダンパ部Dは、クランクシャフト3の捩り振動による捩れ角が最大となる振動数域で円周方向に共振し、その共振によるトルクは入力振動のトルクと方向が逆になるため、クランクシャフト3の捩れ角のピークを有効に低減することができる。
また、外部から飛来する塵埃(土埃や砂塵など)や泥水の一部はトルク変動吸収ダンパ1の背面側へ廻り込むが、これらがフロントカバー4の内周のオイルシール5側へ侵入するのを、ラビリンスシール部LSによって有効に抑制することができる。
このラビリンスシール部LSにおいて、ゴム状弾性材料からなる環状突条18aがフロントカバー4の環状凹部4aと干渉しても、金属接触の場合のような問題を生じないので、両者間の隙間は可及的に小さくすることができる。しかもクランクシャフト3の回転時には環状突条18aが遠心力によって拡径変形して環状凹部4aの外径部との径方向対向距離が一層小さくなるため、優れたシール機能を奏する。
また、クランクシャフト3の停止時には遠心力が作用しないので、ゴム状弾性材料からなる環状突条18aは自らの弾性によって原形へ縮経し、環状凹部4aの外径部との径方向対向距離が広がるので、侵入した泥水等を容易に排出することができる。
そしてこの環状突条18aは、カップリングゴム18から延在されたものであって、金型によって、スリーブ17とプーリ14の間にカップリングゴム18を一体に加硫成形することによって、同時に形成されるため、環状突条18aを形成するための工程が別途に必要となることはなく、したがって殆ど加工コストの上昇を来たさない。
次に図2に示される第二の形態は、本発明をトーショナルダンパ2に適用したものであって、参照符号21は、自動車における内燃機関のクランクシャフト3の軸端に取り付けられるハブである。このハブ21は、金属材料の鋳造等により製作されたものであって、クランクシャフト3に固定されるボス部21aと、そこから外径側へ展開する円盤部21bと、更にその外径端部に形成された支持筒部21cからなる。
このトーショナルダンパ2は、二組のダイナミックダンパ部D1,D2を備える所謂デュアルマス型のものであって、このうち第一のダンパ部D1は、ハブ21の支持筒部21cの外周面に圧入嵌着された金属製のスリーブ24と、その外周側に配置された第一の環状質量体22が、第一のダンパゴム23を介して円周方向相対変位可能に弾性的に連結された構造となっている。第一の環状質量体22は金属材料の鋳造等によって製作されたものであり、その外周面にはポリV溝が形成されており、図示されていない無端ベルトが巻き掛けられるようになっている。
第一のダンパ部D1の捩り方向固有振動数は、第一の環状質量体22の円周方向慣性質量と、第一のダンパゴム23の捩り方向剪断ばね定数によって、クランクシャフト3の捩れ角が最大となる所定の振動数域、言い換えればクランクシャフト3の捩り方向固有振動数と合致するように同調されている。
一方、第二のダンパ部D2において、第二の環状質量体25は金属材料の鋳造等によって製作されたものであり、第二のダンパゴム26は耐熱性、耐寒性及び機械的強度に優れたゴム状弾性材料からなるものであり、ハブ21の円盤部21bと、その正面側に配置された第二の環状質量体25との間に、一体に加硫成形されている。
第二の環状質量体25の慣性質量は、第一のダンパ部D1における第一の環状質量体22とは異なり、第二のダンパゴム26の剪断ばね定数は、第一のダンパ部D1における第一のダンパゴム23とは異なるため、第二のダンパ部D2は、第一のダンパ部D1とは異なる固有振動数が設定されている。
ハブ21の円盤部21bの背面側には、軸心Oを中心とする円筒状に延びる環状突条26aが形成されている。この環状突条26aは、第二のダンパゴム26の加硫成形に際して、前記円盤部21bに円周方向所定間隔で開設された小孔21dを通じてゴム成形材料が円盤部21bの背面側へ廻り込むことによって形成されるゴム層26bの一部に形成されたものであり、当該トーショナルダンパ2の背面側に存在する内燃機関のフロントカバー4の内径部に軸心Oを中心とする円周状に連続して形成された環状凹部4aに遊嵌されている。このためクランクシャフト3と共に回転するトーショナルダンパ2の第二のダンパゴム26から延在された環状突条26aと、非回転である前記フロントカバー4の環状凹部4aの内面は、断面略コ字形に屈曲した狭い隙間を介して近接対向し、ラビリンスシール部LSを構成している。
ハブ21のボス部21aと内燃機関のフロントカバー4の内径部との間には、オイルシール5が装着されている。詳しくはこのオイルシール5は、フロントカバー4の内径部に嵌着されて、不図示のシールリップがハブ21のボス部21aの外周面に摺動可能に密接されることによって密封機能を奏するもので、ラビリンスシール部LSは、このオイルシール5よりも外側に位置している。
以上の構成を備える第二の形態のトーショナルダンパ2は、ハブ21のボス部21aがクランクシャフト3の軸端に取り付けられることによって、このクランクシャフト3と共に回転される。そして第一のダンパ部D1は、クランクシャフト3の捩り振動による捩れ角が最大となる振動数域で円周方向に共振し、その共振によるトルクは入力振動のトルクと方向が逆になるため、クランクシャフト3の捩れ角のピークを有効に低減することができる。
一方、第二のダンパ部D2は、第一のダンパ部D1とは異なる振動数域で円周方向に共振するため、広い振動数域でクランクシャフト3の捩れ角を低減することができる。また、この第二のダンパ部D2は第二のダンパゴム26とハブ21の円盤部21b及び第二の環状質量体25との接着面が軸方向を向いているため、ハブ21に対して軸直角方向への自由度をも有することから、軸直角方向の固有振動数をクランクシャフト3の曲げ振動(軸直角方向の振動)のピークとなる振動数域に同調させておけば、第一のダンパ部D1による捩り振動に対する動的吸振特性に加え、曲げ振動に対する動的吸振特性を与えることができる。
そしてこの形態でも、外部から飛来してトーショナルダンパ2の背面側へ廻り込んだ塵埃や泥水が、フロントカバー4の内周のオイルシール5側へ侵入するのを、第一の形態と同様に機能するラビリンスシール部LSによって有効に抑制することができる。
このラビリンスシール部LSにおいて、ゴム状弾性材料からなる環状突条26aがフロントカバー4の環状凹部4aと干渉しても何ら問題を生じないので、両者間の隙間は可及的に小さくすることができる。しかもクランクシャフト3の回転時には環状突条26aが遠心力によって拡径変形して環状凹部4aの外径部との径方向対向距離が一層小さくなるため、優れたシール機能を奏する。
また、クランクシャフト3の停止時には遠心力が作用しないので、ゴム状弾性材料からなる環状突条26aは自らの弾性によって原形へ縮経し、環状凹部4aの外径部との径方向対向距離が広がるので、侵入した泥水等を容易に排出することができる。
また、環状突条26aは、第二のダンパゴム26からハブ21の小孔21dを通じて延在されたものであって、金型によってハブ21の円盤部21bと第二の環状質量体25の間に第二のダンパゴム26を一体に加硫成形することによって、同時に形成されるため、環状突条26aを形成するための工程が別途に必要となることはなく、したがって殆ど加工コストの上昇を来たさない。
次に図3に示される第三の形態も、本発明をトーショナルダンパ2に適用したものであって、参照符号21は、自動車における内燃機関のクランクシャフト3の軸端に取り付けられるハブである。このハブ21は、金属材料の鋳造等により製作されたものであって、クランクシャフト3に固定されるボス部21aと、そこから外径側へ展開する円盤部21bと、更にその外径端部に形成されたプーリ部21eからなり、このプーリ部21eの外周面にはポリV溝が形成されており、図示されていない無端ベルトが巻き掛けられるようになっている。
図3に示されるトーショナルダンパ2は、所謂ディスクタイプのシングルマス型のものであって、ハブ21における円盤部21bの正面側に環状質量体27が配置され、この環状質量体27と前記円盤部21bの対向端面間にダンパゴム28が加硫接着されている。
このトーショナルダンパ2の捩り方向固有振動数は、環状質量体27の円周方向慣性質量と、ダンパゴム28の捩り方向剪断ばね定数によって、クランクシャフト3の捩れ角が最大となる所定の振動数域、言い換えればクランクシャフト3の捩り方向固有振動数と合致するように同調されている。
ハブ21の円盤部21bの背面側には、先に説明した第二の形態と同様、ダンパゴム28の加硫成形に際して、前記円盤部21bに円周方向所定間隔で開設された小孔21dを通じてゴム成形材料が円盤部21bの背面側へ廻り込むことによって形成されるゴム層28bの一部からなる環状突条28aが、軸心Oを中心とする円筒状に形成され、当該トーショナルダンパ2の背面側に存在する内燃機関のフロントカバー4の内径部に軸心Oを中心とする円周状に連続して形成された環状凹部4aに遊嵌されている。このためクランクシャフト3と共に回転するトーショナルダンパ2側の環状突条28aと、非回転である前記フロントカバー4の環状凹部4aの内面は、断面略コ字形に屈曲した狭い隙間を介して近接対向し、オイルシール5よりも外側に位置するラビリンスシール部LSを構成している。
以上の構成を備える第三の形態のトーショナルダンパ2は、ハブ21のボス部21aがクランクシャフト3の軸端に取り付けられることによって、このクランクシャフト3と共に回転される。そして環状質量体27とダンパゴム28からなるダンパ本体部が、クランクシャフト3の捩り振動による捩れ角が最大となる振動数域で円周方向に共振し、その共振によるトルクは入力振動のトルクと方向が逆になるため、クランクシャフト3の捩れ角のピークを有効に低減することができる。
そしてこの形態でも、ラビリンスシール部LSは第一の形態又は第二の形態と同様の作用を有するものであり、すなわち外部から飛来してトーショナルダンパ2の背面側へ廻り込んだ塵埃や泥水が、フロントカバー4の内周のオイルシール5側へ侵入するのを有効に抑制することができる。
図4〜図7は、それぞれ図2又は図3におけるラビリンスシール部LSの形状変更例を示すものである。
このうち図4に示されるラビリンスシール部LSにおいて、図2又は図3と異なるところは、フロントカバー4の環状凹部4aの内周側に、ハブ21の円盤部21bの背面と軸方向に近接対向する環状突条4bが突設され、環状凹部4aに遊嵌されたゴム状弾性材料からなる環状突条26a(28a)の外周側に、フロントカバー4の正面端部との隙間を狭める厚肉ゴム層26c(28c)が形成されたことにある。
このため厚肉ゴム層26c(28c)及び環状突条26a(28a)と環状凹部4a及び環状突条4bの間に形成される異物侵入経路(ラビリンスシール部LS)が長く複雑に屈曲した形状となり、シール機能を高めることができる。
また、図5に示されるラビリンスシール部LSにおいて、図2又は図3と異なるところは、ゴム状弾性材料からなる環状突条26a(28a)の先端部が外径側へ屈曲し、この環状突条26a(28a)が遊嵌されたフロントカバー4の環状凹部4aの外径部が、環状突条26a(28a)の屈曲形状に略対応した段差形状をなすことにある。
このため環状突条26a(28a)と環状凹部4aの間に形成される異物侵入経路(ラビリンスシール部LS)には、外径側へ迂回する部分が存在し、回転時にはこの迂回部分の隙間が遠心力による環状突条26a(28a)の変形によって狭くなるので、シール機能を高めることができる。
また、図6に示されるラビリンスシール部LSにおいて、図2又は図3と異なるところは、ゴム状弾性材料からなる環状突条26a(28a)が先端側ほど大径になる円錐筒状に形成され、この環状突条26a(28a)が遊嵌された環状凹部4aの外径部が、環状突条26a(28a)の屈曲形状に略対応した段差形状をなすことにある。
このため上述した図5と同様、環状突条26a(28a)と環状凹部4aの間に形成される異物侵入経路(ラビリンスシール部LS)には、外径側へ迂回する部分が存在し、回転時にはこの迂回部分の隙間が遠心力による環状突条26a(28a)の変形によって狭くなるので、シール機能を高めることができる。
また、図7に示されるラビリンスシール部LSにおいて、図2又は図3と異なるところは、ゴム状弾性材料からなる環状突条26a(28a)が先端近傍で軸方向へ延びる部分と外径側へ延びる部分に分岐した二股形状をなし、この環状突条26a(28a)が遊嵌された環状凹部4aが、環状突条26a(28a)の分岐形状に略対応した段差形状をなすことにある。
このため、環状突条26a(28a)と環状凹部4aの間に形成される異物侵入経路(ラビリンスシール部LS)は、ジグザグに屈曲した複雑な形状となり、しかも回転時には二股の環状突条26a(28a)の変形によって前記異物侵入経路(ラビリンスシール部LS)が複数個所で狭くなるので、シール機能を高めることができる。
なお、図4〜図7は、図2又は図3に示されるトーショナルダンパ2とフロントカバー4との間に構成されるラビリンスシール部LSの形状変更例を示すものであるが、図1に示されるトルク変動吸収ダンパ1とフロントカバー4との間に構成されるラビリンスシール部LSについても、同様に形状変更することができる。
また、ラビリンスシール部LSは、フロントカバー4以外の非回転側部材との間に構成することもできる。
1 トルク変動吸収ダンパ(ダンパ)
11,21 ハブ
18 カップリングゴム(弾性体)
18a,26a,28a 環状突条
2 トーショナルダンパ(ダンパ)
26 第二のダンパゴム(弾性体)
28 ダンパゴム(弾性体)
3 クランクシャフト(回転軸)
4 フロントカバー(非回転側部材)
4a 環状凹部
LS ラビリンスシール部

Claims (1)

  1. 回転軸と一体に回転するハブとこのハブにベアリングを介して支持されたプーリとの間に介在されてトルク変動を吸収するゴム状弾性材料からなるカップリングゴムに、非回転側部材と隙間をもって近接対向されてラビリンスシールを構成する環状突条が延在され、この環状突条は、遠心力によって前記非回転側部材との径方向対向距離が可変であることを特徴とするダンパ。
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