JP2001002853A - エチレン共重合体組成物及びその用途 - Google Patents
エチレン共重合体組成物及びその用途Info
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Abstract
成形機の腐蝕や目やにの発生がなく、透明性、強度及び
外観が優れ、臭気の少ないフイルムを得ることができる
エチレン・酢酸ビニル共重合体組成物を提供する。 【解決手段】 酢酸ビニル含量が10〜45重量%、メ
ルトフローレートが0.1〜15g/10分のエチレン
・酢酸ビニル共重合体に、水酸基および炭酸根を有する
複合金属化合物を0.1〜2重量%及びゼオライトを
0.1〜2重量%の割合で配合してなるエチレン共重合
体組成物。
Description
ト(以下、両者を総称して単にフイルムということがあ
る)用途、とりわけポリプロピレンとの共押出しフイル
ム用途に好適なエチレン・酢酸ビニル共重合体組成物に
関する。さらに詳細には、高温度で加工でき、透明性、
強度及び外観が優れ、臭気の少ないフイルムを得ること
ができるエチレン・酢酸ビニル共重合体組成物及びかか
る組成物から得られるフイルムに関する。
性、耐衝撃性、透明性等に優れているところから種々の
用途で使用されており、フイルム分野においても、スト
レッチフイルム、農業用フイルムなどにおいて広く使用
されてきた。これら従来のフイルム用途においては、フ
イルム強度、熱変形温度、非粘着性などを重視していた
ため、酢酸ビニル含量が20重量%以下のものの使用が
ほとんどであった。しかるに近年、環境問題からPVC
代替材料が求められるようになってきており、そのよう
な材料の一つとしてエチレン・酢酸ビニル共重合体が注
目されるようになってきた。その主たる理由は、この共
重合体が、PVCと同様に透明かつ柔軟でしかも高周波
シールが可能であるという点にあったが、これら諸性質
の全てをPVCのそれに近づけようとすると、どうして
も酢酸ビニル含量が20重量%を越えるような共重合体
の使用が望ましかった。
イルムの製造においては、加工性、フイルム外観、透明
性等の観点から、220℃程度の高温度で加工すること
が望ましいが、該共重合体は高温度では脱酢酸し易く、
フイルムが異臭を帯びたり、成形機の腐蝕を引き起こす
などの原因となった。フイルム成形時に臭気が顕著でな
い場合でも、熱履歴を受けた場合に発臭する場合もあっ
た。またフイルム成形時に目やにを発生するため、フイ
ルムの品質を低下させるばかりなく、成形機の清掃が必
要となり、長期の連続運転を行うことができないという
問題もあった。このような傾向は、上記のような酢酸ビ
ニル含量が大きい共重合体を使用する場合には一層顕著
なものとなった。このような問題点を回避するために低
温度で加工する場合には、加工性が悪くなってフイルム
の肌荒れを引き起こしたり、また剪断発熱により押出機
内の樹脂温が上昇し、脱酢酸を完全に防止することがで
きなくなる場合があり、根本的な解決方法とはならなか
った。またこの場合、メルトフロレートの大きい共重合
体を使用すれば、ある程度加工性を改良することはでき
るが、強度の大きいフイルムを得ることができないこと
が問題であった。
ル共重合体を使用する場合には、この共重合体では不満
足な耐熱性、耐傷つき性などの諸性質をPVCのそれに
近づけるために、これら諸性質の優れた樹脂と積層する
ことによって補うことが考えられる。その1例として高
剛性で耐傷つき性が優れ、熱変形温度の高いポリプロピ
レンとの積層体が注目されるが、工業的に有利な共押出
し法によってこのような積層体を製造する場合には、高
温度での加工が必須となるため、エチレン・酢酸ビニル
共重合体の脱酢酸による臭気の発生や成形機の腐蝕を回
避することはできなかった。また極端な場合には、共押
出しフイルムの界面にボイドが発生したり、界面剥離強
度の低下を招くことがあった。
上記共重合体を高温度で加工しても、とりわけポリプロ
ピレンのような高融点樹脂と共押出ししても、上述のよ
うなトラブルを回避することができ、しかも強度の優れ
たフイルムを得ることができる処方について検討を行っ
た。その結果、特定性状の共重合体に、特定の複合金属
化合物の所定量を配合する処方を見出すに至った。した
がって本発明の目的は、フイルム成形において目やにの
発生がなく、成形機の腐蝕を起こさず、フイルム強度、
フイルム外観、透明性に優れ、臭気レベルの優れたエチ
レン・酢酸ビニル共重合体組成物及びかかる組成物から
得られるフイルムを提供することにある。
量が10〜45重量%、190℃、2160g荷重にお
けるメルトフローレートが0.1〜15g/10分のエ
チレン・酢酸ビニル共重合体に、水酸基および炭酸根を
有する複合金属化合物を0.1〜2重量%及びゼオライ
トを0.1〜2重量%の割合で配合してなるエチレン共
重合体組成物に関する。本発明は又、このようなエチレ
ン共重合体組成物から得られるフイルムに関する。
酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含量が10〜45重量
%、好ましくは14〜35重量%、190℃、2160
g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜15g/
10分、好ましくは0.5〜10g/10分のものであ
る。上記共重合体における酢酸ビニル含量が前記範囲よ
り少ないものは、透明性、柔軟性、高周波ウエルダー性
等が充分でなく、PVC代替材料としては性能不足であ
る。また酢酸ビニル含量が上記範囲より多いものを使用
すると、強度の大きいフイルムを得ることはできない。
またメルトフローレートが上記範囲より小さいものは、
加工性が悪く、外観良好なフイルムを得ることが難し
く、またメルトフロレートが上記範囲より大きいものを
使用すると、強度の大きいフイルムを得ることが難しい
ので、いずれも好ましくない。
ニル共重合体に、水酸基及び炭酸根を有する複合金属化
合物を0.1〜2重量%、好ましくは0.2〜1.5重
量%及びゼオライトを0.1〜2重量%、好ましくは
0.2〜1.0重量%の割合となるよう配合するもので
ある。
は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属から選ばれ
る少なくとも1種の金属とアルミニウムとの組み合わせ
が最も好ましい。より具体的には、マグネシウムとアル
ミニウムの組み合わせ、あるいはリチウムとアルミニウ
ムの組み合わせを挙げることができる。
の例としては、一般式 Mg1-xAlx(OH)2(CO3)x/2・nH2O (式中、0<x≦0.5、nは任意の整数)で示される
ハイドロタルサイト類縁化合物を例示することができ
る。
・アルミニウム複合金属化合物としては、一般式 Al4Li2(OH)12CO3・mH2O (式中、mは3以下の数)で示される化合物を例示する
ことができる。
るだけ屈折率がエチレン・酢酸ビニル共重合体のそれと
近似したものを用いるのが透明性を維持するという観点
から望ましく、またその粒径が5μm以下、とくに1μ
m以下のものを使用するのが好ましい。このような化合
物の具体例としては、DHT−4A(協和化学社製)、
ミズカラック(水沢化学社製)などの商品名で市場で入
手することができる。
的なものは、一般式 M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O (式中、Mはナトリウム、カリウムのようなアルカリ金
属あるいはカルシウム、バリウムのようなアルカリ土類
金属、nはMの価数、xは2〜15、yは2〜16)で
表される化合物であり、天然品と合成品があるが、品質
が良好な合成ゼオライトを使用するのが好ましい。より
具体的には、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼ
オライト、ZSM−5などを例示することができる。ゼ
オライトとしてはまた、上記式の原子の一部が他の原子
に置換されたものであってもよい。これらゼオライトの
中ではまた、細孔径が4Å以上のものを使用するのが効
果的である。また、粒径が5μm以下、とくに1μm以
下のものを使用するのが望ましい。
加効果により、成形機の腐蝕や成形時の目やに発生が抑
制されると共に、臭気が少なく、透明性に優れたフイル
ムを容易に得ることができる。複合金属化合物及びゼオ
ライトの使用量が前記範囲より少ないと、相乗効果を得
ることが難しく、またそれらの使用量が前記範囲を越え
ると、透明性低下、発泡等が生じ、好ましくない。
金属化合物及びゼオライトからなる本発明の組成物に
は、必要に応じ、任意の添加剤を配合することができ
る。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、光安
定剤、帯電防止剤、顔料、染料、滑剤、ブロッキング防
止剤などを例示することができる。
シートの用途に好適であり、例えば220℃の如き温度
で成形しても、目やに発生や成形機腐蝕を起こさず、臭
気レベルが優れ、強度、外観、光学性に優れた製品を得
ることが可能である。
らず、各種材料と積層して用いることができる。このよ
うな材料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリー4−メチルー1−ペンテンなどのポリオレフ
ィン類、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体又はそ
のアイオノマー、ポリスチレン、ポリエステル、ポリア
ミド、紙、各種蒸着フイルム、金属箔、織布、不織布な
どを例示することができる。
て、エチレン・酢酸ビニル共重合体と共押出しにより、
耐傷つき性、耐熱性に優れた表面層を形成することがで
きるポリプロピレンを挙げることができる。すなわちエ
チレン・酢酸ビニル共重合体を中間層とし、ポリプロピ
レンを両表面層とする3層積層フイルムあるいはシート
は、PVC代替材料として魅力があり、またこのような
積層体を共押出しによって製造するには、ポリプロピレ
ンの成形条件を考慮すると必然的にエチレン・酢酸ビニ
ル共重合体の成形温度が高くなるので、本発明の組成物
を使用する利点が生ずるからである。このような共押出
しにおいては、例えばポリプロピレンを200〜240
℃、本発明の組成物を180〜220℃の温度で押出し
てダイ内で合流させ成形すればよい。
ンとしては、プロピレン単独重合体又はプロピレンと他
のα―オレフィン、例えば、エチレン、1―ブテン等と
の共重合体を挙げることができる。ポリプロピレンの成
形性や積層フイルムあるいはシートの各種物性を考慮す
ると、ポリプロピレンとして、230℃、2160g荷
重におけるメルトフロレートが、0.1〜15g/10
分、とくに0.5〜10g/10分のものを使用するこ
とが望ましい。
ートにおいては、総厚みが30〜350μm、とくに5
0〜300μmの範囲であって、エチレン・酢酸ビニル
共重合体層の占める割合が30〜80%程度の範囲とす
るのが好ましい。
る。尚、実施例において使用した原料は、次の通りであ
る。 EVA−1:エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニ
ル含量:19重量%、メルトフローレート:2.5g/
10分) EVA−2:エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニ
ル含量:25重量%、メルトフローレート:3.0g/
10分) ハイドロタルサイト:協和化学社製 DHT−4A ゼオライト:日本化学工業社製 ゼオスターCA−10
0P
EVA―1に0.25重量%のハイドロタルサイトと
0.25重量%のゼオライトを配合した組成物から、加
工温度220℃で厚さ50μmのインフレーションフイ
ルムを成形した。得られたフイルムの物性を、以下のよ
うにして評価した。 臭気:官能評価 酢酸捕捉量:試料5gをサンプル瓶に取り、OVEN 70
℃、LINE 100℃にセットした濃縮捕集装置に取りつ
け、捕集温度ー12℃にセットされたTenaxGC管に揮
発成分をトラップする。この揮発成分を用い、ガスクロ
マトグラフィーにて酢酸を定量した。 目やに:目視評価 金属腐蝕性:1mm厚のシート状にした試料と銅板とを
熱融着させたものを試験片とし、150℃のギヤーオー
ブン中で加熱エージングした際の樹脂の変色状況を観察
した。 光学性:目視評価
の使用量を、それぞれ0.5重量%とした以外は、実施
例1と同様に行った。
使用し、ハイドロタルサイト及びゼオライトの使用量を
それぞれ0.5重量%とした以外は、実施例1と同様に
行った。
を配合しないで同様の試験を行った。
5重量%とし、ゼオライトを配合しなかった以外は、同
様の試験を行った。
0重量%とし、ゼオライトを配合しなかった以外は、同
様の試験を行った。
とし、ハイドロタルサイトを配合しなかった以外は、同
様の試験を行った。
とし、ハイドロタルサイトを配合しなかった以外は、同
様の試験を行った。
る ×:劣る
て、成形機の腐蝕や目やに発生を起こさず、フイルム強
度、フイルム外観、透明性が優れ、臭気の少ないフイル
ムの製造が可能なエチレン・酢酸ビニル共重合体組成物
を提供することができる。このような組成物とポリプロ
ピレンとからなる積層フイルムは、耐傷つき性、透明
性、強度、耐熱性、高周波特性等に優れており、PVC
代替材料として好適である。
Claims (4)
- 【請求項1】 酢酸ビニル含量が10〜45重量%、1
90℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが
0.1〜15g/10分のエチレン・酢酸ビニル共重合
体に、水酸基および炭酸根を有する複合金属化合物を
0.1〜2重量%及びゼオライトを0.1〜2重量%の
割合で配合してなるエチレン共重合体組成物。 - 【請求項2】 請求項1のエチレン共重合体組成物から
なるフイルム又はシート。 - 【請求項3】 請求項1のエチレン共重合体組成物層と
ポリプロピレン層とからなる共押出しフイルム又はシー
ト。 - 【請求項4】 エチレン共重合体層を中間層とし、ポリ
プロピレン層をその両面に配してなる請求項3の共押出
しフイルム又はシート。
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- 1999-06-16 JP JP16947399A patent/JP5035812B2/ja not_active Expired - Fee Related
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