JP4678930B2 - 樹脂組成物の使用方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層を含む積層体を再使用する時の該積層体の粉砕物に配合するための改質用の樹脂組成物の使用方法に関し、更に詳しくは、かかる積層体の粉砕物を溶融成形する時のロングラン成形性、相分離異物(目ヤニ)の発生防止、成形物の耐層間剥離性、機械的特性を大幅に改善することが可能な改質用の樹脂組成物の使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリエチレン、ポリプロピレンを始めとするポリオレフィン系樹脂に代表される熱可塑性樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)との混合物を溶融成形して各種の成形物が得られているが、該技術の目的は、▲1▼各々単独では得られない物性を得ること、▲2▼熱可塑性樹脂とEVOHとの積層構造物の製造時に発生する製品のクズや端部、或いは不良品の回収による再利用(スクラップリターン或いはリグラインド)の2つに大別され、▲2▼の再利用は、工業廃材のリサイクルや地球環境を考慮すると産業上の有用性は顕著である。
【0003】
しかしながら、上記の如き熱可塑性樹脂とEVOHからなるフィルムやシート、カップ、ボトル等の積層構造物を成形し、その成形時に生じるスクラップからなる組成物(スクラップ組成物)をリグラインド層として溶融成形によって再びフィルム、シート、カップ、ボトル等の積層構造物の1層又はそれ以上の層に用いる場合、該組成物が成形時にゲル化を起したり、又焼けと呼ばれる熱着色した樹脂や炭化した樹脂が押出機内に付着して長期間にわたって連続して溶融成形が行えない、いわゆるロングラン成形性が低下するという問題が生じる。又、該溶融成形時のゲル化物や熱劣化物が成形物中にしばしば混入するため、例えばフィルム成形においてはフィシュアイの発生をはじめとする成形物の欠陥の大きな原因となり、製品の品質低下を免れない。
【0004】
かかる問題は、前述した如く熱可塑性樹脂とEVOHとの積層構造物の製造時の廃品の再利用に当って特に大きな問題点となる。
即ち、最近では包装用のフィルム、シート、カップ、ボトル等の用途において熱可塑性樹脂やEVOHがそれぞれ単独(単層)で用いられることは少なく、より多機能性の包装材が市場から要求されていることから、熱可塑性樹脂とEVOHを、必要に応じて接着性樹脂層を介在させて、2層、3層或いは4層以上の積層構造物として用いることが多く、かかる積層構造物を製造する際には、通常多量の該構造物のクズや端部の不要部分、更には不良品の発生が伴うこともあり、業界ではこれらをリサイクル使用する必要がある。
【0005】
更に、前述のロングラン成形性に加えて、熱可塑性樹脂とEVOHとの溶融粘度差や非相溶性に起因すると思われる、両者の相分離異物(目ヤニ)の成形品中への混入や、リグラインド(スクラップ組成物)層と隣接層との層間剥離現象や、かかるリグラインド層の耐衝撃性等の機械的特性の低下のような不都合も認められている。
【0006】
上記の欠点を改善する試みとして特開昭60−199040号公報には、ポリオレフィン系樹脂とEVOHの混合物中に周期律表I族、II族及びIII族から選ばれる少なくとも一つの元素を含む塩或いは酸化物を共存させることが示されている。同公報の実施例等の記載によれば、まずEVOHに上記の塩又は酸化物を予め配合し、充分混練した後でポリオレフィン系樹脂を配合して溶融成形することが推奨されているが、上記方法では必ずしも満足する成果は得難く、ロングラン成形性の改善効果はせいぜい48時間程度の連続溶融成形が可能になるに過ぎず、工業的規模での溶融成形に当っては更に長期間にわたって連続運転が出来ればそれだけ有利であることは言うまでもない。
【0007】
そこで、本出願人は上記の問題点を解決すべく、特定のポリオレフィン系樹脂に予めハイドロタルサイト系化合物を特定量溶融配合した後、EVOHを溶融配合する成形物の製造方法(特開昭62−179530号公報)や、ポリオレフィン系樹脂とEVOHの混合物を溶融成形するに当たり、特定のハイドロタルサイト系固溶体を共存せしめる成形物の製造方法(特開平1−308439号公報)を提案した。
【0008】
また、得られる成形品の外観性向上を目的として、特開昭62−177047号公報には、ポリオレフィン系樹脂とEVOHの混合物中にエチレン性不飽和カルボン酸又は該カルボン酸無水物をグラフトしたポリエチレン系重合体と周期律第Ia又はIIa族金属の水酸化物又は塩の混合物を配合することが示されており、一方、得られる成形品の耐衝撃性の向上を目的として、特開平9−302170号公報には、不飽和カルボン酸又はその誘導体でグラフト変性した変性ポリエチレン樹脂と酸化防止剤と金属化合物からなる接着剤及びポリオレフィン樹脂、EVOHとからなるリサイクル層を含む多層積層体が示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする問題点】
しかしながら、特開昭62−179530号公報や特開平1−308439号公報に記載の技術では、ロングラン成形性については充分改良が認められるものの、上記のスクラップリターン時における度重なる熱履歴による相分離異物(目ヤニ)の発生や、リグラインド層と隣接層との耐層間剥離性や、リグラインド層の耐衝撃性等の機械的特性の低下等については充分に考慮はされておらず、改善の余地が残るものであり、特開昭62−177047号公報に記載の技術でも、ロングラン成形性や成形品の外観については改善が認められるものの、同様に度重なる熱履歴による相分離異物(目ヤニ)の発生、耐層間剥離性、機械的特性の低下等については充分に考慮はされておらず、改善の余地が残るものである。
【0010】
また、特開平9−302170号公報に記載の技術では、成形品の外観やリグラインド層の機械的特性の低下の抑制については改善が認められるものの、その改善効果を大きくしようとすると接着剤層の厚みを必要以上に厚くせねばならず、工業的に不利であり、その自由度も低く、更に度重なる過酷な熱履歴を受ける環境下では、上記と同様の不都合が認められ、かかる熱履歴の影響を受けることの少ない樹脂組成物が望まれているのである。
【0011】
本発明ではこのような背景下において、ロングラン成形性に優れるとともに、度重なる過酷なスクラップリターンや長時間の連続運転下においても、熱可塑性樹脂とEVOHの相分離異物(目ヤニ)の成形品中への混入がなく、リグラインド層と隣接層との耐層間剥離性に優れ、リグラインド層の耐衝撃性等の機械的特性の低下のない、EVOH層を含有する積層体の粉砕物に配合するための改質用の樹脂組成物及びその使用方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【問題点を解決するための手段】
そこで、本発明者は、上記の事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)、脂肪酸金属塩(B)及び/又は金属化合物(C)を含有してなる樹脂組成物を、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層の2層を有する積層体を再使用する時の該積層体の粉砕物に配合して、ブレンド物を得た後、該ブレンド物を溶融成形物の製造に供する樹脂組成物の製造方法であって、積層体の粉砕物中のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が、少なくとも熱可塑性樹脂層、及び、ホウ素化合物、リン酸又はその化合物、脂肪酸塩から選ばれる少なくとも1種を含有し、かつ金属化合物(C)がハイドロタルサイト系化合物及び/又はハイドロタルサイト系固溶体であることを特徴とする樹脂組成物の使用方法が、上記目的と合致することを見出し、本発明を完成した。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の改質用の樹脂組成物に用いられる酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)とは、ポリオレフィン系樹脂を公知の方法、例えばポリオレフィン系樹脂を適当な有機溶媒に溶解又は懸濁させ、或いは押出機等で溶融状態にさせて、過酸化物やジアゾ系のラジカル開始剤を加えてポリオレフィン系樹脂鎖を活性化して、これに不飽和カルボン酸又はその誘導体を加えてグラフト反応させて得られるものである。
【0015】
上記におけるポリオレフィン系樹脂としては、具体的に直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン(PP)、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのブレンド物などの広義のポリオレフィン系樹脂を挙げることができ、なかでも、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、ポリプロピレン(PP)が、熱安定性に優れる点で好ましい。
【0016】
尚、ポリオレフィン系樹脂の重合度は350〜45000、更には500〜10000程度のものが、本発明の効果に優れる点で好適に選ばれ、また、メルトフローレート(MFR)(230℃、荷重2160g)としても、0.1〜100g/10分、更には0.5〜50程度が、本発明の効果(ロングラン成形性、目ヤニ抑制、耐層間剥離性、機械的特性等)に優れる点で好ましい。
【0017】
また、かかる不飽和カルボン酸又はその誘導体とは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸テトラヒドロフタル酸などの不飽和カルボン酸或いはこれらの酸無水物、エステル、酸ハライド、アミド、イミド等の誘導体が挙げられ、これらの中でも不飽和ジカルボン酸又はその酸無水物が本発明の効果に優れる点で好適に用いられ、特にマレイン酸又は無水マレイン酸が好適である。
【0018】
このときの、ポリオレフィン系樹脂に含有される不飽和カルボン酸又はその誘導体のグラフト変性量は、0.01〜5重量%が好ましく、更に好ましくは0.03〜4重量%、特に好ましくは0.05〜3重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、本発明の効果が十分に得られないことがあり、逆に多いと、変性ポリオレフィン系樹脂の架橋反応が促進され、成形性が悪くなることがあり好ましくない。
【0019】
更に、かかる酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)としては、上記の通り得られた変性ポリオレフィン系樹脂を単独で使用することもできるし、未変性のポリオレフィン系樹脂や他の熱可塑性樹脂と該変性ポリオレフィン系樹脂とを混合したものも使用できる。
かかる混合物を使用する場合においても、不飽和カルボン酸又はその誘導体のグラフト変性量(変性基の重量)は、混合物全体において0.01〜5重量%(更には0.03〜4重量%、特には0.05〜3重量%)とすることが好ましい。
【0020】
本発明の改質用の樹脂組成物に用いられる脂肪酸金属塩(B)とは、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ノナデカン酸、オレイン酸、カプリン酸、ベヘニン酸、リノール酸、アジピン酸等の有機酸の、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、銅、コバルト、鉄、マンガン等の金属塩を挙げることができ、特に限定されないが、炭素数8以上(更には炭素数12〜30)の高級脂肪酸金属塩である場合、本発明の効果をより顕著に得られる点で好ましく、かかる中でもステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸の金属塩がロングラン成形性や相分離により発生する異物の抑制効果の点で特に好ましく、また金属種としては、上記の中でもマグネシウム、カルシウム、亜鉛が同様の理由で特に好ましい。
【0021】
本発明の改質用の樹脂組成物中の脂肪酸金属塩(B)の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜30重量%(更には1〜20重量%、特には2〜10重量%)であり、かかる肪酸金属塩(B)の含有量が0.1重量%未満では、本発明の効果が十分に得られないことがあり、逆に30重量%を越えると、得られる成形物の外観が悪化したり、成形時の臭気が大きくなる傾向にあり好ましくない。
また、かかる脂肪酸金属塩(B)は2種以上を併用することも可能であり、2種以上を併用する場合はその総計が上記の範囲内にあることが好ましい。
【0022】
本発明の改質用の樹脂組成物に用いられる金属化合物(C)とは、ハイドロタルサイト系化合物及び/又はハイドロタルサイト系固溶体であり、ロングラン成形性や相分離により発生する異物の抑制効果の点で特に好ましい。
【0023】
かかるハイドロタルサイト系化合物としては、例えば、一般式、
MxAly(OH)2x+3y-2z(E)z・aH2O
(式中MはMg,Ca又はZn、EはCO3又はHPO4、x, y,zは正数、aは0又は正数)で示される化合物で、具体的には、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O、Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O,Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg8Al2(OH)20CO3・5H2O,Mg10Al2(OH)22(CO3)2・4H2O、Mg6Al2(OH)16HPO4・4H2O,Ca6Al2(OH)16CO3・4H2O、Zn6Al6(OH)16CO3・4H2O等が挙げられる。又、以上に限らず、例えば、Mg2Al(OH)9・3H2O中のOHの一部がCO3又はHPO4に置換された如き化学式の明確に示されないものや更には結晶水の除去されたもの(a=0)であっても同等の効果が期待できる。特にこれらのうちMがMgで、EがCO3である化合物が最も顕著なロングラン成形性や相分離により発生する異物の抑制効果を示す。
【0024】
更に、ハイドロタルサイト系固溶体としては、例えば、一般式、
[〔(M1 2+)y1(M2 2+)y2〕1-xMx 3+(OH)2An- x/n・mH2O]
(式中M1 2+はMg,Ca,Sr及びBaから選ばれる金属の少なくとも1種、M2 2+はZn,Cd,Pb,Snから選ばれる金属、Mx 3+は3価金属、An-はn価のアニオン、x,y1,y2,mはそれぞれ0<x≦0.5、0.5<y1<1、y1+y2=1、0≦m<2で示される正数)で示される化合物で、上記の一般式において、M1 2+としてはMg,Caが好ましく、M2 2+としてはZn,Cdが好ましく、更にMx 3+としてはAl,Bi,In,Sb,B,Ga,Ti等が例示できるが、Alが実用的である。又、An-としては、CO3 2-,OH-,HCO3 -,サリチル酸イオン,クエン酸イオン,酒石酸イオン,NO3 -,I-、(OOC−COO)2-、ClO4-,CH3COO-,CO3 2-,(OOCHC=CHCOO)2-,〔Fe(CN)6〕4-が挙げられ、CO3 2-やOH-が有用である。
【0025】
かかるハイドロタルサイト系固溶体の具体的実例としては、[Mg0.75 Zn0.25]0.67 Al0.33(OH)2(CO3)0.165・0.45H2O、[Mg0.79 Zn0.21]0.7 Al0.3(OH)2(CO3)0.15、[Mg1/7 Ca3/7 Zn3/7]0.7 Al0.3(OH)2(OOCHC=CHCOO)0.15・0.41H2O、[Mg6/7 Cd1/7]0.7 Al0.3(OH)2(CH3COO)0.3・0.34H2O、[Mg5/7 Pd2/7]0.7 Al0.30(OH)2(CO3)0.15・0.52H2O、[Mg0.74 Zn0.26]0.68 Al0.32(OH)2(CO3)0.16、[Mg0.56 Zn0.44]0.68 Al0.32(OH)2(CO3)0.16・0.2H2O、[Mg0.81 Zn0.19]0.74 Al0.26(OH)2(CO3)0.13、[Mg0.75 Zn0.25]0.8 Al0.20(OH)2(CO3)0.10・0.16H2O、[Mg0.71 Zn0.29]0.7 Al0.30(OH)2(NO3)0.30、[Mg0.71 Zn0.29]0.7 Al0.30(OH)2(OOCHC=CHCOO)0.15、[Mg0.14 Ca0.57 Zn0.28]0.7 Al0.30(OH)2.3・0.25H2O等が挙げられ、[Mg0.75 Zn0.25]0.67 Al0.33(OH)2(CO3)0.165・0.45H2O、[Mg0.79 Zn0.21]0.7 Al0.3(OH)2(CO3)0.15、[Mg6/7 Cd1/7]0.7 Al0.3(OH)2(CH3COO)0.3・0.34H2O、[Mg5/7 Pd2/7]0.7 Al0.30(OH)2(CO3)0.15・0.52H2Oがロングラン成形性や相分離により発生する異物の抑制効果を示して好適に使用される。
【0026】
本発明の改質用の樹脂組成物中の金属化合物(C)の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜40重量%(更には1〜30重量%、特には3〜20重量%)であり、かかる金属化合物(C)の含有量が0.5重量%未満では、本発明の効果を十分に得られないことがあり、逆に40重量%を越えると、得られる成形物の外観が悪化したり、機械的特性が低下する傾向にあり好ましくない。
また、かかる金属化合物(C)は2種以上を併用することも可能であり、2種以上を併用する場合はその総計が上記の範囲内にあることが好ましい。
【0027】
かかる金属化合物(C)の粒子径については、特に限定されないが、好ましくは平均粒子径が10μm以下(更には5μm以下、特には1μm以下)であり、該平均粒子径が10μmを越えると、本発明の効果を十分に得られないことがあり好ましくない。
尚、ここで言う平均粒子径とは公知の測定法、例えば光透過遠心沈降法等によって測定される値である。
【0028】
本発明の改質用の樹脂組成物は、上記の通り、酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)、脂肪酸金属塩(B)及び/又は特定の金属化合物(C)からなるものであるが、かかる(A)と(B)及び/又は(C)を含有する改質用の樹脂組成物を得るに当たっては、特に限定されず、(1)(A)成分と(B)及び/又は(C)成分を溶融混練して混合する方法、(2)(A)成分を溶解可能な溶剤中で均一に溶解してから(B)及び/又は(C)成分を混合した後に該溶剤を除去する方法等を挙げることができ、工業上好適には(1)の方法が用いられ、かかる方法について更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0029】
(A)成分と(B)及び/又は(C)成分を溶融混練して混合するのであるが、その手段としては、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミルなどの公知の溶融混練装置を使用して行うことができ、通常は150〜300℃(更には170〜280℃)で、1分〜20分間程度溶融混練することが好ましく、特に単軸又は二軸の押出機を用いることが容易に樹脂組成物のペレットが得られる点で工業上有利であり、また必要に応じて、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも好ましい。特に、水分や副生成物(熱分解低分子量物等)を除去するために、押出機に1個以上のベント孔を設けて減圧下に吸引したり、押出機中への酸素の混入を防ぐために、ホッパー内に窒素等の不活性ガスを連続的に供給したりすることにより、熱着色や熱劣化が軽減された品質の優れた改質用の樹脂組成物を得ることができる。
【0030】
また、溶融混練に際して、押出機等の溶融混練装置に(A)〜(C)成分を供給する方法についても特に限定されず、1)(A)成分と(B)及び/又は(C)成分をドライブレンドして一括して押出機等に供給する方法、2)(A)成分を押出機等に供給して溶融させたところに固体状の(B)及び/又は(C)成分を供給する方法(ソリッドサイドフィード法)等を挙げることができる。
【0031】
かくして本発明の改質用の樹脂組成物が得られるのであるが、かかる樹脂組成物には、更に、必要に応じて、可塑剤、滑剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤などの添加剤を配合したり、他の熱可塑性樹脂をブレンドすることも可能である。
【0032】
特に、該樹脂組成物の熱安定性の向上を目的として、フェノール系、リン系、硫黄系等の公知の酸化防止剤を配合することが好ましく、かかる酸化防止剤の具体例としては、例えば、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5・5)ウンデカンなどのヒンダードフェノール系化合物。
【0033】
トリフェニルホスファイト、トリス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のトリアリールホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイトの如きモノアルキルジフェニルホスファイトや、フェニルジイソオクチルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイトの如きジアルキルモノフェニルホスファイト等のアルキルアリールホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリステアリルホスファイト等のトリアルキルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどのフォスファイト系化合物。
【0034】
ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリルチオプロピオネート)、テトラキス〔メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート〕メタン、ビス〔2−メチル−4−{3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ}−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミスチリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリル−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどのチオエーテル系化合物。
【0035】
コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルペピリジン重縮合物、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などのヒンダードアミン系化合物。
【0036】
2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラ−ヒドロフタリミド−メチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物。
【0037】
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン)等のベンゾフェノン系化合物などを挙げることができる。また、かかる酸化防止剤は2種以上を併用することも可能であり、特にフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤の組み合わせが好適である。
【0038】
該酸化防止剤の性状としては、粉末状、顆粒状、液体状、ペースト状、エマルジョン状等任意の形態のものが使用可能である。
【0039】
かくして本発明の改質用の樹脂組成物が得られるのであるが、本発明においては、かかる改質用の樹脂組成物を、EVOH層を含有する積層体、例えば少なくとも熱可塑性樹脂層/EVOH層からなる積層体を再使用する時の該積層体の粉砕物に配合することを特徴とするものであり、以下この点について詳細に説明する。
【0040】
少なくとも熱可塑性樹脂層/EVOH層からなる積層体に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、共重合ポリアミド、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族および脂肪族ポリケトン、脂肪族ポリアルコール等が挙げられ、好適にはポリオレフィン系樹脂が用いられる。
【0041】
かかるポリオレフィン系樹脂としては、具体的に直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン(PP)、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのブレンド物などの広義のポリオレフィン系樹脂を挙げることができ、なかでも、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、ポリプロピレン(PP)及びこれらのブレンド物が、本発明の効果が好適に得られる点で好ましい。
【0042】
少なくとも熱可塑性樹脂層/EVOH層からなる積層体に用いられるEVOHとしては、特に限定されないが、エチレン含量10〜70モル%(更には15〜60モル%、特には20〜50モル%)で、酢酸ビニル成分のケン化度が90モル%以上(更には95モル%以上、特には99モル%以上)のものが用いられ、該エチレン含有量が10モル%未満では高湿時のガスバリア性、溶融成形性が低下し、逆に70モル%を越えると充分なガスバリア性が得られず、更にケン化度が90モル%未満ではガスバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下して好ましくない。
【0043】
また、EVOHのメルトフローレート(MFR)は、0.5〜50g/10分(210℃、2160g荷重)が好ましく、更には1〜35g/10分(同上)が好ましい。かかるMFRが0.5g/10分(同上)未満では、粘度が高くなり過ぎて溶融押出しが困難となることがあり、逆に50g/10分(同上)を越えると、製膜性が不安定となることがあり好ましくない。
【0044】
該EVOHは、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することによって得られ、該エチレン−酢酸ビニル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造され、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
【0045】
また、本発明では、本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。又、本発明の趣旨を損なわない範囲で、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化等、後変性されても差し支えない。
【0046】
本発明では、かかるEVOHがホウ素化合物、リン酸又はその化合物、脂肪酸塩から選ばれる少なくとも1種を含有してなる。かかるホウ素化合物としては、ホウ酸またはその金属塩、例えばホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホウ砂、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)が用いられる。
【0047】
また、リン酸又はその化合物としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸水素亜鉛、リン酸水素バリウム、リン酸水素マンガン等を挙げることができ、好適にはリン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素マグネシウムが用いられる。
更に、脂肪酸塩としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)やアルカリ土類塩(マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等)や亜鉛金属塩、マンガン金属塩などを挙げることができ、好適には酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムが用いられる。
【0048】
上記成分の含有量としては、特に限定されないが、かかる成分がホウ素化合物の場合は、EVOH中にホウ素換算で0.001〜1重量%(更には0.002〜0.5重量%、特に0.002〜0.1重量%)とすることが好ましく、かかる成分がリン酸又はその化合物の場合は、EVOH中にリン酸根換算で0.0005〜0.1重量%(更には0.001〜0.05重量%、特に0.002〜0.03重量%)とすることが好ましく、かかる成分が脂肪酸塩の場合は、EVOH中に金属換算で0.001〜0.05重量%(更には0.0015〜0.04重量%、特に0.002〜0.03重量%)とすることが好ましく、かかる成分の含有量が上記量未満では、ロングラン成形性と耐層間剥離性の相乗効果の発現が乏しくなり、上記量を越えると、得られる成形物の外観が悪化することがあり好ましくない。かかる成分として、ホウ素化合物、リン酸又はその化合物、脂肪酸塩の中から2種以上を併用する場合は、それぞれの含有量が上記の条件を満足することが好ましい。
【0049】
これらの成分をEVOHに含有させるに当たっては、特に限定されず、公知の方法を採用することができ、例えば、ア)含水率20〜80重量%のEVOHの多孔性析出物を、上記成分の水溶液と接触させて、上記成分を含有させてから乾燥する方法、イ)EVOHの均一溶液(水/アルコール溶液等)に上記成分を含有させた後、凝固液中にストランド状に押し出し、次いで得られたストランドを切断してペレットとして、更に乾燥処理をする方法、ウ)EVOHと上記成分を一括して混合してから押出機等で溶融混練する方法、エ)EVOHの製造時において、ケン化工程で使用したアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を酢酸等の酸類で中和して、残存する酢酸等の酸類や副生成する酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属塩の量を水洗処理により調整したりする方法等を挙げることができる。その効果をより顕著に得るためには、酸類やその金属塩の分散性に優れるア)、イ)またはエ)の方法が好ましい。
【0050】
更に、本発明においては、かかるEVOHに本発明の目的を阻害しない範囲において、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤、無機塩(例えばハイドロタルサイト等)、可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど)、酸素吸収剤(例えば還元鉄粉類、亜硫酸カリウム、アスコルビン酸類、ハイドロキノン等)、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤(例えばタルク微粒子等)、スリップ剤(例えば無定形シリカ等)、充填材(例えば無機フィラー等)、他樹脂(例えばポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等)などを配合しても良い。
【0051】
また、EVOHとして、異なる2種以上のEVOHを用いることも可能で、このときは、エチレン含有量が5モル%以上異なり、及び/又はケン化度が1モル%以上異なり、及び/又はMFRの比が2以上であるEVOHのブレンド物を用いることにより、ガスバリア性や耐屈曲疲労性を保持したまま、更に柔軟性、熱成形性(高延伸時の延伸性、真空圧空成形や深絞り成形などの2次加工性)、製膜安定性等が向上するので有用である。異なる2種以上のEVOHの製造方法は特に限定されず、例えばケン化前のEVAの各ペーストを混合後ケン化する方法、ケン化後の各EVOHのアルコール又は水とアルコールの混合溶液を混合後ペレット化する方法、各EVOHペレットを混合後溶融混練する方法などが挙げられる。
【0052】
上記の積層体は、少なくとも熱可塑性樹脂層/EVOH層からなるものであるが、その層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができ、かかる接着性樹脂としては、種々のものを使用することができ、熱可塑性樹脂の種類によって異なり一概に言えないが、不飽和カルボン酸又はその無水物をオレフィン系重合体(上述の広義のポリオレフィン系樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができ、具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げられる。このときの、オレフィン系重合体に含有される不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、0.001〜3重量%が好ましく、更に好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、層間接着性が不充分となることがあり、逆に多いと接着性樹脂が架橋反応を起こし、成形性が悪くなることがあり好ましくない。また、これらの接着性樹脂には、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、更には他の熱可塑性樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
【0053】
かかる積層体の各層の厚みは、層構成、熱可塑性樹脂の種類、用途や容器形態、要求される物性などにより一概に言えないが、通常は、熱可塑性樹脂層は5〜5000μm(更には30〜1000μm)、EVOH層は5〜500μm(更には10〜200μm)、接着性樹脂層は5〜400μm(更には10〜150μm)程度の範囲から選択される。
【0054】
本発明においては、上記の如き、少なくとも熱可塑性樹脂層/EVOH層からなる積層体の製造時に発生する、製品のクズや端部の不要部分、或いは不良品を回収して再利用(スクラップリターン或いはリグラインド)しようとするものであり、かかる積層体の製造方法について具体的に説明する。
かかる積層体を製造するに当たっては、特に限定されず、積層方法としては、例えばEVOHのフィルム、シート等に熱可塑性樹脂を溶融押出ラミネートする方法、逆に熱可塑性樹脂からなる基材にEVOHを溶融押出ラミネートする方法、EVOHと熱可塑性樹脂とを共押出する方法、EVOH(層)と熱可塑性樹脂(層)とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等が挙げられる。上記の溶融押出時の溶融成形温度は、150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
【0055】
該積層体は、そのまま各種形状のものに使用されるが、更に該積層体の物性を改善したり目的とする任意の容器形状に成形するためには、加熱延伸処理が施されることも多い。ここで加熱延伸処理とは、熱的に均一に加熱されたフィルム、シート、パリソン状の積層体をチャック、プラグ、真空力、圧空力、ブローなどにより、カップ、トレイ、チューブ、ボトル、フィルム状に均一に成形する操作を意味し、かかる延伸については、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、できるだけ高倍率の延伸を行ったほうが物性的に良好で、延伸時にピンホールやクラック、延伸ムラや偏肉、デラミ等の生じない、ガスバリア性に優れた延伸成形物が得られる。
【0056】
延伸方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等が挙げられる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は60〜170℃、好ましくは80〜160℃程度の範囲から選ばれる。
【0057】
かくして得られた積層体の形状としては任意のものであってよく、フィルム、シート、テープ、カップ、トレイ、チューブ、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物等が例示される。又、得られる積層体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
【0058】
本発明においては、スクラップやバリが大量に発生するダイレクトブロー成形(連続式、アキュムレーター式)方法や、多層シートの二次加工成形(真空成形、圧空成形、真空圧空成形等)方法が特に有用に用いられる。例えば、EVOHと熱可塑性樹脂を共押出して得られたパリソンを金型で挟んで空気を吹き込んでブロー成形して、ボトルやチューブを作成したり、任意の方法で得たEVOHと熱可塑性樹脂からなる多層シートを真空力や圧空力により絞り成形して、カップやトレイを作製したりするのである。
【0059】
かくして、該積層体が得られるのであるが、その製品のクズや端部の不要部分、或いは不良品を再び押出機等で溶融成形に供するためには、これらのスクラップからなる成形物を粉砕する必要がある。
かかるスクラップ成形物の粉砕に当たっては、公知の粉砕機を使用することにより行うことができる。かかる粉砕品の形状や粒径については特に限定されないが、その見掛け密度が0.25〜0.85g/cc(更には0.3〜0.7g/cc、特には0.35〜0.6g/cc)であることが好ましく、かかる見掛け密度が0.25g/cc未満では、リグラインド層中のEVOHの分散が不良となり、得られる成形品のリグラインド層の溶融成形性や機械的特性が低下することがあり、逆に0.85g/ccを越えると、押出機での供給不良の発生によって得られる成形品のリグラインド層の溶融成形性が低下することがあり好ましくない。
【0060】
かかる見掛け密度については、粉砕機の粉砕刃の形状、粉砕刃の回転数、粉砕の処理速度、使用するメッシュの目開きの大きさなどを任意に調整することにより、コントロールすることが可能である。
尚、ここで言う見かけ密度とは、JIS−K6891の「5.3見かけ密度」試験方法に準拠して測定される値である。
【0061】
更に本発明では、かかる積層体の粉砕物中のEVOHの含有量が、0.1〜30重量%(更には0.3〜25重量%、特には0.5〜20重量%)であるとき、本発明の効果に特に優れる点で好ましく、かかるEVOHの含有量が0.1未満では、積層体粉砕物の溶融成形時のロングラン成形性の低下や相分離異物(目ヤニ)の発生、得られる成形物の層間剥離の発生や機械的特性の低下といった問題が発生しないことがあり、その改善の必要性に乏しく、逆に30重量%を越えると、本発明の効果を得ることが困難になることがあり好ましくない。
かかるEVOHの含有量については、積層体中のEVOH層の厚みに依存するものであるが、その含有量が30重量%を越える場合は、未使用の同じ熱可塑性樹脂や異なる熱可塑性樹脂を適当量混合して、その含有量を30重量%以下にすることが好ましい。
【0062】
かくして、積層体の粉砕物が得られるのであるが、本発明においては、かかる粉砕物に前述の(A)成分と(B)及び/又は(C)成分からなる改質用の樹脂組成物を配合して溶融成形するのである。
かかる粉砕物に改質用の樹脂組成物を配合するに当たっては、ロッキングミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー、ラインミキサー等の公知の混合装置を用いて配合させることが出来る。
かかる粉砕物と改質用の樹脂組成物の混合物(以下、ブレンド物と称す)は、直接成形品用の押出機に供給することもできるし、事前に1軸押出機や2軸押出機等の溶融混練機を用いて再ペレット化を行ってから、成形品用の押出機に供給することも可能である。
また、本発明においては、該ブレンド物を直接成形品用の押出機に供給しても、その溶融成形性や機械的特性に優れるため、生産性(経済性)を重要視するときは直接成形品用の押出機に供給することも好ましい。
【0063】
また、かかるブレンド物は、そのまま成形品用の押出機に供給することもできるし、未使用の同じ熱可塑性樹脂や異なる熱可塑性樹脂を適当量混合して押出機に供給することも可能であるが、本発明においては、粉砕物中のEVOHの含有量が30重量%を越えなければ、かかるブレンド物をそのまま成形品用の押出機に供給しても、その溶融成形性や機械的特性に優れ、生産性(経済性)の点で有利であるため好ましい。
【0064】
かかる粉砕物に対する改質用の樹脂組成物の配合量は、層構成、熱可塑性樹脂の種類、粉砕物中のEVOHの含有量、用途や容器形態、要求される物性などにより一概に言えないが、粉砕物100重量部に対して0.5〜50重量部(更には1〜30重量部、特には2〜10重量部)とすることが好ましく、かかる改質用の樹脂組成物の配合量が0.5重量部未満では、本発明の効果を得ることが困難になることがあり、逆に50重量部を越えると、得られる成形物の外観が悪化したり、成形時の臭気が大きくなったり、機械的特性が低下する傾向にあり好ましくない。
【0065】
かかるブレンド物を溶融成形して得られる成形品については、特に限定されず、その形状としては任意のものであってよく、フィルム、シート、テープ、カップ、トレイ、チューブ、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物、各種不定形成形物等が例示されるが、通常は前述の通り多層構造物のリグラインド層として有効利用されるのである。
【0066】
尚、リグラインド層に用いる粉砕物を得るための積層体とかかる多層構造物は、同じ樹脂を原料として同じ方法により成形される、即ち、該多層構造物の粉砕物を再びかかる多層構造物のリグライド層に用いることが一般的であるが、それに限定されるものではない。異なるEVOHや熱可塑性樹脂を用いた積層体からなる別の成形物(2種類以上の成形物を使用してもよい)の粉砕物を、かかる多層構造物のリグライド層に用いることや、かかる粉砕物と該多層構造物の粉砕物の混合物をリグラインド層に用いることも可能である。
【0067】
具体的な多層構造物の層構成としては、熱可塑性樹脂層/ブレンド物層/接着性樹脂層/EVOH層、熱可塑性樹脂層/ブレンド物層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層、熱可塑性樹脂層/ブレンド物層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/ブレンド物層/熱可塑性樹脂層や、更にはブレンド物層/EVOH層、ブレンド物層/接着性樹脂層/EVOH層、ブレンド物層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/EVOH層、ブレンド物層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層、ブレンド物層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/ブレンド物層/熱可塑性樹脂層、熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層/ブレンド物層/EVOH層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層等が挙げられる。
【0068】
かかる熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂、EVOH層に用いられるEVOH、接着性樹脂層に用いられる接着性樹脂としては、特に限定されず、前述の積層体に例示されるものを用いることができる。
また、本発明で得られる多層構造物の各層には、成形加工性、物性等の向上のために酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、着色剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、無機・有機充填材等を本発明の効果を阻害しない範囲で添加することもできる。
【0069】
上記の多層構造物は、シートやフィルム状だけでなく、上記の共押出成形法、共射出成形法、共押出インフレ成形法やブロー成形法等により、パイプ・チューブ状やタンク・ボトル等の容器等に成形することができ、更には該多層構造物を100〜150℃程度に再度加熱して、ブロー延伸法や絞り成形法(真空成形、圧空成形、真空圧空成形等)等により延伸して、ボトル、チューブ、カップ、トレイ等の容器等に成形することも可能である。
【0070】
かくして得られた多層構造物は、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品、洗剤、香粧品、工業薬品、農薬、燃料等各種の容器として有用であるが、特に、マヨネーズ、ケチャップ、ソース、味噌、わさび、からし、焼肉等のたれ等の半固形状食品・調味料、サラダ油、みりん、清酒、ビール、ワイン、ジュース、紅茶、スポーツドリンク、ミネラルウォーター等の液体状飲料・調味料用のボトル状容器やチューブ状容器、ゼリー、プリン、ヨーグルト、マヨネーズ、味噌等の半固形状食品・調味料用のカップ状容器や、生肉、畜肉加工品(ハム、ベーコン、ウインナー等)用のトレー状容器の用途に有用である。
【0071】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中「部」、「%」とあるのは、特に断わりのない限り、重量基準を意味する。また、EVOH中の各成分の含有量の測定にあたっては、以下の方法によって測定した。
【0072】
ホウ素化合物:樹脂組成物をアルカリ溶融して、IPC発光分光分析により、ホウ素量を定量
リン酸化合物:樹脂組成物を温希硫酸抽出して、吸光光度法(モリブデン青)により、リン酸根を定量(JIS K 0102に準拠)
脂肪酸塩 :樹脂組成物を灰化後、塩酸水溶液に溶解して、原子吸光分析により、それぞれの金属量を定量
以下の樹脂や化合物等を用意した。
【0073】
[酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)]
A1;無水マレイン酸グラフト変性高密度ポリエチレン(無水マレイン酸グラフト変性量0.2%)
A2;無水マレイン酸グラフト変性高密度ポリエチレン(無水マレイン酸グラフト変性量1.0%)
A3;無水マレイン酸グラフト変性低密度ポリエチレン(無水マレイン酸グラフト変性量0.4%)
A4;無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン(無水マレイン酸グラフト変性量0.4%)
【0074】
[脂肪酸金属塩(B)]
B1;ステアリン酸カルシウム(日本油脂社製『ニッサンカルシウムステアレートS』)
B2;ステアリン酸マグネシウム(栄伸化成社製『EM−100』)
B3;塩基性12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム(栄伸化成社製『EMS−6』)
【0075】
[金属化合物(C)]
C1;Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O(協和化学工業社製『DHT−4A』、平均粒径0.4μm)
C2;Mg3ZnAl2(OH)12CO3・3H2O(協和化学工業社製『ZHT−4A』、平均粒径0.4μm)
【0076】
実施例1
酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)としてA1を、及び脂肪酸金属塩(B)としてB1を、A1/B1=92/8(重量比)の割合で混合して、同方向2軸押出機にて溶融混練して、改質用の樹脂組成物のペレットを得た。
尚、溶融混練成形条件は以下の通りである。
【0077】
【0078】
別途、EVOH[エチレン含有量32モル%、ケン化度99.6モル%、MFR3.5g/10min(210℃、荷重2160g)、ホウ酸をホウ素換算で0.03%含有]、熱可塑性樹脂[高密度ポリエチレン、日本ポリケム社製『ノバテックHD HB431』、MFR0.35g/10min(190℃、荷重2160g)]、接着性樹脂[無水マレイン酸変性高密度ポリエチレン、三菱化学社製『モディックAP H521』]を用いて、共押出多層ダイレクトブロー成形機(プラコー社製)に供給して、[内側]熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層[外側]の構成の多層パリソン(外径15mm)を押出した後、金型で挟み込み空気を吹き込んで膨らませ、金型に密着させて、内容積約500cc、胴部の径80mm、高さ165mmの多層ボトル(積層体)を得た。かかる多層ボトルの各層厚みは、[内側]熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層[外側]=400/25/50/25/500(μm)であった。
尚、上記のパリソン成形から吹き込み成形時の条件は、以下の通りであった。
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
続いて、得られた多層ボトルや成形時に発生したバリやスクラップを粉砕機(径8mmφメッシュ)で粉砕して、該積層体の粉砕物(見掛け密度0.42g/cc)を得た。尚、かかる積層体の粉砕物中のEVOHの含有量は6.1%であった。
かかる積層体の粉砕物100部に対して、上記で得られた改質用の樹脂組成物のペレット5部を添加して、タンブラーにてドライブレンドして得られたブレンド物を共押出多層ダイレクトブロー成形機のリグラインド層用の押出機に供給し、同様にして、[内側]熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/リグラインド(ブレンド物)層/熱可塑性樹脂層[外側]=400/25/50/25/400/100(μm)の構成の多層ボトル(多層構造物)を作製し、発生したバリやスクラップを同様に粉砕して改質用の樹脂組成物のペレット5部を添加して、同様に多層ボトルを得る操作を20回繰り返して、以下の評価を行った。
尚、かかる多層構造物の粉砕物(ブレンド物)中のEVOHの含有量は、1回目において8.4%であり、20回目において9.8%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は6.1〜9.8%の範囲内であった。
【0084】
上記の工程において、以下の要領で評価を行った。
(ロングラン成形性)
上記の操作を20回繰り返した後の多層ボトルの外観を目視で観察し、以下の通り評価した。
▲1▼表面平滑性
多層ボトル側面のリグラインド層を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○・・・スジ・波状の模様や透明性の低下が殆ど認められない。
△・・・スジ・波状の模様や透明性の低下が若干認められる。
×・・・スジ・波状の模様や透明性の低下が著しく認められる。
▲2▼フィッシュアイ
多層ボトル側面のリグラインド層中の100cm2当たりの直径が0.4mm以上のフィッシュアイの個数を測定し、下記の基準で評価した。
○・・・2個未満
△・・・2〜4個
×・・・5個以上
【0085】
(相分離異物−目ヤニ−の抑制)
上記の20回の成形操作中における、リグラインド層/熱可塑性樹脂層の層間及びリグラインド層/接着性樹脂層の層間への目ヤニの混入の頻度を観察し、下記の基準で評価した。
○・・・目ヤニの混入が2回未満
△・・・目ヤニの混入が2〜10回
×・・・目ヤニの混入が10回を越える
【0086】
(耐層間剥離性)
上記の成形操作を10回繰り返した後の多層ボトルに水を充填し、該ボトルを水平(横向き)に保ち、1.2mの高さから地面に設置した金属製の三角錐の上に自由落下させる操作を10個のボトルについて行って、該三角錐で衝撃を受けたボトル側面部のリグラインド層と隣接層の層間剥離の有無を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○・・・10個のボトル全てに層間剥離は認められなかった
△・・・1〜3個のボトルに層間剥離が認められた
×・・・4個以上のボトルに層間剥離が認められた
【0087】
(機械的特性)
上記の成形操作を10回繰り返した後の多層ボトルに水を充填し、上記と同様の落下操作を行い、ボトル側面部のリグラインド層のクラックの発生の有無を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○・・・10個のボトル全てにクラックの発生は認められなかった
△・・・1〜3個のボトルにクラックの発生が認められた
×・・・4個以上のボトルにクラックの発生が認められた
【0088】
実施例2
実施例1において、酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)としてA1を、金属化合物(C)としてC1を、A1/C1=90/10(重量比)の割合で混合した以外は同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.42g/ccであった。
【0089】
実施例3
実施例1において、酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)としてA1を、脂肪酸金属塩(B)としてB2を、金属化合物(C)としてC2を、A1/B2/C2=84/6/10(重量比)の割合で混合した以外は同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。但し、改質用の樹脂組成物のペレットの添加量は、積層体の粉砕物100部に対して一律3部とした。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.42g/ccで、多層構造物の粉砕物(ブレンド物)中のEVOHの含有量は、1回目において8.4%であり、20回目において9.9%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は6.1〜9.9%の範囲内であった。
【0090】
実施例4
実施例1において、酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)として、高密度ポリエチレン[日本ポリケム社製『ノバテックHD HB431』]とA2の混合物を、脂肪酸金属塩(B)としてB3を、高密度ポリエチレン/A2/B3=66/28/6(重量比)の割合で混合した以外は同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。但し、改質用の樹脂組成物のペレットの添加量は、積層体の粉砕物100部に対して一律8部とした。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.42g/ccで、多層構造物の粉砕物(ブレンド物)中のEVOHの含有量は、1回目において8.3%であり、20回目において9.6%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は6.1〜9.6%の範囲内であった。
【0091】
実施例5
実施例1において、酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)として、高密度ポリエチレン[日本ポリケム社製『ノバテックHD HB431』]とA2の混合物を、金属化合物(C)としてC2を、高密度ポリエチレン/A2/C2=62/26/12(重量比)の割合で混合した以外は同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。但し、改質用の樹脂組成物のペレットの添加量は、積層体の粉砕物100部に対して一律3部とした。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.42g/ccで、多層構造物の粉砕物(ブレンド物)中のEVOHの含有量は、1回目において8.4%であり、20回目において9.9%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は6.1〜9.9%の範囲内であった。
【0092】
実施例6
実施例1において、酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)として、高密度ポリエチレン[日本ポリケム社製『ノバテックHD HB431』]とA2の混合物を、金属化合物(C)としてC2を、高密度ポリエチレン/A2/C3=78/15/7(重量比)の割合で混合した以外は同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。但し、改質用の樹脂組成物のペレットの添加量は、積層体の粉砕物100部に対して一律3部とした。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.42g/ccで、多層構造物の粉砕物(ブレンド物)中のEVOHの含有量は、1回目において8.4%であり、20回目において9.9%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は6.1〜9.9%の範囲内であった。
【0093】
実施例7
実施例1において、酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)として、高密度ポリエチレン[日本ポリケム社製『ノバテックHD HB431』]とA2の混合物を、脂肪酸金属塩(B)としてB1を、金属化合物(C)としてC1を、高密度ポリエチレン/A2/B1/C1=56/33/4/7(重量比)の割合で混合した以外は同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.42g/ccであった。
【0094】
実施例8
実施例1において、EVOHとして、エチレン含有量38モル%、ケン化度99.6モル%、MFR3.0g/10min(210℃、荷重2160g)で、リン酸二水素カルシウムをリン酸根換算で0.01%含有したものを用いた以外は同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.42g/ccであった。
【0095】
実施例9
実施例2において、EVOHとして、エチレン含有量34モル%、ケン化度99.7モル%、MFR4.0g/10min(210℃、荷重2160g)で、酢酸カルシウムをカルシウム換算で0.005%及び酢酸マグネシウムをマグネシウム換算で0.003%含有したものを用いた以外は実施例2と同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.42g/ccであった。
【0096】
実施例10
実施例1において、最初の多層ボトルの各層厚みを、[内側]熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層[外側]=400/35/80/35/600(μm)として(かかる積層体の粉砕物中のEVOHの含有量は8.5%)、これ以降の多層ボトルの各層厚みを、[内側]熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/リグラインド層/熱可塑性樹脂層[外側]=400/35/80/35/350/250(μm)(かかる多層構造物の粉砕物中のEVOHの含有量は、1回目において10.9%であり、20回目において11.9%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は8.5〜11.9%の範囲内とした以外は実施例1と同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。
【0097】
実施例11
実施例3において、最初の多層ボトルの各層厚みを、[内側]熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層[外側]=350/20/35/20/350(μm)として(かかる積層体の粉砕物中のEVOHの含有量は5.6%)、これ以降の多層ボトルの各層厚みを、[内側]熱可塑性樹脂層/リグラインド層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/リグラインド層/熱可塑性樹脂層[外側]=200/150/20/35/20/150/200(μm)(かかる多層構造物の粉砕物中のEVOHの含有量は、1回目において7.6%であり、20回目において8.8%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は5.6〜8.8%の範囲内とした以外は実施例3と同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。
【0098】
実施例12
酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)としてA3を、脂肪酸金属塩(B)としてB1を、A3/B1=90/10(重量比)の割合で混合した以外は実施例1と同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得た。
更に、実施例1の多層ボトルの作製以降において、熱可塑性樹脂として、低密度ポリエチレン[日本ポリケム社製『ノバテックLD LF241E』、MFR0.7g/10min(190℃、荷重2160g)]を、接着性樹脂として、無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン[三菱化学社製『モディックAP L502』]を用いて、最初の多層ボトルの各層厚みを、[内側]熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層[外側]=150/10/20/10/180(μm)として(かかる積層体の粉砕物中のEVOHの含有量は6.8%)、これ以降の多層ボトルの各層厚みを、[内側]熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/リグラインド層/熱可塑性樹脂層[外側]=150/10/20/10/100/80(μm)(かかる多層構造物の粉砕物中のEVOHの含有量は、1回目において8.5%であり、20回目において9.1%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は6.8〜9.1%の範囲内とした以外は同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。但し、改質用の樹脂組成物のペレットの添加量は、積層体の粉砕物100部に対して一律8部とした。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.41g/ccであった。
【0099】
実施例13
実施例12において、酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)としてA3を、金属化合物(C)としてC2を、A3/C2=90/10(重量比)の割合で混合した以外は同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。但し、改質用の樹脂組成物のペレットの添加量は、積層体の粉砕物100部に対して一律5部とした。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.41g/ccで、多層構造物の粉砕物(ブレンド物)中のEVOHの含有量は、1回目において8.6%であり、20回目において9.2%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は6.8〜9.2%の範囲内であった。
【0100】
実施例14
実施例12において、酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)としてA3を、脂肪酸金属塩(B)としてB1を、金属化合物(C)としてC1を、A3/B1/C1=84/6/10(重量比)の割合で混合した以外は同様に行って、改質用の樹脂組成物もペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。但し、改質用樹脂組成物ペレットの添加量は、積層体の粉砕物100部に対して一律3部とした。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.41g/ccで、多層構造物の粉砕物(ブレンド物)中のEVOHの含有量は、1回目において8.6%であり、20回目において9.2%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は6.8〜9.2%の範囲内であった。
【0101】
実施例15
実施例12において、EVOHとして、エチレン含有量38モル%、ケン化度99.6モル%、MFR3.0g/10min(210℃、荷重2160g)で、リン酸二水素カルシウムをリン酸根換算で0.01%含有したものを用いた以外は実施例12と同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.41g/ccであった。
【0102】
実施例16
実施例12において、最初の多層ボトルの各層厚みを、[内側]熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層[外側]=150/10/20/10/180(μm)として(かかる積層体の粉砕物中のEVOHの含有量は6.8%)、これ以降の多層ボトルの各層厚みを、[内側]熱可塑性樹脂層/リグラインド層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/リグラインド層/熱可塑性樹脂層[外側]=50/100/10/20/10/130/50(μm)(かかる多層構造物の粉砕物中のEVOHの含有量は、1回目において10.7%であり、20回目において15.7%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は6.8〜15.7%の範囲内とした以外は実施例12と同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.41g/ccであった。
【0103】
実施例17
酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)としてA4を、脂肪酸金属塩(B)としてB2を、A4/B2=92/8(重量比)の割合で混合した以外は実施例1と同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得た。
更に、実施例1の多層ボトル作製以降において、熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン[日本ポリケム社製『ノバテックPP EA9』、MFR0.5g/10min(230℃、荷重2160g)]を、接着性樹脂として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン[三菱化学社製『モディックAP P513V』]を用いた以外は実施例1と同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。但し、改質用の樹脂組成物のペレットの添加量は、積層体の粉砕物100部に対して一律8部とした。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.40g/ccで、多層構造物の粉砕物(ブレンド物)中のEVOHの含有量は、1回目において8.8%であり、20回目において10.2%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は6.5〜10.2%の範囲内であった。
【0104】
実施例18
実施例17において、酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)としてA4を、金属化合物(C)としてC1を、A4/C1=90/10(重量比)の割合で混合した以外は同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。但し、改質用樹脂組成物ペレットの添加量は、積層体の粉砕物100部に対して一律5部とした。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.40g/ccで、多層構造物の粉砕物(ブレンド物)中のEVOHの含有量は、1回目において8.9%であり、20回目において10.4%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は6.5〜10.4%の範囲内であった。
【0105】
実施例19
実施例17において、酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)としてA4を、脂肪酸金属塩(B)としてB2を、金属化合物(C)としてC2を、A4/B2/C2=84/6/10(重量比)の割合で混合した以外は同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。但し、改質用樹脂組成物ペレットの添加量は、積層体の粉砕物100部に対して一律3部とした。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.40g/ccで、多層構造物の粉砕物(ブレンド物)中のEVOHの含有量は、1回目において8.9%であり、20回目において10.5%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は6.5〜10.5%の範囲内であった。
【0106】
実施例20
実施例17において、EVOHとして、エチレン含有量34モル%、ケン化度99.7モル%、MFR4.0g/10min(210℃、荷重2160g)で、酢酸カルシウムをカルシウム換算で0.005%及び酢酸マグネシウムをマグネシウム換算で0.003%含有したものを用いた以外は実施例17と同様に行って、改質用の樹脂組成物のペレットを得て同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.40g/ccであった。
【0107】
実施例21
実施例17において、最初の多層ボトルの各層厚みを、[内側]熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層[外側]=350/20/35/20/350(μm)として(かかる積層体の粉砕物中のEVOHの含有量は5.6%)、これ以降の多層ボトルの各層厚みを、[内側]熱可塑性樹脂層/リグラインド層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/リグラインド層/熱可塑性樹脂層[外側]=200/150/20/35/20/150/200(μm)(かかる多層構造物の粉砕物中のEVOHの含有量は、1回目において7.9%であり、20回目において9.1%で、かかる全ての操作中における該EVOHの含有量は5.9〜9.1%の範囲内とした以外は実施例17と同様に多層ボトルを得る操作を繰り返して、同様に評価を行った。
尚、積層体の粉砕物の見掛け密度は0.40g/ccであった。
【0108】
比較例1
実施例1において、リグライド層に改質用の樹脂組成物のペレットを配合せずに多層ボトルの製造を繰り返して、同様に評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0109】
【0110】
【発明の効果】
本発明の改質用の樹脂組成物は、リグラインド層を有する多層構造物の成形時に該リグラインド層に配合することにより、ロングラン成形性に優れ、目ヤニの成形物への混入を防ぎ、リグラインド層と隣接層の層間接着力を高め、更にはリグラインド層の耐衝撃性等の機械的強度を高めることができ、各種多層構造物の成形時に有用である。
Claims (7)
- 酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)、脂肪酸金属塩(B)及び/又は金属化合物(C)を含有する樹脂組成物を、少なくとも熱可塑性樹脂層、及び、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層の2層を有する積層体を再使用する時の該積層体の粉砕物に配合して、ブレンド物を得た後、該ブレンド物を溶融成形物の製造に供する樹脂組成物の使用方法であって、積層体の粉砕物中のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が、ホウ素化合物、リン酸又はその化合物、脂肪酸塩から選ばれる少なくとも1種を含有し、かつ金属化合物(C)がハイドロタルサイト系化合物及び/又はハイドロタルサイト系固溶体であることを特徴とする樹脂組成物の使用方法。
- 酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A)の酸グラフト変性量が0.01〜5重量%であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物の使用方法。
- ブレンド物中の樹脂組成物の配合量が、積層体の粉砕物100重量部に対して0.5〜50重量部であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物の使用方法。
- 積層体の粉砕物中のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の含有量が0.1〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の樹脂組成物の使用方法。
- 溶融成形物が、少なくとも熱可塑性樹脂層/ブレンド物層/接着性樹脂層/エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層の層構成を有する多層構造物であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の樹脂組成物の使用方法。
- 溶融成形物が、少なくとも熱可塑性樹脂層/ブレンド物層/接着性樹脂層/エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層の層構成を有する多層構造物であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の樹脂組成物の使用方法。
- 溶融成形物が、少なくとも熱可塑性樹脂層/ブレンド物層/接着性樹脂層/エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層/接着性樹脂層/ブレンド物層/熱可塑性樹脂層の層構成を有する多層構造物であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の樹脂組成物の使用方法。
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