【発明の詳細な説明】
抗ガン剤としてのDNA結合インドール誘導体、
そのプロドラッグ、および免疫結合体
発明の背景
本発明は、抗腫瘍剤およびDNA標識薬剤として有用な新規のDNAアルキル化剤お
よびこれらの薬剤のプロドラッグに関する。
CC-1065(図1)は、1981年にStreptomyces zelensisから、最初にUpjohn Com
pany(Hankaら、J.Antibiot.(1978)31:1211; Martinら、J.Antibiot.(198
0)33:902;Martinら、J.Antibiot.(1981)34:1119)によって単離され、そし
てインビトロおよび実験動物の両方において、強力な抗腫瘍および抗菌活性を有
することが見出された(Liら、Cancer Res.(1982)42:999;Martinら(1981))。C
C-1065は、副溝内で二重鎖B-DNAに(配列5'-d(A/GNTTA)-3'および5'-d(AAAAA)-3
'に好んで)結合し(Swensonら、Cancer Res.(1982)42:2821)、そして分子内
に存在するそのCPI左手単位によって3'アデニンのN3位をアルキル化する(Hurley
ら、Science(1984)226:843)。その強力で広範な抗腫瘍活性にもかかわらず、C
C-1065は、ヒトにおいて使用され得ない。なぜなら、それは実験動物において遅
延した死を引き起こすからである。
多くのCC-1065アナログが合成されている。これらの合成アナログのいくつか
は、U-73975(図1、アドゼレシン(adozelesin)、Aristof,Adv.Med.Chem.(1
993)2:67); U-77779(ビゼレシン(bizelesin)、Aristoff(1993)); U-80244(図1
、カーゼレシン(carzelesin),Aristoff,(1993)); KW-2189(Ogasawaraら、Jpn
.J.Cancer Res.(1994)85:418); YW-052,YW-053,(図1、WangおよびLown,
Book of Abstracts-209th Amer.Chem.Soc.National Meeting(1995));CBI-CDP
I1およびCBI-CDPI2(BogerおよびJohnson,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(19
95)92:3642)である。U-73975、U-77779、およびU-80244は、合衆国において臨
床試験中であり(Aristoff,1993)、そしてKW 2189は、日本において臨床試験中
である(Niitaniら、Proceeding.Amer.Asso.Cancer Res.(1995)243)。
モノクローナル抗体結合体、DCl(図3、Chari,R.V.J.ら、Cancer Res.,(1
995)55:4079)が最近報告されている。
別のクラスの関連の化合物には、ネトロプシン(netropsin)(Julia,M.ら、Aca
d.Sci.(1963)257:1115)およびジスタマイシン(distamycin)(Arcamone,F.M.ら
、Gazz.Chim.Ital.(1967)97:1097)が含まれる。これらの構造は、図2に示さ
れる。両方の化合物が、正に荷電している。これらの化合物は、それらの低治療
効力のために抗腫瘍剤として使用されない。このクラスの化合物の合成アナログ
であるFCE24517(図2、Arcamone,F.M.ら、J.Med.Chem.(1989)32:774)が
報告された。FCE24517は、安息香酸ナイトロジェンマスタードおよびオリゴピロ
ールの結合体であり、そして現在臨床試験中である。
現在使用されている抗腫瘍薬物の制限は、正常組織に対する癌性細胞への選択
性のなさである。正常組織に対して癌性細胞に選択的である強力な化合物を提供
することが所望である。DNAを選択的に標識する標識薬剤を提供することはまた
有用である。本発明は、これらおよび関連の必要性を満たす。
発明の要旨
本発明は、以下の式の化合物を提供する:
R1−(C(O)−R2−R3−NH)m−(C(O)−R3−NH)n−R4
ここで:
R1は、以下からなる群から選択される:
ここで:
各R2は、同じであるかまたは異なり、そして原子価結合であるかまたは2価
ヒドロカルビル基である;
各R3は、同じであるかまたは異なり、そして2価の単環式または二環式ヘテ
ロ環式芳香族基である;
mおよびnは0〜3の整数であり、ここで、m+nは3以下である;そして
R4は、独立して以下である:
H;C1-C6アルキル;C1-C6ヒドロキシアルキル;C1-C6ヒドロキシシクロ
アルキル;ヒドロキシフェニル;ヒドロキシメチルフェニル;ヒドロキシベンジ
ル;C1-C6アミノアルキル;C1-C6アルキルアミノC1-C6アルキル;ジ-(C1-C6)-ア
ルキルアミノC1-C6アルキル;C1-C6ウレイドアルキル;正に荷電した置換基を有
するアルキル基;Z、ここで、ZはXまたはYのいずれかであり、ここで、Xは
、式Iの構造であり、
そしてYは、式IIの構造である、
あるいはC(O)R5であり、ここで、R5は独立して以下である:
NH2;C1-C6アルキル;C1-C6ヒドロキシアルキル;C1-C6ヒドロキシシクロ
アルキル;ヒドロキシフェニル;ヒドロキシメチルフェニル;ヒドロキシベンジ
ル;C1-C6アミノアルキル;C1-C6アルキルアミノC1-C6アルキル;ジ-(C1-C6)-ア
ルキルアミノC1-C6アルキル;C1-C6ウレイドアルキル;正に荷電した置換基を有
するC1-C6アルキル基;C1-C6アルキル-NHZ;C1-C6シクロアルキル-NHZ;フェニ
ル-NHZ;-CH2-フェニル-NHZ;-フェニル-CH2-NHZ;L-S、ここで、Lは連結基で
あり、そしてSは酵素に対する基質である;C1-C6アルキル-OR6;C1-C6シクロア
ルキル-OR6;フェニル-OR6;-CH2-フェニル-OR6;または-フェニル-CH2-OR6、こ
こで、R6は、以下からなる群から選択される: ただし、R4がHもしくはC1-C6アルキルである場合またはR5がNH2、C1-C6ア
ルキル、もしくはC1-C6アミノアルキルである場合、R3のうちの1つ以上がピロ
ールもしくはイミダゾールであるとき、R1はCPIでもCPI-Clでもない;ただし、
R4がHもしくはC1-C6アルキルである場合またはR5がNH2もしくはC1-C6アルキ
ルである場合、以下の通りである:
(1)m+nが1であり、かつR3がキノリンもしくはインドールであ
るとき、R1はCPIでもCPI-Clでもない;
(2)m+nが2であり、かつ両方のR3がインドールであるとき、R1
は、CBIでもCBI-ClでもCPIでもCPI-Clでもない;
ただし、R4がHもしくはC1-C6アルキルである場合、以下の通りである:
(1)m+nが1であり、かつR3がインドールであるとき、R1はCBI
でもCBI-Clでもない;
(2)m+nが2であり、かつR3のうちの1つがインドールもしくは
ベンゾフランであるとき、R1はCPIでもCPI-Clでもない。
本発明はまた、上記化合物に関連するプロドラッグ、特に、本発明の化合物が
酵素基質および抗体に結合しているプロドラッグを提供する。本発明はまた、本
明細書中に開示される化合物を用いる、腫瘍の増殖を阻害する方法を提供する。
さらに、本明細書中に開示される化合物およびそれらの誘導体は、DNAのアルキ
ル化およびDNAの標識に有用であり、これにより、DNAの検出、精製および単離の
手助けをする。
図面の簡単な説明
図1は、CC−1065、アドゼレシン、YW−052、YW−053、U−
80244、CBI−CDPI1、CBI−CDPI2、KW−2189およびU
−77779の構造を示す。
図2は、ネトロプシン、ジスタマイシンおよびFCE24517の構造を示す
。
図3は、DCIおよびそのモノクローナル抗体共役体の構造を示す。
図4は、ナイトロジェンマスタードグルクロニドおよびドキソルビシンβ−ラ
クタムのプロドラッグの構造を示す。
図5は、グルクロニドプロドラッグの活性化のメカニズムを示す。
図6は、β−ラクタムプロドラッグの活性化のメカニズムを示す。
図7は、本明細書で報告される本発明のCC−1065アナログおよびこれら
のプロドラッグを構築するために使用されるインドール誘導体の合成の経路を示
す。
図8は、CC−1065アナログおよびこれらのプロドラッグの合成の経路を
示す。
図9は、本発明の化合物のインビトロにおけるU937細胞に対するIC50値
を示す。
図10は、セファムプロドラッグYW−285の合成の経路を示す。
図11は、YW−242モノクローナル抗体共役体の合成の経路を示す。
好適な実施態様の記述
以下の定義は、本明細書で本発明を記述するために用いられる様々な用語の意
味および範囲を説明および定義するために述べられる。
用語「ヒドロカルビル」は、水素および他の元素が付く炭素鎖よりなる有機基
を意味する。この用語は、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール基
、飽和および不飽和結合、炭素環式環の混合物を有する基を含み、そしてこのよ
うな基の組み合わせを含む。これは直鎖、分岐鎖、環構造またはこれらの組み合
わせを意味し得る。
用語「アルキル」は、1〜20個の炭素原子よりなる分岐または直鎖の非環式
単価飽和炭化水素基を意味する。
用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子よりなるアルキル基を意味する
。この用語の例としてはさらに、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル
、イソブチル、sec−ブチル、n−ブチルおよびtert−ブチル、n−ヘキ
シルおよび3−メチルペンチルなどの基がある。
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、直鎖、
分岐鎖および環式基を含む不飽和炭化水素基を意味する。
用語「アリキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、直鎖、
分岐鎖および環状基を含む不飽和炭化水素基を意味する。
有機基または化合物それぞれに関連して本明細書で用いられる用語「低級」は
、6個を含む6個までの、好ましくは4個を含む4個までの炭素原子を有する基
または化合物であると定義される。このような基は直鎖または分岐鎖であり得る
。
用語「アリール」は、単一の環(例えば、フェニル)または多数の縮合環(例
えば、ナフチル)を有する芳香族炭素環式基を意味する。
用語「複素環式芳香族」は、環内に少なくとも1つのヘテロ原子、例えば窒素
、酸素または硫黄、を有する芳香族単環式または多環式基を意味する。例えば、
1つ以上の窒素原子を有する典型的なヘテロアリール基としては、テトラゾイル
、ピロリル、ピリジル(例えば、4−ピリジル、3−ピリジル、2−ピリジル)
、ピリダジニル、インドリル、キノリル(例えば、2−キノリル、3−キノリル
など)、イミダゾリル、イソキノリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル
、ピリドニルまたはピリダジノニルである;酸素原子を有する典型的な酸素ヘテ
ロアリール基としては、2−フリル、3−フリルまたはベンゾフラニルである;
典型的な硫黄ヘテロアリール基としては、チエニルおよびベンゾチエニルである
;典型的な混合ヘテロ原子ヘテロアリール基としては、フラザニル、オキサゾリ
ル、
イソキサゾリル、チアゾリルおよびフェノチアジニルである。さらに、この用語
はまた、環内のヘテロ原子が酸化されて、例えばN−オキシドまたはスルホンを
形成する事例をも含む。
用語「ウレイド」は、−NH−C(O)−NH2基を意味する。
用語「リンカー」は、本発明の化合物を抗体または酵素基質に結合するように
働き得る化学的および生物学的に適合可能な二価の原子集合を意味する。一般に
は、好適な結合基は、0〜20個の炭素、好ましくは0〜8個の炭素、より好ま
しくは、0〜3個の炭素、および/または0〜10個のヘテロ原子(NH、O、
S、Pなど)を有し、分岐鎖または直鎖であるか、もしくは環を含み得る。結合
は疎水性または親水性となるように設計され得る。結合基は単一および/または
二重結合、ならびに飽和または芳香族環を含み得る。結合基は、アミド、エステ
ル、リン酸塩、エーテル、硫化物、二硫化物、アミンなどの基を含み得る。
「ω置換基アルキル」という表現は、置換基がアルキル鎖の遠位端(すなわち
、末端)炭素にあることを意味する。
本発明は、新規のDNAアルキル化薬剤およびこれらのプロドラッグの合成、
生物学的評価、および治療への使用を含む。酵素活性を必要としない遊離ドラッ
グは、U937白血病細胞およびB16黒色腫細胞に対してインビトロにおいて
潜在的な抗腫瘍活性を有する(表1〜2)。
表1 本発明の化合物のU937細胞に対する細胞毒性表2 本発明の化合物のB16黒色腫に対する細胞毒性
これらはまた、マウスの腫瘍細胞に対して効果的であり、寿命を91%まで延
ばした。これらの化合物は、天然の生成物CC−1065の臨床的な使用を制限
してきた遅延死の兆候を示していない。他のCC−1065アナログ、U−73
975、U−77779、U−80244およびKW2189は、遅延死を引き
起こさず、現在臨床試験が行われている。
これらの新しい化合物のいくつかの1つの利点としては、側鎖のヒドロキシ基
またはアミノ基が水溶性を向上させることがある。水溶性が低いと抗腫瘍薬剤の
処方、投与が困難となり、また副作用をもたらす場合もあるため、これは重要な
特質である。
これらの化合物の別の利点は、複素環側鎖の端部のアミド結合、またはDNA
アルキル化部分と複素環側鎖とを接続する二重結合により、これらの分子のDN
A結合能力が増大し、これによりこれらの抗腫瘍活性が増大することである。水
溶性の向上およびDNA結合能力の増大により、これらの化合物の抗腫瘍活性が
向上する。
CC−1065とは異なり、これらの新しい化合物は、異なる複素環よりなる
。CC−1065はAT豊富な(rich)DNA配列に結合する。こららの新しい化
合物はAT豊富なDNA配列に結合する一方で、CGまたは混合ATおよびCG
のDNA配列などの、他のDNA配列にも結合する。従って、これらの化合物は
DNAに結合し標識し得る。
本発明の化合物の一般式は以下の通りである。
R1−(C (O)−R2−R3−NH)m−(C (O)−R3−NH)n−R4
ここで、R1は以下よりなる群から選択される。ここで:
各R2は同一または異なり、原子価結合または二価のヒドロカルビル基である
;
各R3は同一または異なり、二価の単環または二環式複素環芳香族基である。
mおよびnは0〜3の整数であり、ここでm+n≦3である;そして、R4は
独立して、
H;C1〜C6アルキル;C1〜C6ヒドロキシアルキル;C1〜C6ヒドロキシシ
クロアルキル;ヒドロキシフェニル;ヒドロキシメチルフェニル;ヒドロキシベ
ンジル;C1〜C6アミノアルキル;C1〜C6アルキルアミノC1〜C6アルキル;
ジ−(C1〜C6)−アルキルアミノC1〜C6アルキル;C1〜C6ウレイドアルキ
ル;正に帯電した置換基を有するアルキル基;Z、ここでZはXまたはYのいず
れかであり、ここでXは式I
の構造であり、Yは式II、
またはC(O)R5の構造であり、ここでR5は独立して、
NH2、C1〜C6アルキル;C1〜C6ヒドロキシアルキル;C1〜C6ヒドロキ
シシクロアルキル;ヒドロキシフェニル;ヒドロキシメチルフェニル;ヒドロキ
シベンジル;C1〜C6アミノアルキル;C1〜C6アルキルアミノC1〜C6アルキ
ル;ジ−(C1〜C6)−アルキルアミノC1〜C6アルキル;C1〜C6ウレイ
ドアルキル;正に帯電した置換基を有するC1〜C6アルキル基;C1〜C6アルキ
ル−NHZ;C1〜C6シクロアルキル−NHZ;フェニル−NHZ;−CH2−
フェニル−NHZ;−フェニル−CH2−NHZ;L−S、ここでLは結合基、
Sは酵素の置換基;C1〜C6アルキル−OR6;C1〜C6シクロアルキル−OR6
;フェニル−OR6;−CH2−フェニル−OR6;または−フェニル−CH2−O
R6、ここでR6は以下よりなる群から選択される:ただし、R4がHまたはC1〜C6アルキルであるとき、もしくはR5がNH2、C1
〜C6アルキルまたはC1〜C6アミノアルキルであるとき、R3の1つ以上がピロ
ールまたはイミダゾールであるときR1がCPIまたはCPI−C1でない場合
;R4がHまたはC1〜C6アルキルであるとき、もしくはR5がNH2またはC1〜
C6アルキルであるとき、
(1)m+n=1およびR3がキノリンまたはインドールであるときR1がCP
IまたはCPI−C1ではない;もしくは、
(2)m+n=2および両方のR3がインドールであるときR1がCBIまたは
CBI−C1もしくはCPIまたはCPI−C1ではない場合:
R4がHまたはC1〜C6アルキルであるとき、
(1)m+n=1およびR3がインドールであるときR1がCBIまたはCBI
−C1ではない;もしくは、
(2)m+n=2およびR3の一方がインドールまたはベンゾフランであると
きR1がCPIまたはCPI−C1ではない場合に限る。
代表的なアルキル基は以下を含むがこれらに限定されない:
代表的なヒドロキシアルキル基は以下を含むがこれらに限定されない:
代表的なアミノアルキル基は以下を含むがこれらに限定されない:
本発明は、新規なより効力のある化合物のモノクローナル抗体結合体および酵
素基質結合体を提供する。これらの結合体は、モノクローナル抗体指向性酵素プ
ロドラッグ療法(ADEPT、Bagshawe、Br.J.Cancer 1989、60:272)または抗体
指向性触媒作用(ADC、JungheimおよびShephed、Chem.Rev.1994、94:1553)を
用いて腫瘍の成長を阻害および防止するために用いられる。これらのアプローチ
では、酵素は、腫瘍特異的抗体に結合される。抗体は、腫瘍細胞表面上で酵素を
選択的に局在させる。その後に、酵素の基質であるプロドラッグを投与すると、
腫瘍部位で遊離薬物(free drug)が酵素の触媒作用により放出される。この方
策は、ストイキオメトリ、薬物の制御された放出、および抗体の乏しい浸透とい
った、抗体−薬物結合体だけを使用する場合に関連する問題点に取り組んでいる
。さらに、薬物放出プロセスは酵素的であるため、1つの酵素で大量の遊離薬物
が生成され得る。
ここで用いられる薬物は、効力の高い化合物である。従って、使用される抗体
および薬物が少量となり得る。少量の抗体を使用すれば、免疫原生の副作用が最
小になり、製剤の問題点が軽減され、薬物が所望の組織に浸透する可能性が高く
なり、全体のコストが削減される。
本発明に関する2つの実施例が図4に示される。第1の実施例は、酵素β-グ
ルクロニダーゼを使用するADEPTアプローチである。ナイトロジェンマスタード
グルクロニドは、β-グルクロニダーゼまたはβ-グルクロニダーゼ−抗体結合体
により活性化され、親化合物よりも細胞に対する毒性が高いフェノールマスター
ドを生成した(Wang,S.M.ら、Cancer Res.1992、52:4484)。第2の実施例は
、β-ラクタマーゼを用いて、そのβ-ラクタムプロドラッグからドキソルビシン
を切断する(cleave)(Jungheim,L.N.ら、Heterocycles、1993、35:339)。
ここで発明された新しいDNAアルキル化剤は、これまで報告されてきた抗腫瘍
剤の中で最も効力が高い。本発明のプロドラッグは、ADEPTアプローチにおいて
これらの効力の高い分子を用いた最初の例である。この種類のプロドラッグは、
幾つかの利点を有する。第1に、必要とされる薬物が非常に少ないことである。
第2に、最小量のモノクローナル抗体−酵素結合体しか必要とされないため、免
疫原生により起こる問題点が低減される。
本発明に含まれるすべてのプロドラッグは、対応する遊離薬物よりも毒性が低
い。グルクロニダーゼまたはβ-ラクタマーゼなどの関連する酵素またはモノク
ローナル抗体−酵素結合体の存在下では、これらのプロドラッグが活性化され、
遊離薬物を放出する(図5および図6)。
そのような効力の高い分子をモノクローナル抗体−薬物結合体に用いる場合、
効力の低い薬剤を用いる場合に対して利点がある。腫瘍特異的抗体は、これらの
分子を腫瘍細胞に特異的に運んで、これらの化合物の治療効力を高める。モノク
ローナル抗体−薬物結合体は、依然として癌細胞に対して非常に毒性である。Ma
b-YW-242結合体を、ヒト肝臓癌HepG2細胞に対してインビトロで試験した。細胞
増殖についてのIC50値を、3H-チミジンを組み込むことにより判定した。この結
果は、表3に示される。
表3.Mab−薬物結合体(mM)のIC50値
一般に、酵素基質または抗体は、二官能性リンカー(bifunctional linker)
により、本発明のDNAアルキル化剤に付着される。「結合基」とは、酵素基質お
よび抗体とDNAアルキル化剤との間の「化学的アーム(chemical arm)」を意味
するものとする。当業者が認識するように、必要な化学構造を達成するためには
、反応物の各々は、必要な反応基を含んでいなければならない。
そのような基の代表的な組み合わせは、アミド結合を形成するアミノ基とカル
ボキシル基との組み合わせ、エステル結合を形成するカルボキシル基とヒドロキ
シル基との組み合わせ、アルキルアミノ結合を形成するアミノ基とハロゲン化ア
ルキル基(alkyl halide)との組み合わせ、ジスルフィドを形成するチオール基
とチオール基との組み合わせ、またはチオエーテルを形成するチオール基とマレ
イミド基もしくはハロゲン化アルキル基との組み合わせである。明らかに、ヒド
ロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、またはその他の官能基は、それが存在
しない場合、公知の方法により導入され得る。同様に、当業者が認識するように
、様々な結合基が用いられ得る。結合の構造は、薬物または薬物誘導体を酵素基
質および抗体に付着するように形成される安定した共有結合でなければならない
。場合によっては、リガンドおよびレセプターの所望の結合特性を高めるために
、結合基は、親水性または疎水性のいずれかに設計され得る。共有結合は、リガ
ンドおよび結合基が受ける溶液条件に対して安定していなければならない。一般
に好ましい結合基は、1〜20個の炭素および0〜10個のヘテロ原子(NH、O、S
)であり、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。上記説明を限定しなくても、
化学的に適合性がある原子の組み合わせだけが結合基を含むことは当業者に明ら
かなはずである。例えば、炭素−炭素結合との組み合わせにおける、アミド基、
エステル基、チオエーテル基、チオエステル基、ケト基、ヒドロキシル基、カル
ボキシル基、エーテル基は、化学的に適合性のある結合基の受容可能な例である
。結合基を含み得る他の化学的に適合性のある化合物は、米国特許第5,470,997
号
(第2欄および第4〜7欄)、同第5.470,843号(第11〜13欄)および同第5,4
70,932号に記載される。
末端の酸素または窒素原子のアシル化またはアルキル化により酵素基質を付着
させるために用いられ得る代表的なスペーサには、以下のものがある: グルクロニダーゼおよびβ-ラクタマーゼ基質に加えて、本発明のDNAアルキル
化剤に結合され得る他の基質およびそれに対応する酵素としては、カルボキシペ
プチダーゼのためのグルタミン酸、アルカリホスファターゼのためのリン酸塩(
リン酸)、α-ガラクトシダーゼのためのα-ガラクトース、ニトロ還元酵素のた
めのニトロベンジルカルボキシレート(-C(O)OCH2C6H5NO2)などがある。
本発明の化合物は、抗腫瘍剤として用いられ得る。ここで示されるインビトロ
およびインビボ抗腫瘍活性が、これが正しいことを立証している。本発明の化合
物はまた、DNAのアルキル化、標識、検出および単離に有用である。
このように、本発明によって提供される新規な化合物および結合体は、注射(
静脈内、皮下など)用もしくは静脈注入用の水溶液、または皮膚および粘膜を介
する投与用の軟膏調製物に組み込まれ得る。上記のように、本発明の結合体は、
治療上有効な用量、即ち、投与を必要としている哺乳類に投与された場合に、処
置を行うために(例えば、疾患を軽減するかまたは別の処置を行うために、例え
ば癌の処置の場合では、腫瘍の成長を制御もしくは阻害するために)十分な量で
、投与される。本明細書において記載される活性化合物または塩の投与は、同様
の有用性を果たす薬剤の一般に認められた投与形態のうちの任意の形態で行われ
得る。
製剤中の薬物のレベルは、当業者によって用いられる完全な範囲内、例えば、
製剤全体に基づいて約0.01重量%(%w)〜約99.9%wの薬物、および約0.01%w〜約
99.9%wの賦形剤で変動し得る。好ましくは、薬物は、約10%w〜約70%Wの濃度で存
在する。
概して、受容可能な一日量は、一日当たり、レシピエントの体重1キログラム
当たり約0.04μg〜50mgであり、0.08μg〜10μgの範囲のより少ない用量が好
ましい。従って、70kgのヒトに投与する場合、用量範囲は、1日約28μg〜3.5g
となる。そのような使用および最適化は、十分に当業者の範囲内である(Flemin
gら、J.Nat.Cancer Institute、1994、86G(5):368)。
投与は、一般に認められた任意の全身または局部経路(例えば、非経口、静脈
内、経鼻、気管支吸入(即ち、エアロゾル製剤)、経皮または局所経路)で、固
体、半固体または液体投薬形態(例えば、錠剤、坐薬、丸剤、カプセル、粉末、
溶液、懸濁液、エアロゾル、乳剤など)であって、好ましくは、正確な用量を簡
単に投与するために適切な単位剤形で行われ得る。静脈または皮下注入による投
与が通常好ましい。最も一般的には、水性製剤が用いられる。化合物および結合
体は、好ましくは約3〜8のpH、最も好ましくは約6〜8のpHで、無毒性で不活
性の薬学的に受容可能なキャリア培地において処方される。通常、水性製剤は、
培養物または灌流培地と相溶性がある。組成物は、従来の薬剤キャリアまたは賦
形剤と、DNAアルキル化剤の化合物または結合体とを含み、さらに、他の医薬剤
、薬剤、キャリア、アジュバントなどを含み得る。キャリアは、石油、動物、植
物または合成起源の油(例えばピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油など)を
含む様々な油から選択され得る。水、生理食塩水、水性ブドウ糖またはマンニト
ール、およびグリコールが、特に注射用溶液のための、好ましい液体キャリアで
ある。適切な薬剤キャリアには、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、
ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステア
リン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール
、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エ
タノールなどがある。他の適切な薬剤キャリアおよびその製剤は、E.W.Martin
によるREMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES(1985)に記載される。
必要に応じて、投与されるべき薬学的組成物は、例えば、酢酸ナトリウム、ソ
ルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート等の湿潤または乳化
剤、pH緩衝化剤等のような、少量の無毒性の補助物質をも含有し得る。
一般に、本発明の化合物は、DNAアルキル化剤またはその結合体と組み合わ
せて薬学的賦形剤を含む薬学的組成物として投与される。処方中の結合体のレベ
ルは、当業者によって用いられる範囲全体、例えば、合計処方に基づいて、薬物
約0.01重量パーセント(%w)〜約99.99%wおよび賦形剤約0.01
%w〜99.99%wの範囲にわたって変化し得る。好ましくは、処方を、薬学
的に活性な化合物の約3.5〜60重量%とし、残りを適切な薬学的賦形剤とす
る。
「薬学的に受容可能な塩」は、無機または有機の酸または塩基から誘導される
あらゆる塩であり得る。塩は、酸または塩基から誘導され得る。
酸付加塩(acid addition salts)は、塩酸、臭化水素酸、硫酸(硫酸塩および
重硫酸塩を与える)、硝酸、リン酸等のような無機酸、および、酢酸、プロピオ
ン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、
マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、
メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸等
のような有機酸から誘導される。
塩基付加塩(base addition salts)は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化リチウム、アンモニア、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のよう
な無機塩基から誘導される。有機塩基から誘導されるカチオンは、イソプロピル
アミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、シ
クロヘキシルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノール
アミン、トリエタノールアミン等のような一級、二級および三級アミンから形成
されるものを含む。
本明細書において使用される、哺乳動物の症状(condition)および/または疾
患の「処置(treatment)」または「処置(treating)」という用語は、
(i)症状または疾患を防ぐ、つまり、その疾患のあらゆる臨床徴候(symptom
)を回避すること、
(ii)症状または疾患を阻害する、つまり、臨床徴候の発症(development)
または進行を捕らえること、および/または、
(iii)症状または疾患を緩和する、つまり、臨床徴候を退行(regression)
させること、
を意味する。
本明細書において使用される用語「治療有効量」は、本発明の化合物の量であ
って、それを必要としている哺乳動物に投与したときに、抗ガン剤、抗菌剤また
はDNAアルキル化剤として処置(上に規定した通り)を行うのに十分な量を指
す。「治療有効量」を構成する量は、化合物、症状または疾患およびその重症度
、ならびに処置されるべき哺乳動物、その体重、年齢等に応じて変わるが、当業
者であれば、現在知られている知識および本明細書の開示内容に照らして日常的
に決定し得るであろう。
以下の実施例は、本発明の好適な実施形態および有用性を記載するために提示
されるものであり、添付の請求項の記載以外の限定を本発明に与えることを意味
しない。
一般に、化合物は、必要に応じて保護基を使用して所望の順序でR2および複
素環式芳香族基R3を結合し、その後、R1基を付けることによって作られる。R4
が保護基として作用し得る場合もある。様々なユニットの鎖におけるカップリ
ングは、典型的に、通常のペプチド結合形成反応、例えば、当業者に公知のカル
ボジイミド媒介カップリング条件を用いて達成される。本明細書において使用す
るもの以外のさらなる保護基は、ProtectiveGroups in Organic Synthesis,2nd
ed.(John Wiley and Sons,Inc.,New York,NY,1991)において見られ得る。
例示的な合成順序を図7および図8に示す。
本明細書に記載の化合物および中間物の単離および精製は、必要に応じて、例
えば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、分取高圧液体クロマト
グラフィー(分取HPLC)、薄層クロマトグラフィーまたは厚層クロマトグラ
フィー、またはこれらの手順の組合せのような任意の適切な分離または精製手順
によって行われ得る。これらを以下では「従来の手段」と呼ぶ。適切な分離およ
び単離手順の具体的な説明は、以下の実施例を参照することにより得られ得る。
しかし、この他の均等な分離または単離手順も使用され得る。
本発明の化合物を調製する際に使用される出発物質および試薬は、Aldrich Ch
emical Co.のような商業的供給者から入手可能であるか、あるいは、「Fieser a
nd Fieser's Reagents for Organic Synthesis」,Volumes 1-15,John Wiley a
nd Sons,1991;「Rodd's chemistry of Carbon Compounds」,Volumes 1-5 and
Supplementals,Elsevier Science Publishers,1989;「Organic Reactions」,
Volumes 1-40,John Wiley and Sons,1991 and「Comprehensive Heterocyclic
Chemistry」,Volumes 1-8 by Katritzki and Rees,Pergamon Press,1984のよ
うな参考文献に記載された手順に従って当業者に公知の方法によって調製される
。
実施例1 インドール誘導体の合成(図7)
エチル5−アセトアミノインドール−2−カルボキシレート(3)
エチル5−ニトロインドール−2−カルボキシレート(1、1g、4.27m
mol)を酢酸エチル(100mL)中に溶解し、そして5%Pd/c(100
mg)を加えた。反応混合物を、1時間、室温にて、60lb/インチ2の圧力
で水素化した。反応混合物を濾過し、そして真空中で溶媒を除去した。2の灰色
粉末を得、そしてさらに精製することなく使用した。ジクロロメタン(5mL)
中の塩化アセチル(174mL、2.44mmol)の溶液を、DMF(2mL
)、ジクロロメタン(5mL)およびトリエチルアミン(339mL、2.44
mmol)中の2(0.417g、2.04mmol)の溶液に0℃、N2下で
滴下した。反応混合物を室温まで温め、そして2時間撹拌した。水(30mL)
を加え、そして酢酸エチル(40mL×2)を用いて混合物を抽出した。硫酸ナ
トリウムを用いて溶液を乾燥させ、そして真空中で溶媒を除去した。灰色粉末3
を得た(437mg、収率87%)。分析サンプルを酢酸エチル中で再結晶化し
た。mp:202〜203℃。
5−アセトアミノインドール−2−カルボン酸(4)
3N NaOH(2mL)をメタノール(7mL)中の3(250mg、1.
02mmol)の溶液に加え、そして反応混合物を、一晩、室温で撹拌した。反
応混合物をエバポレートして、水(5mL)を加えた。20%HClを用いて溶
液をpH2まで中性化し、そして沈殿を濾過し、そして水で洗浄した。灰色粉末
として4を得た(158mg、収率71%)。mp:260℃(dec)。
5−[[5−(アセトアミノ)−1H−インドール−2−イルカルボニル]アミ
ノ]−1H−インドール−2−カルボン酸(6)
1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI,
268mg)を、DMF(3mL)中の2(94mg、0.46mmol)およ
び4(101mg、0.46mmol)の溶液に加え、そして反応混合物を、一
晩、室温で撹拌した。酢酸エチル(40mL)を加え、そして炭酸ナトリウム飽
和溶液(10mL)続いて水(2OmL×2)を用いて混合物を洗浄した。硫酸
ナトリウムを用いて溶液を乾燥させ、そして真空中で溶媒を除去した。灰色粉末
5を得た(129mg、収率69%)。
MS(イオンスプレー、M/z)404。さらなる精製を行わずに3N NaO
H(3mL)を、DMF(3mL)およびメタノール(15mL)中の5の溶液
(103mg、0.25mmol)に加え、そして反応混合物を、一晩、室温で
撹拌した。反応混合物をエバポレートし、そして水(5mL)を加えた。20%
HClを用いて溶液をpH2まで中性化し、そして沈殿を濾過し、そして水で洗
浄した。灰色粉末として6を得た(45mg、収率48%)。mp:>300℃
。メチル5-アセトアミノベンゾフラン-2-カルボキシレート(9)。メチル5-ニトロベ
ンゾフラン-2-カルボキシレート(13、0.5g、2.26mmol、5−ニトロベンゾフラン
−2−カルボン酸から形成、Trans World Chemical,Inc.)をエチルアセテート(
40mL)に溶解し、5% Pd/C(30mg)を添加した。反応混合物を室温で1時間、60lb/
平方インチの圧力で水素化した。反応混合物を濾過し、溶媒を真空中で除去した
。残渣をアセトン(10mL)に溶解し、さらなる精製なしに用いた。無水酢酸(0.86m
l、9.1mmol)とジメチルアミノピリジン(20mg)を添加した。溶液を室温で1時間
攪拌した。水(20mL)を添加し、混合物をエチルアセテート(40mL×5)で抽出した
。硫酸ナトリウムを用いて溶液を乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。灰色の粉
末9(321mg、収率61%)を得た。分析サンプルをエチルアセテート中で再結晶化し
た。mp:158〜159℃。
5-アセトアミノベンゾフラン-2-カルボン酸(10)。3N NaOH(2mL)を9のメタノー
ル(20mL)溶液(302mg、1.3mmol)に添加し、反応混合物を室温で48時間攪拌した。
溶媒をエバポレートさせ、水(20mL)を添加した。20% HClを用いて溶液をpH2
まで中和し、沈殿物を濾過し水洗した。灰色の粉末(231mg、収率81%)として10を
得た。mp:>300℃。
5-[[5-(アセトアミノ)-1H-ベンゾフラン-2-イルカルボニル]アミノ]-1H-インド
ール-2-カルボン酸(12)。2(186mg、0.91mmol)および16(200mg、0.91mmol)のDMF
(3mL)およびTHF(3mL)溶液に、EDCI(523mg)を添加した。反応混合物を室温で一晩
攪拌した。エチルアセテート(40mL)を添加し、混合物を飽和炭酸ナトリウム溶液
(10mL)そしてそれに続いて水(20mL×2)、希釈HCl(10mL)および水(20mL)で洗浄し
た。硫酸ナトリウムを用いて溶液を乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。エーテ
ル(20mL)を添加し、灰色の粉末11(270mg、収率73%)を得た。
MS(イオンスプレー、M+2H)406。更なる精製なしに、11(140mg、0.35mmol)の、
DMF(2mL)、アセトン(10mL)、メタノール(15mL)、水(5mL)溶液に、3N Na0H(3mL)
を添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を除去し、水(20mL)を添加し
た。20% HClを用いて溶液をpH2まで中和し、沈殿物を濾過して水洗した。灰
色の粉末(54mg、収率41%)として12を得た。mp:>300℃。
2-ヒドロキシメチル-5-ニトロインドール(13)。濃縮硫酸(1.27mL)を0℃、N2下
でTHF(100ml)中の水素化リチウムアルミニウム(1.89g)に滴下した。反応混合物
を0℃で20分間攪拌した。次いで、1(2g、8.5mmol)のTHF(80mL)溶液を添加し、
反応混合物を0℃で30分間攪拌した。氷(10g)を慎重に添加し、混合物を濾過し
た。フィルターケーキをエチルアセテート(200mL)で洗浄した。水および溶媒を
真空中で除去し、残渣をエチルアセテートに溶解した。溶液をセライト
で濾過し、セライトをエチルアセテート(200mL)で洗浄した。溶媒を真空中で除
去し、灰色の固体7(1.48g、収率90%)を得た。分析サンプルをエチルアセテー
ト中で再結晶化した。mp:156〜157℃。
5-アミノ-2-ヒドロキシメチルインドール(14)。13(862mg、4.49mmol)のメタノー
ル(50mL)溶液に、5% Pd/C(50mg)を添加し、反応混合物を1時間、50lb/平方イン
チの圧力で水素化した。反応混合物をセライトで濾過し、セライトをメタノール
で洗浄した。溶媒を真空中で除去し、707mg(収率97%)の灰色の粉末14を得た。
mp:159〜160℃。
5-アセトアミノ-2-ヒドロキシメチルインドール(15)。14(200mg,1.25mmol)、ジ
メチルアミノピリジン(20mg)およびトリエチルアミン(0.94mL)の、0℃まで冷却
されたTHF溶液に、アセチルクロリド(0.30mL、4.16mmol)のTHF(5mL)溶液を滴下
した。反応混合物を室温まで温め、3時間攪拌した。THFを真空中で除去し、エ
チルアセテート(40mL)を添加した。溶液を水(20mL×2)で洗浄した。硫酸ナトリ
ウムを用いて溶液を乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。残渣をメタノール(5mL
)に溶解し、3N NaOH溶液(1mL)を添加した。反応を一晩進ませた。反応混合物を
エバポレートさせ、水(10mL)を添加した。生成物をエチルアセテート(30mL×2)
で抽出し、溶媒を真空中で除去した。生成物をアセテート中で
結晶化し、エーテルで洗浄した。128mg(収率50%)の灰色の粉末15を得た。mp:1
61℃。5-アセトアミノ-2-インドールカルボキサルデヒド(16)。15(100mg、0.5mmol)の
エタノール(10mL)溶液に、MnO2(250mg)を添加し、反応混合物を室温で3時間攪
拌した。反応混合物を濾過し、固体をエタノールで洗浄した。溶媒を真空中で除
去し、灰色の固体16(97mg、収率100%)を得た。分析サンプルをエチルアセテート
中で再結晶化した。mp:200℃(dec)。
5-アセトアミノ-2-インドールアクリル酸(18)。16(140mg、0.7mmol)を、メチル
(トリフェニルホスホルアニリデン(anylidene))アセテート(257mg、0.77mmol)
のトルエン(30mL)溶液に添加し、反応混合物を加熱して3日間還流させた。室温
まで冷却した後、溶媒を除去した。残渣にエチルアセテート(10mL)を添加して、
得られた沈殿物17を濾過した。MS(イオンスプレー)(M+H)259。更なる精製なし
に、17をDMF(3mL)に溶解し、メタノール(5mL)を添加した。3N NaOH溶液(2mL)を
添加し、反応混合物を一晩攪拌した。溶媒を除去し、水(10mL)を添加した。20%
HClを用いて溶液を中和した。得られた沈殿物を濾過して水洗した。44mg(収率2
6%)の黄色の固体18を得た。mp:238〜239℃。
5-[(1H-ペンゾフラン-2-イルカルボニル)アミノ]-2-ヒドロキシメチルインドー
ル(20)。2(169mg、1.04mmol)およびベンゾフラン-2-カルボン酸19(168mg、1.04
mmol)のDMF(2mL)溶液に、EDCI(597mg)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌
した。エチルアセテート(40mL)を添加し、混合物を飽和炭酸ナトリウム溶液(8mL
)そしてそれに続いて水(20mL×2)で洗浄した。硫酸ナトリウムを用いて溶液を乾
燥させ、溶媒を真空中で除去した。生成物を、エチルアセテートで溶出するフラ
ッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、エーテル中で結晶化した。灰色
の粉末20(223mg、収率70%)を得た。mp:164〜165℃。
5-[(1H-ベンゾフラン-2-イルカルボニル)アミノ]-2-インドールカルボキサルデ
ヒド(21)。20(100mg、0.33mmol)のエタノール(15mL)溶液に、MnO2(0.5g)を添加
し、反応混合物を室温で4時間攪拌した。反応混合物をセライトで濾過し、固体
をエタノールで洗浄した。溶媒を真空中で除去し、灰色の固体21(54mg、収率54%
)を得た。分析サンプルをエチルアセテート中で再結晶化した。mp:253℃(dec)。
メチル5-[(1H-ベンゾフラン-2-イルカルボニル)アミノ]-2-インドールアクリレ
ート(22)。21(100mg、0.33mmol)を、メチル(トリフェニルホスホルアニリデン
)アセテート(120mg、0.36mmol)のトルエン(30mL)溶液に添加し、反応混合物を
加熱して4日間還流させた。室温まで冷却した後、溶媒を除去した。生成物を、
アセトンとエーテルとの溶液中で結晶化した。次いで母液を、エチルアセテート
およびヘキサン(1/2、v/v)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーによ
り精製した。計78mg(収率66%)の黄色い固体22を得た。mp:259〜260℃。5-[(1H-ベンゾフラン-2-イルカルボニル)アミノ]-2-インドールアクリル酸(23)
。22(60mg、0.167mmol)をDMF(1.5mL)に溶解し、エタノール(3mL)を添加した。3N
NaOH溶液(1.5mL)を添加して、反応混合物を一晩攪拌した。溶媒を除去して、水
(10mL)を添加した。20% HClを用いて溶液を中和した。得られた沈殿物を濾過し
水洗した。53mg(収率92%)の黄色い固体23を得た。mp:268℃(dec)。
5-[(4-ヒドロキシ)ブチルアミノ]インドール-2-カルボン酸(25)。1(2.5g、10.7
mmol)のエチルアセテート(200mL)溶液を活性炭素(0.6g)担持10%パラジウムで処
理し、次いで室温で1時間水素化した。反応混合物をセライトで濾過し、フィル
ターケーキをエチルアセテートで洗浄した。合わせた有機溶液を真空中で濃縮し
た。更なる精製なしに、得られたオイルをブチロアクトン(20mL)に溶解し、溶液
を130℃で18時間攪拌した。生成物を、エチルアセテート中の30%ヘキサンで溶出
するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、黄色い固体としての24(1.37g
、収率44%)を得た。
化合物24(1.0g、3.4mmol)のメタノール(150mL)溶液を3N水酸化ナトリウム溶液(2
0mL)で処理し、室温で18時間攪拌した。次いで溶液を真空中で濃縮した。水(100
mL)を添加した。溶液を20%塩酸で中和し、沈殿物を濾過して茶色の固体としての
化合物25(723mg、収率65%)を得た。m.p.194〜195℃。
ベンジル5-[(4-ヒドロキシ)ブチルアミノ(butyramino)]インドール-2-カルボキ
シレート(26)。DMF(15mL)中の化合物7(810mg、3.1mmol)の溶液の溶液
を炭酸水素ナトリウム(1.6g、19.0mmol)およびベンジルブロミド(540mL、4.5
mmol)で処理し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応を水(80mL)によって
停止し、生成物を酢酸エチルで抽出した(50mL×5)。溶
液を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、真空下で濃縮した。溶液を、酢酸エチル中
50%ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィー溶出で精製することにより
、化合物26(778mg、71%収量)を固体として得た。融点191〜192℃。
5-[4-(メチル2,3,4-トリ-o-アセチル-1-デオキシ-b-D-グルクロネート)ブチルア
ミノ]インドール-2-カルボン酸(29)。THF(20mL)およびジクロロメタン(2
0mL)中の化合物26(778mg、2.21mmol)の溶液にモレキュラーシーブ(1g)を加
え、窒素下において温度を-60℃に冷却した。メチル2,3,4-トリ-o-アセチル-1-
ブロモ-1-デオキシ-a-D-グルクロネート)(27、1.32g、3.3mmol)、トリフロ
ロメタンスルホネート銀(852mg、3.3mmol)およびカーボネート銀(922mg、3.3
mmol)を順に加え、反応混合物を10分間撹拌した。温度を室温まで上昇させ、暗
所にて撹拌を2時間続けた。混合物をセライト(Celite)に通して濾過し、濾過ケ
ーキ(filter cake)を酢酸エチルで洗浄した。溶液を硫酸ナトリウムを用いて乾
燥し、真空下で濃縮した。溶液を、酢酸エチル中50%ヘキサンを用いたフラッシ
ュクロマトグラフィー溶出で精製することにより、化合物28を白色の気泡物と
して得た。
さらなる精製を行うことなく、気泡物を酢酸エチル(15mL)中に溶解し、活性炭
(600mg)上の10%パラジウムにより処理した後、室温にて1時間水素付加した
。混合物をセライトに通して濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。化合
した有機物を真空下で濃縮することにより、化合物29(846mg、66%)を石油
エーテルから結晶化した白色の気泡物として得た。融点94〜96℃。
エチル5-(tert-ブチルオキシカルボニルアミノ)インドール-2-カルボキシレート
(30)。酢酸エチル(200mL)中の化合物1(2.5g、10.7mmol)の溶液を活性
炭(200mg)上の10%パラジウムにより処理した後、室温にて1時間水素付加し
た。混合物をセライトに通して濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。化
合した有機物を真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチル(150mL)に溶解し、ジ-te
rt-ブチルジカーボネート(5.8g、26.6mmol)で処理し、反応混合物を室温で18
時間撹拌した。反応を水(40mL)で停止し、エチルエセテート溶液を分離した。
溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮することにより、化合物30(2.
61g、80%)を黄色の固体として得た。融点190〜192℃。
5-(tert-ブチルオキシカルボニルアミノ)インドール-2-カルボン酸(31)。メ
タノール(200mL)中の化合物30(2.61g、8.6mmol)の溶液を3N水酸化ナトリ
ウム溶液(50mL)で処理した後、反応混合物を室温にて18時間撹拌した。溶媒を除
去した。水(100mL)を加えた。溶液を20%塩酸により中和し、沈殿物を濾過す
ることにより、化合物31(2.03g、86%)を黄色固体として得た。融点192〜19
3℃。
ベンジル5-(tert-ブチルオキシカルボニルアミノ)インドール-2-カルボキシレー
ト(32)。DMF(50mL)中の化合物31(2.03g、7.4mmol)の溶液の溶液を
炭酸水素ナトリウム(1.8g、21.4mmol)およびベンジルブロミド(4mL、33.6mm
ol)で処理した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。水(50mL)を加え、生成
物を酢酸エチルで抽出した(80mL×3)。溶液を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し
、真空下で濃縮することにより、化合物32(2.27g、84%収量)を白色の固体
として得た。融点180〜182℃。
ベンジル5-[[5-(4-ヒドロキシ)ブチルアミノ]-1H-インドール-2-イルカルボニル
]アミノ]-1H-インドール-2-カルボキシレート(34)。DMF(1mL)中の32
からの化合物33(280mg、0.77mmol)を25(200mg、0.76mmol)および1-(3-
ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDCL 440mg、2.30mmol)で
処理し、反応混合物を室温で18時間撹拌した後、水(20mL)で希釈し、酢酸エチ
ルで抽出した(50mL×3)。有機層を硫酸ナトリウムを用いて
乾燥し、真空下で濃縮した。生成物を酢酸エチルを用いたフラッシュクロマトグ
ラフィー溶出で精製することにより、化合物34(232mg、60%収量)を黄白色
固体として得た。融点242〜243℃。
5-[[5-(4-ヒドロキシ)ブチルアミノ]-1H-インドール-2-イルカルボニル]アミノ]
-1H-インドール-2-カルボン酸(35)。DMF(1mL)およびメタノール(20mL
)中の34(230mg、0.45mmol)の溶液を活性炭(20mg)中の10%パラジウムに
より処理し、室温にて1時間水素付加した。混合物をセライトに通して濾過し、
濾過ケーキをメタノールで洗浄した。化合した有機物を真空下で濃縮することに
より、化合物35(160mg、84%)を白色固体として得た。融点249〜251℃。
ベンジル5-[[5-[4-(メチル2,3,4-トリ-o-アセチル-1-デオキシ-b-D-グルクロネ
ート)ブチルアミノ]-1H-インドール-2-イルカルボニル]アミノ]-1H-インドール-
2-カルボキシレート(37)。塩化水素で飽和させた酢酸エチル(20mL)中の化
合物32(280mg、0.77mmol)の溶液を30分間環流した。懸濁液を真空中で濃
縮することにより固体を得、これを酢酸エチル(20mL)中のトリアチルアミン(
6mL)で処理した。反応混合物を室温で10分間撹拌して濾過した。溶液を真空
下で濃縮することにより33を得た。さらなる精製を行うことなく、後者をDM
F中(1mL)に溶解し、化合物36(200mg、0.35mmol)、1,3-ジ
クロロヘキシルカルボジイミド(DCC、214mg、1.04mmol)および1-ヒドロキシベ
ンゾトリアゾール水和物(HOBT、140mg、1.04mmol)で処理した。反応混合物を
室温で2時間撹拌した後、水(10mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(50mL×
3)。溶液を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、真空下で濃縮した。生成物をヘキ
サンおよび酢酸エチル(3/7、v/v)の溶液を用いたフラッシュクロマトグラフィ
ー溶出で精製することにより、化合物37(230mg、80%収量)を黄色固体とし
て得た。融点143〜145℃。
5-[[5-[4-(メチル2,3,4-トリ-o-アセチル-1-デオキシ-b-D-グルクロネート)ブ
チルアミノ]-1H-インドール-2-イルカルボニル]アミノ]-1H-インドール-2-カル
ボン酸(38)。酢酸エチル(35mL)中の37(230mg、0.28mmol)の溶液を活
性炭(20mg)上の10%パラジウムにより処理し、室温にて1時間水素付加した。
混合物をセライトに通して濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。化合し
た有機物を真空下で濃縮することにより、化合物38(176mg、86%収量)をエ
ーテルから静置により結晶化した黄色油として得た。融点76〜79℃。ベンジル5-[[5-[[5-[4-(メチル2,3,4-トリ-o-アセチル-1-デオキシ-b-D-グルク
ロネート)ブチルアミノ]-1H-インドール-2-イルカルボニル]アミノ]-1H-インド
ール-2-イルカルボニル]アミノ]-1H-インドール-2-カルボキシレート(39)。
37で説明したのと同様な手順を用いて39を黄色固体として合成した(98%収
量)。
5-[[5-[[5-[4-(メチル2,3,4-トリ-o-アセチル-1-デオキシ-b-D-グルクロネート)
ブチルアミノ]-1H-インドール-2-イルカルボニル]アミノ]-1Hインドール-2-イル
カルボニル]アミノ]-1H-インドール-2-カルボン酸(40)。38で説明したの
と同様な手順を用いて40を黄色固体として合成した(86%収量)。実施例2
3-[[5-(アセトアミノ)-1H-インドール-2'-イル]カルボニル]-1-(クロロメチル)-
5-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロ-3H-ベンズ[e]インドール(YW−198)。
EDCI(58mg)を、報告されている手順(Aristoffら、J.Med.Chem.、1993、3
6、1956)に基づいて合成された41(23mg,0.1mmol)の溶液、およびDMF中
(1mL)の化合物4(23mg、0.11mmol)に加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌
した。生成物を酢酸エチルを用いた薄層クロマドグラフィー溶出により精製した
。灰色粉であるYW-198が得られた(9.5mg、22%収量)。
実施例3
3-[[5-[[5-(アセトアミノ)-1H-インドール-2-イルカルボニル]アミノ]-1Hインド
ール-2-イル]カルボニル]-1-(クロロメチル)-5-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロ-3H-ベ
ンズ[e]インドール(YW−200)。
YW−200を、6を用いた以外はYW−198で説明したのと同様な手順を
用いて合成し、灰色粉を得た(80%収量)。実施例4
3-[[5-[[5-(アセトアミノ)-1H-ベンゾフラン-2-イルカルボニル]アミノ]-1H-イ
ンドール-2-イル]カルボニル]-1-(クロロメチル)-5-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロ-3
H-ベンズ[e]インドール(YW−201)。
YW−201を、12を用いた以外はYW−198で説明したのと同様な手順
を用いて合成し、灰色粉を得た(53%収量)。
実施例5
N2−[[5−[[[5−(アセトアミノ)−1H−ベンゾフラン−2−イル]カ
ルボニル]アミノ]−1H−インドール-2−イル]カルボニル]1,2,9,
9a−テトラヒドロシクロプロパ[c]−ベンズ[e]インドール−4−オン(
YW−213)。
YW−201をアセトニトリル(3mL)、トリエチルアミン(1mL)およ
び水(1mL)の溶液に溶解し、室温で1時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し
、酢酸エチルおよびへキサン(3/1、v/v)を用いて薄膜クロマトグラフィ
ー溶出により生成物を精製し、8.7mgの灰色の固体を生成した。実施例6
3−[[5−(アセトアミノ)−1H−インドール−2−イル]アクリルイル]−1
−(クロロメチル)−5−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[e]
インドール(YW−202)。
18を用いたこと以外はYW-198について記載したのと同様の手法を用い
てYW−202を合成し、灰色の粉末(収率13%)を得た。
実施例7
3−[[5−[(1H−ベンゾフラン−2−イルアクリルイル)アミノ]−1H
−インドール−2−イル]カルボニル]−1−(クロロメチル)−5−ヒドロキ
シ−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[e]インドール(YW−215)。
23を用いたこと以外はYW−198について記載したのと同様の手法を用い
てYW−215を合成し、灰色の粉末(収率55%)を得た。
実施例8
3−[[5−[(4−ヒドロキシ)ブチルアミノ]−1H−インドール−2’−
イル]カルボニル]−1−(クロロメチル)−5−ヒドロキシ−1,2−ジヒド
ロ−3H−ベンズ[e]インドール(YW−231)。
25を用いたこと以外はYW−198について記載したのと同様の手法を用い
てYW−231を合成し、黄色の固体(収率36%)を得た。
実施例9
3−[[5−[4−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−1−デオキシ−
b−D−グルクロネート)ブチルアミノ]−1H−インドール−2’−イル]カ
ルボニル]−1−(クロロメチル)−5−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ−3H
−ベンズ(e)インドール(YW−247)。
29を用いたこと以外はYW−198について記載したのと同様の手法を用い
てYW−247を合成し、黄色の固体(収率12%)を得た。
実施例10
3−[[5−[[5−[4−(ヒドロキシ)ブチルアミノ]−1H−インドール
−2−イルカルボニル]アミノ]−1H−インドール−2−イル]カルボニル]
−1−(クロロメチル)−5−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[
e]インドール(YW−254)。
35を用いたこと以外はYW−198について記載Lたのと同様の手法を用い
てYW−254を合成し、黄色の固体(収率19%)を得た。
実施例11
3−[[5−[[5−[4−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−1−デ
オキシ−b−D−グルクロネート)ブチルアミノ]−1H−インドール−2−イ
ルカルボニル]アミノ]−1H−インドール−2−イル]カルボニル]−1−(
クロロメチル)−5−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[e]イン
ドール(YW−249)。
38を用いたこと以外はYW−198について記載したのと同様の手法を用い
てYW−249を合成し、黄色の固体(収率15%)を得た。
実施例12
3−[[5−[[5−[[5−[4−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル
−1−デオキシ−b−D−グルクロネート)ブチルアミノ]−1H−インドール
−2−イルカルボニル]アミノ]−1H−インドール−2−イルカルボニル]ア
ミノ]−1H−インドール−2−イル]カルボニル]−1−(クロロメチル)−
5−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[e]インドール(YW−2
58)。
40を用いたこと以外はYW−198について記載したのと同様の手法を用い
てYW−258を合成し、黄色の固体(収率8%)を得た。
実施例13
3−[[5−[[5−[[5−[4−(ヒドロキシ)ブチルアミノ]−1H−イ
ンドール−2−イルカルボニル]アミノ]−1H−インドール−2−イルカルボ
ニル]アミノ]−1H−インドール−2−イル]カルボニル]−1−(クロロメ
チル)−5−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[e]インドール(
YW−259)。
DMF(2mL)中のYW−258(6.5mg、0.006mmol)の溶
液を塩化水素(0.25mL)で飽和した酢酸エチルの溶液で処理し、室温で3
時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、生成物をエーテルで洗浄し、目的の化合
物YW−258(4.2mg、91%)を黄色の固体として得た。実施例14
3−[(5−アミノ−1H−インドール−2’−イル)カルボニル]−1−(ク
ロロメチル)−5−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[e]インド
ール(YW−242)。
5−ニトロインドール−2−カルボン酸エチル(Eastman Chemi
cal Co.)を塩基性(NaOH)加水分解した後、HClを用いて中和し
て得た5−ニトロインドール−2−カルボン酸(18mg、87mmol)を4
1に結合した。反応混合物を一晩室温で撹拌し、酢酸エチル中50%のヘキサン
を用いて薄膜クロマトグラフィー溶出によって精製し、結合生成物を得た。さら
なるキャラクタリゼーションすることなく、後者をDMF(0.5mL)に溶解
させた。酢酸エチル(5mL)をこの溶液に加え、次いで、10%のPd/C(
10mg)を加え、反応混合物を1気圧の周囲温度で1時間水素化した。生成物
を濾過し、濾過ケーキをメタノール(20mL)で洗浄した。真空下で溶媒を除
去し、エーテルを加えた。固体を濾過および洗浄し、YW−242(13mg、
収率44%)を得た。mp>300℃。
実施例15
3−[[5−(ビオチン−アミノ)−1H−インドール−2’−イル]カルボニ
ル]−1−(クロロメチル)−5−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベン
ズ[e]インドール(YW−235)。
N−ヒドロキシスクシンイミドビオチン(5.2mg、15.3mmol)を
DMF(0.2mL)中のYW−242(2mg、5.lmmol)の溶液に加
え、溶液を周囲温度で48時間撹拌した。酢酸エチルおよびメタノール(4/1
、v/v)を用いて薄膜クロマトグラフィー溶出により生成物を精製し、灰色の
固体としてYW−235(1.5mg、48%)を得た。
実施例16
セファロチン−YW−242 プロドラッグ(YW−285)。
DMF(0.3mL)中のYW−242(9mg)を、報告されている手法(
図10、Rodriguesら、Cancer Res.1995、55:63
)に従って合成したt−ブチル−7b−(2−(チエン−2−イル)アセトアミ
ド)−3−[[[4−ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ]メチル]−3−
セフェム−4−カルボキシレート1−スルホキシド(15mg)で処理し、反応
混合物を室温で一晩撹拌した。酢酸エチルおよびヘキサン(3/1、v/v)を
溶出液として用いて、薄膜クロマトグラフィーにより混合物を精製し、12mg
の生成物を得た。5mgの後者の生成物をDMF(0.2mL)およびジクロロ
メタン(1mL)に溶解し、続いてトリフルオロ酢酸(1mL)を加えた。反
応物を室温で2時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、エーテルを加えた。固体
を濾過し、エーテルで洗浄し、YW−285(3.7mg)を得た。
実施例17
1,2,9、9a−2−[[5−[(1H−ベンゾフラン−2−イルカルボニル
)アミノ]−1H−インドール−2−イル]カルボニル]テトラヒドロシクロプ
ロパ[c]−ベンズ[e]インドール−4−オン(YW−211)。
YW−199(10mg)をDMF(0.5mL)およびトリエチルアミン(
0.5mL)に溶解し、水(0.5mL)およびアセトニトリル(0.5mL)
を連続して加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した。真空下で溶媒を除去
し、生成物を水で洗浄した。エーテルを加え、固体を濾過し、エーテルで洗浄し
、YW−211(7mg)を得た。
実施例18
1,2,9,9a−2−[5−[[5−(アセトアミノ)−1H−ベンゾフラン
−2−イルカルボニル]アミノ]−1H−インドール-2−イル]カルボニル]]
テトラヒドロシクロプロパ[c]−ベンズ[e]インドール−4−オン(YW−
213)。
YW−201を用いたこと以外はYW−211について記載したのと同様の手
法を用いてYW−213を合成し、灰色の固体(収率85%)を得た。実施例19
3−[(4−アミノ−1−メチルピロール−2−イル)カルボニル]−1−(ク
ロロメチル)−5−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[e]インド
ール(YW−284)。
1−メチル−5−ニトロピロール−2−カルボン酸を用いたこと以外は、YW
−198について記載したのと同様の手法を用いてYW−286(収率85%)
を合成した。YW−286(20mg)をDMF(0.5mL)に溶解した。酢
酸エチル(5mL)を溶液に加え、次いで10%のPd/C(10mg)を加え
、反応混合物を1気圧の周囲温度で1時間水素化した。生成物を濾過し、濾過ケ
ーキをメタノール(20mL)で洗浄した。真空下で溶媒を除去しエーテルを加
えた。固体を濾過および洗浄し、YW−284(15mg)を得た。
実施例20
3−[(4−アセトアミノ−1−メチルピロール−2−イル)カルボニル]−1
−(クロロメチル)−5−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[e]
インドール(YW−161)。
5−アセトアミノ−1−メチルピロール−2−カルボン酸を用いたこと以外は
YW−198について記載したのと同様の手法を用いてYW−161(収率25
%)を合成した。実施例21
3−(4−ブチルアミド−1−メチル−2−ピロールアクリロイルカルボニル)
−1−(クロロメチル)−5−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[
e]インドール(YW−222)。
4−ブチルアミド−N−メチル−2−ピロールアクリル酸を用いたこと以外は
、YW−198について記載したのと同様の手法を用いてYW−222(収率2
0%)を合成した。
実施例22
ガン細胞に対する細胞傷害性
新規の化合物のいくつかを、ガン細胞に対するその細胞傷害性について試験し
た。U937細胞を用いて、IC50値を決定した。アッセイを96ウェル平底マイクロタ
イタープレート中に3連でセットアップした。全ての細胞を、RPMI-1640+10%F
CS中に5×103細胞/ウェルで播種する。薬物を添加し、そして全容量を0.2mL/ウ
ェルに調整した。全インキュベーション時間は、48時間であり、最後の24時間の
インキュベーションは3Hチミジンを添加して行った。アッセイを収集し、そして
パッカードMatrix 96βカウンターで計数した。結果を、未処理コントロールに
比較して処理細胞のcpmでのパーセント減少から計算した増殖阻害パーセントと
して表した。
結果を、図9に示す。
実施例23
YW-242-モノクローナル抗体結合体の合成
YW-242は、DNAの副溝に結合することによってその抗腫瘍活性を発揮する。そ
れゆえ、薬物は、細胞に侵入した後にMab薬物結合体から放出されなければなら
ない。ジスルフィド結合は、この要求を満たし、そしてYW-242およびMAb 3A5を
連結するために使用される(図11)。
a).Mabのチオール化。Mab 3A5を、報告された手順にしたがって作製した(Li
ら、Acta Pharmaceutica Sinica 1993,28:260)。エタノール(50μL)中の3-(
2-ピリジルジチオ)プロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(SPDP,0
.152mg)を、PBS(2mL)中のMab 3A5(2mg)に添加し、そして反応混合物を、30分間
37℃でインキュベートした。混合物を0℃に冷却し、次いでジチオスレイトール
(50μLのPBS中0.45mg)で15分間4℃で処理した。チオール化Mabを、ゲル濾過
クロマトグラフィー(Sephadex-G 25)により分離した。
b).YW-242のチオール化。YW-242(83μLのDMF中0.5mg)を、SPDP(5.3mg、1
モル、YW-242に等価、0.263mLのエタノール中)に添加し、そして反応混合物を3
0分間37℃でインキュベートした。生成物をさらなる精製なしに使用した。
c).MAbおよび薬物の結合体。チオール化YW-242を、PBS中のチオール化Mabに
添加し、そして反応混合物を4℃で一晩反応させた。次いで、反応混合物を、PB
S(1000mL)中で6時間(PBSを2時間毎に交換した)透析した。Mabに結合した
薬物の量を、UV吸収により分析し、そして濃度を計算した。Mab当たりの結合し
た薬物分子の数は、2.7である。
実施例24
肝ガンHepG2細胞に対するYW-242-モノクローナル抗体結合体の細胞傷害性研究
結合体をヒト肝ガンHepG2細胞に対してインビトロで試験した。細胞増殖につ
いてのIC50値を3Hチミジンの取り込みによって決定した。10%の熱不活性化FCS
を含有する0.1mLのDMEM培地中の4×104個のトリプシン処理した細胞を、96ウェ
ルマイクロタイタープレートの各ウェルに添加し、そして4時間37℃でインキュ
ベートして、細胞の接着を可能にした。10μLのPBS中の薬物を、1時間37℃で
インキュベートした。培地を除去し、そして細胞をPBS(0.2mL)で洗浄した。新
鮮な培地(0.1mL)および3Hチミジン(10μL)を添加した。細胞を37℃で一晩
インキュベートした。細胞を、トリプシンEDTAで15分間37℃で処理し、次いで、
ミクロメイト(micromate)196収集器を用いて収集した。放射能を計数し、IC50
値を決定した。結果を表3に示す。
免疫結合体Mab-YW-242は、遊離の薬物YW-242よりも2.5倍毒性が低い。この減
少した細胞傷害性は、予想される。なぜなら、Mab薬物結合体は、通常この種の
アッセイにおいて遊離の薬物よりも毒性が低いからである。これらの結果は、Ma
b薬物結合体が細胞に結合し、そして遊離の薬物が細胞内で放出されることを示
す。Mab薬物結合体は、ドキソルビシンよりも10倍を超えてより強力である。
上記の発明は、例示および実施例によって、明確性および理解のために、ある
程度詳細に記載された。当業者には、変化および改変が添付の請求の範囲内で実
施され得ることが明らかである。それゆえ、上記が、例示のためであり、限定的
でないことが理解される。本発明の範囲は、それゆえ上記の説明を参照してでは
なく、以下の添付の請求の範囲を参照して、このような請求の範囲に与えられる
等価物の全範囲とともに、決定される。
全ての特許、特許出願、および本願に引用される出版物は、各々の特許、特許
出願、または出版物がそのように個々に示されるのと同じ程度まで、全ての目的
のために本明細書中で参考としてその全体が援用される。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61K 31/546 A61K 31/545 601
31/7056 31/70 615
C07D 403/14 C07D 403/14
405/14 405/14
487/04 137 487/04 137
495/04 103 495/04 103
501/34 501/34
C07H 15/04 C07H 15/04 F
// C07K 16/30 C07K 16/30
C12P 21/08 C12P 21/08
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU
,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,
CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G
B,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE,KG
,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,
LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N
O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG
,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,
UZ,VN,YU
(72)発明者 ライト,スーザン シー.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 95070,
サラトガ,ウィリアムス アベニュー
20430
(72)発明者 ラリック,ジェムス ダブリュー.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 94062,
ウッドサイド,スター ルート ボックス
48(番地なし)