JPWO2005087762A1 - Dnaの特定塩基配列をアルキル化する新規インドール誘導体ならびにそれを用いたアルキル化剤および薬剤 - Google Patents

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Abstract

従来のハイブリッド分子よりも短い反応ステップで合成でき、かつ、反応性の高いDNAアルキル化能と配列認識能を兼ね備えたDNAの特定塩基配列をアルキル化するピロール−イミダゾールポリアミド系の新規化合物ならびにそれを用いたアルキル化剤および薬剤機能分子を提供する。下記一般式(1)、(式中、R1はDNAをアルキル化する官能基、R2は水素原子、アルキル基またはアシル基、Xは下記式、を構成単位(mは0〜10の整数)とし、該構成単位の1つからなる2価の基、または同一でも異なっていてもよい2つ以上の該構成単位からなる2価の基である。但し、前記構成単位のうち、上記R2側末端の構成単位は下記式、(kは0〜10の整数)であってもよい。)で表わされるインドール誘導体である。

Description

本発明はDNAの特定塩基配列をアルキル化する新規インドール誘導体ならびにそれを用いたアルキル化剤および薬剤に関し、詳しくは、特定塩基配列をアルキル化することにより、特には遺伝子異常の発現を抑制し、高い抗癌作用を有し、極めて反応性の高い新規インドール誘導体ならびにそれを用いたアルキル化剤および薬剤に関する。
ヒトの遺伝子配列の解明がほぼ完了した現在、ある特定の塩基配列に対して特異的な結合能を有する分子に多くの研究者の注目が集まっている。非特許文献1等において、Dervanらは逆平行に配向した「N−メチルピロール(以下、単に「ピロール」または「Py」ともいう)」−「N−メチルイミダゾール(以下、単に「イミダゾール」または「Im」ともいう)」ポリアミドが塩基配列特異的にDNAの副溝(マイナーグルーブ)に結合することを見出したことを報告している。その他、Py−ImはC−G塩基対を、Im−PyはG−C塩基対を、Py−PyはA−T塩基対またはT−A塩基対を認識するとの一般則が導き出されている。
また、Py−Imポリアミドに共有結合を導入して、結合におけるエントロピー損失を防ぎ、より強い結合と認識能を得るため、様々なヘアピンや環状のポリアミドが合成された。代表的なものとしてβリンカー(−NHCH2CH2CO−)、γリンカー(−NHCH2CH2CH2CO−)が知られている。中でもγリンカー(−NHCH2CH2CH2CO−)を持つヘアピンが優れた結合能と認識能を持つことが示され、そのDNAとの複合体の構造も決定されている(非特許文献2参照)。なお、β−βはA−T塩基対またはT−A塩基対を認識する。γリンカーも同様にA−T塩基対またはT−A塩基対を認識するが、γリンカーは折れ曲がりヘアピン型の鼎の部分に代表されるγターン構造を形成する。
これらの分子は転写因子などに匹敵する結合定数および特異性を有しているが、遺伝子の発現制御は転写因子の結合を阻害することによって行なわれているため、標的とできる塩基配列は極端に限られている(例えば、非特許文献3参照)。
本発明者らはPy−Imポリアミドに抗生物質であるデュオカルマイシンAのアルキル化部位のセグメントA(Du)を結合したハイブリッド分子を開発し、特許出願している(例えば、特許文献1参照)。そのハイブリッド分子はPy−Imポリアミドによる配列認識能に基づいて450塩基対のDNAのフラグメントの1ヶ所を選択的にアルキル化した(例えば、非特許文献4参照)。しかし、反応の完結には数日を必要とし、反応の効率も数%と低かった。
これに対し、本発明者らは、DNAをアルキル化する官能基(以下、「アルキル化反応部位」ともいう)とPy−Imポリアミドとの間にビニルリンカー(L)を挿入したImPyLDu86が二量体となって選択的に5’−YG(A/T)CR−3’(ここでYはピリミジン塩基を、Rはプリン塩基を示す)という配列において5塩基対離れた両方の鎖に低濃度で反応し、70%の高い効率でアルキル化を引き起こした。即ち、リンカー部の導入により反応性および効率が劇的に向上することを見出した(例えば、非特許文献5参照)。
国際公開第00/15641号 J.Am.Chem.Soc.1997,119,7636 J.Am.Chem.Soc.1997,119,7909 J.Am.Chem.Soc.2000,122,4856 J.Am.Chem.Soc.1999,121,4961 J.Am.Chem.Soc.2000,122,1602
しかしながら、上述した非特許文献5記載のハイブリッド分子は、合成の困難さ、リンカー部位の不安定性、アルキル化部位の反応性等に問題点を有していた。
そこで本発明の目的は、従来のハイブリッド分子よりも短い反応ステップで合成でき、かつ、反応性の高いDNAアルキル化能と配列認識能を兼ね備えたDNAの特定塩基配列をアルキル化するピロール−イミダゾールポリアミド系の新規化合物ならびにそれを用いたアルキル化剤および薬剤機能分子を提供することにある。
本発明らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ピロール−イミダゾールポリアミドの末端にインドールリンカーを介してアルキル化反応部位を有する化合物とすることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のインドール誘導体は、下記一般式(1)、
(式中、RはDNAをアルキル化する官能基、Rは水素原子、アルキル基またはアシル基、Xは下記式、
を構成単位(mは0〜10の整数)とし、該構成単位の1つからなる2価の基、または同一でも異なっていてもよい2つ以上の該構成単位からなる2価の基である。但し、前記構成単位のうち、上記R側末端の構成単位は下記式、
(kは0〜10の整数)であってもよい。)で表わされることを特徴とするものである。
また、本発明のDNAのアルキル化剤は上記本発明のインドール誘導体からなることを特徴とするものである。
更に、本発明の薬剤は、本発明のアルキル化剤を使用した遺伝子の発現を抑制または活性化することを特徴とするものである。
本発明のインドール誘導体は遺伝子上に存在する特定の塩基配列に対して、選択的にアルキル化する機能分子であり、分子内のイミダゾール、ピロール等の配置を変えることで、認識する塩基配列を変えることが可能である。また、その合成方法は多品種供給を行う上でも実用的であり応用性が高い。このことは、ヒトゲノム上で、重要な遺伝子配列、或いは癌などの病気に由来した遺伝子異常に対する有用な論理的な薬剤として、遺伝子レベルでの創薬を実現するものである。
図1は長鎖DNA(pUC−IIおよびpUC−II’)に対する本発明の化合物(4−1)および(3−1)のDNA配列特異的アルキル化能およびその塩基配列認識モデルを示す。 図2は長鎖DNA(pUC−IIおよびpUC−I’)に対する本発明の化合物(3−2)および(3−3)のDNA配列特異的アルキル化能およびその塩基配列認識モデルを示す。 図3は本発明の化合物(3−2)の塩基配列特異的DNAアルキル化モデルを示す。 図4は長鎖DNA (λ-F10906)に対する本発明の化合物(3−2)、(3−4)および(3−5)のDNA配列特異的アルキル化能およびその塩基配列認識モデルを示す。 図5は長鎖DNA(pQBI63)に対する本発明の化合物(3−6)のDNA配列特異的アルキル化を示す。 図6は本発明の化合物(4−1)および(3−1)の酸性、アルカリ性条件下での安定性を示す。 図7は長鎖DNA(727bp)に対する本発明の化合物(3−7)単体、または、化合物(3−7)と(6)との共存下におけるDNA配列特異的アルキル化を示す。 図8は24回のテロメア繰り替えし配列を持つDNAフラグメント(446bp)に対する本発明の化合物(4−3)のテロメア配列特異的アルキル化を示す。 図9は乳癌、前立腺癌等の39種類のヒト培養癌細胞を用いて評価した本発明の化合物(3−2)の抗癌活性のバーグラフを示す。
以下、本発明の実施の好適形態を具体的に説明する。
本発明のインドール誘導体は、下記一般式(1)、
で表され、Xは下記式、
を構成単位とし、該構成単位の1つからなる2価の基、または同一でも異なっていてもよい2つ以上の該構成単位からなる2価の基である。但し、前記構成単位のうち、上記R側末端の構成単位は下記式、
であってもよい。ここで、mまたはkは0〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは2〜3の整数である。また、構成単位の数は特に制限されるものではなく、アルキル化の対象となるDNAの配列により適宜選択することとなるが、通常、好ましくは1〜20、より好ましくは2〜7である。なお、構成単位の順序は特に制限されるものではなく、アルキル化の対象となるDNAの配列に応じ適宜選択しポリアミドを設計する。
本発明のインドール誘導体が認識するDNAの配列は従来知られている一般則と同様に原則としてPy−ImはC−G塩基対を、Im−PyはG−C塩基対を、Py−PyはA−T塩基対またはT−A塩基対を、β−βおよびγ−γ等はA−T塩基対またはT−A塩基対を認識する。また、β−βおよびγ−γ等は塩基対を認識するだけでなく、折れ曲がりヘアピン型の鼎の部分をも構成する。なお、従来から知られているようにDNAの標的配列の前後周辺の配列状況によって稀にミスマッチが観察されることがある。例えば、AT rich配列が多い場合、ヘアピン型の分子中のγターン構造の隣のIm−Py等はミスマッチ認識をすることが多い。
また、本発明の化合物の特徴となるインドールリンカーは、インドール1つにつき、2つのIm、Py等がペアとなることが可能であるが、常にペアとなる2つのIm、Py等を必要とするものではなく1つであってもよい。なお、インドール自身は原則としてPyと同様の認識を行う傾向にあり、CまたはTを認識する傾向にある。更に本発明のインドール誘導体のアルキル化反応部位は、プリン塩基のN−3位、特にアデニンのN−3位にアルキル化する。
上記式(1)中、Rで表されるアルキル化反応部位としては、DNA上に存在する特定の塩基配列に対して、アルキル化能と配列認識能を兼ね備えた基であればどのような基でもよく特に制限されるものではない。なお、Rとしては例えば、下記式、
で表わされるアルキル化反応部位を好適例として挙げることができる。なお、上記式(2)〜(5)はアルキル化反応を阻害しない範囲において、置換基を導入してもよく、また、構造を簡便化してもよい。
上記式(2)および(5)はデュオカルマイシンA(DuocarmycinA)由来のCPIであり、以下、式(2)はDU86と、式(5)はDuと称する。また、式(3)で示される1,2,9,9a-テトラヒドロシクロプロパ[c]ベンゾ[e]インドール-4-オンはCBIと称する。なお、式(3)には下記(3−S)および(3−R)、
で表わされる光学異性体がある。
上記式(4)中、Rは水素原子、ペプチド鎖、糖鎖、ポリエチレングリコール基を表し、具体例としては、ペプチド鎖、タンパク、単糖類、二糖類、多糖類、ポリエチレングリコール類等が挙げられる。Eはハロゲン原子、メシル基、トシル基などの脱離性の高い置換基を示す。ハロゲンの具体例としては臭素、フッ素、ヨウ素が挙げられ、好ましくは塩素である。
上記式(4)の具体例として、下記式(4−A)、
で表わされるseco-CBI(1-クロロメチル-5-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロ-3H-ベンゾ[e]インドール)の残基を挙げることができる。なお、式(4−A)は下記式(4−A−S)および(4−A−R)、
で表わされる光学異性体がある。
上記式(3−S)および(3−R)は、下記反応式に示すように上記式(4−A−S)および(4−A−R)を弱アルカリで処理することにより得ることができる。
ここで、式(3−S)で表わされるS-CBIは、三員環が上記式(5)で表わされる天然型Duと同様の配置を有しており、Rが式(3−S)である式(1)で表わされるインドール誘導体はアルキル化活性を有している。一方、Rが式(3−R)で表わされるR-CBIである式(1)で表わされるインドール誘導体はアルキル化活性が非常に弱くなり不活性型である。
上記式(1)において、Rは水素原子、アルキル基またはアシル基である。ここで、アルキルまたはアシル基(COを除く部分)は、通常、炭素数1〜20、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜6の直鎖状または分岐状の低級アルキル基が挙げられ、具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。なお、Rがアセチル基のものを好適に使用することができる。また、アルキル基またはアシル基は、置換基を有していてもよい。
一般式(1)で表されるインドール誘導体としては、例えば、Rが上記式(3)、Rがアシル基である下記化合物、
が上記式(4−A)、Rがアシル基である下記化合物、
等が挙げられる。
上記化合物(3−1)を例にとり、本発明のインドール誘導体の合成方法の概略を下記合成スキーム1に従い説明する。まず、AcImImCO2H(3−1−1)と、5-ニトロインドール-2-カルボン酸エチルエステルを接触還元することにより得られるアミノ体(3−1−2)とをジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、当該溶液に縮合剤0-(7-アザベンザトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート(HATU)、ジイソプロピルエチルアミン(iPr2NEt)を加えることにより縮合反応を行い、Py−Imインドールエチルエステル(3−1−3)へと変換する。化合物(3−1−3)をアルカリ加水分解条件に付すことによって、カルボン酸(3−1−4)を得ることができる。次に、得られたカルボン酸(3−1−4)と、市販品の1,3-ナフタレンジオールより合成可能であるseco-CBI(3−1−5)とをカップリングさせることにより、本発明の化合物である開環体(4−1)を得ることができる。更に、開環体(4−1)を水中弱アルカリ条件(NaHCO3)で処理することにより、本発明の化合物である環化体(3−1)へと変換することができる。
(合成スキーム1)
また、上記化合物(3−2)を例にとり、本発明のインドール誘導体の他の合成方法の概略を下記合成スキーム2に従い説明する。まず、oxime resinを用いるPy−ImポリアミドのFmoc固相合成法を活用して、これまでのヘアピン型Py−Imポリアミドに対応するカルボン酸(3−2−1)を合成する。次に、カルボン酸(3−2−1)とHATUを用いて反応系中で活性Atエステル(3−2−2)へと変換した後、そこにアミノインドールカルボン酸(3−2−3)を加えることによって、一挙にインドールカルボン酸(3−2−4)を合成する。化合物(3−2−4)と、市販の1,3-ナフタレンジオールより合成可能であるseco-CBI(3−1−5)とのカップリングを行い、本発明のインドール誘導体である開環体(4−2)を合成することができる。更に、開環体(4−2)を水中弱アルカリ条件(NaHCO3)で処理することにより、本発明のインドール誘導体である環化体(3−2)へと変換することができる。なお、本発明のインドール誘導体である環化体(3−3)、(3−4)および(3−5)等も同様の方法に従って合成することが可能である。
(反応スキーム2)
また、本発明のDNAのアルキル化剤は一般式(1)で表される本発明のインドール誘導体からなることを特徴とするものである。
なお、アルキル化剤として使用する際に本発明のインドール誘導体はヘアピン型構造を形成することによりDNAを認識させてもよく、また、二量体を形成することによりDNAを認識させてもよい。
また、ヘアピン型構造または二量体形成のみならず、下記式、
(式中、nは0〜10の整数である)を構成単位とし、該構成単位の1つからなる2価の基、または同一でも異なっていてもよい2つ以上の該構成単位からなる2価の基を有する化合物(但し、前記構成単位のうち、N端側末端の構成単位は下記式、
(qは0〜10の整数)であってもよい)が添加されることによりDNAを認識させてもよい。即ち、種類の異なる本発明のインドール誘導体(1)とペアを形成し塩基対を認識させることもでき、更には、既知のマイナーグルーブバインダーとペアを形成し塩基対を認識させることもできる。
本発明の薬剤は、上記本発明のアルキル化剤を使用した遺伝子の発現を抑制または活性化することを特徴とするものである。
発現を抑制または制御する遺伝子としては異常遺伝子、一塩基多型(SNPs)、癌遺伝子等を挙げることができる。また、本発明の薬剤の有効成分化合物として使用する本発明のインドール誘導体は、その薬理学的に許容しうる塩であってもよく、該塩としては、通常用いられる塩、例えば、塩酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、スルホン酸塩等の酸との塩や、メチルアミン、エチレンジアミン等の有機塩等の塩基との塩が挙げられる。
本発明のインドール誘導体またはその薬理学的に許容しうる塩は以下のような特徴を有する。
(a)癌細胞内への取り込みが高く、少量で効果が期待できる。
(b)酸またはアルカリ性に安定で、経口吸収性が期待できる。
(c)特定遺伝子の発現を制御することが可能である。
(d)従来のDNAアルキル化剤に比べて、正常細胞に対する障害がない。
本発明の薬剤は、遺伝子の発現を制御することにより、各種疾患に対して治療効果が期待されるが、特に、癌の治療、予防に対して有用であり、深部の癌に対して使用できる。抗癌剤として使用する場合は、注射剤、錠剤、散剤、カプセル剤など通常使用されている剤型で製剤化される。製剤化にあたっては、通常使用されている薬学的に許容される担体、例えば、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶剤、分散剤、安定化剤、色素、香料等が使用できる。製剤中のインドール誘導体の量は、インドール誘導体の種類や剤型により異なるが、通常0.2〜50重量%である。
また、本発明の薬剤を抗癌剤として使用する場合の投与量は年齢、体重、病態、治療効果、投与方法、投与時期、投与日数、投与期間により異なるが、通常1日1回10〜400mgを1、2または3週間投与し、1週間休薬する方法を1コースとし、繰り返し投与する。更に、イミダゾール、ピロール、βリンカー等の配置を変更することにより、様々な種類の癌に適応できる。更にまた、遺伝子の異常をより多く発現している癌に対して使用され、特に、従来の抗癌剤が効果を発揮しづらい癌の遺伝子異常に対して使用される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものでない。
合成例1、2
化合物(4−1)および(3−1)の合成(スキーム1)
(1)AcImImCO2H(3−1−1)の合成
化合物(3−1−1)は、文献記載の方法 [(a)Tao, Z.-F.; Fujiwara, T.; Saito, I.;
Sugiyama, H. J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 4961.(b)Tao, Z.-F.; Saito, I.;
Sugiyama, H. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 1602.(c)Bando, T.; Narita, A.; Saito,
I.; Sugiyama, H. Chem. Eur. J. 2002, 8, 4781.]に従って合成した。
1H−NMR(500MHz,DMSO-d6) δ:10.37(s,1H;NH),9.60(s,1H;NH),7.63(s,1H;
CH),7.48(s,1H;CH),3.96(s,3H;NCH3),3.93(s,3H;NCH3),2.03(s,3H;COCH3);
ESIMS m/e calcd for C12H15N6O4
[M++H]307.1, found307.3
(2)H2N-Indole-CO2Et(3−1−2)の合成
化合物(3−1−2)は、市販の5-ニトロインドール-2-カルボン酸エチルエステルを出発原料に用い、Pd-Cにより水素雰囲気下での接触還元により合成した。精製することなく、(3−1−3)の合成原料として用いた。
(3)AcImIm-Indole-CO2Et(3−1−3)の合成
化合物(3−1−1)(305mg,1.05mmol)と化合物(3−1−2)(215mg,1.05mmol)をDMF(2mL)に溶かし、iPr2NEt(550μL,3.15mmol)、HATU(480mg,1.26mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で15時間攪拌した。反応終了後、反応溶液の溶媒を減圧下留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (3-5%MeOH in CH2Cl2,
gradient elution) にて精製し、溶媒を留去することにより黄色粉体(3−1−3) (326mg,52%)を得た。
1H−NMR(500MHz,DMSO-d6) δ:11.83(s,1H;NH),10.32(s,1H;NH),10.08(s,1H;
NH),9.40(s,1H;NH),8.16(s,1H;CH),7.60(s,1H;CH),7.56(d,1H,J=9.0Hz;CH),7.50
(s,1H;CH),7.40(d,1H,J=9.0Hz;CH),7.12(s,1H;CH),4.33(q,2H,J=7.0Hz;OCH2),
4.01(s,3H;NCH3),3.98(s,3H;NCH3),2.03(s,3H;COCH3),1.33(t,3H,J=7.0Hz;CH3);
ESIMS m/e calcd for C23H25N8O5
[M++H]493.2,found493.2
(4)AcImIm-Indole-CO2H(3−1−4)の合成
化合物(3−1−3)(326mg,0.66mmol)にMeOH (8mL)と1N水酸化ナトリウム水溶液(8mL)を加えた後、室温にて30分間撹拌した。MeOHを減圧下留去した後、10%HCl水溶液を0℃下で加えて酸性(pH=2) にした。生じた沈殿物を桐山ろ取にて集めて、水洗してから乾燥し、化合物(3−1−4)(297mg,96%)を得た。
1H−NMR(500MHz,DMSO-d6) δ:11.71(s,1H;NH),10.35(s,1H;NH),10.08(s,1H;
NH),9.49(s,1H;NH),8.13(d,1H,J=1.0Hz;CH),7.60(s,1H;CH),7.54(dd,1H,J=2.0,
9.0Hz;CH),7.49(s,1H;CH),7.38(d,1H,J=9.0Hz;CH),7.06(d,1H,J=2.0Hz;CH),4.01
(s,3H;NCH3),3.97(s,3H;NCH3),2.03(s,3H;COCH3);
ESIMS m/e calcd for C21H21N8O5
[M++H]465.2,found465.2
(5)seco-CBI(3−1−5)の合成
化合物(3−1−5)は、文献記載の方法 [(a) Boger, D. L.; Yun, W. Y.;
Teegarden, B. R. J. Org. Chem. 1992, 57, 2873. (b) Boger , D. L.; McKie, J. A.
J. Org. Chem. 1995, 60, 1271. (c) Boger, D. L.; Ishizaki, T.; Kitos, P. A.;
Suntornwat, O. J. Org. Chem. 1990, 55, 5823.]に従って塩酸塩として合成を行った。スペクトルデータは文献に報告されている。
(6)AcImIm-Indole-seco-CBI(4−1)の合成
化合物(3−1−4)(60.3mg,0.13mmol)の反応容器にseco-CBI(3−1−5)(32.7mg,0.13mmol)とEDCI(50.3mg,0.26mmol),NaHCO3(41.9mg,0.52mmol)を加え、DMF(700μL)に溶かし、8時間窒素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了を確認した後、溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5-10% MeOH in CH2Cl2,gradient elution)にて精製した。得られた固体をCHCl3にて洗浄、乾燥した後、茶色粉体(4−1)(85.2mg,96%)を得た。
1H−NMR(500MHz,DMSO-d6) δ:11.71(s,1H;NH),10.43(s,1H;OH),10.34(s,1H;
NH),10.11(s,1H;NH),9.41(s,1H;NH),8.16(s,1H;CH),8.12(d,1H,J=8.0Hz;CH),
7.97(brs,1H;CH),7.85(d,1H,J=8.0Hz;CH),7.62(m,1H;CH),7.61(s,1H;Im-H),7.52
(t,1H,J=8.0Hz;CH),7.51(s,1H;Im-H),7.45(d,1H,J=9.0Hz;CH),7.36(t,1H,
J=8.0Hz;CH),7.19(s,1H;CH)4.81(t,1H,J=11.0Hz;NCHH),4.56(d,1H,J=11.0Hz;
NCHH),4.23(brt,1H;CH),4.03(s,3H;NCH3),3.99(s,3H;NCH3),3.87(dd,2H,J=7.0,
11.0Hz;CH2),2.04(s,3H;COCH3);
ESI-TOFMS m/e calcd forC34H31ClN9O5
[M++H]680.22,found680.23
(7)AcImIm-Indole-CBI(3−1)の合成
化合物(4−1)(6.3mg,9.28mmol)のDMF(150μL)溶液中に、5% aq.NaHCO3 (100μL)を加え、1時間窒素雰囲気下、室温で攪拌した。反応終了を確認した後、溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5-15% MeOH in CH2Cl2,gradient elution)にて精製した。溶媒を留去、乾燥した後、茶色粉体(3−1)(6.0mg,quant.)を得た。
1H−NMR(500MHz,DMSO-d6) δ:11.85(s,1H;NH),10.35(s,1H;NH),10.16(s,
1H;NH),9.41(s,1H;NH),8.17(s,1H;CH),8.00(d,1H,J=8.0Hz;CH),7.94(s,1H;CH),
7.62(s,1H;Im-H),7.52(m,2H;CHx2),7.51(s,1H;Im-H),7.43(m,2H;CH),7.25(d,1H,
J=8.0Hz;CH),6.95(s,1H;CH),4.64(m,1H;NCHH),4.49(d,1H,J=10.0Hz;NCHH),
4.02(s,3H;NCH3),3.98(s,3H;NCH3),3.27(brt,1H;CH),2.03(s,3H;COCH3),
1.75(m,1H;CHH),1.70(m,1H;CHH);
ESI-TOFMS m/e calcd forC34H30N9O5
[M++H]644.23,found644.21
合成例3
化合物(3−2)の合成反応(スキーム2)
(1)AcImImPyPy-γ-ImPyCO2H(3−2−1)の合成
化合物(3−2−1)は、Fmoc固相合成機により合成した。精製はChemcobond 5-ODS-H カラムを用いたHPLC条件(0-50% 0.1%酢酸-アセトニトリルリニアグラジエント,40 min,254 nm)にて行い、合成原料として用いた。
1H−NMR(500MHz,DMSO-d6) δ:10.32(s,1H;NH),10.29(s,1H;NH),10.23(s,1H;
NH),10.00(s,1H;NH),9.91(s,1H;NH),9.32(s,1H;NH),8.02(s,1H;NH),7.56(s,1H;
Im-H),7.50(s,1H;Im-H),7.45(s,1H;Py-H),7.44(s,1H Im-H),7.27(s,1H;Py-H),
7.16 (s, 1H;Py-H),7.14(s,1H;Py-H),6.92(s,1H;Py-H),6.89(s,1H;Py-H),4.00(s,
3H;NCH3),3.97(s,3H;NCH3),3.93(s,3H;NCH3),3.84(s,3H;NCH3),3.81(s,3H;
NCH3),3.79(s,3H;NCH3),3.19(m,2H;CH2),2.34(m,2H;CH2),2.03(s,3H;COCH3),
1.78(m,2H;CH2);
ESI-TOFMS m/e calcd forC39H45N16O9
[M++H]881.35,found881.36
(2)H2N-Indole-CO2H(3−2−3)の合成
化合物(3−2−3)は、市販の5ーニトロインドール-2-カルボン酸エチルエステルを出発原料に用いた二工程反応((i)1N NaOHによるアルカリ加水分解、(ii)Pd-Cを用いる水素雰囲気下での接触還元)により合成した。
1H−NMR(500MHz,DMSO-d6) δ:11.22(s,1H;NH),7.11(d,1H,J=8.5Hz;CH),
6.75(d,1H,J=2.0Hz;CH),6.67(s,1H;CH),6.65(dd,1H,J=2.0,8.5Hz;CH),3.31(brs,
2H;NH2,H2O)
(3)AcImImPyPy-γ-ImPy-Indole-CO2H (3−2−4)の合成
固相合成により得た化合物(3−2−1)(3.5mg,3.98mmol)をDMF(75μL)に溶かし、iPr2NEt (1.4μL,8.04mmol)、HATU(1.4mg,3.68mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で4時間攪拌した。反応の終了を確認した後、化合物(3−2−3)(1.3mg,7.38mmol)とiPr2NEt(1.3μL,7.46mmol)を添加し、窒素雰囲気下、室温でovernight攪拌した。反応後、反応溶液の溶媒を留去して、桐山漏斗で濾取しながら、残留物をCH2Cl2とH2Oでそれぞれ洗浄した。その結果、化合物(3−2−4)の粗結晶(3.0mg,73%)を得た。
1H−NMR(500MHz,DMSO-d6) δ:11.33(brs,1H;NH),10.34(s,1H;NH),10.33(s,
1H;NH),10.27(s,1H;NH),9.92(s,2H;NH),9.73(s,1H;NH),9.32(brs,1H;NH),8.01
(brt,1H;NH),7.94(s,1H;CH),7.56(s,1H;Im-H),7.50(s,1H;Im-H),7.46(s,1H;
Im-H),7.40(brd,1H,J=8.5Hz;CH),7.31(brd,1H,J=8.5Hz;CH),7.30(d,1H,J=1.5Hz;
Py-H),7.26(d,1H,J=1.5Hz;Py-H),7.17(d,1H,J=1.5Hz;Py-H),7.16(s,2H;y-Hx2),
6.90(d,1H,J=1.5Hz;Py-H),6.85(brs,1H;CH),4.00(s,3H;NCH3),3.97(s,3H;NCH3),
3.95(s,3H;NCH3),3.85(s,3H;NCH3),3.84(s,3H;NCH3),3.80(s,3H;NCH3),3.20(dt,
2H,J=6.0,7.5Hz;CH2),2.36(t,2H,J=7.5Hz;CH2),2.04(s,3H;COCH3),1.79(qu,2H,
J=7.5Hz;CH2);
ESI-TOFMS m/e calcd forC48H51N18O10
[M++H]1039.40,found1039.39
(4)AcImImPyPy-γ-ImPy-Indole-CBI (3−2)の合成
粗結晶(3−2−4)(3.0mg,2.89mmol)の入った反応容器に続けてseco-CBI (3−1−5)(1.4mg,6.01mmol) とEDCI(1.2mg,6.25mmol), NaHCO3(1.0mg,12.0mmol)を加え、DMF (100μL)に溶かし、2時間、窒素雰囲気下、室温で攪拌した。反応の終了を確認した後、5%NaHCO3を300μL, DMF (300μL)を添加し、30分間、攪拌を行った。反応後、溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5-15% MeOH in CH2Cl2,gradient
elution)にて精製し、溶媒を留去することにより粗結晶(3−2) (1.33mg,27% for 2 steps)を得た。さらに、HPLC(0-50% 0.1%酢酸-アセトニトリルリニアグラジエント,40min,254nm)にて精製を行い、減圧濃縮、凍結乾燥後、黄色結晶(3−2) (0.5mg,0.41μmol:11% for 2 steps)を得た。
1H−NMR(500MHz,DMSO-d6) δ:11.77(s,1H;NH),10.32(s,1H;NH),10.29(s,1H;
NH),10.26(s,1H;NH),9.95(s,1H;NH),9.92(s,1H;NH),9.82(s,1H;NH),9.33(s,1H;
NH),8.08(s,1H;CH),8.01(brs,1H;NH),8.00(d,J=7.5Hz,1H;CH),7.60(t,J=7.5Hz,
1H;CH),7.56(s,1H;CH),7.53(d,J=8.5Hz,1H;CH),7.50(s,1H;CH),7.46(s,1H;CH),
7.43(t ,J=7.5Hz,1H;CH),7.42(s,1H;CH),7.31(s,1H;CH),7.27(s,1H;CH),7.24(d,
J=8.5Hz,1H;CH),7.22(s,1H;CH),7.19(s,1H;CH),7.16(d,J=7.5Hz,1H;CH),7.06(s,
1H;CH),6.95(s,1H;CH),6.89(s,1H;CH),4.62(dd,J=10.0,5.0Hz,1H;NCH2),4.48
(d,J=10.0Hz,1H;NCH2),4.00(s,3H;NCH3),3.97(s,3H;NCH3),3.95(s,3H;NCH3),
3.86(s,3H;NCH3),3.84(s,3H;NCH3),3.80(s,3H;NCH3),3.20(m,2H;CH2),2.90(m,
1H;CH),2.35(m,2H;CH2),2.03(s,3H;COCH3),1.79(m,2H;CH2),1.76(dd,J=7.5,
5.0Hz,1H;CH),1.70(t,J=5.0Hz,1H;CH);
ESI-TOFMS m/e calcd forC61H60N19O10
[M++H]1218.48,found1218.48
なお、AcImImPyPy-γ-ImPy-Indole-seco-CBI (4−2)を得る場合は、反応後、5%NaHCO3処理せずに溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5-15% MeOH in CH2Cl2, gradient elution)、HPLC(0-100%0.1%酢酸-アセトニトリルリニアグラジエント,20min,254nm)にて精製する。減圧濃縮、凍結乾燥後、黄色結晶(4−2)を得ることができる。
ESI-TOFMS m/e calcd forC61H61ClN19O10
[M++H]1254.45,found1254.50
合成例4
AcImImPy-γ-Im-Indole-CBI (3−3)の合成
化合物(3−3)は、合成例3と同様の合成手順により合成した。精製は、Chemcobond 5-ODS-H カラムを用いたHPLC条件(0−50% 0.1%酢酸-アセトニトリルリニアグラジエント,40min,254nm)にて行い、DNAアルキル化反応に用いた。ESI-TOFMS m/e calcd for C49H48N15O8
[M++H]974.37,found974.26
合成例5
AcImImPyPy-γ-PyPy-Indole-CBI(3−4)の合成
化合物(3−4)は、合成例3と同様の合成手順により合成した。精製は、Chemcobond 5-ODS-H カラムを用いたHPLC条件(0−50% 0.1%酢酸-アセトニトリルリニアグラジエント,40min,254nm)にて行い、DNAアルキル化反応に用いた。ESI MS m/e calcd for C62H61N18O10
[M++H]1217.5,found1217.4
合成例6
AcImPyPyPy-γ-ImPy-Indole-CBI (3−5)の合成
化合物(3−5)は、合成例3と同様の合成手順により合成した。精製は、Chemcobond 5-ODS-H カラムを用いたHPLC条件(0−50% 0.1%酢酸-アセトニトリルリニアグラジエント,40min,254nm)にて行い、DNAアルキル化反応に用いた。ESI-TOFMS m/e calcd for C62H61N18O10
[M++H]1217.5,found1217.4
合成例7
AcImImPyPyβPyPy-γ-ImPyβImPy-Indole-CBI (3−6)の合成
化合物(3−6)は、合成例3と同様の合成手順により合成した。精製は、Chemcobond 5-ODS-H カラムを用いたHPLC条件(0−50% 0.1%酢酸-アセトニトリルリニアグラジエント,40min,254nm)にて行い、DNAアルキル化反応に用いた。ESI MS m/e calcd for C90H93N30O16
[M++H]1849.7,found1850.1
合成例8
AcImImPy-β-ImPy-Indole-CBI(3−7)の合成
化合物(3−7)は、合成例3と同様の合成手順により合成した。精製は、Chemcobond 5-ODS-H カラムを用いたHPLC条件(0−50% 0.1%酢酸-アセトニトリルリニアグラジエント,40min,254nm)にて行い、DNAアルキル化反応に用いた。ESI-TOFMS m/e calcd for C54H52N17O9
[M++H]1082.5,found1082.4
合成例9
AcImImIm-γ-PyPy-Indole-seco-CBI (4−3)の合成
化合物(4−3)は、既に報告されているPy−Imポリアミドの液相合成法を適用して合成した。精製は、Chemcobond 5-ODS-H カラムを用いたHPLC条件(0−100%0.1%酢酸-アセトニトリルリニアグラジエント,20min,254nm)にて行い、DNAアルキル化反応に用いた。
ESI-TOFMS m/e calcd forC55H55ClN17O9
[M++H]1132.5,found1132.4
合成例10
AcImImPyPy-β-PyPyPy-β-Dp(6)の合成
化合物(6)は、fmoc固相合成機を用いて合成し、ジメチルアミノプロピルアミンにより加熱し固相担体から切り出した。精製は、Chemcobond 5-ODS-H カラムを用いたHPLC条件(0−100%0.1%酢酸-アセトニトリルリニアグラジエント,20min,254nm)にて行った。
ESI-MS m/e calcd forC53H67N20O10
[M++H]1143.9,found1143.5
上記合成例1〜10において、試薬[iPr2NEt(N,N-diisopropylethylamine)、HATU(O-(7-azabenzotriazole-1-yl)-1,1,3,3-tetramethyluronium)]、溶媒[DMF(N,N-dimethylformamide)]類は、主にAldrichなどの試薬会社より購入したものを精製なしに使用している。反応の追跡は、特に表記のない場合においては254nm UV 条件下でのhigh performance liquid chromatography(HPLC)によってモニターした。1H-NMR スペクトルはJEOL JNM-A 500(500MHz)を使用し、内部標準物質としてTMS(tetramethylsilane)を用いた。また、表記中のmultiplicityはs(singlet), d(doublet), t(triplet), q(quartet), qu(quintet),m(multiplet),br(broad)と略した。Electrospray ionization mass spectra (ESIMS)はPE SCIEX API 165を使用した。Electrospray ionization time-of-flight mass
spectrometry(ESI-TOFMS)にはBioTOFII(Bruker
Daltonics) mass spectrometerを使用した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動はHITACHI 5500-S DNA Sequencerを使用し、そのloading dye(dimethylformamide with fushin
red)はAmersham Co.Ltd.より購入した。50% Long RangerTM gel solutionはFMC Bioproductsから購入し、Calf intestine alkaline phosphatase(AP,1000unit/mL)はBoehringer Mannheimから購入した。
5’-テキサスレッドラベルしたDNAフラグメントの合成
5’-テキサスレッドでラベルしたDNAフラグメント(pUC-I’:配列番号1)は、5’-テキサスレッドでラベルした20塩基対プライマー:5’-TexRed-AGAATCAGGGGATAACGCAG-3’(pUC18 forward,780-799:配列番号2)と20塩基対プライマー:5’-TTACCAGTGGCTGCTGCCAG-3’(pUC18 reverse, 1459-1478:配列番号3)を用いてpuc18を鋳型としてPCR法によって合成した(450bp)。DNAフラグメントは相補鎖を含む二本鎖状態である(以下、同様)。
5’-テキサスレッドでラベルしたDNAフラグメント(pUC-II:配列番号4)は、5’-テキサスレッドでラベルした21塩基対プライマー:5’-TexRed-TGCTGGCCTTTTGCTCACATG-3’(pUC18 reverse,1861-1881:配列番号5)と19塩基対プライマー:5-TGTAAAACGACGGCCAGTG-3’(pUC18 forward,328-345:配列番号6)を用いてpuc18を鋳型としてPCR法によって合成した。(450bp)。
5’-テキサスレッドでラベルしたDNAフラグメント(pUC-II’:配列番号7)は、5’-テキサスレッドでラベルした19塩基対プライマー(pUC18 forward,328-345:配列番号6)と21塩基対プライマー(pUC18 reverse,1861-1881:配列番号5) を用いてpuc18を鋳型としてPCR法によって合成した (450bp) 。
5’-テキサスレッドでラベルしたDNAフラグメント(λ-F10906:配列番号8)は、5’-テキサスレッドでラベルした23塩基対プライマー:5’-TexRed-ATCAGGGCAACTCAACCCTGTCC-3’(λ-DNA forward,10960-10982:配列番号9)と20塩基対プライマー:5’-CAGGACGACCAATATCCAGC-3’(λ-DNA reverse,37007-37026:配列番号10)を用いてλ-DNAを鋳型としてPCR法によって合成した(537bp)。
5’-テキサスレッドでラベルしたDNAフラグメント(pQBI63:配列番号11)は、20塩基対プライマー:5’-GGTGATGTCGGCGATATAGG-3’(配列番号12)と5’-テキサスレッドでラベルした20塩基対プライマー:5’-TexRed-CCCCAAGGGGTTATGCTAGT-3’(配列番号13)を用いてpQBI63 plasmidを鋳型としてPCR法によって合成した(994bp) 。
5’-テキサスレッドでラベルした727bp DNAフラグメント(配列番号14)はMLPにHuman β-globinのコード塩基配列を組み込んだplasmidを鋳型として5’-テキサスレッドでラベルした20塩基対プライマー:5’-TexRed-CCCATTCTAAACTGTACCCT-3’(配列番号15)と21塩基対プライマー:5’-GGCATCAAGGAAGGTGATTGG-3’(配列番号16)を用いてPCR法によって合成した。
24回のテロメア繰り替えし配列を持つ5’-テキサスレッドでラベルしたDNAフラグメント(配列番号17)は、EcoRI 切断siteよりテロメア繰り替えし配列を含むオリゴマー組み込んだpCR2.1 plasmidを鋳型として5’-テキサスレッドでラベルした20塩基対プライマー:5’-TexRed-GGCCAGTGAATTGTAATACG-3’(配列番号18)と20塩基対プライマー:5’-CCAGGCTTTACACTTTATGC-3’(配列番号19)を用いてPCR法によって合成した (446bp) 。得られたそれぞれのDNAフラグメントはSuprec-02にてろ過精製した後、UV吸収を測定してその濃度を決定した。
直鎖DNA(400bp〜)に対するアルキル化能
上記合成例にて合成した化合物(3−1)、(4−1)のDNAとの反応について長鎖DNA(pUC-II’:配列番号7)を用いて検討した。アルキル化反応を23℃下8時間行い、配列決定用ポリアクリルゲル電気泳動によりアルキル化配列を解析した結果を図1に示す。その結果、開環体(4−1)、環化体(3−1)は同じ配列特異性を持って、site 1(5’-CGGCCA-3’)のAdenineを選択的にnM濃度下でアルキル化した。この配列特異性は、DNAマイナーグルーブ内で二量化して塩基配列を認識しているモデルによって説明できる。
なお、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いた解析は以下の方法で行った。全量10μLの5mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH=7.0)中に5’末端がテキサスレッドでラベルされたDNAフラグメント10 nM、DMF10% (v/v) と先に表記した濃度の薬剤を含む標準反応溶液を微量遠心分離管(Eppendorf)に入れて23℃で8時間静置した。反応終了後、calf thymus DNA(1mM,1μL)を加えquenchを行い、90℃にて5分間振動させる。遠心減圧下得られたDNAにローディング色素(フューシンレッドのDMF溶液)8μL加え溶解させた後、94℃にて20分間振動させた。直ちに0℃にて急冷した後、その2μLについて、HITACHI 5500-S DNA シケンサーを用いた6%変成ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動を行った。以下の試験も同様である。
上記合成例にて合成した化合物(3−2)、(3−3)のDNAとの反応について長鎖DNA(pUC-II:配列番号4、pUC-I’:配列番号1)を用いて検討した。アルキル化反応を8時間行い、配列決定用ポリアクリルゲル電気泳動を用いて解析した結果を図2に示す。その結果、化合物(3−2)、(3−3)共に、以前のビニルリンカーを有するPy−Imポリアミドと比較しても遜色のない効率的なDNAアルキル化をnM濃度で観察することができた。しかしながら、配列認識能においては、違いが見られた。すなわち、化合物(3−3)においては、マッチ配列であるsite 4(5’-AGCCA-3’)のアルキル化を観察できたものの、一方で、site 1(5’-AGCTA-3’)、site 2(5’-AGTCA-3’)、site 5(5’-TACCA-3’)等の一塩基対ミスマッチ配列も観察された。対照的に、化合物(3−2)においては、site 3(5’-TGACCA-3’), site 6(5’-AGTCCA-3’)のマッチ配列のみにアルキル化を観察することができ、配列認識能においては化合物(3−2)の分子設計が優れていた。興味深いことに、pUC-I’(配列番号1)には化合物(3−3)のマッチ配列にあたるsite(5’-TGCCG-3’)も含まれているが、そのグアニンへのアルキル化は全く観察することはできなかった。
図2の結果も考慮すると、このインドールリンカーとCBIの組み合わせは、高い配列特異性をもって、アデニンのN-3位をアルキル化すると考えられる。配列認識において、インドールリンカーはPy様の役割を果しながら、CBIのシクロプロパン環とアデニンのN-3位の距離をアルキル化が起きるように調節していると考えられる(図3)。
化合物(3−2)、(3−4)、(3−5)のDNAとの反応について長鎖DNA(λ-F10906:配列番号8)を用いて検討した。そのDNAアルキル化能を評価した結果を図4に示す。化合物(3−2)による配列特異的DNAアルキル化(site 2,3:5’-TGACCA-3’, site 4:5’-AGACCA-3’, site5:5’-TGTCCA-3’)をnM濃度で図2の結果と同様に観察した。化合物(3−4)による配列特異的DNAアルキル化(site 6:5’-AATCCA-3’, site 7:5’-TAACCA-3’)もnM濃度で観察することができた。一方で、化合物(3−5)は、ミスマッチ配列(site 1:5’-TGCTCA-3’)に対するアルキル化のみが観察された。これらの結果は、インドールリンカーを含むヘアピン型Py−Imポリアミドの分子設計において、Py−Imの配置を変えるだけで、自在に異なる配列認識能を持ったアルキル化剤にできる可能性を示している。
また、インドールリンカーを用いる合成経路の確立によって、これまでのビニルリンカーでは合成が不可能であったより長い塩基配列認識能を持つアルキル化剤の合成も可能になった。例えば、oxime resinを用いるPy−ImポリアミドのFmoc固相合成法は、長い配列認識能を有するPy−Imカルボン酸を供給することができるので、合成例7に示す化合物(3−6)の合成が可能になった。pQBI63由来のDNAフラグメント(配列番号11)に対してアルキル化の検討を行った結果、nM濃度での化合物(3−6)による1000塩基対DNAに対する効率よいアルキル化を確認することができた(図5)。一方で、1bp mis-match認識によるアルキル化(site 2)が観察されたものの、AT-richな塩基配列(site 1,3)に対するアルキル化も観察された。化合物(3−6)のような長い認識能を有するPy−Imポリアミドにおいて、高い特異性を保持することは重要な課題である。今後、現在の分子設計の最適化を進めていくことで、汎用性に優れた10塩基対以上の配列認識能を有する実用的なアルキル化が可能になると考えられる。
ヘアピン型ポリアミドの安定性
HPLCを用いた酸性、アルカリ性条件下での安定性の解析を以下の方法で行った。全量10μLの5%HCl水溶液(pH=1,DMF:H2O=1:9)あるいは、5%NaHCO3水溶液(pH=9,DMF:H2O=1:9)中に化合物(3−1)または(4−1)(100μM)を含む反応溶液を微量遠心分離管(Eppendorf)に入れて、37℃下で静置した。静置を始めてから、30分、2時間、24時間後にそれぞれHPLC(0-100%50mMギ酸アンモニウム-アセトニトリルリニアグラジエント,20min,流速:1.0mL/min,254nm)にて化合物(4−1)(16.8min)、化合物(3−1)(15.1min)の解析を行った。
化合物(4−1)、(3−1)を用いてインドールリンカーを含むPy−Imポリアミドの安定性をHPLCによるproduct analysisによって評価した結果を図6に示す。化合物(4−1)は、HCl酸性(pH=1)水溶液(37℃、24時間静置)条件に対して、全く加水分解されないことが判明した。また、化合物(4−1)は、NaHCO3アルカリ性(pH=9)水溶液(37℃、24時間静置)条件に対して、化合物(3−1)に変換されるが(30分間:50%、2時間:78%)、他の加水分解物は全く生成しなかった。一方、化合物(3−1)をHCl酸性(pH=1)水溶液(37℃)条件に付すと、速やかに化合物(4−1)に変換された(30分間:96%)。すなわち、インドールリンカーを含むPy−Imポリアミドは、酸性(pH=1)においては化合物(4−1)のようなseco-CBIの形で、アルカリ性(pH=9)においては化合物(3−1)のようなCBIの形で、安定に存在していることが判明した。
ヘテロダイマー型ポリアミドによるDNA配列特異的アルキル化
Py−ImポリアミドのFmoc固相合成法は、配列認識能を有するPy−Imカルボン酸やマイナーグルーブバインダーを供給することができるので、合成例8および10に示すように化合物(3−7)、(6)の合成も可能である。727bp DNAフラグメント(配列番号14)に対して化合物(3−7)のDNAアルキル化の検討を行った結果、nM濃度での化合物(3−7)による効率よいヘアピン型認識によるアルキル化(site 1,2)と直鎖型認識によるアルキル化(site 3)を確認することができた(図7)。興味深いことに、マイナーブルーブバインダーである化合物(6)(500nM)共存下においてヘテロダイマー形成し、正確な10塩基対認識によるアルキル化(site 4)が観察された。化合物(3−7)および(6)のような二分子が共同的に作用することによって長い塩基対認識能を確認できたことは、Py−Imポリアミドの認識を拡張することを考える上で重要な知見である。
テロメア配列を標的にするDNAアルキル化
細胞内のDNAの末端には5’-GGGTTA-3’からなる連続した塩基配列が存在しており、細胞の増殖、複製に深く関連していることが示唆されている。化合物(4−3)の24回のテロメア繰り替えし配列を持つDNAフラグメント(446bp:配列番号17)に対してアルキル化の検討を行った結果、nM濃度での化合物(4−3)による効率よいヘアピン型認識によるテロメア配列選択的なアルキル化(5’-ACCCTA-3’)を観察した(図8)。インドールリンカーを含むPy−Imポリアミドによるアルキル化剤の分子設計は汎用性に富み、様々な標的塩基配列認識を可能にすることができると考えられる。
ヘアピン型ポリアミドのインビトロ抗癌作用
最も良好な配列特異的アルキル化を示したインドールリンカーを含むPy−Imポリアミド(3−2)の癌細胞への効果を調べるために,乳癌から前立腺癌までの39種類のヒト培養癌細胞を用いて評価した(図9)。バーグラフの縦軸は39種類のヒト培養癌細胞の種類を示し、横軸の0の値はIC50の対数の平均値を示している。バーが右に伸びるとその癌種に対して効果が高く,左に伸びると効果が低いことを示している。化合物(3−2)はヒト培養癌細胞に対して比較的強い活性[39種類の平均logIC50は約−7(100nM)]をもち,興味深い抗癌活性を示している。なお、乳癌から前立腺癌までの39種類のヒト培養癌細胞を用いた抗癌活性の評価はがん研究会において行なわれているスクリーニング試験によって評価した。
さらに、HCT-116(ヒト大腸癌由来細胞)、HeLa(ヒト子宮頸癌由来細胞)、HLC-2(ヒト肺癌由来細胞)、SH-SY-5Y(ヒト神経芽由来細胞)を、0.1%のDMFを含む10−5〜10−8 MのAcImImPyPy-γ-ImPy-Indole-CBI(3−2)で48時間処理し、この化合物の抗癌剤としての効果を評価した。その結果、HCT-116、HeLa、HLC-2、SH-SY-5Yに対する50%細胞増殖阻害濃度(IC50)は、それぞれ7.42×10−8、5.97×10−8、5.35×10−8、7.43×10−9Mを示した。また、293T(ヒト腎臓由来正常細胞)、WI-38(ヒト正常繊維芽細胞)に対しても同様の評価を行った結果、IC50はそれぞれ6.99×10−8 、6.79×10−8Mを示し、正常細胞と比べて癌細胞に対して約10倍の高い抗癌作用を示した(IC50値は0.1% DMFで48時間処理した系をコントロールとして計算した)。
なお、抗癌活性の評価は以下の方法により行った。96well平底プレートへ、HCT-116、HeLa、HLC-2、SH-SY-5Y細胞を完全培地[10%のウシ胎児血清を含むRPMI1640(HCT-116、SH-SY-5Y;シグマアルドリッチ)および、ダルベッコ改変最小培地(HeLa、HLC-2、293T、WI-38; シグマアルドリッチ)]中に、それぞれ4.0×103、3.6×103、1.6×103、7.0×102、5.0×102、8.0×102 cells/wellの細胞密度で播種し、CO2インキュベータにて24時間 前培養を行った。次に、培地を0.1%のDMFと10-5〜10-8 MのAcImImPyPy-γ-ImPy-Indole-CBI(3−2)を含む完全培地と交換し、CO2インキュベータ内で48時間処理を行った。その後、well当たり10μLのcell counting kit−8 試薬(同仁化学)を加えて2時間、 CO2インキュベータ内に放置し、マイクロプレートリーダー MPR-A4I(東ソ−)で吸光度を測定した。
ヘアピン型ポリアミドのインビボ抗癌作用
ヌードマウス可移植性ヒトER(+)乳癌Br-10に対する化合物(4−2)の抗腫瘍効果を検討した。8週齢BALB/cA-nu/nuマウスの背側部皮下にヒトER(+)乳癌Br-10を、套管針を用いて移植した。Br-10を移植するマウスには同時にE・P・ホルモンデポーを0.1mL筋肉内に投与した。腫瘍体積がおよそ100mmに達した時点で、5匹/群に分け、投与を開始した。
化合物(4−2)をエタノールで溶解し、生理食塩液に希釈して、1日1回、3日間毎に3回、腫瘍近傍の3、4箇所に分割して皮下投与した。化合物(4−2)の投与量は0.05mL/10gの容量で、50mg/kg(およそ1mg/マウス)を投与した。また、対照群には、生理食塩液を皮下投与した。3日間毎に、腫瘍の長径(L)および短径(W)を測定し、以下の式より、腫瘍体積を求めた。
腫瘍体積(mm)=L(mm)×W2(mm2)/2
化合物(4−2)投与群と対照群との腫瘍体積の比較結果を下記表1に示す。表中の数値はそれぞれの群の1日後の腫瘍体積を1.0とした際のそれぞれの群のおける相対的な評価、および(化合物(4−2)投与群の腫瘍体積:T)/(対照群の腫瘍体積:C)×100%で表される群間の相対的な評価を表している。
上記表1より化合物(4−2)を皮下投与した群では1回目の投与より増殖の抑制が認められ、以降の投与により、より顕著な増殖抑制効果を示した。なお、本実験では、マウスの体重減少等の毒性は認められなかった。

Claims (21)

  1. 下記一般式(1)、
    (式中、RはDNAをアルキル化する官能基、Rは水素原子、アルキル基またはアシル基、Xは下記式、
    を構成単位(mは0〜10の整数)とし、該構成単位の1つからなる2価の基、または同一でも異なっていてもよい2つ以上の該構成単位からなる2価の基である。但し、前記構成単位のうち、上記R側末端の構成単位は下記式、
    (kは0〜10の整数)であってもよい。)で表わされることを特徴とするインドール誘導体。
  2. 前記Rが下記式、
    (式(4)中、Rは水素原子、ペプチド鎖、糖鎖またはポリエチレングリコール基、Eはハロゲン原子、メシル基およびトシル基からなる群から選択される脱離基である)で表わされる請求項1記載のインドール誘導体。
  3. 前記Rがアセチル基である請求項1記載のインドール誘導体。
  4. 下記式(3−1)、
    で表わされる請求項3記載のインドール誘導体。
  5. 下記式(3−2)、
    で表わされる請求項3記載のインドール誘導体。
  6. 下記式(3−3)、
    で表わされる請求項3記載のインドール誘導体。
  7. 下記式(3−4)、
    で表わされる請求項3記載のインドール誘導体。
  8. 下記式(3−5)、
    で表わされる請求項3記載のインドール誘導体。
  9. 下記式(3−6)、
    で表わされる請求項3記載のインドール誘導体。
  10. 下記式(3−7)、
    で表わされる請求項3記載のインドール誘導体。
  11. 下記式(4−1)、
    で表わされる請求項3記載のインドール誘導体。
  12. 下記式(4−2)、
    で表わされる請求項3記載のインドール誘導体。
  13. 下記式(4−3)、
    で表わされる請求項3記載のインドール誘導体。
  14. 請求項1記載のインドール誘導体からなることを特徴とするDNAのアルキル化剤。
  15. 前記インドール誘導体がヘアピン型構造を形成することによりDNAを認識する請求項14記載のDNAのアルキル化剤。
  16. 前記インドール誘導体が二量体を形成することによりDNAを認識する請求項14記載のDNAのアルキル化剤。
  17. 下記式、
    (式中、nは0〜10の整数である)を構成単位とし、該構成単位の1つからなる2価の基、または同一でも異なっていてもよい2つ以上の該構成単位からなる2価の基を有する化合物(但し、前記構成単位のうち、N端側末端の構成単位は下記式、
    (qは0〜10の整数)であってもよい)が添加されてなる請求項14記載のDNAのアルキル化剤。
  18. 請求項14記載のアルキル化剤を使用した遺伝子の発現を抑制または活性化することを特徴とする薬剤。
  19. 前記遺伝子が異常遺伝子である請求項18記載の薬剤。
  20. 前記遺伝子が一塩基多型(SNPs)である請求項18記載の薬剤。
  21. 前記遺伝子が癌遺伝子である請求項18記載の薬剤。

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