JP2016094415A - 抗腫瘍剤 - Google Patents

抗腫瘍剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2016094415A
JP2016094415A JP2015221257A JP2015221257A JP2016094415A JP 2016094415 A JP2016094415 A JP 2016094415A JP 2015221257 A JP2015221257 A JP 2015221257A JP 2015221257 A JP2015221257 A JP 2015221257A JP 2016094415 A JP2016094415 A JP 2016094415A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
cancer
glioma
guanidino
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015221257A
Other languages
English (en)
Inventor
和夫 長澤
Kazuo Nagasawa
和夫 長澤
飯田 圭介
Keisuke Iida
圭介 飯田
貴大 中村
Takahiro Nakamura
貴大 中村
啓之 清宮
Hiroyuki Kiyomiya
啓之 清宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japanese Foundation for Cancer Research
Tokyo University of Agriculture and Technology NUC
Original Assignee
Japanese Foundation for Cancer Research
Tokyo University of Agriculture and Technology NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japanese Foundation for Cancer Research, Tokyo University of Agriculture and Technology NUC filed Critical Japanese Foundation for Cancer Research
Publication of JP2016094415A publication Critical patent/JP2016094415A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

【課題】がん、特に脳腫瘍に対する治療を可能とする強力な細胞増殖抑制効果及び/又は細胞死誘導効果を有する薬剤を提供する。【解決手段】下記構造を有するテロメスタチン誘導体が、がんに対して優れた細胞増殖抑制効果及び細胞死誘導効果を示す。【化1】【選択図】 なし

Description

本発明は、グアニン四重鎖を分子標的とする抗腫瘍剤、特に神経膠腫に対する治療剤に関する。
がんの研究が進むにつれて、多くのがんは、がん細胞やがん幹細胞などからなる不均一な細胞による組織であることが明らかとなってきた。このうち、がん幹細胞は、不均一ながん細胞組織の根源ともなる細胞と考えられることから、これを治療標的とすべきことが重要となってきた。がん幹細胞は、自己複製能・多分化能・高い造腫瘍能および治療抵抗性を有する分画のがん細胞で、現在乳がんや血液がんなど、多くのがんにおいてその存在が認められてきている。従来の治療法では、がん幹細胞まで排除することが困難であり、結果的にこのことががんの再燃を招く(非特許文献1)。したがって、いずれのがんの治療においても、がん幹細胞を標的とし、死滅させられる化合物が強く求められている。
臓器別に分類されるがん種のうち、脳腫瘍は難治性のがんであり、新たな治療法の開発が特に望まれているがんである。このうち神経膠腫は、神経膠細胞から発生する脳腫瘍の総称で、神経膠腫には、星細胞腫、乏突起神経膠腫、膠芽腫等の種類があり、病理診断上は悪性度に応じて4つのグレードに分類される。なかでも、膠芽腫(glioblastoma multiforme:GBM)は、最も頻度が高く、最も悪性度の高いがんである(生存期間中央値=12.6ヶ月、5年生存率4-5%、非特許文献2)。
GBMの治療は外科手術で腫瘍摘出の後、放射線化学療法とDNAアルキル化剤であるtemozolomide(TMZ、GBMに対する化学療法においてファースト・ラインとなっている薬剤)を用いた化学療法を行うことが主流となっているが、外科手術の技術が向上したにも関わらずその治療効果は改善を見ていない(非特許文献3)。このようなGBMの難治性を説明する要素として、外科的全摘出が困難であることに加え、現行の放射線化学療法・化学療法の効果が限定的であることが挙げられる。また、GBM内にも他の多くのがんと同様、GBM幹細胞と、そこから分化した非幹細胞からなるヒエラルキーが存在する。これらの背景から、GBM、特にそのGBM幹細胞分画に対して強力な制がん効果を発揮する薬剤の開発が強く望まれている。
抗腫瘍剤の開発には、がん細胞の生存・増殖に関わる様々な因子が治療標的分子として想定されるが、特にがん幹細胞を標的とした治療剤では、その標的分子の選定が重要となる。グアニン四重鎖(G4)は、ゲノムワイドに存在するグアニン豊富な核酸配列で形成される、特殊な立体構造であり、その生物学的機能も注目される。テロメアやがん関連遺伝子プロモーター領域におけるG4の安定化がどのような効果をもたらすのかは、G4安定化化合物(G4リガンド)を用いて評価されてきた。その結果、このような領域で形成されるG4の安定化が抗腫瘍効果をもたらすことが明らかとなってきたことから、G4はがん治療の新たな分子標的となり得ると考えられた(非特許文献4及び5)。
GBM幹細胞を標的としたG4リガンドに関しては、放線菌から単離されたG4リガンドであるテロメスタチン(TMS)が、GBM幹細胞に対してin vitro及びin vivoで高い増殖抑制効果を示すことが報告されている(非特許文献6)。TMSは臨床サンプルを株化した細胞に関して細胞毒性を示し、DNA損傷を引き起こしたが、これらの効果は非幹細胞では認められずGBM幹細胞選択的であった。また、ヌードマウスを用いたGBM幹細胞の脳内同所移植系モデルを用いてTMSのもつin vivoでの制がん効果を解析したところ、TMSの腫瘍内投与により腫瘍の体積が大きく減少し、腫瘍細胞がアポトーシスへと導かれた。さらに、DNAマイクロアレイの結果から、TMSは、GBM患者で高発現しているc-Myb転写因子の発現を抑制することで、制がん効果を発揮していることがわかった(非特許文献6)。しかし、G4リガンドを標的とした抗腫瘍剤はまだ実用化されてはいない。
Clevers, H. Nat. Med. 17, 313-319 (2011). Carlsson, S. K. et al. EMBO Mol. Med. doi: 10.15252/emmm.201302627 (2014). Chinot, O. L. et al. N. Eng. J. Med. 370, 709-722 (2014). Balasubramanian, S. et al. Nat. Rev. Drug Discov. 10, 261-275 (2011). Neidle, S. FEBS J. 277, 1118-1125 (2010). Miyazaki, T. et al. Clin. Cancer Res. 18, 1268-1280 (2012).
難治性の膠芽腫等の神経膠腫等の腫瘍に対する治療剤は十分満足できる薬剤はなく、新たな抗腫瘍剤の開発が待たれている。具体的には、TMSよりもより強力な細胞増殖抑制効果及び/又は細胞死誘導効果を有する薬剤が求められる。本発明は、膠芽腫等の神経膠腫といった腫瘍をより効果的に治療しうる化合物を有効成分とする剤を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らが鋭意研究した結果、特定の構造を有するTMS誘導体が抗腫瘍活性、特に、神経膠腫由来細胞株、特に神経膠腫由来幹細胞に対して優れた細胞増殖抑制効果及び細胞死誘導効果を示すことを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)次の一般式で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、抗腫瘍剤。
Figure 2016094415
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、アミノ基、グアニジノ基、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよいフェニル基、炭素数2〜6の複素環基又はハロゲン原子を表し、
及びRは、単結合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数1〜12のアルケニレン基又は炭素数1〜12のアルキニレン基を表す。)
(2)R、R、R及びRが、炭素数1〜4のアルキル基であることを特徴とする、上記(1)記載の抗腫瘍剤。
(3)R及びRが、単結合又は炭素数1〜3のアルキレン基であることを特徴とする、上記(1)記載の抗腫瘍剤。
(4)上記化合物が下記式で表されることを特徴とする、上記(1)記載の抗腫瘍剤。
Figure 2016094415
(式中、Meはメチル基を表す。)
(5)治療対象とするがん種が、乳がん、脳腫瘍、大腸がん、肺がん、胃がん及び前立腺がんからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)乃至(4)いずれか記載の抗腫瘍剤。
(6)治療対象とするがん種が、脳腫瘍のうち、神経膠腫、膠芽腫又はニューロスフェア由来細胞からなる神経膠腫であることを特徴とする(1)乃至(4)いずれか記載の抗腫瘍剤。
(7)上記化合物又はその薬学的に許容される塩が、神経膠腫由来細胞に対する細胞増殖抑制作用及び/又は細胞死誘導作用を示すことを特徴とする(1)乃至(6)いずれか記載の抗腫瘍剤。
本発明によれば、抗腫瘍活性を示す抗腫瘍剤、特に、神経膠腫由来細胞に対する優れた細胞増殖抑制効果及び/又は細胞死誘導効果を示す神経膠腫の治療剤を提供することができる。
がん細胞パネルJFCR39を用いた抗腫瘍スペクトルを示す特性図である。 6OTD処理及びTMS処理と細胞生存率との関係を示す特性図である。 コントロール及び6OTD処理における細胞周期ヒストグラム及び各細胞周期における細胞の割合を示した特性図である。 aはコントロール、6OTD処理及びTMZ処理による免疫蛍光染色試験の結果を示す写真であり、bは各条件における53BP1陽性細胞の割合を示す特性図である。 aはコントロール、6OTD処理及びTMZ処理による免疫蛍光in situハイブリダイゼーション試験の結果を示す写真であり、bは各条件における53BP1陽性細胞中でのテロメアにおけるDNA損傷(TIF)の割合を示す特性図である。 aはコントロール群及び6OTD投与群の個体写真及び摘出した両群の腫瘍の写真であり、bは各群について測定した腫瘍体積(左)、体重(中央)及び腫瘍重量(右)を示す特性図である。 各種がん遺伝子に含まれるG4形成配列について実施したFRET融解アッセイの結果を示す特性図である。 前立腺がん細胞株PC3を用いて実施したTRAPアッセイの結果として示す電気泳動写真及びテロメラーゼ活性に関する特性図である。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。本発明に係る抗腫瘍剤は、特定の構造を有する化合物を有効成分とするものである。本発明に係る抗腫瘍剤は、治療対象とするがん種に限定されないが、例えば、乳がん、脳腫瘍、大腸がん、肺がん、胃がん及び前立腺がんからなる群から選ばれる少なくとも1種のがんを治療対象として挙げることができる。なかでも、本発明に係る抗腫瘍剤は、治療対象とするがん種が、脳腫瘍のうち、神経膠腫、膠芽腫又はニューロスフェア由来細胞からなる神経膠腫であることが好ましい。さらに、本発明に係る抗腫瘍剤は、上記有効成分による神経膠腫由来細胞に対する細胞増殖抑制作用及び/又は細胞死誘導作用に基づいて抗腫瘍活性を示すことができる。以下では、本発明に係る抗腫瘍剤の一例として、神経膠腫の治療剤を挙げて説明する。しかし、本発明の技術範囲を神経膠腫の治療剤に限定することを意図するものではない。
[1.本発明の化合物]
1−1.本発明の化合物の構造
本発明に係る神経膠腫の治療剤は下記の一般式に示される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする。なお、本明細書に記載する一般式及び構造式においては、光学異性体が存在する場合には、その全ての光学異性体を含むものである。
Figure 2016094415
式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、アミノ基、グアニジノ基、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよいフェニル基、炭素数2〜6の複素環基又はハロゲン原子を表し、R及びRは、単結合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数1〜12のアルケニレン基又は炭素数1〜12のアルキニレン基を表す。
1−2.化合物の側鎖の構造
上記一般式で示される化合物において、R及びRは、単結合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数1〜12のアルケニレン基又は炭素数1〜12のアルキニレン基を表す。ここで、R及びRは、同じ構造であっても良いし、異なる構造であっても良い。 ここで、単結合とは、何も基がないことを意味する。
炭素数1〜12のアルキレン基は、直鎖状のもののみならず、分岐鎖を有するアルキレン基も含まれる。炭素数1〜12のアルキレン基としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、1−メチルトリメチレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、テトラメチレン、2−メチルテトラメチレン、2、3−ジメチルテトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン基が挙げられる。
炭素数1〜12のアルケニレン基も、直鎖状のもののみならず、分岐鎖を有するアルケニレン基も含まれる。また、二重結合が2つ以上であってもよい。炭素数1〜12のアルケニレン基としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、ビニレン、プロペニレン、1−メチル−1−プロペニレン、2−メチル−1−プロペニレン、3−メチル−1−プロペニレン、2,3−ジメチル−1−プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、1,3−ブタジエニレン、2−ペンテニレン、2,3−ペンタジエニレン、2−ヘキセニレン、1,3,5−ヘキサトリニレン、3−ヘプテニレン、4−オクテニレン、4−ノネニレン、5−デセニレン、6−ウンデセニレン、6−ドデセニレン基等が挙げられる。
炭素数1〜12のアルキニレン基も、直鎖状のもののみならず、分岐鎖を有するアルキニレン基も含まれる。また、三重結合が2つ以上あってもよい。炭素数1〜12のアルキニレン基としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、エチニレン、プロピニレン、3−メチル−1−プロピニレン、ブチニレン、1、3−ブタジイニレン、2−ペンチニレン、2−ペンチニレン、2,4−ペンタジイニレン、2−ヘキシニレン、1,3,5−ヘキサトリイニレン、3−ヘプチニレン、4−オクチニレン、4−ノニニレン、5−デシニレン、6−ウンデシニレン、6−ドデシニレン基等が挙げられる。
特に、R及びRは、単結合とすることが最も好ましい。R及びRが単結合でない場合、R及びRは、炭素数1〜12のアルキレン基とすることが好ましく、より好ましくは、炭素数1〜3の直鎖状のアルキレン基とすることが好ましい。
一方、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、アミノ基、グアニジノ基、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよいフェニル基、炭素数2〜6の複素環基又はハロゲン原子を表す。
ここで、アミノ基とは−NHであり、グアニジノ基とは−NHC(NH)−NHである。
また、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基には、直鎖状のもののみならず、分岐鎖を有するアルキレン基も含まれ、また、アミノ基及び/又はグアニジノ基を合計で2つ以上有していてもよい。
アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、3−アミノプロピル基、2−アミノプロピル基、2,3−ジアミノプロピル基、2−アミノ−3−グアニジノプロピル基、ブチル基、4−アミノブチル基、3,4−ジアミノブチル基、2−グアニジノ−4−アミノブチル基、4−アミノ−3−(2−アミノエチル)ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、5−アミノペンチル基、5−グアニジノペンチル基、ヘキシル基、6−アミノヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基とは、単環式又は縮合環式のアリール基により置換された総炭素数7〜12のアルキル基であり、アミノ基若しくはグアニジノ基を1つのみならず、2つ以上有していてもよい。また、アミノ基又はグアニジノ基を有していないアラルキル基でもよいことは、もちろんのことである。
アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基としては、これらに限定されるわけではないが、ベンジル基、4−アミノベンジル基、3−グアニジノ−4−アミノベンジル基、フェネチル基、4−アミノフェネチル基、フェニルプロピル基、3,4−ジアミノフェネチル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよいフェニル基には、アミノ基及び/又はグアニジノ基を合計で2つ以上有しているフェニル基も含まれ、これらに限定されるわけではないが、例えば、フェニル基、4−アミノフェニル基、4−グアニジノフェニル基、3−グアニジノ−4−アミノフェニル基等が挙げられる。
炭素数2〜6の複素環基としては、これらに限定されるわけではないが、チエニル基、フリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基等が挙げられる。
また、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
本発明の好ましい一つの実施態様として、上記一般式で示される化合物において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はアミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数1〜7のアルキル基とすることが好ましい。
ここで、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数1〜7のアルキル基は、直鎖状のもののみならず、分岐鎖を有するアルキレン基も含まれ、また、アミノ基及び/又はグアニジノ基を合計で2つ以上有していてもよい。
アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数1〜7のアルキル基としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、3−アミノプロピル基、2−アミノプロピル基、2,3−ジアミノプロピル基、2−アミノ−3−グアニジノプロピル基、ブチル基、4−アミノブチル基、3,4−ジアミノブチル基、2−グアニジノ−4−アミノブチル基、4−アミノ−3−(2−アミノエチル)ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、5−アミノペンチル基、ヘキシル基、6−アミノヘキシル基、6−グアニジノヘキシル基、ヘプチル基、7−アミノヘプチル基等が挙げられる。
本発明の好ましい一つの実施態様として、上記一般式で示される化合物において、R、R、R及びRを、それぞれ独立に、水素原子又はアミノ基を末端に有する炭素数1〜7の直鎖状のアルキル基とすることができる。
アミノ基を末端に有する炭素数1〜7の直鎖状のアルキル基としては、アミノメチル基、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、4−アミノブチル基、5−アミノペンチル基、6−アミノヘキシル基、7−アミノヘプチル基が挙げられる。
特に、上記一般式で示される化合物において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基とすることが好ましい。さらに、上記一般式で示される化合物において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基とすることが好ましい。さらにまた、上記一般式で示される化合物において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基とすることがより好ましい。さらにまた、上記一般式で示される化合物において、R、R、R及びRは、炭素数1のアルキル基すなわちメチル基とすることが最も好ましい。
すなわち、以下の構造式で示される化合物とすることが最も好ましい。
Figure 2016094415
[2.本発明の化合物を含む塩、神経膠腫の治療剤]
上記一般式で示される化合物は、塩とすることができる。例えば、上記一般式で示される化合物に酸を付加することにより塩とすることができる。酸としてはこれらに限定されるわけではないが、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。
上記一般式で示される化合物は、強いテロメラーゼ阻害活性を有し、当該活性により神経膠腫由来細胞株、特に神経膠腫由来幹細胞に対して優れた細胞増殖抑制効果及び細胞死誘導効果を示す。すなわち、上記一般式で示される化合物又はその薬学的に許容される塩は、神経膠腫の治療剤における有効成分となる。
ここで、神経膠腫とは、グリオーマとも称され、神経膠細胞から発生する腫瘍の総称である。神経膠腫には、星細胞腫、乏突起神経膠腫、退形成星細胞腫、退形成乏突起神経膠腫、上衣腫、膠芽腫、脳幹グリオーマ、髄芽腫等が含まれる。したがって、本発明に係る神経膠腫の治療剤は、これら星細胞腫、乏突起神経膠腫、退形成星細胞腫、退形成乏突起神経膠腫、上衣腫、膠芽腫、脳幹グリオーマ及び髄芽腫のいずれも治療対象となる治療剤である。特に、本発明に係る神経膠腫の治療剤は、膠芽腫を治療対象とすることが好ましい。膠芽腫は、神経膠腫のなかでも、最も未分化で臨床的にも最も悪性の腫瘍であるとされている。
なお、後述する実施例に示すように、本発明の化合物は、テロメスタチンと比較して、神経膠腫由来の細胞株、特に神経膠腫由来の幹細胞株に対して著しく優れた抗腫瘍活性を有するため、膠芽腫等の神経膠腫に対する優れた治療効果を期待することができる。
上記一般式の化合物又はその塩を有効成分として含有する神経芽腫の治療剤を使用する際の薬学的投与形態としては、目的に応じて各種の薬学的投与形態を採用でき、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、液剤、丸剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、硬膏剤、貼付剤、エアゾール剤、点眼剤等の非経口剤のいずれでもよく、これら投与形態は、それぞれ当業者に公知慣用の製造方法により製造できる。
経口用固形製剤を調製する場合には、有効成分(即ち、一般式の化合物)に賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤等を製造することができる。賦形剤としては、例えば乳糖、蔗糖、澱粉、タルク、ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム等が、結合剤としてはポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、アラビアゴム、シェラック、白糖等が、崩壊剤としては乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、寒天末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が、滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、タルク等が、矯味剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が使用できる。その他、着色剤、矯臭剤等は通常公知のものを用いることができる。なお、錠剤は、必要に応じ周知の方法により通常の剤皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠、その他、二重錠、多層錠とすることができる。
経口用液体製剤を調製する場合は、有効成分に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて、常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。この場合、矯味剤としては上記に挙げられたもので良く、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が使用できる。
注射剤を調製する場合には、有効成分に、希釈剤、pH調製剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により静脈内、筋肉内、皮下、皮内並びに腹腔内用注射剤を製造できる。希釈剤としては、例えば、水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用できる。pH調製剤及び緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸、チオ乳酸等が使用できる。等張化剤としては塩化ナトリウム、ブドウ糖等が、局所麻酔剤としては塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が使用できる。
坐剤を調製する場合には、有効成分に基剤、さらに必要に応じて界面活性剤等を加えた後、常法により坐剤を製造することができる。基剤としては、例えばマクロゴール、ラノリン、カカオ油、脂肪酸トリグリセライド、ウィテップゾール(ダイナマイトノーベルズ社製)等の油性基剤を用いることができる。
軟膏剤を調製する場合は、有効成分に通常使用される基剤、安定化剤、湿潤剤、保存剤等が必要に応じて配合され、常法により混合、製剤化される。基剤としては流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィン等が、保存剤としてはパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が使用できる。
貼付剤を製造する場合は、通常の支持体に有効成分と前記軟膏、クリーム、ゲル、ペースト等を常法により塗布すれば良い。支持体としては綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布や軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルムあるいは発泡体シートが使用できる。
更に、上記各製剤には、必要に応じて、着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を医薬製剤中に含有せしめてもよい。
特に、本発明に係る治療剤は、上記一般式で表される化合物又はその塩に対して、いわゆる薬物輸送システムの形態で製剤化することができる。一般に、血液脳関門(Blood-brain barrier, BBB)と呼ばれるバリヤー構造により、脳に対する物質輸送が制限されている。よって、本発明に係る治療剤は、血液脳関門を回避して、脳に対して所定の化合物を宗達できるような担体、すなわち脳に対する選択的薬物輸送システムの形態で製剤化することがより好ましい。
本発明の製剤に含有されるべき有効成分(即ち、上記一般式の化合物)の量は、特に限定されず広範囲より適宜選択されるが、通常それらの製剤中1〜70重量%とするのがよい。
かくして得られる本発明の製剤の投与方法は、特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別、その他の条件、疾患の程度等に応じて適宜決定される。例えば、注射剤形態の医薬製剤は、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内投与などにより投与され得る。これは必要に応じてブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与することもできる。錠剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤などの固剤形態や経口投与用液剤形態の本発明の抗腫瘍剤は、経口投与又は経腸投与され得る。坐剤は直腸内投与できる。
上記の各投与単位形態中に配合されるべき有効成分の量は、これを適用すべき患者の症状によりあるいはその剤型等により適宜設定できるが、一般に投与単位形態あたり経口剤では約1〜1000mg、注射剤では約0.1〜500mg、坐剤では約5〜1000mgとするのが望ましい。
また、上記投与形態を有する薬剤の1日あたりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別、その他の条件等に応じて適宜選択されるが、通常成人1日あたり約0.1〜1000mg/kg、好ましくは約1〜100mg/kgとすればよく、これを1日1回又は2〜4回程度に分けて投与することができる。
[3.上記化合物の製造方法]
上記化合物の合成方法は、先ず、以下の逆合成解析によりL-チロシンを出発物質として設計することができる。
Figure 2016094415
具体的には、まず中間体であるトリオキサゾール(3)の合成を行う。L-チロシンのカルボン酸をメチルエステル化した後、アミノ基をBoc基で、フェノール性水酸基をBn基で保護しN-Boc-O-Bn-チロシンメチルエステル(7)を3段階で得る。次に、(7)のメチルエステルを水酸化リチウムによって加水分解し、続くNMM、DMT-MMを用いたL-スレオニンメチルエステル(8)とのアミドカップリングの後、DASTによる脱水環化反応でオキサゾリンへと変換し、オキサゾリンに対してDBU、BrCCl3を用いて酸化反応を行うことで、オキサゾール(5)を4段階で得る。続いて、このオキサゾール(5)のメチルエステルを水酸化リチウムによって加水分解し、NMM、DMT-MM存在下でセリンとスレオニンより合成したオキサゾール(9)と縮合することで、アミド(4)を2段階で合成する。最後に、アミド(4)にDASTを作用させオキサゾリンを得た後、オキサゾリンをDBU、BrCCl3で酸化し、中間体となるトリオキサゾール(3)を2段階で得る。以上の工程を下記反応式に示す。
Figure 2016094415
次に、トリオキサゾール(3)を水酸化リチウム、TFAを用いてそれぞれカルボン酸(10)、アミン(11)へと変換し、それらをアミドカップリングすることでビストリオキサゾール(2)をトリオキサゾール(3)から合成する。続いてビストリオキサゾール(2)のメチルエステルを、水酸化リチウムを用いて加水分解し、Boc基のTFAによる脱保護を行い、精製することなくEtiPr2N、DMAP、DPPA存在下、高希釈条件下(3mM)で反応を行うことで大環状化合物(12)を3段階で得る。Y2H2-6M(4)OTD(1)は、この大環状化合物(12)に対し水素添加反応を行い、Bn基を脱保護することにより得ることができる。以上の工程を下記反応式に示す。
Figure 2016094415
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1:Y2H2-6M(4)OTD(以下、6OTDと称す)の化合物の合成
本実施例では、以下の構造式で示される化合物を合成した。
Figure 2016094415
先ず、下記の反応式に従いビストリオキサゾール2を合成した。
Figure 2016094415
具体的には、先ず、テトラヒドロフラン-水混合溶媒(3:1、25mL)中のトリオキサゾール3(798mg、1.30mmol)に水酸化リチウム1水和物(109mg、2.60mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。その後、氷上で1M塩酸を用いて反応液を中和し、合成中間体であるカルボン酸10を溶液として得、このまま次の反応に用いた。
また、トリオキサゾール3(868mg、1.41mmol)にトリフルオロ酢酸-塩化メチレン混合溶媒(1:4、15.0mL)を加え、1.5時間攪拌した。その後、溶媒を留去し、精製することなくアミン11を得た。
上記カルボン酸10溶液にN-メチルモルホリン(290μL、2.60mmol)、DMT-MM(720mg、2.60mmol)及びアミン11を加え、室温で攪拌した。20時間後、反応液に水を加えろ過し、残渣をクロロホルムに溶かしたのち、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、硫酸マグネシウムをろ過して除去し、ろ液を減圧下濃縮した。最後に残渣をクロロホルム-酢酸エチル混合溶媒にて再結晶し、ビストリオキサゾール3を得た(1.29g、3工程での総収率90%)。
得られたビストリオキサゾール3の化合物データは以下の通りである。
[α]D 25=+6.2(c3.2、クロロホルム);1H NMR(500MHz、重クロロホルム)・8.29(s、1H)、8.24(s、1H)、7.53-7.52(d、J=8.59Hz、1H)、7.40-7.29(m、10H)、7.09-7.07(d、J=8.02Hz、2H)、6.97-6.95(d、J=8.26 Hz、2H)、6.87-6.85(m、4H)、5.66-5.61(m、1H)、5.21-5.14(m、2H)、5.01(s、2H)、5.00(s、2H)、3.94(s、3H)、3.39-3.35(dd、J=6.87、14.32Hz、2H)、3.33-3.29(dd、J=6.87、14.32Hz、2H)、3.22-3.18(m、2H)、2.80(s、3H)、2.77(s、3H)、2.68(s、3H)、2.67(s、3H)、1.41(s、9H); 13C NMR(125 MHz、重クロロホルム)・174.2、162.8、161.8、161.5、159.8、157.8、156.7、155.8、154.7、150.8、150.6、143.4、140.9、136.9、136.8、136.4、130.3、128.5、127.9、127.4、125.4、124.7、124.4、114.9、114.8、80.0、69.9、55.8、52.1、50.1、48.2、39.5、39.0、29.6、28.2、11.9、11.7; 高分解能質量スペクトル(ESI、M+Na)理論値 C60H56N8O13Na 1119.3865、実測値 1119.3868。
次に、下記の反応式に従い大環状ビスアミド12を合成した。
Figure 2016094415
先ず、得られたビストリオキサゾール2(1100mg、1.00mmol)にトリフルオロ酢酸-塩化メチレン混合溶媒(1:4、10.0mL)を加えた。2.5時間室温で攪拌したのち溶媒を留去してアミンを得た。この粗精製アミンをテトラヒドロフラン-水混合溶媒(3:1、12.0mL)に溶解させ、アミン溶液に水酸化リチウム1水和物(168mg、4.00mmol)を1時間かけて徐々に加え、4時間室温で攪拌した。その後、氷上で1M塩酸を用いて反応液を中和し、溶媒を留去することでアミノ酸を得た。このアミノ酸を窒素雰囲気下、N,N-ジメチルホルムアミド-塩化メチレン混合溶媒(1:2、300mL)に溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(850μL、5.00mmol)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(122mg、1.00mmol)及びジフェニルホスホリルアジド(3.0mL、13.2mmol)を攪拌しながら室温で加えた。14時間加熱還流したのち、塩化メチレンを留去し、残った溶液に酢酸エチルおよび水を加え有機層を抽出した。有機層を1M塩酸および飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムで精製し(展開溶媒はクロロホルム:酢酸エチル=6:1)、大環状ビスアミド12を白色粉末として得た(705mg、3工程の総収率73%)。
得られた大環状ビスアミド12のスペクトルデータは以下の通りである。
[α]D 25=+39.4(c1.6、クロロホルム);1H NMR(500MHz、クロロホルム)δ8.45(br、1H)、8.23(s、2H)、7.41-7.28(m、10H)、7.03-6.81(m、8H)、5.50-5.48(m、2H)、5.00(s、4H)、3.32-3.29(dd、J=5.73、13.75Hz、2H)、3.28-3.23(dd、J=6.87、13.75Hz、2H)、2.71(s、6H)、2.57(s、6H);13C NMR(125MHz、重ジメチルスルホキシド) δ161.3、158.7、157.2、155.4、154.1、150.8、150.7、141.9、137.0、135.8、130.1、129.1、128.1、127.5、124.6、123.5、114.5、69.0、48.5、11.3、11.2;高分解能質量スペクトル(ESI、M+Na)理論値 C54H44N8O10Na 987.3078、実測値 987.3062。
次に、下記の反応式に従い大環状ビスアミド12からY2H2-6M(4)OTD(1)を合成した。
Figure 2016094415
具体的には、先ず、水素雰囲気下、メタノール-テトラヒドロフラン混合溶媒(3:1、50.0mL)に溶解させた大環状ビスアミド12(51mg、53.0μmol)に10%パラジウム/炭素(21mg)を加え、室温で激しく攪拌した。17時間後、反応溶液をメタノール-テトラヒドロフラン混合溶媒(3:1)でセライトろ過し、ろ液を留去した。残渣をシリカゲルカラムに通し(展開溶媒としてクロロホルム:メタノール=20:1)、Y2H2-6M(4)OTD(1)を黄色粉末として得た(41mg、99%)。
得られたY2H2-6M(4)OTD(1)のスペクトルデータは以下の通りである。
[α]D 25=+33.1(c2.6、N,N-ジメチルホルムアミド);1H NMR(500MHz、重ジメチルスルホキシド) δ9.16(br、2H)、8.80(s、2H)、8.23-8.21(d、J=7.45Hz、2H)、6.77-6.76(d、J=8.02Hz、4H)、6.58-6.57(d、J=8.02Hz、4H)、5.47-5.44(m、2H)、3.25-3.15(m、4H)、2.73(s、6H)、2.69(s、6H); 13C NMR(125MHz、DMSO-d6) δ162.2、159.3、156.7、156.0、154.8、152.0、151.4、151.3、142.7、140.0、136.4、130.8、128.6、126.2、125.4、125.2、124.2、115.7、49.2、34.9、30.9、21.6、12.0;高分解能質量スペクトル(ESI、M+Na)理論値C40H32N8O10Na 807.2241、実測値 807.2139。
実施例2:がん細胞パネルJFCR39における抗腫瘍スペクトルの評価
各がん細胞株(肺がん7系、胃がん6系、大腸がん5系、卵巣がん5系、脳腫瘍6系、乳がん5系、腎がん2系、前立腺がん2系およびメラノーマ1系)を96穴プレートにまき込み、翌日に各穴に10nM、100nM、1000nM、10μM及び100μMの6OTD溶液を添加した。2日培養後、各穴にスルホローダミンB溶液を加え、マイクロプレートリーダーで比色定量を行った。
結果を図1に示す。6OTD感受性を示した細胞株は、全39細胞株のうち29細胞株であった。特に、乳がん(5系のうち2系)、脳腫瘍(6系全て)、大腸がん(5系のうち4系)、肺がん(7系のうち6系)、胃がん(6系全て)および前立腺がん(2系全て)の各細胞株が高い6OTD感受性を示した(IC50値の範囲: 21〜290nM)。これらの結果から、6OTDは、様々ながん種に対する治療効果が期待できると推察された。
実施例3:60TDの膠芽腫に対する治療効果の評価
本実施例において、培地への添加物、培地組成、ブロッキング液組成、ハイブリダイゼーション試薬及びFISH洗浄液は以下の通りに調整した。
培地への添加物は、牛胎児血清(FBS):Cellgro、ペニシリン・ストレプトマイシン:Life Technology、硫酸カナマイシン:明治製菓ファルマ、50×B-27:Life Technology、100×Glutamax:Life Technology、5.0mg/mLヘパリン:Sigma-Aldrich、50μg/mLヒト繊維芽細胞増殖因子:Peprotech Inc.及び100μg/mLヒト上皮成長因子: Peprotech Incである。
細胞種ごとの培地組成は、U251細胞株については、10% FBS、1%ペニシリン・ストレプトマイシン、0.1mg/mL硫酸カナマイシン含有RPMI(Life Technology)である、膠芽腫患者から採取したがん幹細胞(ニューロスフェア)については、1%ペニシリン・ストレプトマイシン、0.1mg/mL硫酸カナマイシン含有Advanced DMEM/F-12(Life Technology)98mLに、50×B-27を2.0mL、100×Glutamaxを1.0mL、5.0mg/mLヘパリンを100μL、50μg/mLヒト繊維芽細胞増殖因子を40μL、100μg/mLヒト上皮成長因子を50μL添加し、調製した。また、上記ニューロスフェアを接着細胞へと誘導した細胞については、10%FBS、1%ペニシリン・ストレプトマイシン、0.1mg/mL硫酸カナマイシン含有Advanced DMEM/F-12(Life Technology)とした。
ブロッキング液は、粉末のブロッキング試薬(ロシュ・ライフ・サイエンス)の終濃度が10%となるように、マレイン酸緩衝液(100mMマレイン酸、150mM塩化ナトリウム、pH7.5)で希釈し、調製した。
ハイブリダイゼーション試薬は、ホルムアミド:ブロッキング液:1Mトリス緩衝液(pH7.2):テロメアPNAプローブ(配列:5’-Cy3-CCCATTCCCATTCCCATT:配列番号1、濃度:30μg/mL):滅菌水=70:5:1:1:23の混合液とした。
FISH洗浄液は、ホルムアミド:1Mトリス緩衝液(pH7.2):滅菌水=70:1:19の混合液とした。
[実施例3−1] 細胞増殖抑制試験
インフォームドコンセントのもと膠芽腫患者2名より提供されたがん細胞(以下、GBM146及びGBM157と称す)のうちがん幹細胞(ニューロスフェア)と、これから分化した接着細胞を用いて細胞増殖抑制試験を行った。ニューロスフェアの場合には、浮遊性細胞培養用24穴マイクロプレート(IWAKI)に、接着細胞の場合には付着性細胞培養用24穴マイクロプレート(IWAKI)に、それぞれ1穴あたり1×104個の細胞を800μLまき込んだ。24時間後、各穴に最終濃度(6OTD:0、10、30、100、300nM、テロメスタチン(TMS):500、1000、5000nM)の5倍となる濃度の6OTDおよびTMSを200μL加え、6日間静置した。その後、10×TrypLE Express(Life Technology社製)を200μL加え、37℃で10分静置したのち、Cell pack(Sysmex)9.8mLに懸濁した。最後に、同懸濁液をCDA-500(Sysmex)にセットし、同装置で細胞数をカウントした。
結果を図2に示す。ニューロスフェアを6OTD処理した場合、GBM146、GBM157のいずれにおいても、リード化合物であるTMSよりも、IC50値の比較で40.2〜62.7倍強力な細胞増殖抑制効果が認められた。また、6OTDが有するニューロスフェアと接着細胞との選択性をIC50値で比較したところ8.4〜18.5倍であった。この結果から、6OTDはTMSよりも強力にニューロスフェアの増殖を抑制し、細胞増殖抑制効果はニューロスフェア選択的であることがわかった。
[実施例3−2] プロピジウムイオジド(PI)染色試験
ニューロスフェア及び接着細胞をまき込んだ24時間後に、ジメチルスルホキシド及び6OTD(終濃度100nM/0.1%ジメチルスルホキシド)を加え、120時間培養した。細胞を回収し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加えた後、1000回転、5分遠心分離して上清を除いた。得られたペレットを4℃のPBS(900μL)で懸濁し、それをやさしくvortexしながら-20℃エタノールを2.1mL滴下したのち4℃で30分静置した。その後、3000回転、5分間遠心分離して上清を除いた後、PBSで洗浄し、再び同条件で遠心分離を行うことで上清を除いた。ここで得られた沈殿を400μLの2.0mg/mL RNase A(Sigma-Aldrich)で懸濁し、37℃で30分間静置した。PBSを600μL加え、3000回転、5分間遠心分離して上清を除いた後に1.0mLのPI(50μg/mL)で沈殿を懸濁し、室温で15分間遮光して静置した。最後に細胞懸濁液を35μmメッシュに通し、フローサイトメトリー(FACS calibur: BD)で解析した。
結果を図3に示す。GBM146、GBM157のいずれにおいても、ニューロスフェアを6OTD処理することで細胞周期に影響を与えることが明らかとなった。すなわち、Sub-G1(アポトーシス)分画の増加(GBM146:0.8%→12.5%、GBM157:3.1%→13.9%)と、S及びG2/M分画の減少(S分画;GBM146:10.5%→1.8%、GBM157:7.9%→2.7%、G2/M分画;GBM146:19.5%→12.5%、GBM157:20.4%→10.9%)が認められた。一方、接着細胞については、6OTDについて上記のような効果は認められなかった。これらのことから、6OTDは、ニューロスフェア選択的な細胞周期停止及びアポトーシスを誘導したことがわかった。
[実施例3−3] 免疫蛍光染色法
付着性細胞培養用12穴マイクロプレート(IWAKI)の各穴にポリ-L-リジンコートされたカバースリップ(松浪硝子)を入れ、付着細胞用培地を400μL加えた後、それぞれの培地で懸濁した1×105のニューロスフェア又は接着細胞を400μL加えた。ニューロスフェアは3時間後、接着細胞は24時間後に培地をニューロスフェア培地800μLへ置換したのち、200μLのニューロスフェア培地で希釈した化合物(終濃度;6OTD:0、100nM、TMZ:10μM、いずれも終ジメチルスルホキシド濃度0.1%)を加え、72時間培養した。PBSで洗浄後、2%パラホルムアルデヒド/PBSで10分間固定し、再度PBS洗浄を行ったあと、0.5%ノニデットP-40/PBSで10分間透過化し、再度PBSで洗浄した。細胞を1%ウシ血清アルブミン(BSA)/PBSで15分間ブロッキングし、1%BSA/PBSで2分間洗浄した後、1%BSA/PBSで100倍希釈した抗53BP1抗体(Cell Signaling Technology)100μLで1次抗体処理した。1時間後、1%BSA/PBSで2分間の洗浄を5回行い、500倍希釈したAlexa488修飾抗ウサギ抗体(Life Technology)100μLで遮光下2次抗体処理した。30分後、1%BSA/PBSで2分間の洗浄を5回行い、DAPIで封入し、蛍光顕微鏡(IX71: Olympus)で観察した。
結果を図4に示す。なお、図4において、3段の写真は、上段が53BP1、中断が核、及び下段がこれらの重ね合わせである。図4のグラフは、それぞれの条件での53BP1陽性細胞の割合を定量したグラフである。本実験では、核1つあたり4つ以上の53BP1フォーカスが確認された細胞を53BP1陽性とした。なお、細胞は各条件で200個以上カウントしている。
図4に示すように、ニューロスフェアにおいては、6OTDとTMZ処理した条件でDNA損傷がコントロールと比べて有意に誘導された(6OTD処理した場合の53BP1陽性細胞の割合;GBM146:30.8%、GBM157:24.3%、TMZ処理した場合の53BP1陽性細胞の割合;GBM146:43.9%、GBM157:63.2%)。その一方で、接着細胞に関してそのような効果が認められたのは、TMZ処理した場合のみであった(6OTD処理した場合の53BP1陽性細胞の割合;GBM146:4.4%、GBM157:5.3%、TMZ処理した場合の53BP1陽性細胞の割合;GBM146:27.4%、GBM157:26.4%)。これらの結果から、6OTDはニューロスフェア選択的にDNA損傷を誘導することが示された。
[実施例3−4] 免疫蛍光in situハイブリダイゼーション(iFISH)
付着性細胞培養用12穴マイクロプレート(IWAKI)の各穴にポリ-L-リジンコートされたカバースリップ(松浪硝子)を入れ、付着細胞用培地を400μL加えた後、それぞれの培地で懸濁した1×105のニューロスフェア又は接着細胞を400μL加えた。ニューロスフェアは3時間後、接着細胞は24時間後に培地をニューロスフェア培地800μLへ置換したのち、200μLのニューロスフェア培地で希釈した化合物(終濃度;6OTD:0、100nM、TMZ:10μM、いずれも終ジメチルスルホキシド濃度0.1%)を加え、72時間培養した。PBSで洗浄後、2%パラホルムアルデヒド/PBSで10分間固定し、再度PBS洗浄を行ったあと、0.5%ノニデットP-40/PBSで10分間透過化し、再度PBSで洗浄した。その後、細胞を100μLの70%、95%、100%エタノールを用いてそれぞれ5分間ずつ脱水し、100%エタノールを除いた後10分間風乾させた。細胞が貼り付いているカバースリップを、10μLのハイブリダイゼーション試薬を滴下したスライドガラスの上にのせ、80℃で5分反応させ、1時間室温で静置した。1.0mLのFISH洗浄液を用いた15分間の洗浄を2回行った後、1%BSA/PBSで5分間の洗浄を3回行った。その後、細胞を1%BSA/PBSで15分間ブロッキングし、1%BSA/PBSで2分間洗浄した後、1%BSA/PBSで100倍希釈した抗53BP1抗体(Cell Signaling Technology)100μLで1次抗体処理した。1時間後、1%BSA/PBSで2分間の洗浄を5回行い、500倍希釈したAlexa488修飾抗ウサギ抗体(Life Technology)100μLで遮光下2次抗体処理した。30分後、1%BSA/PBSで2分間の洗浄を5回行い、DAPIで封入し、蛍光顕微鏡(IX71: Olympus)で観察した。この系では、53BP1の緑のフォーカスと、代表的なG4形成配列であるテロメアの赤のフォーカスが重なった箇所を、テロメアにおけるDNA損傷(TIF)と判断した。
結果を図5に示す。テロメアのDNA損傷を塩基配列非特異的に与える薬剤であるTMZでニューロスフェアを処理すると、代表的なG4形成配列であるテロメアでのDNA損傷(TIF)の割合は、すべてのDNA損傷のうち9.9〜10.0%であった。これに対して、G4構造のみを標的とし、安定化する6OTDはすべてのDNA損傷のうち22.5〜24.6%がTIFであった。この結果から、6OTDはG4形成配列選択的にDNA損傷を与える可能性が示唆された。
[実施例3−5] U251担がんマウスモデルへの治療効果
6週齢のヌードマウス(BALB/c-nu/nu)の右背部に、1×107/100μLとなるようにHBSS(Life Technology)で懸濁した神経膠腫細胞株U251を皮下注射した。コントロール群及び6OTD投与群はそれぞれ6匹ずつとした。18日後から、マウスに10%ジメチルスルホキシド/生理食塩水(100μL)及び6OTD(240mg/kg/100μL、終ジメチルスルホキシド濃度10%)を5日連投で腹腔内投与し、2日休薬した。なお、腫瘍体積及び体重は各日薬剤投与前に計測した。投薬開始から39日後にマウスを頸椎脱臼した後に腫瘍を摘出し、コントロール群及び6OTD投与群その重量を計測した。なお、腫瘍体積=(短径×短径×長径)/2で算出した。
結果を図6に示す。6OTD投与により、in vivoでのU251の増殖は有意に抑制された(投薬開始後39日目における平均腫瘍体積;コントロール群:921.5mm3、6OTD投与群:295.3mm3、同腫瘍重量;コントロール群:524.9mg、6OTD投与群:253.2mg、P=0.0011)。その一方で、両群間で有意な体重変化の差は認められなかった。また、6OTD投与によるマウスの異常行動は観察されなかった。これらの結果から、6OTDはin vivoにおいて脳には影響を与えないことに加え、正常細胞に毒性を示すことなく制がん効果を示すことが明らかとなった。
実施例4:FRET融解アッセイ
本実施例では、FRET(Time-Resolved Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー転移)融解アッセイにより、各種がん遺伝子に含まれるG4形成配列について6OTDのG4安定化能を評価した。
まず、各種がん遺伝子に含まれるG4形成配列として、以下に示す、5′末端に蛍光物質(FAM)及び、3′末端にクエンチャー物質(TAMRA)を有するオリゴヌクレオチドを設計した。なお、以下のオリゴヌクレオチドのうちdsDNAはコントロールである
telo21:5’-FAM-d(GGG TTA GGG TTA GGG TTA GGG)-TAMRA-3’(配列番号2)
bcl-2:5’-FAM-d(GGG CGC GGG AGG AAG GGG GCG GG)-TAMRA-3’(配列番号3)
c-kit:5’-FAM-d(GGG AGG GCG CTG GGA GGA GGG)-TAMRA-3’(配列番号4)
c-myc:5’-FAM-d(GAG GGT GGG GAG GGT GGG GAA G)-TAMRA-3’(配列番号5)
k-ras:5’-FAM-d(AGG GCG GTG TGG GAA GAG GGA AGA GGG GGA GG)-TAMRA-3’(配列番号6)
dsDNA:5’-FAM-d(TAT AGC TAT ATT TTT TTA TAG CTA TA)-TAMRA-3’(配列番号7)
FRET融解アッセイでは、先ず、上記DNAをMilliQで1.0μMの濃度の溶液とし、FRET緩衝液(60mMカコジル酸カリウム緩衝液(pH7.4))でさらに希釈して最終濃度400nMとした。このDNA溶液を96℃で5分加熱し、その後室温になるまで自然冷却した。10mMのDMSO溶液としてある6OTDは、まずDMSOで50倍希釈し、200μMの6OTD溶液とした。これを、FRET緩衝液でさらに100希釈し、2.0μMの6OTD溶液を調製した。また、対照実験としてDMSOのみのサンプルも同様に調製した。調製したDNAとDMSOもしくは6OTD溶液を20μLずつ96穴プレート(Roche)に分注し、4℃で一晩インキュベーションした。最後に、リアルタイムPCR(LightCycler96(Roche))にこのプレートを取り付け、37℃で30分間インキュベーションしたのち、系中の温度を25秒間で1℃上昇させた。このときの融解曲線を、各穴の蛍光をもとに計測した(励起波長:470nm、観測波長:514nm)。ここで得られた融解曲線をもとに融解温度(Tm値)を算出することで、6OTD添加で上昇した融解温度(ΔTm値)を計算することができ、この値をG4安定化能の指標とした。
結果を図7及び表1に示す。
Figure 2016094415
図7及び表1から解るように、6OTDは、コントロールであるdsDNA(二本鎖DNA)とは相互作用せずに、各種がん遺伝子に含まれるG4形成配列に相互作用している。これらの結果から、6OTDは、様々ながん遺伝子に含まれるG4形成配列に相互作用することで、種々のがん種に対する治療効果を奏すると推察された。
実施例5:TRAPアッセイ
本実施例では、TRAP(telomeric repeat amplification protocol)アッセイにより、前立腺がん細胞株PC3におけるテロメラーゼ活性に対する6OTDの影響を評価した。
先ず、100,000個の前立腺がん細胞株PC3を200μLのTRAP lysis bufferにて溶解させたのち、30分間氷上に静置した。4℃において15,000rpmで遠心し、上清をTRAP溶解液とした。このTRAP溶解液(2.0μL)に、10×PCR buffer(10μL)、dNTP(2.5mM、1.0μL)、TSプライマー(5’-d[AAT CCG TCG AGC AGA GTT]-3’(配列番号8)、50ng/μL、2.0μL)、TSNTプライマー(5’-d[AAT CCG TCG AGC GAG TTA AAA GGC CGA GAA GCG AT]-3’(配列番号9)、0.2pM、0.5μL)、DEPC(ジエチルピロカーボネート)処理したMilliQ(30μL)、種々の濃度の6OTD(DMSO溶液、5.0μL)を加え、氷上で30分間静置した。テロメラーゼ反応を20℃、30分間行ったのち、この反応物にNTプライマー(5’-d[ATC GCT TCT CGG CCT TTT]- 3’(配列番号10)、10μM、2.0μL)、ACXプライマー(5’-d[GCG CGG CTT ACC CTT ACC CTT ACC CTA ACC]-3’(配列番号11)、10μM、2.0μL)、Gene Taq(0.5μL)を加えた。この混合物を、以下のプロトコールでPCRを27サイクル行った(1サイクル:94℃、25秒→50℃、25秒→72℃、45秒)。それぞれのPCR反応物5.0μLと10×ローディングバッファー1.0μLを混合し、10%非変性ポリアクリルアミドゲルで電気泳動した(100V、10分→200V、55分)。ゲルをSYBR Green Iで染色し、バンドを検出した。
結果を図8に示す。図8から解るように、6OTDは、前立腺がん細胞株PC3におけるテロメラーゼ活性を阻害している(6OTDのテロメアラーゼ阻害活性(IC50値): 0.95 μM)この結果から、6OTDは、前立腺がん等のがん細胞におけるテロメラーゼ活性に対して阻害的に作用することで、がんに対する治療効果を奏すると推察された。

Claims (7)

  1. 次の一般式で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、抗腫瘍剤。
    Figure 2016094415
    (式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、アミノ基、グアニジノ基、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基、アミノ基若しくはグアニジノ基を有していてもよいフェニル基、炭素数2〜6の複素環基又はハロゲン原子を表し、
    及びRは、単結合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数1〜12のアルケニレン基又は炭素数1〜12のアルキニレン基を表す。)
  2. 、R、R及びRが、炭素数1〜4のアルキル基であることを特徴とする、請求項1記載の抗腫瘍剤。
  3. 及びRが、単結合又は炭素数1〜3のアルキレン基であることを特徴とする、請求項1記載の抗腫瘍剤。
  4. 上記化合物が下記式で表されることを特徴とする、請求項1記載の抗腫瘍剤。
    Figure 2016094415
    (式中、Meはメチル基を表す。)
  5. 治療対象とするがん種が、乳がん、脳腫瘍、大腸がん、肺がん、胃がん及び前立腺がんからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1乃至4いずれか一項記載の抗腫瘍剤。
  6. 治療対象とするがん種が、脳腫瘍のうち、神経膠腫、膠芽腫又はニューロスフェア由来細胞からなる神経膠腫であることを特徴とする、請求項1乃至4いずれか一項記載の抗腫瘍剤。
  7. 上記化合物又はその薬学的に許容される塩が、神経膠腫由来細胞に対する細胞増殖抑制作用及び/又は細胞死誘導作用を示すことを特徴とする、請求項1乃至6いずれか一項記載の抗腫瘍剤。
JP2015221257A 2014-11-11 2015-11-11 抗腫瘍剤 Pending JP2016094415A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014229221 2014-11-11
JP2014229221 2014-11-11

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016094415A true JP2016094415A (ja) 2016-05-26

Family

ID=56070083

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015221257A Pending JP2016094415A (ja) 2014-11-11 2015-11-11 抗腫瘍剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016094415A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020017624A1 (ja) * 2018-07-20 2020-01-23 国立大学法人東京農工大学 抗がん剤
WO2021149818A1 (ja) * 2020-01-22 2021-07-29 国立大学法人東京農工大学 がんを治療するための組み合わせ物及び医薬組成物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020017624A1 (ja) * 2018-07-20 2020-01-23 国立大学法人東京農工大学 抗がん剤
WO2021149818A1 (ja) * 2020-01-22 2021-07-29 国立大学法人東京農工大学 がんを治療するための組み合わせ物及び医薬組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6629218B2 (ja) N−ベンジルトリプタンスリン誘導体、ならびにその調製方法および利用
JP7307744B2 (ja) がん治療のための1-(ピペリジノカルボニルメチル)-2-オキソピペラジン誘導体
JP5452490B2 (ja) キナーゼ阻害剤の組成物ならびに癌およびキナーゼに関連する他の疾患の治療のためのそれらの使用
KR20240131478A (ko) 티에노피리미딘디온 acc 억제제의 고체 형태 및 그의 제조 방법
CN111051300B (zh) 作为组蛋白脱乙酰基酶1和/或2(hdac1-2)的选择性抑制剂的新杂芳基酰胺衍生物
US11046704B2 (en) Derivatives of porphyrins, their process of preparation and their use for treating viral infections
JP2005521698A (ja) 新規な三環式化合物
JP2016535788A5 (ja)
CN1211252A (zh) 用作拓扑异构酶抑制剂的甲氧檗因类似物
WO2014040549A1 (zh) 炔杂芳环化合物及其应用
CN106187915A (zh) 具有alk与egfr双重活性的抑制剂及其制备方法和应用
KR20210011925A (ko) Stat3 억제제
KR20210053911A (ko) Ahr 조절제로서의 헤테로사이클릭 화합물
CN101195597A (zh) 1-取代-4,4-二取代氨基硫脲类化合物、其制备方法以及其用途
JP2022518384A (ja) HIF-2アルファ(EPAS1)の発現を阻害するためのRNAi剤、その組成物及び使用方法
US6528517B1 (en) Synthesis of quinobenzoxazine analogues with topoisomerase II and quadruplex interactions for use as antineoplastic agents
KR20240046891A (ko) 다환 화합물 및 그의 용도
CN108947879B (zh) Prmt i型抑制剂及其制备方法和用途
JP2016094415A (ja) 抗腫瘍剤
JPWO2005087762A1 (ja) Dnaの特定塩基配列をアルキル化する新規インドール誘導体ならびにそれを用いたアルキル化剤および薬剤
KR20160127838A (ko) Wnt 신호전달 경로 억제제
AU2015349306A1 (en) New type of cytidine derivative dimer and application thereof
WO2020017624A1 (ja) 抗がん剤
CN107056754B (zh) 内嵌脲类结构的wnt通路抑制剂
WO2021149818A1 (ja) がんを治療するための組み合わせ物及び医薬組成物

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20151208

A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20151209

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181108

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191001

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200331