JP2000503798A - 有機エレクトロルミネセントの素子およびデイスプレイ用の窒化ガリウム・アノード - Google Patents

有機エレクトロルミネセントの素子およびデイスプレイ用の窒化ガリウム・アノード

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Abstract

(57)【要約】 基板(60)と、カソード(64)と、アノード(61)と、前記アノード(61)とカソード(64)の間に電圧が印加された場合にエレクトロルミネセンスが起こる有機領域(62、63)とを含む有機発光素子を提供する。アノード(61)は、窒化ガリウム(GaN)、AlGaN、InGaNまたはInAlGaNなどのIII族の窒化物を含む。

Description

【発明の詳細な説明】 有機エレクトロルミネセントの素子およびディスプレイ用の 窒化ガリウム・アノード 技術分野 本発明は、有機エレクトロルミネセントの素子、アレイ、およびディスプレイ 、ならびこれらを作成する方法に関する。 発明の背景 有機エレクトロルミネセンス(EL)は、個別の発光素子、アレイ、およびデ ィスプレイに応用することができることから広く研究されている。現在までに調 査された有機材料が多くの適用分野で従来の無機材料に取って代わり、全く新し い適用分野を可能にする可能性もある。製造が容易であり、有機ELデバイスの 合成の自由度が非常に高いことから、近い将来に、デバイスのアーキテクチャの さらなる改良を利用することができるより効率的かつ耐久性の高い材料が生まれ ることが見込まれる。 かつては、例えばPope等、Journal Chem.Phys.,Vol.38,1963,pp.2024、お よび「Recombination Radiation in Anthrancene Crystals」、Helfrich等、Phy sical Review Letters,Vol.14,No.7,1965,pp.229-231に報告されるものなど の金属/有機物/金属構造で、効率の低い有機ELが観察され た。最近の開発は高効率有機ELの2つの報告によって大きく弾みがついている 。これらはC.W.Tang等、「Organic electroluminescent diodes」、Applied Phy sics Letters,Vol.51,No.12.1987,pp.913-915、およびBurroughs等、Cambrid ge UniversityのグループによるNature,Vol.347,1990,pp.539である。Tang等 は真空蒸着分子染料化合物を使用して2層有機発光素子を作成したが、Burrough sはポリマーであるスピンコーティングしたポリパラフェニレンビニレン(PP V)を使用した。 Tangによって、またCambridgeグループによる後続の研究、例えば「Efficient LEDs based on polymers with high electron affinities」、N.Greenham等、N ature,Vol.365,1993,pp.628-630において記述された進歩は、主として適当 な有機多重層および接触金属の選択によって得られるEL素子の設計の改良によ って達成された。 有機EL発光素子(OLED)は、光が一般に透明ガラス基板上に付着させた 透明電極を介して抽出される点を除けば、無機LEDとほとんど同様に機能する 。第1A図に概略的に示す考えられる最も単純な構造は、電子(e-)および正 孔(h+)をそれぞれ注入する2つの電極11および12の間に挟まれた有機発 光層10からなる。このような構造は、例えば上述のBurroughs等の論文に記載 されている。電子および正孔は有機層10中で出会い、再結合して光を生成する 。電極材料の仕事関数が有機層10を形成する各分子軌道と合致す るように選択されたときに改善された性能を達成することができることは、多く の研究室で示されており、例えば、「Conjugated polymer electroluminescence 」、D.D.C.Bradley,Synthetlc Metals,Vol.54,1993,pp.401-405、「The eff ect of a metal electrode on the electroluminescence of Poly(p-phenylviny lene)」、J.Peng等、Japanese Journal of Applied Physics,Vol.35,No.3A,1 996,pp.L317-L319、および「Carrier tunneling and device characteristics in polymer LEDs」、I.D.Parker,Journal of Applied Physics,Vol.75,No.3 ,1994,pp.1656−1666を参照されたい。このような改良された構造を第1B図 に示す。最適化した電極材料13および14を選択することにより、図示のよう にキャリア注入に対するエネルギー・バリヤが減少する。さらに、このような単 純な構造は、電子が有機層10を横切ってアノード14に到達する、または正孔 がカソード13に到達することがほとんど妨げられないので、性能が低い。 第2A図に、電子がほとんど注入されず、正孔がカソード15中で再結合する 以外にないように、大きな電子バリヤ16を有する素子を示す。 第2B図に示す第2の問題は、ほとんどの既知の有機材料、特に伝導性の有機 材料では、電子および正孔の移動度が大きく異なることである。第2B図に、ア ノード18から注入された正孔が迅速に有機層19を横切り、注入された電子が これよりはるかに遅く移動し、その結果カソード17付近で再 結合が起こる一例を示す。有機層19中での電子移動度が正孔のそれより大きい 場合には、再結合はアノード18付近で起こることになる。金属接点付近での再 結合は非放射性であり、これはこのような欠点のある素子の視感度効率を制限す る。 第3図に示すように、主として上述の問題を克服するために、Tangは、電子お よび正孔の輸送機能を別々の有機層、電子輸送層20(ETL)と正孔輸送層( HTL)21の間で分離した。「Electroluminescence of doped organic thin films」、C.W.Tang等、Journal of Applied Physics,Vol.65,No.9,1989,pp. 3610-3616には、この2層設計でより高いキャリア移動度が達成され、より低い 動作電圧で等しい光出力を可能にする素子の直列抵抗の低下につながったことが 記載されている。接触金属22、23は、それぞれETL20およびHTL21 の分子軌道に合致するように個別に選択することができ、再結合は、電極22、 23のいずれからも離れた有機層20と21の間の界面24で起きた。電極とし て、TangはMgAg合金のカソード、および透明酸化インジウムスズ(ITO) のアノードを使用した。Egusa等は、「carrier injection characteristics of organic electroluminescent devices」、Japanese Journal of Applied Physic s,Vol.33,No.5A,1994,pp.2741-2745において、有機多重層を適当に選択すれ ば、いずれの電極からも遠隔の有機界面で電子および正孔を両方とも遮断するこ とができることを実験的 に示した。この効果を、HTLおよびETL材料の賢明な選択によって電子がH TL21に進入すること、およびその逆を妨げる第3図の構造によって図示する 。この特徴は、第1A図に記載の金属接点での非放射性再結合を解消し、また改 善された放射性再結合につながる同体積中の高密度な電子および正孔を促進する 。 現在十分に理解され、一般に使用されている多重層素子アーキテクチャでは、 OLEDの性能を主に制限するものは、理想的な接触電極の欠如である。電極材 料についての主な良度指数は、有機材料のバンドに対するバンドの位置である( 詳細な考察については上記のBradley、Peng、およびParkerを参照のこと)。い くつかの適用分野では、電極材料が透明であるか、または反射性が高いかのいず れかであることも望ましい。電極は化学的に不活性であり、OLEDを有効にカ プセル封じする稠密かつ均一な薄膜を形成することもできるものでなければなら ない。電極が有機ELを強くクエンチングしないことも望ましい。 カソード電極材料の選択は、良好な電子注入体(インジェクタ)となる材料が 大気中で不安定で化学的反応性を示す仕事関数の低い金属でもあり、素子全体の 信頼性および寿命を制限するので、非常に注意を払われている。 ITOまたはAuのアノードが一般にカソード接点より性能が高いので、アノ ード接点の最適化に対して払われる注意ははるかに低くなる。ただし、アノード 電極を改良すること ができる場合には、改良されたカソードと同様に素子の性能および信頼性につい て正の効果を有することになる。 酸化インジウムスズは長年にわたって選択されているアノードである。その主 な利点は、それが大きな仕事関数(約4.7eV)も有する透明導体であり、し たがってガラス上の透明アノードの形成によく適している点である。しかし、I TOは好ましい有機HTL材料への正孔注入に対するバリヤを有することが知ら れている。Parkerは、その他の点では同一の有機LED構造中でITOをAuで 置換することによって素子の効率が2倍になることを示した。彼はこれを、より 高い仕事関数を有するAuを使用して達成されたITO/有機物の正孔注入バリ ヤの解消によるものとした。ITOはまた、最終的に短絡を引き起こす可能性の あるITOからOLED中に発出するIn拡散の結果として、素子の劣化の原因 にもなる。ITOからPPV中へのIn拡散は、「Characterization of polyme ric light emitting diodes by SIMS depth profiling analysis」、G.Sauer,M .Kilo,A.Wokaun,S.Karg,M.Meier,M.Schwoerer,H.Suzuki,J.Simmerer,H.M eyer,D.Haarer,Fresenius J.Anal.Chem.,pp.642-646,Vol.353(1995)にお いて明らかに認識された。ITOはOLEDで一般に使用される形の多結晶性材 料である。粒界が多いことにより、ITOを介した汚染物拡散の十分な通路が提 供される。最後に、ITOは、一般的な有機材料に有害な影響を与えるものとし て知られる酸素のリザーバ(貯蔵所)にもなる。 ITOアノードは、同程度またはより良好な品質のその他の透明電極材料が当技 術分野では知られていないので、それに関するこれら全ての周知の問題にも関わ らず依然として当技術分野では好ましい。光を効率的に抽出しなければならない ので、実際的なOLEDには少なくとも1つの透明電極が必要である。 Auは大きな仕事関数(5.2eV)を有するが、有機材料中ではAuの拡散 率が非常に高いので、Auカソードを使用して長寿命のOLED素子を作成する ことはできない。ITOからのInと同様、ただしそれほど良好ではなく、接点 からのAuはOLEDを介して拡散し、最終的に素子を短絡させる。さらにAu は透明でないので、ほとんどのアーキテクチャについて実際的なアノード材料で はない。透明なカソード材料がないので、現在のOLEDではアノードは透明接 点でなければならない。 ITO以外の半導体がOLEDのアノードとして試みられてきた。I.D.Parker およびH.H.Kimによる「Fabrication of polymer light-emitting diodes using doped silicon substrates」、Applied Physics Letters,Vol.64,No.14,1994 ,pp.1774-1776には、半導体のドーピングに依存して、Si/SiO2が有機薄 膜中に正孔注入または電子注入のいずれかを行うことができることが示されてい る。Siのバンドギャップが小さく、仕事関数が中程度であることから、Si電 極は有機LED材料への電子注入および正孔注入の両方に対する バリヤを有し、したがって従来の金属に勝る顕著な改良点を示さない。Parkerお よびKimは、Si接点とOLEDの間にSiO2中間層を追加することによってこ れを回避した。SiO2絶縁体にわたる電圧降下によってSiバンドがそれらの 有機分子軌道対応物と一列に並ぶが、電子は直接注入されるのではなく、SiO2 絶縁体を通り抜ける。このようなOLEDは、効率的な素子の動作には高すぎ る10V超のターンオン電圧を有する。 低電圧で効率的かつ安定したOLEDの動作のための、不活性かつ安定であり エネルギーが一致した透明な電極材料がないことは、依然としてOLED開発の 主な障害である。 有機LEDは、多くの適用分野で従来の無機LEDの性能を超える大きな可能 性を有する。OLEDおよびこれに基づく素子の1つの重要な利点は価格である が、これは、それらが限られた範囲の高価な結晶性基板上に比較的高い成長温度 (無機LEDの場合と同様)で付着させるのではなく、大きくて安価なガラス基 板、あるいは広範囲にわたるその他の安価な透明、半透明、または不透明な結晶 性または非結晶性基板上に低温で付着させることができるからである。基板は、 柔軟なOLEDおよび新しいタイプのディスプレイを可能にするたわみ性にする こともできる。現在まで、OLEDおよびそれに基づく素子の性能は、下記のい くつかの理由から無機LEDより劣っている。 1.高い動作電圧:有機素子は、活性領域(発光層)に電荷 を注入および輸送するために、より高い電圧を必要とし、このような素子のパワ ー効率を低下させる。この高い電圧は、電極/有機物の界面でエネルギー・バリ ヤを超えてキャリアを注入するために高い電界が必要となること、ならびにオー ム性電圧降下およびパワー損につながる有機輸送層(ETLおよびHTL)中で の低いキャリア移動度によるものである。 2.低輝度:現在のOLEDは一般的な無機LEDとほぼ同程度に電子あたりの 光子を生み出すことができる、すなわちそれらの量子効率は良好である。OLE Dは、主に抵抗性の輸送層(HTLまたはETL)を介して注入または伝導する ことができる電荷が比較的少ないことから、輝度に関してはLEDより劣る。後 者は、空間電荷制限電流と呼ばれる周知の効果である。簡単に述べると、有機材 料中でのキャリアの移動度が低いので、発光層に到達する電子および正孔の流れ を制限する交通渋滞が発生することになる。より良好な放射材料でも、効率的な 電子の注入およびコンダクタンスの高い輸送層が利用可能にならなければ、大幅 に改善された輝度を提供することはできない。 3.信頼性:有機LEDは空気中で、また動作中に劣化する。その原因となるい くつかの問題が知られている。 A)効率的な低い電界の電子注入は、全て酸素および水中で反応性が高いMg、 Ca、F、Liなど、仕事関数の低いカソード金属を必要とする。周囲気体およ びオーム性加熱中に有機材料から出る気体は、接点を劣化させる。 B)従来のAgMgおよびITOの接点は、依然としてそれぞれ好ましいETL 材料およびHTL材料中でキャリア注入に対する有意なバリヤを有する。したが って、有意な注入電流を生み出すためには高い電界が必要となる。抵抗性の電極 /有機物の界面での高い電界およびオーム性加熱による応力は、素子の劣化の一 因となる。 C)キャリア輸送層の高い抵抗は、動作中の素子を加熱する。 D)ほとんどのOLED材料の熱安定性は低く、熱の影響を受けやすい。加熱す ると、多くのアモルファス有機材料は結晶化して粒子になる。微結晶はアモルフ ァス固体より小さな体積を有し、また詰め込み分布の均一性がより低くなる。そ の結果生じる微結晶のギャップおよび不揃いな形状は、1つの微結晶から次の微 結晶への伝導を困難にし、正帰還ループ中の抵抗および加熱を増大させながら、 気体汚染物が浸透する、または隣接する物質が拡散するさらに別のチャネルを開 く。 4.低い化学的安定性:OLEDで一般に使用される有機材料は、接触電極材料 および周囲大気との反応およびそれらの拡散によって引き起こされる劣化に対し て脆弱である。 OLEDは主に、それらの接点および輸送層、ならびに輸送層の加熱からのフ ィードバックによって制限される。したがって仕事関数の低い金属をベースとす るカソードおよびITOアノードを、OLEDへのバリヤのない電荷注入を特徴 とする安定した(かつ少なくとも1つは透明である)接点で 置換することが非常に望ましい。 しかし、現在の解決策は性能を抑制し、素子の信頼性を低下させる。拡散する 不純物および電極によるクエンチングから活性領域を隔離するために、活性層を 接点から離すことによる犠牲は、加熱およびパワー消費につながるHTL/ET Lを横切るオーム性電圧降下である。 上記の例および現況技術の説明から分かるように、優れた特徴を有するOLE Dおよびそれに基づくディスプレイを実現するために、接点材料を改良する必要 がある。 本発明の目的は、新しい改良した有機EL素子、アレイ、およびそれに基づく ディスプレイを提供することである。 本発明のさらに別の目的は、効率が改善され、動作電圧が低くなり、信頼性が 向上した、新しい改良した有機EL素子、アレイ、およびそれに基づくディスプ レイを提供することである。 本発明の別の目的は、有機EL素子、アレイ、およびそれに基づくディスプレ イのための新しい改良されたアノードを提供することである。 本発明のさらに別の目的は、本発明の新しい改良した有機EL素子、アレイ、 およびディスプレイを作成する方法を提供することである。 発明の概要 上記目的は、HTL層と接触するIII族の窒化物、例え ばGaNのワイドバンドギャップ半導体から主に構成されるアノードを有するO LEDを提供することによって達成される。 本発明の手法では、III−N化合物の好都合な価電子帯エネルギー、ならび にそれらの良好な伝導性と、可視スペクトル中での透明度と、化学的不活性と、 硬度と、極めて低い温度およびアモルファス状態でガラス、有機薄膜あるいはそ の他のアモルファスまたは結晶性基板上に付着する能力とを主に利用する。これ は特にGaNに当てはまる。発明者らの実験では、アモルファス状態で室温で付 着させたときでもGaNは伝導性であり、可視スペクトル中で透明度が高く、好 ましいOLED材料中への正孔注入に好都合なバンドの整合を有することが分か った。さらに、GaN中での不純物の拡散性が極めて低く、低温で付着させた材 料がほぼアモルファス状態となることから、GaNはOLED用の優れたカプセ ル封じ材である。さらに、Ga−Nの化学結合がかなり強いことにより、GaN は化学的に不活性となり、腐食性の高い酸および塩基の腐食に抵抗することもで きる。発明者らは、上記の好都合な特性を全て有するGaNは、ガラス上に付着 させる、またはOLED多重層構造上に直接付着させ、性能および安定性が改善 された素子を生み出すことができることを実験により観察した。以下ではGaN を特に扱う。ただし、全ての記述はその他のIII−N化合物にも適用される。 本発明の主な実施形態では、対応する有機層と直接接触す るGaNアノードおよび従来の対向接触電極を有する単一または多重層OLED 構造を構想する。 GaNアノードの導入は下記の利点につながる。 1.低電圧キャリア注入は、好ましいOLED材料に関する非常に好都合なGa Nのバンド・エネルギーを介して実現される。 2.GaNは可視光に対して透明度が高い。 3.GaNは化学的に不活性かつ熱的に安定であり、したがってそれが接触また は近接する有機層との望ましくない固体状態での相互作用はない。 4.GaNは、低温で付着させたときのそのアモルファス状構造、硬度、および 低い不純物拡散定数から、OLEDの優れたカプセル封じ材および機械的保護材 料である。 5.GaNは、伝導状態でのOLED形成に必要な条件(低温、アモルファス基 板、成長表面への最小限の損傷)で付着させることができる。 6.半導体としてGaNが有機層付近でクエンチングする光再結合は金属より弱 く、輸送層の厚さの減少を可能にする。 図面の説明 下記に、以下の概略図に関連して本発明について詳細に記述する。 第1A図は、発光層および2つの電極を有する既知のOLEDを示す図である 。 第1B図は、発光層、およびキャリア注入についてのエネルギー・バリヤが減 少するように仕事関数が選択された2つの金属電極を有する別の既知のOLED を示す図である。 第2A図は、アノードの仕事関数が正孔注入についてのエネルギー・バリヤが 低くなるように選択され、カソードの仕事関数がほとんど発光層と一致せず、電 子注入および前記発光層中での放射性再結合をほとんど生み出さない、発光層お よび2つの金属電極を有する別の既知のOLEDを示す図である。 第2B図は、正孔移動度と比較して電子移動度が低く、再結合がクエンチング されるカソード付近で発生するようになっている発光層を有する、別の既知のO LEDを示す図である。 第3図は、電子輸送層および正孔輸送層を有する別の既知のOLEDを示す図 である。 第4図は、GaN/ガラス薄膜の光吸収スペクトルを示す図である。吸収の開 始は近紫外線の約360nmで起こり、これは全てのタイプの基板上で低い基板 温度で成長したGaNの高い透明度の一因となる。 第5図は、GaN/Alq3ヘテロ接合についての紫外線光電子放出分光法に よって測定したGaNおよびAlq3の分子レベルのエネルギー整合を示す図で ある。図示のようにAlq3バンドに実験誤差が含まれる。実験誤差の範囲内で 、Alq3のHOMOはGaNの荷電子帯の最小値と比較して 等しいまたはそれより高いエネルギーにあり、これはGaNからAlq3への正 孔注入にバリヤがないことを意味する。通常の正孔輸送材料はAlq3より高い HOMOエネルギーを有し、したがってやはりGaNからの正孔注入はバリヤが ない。 第6図は、従来のITOアノード素子と比較して同等の性能を呈するGaNア ノード素子のバンド構造を示す図である。第5図から導出したバンド構造および 公開文献で利用可能な値は、ITOからGaNアノードへの正孔注入にバリヤが 存在することを示す。このバリヤは、GaNアノード・ベースの素子の性能が、 やはり正孔注入のバリヤを有する(ただしこの場合にはITOアノードとCuP cの間)従来のITOアノード素子構造を超えず、同等にしかならないことの一 因である。 第7図は、ITO層とOLED中のHTLとの間にGaN層が挿入された、本 発明の主な実施形態の断面図である。 第8図は、アノードを上にした構成のOLED素子の最上部にGaNアノード を付着させた、本発明の第2の実施形態の断面図である。 第9図は、アノードを介して基板より上の平面中に光が放射される、GaNベ ースのアノードを上にした素子構造を不透明なSiIC基板上に付着させた、本 発明によるディスプレイまたはアレイの断面図である。 第10図は、アノードを介して基板より下の平面中に光が 放射される、GaNベースのアノードを下にした素子構造をやはりSiベースの ディスプレイ関係回路を含む透明ガラス基板上に付着させた、本発明によるディ スプレイまたはアレイの断面図である。 全体の説明 GaNは、文献中で材料について既知の事実、および発明者らが研究室で発見 した事実の両方に基づく、OLEDへの正孔注入に理想的な材料である。GaN の物理的特性は、S.Strite and H.Morkoc、「GaN,AlN and InN:a review」、Jo urnal of Vacuum Science and Technology B,Vol.10,1992,pp.1237-1266、お よび「Properties of Group III Nitrides」、edited by James H.Edgar(The I nstitution of Electrical Engineers,London 1994)において分類されている 。透明導体としてのGaNの特性は、H.Sato等、「Transparent and conductive GaN thin films prepared by an electron cyclotron resonance plasma metal oroganic chemical vapor deposition method」、Journal of Vacuum Science a nd Technology A,Vol.11,No.4,1993,pp.1422-1425に記載されている。これ らの著者が成長させた薄膜についての測定を第4図および第5図に示し、この事 実を検証する。上記から分かるように、理想的な接点電極材料は下記のことを特 徴とするものとする。 1.有機層、アモルファス、結晶質、または多結晶性の基板 上に、低温でその下にある材料に損傷を与えることなく付着させることができる こと。 2.好ましいOLED材料中への電荷の注入に好都合なエネルギー・バンド準位 であること。 3.垂直な素子全体の直列抵抗が電極の影響を受けないように、電気伝導性が十 分であること。 4.(クエンチングを低くし、光の取出し方に柔軟性を与えるために)可視スペ クトル中での透明度が高いこと。 5.科学的に不活性であること。 6.不純物の拡散性が低いこと。 7.機械的に硬いこと。 GaNは、電子サイクロトロン共鳴プラズマ化学気相成長、マグネトロン・ス パッタ、レーザ・アブレーション、プラズマ増強分子線付着(PEMBD)、ま たは反応性窒素ラジカルを生み出すのに必要なエネルギーが基板上の熱エネルギ ーではなく何らかの外部刺激から供給されるその他の関連技術を介して、低温で 付着させることができる。熱蒸着させたGa原子が運動エネルギーの低い窒素ラ ジカルと基板表面で反応するPEMBDは、基板が耐える化学的および/または 運動による損傷が少量であることから、発明者らにとって好ましい方法である。 この方法を使用すれば、ドーピングされていないGaNは、室温で成長したとき に10Ω・cm以下の抵抗率を有する。 発明者らは、低温でガラス上に付着させたGaNのバンド 構造を研究した。第4図は、このような薄膜の1つの透過スペクトルである。こ れらのデータは、低温アモルファスGaNは結晶性GaNと同様に、3.3〜3 .4eVの広いバンドギャップ・エネルギーを有し、可視光に対する透明度を高 くする。一般的なOLED材料に対するGaNの価電子帯(VB)のエネルギー 位置を決定するために、その上にAlq3の薄層を真空蒸着させる清浄なGaN 表面を準備した。この配列では、紫外線光電子放出分光法により、GaNの価電 子帯の最大値およびAlq3の最も高い占有された分子軌道(highest occupied molecular orbital HOMO)のエネルギーの相対位置を求めることができる 。第5図に示すこれらのデータは、発明者らのGaNおよびAlq3のバンドギ ャップの知識と組み合わせると、GaNの価電子帯がAlq3のHOMOに対し て等しい、またはそれより高いエネルギーに位置することを示し、これはゼロま たは負の中間バリヤで、GaNからAlq3への正孔注入を行うことができるこ とを意味する。これは、HOMOエネルギーがAlq3のHOMOエネルギー準 位より高いことを特徴とする好ましいOLEDのHTL材料中へのバリヤのない 正孔注入に、GaNのVBのエネルギーが好都合に位置していることも示す。 GaNの価電子帯の好都合なエネルギー位置のさらに別の確認は、例えばガラ スから上に向かってガラス/ITO/GaN/CuPc/NPB/Alq3/M gAgとなる層の連続を有するGaNアノード構造など、実際のOLED素子構 造の測定により得られる。これらの素子の性能は、動作電圧および外部効率の両 方について従来のガラス/ITO/CuPc/NPB/Alq3/MgAgのO LED素子と同等である。第6図は、上述の測定から取った値および公開文献中 で利用可能な数字を使用する、ガラス/ITO/GaN/CuPc/NPB/A lq3/MgAg素子のバンド構造を示す図である。第6図は、この素子のIT OからGaNへの正孔注入に対するバリヤが存在し、これが従来の素子構造のI TO/CuPcバリヤとほぼ等価であることを明らかに示す。GaNは伝導性半 導体であるので、バンドのベンディングが、発明者らが実験的に観察したGaN アノードの同等な性能を補償するITO/GaN間の有効なバリヤ高さを減少さ せる可能性がある。さらに、ITOが提供するよりも良好なGaNへのオーム性 接触を有する(例えばAuまたはptがITOの代わりに使用される場合)素子 は、従来の素子構造の性能を大幅に超える。他方、CuPcは高度にドーピング することができず、したがってそれが与える正孔注入に対するバリヤを変更する ことはできない。このようにして、GaNアノードは素子設計のフレキシビリテ ィを大幅に増大させる。非常に低い電圧の正孔注入のために、仕事関数の高い金 属(例えばAu/GaN/CuPcアノード)を導入することができ、この場合 も、GaNの拡散バリヤから高い安定性が得られる。GaNは、ドーピング、ま たはITO/GaN/CuPcアノード構成中の従来のITOを使用する低電圧 注 入を可能にする様々な付着条件によって、伝導性にすることもできる。GaNへ のオーム性接触がなくても、GaNの電位安定性がITOと比較して高いので、 第6図の素子構造は従来の素子より優れている。 発明者らの実験結果は、GaNが理想的な接点電極を説明する上記リストの最 初の4つの点を満たすことを示している。GaNが次の3つの点(5〜7)を満 たすことは、容易に利用することができるGaNについての技術文献から、例え ば上記で参照したStriteおよびMorkocによる概説論文、または「Properties of Group III Nitrides」と題する書籍において明らかである。 GaNをAlNまたはInNと合金にすれば、同様またはさらに改善された性 能が実現される。AlNと合金にすれば、GaNのバンドギャップは増大する。 これは、短い可視波長中のアノードの吸収をさらに減少させるという好都合な効 果を有する。バンドギャップが大きいので、AlGaNはGaNより低い価電子 帯エネルギー位置を有する。より低い価電子帯を使用して、単純なGaNアノー ドに対してバリヤを与える有機材料中への正孔注入に対するバリヤを減少または 解消することができる。InNと合金にすれば、GaNの伝導性および自由電子 濃度が増大する。InGaNアノードはより高い価電子帯エネルギーを有し、し たがってITOからの正孔注入に対してより小さなバリヤを与える。InGaN の電子濃度が増大すると、ITO/InGaNヘテロ接合のよ り薄いバリヤを正孔が通り抜けることができるので、ITOへのオーム性接触が 促進されることにもなる。さらに、InGaNアノードはGaNアノードより小 さな直列抵抗を有する。上述の全ての理由から、所与の素子設計用の最適なアノ ード材料は、InN、AlN、およびGaNの三重合金(すなわちInAlGa N)にすることができるものと考えられる。分かりやすくするために、発明者ら はGaNベースのアノードとしてAlGaN、InGaN、またはInAlGa Nについて述べる。 個別の発光体、発光アレイ、およびディスプレイへの適用のための従来のIT Oアノードの問題を克服するために、第7図および第8図に示すGaNの好都合 な物理特性を利用する改良した構造を提供し、第9図および第10図に示す新し いアレイおよびディスプレイへの適用を可能にする。 第7図および第8図に関連して、GaNアノードを組み込む改良したOLED の2つの実施形態について次に詳述する。 現況技術に関して既に改良したGaNアノードOLEDの最も簡単な実施形態 を第7図に示す。基板から上に向かって付着させた順にリストすると、ガラス/ GaN/HTL/(ETL、EL)/金属のOLED構造である。ガラス基板6 0上に形成されたGaNアノード61によって提供される正孔注入に対するバリ ヤが低くなることに加えて、光のクエンチングおよびアノードからの拡散放射が 減少した結果として、HTL62の厚さを減少させることができる。発明者ら は、InN、AlNまたはこの両材料と合金にすることによってGaNアノード をさらに改良することができることに注目した。発明者らはここで、GaN61 .2とガラス60の間に追加層61.1(例えばITO)を追加して、アノード 61の横方向のシート抵抗を低くすることによって第7図に示す構造に有利にす ることができることにも注目した。最後に、任意の基板で図示のガラス基板60 を置換することができ、これは不透明基板でもよい。この場合には、好ましい実 施形態では透明な頂部接点64を必要とする。第1の実施形態の有機領域65は 、組み合わされたETL/EL層63およびHTL層62を含む。この図および その他全ての図は一定の比率で描写したものではないことに留意されたい。 GaNベース・アノード素子の第2の実施形態を第8図に 示す。基板70から上に向かって付着させた順にリストすると、ガラス/金属/ ETL/EL/HTL/AlGaNのOLED構造である。第8図および第7図 の主な違いは、GaNベース・アノードを最後に、有機層スタック72〜74の 最上部に付着させる点である。有機スタックは、この場合には当技術分野で時々 実施されるように分離発光層73(EL)を間に含む。発明者らは、本発明の趣 旨の範囲内で、AlGaNアノード層をGaN、InGaN、またはInAlG aNのアノードで置換することができることに注目した。発明者らはさらに、ア ノード75の一部となるAlGaN層75.1をOLEDスタック72〜74上 に直接付着させた構造が、第7図に示すものなどの構造と比較して同様の改善さ れた性能を有することにも注目した。アノード75は1つまたは複数の追加層を 含むこともでき、例えばAlまたはITO層75.2をAlGaN層75.1の 最上部で成長させ、接点の横方向のシート抵抗を低下させることもできる。任意 の基板を選択することができ、これは不透明基板でもよい。この場合には、合成 したアノード75は、光の抽出を容易にするために完全に透明となるように設計 されることが好ましい。第2の実施形態の有機層76は、ETL74、エレクト ロルミネセンス(EL)に適した層73、およびHTL72を含む。 下記に、本発明に基づく、本発明が可能にするいくつかのディスプレイの実施 形態を開示する。 Si基板上にOLEDを一体化することができれば、OLEDを付着させる前 に例えばアクティブ・マトリックス、ドライバ、メモリなどの能動Si素子を含 むように基板を製作することができるので有利であろう。このような構造は、高 い解像度および性能がSi中で実現された、非常に安価で面積の小さい有機ディ スプレイにすることができる。OLED、OLEDアレイ、またはOLEDディ スプレイは、Si素子を担持するこのようなSi基板上で直接成長させるか、ま た は別々に製造し、後にSi基板上にフリップすることができる。1つの問題は、 不十分なOLEDのアノードまたはカソードの金属である、通常はAlであるS iの金属被覆である。別の問題は、Siが不透明であるので、透明な上側接点が 必要となることである。本発明はこの問題の解決策を提供する。開示のGaNベ ースのアノードは、安定した低電圧正孔接点を標準的なSi処理金属被覆の最上 部に形成することを可能にする。例えば、InGaNアノード層はAl金属被覆 上に直接付着させることができ、カソードを上にしたOLED構造をInGaN アノードの最上部に直接付着させることができる。GaNベース・アノードは、 アノードを上にした設計を選択した場合にも有効である。このような手法では、 効率的なカソードとして機能するように、何らかの手段によってSiの金属被覆 を修正しなければならない。カソードを下にしたOLED構造も、Siの金属被 覆の上に直接付着させることができる。 Si基板上に形成された有機アレイまたはディスプレイを第9図に示し、以下 で説明する。このディスプレイは、メモリ・セル、ドライバ、コンデンサ、トラ ンジスタなど(これらは図示せず)の能動および/または受動素子を含む集積回 路を有するSi基板110を含む。Si集積回路の最上部には、Siの金属被覆 の効率的な電子注入に備えて修正するのに十分に薄く、横方向の短絡(5〜10 0A)を導入するには薄すぎる薄層として、OLEDカソード(例えばMgAg 、 Ca、AlLi、Al)材料111をパターン化またはブランケット付着させ、 Si素子をOLED112に接続する。アノードを上にした幾何形状では、OL EDはパターン化されたカソード111およびSi基板110上に付着させる。 最後に、GaNアノード113を形成する。分かりやすくするためにOLEDの 詳細は示していないが、OLEDは、青、白、またはその他任意の色にすること ができることに留意されたい。青色光は、パターン化した有機染料によって効率 的に赤色および緑色の光に変換し、全色を達成することができるので望ましい。 白色光は、カラー・フィルタ・アレイを通過させて全色を達成することができる ので望ましい。 例えば、OLED成長の少し前にその上に薄いAl−Liカソード111をブ ランケット付着させる、Alで金属被覆したSiチップ110は、OLEDアレ イまたはディスプレイ112のための基板として働くことができる。このような 1つのOLEDは(底部から頂部に向かって)、カソード層、例えばAl−Li 111と、ETLと、有機物をドーピングしたまたはドーピングしていない活性 領域と、HTLと、GaNベース・アノード113とを含む。このアノード11 3は例えば、InGaN/ITOの「層」のスタックから構成することができる 。 本発明の素子の有機領域は、必要なら電荷輸送層に加えて、 ・複数の有機発光層(EL)のスタック、 ・エレクトロルミネセンスを支配および改善するように選択 された有機物または無機物の1つまたは複数の不純物がドーピングされた有機化 合物、 ・そのうちのいくつかをドーピングしてその特定の有機発光層のエレクトロルミ ネセンスを支配または改善することができる、複数の有機発光層のスタック、あ るいは ・その1つまたは複数有機層の役割が、1つまたは複数のキャリア・タイプを電 気的に制限し、隣接する有機層の発光を改善することである、複数の有機層のス タック のいずれかを含む。 第10図に示す考えられるもう1つのディスプレイの実施形熊について以下で 説明する。このディスプレイは、アクテイブ・マトリックス液晶ディスプレイ用 に開発された同一の技術を使用してその最上部にアモルファスSiまたはポリS i構造が形成される透明基板130を含む。通常は、薄膜トランジスタ131( TFT)その他の素子を形成し、アクティブ・マトリックスを生み出すようにS iを構築する。次いで、形成されたSi素子131を特殊層134で覆う、また は平坦化することができる。さらに、OLED135が白色または青色の光を放 射する場合には、カラー・フィルタまたは色変換染料132をそれぞれ設けるこ とができる。Si素子131は、例えばその上にOLED135を付着させるこ とができる構築されたGaNベース・アノード133を含む。この手法の利点は 、固定したアクティブ・マトリックス液晶ディスプレイ(AMLCD)技術をO LEDと協働して利用 し、安価かつ高性能のAMディスプレイを大きな面積にわたって実現することが できる点である。さらに、賢明な設計によりガラス基板130を介して光を放射 させることができ、したがって透明な頂部接点(カソード136)が不要となる 。カソード136は、カプセル封じまたは横方向の伝導のためにキャップ層13 7で覆うことができる。発明者らは、第10図の基板が、第9図と同様に原理的 には依然としてSiICであるが、この場合には透明な頂部カソード電極を設け なければならないことに注目した。 以下に、使用することができる様々な有機材料の例をいくつか与える。Alq 3とも呼ばれるAlqは、例えばZnq2、Beq2、Mgq2、ZnMq2、 BeMq2、AlPrq3など、その他の8−ヒドロキシキノリン金属錯体で置 換することができる。これらの材料は、ETLまたは発光層として使用すること もできる。ETLとして使用することができるその他の材料は、シアノ置換ポリ マー、ジデシル・セキシチオフェン(DPS6T)、ビス−トリイソプロピルシ リルセキシチオフェン(2D6T)、アゾメチン亜鉛錯体、ピラジン(例えばB NVP)、スチリルアントラセン誘導体(例えばBSA−1、BSA−2)、1 ,2,4−トリアゾール誘導体(TAZ)である。 発光層に特によく適した材料は、アントラセン、ピリジン誘導体(例えばAT P)、アゾメチン亜鉛錯体、ピラジン(例えばBNVP)、スチリルアントラセ ン誘導体(例えば BSA−1、BSA−2)、コロネン(ドーパントにも適する)、クマリン(ド ーパントにも適する)、DCM化合物(DCM1、DCM2;ともにドーパント にも適する)、ジスチリルアリーレン誘導体(DSA)、アルキル置換ジスチリ ルベンゼン誘導体(DSB)、ベンゾイミダゾール誘導体(例えばNBI)、ナ フトスチリルアミン誘導体(例えばNSD)、オキサジアゾール誘導体(例えば OXD、OXD−1、OXD−7)、N,N,N’,N’−テトラキス(m−メ チルフェニル)−1,3−ジアミノベンゼン(PDA)、ペリレン、フェニル置 換シクロペンタジエン誘導体、12−フタロペリノン誘導体(PP)、スクワリ リウム(squarilium)染料(Sq)、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3 −ブタジエン(TPBD)、ポリ(2−メトキシル、5−(2’エチルヘキソキ シ)−1,4−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)、セキシチオフェン( 6T)、ポリ(2,4−ビス(コレスタノキシル)−1,4−フェニレン−ビニ レン(BCHA−PPV)、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン(P PV)である。 HTLに適した材料は、Cu(II)フタロシアニン(CuPc)、NPB( N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(4−フェニル)−1,1’−ビフェ ニル−4,4’−ジアミン:重要)、ジスチリルアリーレン誘導体(DSA)、 ナフタレン、ナフトスチリルアミン誘導体(例えばNSD)、キナクリドン(Q A;ドーパントにも適する)、ポリ(3−メ チルチオフェン)族(P3MT)、ペリレン、ポリチオフェン(PT)、3,4 ,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水化物(PTCDA)(絶縁体にも 適する)、テトラフェニルジアミノジフェニル(TPD−1、TPD−2、また はTAD)、ポリ(2−メトキシル、5−(2’エチルヘキソキシ)−1,4− フェニレンビニレン)(MEH−PPV)、ポリ(9−ビニルカルバゾール)( PVK)である。 良好な発光体として知られるその他の有機材料は多数存在し、さらに多く発見 されることになるであろう。それらの材料も、本発明による発光構造の作成に使 用することができる。このような材料の例は、本説明の導入部分で引用した出版 物中で与えられている。これらの出版物の内容は、参照により本明細書に組み込 まれる。 モノマー素子は通常は真空蒸着によって作成する。これはGaNのPEMBD と同等である。蒸着は、抵抗および電子線によるソースの加熱が独立して制御さ れるベルジャー型チャンバ中で実行することができる。これは、複数のエフージ ョン・セルおよび電子線蒸発器を組み込む分子線付着システム中で実行すること もできる。それぞれの場合には、このチャンバ、真空接続したチャンバ、または いくらかの大気汚染が許容できる場合には分離チャンバ中で、GaN付着を発生 させることができる。 オリゴマーおよびポリマー有機物は、それらのモノマー成分を蒸着させ、後に 基板で加熱またはプラズマ励起を介して 重合させることよって付着させることもできる。したがって、これらを共蒸着に よって合金にすることができ、これらは完全にモノマー化合物と両立する。 一般に、ポリマーを含む素子は、溶媒中でポリマーを溶解させ、スピン・コー ティングまたはブレードのいずれかによって基板を覆うようにこれを拡げること により作成される。この場合には、無機物も溶媒中に縣濁または溶解させなけれ ばならない。基板をコーティングした後で、加熱して溶媒を溶解させる。この方 法は、各層ごとに溶媒加熱サイクルを行い、以前に付着させたいかなる層も再溶 解させない新しい溶媒を有さなければならないので、本明細書に記載のものなど の多重層構造の発達については有望でない。使用に向けての関心が高いのは、合 金を組み込むこともある、その最上部にモノマー層を蒸着させるポリマー/無機 物の移送層を作成する可能性である。真空に導入する前にポリマーを不活性雰囲 気中で処理する場合には、素子製作のための十分な清浄度が維持される。いかな る場合でも、GaNが化学的不活性であることにより、ポリマーOLED処理の 耐性が高くなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 タン、チン、ウオン アメリカ合衆国ニューヨーク洲ロチェスタ ー、パーク・レーン 176

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.a)基板(60;70;110;130)と、 b)アノード(61;75;113;133)と、 c)カソード(64;71;111;136)と、 d)前記アノードとカソードの間に電圧が印加された場合にエレクトロルミネ センスが起こる有機領域(65;76;112;135)と を有し、 前記アノードがIII族の窒化物を含むことを特徴とする有機発光素子。 2.前記アノードが窒化ガリウム(GaN)、AlGaN、InGaNおよびI nAlGaNから選ばれた材料からなる、請求項1に記載の発光素子。 3.基板/カソード/有機領域/アノードの層構造を有する、請求項1または2 に記載の発光素子。 4.前記エレクトロルミネセンスによって生成された光が、前記アノードを介し て前記有機領域から、または前記カソードおよび基板を介して前記有機領域から 放射される、請求項3に記載の発光素子。 5.基板/アノード/有機領域/カソードの層構造を有する、請求項1または2 に記載の発光素子。 6.前記エレクトロルミネセンスによって生成された光が、前記カソードを介し て前記有機領域から、または前記アノー ドおよび基板を介して前記有機領域から放射される、請求項5に記載の発光素子 。 7.前記有機領域が単一の有機層または有機層のスタックを含む、請求項1また は2に記載の発光素子。 8.前記有機領域(65;76)が、前記アノード(61;75)が正孔輸送層 と直接接触するように配列された正孔輸送層(62;74)を含む、請求項1ま たは2に記載の発光素子。 9.前記基板(60;130)が透明または半透明である、請求項1または2に 記載の発光素子。 10.前記基板がシリコンまたはガラスからなる、請求項1または2に記載の発 光素子。 11.前記基板がたわみ性である、請求項1または2に記載の発光素子。 12.前記基板が集積回路(131)を含むシリコン基板(130)である、請 求項1または2に記載の発光素子。 13.前記アノードが結晶性またはアモルファスのいずれかである、請求項1ま たは2に記載の発光素子。 14.前記アノードが、窒化ガリウムを前記基板から分離する酸化インジウムス ズ(ITO)層を含む、請求項1または2に記載の発光素子。 15.発光素子の横方向の伝導性を増大させるために、前記アノードが窒化ガリ ウムを前記基板から分離する酸化インジウムスズ(ITO)層で覆われる、請求 項1または2に記載 の発光素子。 16.前記有機領域が、 ・複数の有機発光層(EL)のスタック、 ・エレクトロルミネセンスを支配および改善するように選択された有機物また は無機物の1つまたは複数の不純物がドーピングされた有機化合物、 ・そのうちのいくつかをドーピングしてその特定の有機発光層のエレクトロル ミネセンスを支配または改善することができる、複数の有機発光層のスタック、 あるいは ・その1つまたは複数有機層の役割が、1つまたは複数のキャリア・タイプを 電気的に制限し、隣接する有機層の発光を改善することである、複数の有機層の スタックのいずれかを含む、請求項1または2に記載の発光素子。 17.請求項1ないし16のいずれか一項に記載の複数の発光素子を含む有機発 光アレイまたはディスプレイ。 18.前記基板が、素子および/または回路および/または電気接続を含むシリ コン基板である、請求項17に記載の有機発光アレイまたはディスプレイ。 19.前記の素子および/または回路および/または電気接続が、前記発光素子 の少なくとも1つを駆動および制御するように設計される、請求項18に記載の 有機発光アレイまたはディスプレイ。 20.様々な波長の光の放射を実現するカラー・フィルタ(132)を含む、請 求項18に記載の有機発光アレイまた はディスプレイ。 21.前記発光素子が、最初に前記シリコン基板上にカソードを付着され、前記 アノードが透明または半透明であり、前記発光素子から放射された光がシリコン 基板平面より上の半空間中に放射されるようになっている、請求項18に記載の 有機発光アレイまたはディスプレイ。 22.前記発光素子が、最初に前記シリコン基板上にアノードを付着され、 ・前記アノードが前記発光素子の有機領域中に効率的に正孔を注入し、 ・前記発光素子のカソードが透明または半透明であり、 前記発光素子から放射された光がシリコン基板平面より上の半空間中に放射さ れるようになされた、請求項18に記載の有機発光アレイまたはディスプレイ。 23.前記発光素子が、光が前記有機領域から前記アノードおよび基板を介して 前記基板平面より下の半空間中に放射されるように形成される、請求項18に記 載の有機発光アレイまたはディスプレイ。 24.基板およびアレイまたはディスプレイ全体がたわみ性である、請求項18 に記載の有機発光アレイまたはディスプレイ。 25.基板と、カソード金属被覆と、アノードと、前記アノードとカソードの間 に電圧が印加された場合にエレクトロルミネセンスが起こる有機領域とを有する 有機発光素子を作成 する方法であって、 a)窒化ガリウム(GaN)、AlGaN、InGaNおよびInAlGaN から選択された材料からなるように前記アノードを形成する段階 を含む方法。 26.前記アノードが、 ・電子サイクロトロン共鳴プラズマ化学気相成長法、 ・マグネトロン・スパッタ、 ・レーザ・アブレーション、または ・プラズマ増強分子線付着 を使用して形成される、請求項25に記載の方法。 27.前記アノードが350℃以下の低温で形成される、請求項25に記載の方 法。
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