JP3488474B2 - 有機発光ダイオード用のアノード改質 - Google Patents

有機発光ダイオード用のアノード改質

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、有機エレクトロルミネセンス・ディスプレ
イおよびそれを作成するための方法に関する。
発明の背景 有機エレクトロルミネセンス(EL)は、個別の発光ダ
イオード(LED)、アレイ、およびディスプレイに応用
可能であるために、広範囲にわたって研究されてきた。
有機材料は、潜在的に多くのLEDの応用例において半導
体に取って代わり、まったく新しい応用例を可能にする
ことができる。有機LED(OLED)の作成が容易であり、
改良された有機材料の開発が継続することにより、新規
かつ安価なOLEDディスプレイの可能性が約束される。
低効率の有機ELは、たとえば、ヘルフリッヒ(Helfri
ch)他のPhysical Review Letters,Vol.14,No.7,1965,p
p.229−231に何年も前に報告されている。最近の開発
は、効率のよい有機ELに関する2通りの報告、すなわ
ち、C.W.タン(Tang)他のApplied Physics Letters,Vo
l.51,No.12,1987,pp.913−915およびボローズ(Burroug
hes)他のNature,Vol.347,1990,pp.539によって駆り立
てられたものである。タン論文では、分子化合物の真空
蒸着を使用して2つの有機層を有するOLEDを形成してい
る。ボローズ論文では、ポリ(p−フェニレンビニレ
ン)というポリマーをスピン・コーティングして単一有
機層OLEDを形成している。タン論文ならびにN.グリーン
ハム(Greenham)他のNature,Vol.365,1993,pp.628−63
0所載のその後の研究に記載されている利点は、適切な
有機多層および電極金属の選択によって得られるOLED設
計の改良により主に達成されていた。
第1A図に示すように可能なものの中で最も単純なOLED
構造は、放出層10内で出会い、再結合して光を生成する
電子(e-)と正孔(h+)をそれぞれ注入するカソード11
とアノード12の両方の電極間にはさまれた有機放出層10
からなる。電極の仕事関数が有機層10のそれぞれの分子
軌道(MO)と一致する場合に改良されたパフォーマンス
が達成されることが分かった(D.D.C.ブラドリー(Brad
ley),Synthetic Metals,Vol.54,1993,pp.401−405、J.
ペン(Peng)他のJapanese Journal of Applied Physic
s,Vol.35,No.3A,1996,pp.L317−L319、I.D.パーカー(P
arker),Journal of Applied Physics,Vol.75,No.3,199
4,pp.1656−1666)。このような改良された構造を第1B
図に示すが、最適化電極材料13および14は有機層10への
キャリア注入に対するエネルギー障壁を低減する。依然
として、単一有機層構造のパフォーマンスは不十分であ
る。というのは、電子は有機層10を横切ってアノード14
に達することができるかまたは正孔がカソード13に達す
る場合があり、いずれの場合も、光を伴わない電流が発
生し、OLED効率が低下するからである。
また、バランスの取れた電荷注入も重要である。たと
えば、カソードが電子注入に対して大きいエネルギー障
壁を有する場合、優れたアノードの有用性は限定され
る。第2図は、ほとんどの電子が注入されず、正孔はカ
ソード15内またはその付近で非放射的に再結合するしか
ないように、大きい電子障壁16を備えたデバイスを示し
ている。アノードおよびカソードの材料は、バランスの
取れた電荷注入および最適化したOLED効率が得られるよ
うに、それぞれのMOに均等に一致しなければならない。
電子および正孔の伝達関数が別々の有機層と、電子伝
達層20(ETL)と、正孔伝達層(HTL)21との間に分割さ
れる改良された構造を第3図に示す。C.W.タン(Tang)
他のJournal of Applied Physics,Vol.65,No.9,1989,p
p.3610−3616には、より高いキャリア移動度が2有機層
のOLED設計で達成され、この結果、OLEDの直列抵抗が低
下し、動作電圧が低いときに等しい光出力が可能になる
ことが記載されている。電極22、23は、ETL20およびHTL
21のMOにそれぞれ一致するように個別に選択することが
でき、再結合はいずれかの電極から離れた有機層20およ
び21の界面24で行われる。電極としてTangではMgAg合金
カソードを使用し、アノードとしてガラス基板上に付着
された透明なインジウム−スズ−酸化物(ITO)を使用
していた。エグサ(Egusa)他のJapanese Journal of A
pplied Physics,Vol.33,No.5A,1994,pp.2741−2745で
は、有機多層材料の適切な選択の結果、エネルギー障壁
が有機界面で電子と正孔の両方をブロックすることを示
している。これは第3図に示され、有機材料の適切な選
択によって電子はHTL21に入らないようにブロックさ
れ、正孔はETL20に入らないようにブロックされてい
る。この特徴により(第2図に示すように)接点付近で
の消失効果が低下し、放射再結合の強化をもたらす小さ
い界面ボリユーム内の高密度の電子および正孔も約束さ
れる。
十分理解され、広く使用されている多層デバイス・ア
ーキテクチャにより、OLEDのパフォーマンス上の制約と
して残っているのは電極である。電極材料の主な性能指
数は、関連有機MOに対する電極フェルミ・エネルギーの
位置である。応用例によっては、光の抽出を支援するた
めに電極が透明であるか反射性が高いことも望ましいこ
とである。また、電極は、長期のOLEDの安定性をもたら
すために隣接する有機材料に対して化学的に不活性でな
ければならない。
カソードに対して大いに注意が向けられてきた。とい
うのは、良好な電子注入器は低仕事関数の金属であり、
これも化学的に反応性のものであり、大気中で迅速に酸
化し、OLEDの信頼性と寿命を制限するからである。一
方、アノード接点の最適化にはあまり注意が向けられて
こなかった。というのは、従来のITOアノードは一般に
カソード接点より性能が優れており、その結果、過剰な
正孔が発生する。この過剰のため、ならびにITOの透明
性に関連する便益のため、アノードの改良はカソードの
改良ほど積極的に探求されていない。
しかし、ITOは決して理想的なアノードではない。ITO
はOLED内へのIn拡散の結果としてのデバイスの劣化の原
因であり、最終的には、G.サウアー(Sauer)他のFrese
nius J.Anal.Chem.,pp.642−646,Vol.353(1995)によ
って特定されるように短絡が発生する。ITOは多結晶で
あり、その多数の結晶粒界によってOLED内への汚染物質
拡散のための豊富な経路がもたらされる。最後に、ITO
は酸素の貯蔵所であり、多くの有機材料に対して有害な
影響を有するものとして知られている(J.C.スコット
(Scott),J.H.カウフマン(Kaufman),P.J.ブロック
(Brock),R.ディピエトロ(DiPietro),J.サレム(Sal
em),J.A.ゴイタ(Goita)のJ.Appl.Phys.,Vol.79,p.27
45,1996を参照)。これらのすべての問題にもかかわら
ず、ITOアノードは好まれている。というのは、それよ
り優れた透明電極材料は一切知られておらず、ITOは多
くの応用例に対して適度な安定性をもたらすからであ
る。
従来のOLEDはITOアノードにより光を抽出するが、透
明度の高いカソード(TC)による光の抽出に頼るアーキ
テクチャは、透明なOLEDまたは不透明な基板上に作成さ
れたOLEDに望ましいものである。Siは特に望ましいOLED
基板である。というのは、Siウェハに作成された回路は
表示機能を提供する駆動回路と低コストで統合できるか
らである。Si回路の小型化および顕著なパフォーマンス
を考えると、高い情報内容のOLED/SiディスプレイはSi
集積回路(IC)上に安く作成できるだろう。
TCを取り入れる最も単純な手法は、薄い半透明の低仕
事関数金属層、たとえば、CaまたはMgAgに続いて、たと
えば、ブロヴィク(Bulovic)他のNature,Vol.380,No.1
0,1996,p.29または1997年12月11日に公開された同時係
属のPCT特許出願PCT/IB96/00557(公開番号第WO97/4705
0号)で報告されているようなITOまたは他の透明な単数
または複数の導電材料を付着することである。このよう
なTC OLEDの効率を最大限にするため、TCによりより多
くの光を外に向けることができる反射性の高いアノード
が望ましい。その結果、ITOの低い反射率はTC OLEDの
短所である。
あるいは、応用例によっては、OLEDまたはそれに基づ
くデイスプレイのコントラスト比を増加することがより
重要になる場合もある。この場合、TC OLEDは、無反射
で吸収性の高いアノードから利益を得ることができるだ
ろう。この場合もITOの光学特性は短所である。
高仕事関数の金属は、TC OLED用の反射性の高いアノ
ードを形成できるだろう。このような金属の一部、たと
えば、AuはITOより大きい仕事関数を有するが(5.2eV対
4.7eV)、有機材料における拡散率が高いので寿命は損
なわれる可能性がある。ITOからのInのように、より悪
いことにAuは、多くの有機材料により容易に拡散し、最
終的にデバイスの短絡を引き起こす可能性がある。
Si基板上にOLEDを作成するための努力がなされてきた
パーカー(Parker)およびキム(Kim)、Applied Physi
cs Letters,Vol.64,No.14,1994,pp.1774−1776)。Si
は、そのバンドギャップが小さく、仕事関数が中位のた
めに、有機MOへの電子および正孔の両方の注入に関する
障壁が大きく、したがって、電極としての性能は不十分
である。パーカーおよびキムは、SiとOLEDとの間にSiO2
中間層を追加することにより、この状況をいくらか改善
した。SiO2絶縁体での電圧降下により、Siバンドはそれ
に相当する有機MOと並ぶことができ、Siからの電子また
は正孔はSiO2を通って有機MO内に入ることができる。し
かし、SiO2における必要な電圧降下により、OLEDのター
ンオン電圧が10Vより上に上昇し、これらのOLEDが非効
率なものになる。低電圧OLED/Si設計は、効率を改善す
るためだけでなく、回路設計を容易にするためにも望ま
しいものである。というのは、ミクロン以下のSiトラン
ジスタは10Vを上回る駆動電圧を容易に発生することが
できないからである。アノードの場合、Si表面の仕事関
数を上昇させ、それにより、OLEDの動作電圧を低下させ
るものは、SiO2のようなトンネル絶縁体表面改質より望
ましい。
現況技術の上記の例および説明から分かるように、優
れた信頼性と効率を備えたOLEDおよびそれに基づくディ
スプレイを実現し、TCにより放出するデバイスなどの新
規のアーキテクチャを可能にするために電極材料を改良
しなけらばならない。特に、Si基板上にOLEDアレイ又は
ディスプレイを作成するためには、最適化したTC OLED
アーキテクチャ用としてSi IC技術と互換性のある改良
されたアノードが必要である。
本発明の目的は、新しく改良された有機ELデバイス、
アレイ、およびそれに基づくディスプレイを提供するこ
とにある。
本発明の他の目的は、改良された効率、より低い動作
電圧、またはより急峻な電流/電圧特性と、信頼性、安
定性、寿命の増加を備え、透明なカソード電極による発
光用に最適化され、新しく改良された有機ELデバイス、
アレイ、およびそれに基づくディスプレイを提供するこ
とにある。
本発明の他の目的は、Si基板上に作成された有機ELデ
バイス、アレイ、およびディスプレイ用の新しく改良さ
れたアノードを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、この新しく改良された有
機ELデバイス、アレイ、およびディスプレイを作成する
ための方法を提供することにある。
発明の概要 上記の目的は、カソードと、アノードと、その間には
さまれた有機領域とを有するOLEDを提供することにより
達成され、前記アノードは、 −金属層と −アノード改質層と −少なくとも1つの障壁層からなり、 前記アノードは、前記アノード改質層が前記有機領域と
接触し、前記カソードにより光が抽出されるように配置
されている。
本発明に関する金属層としては、どのような種類の金
属も適している。例としては、Al、Cu、Mo、Ti、Pt、I
r、Ni、Au、Ag、およびその合金またはAl上のPtなどの
金属スタックがある。
本発明の手法は、前処理した集積ディスプレイ回路
(ここではSi ICという)を取り入れ、Si好ましいこと
にSi結晶ウェハの上にOLEDを作成するために特に設計さ
れたものである。本発明は、良好な正孔注入特性を有す
る安定したOLEDアノードになるように既存のSiデバイス
のメタライゼーションを改質するように設計されてい
る。Si IC上のOLEDの場合、本発明の金属層は一般にSi
ICプロセスの最終メタライゼーション層であり、現在
のSi技術と一貫しているのは通常、Al、Cu、またはその
合金である。Al、Cu、またはAl:Cu合金のいずれもOLED
アノードとして十分な機能は果たさないが、優れた可視
スペクトル反射率を提供し、それがTCにより抽出される
光の量を増加する。Si ICメタライゼーション表面は、
作成プロセス、IC作成とOLED付着との間の時間、Si IC
が保管され出荷されたときの環境を含む多数の要因に応
じて、酸化物の厚さ、粗さ、表面汚染物質の点で広く変
動することができる。効率のよいOLEDの再現可能な作成
のため、Siメタライゼーション・アノード特性を改良
し、金属表面の初期状態の変動によって発生する影響を
除去しなければならない。
本発明の手法は、ポリシリコンまたはアモルフアス・
シリコン・デバイスを含むピクセルおよび駆動回路での
使用にも適している。
本発明のアノード改質層は、主に、OLEDへの効率のよ
い正孔注入を可能にするその高い仕事関数のために選択
される。アノード改質層は、長期間にわたって一貫した
OLEDパフォーマンスを保証するために、いわゆる有機領
域(たとえば、有機HTL)の一部である隣接する有機層
との安定した界面を形成しなければならない。アノード
改質層は導電性または絶縁性のものにすることができる
が、OLED直列抵抗と光学吸収損の両方に対してごくわず
かしか寄与しないほど十分に薄いものでなければならな
い。酸化物はアノード改質層として十分適している。ア
ノード改質層の厚さは好ましいことに0.5nm〜10nmの間
である。
本発明の単数または複数の障壁層は、電荷が金属層お
よびアノード改質層とのその界面を自由に通過できるよ
うにしながら、物理的化学的障壁を形成することによ
り、アノード改質層を金属層から隔離する。障壁層(複
数も可)は、金属層の組成またはその表面の初期状態に
かかわらず、アノード改質層の付着または形成のために
一貫した再現可能な表面を提供する。障壁層(複数も
可)は導電性または絶縁性のものにすることができる
が、OLED直列抵抗に対してごくわずかしか寄与しないほ
ど十分に薄いものでなければならない。あるいは、障壁
層(複数も可)は吸収損を回避するように高い反射性の
ものにすることができる。障壁層の厚さは好ましいこと
に5nm〜100nmの間である。たとえば、TiNまたはTiNCを
含む障壁層が十分適している。
Siウェアの形成のため、アノードを含むすべての層
は、下にあるSi回路が損傷しないほど十分穏やかなプロ
セスを使用して、すなわち、化学的または物理的損傷を
ほとんど引き起こさないような低温でウェハ上に付着可
能または形成可能なものでなければならない。
本発明の一実施の形態では、Si基板上に形成されたTC
を有する単一または多層OLED構造は、正孔注入のときに
アノードが安定し効率がよくなるように、金属層と、ア
ノード改質層と、中間障壁層(複数も可)とを含む多層
アノード構造を取り入れている。
このようなアノードをOLED構造に取り入れた結果、以
下の利点が得られる。
アノード改質層の高仕事関数と金属層からの電荷の自
由通過の両方により、障壁層(複数も可)を通ってアノ
ード改質層への低電圧正孔注入が行われる。
障壁層(複数も可)が金属層とアノード改質層との間
に用意する化学的および物理的障壁により長期間にわた
って安定したOLED動作が行われ、隣接する有機HTLとア
ノード改質層との界面の安定性が得られる。
金属層、障壁層(複数も可)、アノード改質層のスタ
ックの高反射率と低吸収により、TCによる効率のよい光
の抽出が支援される。
図面の説明 以下の概略図を参照して、本発明について以下に詳し
く説明する。ただし、添付図面は一定の縮尺で描かれて
いないことに留意されたい。
第1A図は、1つの放出層と2つの電極とを有する既知
のOLEDのバンド構造を示す図である(従来技術)。
第1B図は、キャリア注入用のエネルギー障壁が低減さ
れるように仕事関数が選択された、1つの放出層と2つ
の金属電極とを有する他の既知のOLEDのバンド構造を示
す図である(従来技術)。
第2図は、1つの放出層と2つの金属電極とを有する
他の既知のOLEDのバンド構造を示す図であり、正孔注入
用のエネルギー障壁が低くなるようにアノードの仕事関
数が選択され、カソードの仕事関数が放出層と十分に一
致せず、前記放出層内の電子注入と放射再結合がほとん
ど行われないことを示す(従来技術)。
第3図は、1つの電子伝達層と1つの正孔伝達層とを
有する他の既知のOLEDのバンド構造を示す図である(従
来技術)。
第4図は、本発明の第1の実施の形態の概略断面図で
ある。
第5図は、本発明の第2の実施の形態の概略断面図で
ある。
第6図は、本発明の第3の実施の形態の概略断面図で
ある。
好ましい実施の形態の説明 本発明のアノード手法から恩恵を受ける第1の改良さ
れた構造について、第4図に関連して図示し説明する。
Si基板上に作成された高性能のTC OLEDデバイスを提
供するため、第4図〜第6図に示すように本発明のアノ
ード手法の恩恵を受ける改良された構造が用意され、新
しいアレイおよびディスプレイの応用例が可能になる。
本発明のアノードを取り入れた改良OLEDの3通りの実施
の形態について、第4図〜第6図に関連して詳述する。
第1の実施の形態を第4図に示す。基板45上に形成さ
れたTC OLEDが示されている。本構成では上部電極(カ
ソード51)からエレクトロルミネセンス光52が放出され
るので、ほとんどすべての種類の基板45を使用すること
ができる。例としては、Si、ガラス、石英、ステンレス
鋼、および様々なプラスチックがある。金属層46と、障
壁層47と、アノード改質層48とを含む本発明のアノード
は、前記基板45上に位置している。金属層46としては、
どのような種類の金属でも適している。例としては、A
l、Cu、Mo、Ti、Pt、Ir、Ni、Au、Ag、その合金、また
はAl上のPtなどの金属スタックがある。実施の形態に応
じて、可視スペクトル反射率を提供する金属が特に十分
適している。
障壁層47は、電荷が金属層46およびアノード改質層48
とのその界面を自由に通過できるようにしながら、物理
的化学的障壁を形成することにより、アノード改質層48
を金属層46から隔離する。ただし、本発明のアノードは
1つまたは複数の障壁層を含む可能性のあることに留意
されたい。障壁層(複数も可)47は、金属層の組成また
はその表面の初期状態にかかわらず、アノード改質層48
の付着または形成のために一貫した再現可能な表面を提
供する。障壁層(複数も可)47は導電性または絶縁性の
ものにすることができるが、OLED直列抵抗に対してごく
わずかしか寄与しないほど十分に薄いものでなければな
らない。あるいは、障壁層(複数も可)47は吸収損を回
避するように反射性のものにすることができる。障壁層
の厚さは好ましいことに5nm〜100nmの間である。
アノード改質層48は、主に、OLEDの有機領域への効率
のよい正孔注入を可能にするその高い仕事関数のために
選択される。アノード改質層48は、長期間にわたって一
貫したOLEDパフォーマンスを保証するために、隣接する
有機放出層(EML)49との安定した界面を形成しなけれ
ばならない。アノード改質層48は導電性または絶縁性の
ものにすることができるが、OLED直列抵抗と光学吸収損
の両方に対してごくわずかしか寄与しないほど十分に薄
いものでなければならない。アノード改質層の厚さは好
ましいことに0.5nm〜10nmの間である。
TC51はEML49上に位置している。エレクトロルミネセ
ンスはEML49内で発生する。第4図に示すように、光の
一部はEML49およびTC51からOLEDより上の半分の空間内
に直接放出される。光の他の部分は、本発明のアノード
構造に向かって移動する。それもOLEDより上の半分の空
間内に放出されるように、アノード構造は光を反射す
る。
Si基板上に作成されたTC OLED用の本発明のアノード
の第2の実施の形態を第5図に示す。基板25から上に
は、Si IC/InN/InNOx/HTL/ETL/TC OLED構造が付着の
順に示されている。第5図のSi IC25はAlの上部金属接
点パッド26を含み、これは本発明のアノード内の金属層
としても機能する。Si IC作成の完了後、少なくとも接
点パッド26に重なるように、InN障壁層27が基板上に直
接付着される。次に、このサンプルは酸素プラズマ内
で、または同等に空気、蒸気、オゾン、その他の酸化環
境で酸化され、有機HTL29内への低電圧正孔注入が可能
なInNOx表面アノード改質層28が用意される。TC31からE
TL30内に注入された電子は有機領域内の正孔と再結合
し、TC31から抽出されたEL32を生成する。本実施の形態
の有機領域はHTL29とETL30とを含む。ただし、いずれの
場合も有機領域は少なくとも1つの有機層を含むことに
留意されたい(たとえば、第1の実施の形態を参照)。
Si IC25は、単純にするため、第5図に示されていない
集積回路を含む可能性がある。InNの代わりに、たとえ
ば、他の第III族窒化物を使用できるだろう。
InNは、優れた透明性を有し導電性の縮退半導体であ
るが、Si IC25上の隣接するAl金属パッド26間のInN障
壁層27による側方伝導により電気的漏話が発生するほど
の導電性ではないので、優れた障壁層材料である。この
ような特性を有するInNは、バイアーライン(Beierlei
n)他のMaterials Research Society Internet Journal
of Nitride Semiconductor Research,Vol.2,Paper 29
に記載されているように、室温またはその付近で付着す
ることができる。酸化し、その結果、InN障壁層のすぐ
上にInNOxアノード改質層28を形成することによってそ
の表面の仕事関数を増加することができるので、InNは
都合のよい選択でもある。これと同等に、InNOxアノー
ド改質層28をInNの上に直接付着することもできるだろ
う。
酸化物ベースのアノード改質層の付着のためのいくつ
かの方法を以下に列挙する。
・プラズマ強化化学的気相付着法(PECVD)を含む化学
的気相付着法(CVD) ・スパッタ付着または反応性(たとえば、酸素環境にお
ける)スパッタ付着 ・熱蒸着 ・電子ビーム蒸着 ・酸素プラズマ(プラズマ支援酸化) ・酸化環境における熱アニーリング ・UVオゾン処理 ・湿式化学酸化 ・電気化学酸化 ・溶液からのスピンコーティング いくつかの例を示すために、完全に異なるアノード改
質層28、たとえば、ITO、ZnO、MgO、Sn2O3、In2O3、RuO
2、V2O5、または同様の酸化物も代わりに使用すること
ができるだろう。同様に、完全に異なる金属層26も代わ
りに使用することができるだろう。InN半導体の縮退に
より、金属層26の表面の組成または初期状態にかかわら
ず、金属層26からInN障壁層27内へ電荷が容易に通過で
きることが保証される。同じ理由から、電荷は、重大な
直列抵抗を発生せずにInN障壁層27を横切ってアノード
改質層28内へ移動することもできる。極性の高いIn−N
結合の強度により、InN27が腐食または金属層26とアノ
ード改質層28との間の拡散に対して優れた化学的物理的
障壁として動作することが保証される。
第5図に示すデバイスは、Al金属層26の高い反射率と
InN障壁層27およびInNOxアノード改質層28の低い可視ス
ペクトル吸収から恩恵を受けるものであり、これによ
り、基板に向かって放出されたEL32の多くがTC31により
反射して戻ることができる。
第5図に示すアノード構造を有するデバイスは、Al/I
nN/InNOxアノードとTCとの間のよりバランスの取れた電
荷注入の結果として従来のITOアノードを有する同等構
造より高い量子効率および電力効率を示す。
Si基板上に作成されたTC OLED用の本発明のアノード
の第3の実施の形態を第6図に示す。基板33から上に
は、Si IC/Ni/NiOx/V2O5/HTL/EML/ETL/TC OLED構造が
付着の順に示されている。第6図のSi IC33はAl:Cu合
金の上部金属接点34を含み、これは本発明のアノード内
の金属層として機能する。Si ICの完成後、基板33のう
ち、金属接点層34によって覆われている部分の上に2層
のNi35/NiOx36の障壁層が順に直接付着されるか、ある
いは、Ni35障壁層が付着され、その表面がその後酸化さ
れてNiOx36障壁層を形成する。本発明のアノードは、HT
L38内へ正孔を注入可能なV2O5アノード改質層37の付着
によって完成する。TC41からETL40内に注入された電子
は有機放出層39内で再結合し、TC41から抽出されるEL42
を生成する。単純にするため、Si基板内の回路は図示し
ない。
本発明のアノードの金属層34とアノード改質層37との
間には任意に多数の障壁層35、36を挿入することができ
る。ただし、それぞれの界面またはその大部分における
過剰な直列抵抗によってデバイス効率を低減しないもの
とする。本実施の形態のNi35/NiOx36障壁層構造は、良
好なデバイス効率を保証するために、Ni35金属の高い反
射率と、絶縁しているNiOx36層の透明度および厚さを頼
りにしている。
Ni層およびNiOx層のない第3の実施の形態は、Al:Cu
合金34とアノード改質層37との化学反応のために不安定
である。Ni35表面の酸化あるいは追加の障壁層の付着に
より、Ni金属はアノード改質層37からさらに化学的に隔
離される。Ni35障壁層は導電性が高いので、隣接するIC
メタライゼーション34(第6図には図示しない)間の側
方伝導を回避するために、非常に薄くするかまたはパタ
ーン化(第6図に示す)しなければならない。
第6図に示す本発明の金属/Ni/NiOx/V2O5アノード構
造を有するデバイスは、従来のITOアノードより急峻な
電流/電圧特性と、同様の電力効率を示す。
本発明に基づき、本発明によって使用可能になるディ
スプレイのいくつかの実施の形態について以下に述べ
る。
上記の3通りの実施の形態またはその変更態様は、1
つのディスプレイまたはアレイの一部にすることができ
る。たとえば、Si基板は、その上に形成されたOLEDのピ
クセルを駆動する集積回路を含む可能性があるだろう。
このため、本発明のアノードは、Si IC基板内に形成さ
れたアクティブ・マトリックス素子の金属接点に接続さ
れる可能性がある。回路が適切にパターン化された場
合、個々のピクセルまたはピクセル群をオンにしたり、
オフにすることができる。
高い量子効率および電力効率、より低いしきい電圧、
急峻な電流/電圧特性を備えたアレイおよびディスプレ
イを実現することができる。本発明のアノードは多くの
既知の手法と互換性のあるものである。
Si基板上にOLEDを統合することは有利なことである。
というのは、OLED付着の前に、たとえば、アクティブ・
マトリックス、ドライバ、メモリなどのアクティブなSi
デバイスを含むように基板を作成することができるから
である。Si基板上のこのようなOLEDは、高い解像度とパ
フォーマンスを備えた非常に安価で小さい面積の有機デ
ィスプレイにすることができる。OLEDまたはOLEDアレイ
は、Siデバイスが乗っているこのようなSi基板上で直接
成長させるか、またはSi回路上にフリップチップのよう
に後で個別に作成して組み立てることができる。
問題は、Siメタライゼーションが通常はAlまたはAl合
金であり、それがOLEDのアノードまたはカソード材料と
しては不十分なものであることがある。本発明のアノー
ドにより、安定した低電圧正孔接点を標準にSiプロセス
・メタライゼーションの上に形成することができる。
使用可能な様々な有機材料のいくつかの例を以下に示
す。
電子伝達/放出材料: Alq3、Gaq3、Inq3、Scq3(qは8−ヒドロキシキノレ
ートまたはその誘導体を意味する)およびたとえばZn
q2、Beq2、Mgq2、ZnMq2、BeMq2、BAlq、AlPrq3などのそ
の他の8−ヒドロキシキノリン金属錯体。これらの材料
はETLまたは放出層として使用することができる。
その他のクラスの電子伝達材料は、電子が欠乏し、窒
素を含有する系であり、たとえば、PBD(および多くの
誘導体)などのオキサジアゾルおよびトリアゾール、た
とえば、TAZ(1,2,4−トリアゾール)である。
これらの官能基は、ポリマー、星形およびスピロ化合
物として取り入れることもできる。さらに他のクラス
は、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン官能
基を含む材料である。
最後に、キノリン、キノキサリン、シノリン、フタラ
ジン、キナジリン官能基を含む材料はその電子伝達能力
に関して周知のものである。
他の材料は、ジデシルセキシチオフェン(DPS6T)、
ビス−トリイソプロピルシリルセキシチオフェン(2D6
T)、アゾメチン−亜鉛錯体、ピラジン(たとえば、BNV
P)、スチリルアントラセン誘導体(たとえば、BSA−
1、BSA−2)、非平面形ジスチリルアリーレン誘導
体、たとえばDPVBi(C.ホソカワ(Hosokawa)およびT.
クスモト(Kusumoto),International Symposium on In
organic and Organic Electroluminescence 1994,浜松,
42を参照)、シアノ−PPVなどのシアノ置換ポリマー(P
PVはポリ(p−フェニレンビニレン)を意味する)、シ
アノ−PPV誘導体である。
以下の材料は以下のものとして特に適している。
放出層およびドーパント: アントラセン、ピリジン誘導体(たとえば、ATP)、
アゾメチン−亜鉛錯体、ピラジン(たとえば、BNVP)、
スチリルアントラセン誘導体(たとえば、BSA−1、BSA
−2)、コロネン、クマリン、DCM化合物(DCM1、DCM
2)、ジスチリルアリーレン誘導体(DSA)、アルキル置
換ジスチリルベンゼン誘導体(DSB)、ベンゾイミダゾ
ール誘導体(たとえば、NBI)、ナフトスチリルアミン
誘導体(たとえば、NSD)、オキサジオゾール誘導体
(たとえば、OXD、OXD−1、OXD−7)、N,N,N',N'−テ
トラキス(m−メチルフェニル)−1,3−ジアミノベン
ゼン(PDA)、ペリレンおよびペリレン誘導体、フェニ
ル置換シクロペンタジエン誘導体、12−フタロペリノン
セキシチオフェン(6T)、ポリチオフェン、キナクリド
ン(QA)(T.ワキモト(Wakimoto)他のInternational
Symposium on Inorganic and Organic Electroluminesc
ene,1994,浜松,77を参照)および置換キナクリドン(MQ
A)、ルブレン、DCJT(たとえば、C.タン(Tang),SID
Conference San Diego;Proceedings,1996,181を参
照)、共役および非共役ポリマー、たとえば、PPVおよ
びPPV誘導体、ジアルコキシおよびジアルキルPPV誘導
体、たとえば、MEH−PPV(ポリ(2−メトキシ)−5−
(2'−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレン−ビニレ
ン)、ポリ(2,4−ビス(コレスタノキシル)−1,4−フ
ェニレン−ビニレン)(BCHA−PPV)、区分PPV(たとえ
ば、E.ステアリング(Staring),International Sympos
ium on Inorganic and Organic Electroluminescene,19
94,浜松,48およびSumitomo ChemicalsのT.オシノ(Oshi
no)他の1995年月例報告書を参照)。
正孔伝達層および正孔注入層: 以下の材料は、正孔注入層および正孔伝達層として適
している。テトラフェニルジアミノジフェニル(TPD−
1、TPD−2、またはTAD)およびNPB(C.タン(Tang),
SID Meeting San Diego,1996およびC.アダチ(Adachi)
他のApplied Physics Letters,Vol.66,p.2679,1995を参
照)、TPA、NIPC、TPM、DEH(省略形については、たと
えば、P.BorsenbergerおよびD.S.ワイス(Weiss),Orga
nic Photoreceptors for Imaging Systems,Marcel Dekk
er,1993を参照)のような芳香族アミノ基を含む材料。
これらの芳香族アミノ基は、ポリマー、星形(たとえ
ば、TCTA、m−MTDATA、Y.クワバラ(Kuwabara)他のAd
vanced Materials,6,p.677,1994、Y.シロタ(Shirota)
他のApplied Physics Letters,Vol.65,p.807,1994を参
照)およびスピロ化合物として取り入れることもでき
る。
その他の例は、銅(II)フタロシアニン(CuPc)、
(N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス−(4−フェニルフェ
ニル)−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン)、ジスチ
リルアリーレン誘導体(DSA)、ナフタレン、ナフトス
チリルアミン誘導体(たとえば、NSD)、キナクリドン
(QA)、ポリ(3−メチルチオフェン)(P3MT)および
その誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、ポリチオ
フェン(PT)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二
無水物(PTCDA)、PPVおよび一部のPPV誘導体、たとえ
ば、MEH−PPV、ポリ(9−ビニルカルバゾール)(PV
K)、ディスコティック液晶材料(HPT)である。
良好な発光器、電荷伝達材料、電荷注入材料として知
られる有機材料が他にも数多く存在し、さらに多くのも
のが発見されるだろう。これらの材料は、本発明による
発光構造を作成するためにも使用することができる。有
機材料に関する詳細は、R.H.マウチ(Mauch)他編「Ino
rganic and Organic Electroluminescence」(Wissensc
haft und Technik Verlag,Berlin,Germany,1996)とい
う書籍ならびに「1996 SID International Symposium,D
igest of Technical Papers」(第1版,Vol.XXVII,May
1996,Society for Information Display出版,1526 Broo
khollow Dr.,Suite 82,Santa Ana,CA,USA)という書籍
などの教科書その他の周知の文献に記載されている。
さらに、ポリマー・バインダ内に活性基を含むブレン
ド(すなわち、ゲストホスト)システムも可能である。
OLEDの応用例のための有機材料の設計に使用する概念
は、大部分は、有機光受容体に関する広範囲の既存の経
験から得られたものである。有機光受容体の作成に使用
する一部の有機材料に関する簡単な概要は、P.ブローゼ
ンバーガー(Brosenberger)およびD.S.ワイス(Weis
s)の前述の文献と、Teltech,Technology Dossier Serv
ice,Organic Electroluminescence(1995)、ならびに
基本的文献に記載されている。
OLEDは、ポリマー分子、オリゴマー分子、および小有
機分子を使用して実証されてきた。各タイプの分子から
形成されたデバイスは機能的には同様のものであるが、
層の付着方法は大幅に異なっている。本発明は、ポリマ
ー、オリゴマー、または小分子に基づく有機発光デバイ
スについて前述したすべての形式で同等に有効である。
小分子デバイスは、慣例的に真空蒸発によって形成さ
れる。これは、本発明のアノードの形成に使用されるプ
ロセスと互換性のあるものである。
蒸発は、ソースに対する独立制御の抵抗加熱および電
子ビーム加熱によってベル・ジャー・タイプのチャンバ
で実行することができる。また、複数の噴散セルおよび
スパッタ・ソースを取り入れた分子ビーム付着システム
で実行することもできる。オリゴマーおよびポリマー有
機物は、基板における加熱またはプラズマ励起により後
で重合することによりそれぞれのモノマー成分の蒸発に
よって付着することができる。したがって、共蒸発によ
って混合物を共重合または作成することが可能である。
一般に、ポリマー含有デバイス(単一層、多層、ポリ
マー・ブレンド・システムなど)は、溶剤内でポリマー
を溶解し、スピン・コーティングまたはドクター・ブレ
ード技法のいずれかによってそれを基板上に拡げること
によって作成される。基板のコーティング後に溶剤は蒸
発またはその他の方法によって除去される。この方法に
より、明確な多層有機スタックの作成が可能になる。た
だし、各後続層用のそれぞれの溶剤は前に付着した層を
溶解しないものとする。
さらに、ポリマー分子および蒸発させた小有機分子の
両方を含むハイブリッド・デバイスが可能である。この
場合、一般にポリマー・フィルムが先に付着される。と
いうのは、蒸発させた小分子層は溶剤処理にあまり耐え
られない場合が多い。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H05B 33/22 H05B 33/22 C (72)発明者 リール、ハイケ スイス国リュシュリコン、ヴァイトシュ トラーセ 6 (72)発明者 リース、ワルター スイス国アドリスヴィル、グスタアルダ ーシュトラーセ 3 (72)発明者 ザイトラー、ポール スイス国ガッテイコン、オープストガル テンシュトラーセ 3 (72)発明者 シトライト、サミュエル、クラゲット スイス国キルクヴァーグ、ホーンハルデ ンシュトラーセ 1 (72)発明者 ウエストウエーバー、ホルスト スイス国アドリスヴィル、ルッテシュト ラーセ 66 (56)参考文献 特開 平9−260064(JP,A) 特開 平8−288069(JP,A) 特開 平4−254887(JP,A) 特開 平9−63771(JP,A) 特開 平5−21165(JP,A) 国際公開97/047050(WO,A1) 国際公開97/020355(WO,A1) 国際公開97/047051(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 33/00 - 33/28

Claims (30)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アノードと、カソードと、その間にはさま
    れた有機領域とを含む有機エレクトロルミネセンス・デ
    バイスであって、前記アノードが、 −金属層と −障壁層と −アノード改質層とを含み、 前記アノード改質層が前記有機領域と接触し、前記カソ
    ードにより光が放出されるように前記アノードが配置さ
    れ、前記障壁層は、電荷が前記金属層および前記アノー
    ド改質層とのその界面を自由に通過できるようにしなが
    ら、物理的化学的障壁を形成することにより、前記アノ
    ード改質層を前記金属層から隔離し、 前記障壁層が、Ni層または第III族窒化物を含み、 前記アノード改質層が、ITO、ZnO、MgO、Sn2O3、In
    2O3、RuO2、またはV2O5を含むことを特徴とする、有機
    エレクトロルミネセンス・デバイス。
  2. 【請求項2】アノードと、カソードと、その間にはさま
    れた有機領域とを含む有機エレクトロルミネセンス・デ
    バイスであって、前記アノードが、 −金属層と −障壁層と −アノード改質層とを含み、 前記アノード改質層が前記有機領域と接触し、前記カソ
    ードにより光が放出されるように前記アノードが配置さ
    れ、前記障壁層は、電荷が前記金属層および前記アノー
    ド改質層とのその界面を自由に通過できるようにしなが
    ら、物理的化学的障壁を形成することにより、前記アノ
    ード改質層を前記金属層から隔離し、前記障壁層の表面
    が酸化されて前記アノード改質層を形成することを特徴
    とする、有機エレクトロルミネセンス・デバイス。
  3. 【請求項3】前記アノード改質層が前記障壁層上に付着
    される、請求項1に記載のデバイス。
  4. 【請求項4】アノードと、カソードと、その間にはさま
    れた有機領域とを含む有機エレクトロルミネセンス・デ
    バイスであって、前記アノードが、 −金属層と −障壁層と −アノード改質層とを含み、 前記アノード改質層が前記有機領域と接触し、前記カソ
    ードにより光が放出されるように前記アノードが配置さ
    れ、前記障壁層は、電荷が前記金属層および前記アノー
    ド改質層とのその界面を自由に通過できるようにしなが
    ら、物理的化学的障壁を形成することにより、前記アノ
    ード改質層を前記金属層から隔離し、前記障壁層が第II
    I族窒化物を含むことを特徴とする、有機エレクトロル
    ミネセンス・デバイス。
  5. 【請求項5】前記金属層がAlまたはCuを含む、請求項1
    に記載のデバイス。
  6. 【請求項6】前記アノード改質層が高い仕事関数を有す
    る、請求項1に記載のデバイス。
  7. 【請求項7】前記金属層が、前記カソードより放出され
    る光の量を増加するように可視スペクトル反射率を有す
    る金属を含む、請求項1に記載のデバイス。
  8. 【請求項8】前記アノード改質層または前記障壁層ある
    いはその両方が可視光線を強力に吸収する、請求項1に
    記載のデバイス。
  9. 【請求項9】前記金属層が、Al、Cu、Mo、Ti、Pt、Ir、
    Ni、Au、またはAg、あるいは任意のその合金またはAl上
    のPtなどの任意の金属スタックを含む、請求項1に記載
    のデバイス。
  10. 【請求項10】前記金属層が基板上に形成される、請求
    項1に記載のデバイス。
  11. 【請求項11】前記基板がシリコン基板である、請求項
    10に記載のデバイス。
  12. 【請求項12】前記シリコン基板が結晶質である、請求
    項11に記載のデバイス。
  13. 【請求項13】前記基板がポリシリコン回路またはアモ
    ルファス回路を含む、請求項10に記載のデバイス。
  14. 【請求項14】前記シリコン基板が集積回路を含む、請
    求項11に記載のデバイス。
  15. 【請求項15】前記アノード改質層が、前記有機領域へ
    の効率のよい正孔注入を可能にするように選択される、
    請求項1に記載のデバイス。
  16. 【請求項16】前記アノード改質層が、前記有機領域と
    の安定した界面を形成するように選択される、請求項1
    に記載のデバイス。
  17. 【請求項17】前記アノード改質層が導電性または絶縁
    性のものである、請求項1に記載のデバイス。
  18. 【請求項18】酸化物層がアノード改質層として機能す
    る、請求項1に記載のデバイス。
  19. 【請求項19】電荷が前記金属層および前記アノード改
    質層とのその界面を通過できるようにしながら、障壁を
    形成することにより、前記障壁層が前記アノード改質層
    を前記金属層から物理的および化学的に隔離する、請求
    項1に記載のデバイス。
  20. 【請求項20】前記障壁層が導電性または絶縁性のもの
    である、請求項1に記載のデバイス。
  21. 【請求項21】前記障壁層が反射性が高い、請求項1に
    記載のデバイス。
  22. 【請求項22】アノードと、カソードと、その間にはさ
    まれた有機領域とを含む有機エレクトロルミネセンス・
    デバイスであって、前記アノードが、 −金属層と −障壁層と −アノード改質層とを含み、 前記アノード改質層が前記有機領域と接触し、前記カソ
    ードにより光が放出されるように前記アノードが配置さ
    れ、前記障壁層は、電荷が前記金属層および前記アノー
    ド改質層とのその界面を自由に通過できるようにしなが
    ら、物理的化学的障壁を形成することにより、前記アノ
    ード改質層を前記金属層から隔離し、前記障壁層がNi層
    とNiOx層を含み、前記アノード改質層がV2O5を含むこと
    を特徴とする、有機エレクトロルミネセンス・デバイ
    ス。
  23. 【請求項23】請求項1による少なくとも1つのデバイ
    スを含み、前記デバイスが基板上に形成されるディスプ
    レイまたはアレイ。
  24. 【請求項24】前記基板がシリコン基板である、請求項
    23に記載のディスプレイ。
  25. 【請求項25】回路が前記基板内に統合される、請求項
    24に記載のディスプレイ。
  26. 【請求項26】前記回路が前記デバイスを駆動するよう
    に設計される、請求項25に記載のディスプレイ。
  27. 【請求項27】前記アノードがパターン化される、請求
    項23に記載のディスプレイ。
  28. 【請求項28】アノードと、カソードと、その間にはさ
    まれた有機領域とを含む請求項1に記載の有機エレクト
    ロルミネセンス・デバイスを作成するための方法であっ
    て、前記方法が、 −金属層と、前記金属層上に位置する障壁層と、前記障
    壁層上に位置するアノード改質層とを形成することによ
    り、前記有機領域およびカソードの形成の前に前記アノ
    ードを構築するステップを含み、 前記アノード改質層が前記有機領域と接触し、前記カソ
    ードにより光が放出されるように前記アノードが配置さ
    れている方法。
  29. 【請求項29】酸化物が前記アノード改質層として機能
    し、前記酸化物が前記障壁層の表面を酸化することによ
    って形成される、請求項28に記載の方法。
  30. 【請求項30】前記アノード改質層が、前記障壁層上に
    それを付着することによって形成される、請求項28に記
    載の方法。
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