JP2013165068A - 上面発光型発光素子及びその製造方法 - Google Patents

上面発光型発光素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】漏れ電流のない安定した発光効率を維持できる上面発光型の発光素子の製造方法及び発光素子を提供する。
【解決手段】本発明の上面発光型発光素子は、基板上に設けられた下部電極と、下部電極上に設けられた少なくとも発光層を有する有機層と、有機層上に設けられた光透過性上部電極と、下部電極と有機層との間に設けられ、開口を有すると共に下部電極の周縁を覆う絶縁層とを備え、下部電極は、基板上に設けられた金属材料層と、金属材料層上に設けられると共に、金属材料層を構成する金属材料の酸化物のうち有機層よりも導電性が高い材料からなり、金属材料層の表面粗さを緩和する緩衝薄膜層との積層構造を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は上面発光型発光素子およびその製造方法に関し、電極間に発光層を挟持してなる上面発光型発光素子及びその製造方法に関する。
自発光型の素子(以下、発光素子と記す)である有機エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)素子は、陽極と陰極との間に、有機発光層を含む有機膜を挟持してなる。図4は、このような発光素子の一例を示す断面構成図である。この図に示す発光素子は、基板101上に金属材料から成る下部電極102が陽極として形成されており、この下部電極102上に有機正孔輸送層103、有機正孔輸送層104及び有機発光層105等を順次積層してなる有機層106が設けられている。そして、この有機層106の上部に光透過性を有する金属材料薄膜からなる上部電極107が陰極として形成され、さらに、陰極となる上部電極107の抵抗を下げるための透明導電膜108が形成されている。
このような構成の発光素子は、有機発光層105で生じた発光光が、金属材料からなる下部電極102で反射し、基板101と反対側の上部電極107側から取り出される、いわゆる「上面発光型」の表示素子となる(例えば、特許文献1参照)。
また、このような構成の発光素子を製造するには、スパッタ法、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法などの様々な方法から適宜選択された方法によって、基板101上に金属材料層を形成し、この金属材料層をパターニングすることによって下部電極102を形成する。その後、蒸着マスク上から各有機層103〜105材料、上部電極107材料、さらには透明導電膜108材料を順次蒸着し、これによって有機層106及び上部電極107、さらには透明導電層108をパターン形成する。
特開2001−29159号公報
ところが、上述したような表示素子及びその製造方法には、次のような課題があった。すなわち、スパッタ法、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法などの何れの成膜方法で成膜された金属材料層とも、その結晶構造が多結晶構造になることが多い。このため、図5の拡大断面図に示すように、この金属材料層をパターニングして形成された下部電極102は、透明陽極材料として形成されるITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)程ではないにしても、その表面荒さが大きく、表面に突起を有するものになる。
これにより、この下部電極102上に設けられる有機層106は、突起の部分だけ局部的に膜厚が薄くなるため、この有機層106を挟んで設けられる下部電極102と上部電極107との距離dが局所的に短くなり、この部分に電界が集中して漏れ電流が発生する。
この漏れ電流は、発光素子の発光には寄与しない電流であり、漏れ電流の発生によって発光素子の発光効率が低下する。そして、さらに漏れ電流が極度に集中した場合には、その部分で下部電極102と上部電極107とが短絡して発光素子が発光しなくなり、有機ELディスプレイにおいて、いわゆるダークスポットとよばれる非発光点を生じる要因になる。
このような漏れ電流の発生を防止するために、図6に示すように、酸化クロムのような成膜表面が平坦に形成される導電性材料によって下部電極102'を構成することも考えられている。しかし、このような導電性材料は、酸化物からなるものであるため、光反射率が小さく光を透過させるため、有機層106の発光層105で生じたて下部電極102'に達した光hの一部が、この導電性材料からなる下部電極102'から基板101側に吸収される。したがって、上部電極107側から取り出される光hの量が減少し、発光効率の低下を招くことになる。
本発明はかかる問題点を鑑みてなされたもので、漏れ電流のない安定した発光効率を維持できる上面発光型発光素子及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上面発光型発光素子は、基板上に設けられた下部電極と、下部電極上に設けられた少なくとも発光層を有する有機層と、有機層上に設けられた光透過性上部電極と、下部電極と有機層との間に設けられ、開口を有すると共に下部電極の周縁を覆う絶縁層とを備え、下部電極が、基板上に設けられた金属材料層と、金属材料層上に設けられると共に、金属材料層の表面粗さを緩和する緩衝薄膜層との積層構造からなることを特徴としている。緩衝薄膜層は、金属材料層を構成する金属材料の酸化物のうち有機層よりも導電性の高い材料か、またはクロムの酸化物からなることとする。
また、本発明の上面発光型発光素子の製造方法は、基板上に下部電極を形成し、この下部電極上に重ねる状態で発光層を備えた有機層を形成し、下部電極との間に発光層を挟持する状態で基板の上方に光透過性上部電極を形成する上面発光型発光素子の製造方法において、基板上に形成した金属膜上に緩衝薄膜を形成した後、これらの金属膜及び金属材料層の表面粗さを緩和する緩衝薄膜をパターニングすることで、金属材料層と緩衝薄膜層とを積層させた下部電極を形成する工程と、下部電極上に開口を有すると共に下部電極の周縁を覆う絶縁層を形成する工程とを含むものである。ここで、金属材料層の表面粗さを緩和する緩衝薄膜は、金属膜を構成する金属材料の酸化物のうち有機層よりも導電性の高い材料か、またはクロムの酸化物からなることとする。
このような上面発光型発光素子及び製造方法では、下部電極の表面層が、下地の金属材料層とを構成する金属の酸化物のうち有機層よりも導電性の高い材料、またはクロムの酸化物からなる緩衝薄膜層で構成されている。ここで通常、多結晶構造として表面粗さが粗く成膜される金属膜に対して、この金属膜を構成する金属材料の酸化膜の方が、その表面粗さが小さく成膜される。また、クロムの酸化物からなる緩衝薄膜であれば、下地の金属膜によらず、この金属膜よりも表面粗さが小さく成膜される。以上に加えて、金属材料層を構成する金属の酸化物のうち有機層よりも導電性の高い材料や、酸化物の中でも導電性の高いクロムの酸化物で緩衝薄膜層を構成することで、この緩衝薄膜層が下部電極として機能するようになる。したがって、表面層を構成する緩衝薄膜層によって金属材料層の表面粗さが緩和された下部電極と、有機層を介してこの下部電極上に設けられる光透過性上部電極との間隔の面内均一性が確保される。
本発明の上面発光型発光素子及びその製造方法によれば、金属材料層の表面の面粗さを緩衝薄膜層によって緩和した下部電極を設けることで、有機層を介して設けられた下部電極と光透過性上部電極との間隔の面内均一性を確保することが可能になり、局部的な電界集中を防止して、漏れ電流の発生及びダークスポットの発生を抑え、安定した発光効率を維持できる上面発光型の発光素子を得ることが可能になる。
本実施形態の発光素子及びその製造方法を示す断面工程図である。 実施形態の製造方法によって得られる第1の発光素子の断面図である。 実施形態の製造方法によって得られる第2の発光素子の断面図である。 従来の発光素子の断面図である。 従来の発光素子の課題を説明するための拡大断面図である。 従来の発光素子の他の例を示す断面図である。
以下、本発明の表示装置及びその製造方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における上面発光型の発光素子の製造を説明するための断面図工程図であり、この図を用いて本実施形態の発光素子の構成をその製造工程順に説明する。
まず、図1(1)に示すように、石英ガラス等からなる基板1を洗浄した後、この基板1上に、金属膜2を形成する。ここでは、例えばクロム(Cr)膜等のように仕事関数が高く、陽極として用いられる金属膜2をスパッタリング法によって形成する。この際、例えば、スパッタリングガスにアルゴン(Ar)を用いて成膜雰囲気内のガス圧力を0.2Pa程度に保ち、DC出力を300Wに設定して成膜を行い、200nm程度の膜厚のCr膜(金属膜)2を形成する。
尚、仕事関数の高い金属膜2としては、Crの他に、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)等からなるものであっても良い。
以上のようにして得られた金属膜2は、その材質及び成膜方法に関わらず結晶構造が多結晶構造となり、その表面荒さが大きく表面に突起を有するものになる。
そして、この金属膜2の形成に引き続き、本発明の特徴となる緩衝薄膜3の形成を行う。この緩衝薄膜3は、金属膜2を構成する金属材料の酸化膜であるか、またはCrの酸化膜であることとする。だたし、この緩衝薄膜3は、金属膜2と共に下部電極の一部を構成するものとなるため、この緩衝薄膜3が金属膜2を構成する金属材料の酸化膜である場合には、以降の工程で形成する有機層よりも導電性が高い必要があり、そのなかでもできるだけ導電性の高い材料であることが好ましい。そこでここでは、金属膜2上に、クロムの酸化物からなる緩衝薄膜3を形成することとする。またこの際、基板1を大気にさらすことなく、金属膜2の形成を行ったと同一のチャンバ内にて緩衝薄膜3の形成を行うことが好ましい。
そこで例えば、スパッタリングガスとしてアルゴンガス(Ar)と酸素ガス(O2)とを用いたスパッタリング法によって緩衝薄膜3を形成することとする。この場合、Ar:O2 =1:1の分圧としてスパッタリングガスとし、成膜雰囲気内のガス圧力を0.3Pa程度に保ち、DC出力を300Wに設定した成膜を行うことで、酸化クロム(CrO2)からなる緩衝薄膜3を所定の膜厚(ここでは例えば10nm)で形成する。膜厚は、成膜時間によって制御される。尚、酸化クロムの組成は、CrO2に限定されることはなく、成膜条件を適宜調整することで他の組成の酸化クロム(例えばCr23)としても良い。
また、緩衝薄膜3の形成は、熱酸化法によって行っても良い。この場合、例えば酸素雰囲気中にて350℃の熱処理を行い、酸化クロム(Cr23)からなる緩衝薄膜3を所定の膜厚(ここでは例えば8nm)で形成する。膜厚は熱処理時間によって制御される。この場合も、スパッタリング法と同様に、熱処理条件を適宜調整することで他の組成の酸化クロム(例えばCrO2)としても良い。
以上、酸化クロムからなる緩衝薄膜3を形成する場合を例示したが、その他の緩衝薄膜3として適する材料、すなわち良好な導電性を示す金属酸化物としては、酸化モリブデン(MoO2、MoO5)、酸化ニッケル(NiO)等を挙げることができる。これらの材料からなる緩衝薄膜3は、酸化クロムを用いた場合と同様に、所定の条件でスパッタガスに酸素を追加したスパッタリング法によって形成するとが可能である。
ここで、緩衝薄膜3の膜厚は、緩衝薄膜3の屈折率と緩衝薄膜3の導電性、さらにはこの発光素子が設けられる表示装置の表示特性に対する要求に基づいて設計されることとする。
すなわち、表示装置の表示特性として輝度の確保を優先したい場合には、緩衝薄膜3の膜厚は、金属膜2の表面粗さを吸収できる範囲でできるだけ薄い膜厚(例えば10nm前後)に設定される。一方、表示装置の表示特性としてコントラストの確保を優先したい場合には、緩衝薄膜3の膜厚は、以降の工程において金属膜2をパターニングして形成される金属下部電極からの正孔注入効率に影響のない範囲で厚めの膜厚(例えば100nmまたは100nm以上)に設定される。
次に、以上のように設定された膜厚を有する緩衝薄膜3上に、リソグラフィー技術によって、ここでの図示を省略したレジストパターンを形成する。そして、このレジストパターンをマスクに用いて緩衝薄膜3と金属膜2とをエッチングする。この際、例えば、エッチング液としてETCH−1(三洋化成工業社製、商品名)を用いたウェットエッチングを行い、これによって高精度かつ再現性良く緩衝薄膜3と金属膜2とをパターニングする。そして、金属膜2をパターニングしてなる金属材料層2aと、緩衝薄膜3をパターニングしてなる緩衝薄膜層3との積層構造からなる下部電極4を形成する。この下部電極4は、陽極となる。
ここでは、この発光素子を用いて構成される表示装置が単純マトリックス方式の表示装置である場合には、下部電極4は、例えば図中奥行き方向に配列されたストライプ形状に形成されることとする。一方、この表示装置が、アクティブマトリックス方式の表示装置である場合には、下部電極4は、ここでの図示を省略した薄膜トランジスタに接続された状態で各画素形状に形成されることとする。
次に、図1(2)に示すように、基板1上に、下部電極4に達する開口部5aを備えた絶縁層5を形成する。ここでは、例えばスパッタリング法によって酸化シリコン(Si02)膜を600nmの厚みに成膜した後、リソグラフィー法によって形成したレジストパターンをマスクに用いて酸化シリコン膜をウェットエッチングし、これによって酸化シリコン膜に開口部5aを設けて成る絶縁層5を形成する。酸化シリコン膜のウェットエッチングに用いるエッチャング液は、HF(フッ酸)とNH4F(フッ化アンモニウム)との混合水溶液を用いることとする。
この絶縁層5は、下部電極4の周縁を覆う状態で形成されることとする。また、この絶縁層5は、酸化シリコンからなるものに限定されることはなく、また成膜方法及び開口部を形成するためのエッチング方法も、上述したスパッタリング法やウェットエッチングに限定されることはない。
尚、この絶縁層5は、下部電極4と、後に形成される光透過性上部電極とを確実に絶縁するためのものであるため、この発光素子を用いて構成される表示装置の構成によって、下部電極4と光透過性上部電極との絶縁性が図られる場合には必要不可欠なものではない。
次いで、図1(3)に示すように、下部電極4上に有機層6、及び光透過性上部電極7を形成する。ここでは、真空蒸着装置を用いた蒸着成膜によって有機層6及び光透過性上部電極7を形成するとする。そこで、基板1上にここでの図示を省略した蒸着マスクを載置し、この蒸着マスク上からの有機層材料及び上部電極材料を順次蒸着成膜する。そして、絶縁層5の開口部5a底部を確実に覆うように、このため絶縁層5の開口縁部分に周縁部が重なるように、有機層6及び光透過性上部電極7を形成する。
先ず、有機層6として、正孔注入層6aとなる4,4,4媒-トリス(3-メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)を30nm蒸着し、正孔輸送層6bとなるビス(N-ナフチル)-N-フェニルベンジジン(α−NPD)を20nm蒸着し、発光層6cとなる8キノリノールアルミニウム錯体(Alq3)50nm蒸着する。その後、光透過性上部電極7として、仕事関数が低く、陰極として用いられる光透過性材料を蒸着する。ここでは、例えば、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)との合金層を、MgとAgとの成膜速度の比をMg:Ag=9:1として10nmの膜厚で蒸着する。
この際、有機層6を構成する各材料を0.2gずつ、Mgを0.1g、Agを0.4g、それぞれ抵抗加熱用のボートに充填し、各ボートを真空蒸着装置の所定の電極に取り付ける。そして、蒸着マスクが載置された基板1を真空蒸着装置のチャンバ内に収納し、このチャンバ内の圧力を1.0×10-4Paにまで減圧した後、各ボートに電圧を印加した状態で順次加熱して蒸着させる。
ここで、蒸着マスクは、例えばストライプ状の開口部を有し、この開口部が絶縁層5の開口部5a上に重ね合わされ、かつ開口部内に絶縁層5の開口部5aが確実に収められるように、基板1の上方に設けられる。ここでは、蒸着マスクの開口部が金属下部電極2と直行するように、この蒸着マスクが用いられることとする。
以上の後、図1(4)に示すように、光透過性上部電極7の上部に、この光透過性上部電極7の抵抗を下げるための透明導電膜8を形成する。この際、蒸着マスクを設けた状態の基板1を、別のチャンバ内に移動させ、スパッタリング法によって透明導電膜8の形成を行う。この透明導電膜としては、例えば室温成膜で良好な導電性を示すインジウムと亜鉛との酸化物(In−Zn−O)系の透明導電膜を、200nmの膜厚で形成することとする。成膜条件の一例としては、スパッタリングガスとしてアルゴン(Ar)と酸素(O2 )との混合ガス(体積比Ar:O2=1000:5)を用い、チャンバ内圧力0.3Pa、DC電力40Wに設定する。
尚、この透明導電膜8は、光透過性上部電極7の抵抗を下げるために設けるものであり、光透過性上部電極7が光透過性を保てる範囲で低抵抗値を確保できる限りにおいては設ける必要はない。
また、この発光素子を用いて構成される表示装置がアクティブマトリックス方式の表示装置である場合には、光透過性上部電極7及び透明導電膜8は、パターニングされている必要はなくベタ膜として形成されたものであっても良い。この場合、有機層6を形成した後、基板1上から蒸着マスクを取り外した状態で光透過性上部電極7及び透明導電膜8の蒸着を行うこととする。
以上のようにして、金属材料層2a上にクロムの酸化物からなる緩衝薄膜層3aを積層してなる下部電極4上に、有機層6及び光透過性上部電極7、さらには透明導電膜8を設けてなる発光素子10が得られる。
このようにして形成された発光素子10は、陰極として設けられた光透過性上部電極7から注入された電子と、陽極として設けられた下部電極から注入された正孔とが有機層6における発光層6cで再結合することによって発光が生じ、この発光光が光透過性上部電極7側から取り出される、いわゆる上面発光型となる。
この発光素子10においては、下部電極4の構成を、クロムからなる金属材料層2a上にクロムの酸化物からなる緩衝薄膜層3aを積層した二層構造としている。ここで通常は、多結晶構造として成膜される金属膜2よりも、この金属膜2を構成する金属材料の酸化膜の方が、その表面状態がより滑らかに成膜される。特に、クロムの酸化物は、電極として用いたられるどの金属材料膜よりもその表面粗さを小さく保って成膜される。
しかも、金属材料層2aを構成する金属の酸化物のうち有機層よりも導電性の高い材料や、特に酸化物の中でも導電性の高いクロムの酸化物によって緩衝薄膜層3aを構成することで、この緩衝薄膜層3aが下部電極として機能するようになる。
このため、表面層を構成する緩衝薄膜層3aによって、金属材料層2aの表面の面粗さが緩和された下部電極4が構成されることになる。したがって、この下部電極4と、有機層6を介してこの下部電極4上に設けられた光透過性上部電極7との間隔の面内均一性が確保される。
この結果、下部電極4と光透過性上部電極7との間に電界集中箇所が発生し難くなり、漏れ電流の発生を防止することが可能になると共に、極度の電界集中によるダークスポットの発生を防止することが可能になり、安定した発光効率を維持できる上面発光型の発光素子を得ることが可能になる。
特にクロムの酸化物からなる緩衝薄膜層3aのように、導電性の高い酸化物で緩衝薄膜層3aを構成することで、金属材料層2a表面の突起部への電界緩和を図る効果が大きくなる。しかも、ある程度の厚みで形成した場合であっても、金属材料層2aから有機層6への正孔の注入量を維持することができるため、発光効率を確保することもできる。また、金属材料層2aを構成する金属材料の酸化物からなる緩衝薄膜層3aであれば、その製造工程において金属膜2の成膜ガス(スパッタリングガス)に酸素を添加するといった、工程の追加のみで緩衝薄膜3を形成することができる。したがって、工程数の増加を最小限に抑えることができる。
またここで、図2に示すように、下部電極4を構成する緩衝薄膜層3aをできるだけ薄く形成した場合には、発光層6cにおいて生じた発光光hが、酸化物からなる緩衝薄膜層3aで吸収される量を低く抑えることができる。このため、光透過性上部電極7側からの発光効率を確保することができ、輝度の高い発光素子を得ることができる。
一方、図3に示すように、下部電極4を構成する緩衝薄膜層3aを厚めに形成した場合には、発光層6cにおいて生じた発光光hが、酸化物からなる緩衝薄膜層3aにおいてある程度吸収されるため、光透過性上部電極7側からの発光効率がやや低下するものの、この緩衝薄膜層3aによって光透過性上部電極7側から入射される外光h1の反射を防止できる。したがって、コントラストの良好な発光素子を得ることができる。
次に、上記実施形態のようにして得られた発光素子1、発光素子2及び従来の構成の発光素子3、発光素子4に関する評価結果を示す。各発光素子1〜4の構成は次に示すように、下部電極の構成のみが異なり、他の構成は実施形態によって例示したと同様であることとする。
発光素子1…クロム層上にスパッタリング法によって成膜した酸化クロム(CrO2)からなる緩衝薄膜(10nm)を積層した下部電極。
発光素子2…クロム層上に熱酸化法によって成膜した酸化クロム(Cr23)からなる緩衝薄膜(8nm)を積層した下部電極。
発光素子3…ITO単層下部電極。
発光素子4…クロム単層下部電極。
以上の構成の発光素子1〜4を、発光エリア4mm2として各40個作製し、上部電極と上部電極との間の短絡発生数、及び電圧80V印加時の電流及び輝度を測定した。輝度の測定は、上部電極側から行った。測定結果は、下記表1に示すようである。
Figure 2013165068
表1に示すように、実施形態の発光素子1,2は、従来の発光素子3,4と比較して、いずれも短絡の発生数が少なく緩衝薄膜層を設けたことによって金属材料層の表面粗さが緩和され、電界の集中が防止されていることが確認された。また、実施形態の発光素子1,2は、金属材料層上に緩衝薄膜層を設けているものの、従来の発光素子3,4と同程度の電流量を維持できており、しかも、光透過性上部電極側からの発光効率の良好な従来の発光素子4と同程度の輝度を確保できていることが確認された。
尚、上述した実施形態においては、下部電極4を陽極とし、光透過性上部電極7を陰極とした場合を説明した。しかし、本発明は下部電極4を陰極とし、光透過性上部電極7を陽極とした構成であっても同様に適用可能であり、同様の効果を得ることができる。ただし、下部電極4及び光透過性上部電極7の材質、さらには有機層6の構成及びその積層順は、適宜選択されることとする。また、この場合であっても、下部電極4の表面層を構成する緩衝薄膜層は、できるだけ導電性の高い材料を用いることが好ましい。
1…基板、2…金属膜、2a…金属材料層、3…緩衝薄膜、3a…緩衝薄膜層、4…下部電極、6…有機層、6c…発光層、7…光透過性上部電極、10…発光素子

Claims (6)

  1. 基板上に設けられた下部電極と、前記下部電極上に設けられた少なくとも発光層を有する有機層と、前記有機層上に設けられた光透過性上部電極と、前記下部電極と前記有機層との間に設けられ、開口を有すると共に前記下部電極の周縁を覆う絶縁層とを備え、
    前記下部電極は、
    前記基板上に設けられた金属材料層と、
    前記金属材料層上に設けられると共に、前記金属材料層を構成する金属材料の酸化物のうち前記有機層よりも導電性が高い材料からなり、前記金属材料層の表面粗さを緩和する緩衝薄膜層との積層構造を有する
    上面発光型発光素子。
  2. 基板上に設けられた下部電極と、前記下部電極上に設けられた少なくとも発光層を有する有機層と、当該有機層上に設けられた光透過性上部電極と、前記下部電極と前記有機層との間に設けられ、開口を有すると共に前記下部電極の周縁を覆う絶縁層とを備え、
    前記下部電極は、
    前記基板上に設けられた金属材料層と、
    前記金属材料層上に設けられると共に、前記金属材料層上に設けられたクロムの酸化物からなり、前記金属材料層の表面粗さを緩和する緩衝薄膜層との積層構造を有する
    上面発光型発光素子。
  3. 前記上部電極は2層構造を有する、請求項1または請求項2に記載の上面発光型発光素子。
  4. 基板上に下部電極を形成し、前記下部電極上に重ねる状態で発光層を備えた有機層を形成し、前記下部電極との間に前記発光層を挟持する状態で前記基板の上方に光透過性上部電極を形成する上面発光型発光素子の製造方法において、
    前記基板上に形成した金属膜上に当該金属膜を構成する金属材料の酸化物のうち前記有機層よりも導電性が高い材料からなる緩衝薄膜を形成した後、これらの金属膜及び金属材料層の表面粗さを緩和する緩衝薄膜をパターニングすることで、金属材料層と緩衝薄膜層との積層構造からなる下部電極を形成する工程と、
    前記下部電極上に開口を有すると共に、前記下部電極の周縁を覆う絶縁層を形成する工程と
    を含む上面発光型発光素子の製造方法。
  5. 前記緩衝薄膜を形成する工程は、所定のガスの供給による前記金属膜の形成に連続させて、当該所定のガスに酸素ガスを添加して行われる、請求項4に記載の上面発光型発光素子の製造方法。
  6. 基板上に下部電極を形成し、前記下部電極上に重ねる状態で発光層を備えた有機層を形成し、前記下部電極との間に前記発光層を挟持する状態で前記基板の上方に光透過性上部電極を形成する上面発光型発光素子の製造方法において、
    前記基板上に形成した金属膜上にクロムの酸化物からなる緩衝薄膜を形成した後、これらの金属膜及び金属材料層の表面粗さを緩和する緩衝薄膜をパターニングすることで、金属材料層と緩衝薄膜層との積層構造からなる下部電極を形成する工程と、
    前記下部電極上に開口を有すると共に、前記下部電極の周縁を覆う絶縁層を形成する工程と
    を含む上面発光型発光素子の製造方法。
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