JP2000502091A - 5―ホルミルチアゾールを製造するための改良法 - Google Patents
5―ホルミルチアゾールを製造するための改良法Info
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Abstract
(57)【要約】
5−ホルミルチアゾールは、式(II)[式中、Rは、水素、アルカリ金属もしくは等価のアルカリ土類金属を表し、そしてXは、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素を表す]の2−ハロゲンーマロンージアルデヒド化合物とチオホルムアミドとの、水5重量%未満(全反応混合液に対して)の存在下での反応によって、有利に製造される。
Description
【発明の詳細な説明】
5−ホルミルチアゾールを製造するための改良法
本発明は、2−ハロゲノマロンジアルデヒド化合物およびチオホルムアミドか
ら5−ホルミルチアゾールを製造するための改良法に関する。
5−ホルミルチアゾールは、作物保護剤を製造するための中間体(欧州特許出
願公開第0 395 174号、参照)および薬物学的活性化合物を製造するために使用
される5−ヒドロキシメチルチアゾールを製造するための出発材料(欧州特許出
願公開第0 486 948号、参照)である。
欧州特許出願公開第0 395 174号によれば、5−ホルミルチアゾールは、最初
に、2−ブロモマロンジアルデヒドとチオ尿素とを反応させて、2−アミノ−5
−ホルミルチアゾール臭化水素酸塩を生成させ、次いで、この化合物からアミノ
基を切断することによって製造される。2−アミノ−5−ホルミルチアゾール臭
化水素酸塩を生成する反応は良好な収量をもたらす;しかしながら、アミノ基の
切断は、理論量のわずか34.8%の収量をもたらすだけである。クロロマロン
ジアルデヒドとチオ尿素から2−アミノ−5−ホルミルチアゾールを製造する方
法は、J.Med.Chem.12,374(1968)に記述されていて、粗生成物は、収率32〜
42%で得られる。
さらに、ハロゲノマロンジアルデヒドを、チオカルボキサミドと反応させて、
5−ホルミルチアゾールを生成する方法も開示されている(ドイツ特許出願公開
第1 182 234号、参照)。非置換5−ホルミルチアゾールの製造の特定の場合(
ドイツ特許出願公開第1 182 234号の実施例
10、参照)では、反応は水溶液中で実施され、そして5−ホルミルチアゾール
が得られるが、その量は、明記されていない。追試では、収量は、わずかに理論
量の3.2%であることが示されている(比較実施例1、参照)。
また、原則として、理論量の80〜90%の収量が、チオ尿素を用いるチアゾ
ールの合成において可能であるが、一方、チオカルボキサミドを使用する場合に
は、収量は理論量のわずか15〜40%であることが知られている(J.Gen.Ch
em.(engl.)29,2294〜2299(1959)、特に、2298頁の2−アミノ−5−ア
セチル−、2−アミノ−5−プロピオニル−、5−アセチル−および2−フェニ
ル−5−アセチル−チアゾールについての製造工程、参照)。
かくして、当業者は、チアゾール合成の有利な方法を探究する場合には、一般
に、チオカルボキサミドよりもチオ尿素を好むであろう。
ここに、本発明は、式
の5−ホルミルチアゾールを製造する方法であって、式
[式中、Rは、水素、アルカリ金属もしくは等価のアルカリ土類金属を表し、そ
して
Xは、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素を表す]
の2−ハロゲノマロンジアルデヒド化合物を、水5重量%未満(反応混合液に基
づいて)の存在下で、式
のチオホルムアミドと反応させることを特徴とする方法を提供する。
好ましくは、Rがアルカリ金属を表し、そして/またはXが塩素もしくは臭素
を表す、式(II)の2−ハロゲノマロンジアルデヒド化合物が用いられる。特
に好ましくは、クロロマロンジアルデヒドナトリウムおよびブロモマロンジアル
デヒドナトリウムが用いられる。式(II)の化合物は既知であり、そしてそれ
らは、既知の方法か、または同様の方法で製造することができる(例えば、J.0
rg.Chem.28,3245 (1963)および本特許出願の実施例1、参照)。
また、チオホルムアミドは既知であり、そして例えば、シアン化水素および硫
化水素から(例えば、ドイツ特許第22 62 167号、参照)か、またはP4S10を用
いるホルムアミドの硫化によって(例えば、J,Am.Chem.Soc.75,4456(1953)
または論文R.Gerner,University of Mainz(1984)、参照)得ることができる。
P4S10を用いる硫化においては、テトラヒドロフラン中、例えば濃度5〜10
重量%の粗チオホルムアミド溶液が得られる。チオホルムアミドは、好ましくは
、そのような粗溶液として使用される。もちろんまた、より濃厚なチオホルムア
ミド溶液か、または単離され、そして適当であれば精製されたチオホルムアミド
を使用することも可能である(また、本特許出願の実施例2、参照)。
本発明による方法では、式(II)の化合物およびチオホルムアミドは、例え
ば、モル比1:0.9〜1:1.25において使用することができる。好ましく
は、この比は、範囲1:1〜1:1.1内にある。
本発明による方法は、溶媒の存在下で実施される。適切な溶媒は、例えば、エ
ーテル類、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびメチルtert
−ブチルエーテル、アルコール類、エステル類、ニトリル類、例えばアセトニト
リル、塩素化炭化水素類、カルボン酸類、例えばギ酸、酢酸およびプロピオン酸
、アミン類、およびこれらの溶媒の混合液である。溶媒の添加は、例えば、チオ
ホルムアミドの溶液、特にテトラヒドロフラン中のそれらの溶液の形で実施でき
る。また、溶媒をそれだけで、反応混合液中に添加することも可能である。
R=アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属である式(II)の化合物が用い
られる場合には、反応は、好ましくは、カルボン酸の添加、特にギ酸もしくは酢
酸の添加により実施される。この場合には、例えば、式(II)の化合物1モル
当たりカルボン酸1〜5モルを用いることができる。
さらにまた、カルボン酸を使用する場合には、例えば同じカルボン酸のアルカ
リ金属塩の添加によってこれらを緩衝化するのが得策である。この目的のために
は、例えば、カルボン酸1モル当たりアルカリ金属塩0.2〜5モルが使用でき
る。ここでは、好ましくは、ギ酸とギ酸ナトリウム、および酢酸と酢酸ナトリウ
ムが使用される。
本発明による方法の本質的特徴は、本方法が、水5重量%未満(全反応混合液
に基づいて)の存在下で実施されることである。可能な限りの水含量、例えば含
量0.01重量%未満(全反応混合液に基づいて)ま
で減少するのが得策である。しかしながら、水を完全に除去することは、しばし
ば、もはや経済的に成り立たない高い費用を要する。それ故、乾燥形であること
を要するが、完全には無水である必要はない補助剤および試薬を用いるのが得策
である。かくして、例えば、使用前に乾燥することによって式(II)の化合物
から、水を除去するのが、特に得策である。同様に、使用されるチオホルムアミ
ドまたはその溶液は、実質的に、水不含でなければならない。もし、ギ酸が使用
される場合には、これは、例えば、水0.3〜4重量%を含有してもよい。
本発明による方法は、例えば、温度範囲−20〜+80℃において実施するこ
とができる。好ましくは、温度0〜+65℃である。
本発明による方法が実施された後に存在する反応混合液は、例えば、固形成分
を、例えば濾過によって分離することによって精製することができる。次いで、
存在する粗溶液が濃縮され、そして濃縮液が、必要であれば中和され、そして適
切な溶媒、例えばジクロロメタンにより抽出される。抽出液の濃縮と結晶化の後
、5−ホルミルチアゾールが、純度、例えば90%またはそれ以上で得られるか
、または蒸留によって、純度、例えば98%以上で得られる。ある場合には、製
造された5−ホルミルチアゾールを単離、精製する必要はない。本発明による反
応の後、存在する反応混合液は、例えば、直接、5−ヒドロキシメチルチアゾー
ルへの還元のために用いられ、そして単離および精製は、後に、5−ヒドロキシ
メチルチアゾール段階において実施することができる。
本発明の特に好適な実施態様は、ギ酸/ギ酸ナトリウムまたは酢酸/酢酸ナト
リウム中のクロロマロンジアルデヒドナトリウムと、場合によってはテトラヒド
ロフランに溶解されているチオホルムアミドとを、反応
混合液中0.5〜2重量%の存在下で反応させることを含む。これは、一般に、
理論量の65〜85%の範囲内の5−ホルミルチアゾール反応収量をもたらす。
次いで、単離される収量は、例えば理論量の55〜80%の範囲内であろう。
最初に記述された先行技術に比べて、本発明による方法が、そのような有利な
結果を生じることは、非常に驚くべきことである。
実施例 実施例1
出発材料クロロマロンジアルデヒドナトリウムの製造(本発明によらない)
3−ジメチルアミノクロロアクロレインを、1当量の水酸化ナトリウム水溶液
とともに、1時間70℃で加熱した。冷却後、その混合液を濾過し、そしてエタ
ノールで洗浄した。これにより、クロロマロンジアルデヒドナトリウム三水和物
を得た。これを、乾燥キャビネット中で100℃、300mbarで1時間乾燥
した。1
H NMR(d−DMSO):8.6ppm(s)。
実施例2
出発材料チオホルムアミドの製造(本発明によらない)
ホルムアミド338gをテトラヒドロフラン3.4 1に溶解し、そしてP4
S10373gを0〜8℃で添加した。混合液を0〜3℃で3時間撹拌し、次いで
、0℃で一夜放置し、濾過し、そして濾過ケーキをテトラヒドロフランで洗浄し
た。これにより、チオホルムアミド含量5.7〜6.6重量%(GC)をもつ濾
液約2800gを得た(チオホルムアミドA)。
得られる粗溶液を、30℃でテトラヒドロフランを溜去することによって濃縮
し、溶液は均質で残った(チオホルムアミドB)。
残留しているテトラヒドロフランを溜去し、ジエチルエーテルを添加し、そし
て混合液を濾過、濃縮して、含量92〜96重量%をもつチオホルムアミドを得
た(チオホルムアミドC)。1
H NMR(d−DMSO):9.22ppm(q,1H),9〜10ppm
(br,d,2H)。実施例3
実施例1の方法によって得られたクロロマロンジアルデヒドナトリウム50g
、およびギ酸ナトリウム26.3gを、最初に、ギ酸400mlに添加し、そし
て40℃において、実施例2の方法によって得られた含量6.5重量%のチオホ
ルムアミドA420gを滴下した。反応混合液は、水1.3重量%を含有した。
60℃で1時間後、固形物を濾別した。次いで、存在する混合液は、1H NM
Rによれば、理論量の79.7%に相当する量の5−ホルミルチアゾールを含有
した。
この粗溶液を、薄層エバポレーターを用いて弱い減圧下で濃縮し、そして濃縮
液を塩化メチレンで抽出した。濃縮後、理論量の71%に相当する含量73.5
重量%をもつ5−ホルミルチアゾール41.4gを得た。
70℃/5mbarにおけるVigreuxカラムによる蒸留の結果、含量9
8.5%をもつ5−ホルミルチアゾールを得た。1
H NMR(CDCl3):8.52ppm(s,1H),9.11ppm(s
,1H),10.12ppm(s,1H)。融点:15℃。
実施例4
実施例1の方法によって得られたクロロマロンジアルデヒドナトリウム20g
、および酢酸ナトリウム12.7gを、最初に、氷酢酸150mlに添加した。
50℃において、実施例2の方法によって得られた含量95重量%のチオホルム
アミドC11gを滴下した。反応混合液は、水1.0重量%を含有した。混合液
を、60℃で1時間撹拌し、濾別し、そしてロータリーエバポレーターを用いて
濃縮した。残渣は、理論量の67%の5−ホルミルチアゾールを含有した。
実施例5
クロロマロンジアルデヒドナトリウム27.7gおよびギ酸ナトリウム10.
6gを、最初に、ギ酸150mlに添加し、そして40℃において、実施例2の
方法によって得られた含量6.78重量%のチオホルムアミドA140gを滴下
した。反応混合液は、水3.5重量%を含有した。濃縮およびKugelroh
r蒸留により、理論量の58%の収量において5−ホルミルチアゾールを得た。実施例6
実施例1の方法によって得られたクロロマロンジアルデヒドナトリウム20g
、およびギ酸ナトリウム10.6gを、最初に、ギ酸50mlに添加し、そして
40℃において、チオホルムアミド(実施例2の方法によって得られたチオホル
ムアミドB、含量:15.6重量%)の濃厚粗溶液73gを添加した。混合液を
、60℃で2時間撹拌し、濾別し、そして濃縮し、そして残渣を水酸化ナトリウ
ム水溶液で中和した。塩化メチレンでの抽出により、理論量の68%の収量で5
−ホルミルチアゾールを得た。
実施例7
ブロモマロンジアルデヒドナトリウム3.44gおよびギ酸ナトリウム1.3
6gを、最初に、ギ酸30mlに添加し、そして0〜5℃において、実施例2の
方法によって得られたチオホルムアミドC、含量:94重量%の1.22gを1
回に少量づつ添加した。反応混合液は、水1.5重量%を含有した。混合液を、
5〜8℃で16時間撹拌し、次いで、実施例6の方法によって精製した。5−ホ
ルミルチアゾールを、理論量の38.3%の収量で単離した。
実施例8
実施例2の方法によって得られた含量:94重量%のチオホルムアミドC11
.7g、およびヒドロキノン0.5gを、最初に、アセトニトリル400ml中
に添加し、そしてアセトニトリル200ml中ブロモマロンジアルデヒド24.
4gの溶液を、20℃において滴下した。25℃で1時間、そして40℃でさら
に1時間撹拌後、混合液を濃縮して、水含量20.3重量%をもつ5−ホルミル
チアゾール臭化水素酸塩33.3gを得たが、これは理論量の37.4%に相当
した。
比較実施例1
反応を、ドイツ特許出願公開第1 182 234号の実施例10に記載のように、す
なわち約水75重量%を含有する反応混合液を用いて正確に実施した。エーテル
の蒸発により濃度44.3重量%の5−ホルミルチアゾール1.1gを得たが、
これは、理論量の3.2%に相当した。蒸留は実施しなかった。実施例9
クロロマロンジアルデヒドナトリウム131gおよびギ酸ナトリウム68gを
、最初に、ギ酸1 l中に添加し、そして40℃において、メ
チルtert−ブチルエーテル中チオホルムアミド濃度10.5重量%溶液65
0gを滴下した。混合液を、60℃で1時間撹拌し、次いで、ロータリーエバポ
レーターを用いて濃縮し、そして残渣を水500ml、
濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、次いで、水相を、ジクロロメタンで4回抽出
し、そしてジクロロメタン相を一緒に合わせた。次いで、それらをロータリーエ
バポレーターを用いて濃縮し、続いて、残渣をVigreuxカラムで蒸留した
。これにより、濃度98.5重量%の5−ホルミルチアゾール79.3gを得た
。
実施例10
酢酸エチル中濃度8.5%重量%のチオホルムアミド790gが用いられた以
外は、反応を実施例9の方法を用いて実施した。1H NMR分光法による反応
混合液の試験では、反応混合液が、理論量の83%の収量に対応する量の5−ホ
ルミルチアゾールを含有することが示された。
実施例11
酢酸ブチル中濃度10.0%重量%のチオホルムアミド702gが用いられた
以外は、実施例10を繰り返し、そして5−ホルミルチアゾールを、理論量の8
1.9%の収量で得た。
実施例12
クロロマロンジアルデヒドカリウム(水和物ではない)が、水酸化カリウム水
溶液を用いて製造され、次いで、それを、実施例3に記載の方法を用いて5−ホ
ルミルチアゾールに転化した以外は、実施例1を繰り返した。5−ホルミルチア
ゾールを理論量の67%の収量で得た。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
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Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. 式 の5−ホルミルチアゾールを製造する方法であって、式 [式中、Rは、水素、アルカリ金属もしくは等価のアルカリ土類金属を表し、そ して Xは、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素を表す] の2−ハロゲノマロンジアルデヒド化合物を、水5重量%未満(全反応混合液に 基づいて)の存在下で、チオホルムアミドと反応させることを特徴とする方法。 2. 式(II)において、Rがアルカリ金属を表し、そしてXが塩素もしく は臭素を表すことを特徴とする、請求の範囲1記載の方法。 3. チオホルムアミドが、ホルムアミドとP4S10からのチオホルムアミド 製造において得られるような、テトラヒドロフランの粗溶液の形で使用されるこ とを特徴とする、請求の範囲1および2記載の方法。 4. 式(II)の化合物およびチオホルムアミドが、モル比1:0.9〜1 :1.25において使用されることを特徴とする、請求の範囲1〜3記載の方法 。 5. 方法が、溶媒の存在下で実施されることを特徴とする、請求の 範囲1〜4記載の方法。 6. R=アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属である式(II)の化合物 が使用され、そして反応がカルボン酸の添加により実施されることを特徴とする 、請求の範囲1〜5記載の方法。 7. 付加的に、アルカリ金属塩が緩衝化のために使用されることを特徴とす る、請求の範囲6記載の方法。 8. 方法が、ギ酸とギ酸ナトリウムの存在下か、または酢酸と酢酸ナトリウ ムの存在下で実施されることを特徴とする、請求の範囲1〜7記載の方法。 9. 反応混合液が、水0.01重量%未満を含有することを特徴とする、請 求の範囲1〜8記載の方法。 10.方法が、温度範囲−20〜+80℃において実施されることを特徴とす る、請求の範囲1〜9記載の方法。
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