JP4115543B2 - 含フッ素フタロニトリル誘導体の製造方法 - Google Patents
含フッ素フタロニトリル誘導体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光学材料、配線基板材料、感光材料及び液晶材料等の中間原料として有用な含フッ素フタロニトリル誘導体の製造方法に関する。詳しくは、下記一般式(II)
【0002】
【化4】
【0003】
(式中、X及びYはそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表し、Rは
【0004】
【化5】
【0005】
を表す。)で表される含フッ素フタロニトリル誘導体の製造方法である。
【0006】
【従来の技術】
従来、前記一般式(II)で表される含フッ素フタロニトリル誘導体の中で、例えば、1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼンの製造方法として以下の方法が知られている。
【0007】
まず、特開平5−1148号には、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルと2,3,5,6−テトラフルオロハイドロキノンを、ジメチルホルムアルデヒド中トリエチルアミンの存在下で反応する方法、及び3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルと2,3,5,6−テトラフルオロハイドロキノンの二ナトリウム塩をジメチルホルムアルデヒド中反応する方法が記載されているが、目的物の収率が41〜54%とかなり低く工業的に実施した場合に問題がある。
【0008】
また、特開平6−16615号には、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルと2,3,5,6−テトラフルオロハイドロキノン等の求核置換体を、有機溶媒中塩基性物質の存在下で反応させて含フッ素フタロニトリル誘導体を製造する方法において、反応終了後の反応生成液から目的物を精製分離する方法として、
(A)塩基性物質としてアルカリ金属のフッ化物又はアルカリ土類金属のフッ化物を用いた場合、反応溶液を濾過して塩基性物質とその塩を濾過した後、濾液を蒸発乾固し、さらに未反応の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルを蒸留により分離することにより含フッ素フタロニトリル誘導体を得る方法、及び(B)塩基性物質として第三級アミンを用いた場合、反応溶液から反応溶媒を蒸留分離した後、反応生成物を酢酸エチル等の溶媒に溶解させ、水でその溶液の洗浄を行った後、溶媒と未反応の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルを蒸留により分離することにより含フッ素フタロニトリル誘導体を得る方法
が記載されている。
【0009】
しかし、上記(A)の方法で実施例で用いられているアセトニトリルを溶媒とした場合、溶媒に塩基性物質とその塩が一部溶解しており、濾液中に少量の塩基性物質とその塩が残存する。そこから得られる含フッ素フタロニトリル誘導体を各種の用途に用いる場合、目的によってはフッ酸が発生し腐食の原因となる。従って、腐食防止のためさらに塩基性物質とその塩を除去しようとした場合、含フッ素フタロニトリル誘導体を酢酸エチル等の水に難溶性の溶媒に溶解した後、水洗するといった工程が必要となり、含フッ素フタロニトリル誘導体を精製分離することが非常に煩雑であるという問題を有している。
【0010】
また、上記(B)の方法では、反応終了後の反応生成液から反応溶媒を蒸留分離する工程があり、含フッ素フタロニトリル誘導体を精製分離することが非常に煩雑であるという問題を有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルと前記一般式(I)で表される求核置換体を、有機溶媒中塩基性物質の存在下で反応させて前記前記一般式(II)で表される含フッ素フタロニトリル誘導体を製造する方法において、反応生成液から目的物を精製分離することが煩雑である等の従来技術が有していた問題を解決すべくなされたものであり、工業的で簡便な含フッ素フタロニトリル誘導体の製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルと下記一般式(I)
【0013】
【化6】
【0014】
(式中、X及びYはそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表し、Rは
【0015】
【化7】
【0016】
を表す。)で表される求核置換体を、脂肪酸エステル類およびケトン類からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒中塩基性物質の存在下で反応させて得られた反応生成液に水を添加後有機層分離することを特徴とする下記一般式(II)
【0017】
【化8】
【0018】
(式中、X、Y及びRは前記定義どおりである。)で表される含フッ素フタロニトリル誘導体の製造方法である。
【0019】
本発明によれば、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルと求核置換体を、有機溶媒中塩基性物質の存在下で反応させて含フッ素フタロニトリル誘導体を製造する方法において、反応溶媒として水に難溶性の有機溶媒を用い、反応終了後の反応生成液に水を添加後、有機層を分液することにより、水層から容易に水に可溶性の塩基性物質の除去を行うことができ、含フッ素フタロニトリル誘導体を高収率、高純度で製造することができる。
【0020】
本発明の含フッ素フタロニトリル誘導体の製造方法について更に詳しく説明すると、まず、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルと求核置換体を、水に難溶性の有機溶媒中塩基性物質の存在下で反応させて含フッ素フタロニトリル誘導体を得る。
【0021】
求核置換体と3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルの反応は、下記反応式(A)
【0022】
【化9】
【0023】
(反応式中、X、Y及びRは前記定義どおりである。)に従って進行し、目的の含フッ素フタロニトリル誘導体が得られる。しかし、更に下記反応式(B)
【0024】
【化10】
【0025】
(反応式中、X、Y及びRは前記定義どおりである。)に従って逐次的に反応が進むと、一般式(III )に示す副生成物が生ずる。
【0026】
このため、本発明において用いられる3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルは、求核置換体1モル部に対して、8〜50モル部の範囲で用いることが好ましく、特に15〜30モル部の範囲で用いるのが好ましい。3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルの使用量が少ない場合には、おもに前記副生成物の生成割合が増加し、含フッ素フタロニトリル誘導体の収率及び純度が低下する。一方、使用量が多い場合には、未反応の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルの精製方法が煩雑になり、また、生産効率が低下するので好ましくない。
【0027】
反応形態としては、塩基性物質を含んだ3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル溶液中に、前記求核置換体の溶液を滴下する方法で行うことが好ましい。その方法により、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルが常に過剰の状態を保つことができ、一般式(III )に示す副生成物を抑制できる。
【0028】
本発明で用いられる求核置換体としては、テトラフルオロハイドロキノン、テトラフルオロ−p−ベンゼンジチオール、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル、4,4’−ジメルカプト−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル等が挙げられる。
【0029】
本発明で得られる含フッ素フタロニトリル誘導体としては、1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2、5、6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェニルチオ)テトラフルオロベンゼン、4,4’−ビス(3,4−ジシアノ2,5,6−トリフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェニルチオ)オクタフルオロビフェニル等が挙げられる。
【0030】
本発明で用いられる水に難溶性の有機溶媒は、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル、求核置換体及び含フッ素フタロニトリル誘導体に対して不活性であり、かつ水に難溶性であれば特に限定されるものではないが、20℃で該有機溶媒に対する水の溶解度が15重量%以下のものが好ましく、特に10重量%以下のものが好ましい。また、反応終了後の有機溶媒の留去を容易にするために、有機溶媒の沸点は常圧で250℃以下であることが好ましく、特に150℃以下であることが好ましい。
【0031】
具体的には、脂肪酸エステル類、ケトン類及びベンゾニトリル類からなる群から選ばれた少なくとも一種を用いるのが好ましく、特に脂肪酸エステル及びケトン類からなる群から選ばれた少なくとも一種を用いるのが好ましい。例えば、脂肪酸エステルとしては酢酸エチル、酢酸イソプロピル等、ケトン類としてはメチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等、ベンゾニトリル類としてはベンゾニトリル等が挙げられる。これらの有機溶媒を用いることにより、塩基性物質とその塩を水洗工程のみで容易に除去することが可能となる。
【0032】
反応液中での3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルと求核置換体を合わせた濃度は、5〜45重量%であることが好ましく、特に10〜35重量%が好ましい。これより低濃度では生産効率が低下し、高濃度では出発原料が溶解せず反応速度が低下する。
【0033】
本発明で用いられる塩基性物質としては、水に可溶であり、しかも反応を阻害しないものであれば特に制限されるものではなく、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等のアルカリ金属のフッ化物、又はトリメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン等が挙げられる。これらの中では、アルカリ金属のフッ化物を用いることが好ましく、特にフッ化カリウムを用いることが好ましい。塩基性物質の使用量は、前記求核置換体に対して2倍モル以上、好ましくは2〜3倍モルがよい。
【0034】
反応温度は、−5〜150℃の範囲で行うのが好ましく、特に40〜100℃の範囲で行うのが好ましい。反応温度が低温度である場合には生産効率が低下し、高温度である場合には反応の制御が困難になり好ましくない。
【0035】
反応時間は、使用する水に難溶性の有機溶媒、反応温度等により異なるが、通常1〜26時間の範囲で行うのが好ましい。
【0036】
次に、反応終了後、反応生成液に水を添加し有機層と水層に分液することで反応に使用した塩基性物質を水層から除去する。このときの洗浄回数は、反応に使用する有機溶媒の種類と量、洗浄する水の量、蒸発乾固後に含フッ素フタロニトリル誘導体中で許容される塩基性物質とその塩の量などにより決まるが、通常は含フッ素フタロニトリル誘導体が含有する有機物中に残存する塩基性物質とその塩がフッ素イオン濃度として100ppm以下、特に30ppm以下になるように操作するのが好ましい。
【0037】
その後、有機層から反応溶媒を留去し、さらに、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルを蒸留により留去することで、含フッ素フタロニトリル誘導体を得ることができる。また、得られた含フッ素フタロニトリル誘導体は、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶等公知の手段により容易に高純度に精製することができる。
【0038】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
[実施例1]
撹拌装置、冷却還流管、温度計、滴下装置を備えた300ml四つ口フラスコに3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル44.0g(0.22モル)(テトラフルオロハイドロキノンに対し20倍モル使用)、フッ化カリウム1.4g(0.024モル)、酢酸エチル130gを加え還流温度まで加熱した。その後滴下装置より、テトラフルオロハイドロキノン2.0g(0.011モル)を酢酸エチル20gに溶解させた溶液を1時間で滴下した。その後さらに還流温度で8時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水100mlで有機層を洗浄した。その後、有機層を蒸発乾固し、さらに未反応の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルを蒸留により除去することで、1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼンの粗製品5.9gを得た(対テトラフルオロハイドロキノン粗収率99モル%)。また、得られた化合物の純度は、液体クロマトグラフィーにより測定した結果95%であった。得られた化合物をカラムクロマトにより精製し、純度99%の1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼンを得た。精製した化合物の物性値は下記の通りである。
【0040】
[実施例2]
実施例1と同様の装置を用い、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル33.0g(0.17モル)(テトラフルオロハイドロキノンに対し15倍モル使用)、フッ化カリウム1.4g(0.024モル)、酢酸イソプロピル100gを加え還流温度まで加熱した。その後滴下装置より、テトラフルオロハイドロキノン2.0g(0.011モル)を酢酸イソプロピル20gに溶解させた溶液を1時間で滴下した。その後さらに還流温度で8時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水50mlで有機層を2回洗浄した。その後、有機層を蒸発乾固し、さらに未反応の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルを蒸留により除去することで、1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼンの粗製品5.6gを得た(対テトラフルオロハイドロキノン粗収率94モル%)。得られた化合物の純度は、液体クロマトグラフィーにより測定した結果93%であった。得られた化合物をカラムクロマトにより精製し、純度99%の1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼンを得た。
【0041】
[実施例3]
実施例1と同様の装置を用い、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル44.0g(0.22モル)(テトラフルオロハイドロキノンに対し20倍モル使用)、フッ化カリウム1.4g(0.024モル)、メチルイソプロピルケトン100gを加え還流温度まで加熱した。その後滴下装置より、テトラフルオロハイドロキノン2.0g(0.011モル)をメチルイソプロピルケトン20gに溶解させた溶液を1時間で滴下した。その後さらに還流温度で6時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水30mlで有機層を3回洗浄した。その後、有機層を蒸発乾固し、さらに未反応の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルを蒸留により除去することで、1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼンの粗製品5.8gを得た(対テトラフルオロハイドロキノン粗収率97モル%)。また、得られた化合物の純度は、液体クロマトグラフィーにより測定した結果95%であった。得られた化合物をカラムクロマトにより精製し、純度99%の1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼンを得た。
【0042】
[実施例4]
実施例1と同様の装置を用い、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル44.0g(0.22モル)(テトラフルオロハイドロキノンに対し20倍モル使用)、フッ化カリウム1.4g(0.024モル)、メチルイソブチルケトン100gを加え100℃まで加熱した。その後滴下装置より、テトラフルオロハイドロキノン2.0g(0.011モル)をメチルイソプロピルケトン20gに溶解させた溶液を1時間で滴下した。その後さらに100℃で6時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水50mlで有機層を2回洗浄した。その後、有機層を蒸発乾固し、さらに未反応の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルを蒸留により除去することで、1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼンの粗製品5.7gを得た(対テトラフルオロハイドロキノン粗収率96モル%)。また、得られた化合物の純度は、液体クロマトグラフィーにより測定した結果95%であった。得られた化合物をカラムクロマトにより精製し、純度99%の1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼンを得た。
【0043】
[実施例5]
実施例1と同様の装置を用い、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル44.0g(0.22モル)(テトラフルオロハイドロキノンに対し20倍モル使用)、フッ化カリウム1.4g(0.024モル)、ベンゾニトリル150gを加え80℃まで加熱した。その後滴下装置より、テトラフルオロハイドロキノン2.0g(0.011モル)をベンゾニトリル30gに溶解させた溶液を1時間で滴下した。その後さらに80℃で8時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水50mlで有機層を2回洗浄した。その後、有機層を蒸発乾固し、さらに未反応の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルを蒸留により除去することで、1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼンの粗製品5.7gを得た(対テトラフルオロハイドロキノン粗収率96モル%)。また、得られた化合物の純度は、液体クロマトグラフィーにより測定した結果94%であった。得られた化合物をカラムクロマトにより精製し、純度99%の1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼンを得た。
【0044】
[実施例6]
実施例1と同様の装置を用い、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル37.4g(0.19モル)(テトラフルオロ−p−ベンゼンジチオールに対し20倍モル使用)、フッ化カリウム1.2g(0.021モル)、酢酸エチル120gを加え還流温度まで加熱した。その後滴下装置より、テトラフルオロ−p−ベンゼンジチオール2.0g(0.009モル)を酢酸エチル20gに溶解させた溶液を1時間で滴下した。その後さらに還流温度で8時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水50mlで有機層を2回洗浄した。その後、有機層を蒸発乾固し、さらに未反応の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルを蒸留により除去することで、1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼンの粗製品5.0gを得た(対テトラフルオロ−p−ベンゼンジチオール粗収率93モル%)。また、得られた化合物の純度は、液体クロマトグラフィーにより測定した結果95%であった。得られた化合物をカラムクロマトにより精製し、純度99%の1,4−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼンを得た。精製した化合物の物性値は下記の通りである。
【0045】
[実施例7]
実施例1と同様の装置を用い、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル24.2g(0.12モル)(4,4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニールに対し20倍モル使用)、フッ化カリウム0.77g(0.013モル)、メチルイソブチルケトン100gを加え還流温度まで加熱した。その後滴下装置より、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル2.0g(0.006モル)をメチルイソブチルケトン20gに溶解させた溶液を1時間で滴下した。その後さらに還流温度で6時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水50mlで有機層を2回洗浄した。その後、有機層を蒸発乾固し、さらに未反応の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルを蒸留により除去することで、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニルの粗製品4.1gを得た(対4,4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル粗収率98モル%)。また、得られた化合物の純度は、液体クロマトグラフィーにより測定した結果94%であった。得られた化合物をカラムクロマトにより精製し、純度99%の4,4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニルを得た。精製した化合物の物性値は下記の通りである。
【0046】
[実施例8]
実施例1と同様の装置を用い、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル22.1g(0.11モル)(4,4’−ジメルカプト−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニルに対し20倍モル使用)、フッ化カリウム0.77g(0.013モル)、酢酸イソプロピル120gを加え還流温度まで加熱した。その後滴下装置より、4,4’−ジメルカプト−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル2.0g(0.006モル)を酢酸イソプロピル20gに溶解させた溶液を1時間で滴下した。その後さらに還流温度で8時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水50mlで有機層を2回洗浄した。その後、有機層を蒸発乾固し、さらに未反応の3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルを蒸留により除去することで、4,4’−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェニルチオ)オクタフルオロビフェニルの粗製品3.8gを得た(対4,4’−ジメルカプト−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル粗収率95モル%)。また、得られた化合物の純度は、液体クロマトグラフィーにより測定した結果94%であった。得られた化合物をカラムクロマトにより精製し、純度99%の4,4’−ビス(3,4−ジシアノ−2,5,6−トリフルオロフェニルチオ)オクタフルオロビフェニルを得た。精製した化合物の物性値は下記の通りである。
【0047】
【0048】
【発明の効果】
本発明の含フッ素フタロニトリル誘導体の製造方法によれば、求核置換体(I)と3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルを反応する際、水に可溶の塩基性物質と水に難溶性の有機溶媒を組み合わせて使用することによって、反応終了後、そのまま水洗浄を行うことが可能になり、反応生成液から容易にフッ化水素酸の塩を除去することができる。本発明により得られた含フッ素フタロニトリル誘導体の収率は94%以上と高く、また純度も粗製品で93〜95%であり、引き続きカラムクロマトグラフィーにより精製することにより99%以上の高純度の含フッ素フタロニトリル誘導体を得ることができる。
【0049】
得られた含フッ素フタロニトリル誘導体は、光学材料、配線基板材料、感光材料及び液晶材料等の中間原料として有用であり、特に光学材料、配線基板材料として用いられる含フッ素ポリイミドの中間体として有用である。
Claims (6)
- 塩基性物質がアルカリ金属のフッ化物である請求項1記載の含フッ素フタロニトリル誘導体の製造方法。
- 3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルは、該求核置換体1モル部に対して、8〜50モル部の範囲で使用される請求項1または2に記載の方法。
- 該反応は、該求核置換体の溶液を塩基性物質を含んだ3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル溶液中に滴下して行なわれる請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
- 該水に対する難溶性の有機溶媒は、20℃で該有機溶媒に対する水の溶解度が15重量%以下である請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
- 反応温度は、−5〜150℃の範囲である請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
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