JP3646224B2 - ベンゾイルアセトニトリル誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は一般式(I)
【化4】
〔式中、Rは -C(R1)(R2)-R3(式中、R1及びR2は同一又は異なっても良く、水素原子又は低級アルキル基を示し、R3はシアノ基、-CON(R4)R5(式中、R4及びR5は同一又は異なっても良く、水素原子又は低級アルキル基を示す。)又は-COOR6(式中、R6は水素原子又は低級アルキル基を示す。)を示す。)を示す。〕
で表されるベンゾイルアセトニトリル誘導体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ベンゾイルアセトニトリル類は種々の医薬、農薬、化学品を製造する際の中間体として使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明のベンゾイルアセトニトリル誘導体は文献未記載の新規化合物で、医薬、農薬、化学品等の中間体として有用な化合物である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の一般式(I) で表されるベンゾイルアセトニトリル誘導体の製造方法は以下に図示する方法により例示することができる。
【化5】
〔式中、R及びXは前記に同じ。〕
一般式(II)で表される化合物を塩基、酸又は無機塩の存在下又は不存在下、不活性溶媒の存在下又は不存在下にシアノ化剤と反応させることにより目的物であるベンゾイルアセトニトリル類を製造することができる。
【0005】
本反応で使用できる不活性溶媒としては本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えば水、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル等のアルコ−ル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ−テル類、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル等のグリコ−ル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、ピリジン、ピコリン、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンテトラアミド、ヘキサメチルホスホロアミド、N,N’−ジメチルイミダゾリノン等を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で若しくは混合して使用することができる。
【0006】
本反応で使用するシアノ化剤としては、例えばシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化カルシウム、シアン化銅、アンモニウムシアニド、トリエチルアンモニウムシアニド、テトラブチルアンモニウムシアニド、アセトシアンヒドリン等のシアン化剤を挙げることができ、その使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から選択することができ、好ましくは等モル乃至5倍モルの範囲である。
【0007】
本反応で塩基を使用する場合に使用できる塩基としては無機塩基又は有機塩基を使用することができ、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等の無機塩基、エチルアミン、t−ブチルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の第二級アミン類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチル−n−オクチルアミン、トリエタノ−ルアミン、N−メチルピペリジン、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン等の第三級アミン類、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、2,6−ルチジン、ピリジン等の芳香族アミン類等を例示することができ、これらの塩基の使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用することができるが、塩基を使用しなくても良い。
【0008】
本反応で使用できる酸としては、例えば塩酸、硫酸等の鉱酸類及び酢酸等の有機酸を使用することができ、その使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から選択すれば良く、好ましくは等モル乃至4倍モルの範囲であるが、同時に使用するシアノ化剤を過剰に使用した場合、該シアノ化剤の使用量より一当量程度少なく使用するのが良い。
本反応で使用できる無機塩としては、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、沃化ナトリウム、沃化カリウム等を使用することができ、その使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用することができる。
反応温度は−20℃〜150℃の範囲から選択して反応すれば良く、好ましくは0℃〜60℃の範囲である。
反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至100時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系をそのまま又は塩酸等の鉱酸で酸性として常法、例えば濾過、溶媒抽出等により単離し、必要に応じて再結晶等により精製することにより目的物を製造することができる。
【0009】
本発明の一般式(II)で表される化合物は、例えば下記に図示する方法により製造することができる。
【化6】
(式中、R及びXは前記に同じ。)
【0010】
構造式(VII) で表されるp-フルオロフェノ−ルと一般式(VI)で表されるハライド類とを反応させて一般式(V) で表される化合物とし、該化合物(V) を選択的に塩素化して一般式(III) で表される化合物とするか、構造式(VII) で表されるp-フルオロフェノ−ルを選択的に塩素化して一般式(IV)で表される化合物とし、該化合物(IV)と一般式(VI)で表されるハライド類とを反応させて一般式(III) で表される化合物とし、該化合物(III) をフリ−デルクラフト反応することにより一般式(II)で表される化合物を製造することができる。
【0011】
【実施例】
以下に本発明の代表的な実施例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミドの製造
【化7】
シアン化ナトリウム2.63g(53.7ミリモル)を25mlの水に溶解した溶液に(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド5.0g(17.9ミリモル)を加え懸濁液とし、該懸濁液に30〜40℃でエタノ−ル25mlを10分かけて滴下し、滴下終了後50℃で1時間反応を行った。
反応終了後、反応系を冷却して水25mlを加え、6規定塩酸を加えて酸性とし、析出した結晶を濾集して減圧下に乾燥させることにより目的物を淡褐色結晶として4.6g得た。
物性 m.p.206−207℃ 収率95%
【0012】
実施例2 (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトニトリルの製造
2−1
【化8】
(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトニトリル0.5g(1.91ミリモル)をジオキサン5mlに溶解し、該溶液に攪拌下に水5mlに溶解したシアン化ナトリウム0.28g(5.72ミリモル)を加え室温下に3時間反応を行った。
反応終了後、反応液を水中に注ぎ、希塩酸で酸性とし析出した結晶を濾集、水洗後、減圧乾燥させることにより目的物を淡褐色結晶として0.40g得た。
物性 m.p.133−134℃ 収率82%
【0013】
2−2
(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトニトリル10.0g(38.2ミリモル)をジオキサン60mlに懸濁させ、該懸濁液にシアン化ナトリウム2.24g(45.7ミリモル)及び炭酸ナトリウム4.04g(38.2ミリモル)を水30mlに溶解した溶液を滴下し、滴下終了後に50℃で1時間反応を行った。
反応終了後、反応系より反応溶媒を50ml減圧下に留去し、食塩水50ml、次いで6N塩酸15mlを加えて析出した結晶を濾集して減圧下に乾燥させることにより目的物を黄色結晶として9.10g得た。
物性 m.p.133−134℃ 収率94%
【0014】
実施例3 (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミドの製造
【化9】
3−1
(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド10.0g(35.7ミリモル)をジオキサン50mlに懸濁させ、該懸濁液にシアン化ナトリウム2.63g(53.6ミリモル)及び炭酸ナトリウム3.87g(35.7ミリモル)を水50mlに溶解した溶液を滴下し、滴下終了後に50℃で45分間反応を行った。
反応終了後、反応系より反応溶媒を50ml減圧下に留去し、食塩水50ml、次いで6N塩酸15mlを加えて析出した結晶を濾集して減圧下に乾燥させることにより目的物を淡褐色結晶として9.73g得た。
物性 m.p.206−207℃ 収率100%
【0015】
3−2
シアン化ナトリウム1.3g(26.5ミリモル)を水25mlに溶解し、トリエチルアミン1.8g(17.8ミリモル)、(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド5.0g(17.8ミリモル)及びエタノ−ル25mlを加えて45℃で1時間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応系より反応溶媒を25ml減圧下に留去し、水25mlと6N塩酸10mlを加えて析出した結晶を濾集して減圧下に乾燥させることにより目的物を淡褐色結晶として4.4g得た。
物性 m.p.206−207℃ 収率 91%
【0016】
3−3
シアン化ナトリウム1.1g(21.4ミリモル)を水10mlに溶解し、エタノ−ル10mlを加え、該溶液に濃塩酸0.74g(7.1ミリモル)を滴下して5分間攪拌し、更に(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド2.0g(7.1ミリモル)を加えて室温下に5時間反応を行った。
反応終了後、反応系に水10mlを加え、次いで10%塩酸で酸性として析出した結晶を濾集して減圧下に乾燥させることにより目的物を淡褐色結晶として1.7g得た。
物性 m.p.206−207℃ 収率 88%
【0017】
3−4
(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド1.0g(3.57ミリモル)を水5ml−エタノ−ル10mlの混合溶媒中に加え、該溶媒中にアセトンシアンヒドリン0.46g(5.3ミリモル)及びトリエチルアミン0.90g(8.93ミリモル)を加えて45℃で1時間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応系に水5mlを加え、次いで10%塩酸で酸性として析出した結晶を濾集して減圧下に乾燥させることにより目的物を淡褐色結晶として1.7g得た。
物性 m.p.206−207℃ 収率 88%
【0018】
実施例4 2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸エチルの製造
【化10】
4−1
シアン化ナトリウム0.48g(9.7ミリモル)をアセトアミド10mlに30℃で溶解し、該溶液にトリエチルアミン0.33g(3.2ミリモル)を加え、次いで2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸エチル1g(3.2ミリモル)を加えて30℃で30分間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応液に水10mlを加えて目的物を酢酸エチル(10ml×3)で抽出し、抽出液を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下に溶媒を留去することにより目的物を褐色結晶として得た。
物性 m.p.96.5−97.0℃ 収率 73%
【0019】
4−2
シアン化ナトリウム0.98g(19.9ミリモル)を水10mlに溶解させ、該溶液にエタノ−ル10mlを加え、次いで2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸エチル2g(6.5ミリモル)を加えて50℃で30分間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応液に水50mlを加えて目的物を酢酸エチル(20ml×3)で抽出し、抽出液を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下に溶媒を留去することにより目的物を褐色結晶として得た。
物性 m.p.96.5−97.0℃ 収率 59%
目的物以外に2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロ酢酸も結晶として得た。
物性 m.p.189−191℃ 収率 25%
【0020】
実施例5 2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸の製造
【化11】
シアン化ナトリウム0.26g(5.3ミリモル)を水5mlに30℃で溶解し、該溶液に2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸0.5g(1.8ミリモル)及び炭酸ナトリウム0.19g(1.8ミリモル)を水20mlに溶解させた溶液とを加えて30分間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応液に水10mlを加えて6N−塩酸2mlを加えて酸性とし、析出する結晶を塩化メチレン(10ml×3)で抽出し、抽出液を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下に溶媒を留去することにより目的物を褐色結晶として得た。
物性 m.p.189−191℃ 収率 70%
【0021】
実施例6 2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸イソプロピルの製造
【化12】
シアン化ナトリウム2.27g(46.4ミリモル)を水12.5mlに溶解し、該溶液にエタノ−ル12.5mlを加え、次いで2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸イソプロピル5g(16ミリモル)を加えて40℃で30分間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応液に水50mlを加えて目的物を塩化メチレン(25ml×3)で抽出し、抽出液を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下に溶媒を留去することにより目的物を褐色結晶として得た。
物性 m.p.87−88℃ 収率 55%
【産業上の利用分野】
本発明は一般式(I)
【化4】
〔式中、Rは -C(R1)(R2)-R3(式中、R1及びR2は同一又は異なっても良く、水素原子又は低級アルキル基を示し、R3はシアノ基、-CON(R4)R5(式中、R4及びR5は同一又は異なっても良く、水素原子又は低級アルキル基を示す。)又は-COOR6(式中、R6は水素原子又は低級アルキル基を示す。)を示す。)を示す。〕
で表されるベンゾイルアセトニトリル誘導体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ベンゾイルアセトニトリル類は種々の医薬、農薬、化学品を製造する際の中間体として使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明のベンゾイルアセトニトリル誘導体は文献未記載の新規化合物で、医薬、農薬、化学品等の中間体として有用な化合物である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の一般式(I) で表されるベンゾイルアセトニトリル誘導体の製造方法は以下に図示する方法により例示することができる。
【化5】
〔式中、R及びXは前記に同じ。〕
一般式(II)で表される化合物を塩基、酸又は無機塩の存在下又は不存在下、不活性溶媒の存在下又は不存在下にシアノ化剤と反応させることにより目的物であるベンゾイルアセトニトリル類を製造することができる。
【0005】
本反応で使用できる不活性溶媒としては本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えば水、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル等のアルコ−ル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ−テル類、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル等のグリコ−ル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、ピリジン、ピコリン、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンテトラアミド、ヘキサメチルホスホロアミド、N,N’−ジメチルイミダゾリノン等を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で若しくは混合して使用することができる。
【0006】
本反応で使用するシアノ化剤としては、例えばシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化カルシウム、シアン化銅、アンモニウムシアニド、トリエチルアンモニウムシアニド、テトラブチルアンモニウムシアニド、アセトシアンヒドリン等のシアン化剤を挙げることができ、その使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から選択することができ、好ましくは等モル乃至5倍モルの範囲である。
【0007】
本反応で塩基を使用する場合に使用できる塩基としては無機塩基又は有機塩基を使用することができ、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等の無機塩基、エチルアミン、t−ブチルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の第二級アミン類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチル−n−オクチルアミン、トリエタノ−ルアミン、N−メチルピペリジン、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン等の第三級アミン類、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、2,6−ルチジン、ピリジン等の芳香族アミン類等を例示することができ、これらの塩基の使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用することができるが、塩基を使用しなくても良い。
【0008】
本反応で使用できる酸としては、例えば塩酸、硫酸等の鉱酸類及び酢酸等の有機酸を使用することができ、その使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から選択すれば良く、好ましくは等モル乃至4倍モルの範囲であるが、同時に使用するシアノ化剤を過剰に使用した場合、該シアノ化剤の使用量より一当量程度少なく使用するのが良い。
本反応で使用できる無機塩としては、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、沃化ナトリウム、沃化カリウム等を使用することができ、その使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用することができる。
反応温度は−20℃〜150℃の範囲から選択して反応すれば良く、好ましくは0℃〜60℃の範囲である。
反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至100時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系をそのまま又は塩酸等の鉱酸で酸性として常法、例えば濾過、溶媒抽出等により単離し、必要に応じて再結晶等により精製することにより目的物を製造することができる。
【0009】
本発明の一般式(II)で表される化合物は、例えば下記に図示する方法により製造することができる。
【化6】
(式中、R及びXは前記に同じ。)
【0010】
構造式(VII) で表されるp-フルオロフェノ−ルと一般式(VI)で表されるハライド類とを反応させて一般式(V) で表される化合物とし、該化合物(V) を選択的に塩素化して一般式(III) で表される化合物とするか、構造式(VII) で表されるp-フルオロフェノ−ルを選択的に塩素化して一般式(IV)で表される化合物とし、該化合物(IV)と一般式(VI)で表されるハライド類とを反応させて一般式(III) で表される化合物とし、該化合物(III) をフリ−デルクラフト反応することにより一般式(II)で表される化合物を製造することができる。
【0011】
【実施例】
以下に本発明の代表的な実施例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミドの製造
【化7】
シアン化ナトリウム2.63g(53.7ミリモル)を25mlの水に溶解した溶液に(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド5.0g(17.9ミリモル)を加え懸濁液とし、該懸濁液に30〜40℃でエタノ−ル25mlを10分かけて滴下し、滴下終了後50℃で1時間反応を行った。
反応終了後、反応系を冷却して水25mlを加え、6規定塩酸を加えて酸性とし、析出した結晶を濾集して減圧下に乾燥させることにより目的物を淡褐色結晶として4.6g得た。
物性 m.p.206−207℃ 収率95%
【0012】
実施例2 (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトニトリルの製造
2−1
【化8】
(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトニトリル0.5g(1.91ミリモル)をジオキサン5mlに溶解し、該溶液に攪拌下に水5mlに溶解したシアン化ナトリウム0.28g(5.72ミリモル)を加え室温下に3時間反応を行った。
反応終了後、反応液を水中に注ぎ、希塩酸で酸性とし析出した結晶を濾集、水洗後、減圧乾燥させることにより目的物を淡褐色結晶として0.40g得た。
物性 m.p.133−134℃ 収率82%
【0013】
2−2
(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトニトリル10.0g(38.2ミリモル)をジオキサン60mlに懸濁させ、該懸濁液にシアン化ナトリウム2.24g(45.7ミリモル)及び炭酸ナトリウム4.04g(38.2ミリモル)を水30mlに溶解した溶液を滴下し、滴下終了後に50℃で1時間反応を行った。
反応終了後、反応系より反応溶媒を50ml減圧下に留去し、食塩水50ml、次いで6N塩酸15mlを加えて析出した結晶を濾集して減圧下に乾燥させることにより目的物を黄色結晶として9.10g得た。
物性 m.p.133−134℃ 収率94%
【0014】
実施例3 (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミドの製造
【化9】
3−1
(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド10.0g(35.7ミリモル)をジオキサン50mlに懸濁させ、該懸濁液にシアン化ナトリウム2.63g(53.6ミリモル)及び炭酸ナトリウム3.87g(35.7ミリモル)を水50mlに溶解した溶液を滴下し、滴下終了後に50℃で45分間反応を行った。
反応終了後、反応系より反応溶媒を50ml減圧下に留去し、食塩水50ml、次いで6N塩酸15mlを加えて析出した結晶を濾集して減圧下に乾燥させることにより目的物を淡褐色結晶として9.73g得た。
物性 m.p.206−207℃ 収率100%
【0015】
3−2
シアン化ナトリウム1.3g(26.5ミリモル)を水25mlに溶解し、トリエチルアミン1.8g(17.8ミリモル)、(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド5.0g(17.8ミリモル)及びエタノ−ル25mlを加えて45℃で1時間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応系より反応溶媒を25ml減圧下に留去し、水25mlと6N塩酸10mlを加えて析出した結晶を濾集して減圧下に乾燥させることにより目的物を淡褐色結晶として4.4g得た。
物性 m.p.206−207℃ 収率 91%
【0016】
3−3
シアン化ナトリウム1.1g(21.4ミリモル)を水10mlに溶解し、エタノ−ル10mlを加え、該溶液に濃塩酸0.74g(7.1ミリモル)を滴下して5分間攪拌し、更に(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド2.0g(7.1ミリモル)を加えて室温下に5時間反応を行った。
反応終了後、反応系に水10mlを加え、次いで10%塩酸で酸性として析出した結晶を濾集して減圧下に乾燥させることにより目的物を淡褐色結晶として1.7g得た。
物性 m.p.206−207℃ 収率 88%
【0017】
3−4
(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド1.0g(3.57ミリモル)を水5ml−エタノ−ル10mlの混合溶媒中に加え、該溶媒中にアセトンシアンヒドリン0.46g(5.3ミリモル)及びトリエチルアミン0.90g(8.93ミリモル)を加えて45℃で1時間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応系に水5mlを加え、次いで10%塩酸で酸性として析出した結晶を濾集して減圧下に乾燥させることにより目的物を淡褐色結晶として1.7g得た。
物性 m.p.206−207℃ 収率 88%
【0018】
実施例4 2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸エチルの製造
【化10】
4−1
シアン化ナトリウム0.48g(9.7ミリモル)をアセトアミド10mlに30℃で溶解し、該溶液にトリエチルアミン0.33g(3.2ミリモル)を加え、次いで2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸エチル1g(3.2ミリモル)を加えて30℃で30分間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応液に水10mlを加えて目的物を酢酸エチル(10ml×3)で抽出し、抽出液を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下に溶媒を留去することにより目的物を褐色結晶として得た。
物性 m.p.96.5−97.0℃ 収率 73%
【0019】
4−2
シアン化ナトリウム0.98g(19.9ミリモル)を水10mlに溶解させ、該溶液にエタノ−ル10mlを加え、次いで2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸エチル2g(6.5ミリモル)を加えて50℃で30分間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応液に水50mlを加えて目的物を酢酸エチル(20ml×3)で抽出し、抽出液を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下に溶媒を留去することにより目的物を褐色結晶として得た。
物性 m.p.96.5−97.0℃ 収率 59%
目的物以外に2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロ酢酸も結晶として得た。
物性 m.p.189−191℃ 収率 25%
【0020】
実施例5 2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸の製造
【化11】
シアン化ナトリウム0.26g(5.3ミリモル)を水5mlに30℃で溶解し、該溶液に2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸0.5g(1.8ミリモル)及び炭酸ナトリウム0.19g(1.8ミリモル)を水20mlに溶解させた溶液とを加えて30分間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応液に水10mlを加えて6N−塩酸2mlを加えて酸性とし、析出する結晶を塩化メチレン(10ml×3)で抽出し、抽出液を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下に溶媒を留去することにより目的物を褐色結晶として得た。
物性 m.p.189−191℃ 収率 70%
【0021】
実施例6 2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸イソプロピルの製造
【化12】
シアン化ナトリウム2.27g(46.4ミリモル)を水12.5mlに溶解し、該溶液にエタノ−ル12.5mlを加え、次いで2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ酢酸イソプロピル5g(16ミリモル)を加えて40℃で30分間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応液に水50mlを加えて目的物を塩化メチレン(25ml×3)で抽出し、抽出液を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下に溶媒を留去することにより目的物を褐色結晶として得た。
物性 m.p.87−88℃ 収率 55%
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