JP3646225B2 - 芳香族エステル誘導体及びその中間体並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は一般式(I)
【化27】
〔式中、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なっても良く、水素原子又は低級アルキル基を示し、R5' は低級アルキル基を示し、Xは同一又は異なっても良く、ハロゲン原子を示し、mは0〜4の整数を示す。〕
で表される芳香族エステル誘導体及びその中間体並びにそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
芳香族エステル類の製造方法は古くから知られており、例えばSandler and Karo “Organic Functional Group Preparations" Vol.13, p268-281(1972) 等に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は加溶媒分解による芳香族エステル類の製造方法に関して鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させたものであり、本発明の製造方法による芳香族エステル類は医薬、農薬、化学品等の中間体として有用な化合物である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の一般式(I) で表される芳香族エステル誘導体の製造方法は以下に図示する方法により例示することができる。
【化28】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5' 、X 、m 及び Zは前記に同じ。〕
【0005】
1.一般式(V) → 一般式(I)
本反応は一般式(V) で表される化合物を酸性物質の存在下、不活性溶媒の存在下又は不存在下に一般式(IV)で表されるアルコ−ル類と反応させ、次いでpH4以下で加水分解することにより一般式(I) で表される化合物を製造することができる。
【0006】
本反応で使用できる不活性溶媒としては本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジオキサン、ジグリム、スルホラン、酢酸、トリフルオロ酢酸等を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で若しくは混合して使用することができる。
【0007】
本発明で使用する酸性物質としては、例えば塩酸、硫酸、塩化水素ガス、臭化水素ガス、沃化水素ガス等を例示することができ、これらの酸性物質の使用量は一般式(V) で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用すれば良い。
【0008】
一般式(IV)で表されるアルコ−ル類の使用量は一般式(V) で表される化合物に対して等モル以上使用することが好ましい。
反応温度は−20℃〜150℃の範囲から選択して反応すれば良く、好ましくは0℃〜100℃の範囲である。
反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至150時間の範囲から選択すれば良い。
【0009】
加水分解反応は常法に従って行えば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系から常法、例えば溶媒抽出等により単離し、必要に応じて再結晶等により精製することにより目的物を製造することができる。
【0010】
2.一般式(II) → 一般式(I)
本反応は一般式(II)で表される化合物を酸性物質の存在下、不活性溶媒の存在下又は不存在下に一般式(IV)で表されるアルコ−ル類と反応させることにより一般式(I) で表される芳香族エステル類を製造することができる。
本反応で使用できる不活性溶媒、酸性物質としては、例えば1で例示の不活性溶媒、酸性物質を使用することができ、酸性物質の使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用すれば良い。
【0011】
一般式(IV)で表されるアルコ−ル類の使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル以上使用することが好ましいが、これより少なくても良い。
反応温度は−20℃〜150℃の範囲から選択して反応すれば良い。
反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至150時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系から常法により単離することにより一般式(I) で表される芳香族エステル誘導体を製造することができる。
【0012】
3.一般式(III) → 一般式(I)
本反応は一般式(III) で表される化合物を酸性物質の存在下、不活性溶媒の存在下又は不存在下に一般式(IV)で表されるアルコ−ル類と反応させ、次いでpH4以下で加水分解することにより一般式(I) で表される芳香族エステル類を製造することができる。
これらの各反応は1と同様に行うことにより一般式(I) で表される芳香族エステル類を製造することができる。
本反応で得られた一般式(II)で表される化合物は反応終了後に単離し、又は単離せずして次の反応に供することができる。
【0013】
4.一般式(III) → 一般式(II)
本反応は一般式(III) で表される化合物を不活性溶媒の存在下又は不存在下に酸性物質と反応させることにより一般式(II)で表される化合物を製造することができる。
本反応で使用できる不活性溶媒及び酸性物質は、例えば1に記載の不活性溶媒及び酸性物質を使用することができる。
【0014】
反応温度は−20℃〜150℃の範囲から選択して反応すれば良い。
反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至150時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系から常法により単離することにより一般式(II)で表される化合物を製造することができる。
本反応で得られた一般式(II)で表される化合物は単離せずして次の反応に供することができる。
【0015】
5.一般式(III'') → 一般式(II)
本反応は一般式(III'') で表される化合物を不活性溶媒の存在下又は不存在下及び酸性物質の存在下に一般式(IV)で表されるアルコ−ル類と反応させることにより一般式(II)で表される化合物を製造することができる。
本反応で使用できる不活性溶媒及び酸性物質は例えば1に記載の不活性溶媒及び酸性物質を使用することができる。
一般式(IV)で表されるアルコ−ル類の使用量は一般式(III'') で表される化合物に対して等モル以上使用することが好ましい。
【0016】
反応温度は−20℃〜150℃の範囲から選択して反応すれば良い。
反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至150時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系から常法により単離することにより一般式(II)で表される化合物を製造することができる。
本反応で得られた一般式(II)で表される化合物は単離せずして次の反応に供することができる。
【0017】
6.一般式(V'') → 一般式(III)
本反応は一般式(V'') で表される化合物を酸性又は塩基性物質の存在下、不活性溶媒の存在下又は不存在下に一般式(IV)で表されるアルコ−ル類と反応させ、次いでpH4以下で加水分解することにより一般式(III) で表される化合物を製造することができる。
本反応で使用できる不活性溶媒としては、例えば1で使用できる不活性溶媒の他にジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等も使用することができる。
【0018】
酸性物質としては1で例示の酸性物質の他に、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等も使用することができる。
塩基性物質としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子のアルコラ−ト等を使用することができ、本反応では塩基性物質の使用が好ましいが、これに限定されるものではない。
本反応は上記の不活性溶媒及び酸性又は塩基性物質を使用して1と同様にすることにより一般式(III) で表される化合物を製造することができる。
本反応で得られた一般式(III) で表される化合物は反応終了後に単離し、又は単離せずして次の反応に供することができる。
【0019】
7.一般式(V') → 一般式(III)
本反応は一般式(V')で表される化合物を酸性又は塩基性物質の存在下、不活性溶媒の存在下又は不存在下に一般式(IV)で表されるアルコ−ル類と反応させることにより一般式(III) で表される化合物を製造することができる。
本反応で使用できる不活性溶媒、酸性物質及び塩基性物質としては、例えば6で使用できる不活性溶媒、酸性物質及び塩基性物質を使用することができる。
本反応は上記の不活性溶媒及び酸性又は塩基性物質を使用して3と同様にすることにより一般式(III) で表される化合物を製造することができる。
本反応で得られた一般式(III) で表される化合物は反応終了後に単離し、又は単離せずして次の反応に供することができる。
【0020】
8.一般式(V') → 一般式(III'')
本反応は一般式(V')で表される化合物を不活性溶媒の存在下又は不存在下に酸性物質と反応させることにより一般式(III'') で表される化合物を製造することができる。
本反応は4と同様にすることにより一般式(III'') で表される化合物を製造することができる。
本反応で得られた一般式(III'') 又はで表される化合物は反応終了後に単離し、又は単離せずして次の反応に供することができる。
【0021】
一般式(II') 及び(III')で表される化合物でR5が水素原子を示す場合、以下に示す製造方法により製造することができる。
【化29】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5' 、X 及びm は前記に同じくし、Hal はハロゲン原子を示す。但しR5' は低級アルキル基を除く。)
【0022】
一般式(VI') で表される化合物を不活性溶媒の存在下又は不存在下に酸性物質と反応させて一般式(VI'')で表される化合物とし、該化合物(VI'')を単離し、又は単離せずして不活性溶媒の存在下、又は不存在下にシアノ化剤と反応させて一般式(III')で表される化合物とし、該化合物(III')を単離し、又は単離せずして不活性溶媒の存在下、又は不存在下に酸性物質と反応させてることにより一般式(II') で表される化合物を製造することができる。
【0023】
9.一般式(VI') → 一般式(VI'') → 一般式(III')
第一工程では一般式(IV)で表されるアルコ−ル類を使用せずに5と同様にすることにより一般式(VI'')を製造することができる。
第二のシアノ化工程で使用できる不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えば水、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル等のアルコ−ル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ−テル類、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル等のグリコ−ル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、ピリジン、ピコリン、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンテトラアミド、ヘキサメチルホスホロアミド、N,N’−ジメチルイミダゾリノン等を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で若しくは混合して使用することができる。
【0024】
本反応で使用するシアノ化剤としては、例えばシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化カルシウム、シアン化銅、アンモニウムシアニド、トリエチルアンモニウムシアニド、テトラブチルアンモニウムシアニド、アセトシアンヒドリン等のシアン化剤を挙げることができ、その使用量は一般式(VI'')で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から選択することができ、好ましくは等モル乃至5倍モルの範囲である。
【0025】
本反応で塩基を使用する場合に使用できる塩基としては無機塩基又は有機塩基を使用することができ、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等の無機塩基、エチルアミン、t−ブチルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の第二級アミン類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチル−n−オクチルアミン、トリエタノ−ルアミン、N−メチルピペリジン、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン等の第三級アミン類、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、2,6−ルチジン、ピリジン等の芳香族アミン類等を例示することができ、これらの塩基の使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用することができるが、塩基を使用しなくても良い。
【0026】
本反応で使用できる酸としては、例えば塩酸、硫酸等の鉱酸類及び酢酸等の有機酸を使用することができ、その使用量は一般式(VI'')で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から選択すれば良く、好ましくは等モル乃至4倍モルの範囲であるが、同時に使用するシアノ化剤を過剰に使用した場合、該シアノ化剤の使用量より一当量程度少なく使用するのが良い。
本反応で使用できる無機塩としては、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、沃化ナトリウム、沃化カリウム等を使用することができ、その使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用することができる。
【0027】
反応温度は−20℃〜150℃の範囲から選択して反応すれば良く、好ましくは0℃〜60℃の範囲である。
反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至100時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系をそのまま又は塩酸等の鉱酸で酸性として常法、例えば濾過、溶媒抽出等により単離し、必要に応じて再結晶等により精製することにより目的物を製造することができる。
【0028】
10.一般式(III') → 一般式(II')
本反応は4と同様にすることにより一般式(II') で表される化合物を製造することができる。
本発明の一般式(I) で表される芳香族エステル類を製造する際の原料化合物である一般式(V) で表される化合物は、例えば下記に例示する方法により製造することができる。
【0029】
【化30】
〔式中、R1、R2、R3、R4、X 、m 及び Zは前記に同じくし、Hal はハロゲン原子を示し、n は0〜3の整数を示す。〕
【0030】
一般式(XI)で表されるフェノ−ル類と一般式(IX)で表されるハライド類とを反応させて一般式(VIII)で表される化合物とし、該化合物(VIII)を単離し、又は単離せずして選択的ハロゲン化反応を行い一般式(VII) で表される化合物とするか、又は一般式(XI)で表されるフェノ−ル類を選択的にハロゲン化反応を行い一般式(X) で表される化合物とし、該化合物(X) を単離し、又は単離せずして一般式(IX)で表されるハライド類と反応させることにより一般式(VII) で表される化合物とし、該化合物(VII) を単離し、又は単離せずしてフリ−デルクラフト反応することにより一般式(VI)で表される化合物とし、該化合物(VI)を単離し、又は単離せずしてシアノ化することにより一般式(V) で表される化合物を製造することができる。
【0031】
【実施例】
以下に本発明の代表的な実施例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
実施例1. エチル (4−クロロ−5−エトキシカルボニルメトキシ−2−フルオロベンゾイル)アセテ−トの製造
1−1.
【化31】
トルエン40mlに(4−クロロ−5−シアノメトキシ−2−フルオロベンゾイル)アセトニトリル10g(0.04モル)及びエタノ−ル5.5gを加え、該溶液に塩化水素を15〜20℃で4時間(流速40ml/min)通じた後、塩化水素の吹き込みを停止し、更に2時間反応を行った。
その後、10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて40〜50℃で2時間反応を行った。
反応終了後、目的物を含む反応液を分液し、水層に更にトルエン40mlを加えて目的物を抽出し、先に分液した有機層と合わせて水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去して得られた粗結晶をエ−テル/n−ヘキサンより再結晶することにより褐色結晶として目的物13.5gを得た。
物性 m.p.40.0〜41.5℃ 収率 98.5%
【0033】
1−2.
【化32】
(2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド1.0g(0.0037モル)をエタノ−ル1.7gをトルエン4mlに加え、該溶液に塩化水素ガスを通じながら40〜50℃で3.5時間反応を行い、その後水40mlを加えて同温度で1時間反応を行った。
反応終了後、目的物を含む反応液を分液し、水層に更にトルエン40mlを加えて目的物を抽出し、先に分液した有機層と合わせて水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去して1.2gの褐色油状物を得た。
得られた褐色油状物をカラムクロマトグラフィ−で精製することにより目的物0.53gを得た。
収率 41%
【0034】
1−3.
【化33】
エタノ−ル10mlにエチル (5−カルバモイルアセチル−2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)アセテ−ト2g(6.3ミリモル)及び濃硫酸1.2g(12.6ミリモル)を加えて加熱還流下に1.5時間反応を行った。
反応終了後、反応混合物を氷水中に注ぎ、目的物をエ−テルで抽出し、水洗及び無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮することにより残渣を1.9g得た。
得られた残渣をカラムクロマトグラフィ−で精製することにより0.8gの目的物を得た。
収率 37%
【0035】
1−4.
【化34】
エチル (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセテ−ト5.0g(0.017モル)及びエタノ−ル0.8gをトルエン10ml中に加え、該溶液に塩化水素ガスを15〜20℃で3時間(流速20ml/min)を通じた後、塩化水素ガスの吹き込みを停止して同温度で20時間反応を行った。
【0036】
その後、トルエン10ml及び水20mlを加えて40〜50℃で2時間反応を行った。
反応終了後、目的物を含む反応液を分液し、水層に更にトルエン20mlを加えて目的物を抽出し、先に分液した有機層と合わせて水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去して得られた粗結晶をエ−テル/n−ヘキサンから再結晶することにより目的物を褐色結晶として5.5g得た。
物性 m.p.40.0〜41.5℃ 収率93.6%
【0037】
実施例2. エチル (5−カルバモイルアセチル−2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)アセテ−トの製造
【化35】
100mlの三角フラスコにエチル (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセテ−ト20g(66.7ミリモル)を入れ、濃硫酸50mlを加えて水浴上で一晩攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応液を氷水中に激しく攪拌下に注ぎ、析出した結晶を濾集して水洗し、乾燥することにより目的物19.9gを得た。
物性 m.p.125.0−126.5℃ 収率 94%
【0038】
実施例3. エチル (5−カルバモイルアセチル−2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)アセテ−ト及びエチル (4−クロロ−5−エトキシカルボニルメトキシ−2−フルオロベンゾイル)アセテ−トエチルの製造
【化36】
(5−カルバモイルメトキシ−4−クロロ−2−フルオロベンゾイル)アセトアミド5g(0.017モル)をエタノ−ル20mlに懸濁させ、該懸濁液に濃硫酸2.5gを加えて2時間加熱還流して反応を行った。
反応終了後、反応液を冷却してトルエン30ml及び飽和食塩水30mlを加えて目的物を抽出した。
【0039】
抽出液から析出する結晶を濾集して水洗し、乾燥することによりエチル (5−カルバモイルアセチル−2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)アセテ−ト1.7gを得た。
物性 m.p.125.0−126.5℃ 収率31%
更に濾液を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィ−で精製することによりエチル (4−クロロ−5−エトキシカルボニルメトキシ−2−フルオロベンゾイル)アセテ−ト2.2gを得た。
物性 m.p.40.0〜41.5℃ 収率 37%
【0040】
実施例4. エチル (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセテ−トの製造
【化37】
4−1.
エタノ−ル100ml中に塩化水素ガスを通じて飽和させた溶液にN−メチルピロリドン50mlに(4−クロロ−5−シアノメトキシ−2−フルオロベンゾイル)アセトニトリル20g(0.079モル)を溶解させた溶液を滴下して室温で2時間反応を行った。
その後、反応溶液を500mlの氷水に注ぎ目的物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗及び無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下に留去して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:2)で精製することにより目的物を淡黄色結晶として19.8g得た。
物性 m.p. 83.5〜85.5℃ 収率 84%
【0041】
4−2.
【化38】
2mlのエタノ−ルにナトリウム90mg(3.9ミリモル)を加え、更に(4−クロロ−5−シアノメトキシ−2−フルオロベンゾイル)アセトニトリル0.5g(2.0ミリモル)を加えて室温下に3時間反応を行った。
反応終了後、反応液を氷水中に注ぎ、塩酸酸性とした後、目的物を酢酸エチルで抽出した。
抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去することにより目的物を0.5g得た。
物性 m.p. 83.5〜85.5℃ 収率 84%
【0042】
4−3.
【化39】
100mlのエタノ−ル中に(2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド10g(0.037モル)及び5.4gの濃硫酸を加えて加熱還流下に2.5時間反応を行った。
その後、反応混合物を減圧下に濃縮し200mlの氷水に注ぎ、目的物を酢酸エチル(150ml×2)で抽出し、有機層を水洗及び無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下に留去して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:2)で精製することにより、淡黄色結晶として目的物10.1gを得た。
物性 m.p. 83.5〜85.5℃ 収率91.3%
【0043】
実施例5. (5−カルバモイルメトキシ−4−クロロ−2−フルオロベンゾイル)アセトアミドの製造
【化40】
5−1.
(2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド30g(0.11モル)に濃硫酸120gを加えて室温下に6時間反応を行った。
反応終了後、反応液を氷水中に注ぎ、析出した結晶を濾集して水洗し、乾燥することにより目的物31.2gを得た。
物性 m.p.204−205℃ 収率 98%
【0044】
5−2.
(2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド200g及びトルエン400mlの懸濁液に濃硫酸600mlを攪拌下に反応温度10〜25℃で30分間で滴下し、滴下終了後に室温下に24時間反応させた。
反応終了後、反応溶液を2kgの氷に攪拌下徐々に注入し、析出した結晶及び反応容器に残った残渣に水1L(リットル)を加えて析出した結晶を濾過、水洗し、得られた結晶を減圧下に60℃で24時間乾燥することにより目的物200gを得た。
【0045】
実施例6. (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)酢酸の製造
【化41】
6−1.
(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド50gを酢酸150mlに懸濁させ、濃塩酸75mlを加えて還流下に1時間反応を行い、次いで濃塩酸75mlを加えて室温まで冷却した。
反応終了後、析出した結晶を濾過、水洗して得られた結晶を50℃で減圧下に乾燥させることにより目的物44.6gを得た。
物性 m.p.170〜174℃ 収率 89%
【0046】
6−2.
シアノ化ナトリウム0.26gを水5mlに溶解した溶液に6−1で得られた(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)酢酸0.50g及び炭酸ナトリウム1.78gを20mlの水に溶解させた水溶液を室温下に滴下し、滴下終了後に室温下で6時間反応を行った。
反応終了後、反応液を6N−塩酸2mlで塩酸酸性とし、酢酸エチル10ml(×3)で抽出し、抽出液を水洗及び硫酸マグネシウムで乾燥後に減圧濃縮することにより淡褐色結晶0.45gを得た。
物性 m.p.186.8−192.3℃ 収率 69%
【0047】
実施例7. (2−クロロ−5−カルバモイル−4−フルオロフェノキシ)酢酸の製造
【化42】
(2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)酢酸10g(0.037モル)に濃硫酸50gを加えて室温下に24時間反応を行った。
反応終了後、反応液に氷水200mlを注いで析出した結晶を濾過、乾燥することにより目的物9.6gを得た。
物性 m.p.198.0−199.0℃(分解)
【産業上の利用分野】
本発明は一般式(I)
【化27】
〔式中、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なっても良く、水素原子又は低級アルキル基を示し、R5' は低級アルキル基を示し、Xは同一又は異なっても良く、ハロゲン原子を示し、mは0〜4の整数を示す。〕
で表される芳香族エステル誘導体及びその中間体並びにそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
芳香族エステル類の製造方法は古くから知られており、例えばSandler and Karo “Organic Functional Group Preparations" Vol.13, p268-281(1972) 等に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は加溶媒分解による芳香族エステル類の製造方法に関して鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させたものであり、本発明の製造方法による芳香族エステル類は医薬、農薬、化学品等の中間体として有用な化合物である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の一般式(I) で表される芳香族エステル誘導体の製造方法は以下に図示する方法により例示することができる。
【化28】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5' 、X 、m 及び Zは前記に同じ。〕
【0005】
1.一般式(V) → 一般式(I)
本反応は一般式(V) で表される化合物を酸性物質の存在下、不活性溶媒の存在下又は不存在下に一般式(IV)で表されるアルコ−ル類と反応させ、次いでpH4以下で加水分解することにより一般式(I) で表される化合物を製造することができる。
【0006】
本反応で使用できる不活性溶媒としては本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジオキサン、ジグリム、スルホラン、酢酸、トリフルオロ酢酸等を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で若しくは混合して使用することができる。
【0007】
本発明で使用する酸性物質としては、例えば塩酸、硫酸、塩化水素ガス、臭化水素ガス、沃化水素ガス等を例示することができ、これらの酸性物質の使用量は一般式(V) で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用すれば良い。
【0008】
一般式(IV)で表されるアルコ−ル類の使用量は一般式(V) で表される化合物に対して等モル以上使用することが好ましい。
反応温度は−20℃〜150℃の範囲から選択して反応すれば良く、好ましくは0℃〜100℃の範囲である。
反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至150時間の範囲から選択すれば良い。
【0009】
加水分解反応は常法に従って行えば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系から常法、例えば溶媒抽出等により単離し、必要に応じて再結晶等により精製することにより目的物を製造することができる。
【0010】
2.一般式(II) → 一般式(I)
本反応は一般式(II)で表される化合物を酸性物質の存在下、不活性溶媒の存在下又は不存在下に一般式(IV)で表されるアルコ−ル類と反応させることにより一般式(I) で表される芳香族エステル類を製造することができる。
本反応で使用できる不活性溶媒、酸性物質としては、例えば1で例示の不活性溶媒、酸性物質を使用することができ、酸性物質の使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用すれば良い。
【0011】
一般式(IV)で表されるアルコ−ル類の使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル以上使用することが好ましいが、これより少なくても良い。
反応温度は−20℃〜150℃の範囲から選択して反応すれば良い。
反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至150時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系から常法により単離することにより一般式(I) で表される芳香族エステル誘導体を製造することができる。
【0012】
3.一般式(III) → 一般式(I)
本反応は一般式(III) で表される化合物を酸性物質の存在下、不活性溶媒の存在下又は不存在下に一般式(IV)で表されるアルコ−ル類と反応させ、次いでpH4以下で加水分解することにより一般式(I) で表される芳香族エステル類を製造することができる。
これらの各反応は1と同様に行うことにより一般式(I) で表される芳香族エステル類を製造することができる。
本反応で得られた一般式(II)で表される化合物は反応終了後に単離し、又は単離せずして次の反応に供することができる。
【0013】
4.一般式(III) → 一般式(II)
本反応は一般式(III) で表される化合物を不活性溶媒の存在下又は不存在下に酸性物質と反応させることにより一般式(II)で表される化合物を製造することができる。
本反応で使用できる不活性溶媒及び酸性物質は、例えば1に記載の不活性溶媒及び酸性物質を使用することができる。
【0014】
反応温度は−20℃〜150℃の範囲から選択して反応すれば良い。
反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至150時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系から常法により単離することにより一般式(II)で表される化合物を製造することができる。
本反応で得られた一般式(II)で表される化合物は単離せずして次の反応に供することができる。
【0015】
5.一般式(III'') → 一般式(II)
本反応は一般式(III'') で表される化合物を不活性溶媒の存在下又は不存在下及び酸性物質の存在下に一般式(IV)で表されるアルコ−ル類と反応させることにより一般式(II)で表される化合物を製造することができる。
本反応で使用できる不活性溶媒及び酸性物質は例えば1に記載の不活性溶媒及び酸性物質を使用することができる。
一般式(IV)で表されるアルコ−ル類の使用量は一般式(III'') で表される化合物に対して等モル以上使用することが好ましい。
【0016】
反応温度は−20℃〜150℃の範囲から選択して反応すれば良い。
反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至150時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系から常法により単離することにより一般式(II)で表される化合物を製造することができる。
本反応で得られた一般式(II)で表される化合物は単離せずして次の反応に供することができる。
【0017】
6.一般式(V'') → 一般式(III)
本反応は一般式(V'') で表される化合物を酸性又は塩基性物質の存在下、不活性溶媒の存在下又は不存在下に一般式(IV)で表されるアルコ−ル類と反応させ、次いでpH4以下で加水分解することにより一般式(III) で表される化合物を製造することができる。
本反応で使用できる不活性溶媒としては、例えば1で使用できる不活性溶媒の他にジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等も使用することができる。
【0018】
酸性物質としては1で例示の酸性物質の他に、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等も使用することができる。
塩基性物質としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子のアルコラ−ト等を使用することができ、本反応では塩基性物質の使用が好ましいが、これに限定されるものではない。
本反応は上記の不活性溶媒及び酸性又は塩基性物質を使用して1と同様にすることにより一般式(III) で表される化合物を製造することができる。
本反応で得られた一般式(III) で表される化合物は反応終了後に単離し、又は単離せずして次の反応に供することができる。
【0019】
7.一般式(V') → 一般式(III)
本反応は一般式(V')で表される化合物を酸性又は塩基性物質の存在下、不活性溶媒の存在下又は不存在下に一般式(IV)で表されるアルコ−ル類と反応させることにより一般式(III) で表される化合物を製造することができる。
本反応で使用できる不活性溶媒、酸性物質及び塩基性物質としては、例えば6で使用できる不活性溶媒、酸性物質及び塩基性物質を使用することができる。
本反応は上記の不活性溶媒及び酸性又は塩基性物質を使用して3と同様にすることにより一般式(III) で表される化合物を製造することができる。
本反応で得られた一般式(III) で表される化合物は反応終了後に単離し、又は単離せずして次の反応に供することができる。
【0020】
8.一般式(V') → 一般式(III'')
本反応は一般式(V')で表される化合物を不活性溶媒の存在下又は不存在下に酸性物質と反応させることにより一般式(III'') で表される化合物を製造することができる。
本反応は4と同様にすることにより一般式(III'') で表される化合物を製造することができる。
本反応で得られた一般式(III'') 又はで表される化合物は反応終了後に単離し、又は単離せずして次の反応に供することができる。
【0021】
一般式(II') 及び(III')で表される化合物でR5が水素原子を示す場合、以下に示す製造方法により製造することができる。
【化29】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5' 、X 及びm は前記に同じくし、Hal はハロゲン原子を示す。但しR5' は低級アルキル基を除く。)
【0022】
一般式(VI') で表される化合物を不活性溶媒の存在下又は不存在下に酸性物質と反応させて一般式(VI'')で表される化合物とし、該化合物(VI'')を単離し、又は単離せずして不活性溶媒の存在下、又は不存在下にシアノ化剤と反応させて一般式(III')で表される化合物とし、該化合物(III')を単離し、又は単離せずして不活性溶媒の存在下、又は不存在下に酸性物質と反応させてることにより一般式(II') で表される化合物を製造することができる。
【0023】
9.一般式(VI') → 一般式(VI'') → 一般式(III')
第一工程では一般式(IV)で表されるアルコ−ル類を使用せずに5と同様にすることにより一般式(VI'')を製造することができる。
第二のシアノ化工程で使用できる不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えば水、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル等のアルコ−ル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ−テル類、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル等のグリコ−ル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、ピリジン、ピコリン、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンテトラアミド、ヘキサメチルホスホロアミド、N,N’−ジメチルイミダゾリノン等を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で若しくは混合して使用することができる。
【0024】
本反応で使用するシアノ化剤としては、例えばシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化カルシウム、シアン化銅、アンモニウムシアニド、トリエチルアンモニウムシアニド、テトラブチルアンモニウムシアニド、アセトシアンヒドリン等のシアン化剤を挙げることができ、その使用量は一般式(VI'')で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から選択することができ、好ましくは等モル乃至5倍モルの範囲である。
【0025】
本反応で塩基を使用する場合に使用できる塩基としては無機塩基又は有機塩基を使用することができ、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等の無機塩基、エチルアミン、t−ブチルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の第二級アミン類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチル−n−オクチルアミン、トリエタノ−ルアミン、N−メチルピペリジン、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン等の第三級アミン類、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、2,6−ルチジン、ピリジン等の芳香族アミン類等を例示することができ、これらの塩基の使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用することができるが、塩基を使用しなくても良い。
【0026】
本反応で使用できる酸としては、例えば塩酸、硫酸等の鉱酸類及び酢酸等の有機酸を使用することができ、その使用量は一般式(VI'')で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から選択すれば良く、好ましくは等モル乃至4倍モルの範囲であるが、同時に使用するシアノ化剤を過剰に使用した場合、該シアノ化剤の使用量より一当量程度少なく使用するのが良い。
本反応で使用できる無機塩としては、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、沃化ナトリウム、沃化カリウム等を使用することができ、その使用量は一般式(II)で表される化合物に対して等モル乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用することができる。
【0027】
反応温度は−20℃〜150℃の範囲から選択して反応すれば良く、好ましくは0℃〜60℃の範囲である。
反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至100時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系をそのまま又は塩酸等の鉱酸で酸性として常法、例えば濾過、溶媒抽出等により単離し、必要に応じて再結晶等により精製することにより目的物を製造することができる。
【0028】
10.一般式(III') → 一般式(II')
本反応は4と同様にすることにより一般式(II') で表される化合物を製造することができる。
本発明の一般式(I) で表される芳香族エステル類を製造する際の原料化合物である一般式(V) で表される化合物は、例えば下記に例示する方法により製造することができる。
【0029】
【化30】
〔式中、R1、R2、R3、R4、X 、m 及び Zは前記に同じくし、Hal はハロゲン原子を示し、n は0〜3の整数を示す。〕
【0030】
一般式(XI)で表されるフェノ−ル類と一般式(IX)で表されるハライド類とを反応させて一般式(VIII)で表される化合物とし、該化合物(VIII)を単離し、又は単離せずして選択的ハロゲン化反応を行い一般式(VII) で表される化合物とするか、又は一般式(XI)で表されるフェノ−ル類を選択的にハロゲン化反応を行い一般式(X) で表される化合物とし、該化合物(X) を単離し、又は単離せずして一般式(IX)で表されるハライド類と反応させることにより一般式(VII) で表される化合物とし、該化合物(VII) を単離し、又は単離せずしてフリ−デルクラフト反応することにより一般式(VI)で表される化合物とし、該化合物(VI)を単離し、又は単離せずしてシアノ化することにより一般式(V) で表される化合物を製造することができる。
【0031】
【実施例】
以下に本発明の代表的な実施例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
実施例1. エチル (4−クロロ−5−エトキシカルボニルメトキシ−2−フルオロベンゾイル)アセテ−トの製造
1−1.
【化31】
トルエン40mlに(4−クロロ−5−シアノメトキシ−2−フルオロベンゾイル)アセトニトリル10g(0.04モル)及びエタノ−ル5.5gを加え、該溶液に塩化水素を15〜20℃で4時間(流速40ml/min)通じた後、塩化水素の吹き込みを停止し、更に2時間反応を行った。
その後、10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて40〜50℃で2時間反応を行った。
反応終了後、目的物を含む反応液を分液し、水層に更にトルエン40mlを加えて目的物を抽出し、先に分液した有機層と合わせて水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去して得られた粗結晶をエ−テル/n−ヘキサンより再結晶することにより褐色結晶として目的物13.5gを得た。
物性 m.p.40.0〜41.5℃ 収率 98.5%
【0033】
1−2.
【化32】
(2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド1.0g(0.0037モル)をエタノ−ル1.7gをトルエン4mlに加え、該溶液に塩化水素ガスを通じながら40〜50℃で3.5時間反応を行い、その後水40mlを加えて同温度で1時間反応を行った。
反応終了後、目的物を含む反応液を分液し、水層に更にトルエン40mlを加えて目的物を抽出し、先に分液した有機層と合わせて水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去して1.2gの褐色油状物を得た。
得られた褐色油状物をカラムクロマトグラフィ−で精製することにより目的物0.53gを得た。
収率 41%
【0034】
1−3.
【化33】
エタノ−ル10mlにエチル (5−カルバモイルアセチル−2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)アセテ−ト2g(6.3ミリモル)及び濃硫酸1.2g(12.6ミリモル)を加えて加熱還流下に1.5時間反応を行った。
反応終了後、反応混合物を氷水中に注ぎ、目的物をエ−テルで抽出し、水洗及び無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮することにより残渣を1.9g得た。
得られた残渣をカラムクロマトグラフィ−で精製することにより0.8gの目的物を得た。
収率 37%
【0035】
1−4.
【化34】
エチル (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセテ−ト5.0g(0.017モル)及びエタノ−ル0.8gをトルエン10ml中に加え、該溶液に塩化水素ガスを15〜20℃で3時間(流速20ml/min)を通じた後、塩化水素ガスの吹き込みを停止して同温度で20時間反応を行った。
【0036】
その後、トルエン10ml及び水20mlを加えて40〜50℃で2時間反応を行った。
反応終了後、目的物を含む反応液を分液し、水層に更にトルエン20mlを加えて目的物を抽出し、先に分液した有機層と合わせて水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去して得られた粗結晶をエ−テル/n−ヘキサンから再結晶することにより目的物を褐色結晶として5.5g得た。
物性 m.p.40.0〜41.5℃ 収率93.6%
【0037】
実施例2. エチル (5−カルバモイルアセチル−2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)アセテ−トの製造
【化35】
100mlの三角フラスコにエチル (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセテ−ト20g(66.7ミリモル)を入れ、濃硫酸50mlを加えて水浴上で一晩攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応液を氷水中に激しく攪拌下に注ぎ、析出した結晶を濾集して水洗し、乾燥することにより目的物19.9gを得た。
物性 m.p.125.0−126.5℃ 収率 94%
【0038】
実施例3. エチル (5−カルバモイルアセチル−2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)アセテ−ト及びエチル (4−クロロ−5−エトキシカルボニルメトキシ−2−フルオロベンゾイル)アセテ−トエチルの製造
【化36】
(5−カルバモイルメトキシ−4−クロロ−2−フルオロベンゾイル)アセトアミド5g(0.017モル)をエタノ−ル20mlに懸濁させ、該懸濁液に濃硫酸2.5gを加えて2時間加熱還流して反応を行った。
反応終了後、反応液を冷却してトルエン30ml及び飽和食塩水30mlを加えて目的物を抽出した。
【0039】
抽出液から析出する結晶を濾集して水洗し、乾燥することによりエチル (5−カルバモイルアセチル−2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)アセテ−ト1.7gを得た。
物性 m.p.125.0−126.5℃ 収率31%
更に濾液を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィ−で精製することによりエチル (4−クロロ−5−エトキシカルボニルメトキシ−2−フルオロベンゾイル)アセテ−ト2.2gを得た。
物性 m.p.40.0〜41.5℃ 収率 37%
【0040】
実施例4. エチル (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセテ−トの製造
【化37】
4−1.
エタノ−ル100ml中に塩化水素ガスを通じて飽和させた溶液にN−メチルピロリドン50mlに(4−クロロ−5−シアノメトキシ−2−フルオロベンゾイル)アセトニトリル20g(0.079モル)を溶解させた溶液を滴下して室温で2時間反応を行った。
その後、反応溶液を500mlの氷水に注ぎ目的物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗及び無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下に留去して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:2)で精製することにより目的物を淡黄色結晶として19.8g得た。
物性 m.p. 83.5〜85.5℃ 収率 84%
【0041】
4−2.
【化38】
2mlのエタノ−ルにナトリウム90mg(3.9ミリモル)を加え、更に(4−クロロ−5−シアノメトキシ−2−フルオロベンゾイル)アセトニトリル0.5g(2.0ミリモル)を加えて室温下に3時間反応を行った。
反応終了後、反応液を氷水中に注ぎ、塩酸酸性とした後、目的物を酢酸エチルで抽出した。
抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去することにより目的物を0.5g得た。
物性 m.p. 83.5〜85.5℃ 収率 84%
【0042】
4−3.
【化39】
100mlのエタノ−ル中に(2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド10g(0.037モル)及び5.4gの濃硫酸を加えて加熱還流下に2.5時間反応を行った。
その後、反応混合物を減圧下に濃縮し200mlの氷水に注ぎ、目的物を酢酸エチル(150ml×2)で抽出し、有機層を水洗及び無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下に留去して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:2)で精製することにより、淡黄色結晶として目的物10.1gを得た。
物性 m.p. 83.5〜85.5℃ 収率91.3%
【0043】
実施例5. (5−カルバモイルメトキシ−4−クロロ−2−フルオロベンゾイル)アセトアミドの製造
【化40】
5−1.
(2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド30g(0.11モル)に濃硫酸120gを加えて室温下に6時間反応を行った。
反応終了後、反応液を氷水中に注ぎ、析出した結晶を濾集して水洗し、乾燥することにより目的物31.2gを得た。
物性 m.p.204−205℃ 収率 98%
【0044】
5−2.
(2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド200g及びトルエン400mlの懸濁液に濃硫酸600mlを攪拌下に反応温度10〜25℃で30分間で滴下し、滴下終了後に室温下に24時間反応させた。
反応終了後、反応溶液を2kgの氷に攪拌下徐々に注入し、析出した結晶及び反応容器に残った残渣に水1L(リットル)を加えて析出した結晶を濾過、水洗し、得られた結晶を減圧下に60℃で24時間乾燥することにより目的物200gを得た。
【0045】
実施例6. (2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)酢酸の製造
【化41】
6−1.
(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)アセトアミド50gを酢酸150mlに懸濁させ、濃塩酸75mlを加えて還流下に1時間反応を行い、次いで濃塩酸75mlを加えて室温まで冷却した。
反応終了後、析出した結晶を濾過、水洗して得られた結晶を50℃で減圧下に乾燥させることにより目的物44.6gを得た。
物性 m.p.170〜174℃ 収率 89%
【0046】
6−2.
シアノ化ナトリウム0.26gを水5mlに溶解した溶液に6−1で得られた(2−クロロ−5−クロロアセチル−4−フルオロフェノキシ)酢酸0.50g及び炭酸ナトリウム1.78gを20mlの水に溶解させた水溶液を室温下に滴下し、滴下終了後に室温下で6時間反応を行った。
反応終了後、反応液を6N−塩酸2mlで塩酸酸性とし、酢酸エチル10ml(×3)で抽出し、抽出液を水洗及び硫酸マグネシウムで乾燥後に減圧濃縮することにより淡褐色結晶0.45gを得た。
物性 m.p.186.8−192.3℃ 収率 69%
【0047】
実施例7. (2−クロロ−5−カルバモイル−4−フルオロフェノキシ)酢酸の製造
【化42】
(2−クロロ−5−シアノアセチル−4−フルオロフェノキシ)酢酸10g(0.037モル)に濃硫酸50gを加えて室温下に24時間反応を行った。
反応終了後、反応液に氷水200mlを注いで析出した結晶を濾過、乾燥することにより目的物9.6gを得た。
物性 m.p.198.0−199.0℃(分解)
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JP (1) | JP3646225B2 (ja) |
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1993
- 1993-07-21 JP JP20095493A patent/JP3646225B2/ja not_active Expired - Fee Related
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