【発明の詳細な説明】
植物用の支柱を固定する装置を備えた植木容器
本発明は、植物用の支柱を固定する装置を備えた植木容器において、植木容器
の縁に植木容器の側壁と強固に固定された少なくとも二つの連結部材が設けられ
、支柱固定装置の少なくとも一方の端に被連結部材と、この被連結部材から間隔
を置いて配された、支柱の保持具として機能する少なくとも一つの保持部材が設
けられた、植木容器に関連するものである。
鉢植の植物を支持するための支柱は、通常、培養土等の鉢の中身または水栽培
の場合は水栽培用の素材に挿入される。支柱は、時間が経つにつれて、その固定
状態が緩くなる可能性があり、植物をしっかり支持できなくなる。植物が特定の
方向に育っている場合には、特にそうなり易い。さらに、支柱は、鉢植植物を移
動させるとき、また、植物が戸外で天候にさらされたときに、緩む可能性もある
。
この問題を回避するために、コードまたはワイヤを使用して、支柱を隣接の壁
に打ち込まれたくぎに固定することも試みられた。この場合は、鉢植の植物を移
動または回転させることが不可能となることが問題であった。
植木鉢に対して支柱を固定するためには、冒頭で記載した種類の装置(CH-A-63
6.748)において、ネジ式締付け具が植木鉢の縁に固定され、この締付け具から植
木鉢の中央にレールが伸び、このレールは、かかるネジ式締付け具により植木鉢
の縁に対して付勢されることが公知である。このレールに支柱をさらなるネジ式
締付け具により固定することができる。
しかし、この従来技術の短所は、植物から支柱に伝わる力が、前記レールの方
向のみに働き、この力がさらに植木鉢に伝達されるため、支柱がまだ横に傾く可
能性があるということである。
全方向から支柱に加えられる力を植木鉢に伝達することを可能にする支柱固定
装置が、CH-A-408.516に開示されている。この公報によると、植木鉢の縁を挟持
することができ、植木鉢の中央に突出する筒状に構成された腕木が設けられてい
る保持装置が提供される。この腕木には、持上げ用突起を挿入して固定すること
ができ、この持上げ用突起は、植木鉢の半径方向に腕木に対して移動可能である
。この持上げ用突起は、その内側端、つまり植木鉢の中央方向の一方の端におい
てスリーブを有し、このスリーブの下方の端は閉じられており、これに支柱を挿
入することができる。この場合、支柱は鉢植の植物の土と接触しないが、支柱を
介して非常に大きな力が持上げ用突起からさらに植木鉢の縁を挟持することがで
きる腕木に伝達されるので、腕木は、これに応じて強固かつ大型に設計しなけれ
ばならない。この公知の支柱固定装置は、非常に複雑な構成を有することに伴な
って、製造費が高額になるのみならず、そのかさばる大型の構造が鉢植の外観に
悪影響を与える。さらに、全ての力が植木鉢の縁のみに伝達されるため、この部
分は、非常に大きな負荷に耐えなければならない。
DE-C-28 35 939においては、支柱保持器を鉢植用の器と一体形成することが開
示されている。しかし、この構成によると、支柱は鉢植用の器の縁の領域におい
てのみ配置することができる。これ以外の場所に配置すると、鉢植用の器と一体
形成された保持器は、器の内部に大幅に突出することが要し、鉢植用の器の製造
過程における困難性および高額の製造費用を生じる。
AT-B-327.598によると、鉢植用の器の内側の底に、支柱を挿入することができ
る凹部が設けられている。しかし、この方法では、容器に土を充填する前に支柱
を挿入することが必要である。後から据え付けることは、鉢植用の器の底に設け
られた凹部をまず露出させることが必要となるため、非常に難しい。別の一面
として、支柱がその下方の端のみにおいて鉢植用の器に対して固定されているた
め、植物の良好な支持が問題となる。
EP-A-0 089 291によると、鉢植用の器の角の領域において、支柱を挿入するこ
とができるアイレットが設けられている。ここでもまた、支柱を鉢植用の器の縁
からより遠く、つまり植物の茎により近く配置することが、不可能である。
FR-A-2 671 453においては、冒頭で記載した種類の支柱固定装置を備えた植木
容器が開示されている。この従来の装置においては、支柱固定装置は線状に連続
して配されかつ強固の装置を形成するよう組み合わせられたいくつかのスリーブ
から形成されている。この際、支柱は、これらスリーブの一つに通して植木容器
内に配された土の中に挿入することができる。支柱固定装置自体は、その一方の
端に配された棒を介して、植木容器の縁に配された貫通孔内に挿入され、この際
に、支柱固定装置が植木容器の貫通孔の軸の周りにおける横方向の揺れは、支柱
固定装置の棒にバネが配され、このバネが植木容器の貫通孔の溝と係合すること
によって回避される。この種類の装置は、支柱固定装置に設けられた棒を受ける
ために適した壁の厚さを有する非常に複雑な構造の植木容器を要する。薄い壁を
有する植木容器については、植木容器を上方向に延長した後に厚い壁を有するよ
う構成され、かつ支柱固定装置の棒を受ける貫通孔を設けた特別のキャップが必
要である。これもまた、費用および製造の両面から高い要求を伴う。従来の装置
のさらなる短所として、支柱固定装置に、より大きな横方向の力が加えられた場
合(特に、支柱が植木容器の縁からより遠くに配されたスリーブに挿入されたと
き)には、支柱は安定して保持されなくなり、また力が植木容器の壁に伝達され
るため、壁の損傷を生じる可能性がある。
従来の構造においては、植木容器の壁を外側に貫通する溝に支柱固定装置の棒
のバネと係合するため、植木容器の外観が損なわれる。さらに、植木容器の上部
の比較的厚い縁も見苦しい。また、支柱固定装置は上部の縁を超えて伸びるため
、支柱固定装置もまた植木容器の外観に悪影響を与える。
本発明は、上記の短所および問題点を回避するために、支柱固定装置を備えた
植木容器において、支柱が植木容器に対してしっかり安定して固定されており、
長時間が経過した後にも支柱が緩まず、かつ支柱に伝わる力が確実に植木容器に
伝達され得る植木容器を提供することを目的としており、支柱を介して植木容器
に伝わる力は、植木容器に、局部的ではなく、可能な限り均一に負荷を加えるべ
きであり、これによって、植木容器の破損の危険性を最小限に抑える。支柱固定
装置は、後続の時点においても容易に、つまり大幅な操作を必要とすることなく
固定可能とする。さらに、植木容器は、支柱固定装置と併せて、簡単にかつ低価
で製造可能な少数の部品からなるべきであり、支柱固定装置および支柱が据え付
けられたときに植木鉢の外観にわずかな影響しか与えるべきではない。
本発明によると、この目的は、所定の間隔を置いて配された二つの被連結部材
が支柱固定装置に設けられ、かつ植木容器の縁の領域において少なくとも二つの
連結部材が、被連結部材に対応して、互いに一定の間隔を置いて配されることに
よって達成される。
本発明によると、植木容器の縁の領域の平面において、支柱は三点で支持され
ることになり、これにより、支柱は大きな力の負荷に対しても安定して支持され
る。力は二つの箇所に配分されるため、植木容器の壁に比較的小さな負荷が課さ
れる。
植木容器は、公知の連結部材が植木容器の側壁と一体に形成されると、特に簡
単に製造可能である。
支柱を植木容器に対して異なる高さで配置可能とするために、適宜複数の連結
部材が植木容器の縁の領域に配され、この際、これら連結部材のうちの二つが支
柱固定装置の被連結部材の間の間隔に対応して配されており、連結部材が相互に
等間隔で植木容器の縁の領域に配されることがより好ましい。
支柱を植木容器に固定する態様として、支柱固定装置に、二つの連結部材の間
の間隔の2倍あるいは数倍に相当する間隔を置いて二つの被連結部材が設けられ
ることによって、多様化が達成される。
簡易の構造による植木容器は、連結部材(公知)がスリーブまたはピンで形成さ
れ、被連結部材がピンまたはスリーブで形成されることを特徴とする。
冒頭で記載した種類の好適な実施例によると、連結部材および被連結部材は、
縁の領域の所定の周囲領域に亘って伸び、連結部材は、適宜、ストラップまたは
スリットとして構成され、かつ被連結部材はスリットまたはストラップとして構
成される。
植木容器に後から支柱固定装置を設ける場合には、連結部材は適宜植木容器の
側壁にネジで固定され、または別の実施例においては、連結部材は植木容器の側
壁に接着される。
視覚的影響をより少なくするためには、連結部材は、植木容器の側壁の内側の
面に設けられる。
さらに別の配置のバリエーションとして、支柱固定装置に二つまたはいくつか
の保持部材を設け、それらを各々、被連結部材に対して異なる間隔を置いて設け
ることが可能である。
好適には、保持部材は貫通穴として形成され、この貫通穴には、適宜、支柱の
直径に応じて拡大および調整可能となるよう、切り離し可能な部分が設けられて
いる。
別の好適な実施例においては、保持部材は、支柱が接触部に寄りかかることが
でき、かつ好適にはケーブル留め具である挟持装置により、支柱を固定すること
ができる支持ストラップとして構成されることを特徴とする。
このような支柱固定装置自体が強固な構造を有するときに、支柱を特に安定し
て固定することができる。
異なる植木容器の側壁の異なる傾斜角を補償するために、連結部材および被連
結部材は、関節部分として形成されることが好ましい。
さらに別の好適な実施例によると、支柱固定装置を備えた植木容器の製造は特
に簡単かつ低価で実現される。特に、工具の費用が低く押さえられるつと共に、
多種の寸法の植木容器全般に適用できるという性質を有し、この際、大型植木容
器に応用できることが重要な条件である。
有利なことには、これは被連結部材が少なくとも一つの支柱固定装置に関節連
結を介して接続されることによって達成される。
連結部材および被連結部材は、関節連結がピンとスリーブの接続として構成さ
れ、この際に、有利なことには、ピンが被連結部材に設けられスリーブが支柱固
定装置に設けられることによって特に容易に製造可能である。
連結部材が切り込み溝として形成され、かつ被連結部材が溝の対応した反対部
分として形成され、その際にこの溝が、蟻溝状の断面を適宜有することにより、
植木容器が特に簡単に製造可能となる。
植木容器の被連結部材の正確な位置を確保するために、溝の下方の端に、被連
結部材が寄りかかることができる止め金が設けられている。
その安定性により特に適切である構造においては、溝が縦方向に伸び、かつ溝
の壁が植木容器と一体に形成されることを特徴とする。
一種類の支柱固定装置のみで対応するためには、二つの支柱固定装置が関節連
結によって接続され、この関節連結は略縦方向に伸びる旋回軸を有し、この旋回
軸は支柱によって有利に形成される。これによって、旋回軸を形成する特別の構
造が不要となる。
以下において、図示されたいくつかの実施例に言及しながら、本発明をより詳
細に説明する。図1は支柱固定装置を取り付けた植木容器の一部の斜視図である
。図2は異なる構造の植木容器の縦断面図である。図3は変形実施例を示す図1
に類似の図面である。図4は支柱固定装置の上面図である。図5および6の各図
は、支柱固定装置を挿入した植木容器の上面図であり、支柱固定装置の各種配置
方法を図示する。図7は支柱固定装置の一部を示し、図8はこの一部の植木容器
における配置を図示する。さらに好適な実施例は、図9ないし11に図示されてい
る。図9は支柱固定装置を取り付けた植木容器の一部を示す図1に類似の図であ
る。図10は図9の矢印Xの方向からみた拡大上面図である。図11は、変形実施例
を示す図10に類似の図である。
好ましくはプラスチック素材からなる植木容器1には、支柱3が固定された支
柱固定装置2が取り付けられている。支柱固定装置2は、実質的に、略U字状に
湾曲しかつ好適にプラスチック素材からなる部材4から形成されており、かつ支
柱3が固定されるべき少なくとも一つの保持部材5が設けられている。図1によ
ると、各々が支持ストラップとして設計された二つの保持部材5が設けられてい
る。
保持部材5の一つに対して、支柱3は寄りかかり、かつ例えばケーブル留め具
として構成された挟持装置6によってこれに固定される。第2の保持部材は、別
の支柱3を固定するために機能することができる。あるいは、支柱3は、選択的
に、第2の保持部材に固定することができる。支柱3の下方の端7は植木容器1
の底8まで達し、ここで支えられる。培養土9によって、支柱3の下方の端7が
横方向に移動しないことは充分に保証される(図2)。
支柱固定装置2は、植木容器1に、つまりその縁の領域10の高さにおいて、強
固に、つまり植木容器1の縁10の領域において相互に周囲間隔11を置いた二つの
連結部材12によって固定されており、かかる連結部材は、支柱固定装置2に配さ
れた被連結部材13と連結可能である。ここでは、連結部材12はスリーブとして構
成され、被連結部材13はスリーブに挿入可能なピンとして構成されている。もち
ろん、連結部材12および被連結部材13は、別の構造を有することも可能である。
例えば、ボール・スナップ連結として構成することができる。図1によると、連
結部材12は、植木容器1の側壁14と一体形成されている。
図2によると、連結部材12は、植木容器1の斜めに形成された側壁14と一体に
形成されたくさび型突起15として設けられている。
図3においては、連結部材12の実施例が図示されており、この実施例によると
、連結部材12は、植木容器1の所定の周囲領域11に亘るスリットとして形成され
ており、このスリット内に、ここではストラップとして形成された被連結部材13
が挿入されるよう形成されている。ここでは、支柱固定装置2の保持部材は、支
柱3が挿入される貫通穴5’として設計されている。これに加えて、ここでも、
支柱を遊びを持たずに貫通穴において保持可能とするために、支持ストラップ5
が設けられている。ここでもケーブル留め具6は、支柱3を支持ストラップ5に
固定する役割を果たす。
図4によると、貫通穴5’の一方には、切り離し可能な部分16が設けられ、
よって通り穴5は支柱3の直径に合わせられる。
図5および6は、支柱固定装置2を植木容器1に取り付ける異なる方法を図示
している。植木容器1には、その縁10の領域において一定の間隔11を置いて配さ
れた連結部材12が設けられており、また、支柱固定装置2は、二つの隣接した連
結部材12の間隔11と同一の間隔、二倍の間隔、または三倍の間隔を置いて正確に
設けられた被連結部材13を備える。
図7においては、同様にスリーブとして構成された二つの連結部材12が図示さ
れており、これらは、接続ウェブ17に配されたネジ18によって後から植木容器1
に取り付けることができる。図8は、これら連結部材12を植木容器1に取りつけ
る方法を示す図である。また、図8の左側に図示されているように、連結部材12
を植木容器1に接着することも可能である。
図9および10によると、支柱固定装置2は、植木容器1、つまりその縁10の領
域の高さにおいて、強固に、つまり植木容器1の縁10の領域にて互いに周辺間隔
11を置いて設けられた二つの連結部材12’によって固定されており、これら連結
部材12’は被連結部材13’によって支柱固定装置2に連結することができる。こ
こでは、連結部材12’は、切込み付きの縦方向溝として構成され、被連結部材13
’は、溝の中に押し込むことができるブロックとして構成されている。連結部材
12’および被連結部材13’は、その他の形状を有することも可能であり、例えば
各種デザインのスナップ連結として構成することができる。溝壁19は、好適に、
植木容器1の側壁14と一体形成され、つまり同一の製造工程において形成される
。この選択肢は、植木容器がプラスチック素材から製造された場合には明らかに
取るであろう方法である。しかし、例えば糊付け等により後続の時点で植木容器
1に接着することも可能である。
図11に図示された実施例によると、切込み溝12’は、長方形の断面を有するよ
う設計され、この溝に挿入されるよう形成された被連結部材13’は、これに対応
した断面を有する。すべての実施例において、被連結部材13’は、可能な限り遊
びを持たずに溝12’に挿入することができ、これは、適切には手作業で行われる
。溝の下方の端においては、例えば植木容器1と一体に製造されたウェブとして
構成された止め具20が設けられている。
被連結部材13’は、支柱固定装置2の貫通孔22に可能な限り遊びを持たずに適
合するピン21を有する。各支柱固定装置2には、かかる貫通孔22が二つ、それぞ
れの端に設けられている。支柱固定装置2は半円形状を有し、これによって、単
一の支柱固定装置が被連結部材13’のピン21に固定された場合には、支柱固定装
置に設けられた貫通穴5’が植木容器1の縁10の領域にて一定の間隔を置いて配
置される。植木容器1における連結部材12’の間の間隔11は、それぞれの端に配
された二つの貫通孔22または支柱固定装置2のスリーブの間の間隔23に対応する
。
図9によると、二つの支柱固定装置2が相互に、つまり支柱固定装置2の重ね
合わせた貫通穴5’の各一つを通って突出する支柱3によって形成される関節連
結によって連結される。これによって、より大きな直径の植木容器1において、
二つの連結部材12’のみでも、支柱3を植木容器1の縁10の領域からより大きな
間隔を置いて配置することが可能になる。
被連結部材と支柱固定装置2との間のピンとスリーブの連結の代わりに、例え
ばスナップ連結等の異なる種類の連結を提供することも可能である。しかし、好
ましくは、いずれの場合においても、この連結の縦方向の面における旋回性が非
常に制限される。しかしながら、重要である点は、二つの支柱固定装置2を図9
のように配置することを可能にするための、水平方向における旋回性である。支
柱3は、自由に選択でき、かつ重ね合わされた異なる貫通穴5’に通すことがで
き、そのために、二つの支柱固定装置2が関節連結21,22によって植木容器1に
連結され、これによって、水平方向の旋回が可能となる。
本発明は、説明された例示的実施例に制限されておらず、各種の面から修正す
ることができる。例えば、支柱固定装置2が平面図においてU字状のデザインを
有することは必要ではない。異なる平面形状を有することも可能である。重要で
ある点は、単に、支柱が植木容器1の側壁14から一定の間隔を置いて配置される
こと、および支柱固定装置2が、植木容器1の側壁14に配された連結部材12,12
’と係合可能な一つまたは二つの被連結部材13、13’を有することである。技術
設計者は、連結部材12,12’および被連結部材13、13’に関して可能なデザイン
を完全に自由に考案することができる。その際に考慮するべき唯一の点は、植木
容器1の上方の縁10の平面において、支柱固定装置の横方向の屈曲がないよう確
保することである。
支柱固定装置2を、側壁の傾斜角が異なる植木容器に応用するべきである場合
には、連結部材12,12’および被連結部材13,13’は、適宜、それぞれ関節部分
として構成され、この際に、支柱固定装置2は、植木容器1の異なる傾斜角を有
する側壁14に拘らず、概略水平方向の位置に配することができる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年7月4日(1997.7.4)
【補正内容】
植物用の支柱を固定する装置を備えた植木容器
本発明は、植物用の支柱を固定する装置を備えた植木容器に関連するものであ
る。
鉢植の植物を支持するための支柱は、通常、培養土等の鉢の中身または水栽培
の場合は水栽培用の素材に挿入される。支柱は、時間が経つにつれて、その固定
状態が緩くなる可能性があり、植物をしっかり支持できなくなる。植物が特定の
方向に育っている場合には、特にそうなり易い。さらに、支柱は、鉢植植物を移
動させるとき、また、植物が戸外で天候にさらされたときに、緩む可能性もある
。
この問題を回避するために、コードまたはワイヤを使用して、支柱を隣接の壁
に打ち込まれたくぎに固定することも試みられた。この場合は、鉢植の植物を移
動または回転させることが不可能となることが問題であった。
植木鉢に対して支柱を固定するためには、CH-A-636.748において公知のように
、ネジ式締付け具が植木鉢の縁に固定され、この締付け具から植木鉢の中央にレ
ールが伸び、このレールは、かかるネジ式締付け具により植木鉢の縁に対して付
勢されることが公知である。このレールに支柱をさらなるネジ式締付け具により
固定することができる。
しかし、この従来技術の短所は、植物から支柱に伝わる力が、前記レールの方
向のみに働き、この力がさらに植木鉢に伝達されるので、支柱がまだ横に傾く可
能性があることである。
全方向から支柱に加えられる力を植木鉢に伝達することを可能にする支柱固定
装置が、CH-A-408.516に開示されている。この公報によると、植木鉢の縁を挟持
することができ、植木鉢の中央に突出する筒状に構成された腕木が設けられて
いる保持装置が提供される。この腕木には、持上げ用突起を挿入して固定するこ
とができ、この持上げ用突起は、植木鉢の半径方向に腕木に対して移動可能であ
る。この持上げ用突起は、その内側端、つまり植木鉢の中央方向の一方の端にお
いてスリーブを有し、このスリーブの下方の端は閉じられており、これに支柱を
挿入することができる。この場合、支柱は鉢植の植物の土と接触しないが、支柱
を介して非常に大きな力が持上げ用突起からさらに植木鉢の縁を挟持することが
できる腕木に伝達されるので、腕木は、これに応じて強固かつ大型に設計しなけ
ればならない。この公知の支柱固定装置は、非常に複雑な構成を有することに伴
なって、製造費が高額になるのみならず、そのかさばる大型の構造が鉢植の外観
に悪影響を与える。さらに、全ての力が植木鉢の縁のみに伝達されるため、この
部分は、非常に大きな負荷に耐えなければならない。
DE-C-28 35 939においては、支柱保持器を鉢植用の器と一体形成することが開
示されている。しかし、この構成によると、支柱は鉢植用の器の縁の領域におい
てのみ配置することができる。これ以外の場所に配置すると、鉢植用の器と一体
形成された保持器は、器の内部に大幅に突出することが要し、鉢植用の器の製造
過程における困難性および高額の製造費用を生じる。
AT-B-327.598によると、鉢植用の器の内側の底に、支柱を挿入することができ
る凹部が設けられている。しかし、この方法では、容器に土を充填する前に支柱
を挿入することが必要である。後から据え付けることは、鉢植用の器の底に設け
られた凹部をまず露出させることが必要となるため、非常に難しい。別の一面と
して、支柱がその下方の端のみにおいて鉢植用の器に対して固定されているため
、植物の良好な支持が問題である。
EP-A-0 089 291によると、鉢植用の器の角の領域において、支柱を挿入する
ことができるアイレットが設けられている。ここでもまた、支柱を鉢植用の器の
縁からより遠く、つまり植物の茎により近く配置することが、不可能である。
FR-A-2 671 453においては、冒頭で記載した種類の支柱固定装置を備えた植木
容器が開示されている。この従来の装置においては、支柱固定装置は線状に連続
して配されかつ強固の装置を形成するよう組み合わせられたいくつかのスリーブ
から形成されている。この際、支柱は、これらスリーブの一つに通して植木容器
内に配された土の中に挿入することができる。支柱固定装置自体は、その一方の
端に配された棒を介して、植木容器の縁に配された貫通孔内に挿入され、この際
に、支柱固定装置が植木容器の貫通孔の軸の周りにおける横方向の揺れは、支柱
固定装置の棒にバネが配され、このバネが植木容器の貫通孔の溝と係合すること
によって回避される。この種類の装置は、支柱固定装置に設けられた棒を受ける
ために適した壁の厚さを有する非常に複雑な構造の植木容器を要する。薄い壁を
有する植木容器については、植木容器を上方向に延長した後に厚い壁を有するよ
う構成され、かつ支柱固定装置の棒を受ける貫通孔を設けた特別のキャップが必
要である。これもまた、費用および製造の両面から高い要求を伴う。従来の装置
のさらなる短所として、支柱固定装置に、より大きな横方向の力が加えられた場
合(特に、支柱が植木容器の縁からより遠くに配されたスリーブに挿入されたと
き)には、支柱は安定して保持されなくなり、また力が植木容器の壁に伝達され
るため、壁の損傷を生じる可能性がある。
従来の構造においては、植木容器の壁を外側に貫通する溝に支柱固定装置の棒
のバネと係合するため、植木容器の外観が損なわれる。さらに、植木容器の上部
の比較的厚い縁も見苦しい。また、支柱固定装置は上部の縁を超えて伸びるため
、支柱固定装置もまた植木容器の外観に悪影響を与える。
最初の実施例によると(DE-A2 323 763)、支柱の下方の端はスリーブに突出し
、これにより、支柱は植木容器の底の領域において固定する。
別の実施例によると、支柱の下方の端は、植木容器の縁の高さにおいて植木容
器を横切るタイバーに配された差込穴に固定されている。
類似の装置は、GB-A-2 274 571から公知であり、支柱用の差込穴が半径方向に
伸びるアームの交差領域に配されている。アームを植木容器の縁に固定するため
に、植木容器の周囲に伸び、かつ植木容器の縁をまたぐリングが設けられている
。
本発明は、上記の短所および問題点を回避するために、支柱固定装置を備えた
植木容器において、支柱が植木容器に対してしっかり安定して固定されており、
長時間が経過した後にも支柱が緩まず、かつ支柱に伝わる力が確実に植木容器に
伝達され得る植木容器を提供することを目的としており、支柱を介して植木容器
に伝わる力は、植木容器に、局部的ではなく、可能な限り均一に負荷を加えるべ
きであり、これによって、植木容器の破損の危険性を最小限に抑える。支柱固定
装置は、後続の時点においても容易に、つまり大幅な操作を必要とすることなく
固定可能とする。さらに、植木容器は、支柱固定装置と併せて、簡単にかつ低価
で製造可能な少数の部品からなるべきであり、支柱固定装置および支柱が据え付
けられたときに植木鉢の外観にわずかな影響しか与えるべきではない。
請求の範囲
1. ・植木容器(1)の縁の領域(10)に、植木容器(1)の側壁(14)に強固に接続さ
れかつ互いに所定の間隔(11)を置いて配された二つの連結部材(12)が設けられ、
・支柱固定装置(2)に、互いに所定の間隔(11)を置いて配された二つの被連結部
材が設けられ、
・支柱固定装置(2)に、支柱(3)の保持具として機能する少なくとも一つの保持部
材(5、5'、6)が設けられ、
・支柱が保持部材(5、5'、6)を通って植木容器の底の領域に伸びることの組み合
わせを特徴とする支柱固定装置(2)を備えた植木容器(1)。
2. 前記連結部材(12)が前記植木容器の側壁(14)と公知の方法で一体形成され
ることを特徴とする請求項1記載の植木容器(1)。
3. 複数の前記連結部材(12)が前記植木容器(1)の前記縁の領域(10)に配され
、かつ該連結部材(12)のうちの二つが、前記支柱固定装置(2)の前記被連結部材(
13)の間の前記間隔に相当する間隔(11)を置いて配されることを特徴とする請求
項1または2記載の植木容器(1)。
4. 前記連結部材(12)が前記植木容器(1)の前記縁の領域(10)に互いに均等の
間隔を置いて配されることを特徴とする請求項3記載の植木容器(1)。
5. 前記支柱固定装置(2)に、二つの前記連結部材(12)の間の前記間隔(11)の
二倍または数倍の間隔を置いて配される二つの前記被連結部材(13)が設けられた
ことを特徴とする請求項4記載の植木容器(1)。
6. 前記連結部材(12)が公知の方法によりスリーブまたはピンで形成され、か
つ前記被連結部材(13)がピンまたはスリーブで形成されることを特徴とする請求
項1ないし5のうちの一つまたは複数に記載の植木容器(1)。
7. ・植木容器(1)の縁の領域(10)に、植木容器(1)の側壁(14)に強固に接続さ
れかつ所定の周囲領域に亘って伸びる連結部材(12)が設けられ、
・支柱固定装置(2)に、所定の周囲領域に亘って伸びる二つの被連結部材が設け
られ、
・支柱固定装置(2)に、支柱(3)の保持具として機能する少なくとも一つの保持部
材(5、5'、6)が設けられ、
・支柱が保持部材(5、5'、6)を通って植木容器の底の領域に伸びることの組み合
わせを特徴とする支柱固定装置(2)を備えた植木容器(1)。
8. 前記連結部材(12)がストラップまたはスリットとして構成され、かつ前記
被連結部材(13)がスリットまたはストラップとして構成されることを特徴とする
請求項7記載の植木容器(1)(図3)。
9. 前記連結部材(12)が前記植木容器(1)の側壁(14)にネジで固定されること
を特徴とする請求項1ないし8のうちの一つまたは複数に記載の植木容器(1)(図
7、8)。
10. 前記連結部材(12)が前記植木容器(1)の側壁(14)に接着されることを特徴
とする請求項1ないし8のうち一つまたは複数に記載の植木容器(1)(図8)。
11. 連結部材(12)が植木容器(1)の側壁(14)の内側の面に設けられることを特
徴とする請求項1ないし10のうちの一つまたは複数に記載の植木容器(1)。
12. 前記支柱固定装置(2)に二つまたは複数の前記支持部材(5、5’)が設けら
れ、該支持部材が各々前記被連結部材(13)から異なる間隔を置いて設けられたこ
とを特徴とする請求項1ないし11のうち一つまたは複数に記載の植木容器(1)。
13. 前記支持部材が貫通穴(5’)として構成されたことを特徴とする請求項1
ないし12の一つまたは複数に記載の植木容器(1)(図3、4)。
14. 前記貫通穴(5’)に、前記支柱(3)の直径まで拡大されかつ調整可能となる
よう、切り離し可能な部分(16)が設けられたことを特徴とする請求項13記載の植
木容器(1)。
15. 前記支持部材(5)が、前記支柱(3)を寄りかからせることができ、かつ該支
柱を、好適にケーブル留め具である挟持装置(6)によって固定することができる
支持ストラップとして構成されたことを特徴とする請求項1ないし14の一つまた
は複数に記載の植木容器(1)。
16. 前記支柱固定装置(2)自体が強固に構成されたことを特徴とする請求項1
ないし15の一つまたは複数に記載の植木容器(1)。
17. 前記連結部材(12)および前記被連結部材(13)が関節部分として形成された
ことを特徴とする請求項1ないし16の一つまたは複数に記載の植木容器(1)。
18. 前記被連結部材(13’)が関節連結(21、22)を介して少なくとも一つの前記
支柱固定装置(2)と連結されたことを特徴とする請求項1ないし17の一つまたは
複数に記載の植木容器。
19. 前記関節連結(21、22)がピンとスリーブとの間の接続として構成されたこ
とを特徴とする請求項18に記載の植木容器。
20. ピン(21)が前記被連結部材(13’)に設けられ、かつスリーブ(22)が前記支
柱固定装置(2)に設けられたことを特徴とする請求項19に記載の植木容器。
21. 前記連結部材(12’)が切込み溝として形成され、かつ前記被連結部材(13
’)が溝に対応した反対部分(12’)として形成されたことを特徴とする請求項18
ないし20の一つまたは複数に記載の植木容器。
22. 前記溝(12’)が蟻溝型の断面を有することを特徴とする請求項21記載の植
木容器。
23. 前記溝(12’)の下方の端において、前記被連結部材(13’)を寄りかから
せることができる止め具(20)が設けられたことを特徴とする請求項21または22に
記載の植木容器。
24. 前記溝(12’)が縦方向に伸び、かつ溝壁(15)が前記植木容器(1)と一体形
成されたことを特徴とする請求項21または23の一つまたは複数に記載の植木容器
。
25. 二つの前記支柱固定装置(2)が関節連結(5'、3)によって連結され、かつ関
節連結(5'、3)が、略縦方向に伸びる旋回軸(3)を有することを特徴とした請求項
18ないし24の一つまたは複数に記載の植木容器。
26. 前記旋回軸が支柱(3)で形成されたことを特徴とした請求項25に記載の植
木容器。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),CA,JP,US