JP2000357389A - 巨大磁気抵抗効果を利用したメモリ素子 - Google Patents

巨大磁気抵抗効果を利用したメモリ素子

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JP2000357389A JP11137084A JP13708499A JP2000357389A JP 2000357389 A JP2000357389 A JP 2000357389A JP 11137084 A JP11137084 A JP 11137084A JP 13708499 A JP13708499 A JP 13708499A JP 2000357389 A JP2000357389 A JP 2000357389A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メモリ素子を動作させるためのスイッチング
素子が磁気抵抗膜とモノリシックに形成された、集積度
の高いGMRメモリ素子を提供する。 【解決手段】 絶縁性の表面を有する基板上に単結晶半
導体層を有し、この単結晶半導体層にスイッチング素子
が形成され、メモリセルの磁気抵抗膜及びワード線のい
ずれかにスイッチング素子が電気的に接続されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、巨大磁気抵抗(G
MR)効果を用いたメモリ素子に関し、更に詳しくは、
消費電力が小さく、メモリ特性に優れ、コンピュータ周
辺機器に用いるのに適した安価なメモリ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータや電子機器に利用されるメ
モリ素子に関しては、激しい技術開発競争が繰り広げら
れ、日新月歩のスピードで技術が進展している。様々な
新しいメモリ素子が提案されるなか、近年、非磁性層を
強磁性層の間に挟み込んで成る磁気抵抗膜において、巨
大磁気抵抗(GMR)効果が発見され、この現象を利用
した磁気センサー、メモリ素子などが注目を集めつつあ
る。本発明は、この巨大磁気抵抗(GMR)効果を用い
たメモリ素子に関するものであり、以下、GMRメモリ
素子と略称する。
【0003】GMRメモリ素子の基本構造は、室温にお
いて互いに異なる保磁力を有する2つの強磁性層と、こ
れらの強磁性層の間に挟み込んだ非磁性層とから成る。
情報は、外部から磁場を印加し、これらの強磁性層の磁
化の向きを切換えることによって書き込まれる。すなわ
ち、互いに反対方向に磁化が向いている状態をそれぞれ
“0”、“1”に対応させて、情報が記憶される。
【0004】一方、記憶された情報を読み出す際には、
書き込み時の磁場よりも弱い交流磁場を印加し、保磁力
の小さい磁性層の磁化のみを反転させると共に、磁気抵
抗膜に電流を流し、磁化の反転の前後の抵抗値の変化に
よって情報を読み出す。これは、2つの磁性層の磁化が
同方向を向いている状態(平行状態)と、2つの磁性層
の磁化が互いに反対の方向を向いている状態(反平行状
態)とで、抵抗値が異なることを利用したものである。
【0005】上記のようなGMRメモリ素子は、情報が
磁気的に記憶されるため、放射線耐性に優れ、原理的に
不揮発であり、書き換え可能で、且つ、書き換え回数の
制限がないといった利点を有する。また、高速で情報の
書き込み、読み出しを行うことができる。更に、既存の
半導体技術を用いて素子サイズを小型化することによ
り、高密度の情報記憶が可能で、将来的にはダイナミッ
ク・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)の置き換
えに用いられることが期待される。このようなGMRメ
モリ素子に関しては、例えば特開平6−243673号
公報に記載されている。
【0006】GMRメモリ素子の動作原理を、以下によ
り詳細に説明する。図22はGMRメモリ素子の基本構
成を示す概略断面図である。図22において、101は第
1磁性層、102は非磁性層、103は第2磁性層、104は絶
縁層、105はワード線(書き込み線)示す。これらの層
は、不図示の基板上に順次、積層されて形成される。
【0007】上記第1磁性層101は軟磁性材料から形成
され、第2磁性層103は硬磁性材料から形成される。軟
磁性材料、硬磁性材料は、保磁力の大きさによって区別
され、保磁力の高い磁性材料を硬磁性材料、保磁力の低
い磁性材料を軟磁性材料と呼ぶ。つまり、図22のメモ
リ素子では、第2磁性層103は、第1磁性層101よりも室
温において高い保磁力を有している。
【0008】機能的には、第2磁性層103は書き込まれ
た情報を保持し、第1磁性層101は読み出し時に磁化が
反転して、抵抗値を変化させる役割を果たす。したがっ
て、第1磁性層101を再生層、第2磁性層103をメモリ層
と呼ぶこともできる。
【0009】図22のGMRメモリ素子への情報の書き
込みは、ワード線105に電流を流すことによって発生す
る磁界で、メモリ層である第2磁性層103の磁化方向を
変えることにより行われる。この様子を図23(a)及
び(b)で説明する。これらの図において、図22と同
一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略す
る。
【0010】図23(a)は、“0”を書き込む場合を
示している。ワード線105に対し、紙面に垂直方向に奥
側から手前側に向かって電流を流すと、矢印106-1の方
向に磁界が発生する。書き込みの際には、大きな磁界を
印加するので、再生層である第1磁性層101の磁化だけ
でなく、第2の磁性層103の磁化も右方向に向けられ
る。このような図23(a)の状態が“0”を示す。
【0011】一方、図23(b)は、“1”を書き込む
場合を示している。ワード線105に対し、紙面に垂直方
向に手前側から奥側に向かって電流を流すと、矢印106-
2の方向に磁界が発生する。そして、第1磁性層101及び
第2の磁性層103の磁化が共に左方向に向けられる。こ
のような図23(b)の状態が“1”を示す。
【0012】上記のように書き込まれた情報は、ワード
線105に書き込み時よりも小さい電流を方向を切り換え
て流すことによって読み出すことができる。つまり、ワ
ード線105に正及び負の再生電流パルスを順番に流し、
再生層である第1磁性層101の磁化を反転させると共
に、第1磁性層101、非磁性層102及び第2磁性層103か
ら成る磁気抵抗膜に電流を流し、この間の磁気抵抗膜の
抵抗値の変化を検出することによって、書き込まれた情
報が再生される。
【0013】上記のような情報再生の原理を、図24
(a)、(b)及び図25(a)、(b)で説明する。
これらの図において、図22と同一の部材には同一の符
号を付し、詳細な説明は省略する。
【0014】まず、図23(a)のように“0”が記憶
されている場合を説明する。図24(a)のようにワー
ド線105に対し、はじめ紙面に垂直方向に手前側から奥
側に向かって電流を流し、次に図25(a)のように紙
面に垂直方向に奥側から手前側に向かって電流を流す。
すると、はじめ紙面に垂直方向に手前側から奥側に向か
って電流を流すと、矢印107に示す磁界が発生する。こ
の磁界は、書き込み時よりも小さいため、第1磁性層10
1の磁化は図24(a)に示すように左向きに反転する
が、第2磁性層103の磁化は右向きのままである。
【0015】次に、紙面に垂直方向に奥側から手前側に
向かって電流を流すと、矢印108に示す磁界が発生し、
第1磁性層101の磁化は図25(a)に示すように右向
きとなる。
【0016】この間の2つの磁性層の磁化方向に注目す
ると、はじめに図24(a)に示す状態では第1磁性層
101と第2磁性層103の磁化方向は反平行であり、次に図
25(a)の状態になると、第1磁性層101と第2磁性
層103の磁化方向は平行になる。磁気抵抗膜において、
2つの磁性層の磁化方向が反平行の時は大きな抵抗値を
示し、2つの磁性層の磁化方向が平行の時には小さな抵
抗値を示す。したがって、上記のようにワード線105に
正負の再生電流パルスを流した時に、抵抗値が高抵抗か
ら低抵抗に変化したら、“0”が書き込まれていると読
み取ることができる。
【0017】上記抵抗値の変化は、例えば磁気抵抗膜に
一定の電圧を印加しておき、ワード線105に再生電流パ
ルスを流した時の電流値の変化によって検出することが
できる。つまり、上記のようにワード線105に正負の再
生電流パルスを流した時に、磁気抵抗膜に流れる電流が
小さい状態から大きな状態に変化したら、書き込まれた
情報は、“0”であると判断する。
【0018】次に、図23(b)のように“1”が記憶
されている場合を説明する。図24(b)のようにワー
ド線105に対し、はじめ紙面に垂直方向に手前側から奥
側に向かって電流を流し、次に図25(b)のように紙
面に垂直方向に奥側から手前側に向かって電流を流す。
すると、はじめ紙面に垂直方向に手前側から奥側に向か
って電流を流すと、矢印107に示す磁界が発生するが、
第1磁性層101及び第2磁性層103の磁化方向は共に左向
きのままである。
【0019】次に、紙面に垂直方向に奥側から手前側に
向かって電流を流すと、矢印108に示す磁界が発生し、
第1磁性層101の磁化は図25(b)に示すように右向
きに反転する。
【0020】この間の2つの磁性層の磁化方向に注目す
ると、はじめに図24(b)に示す状態では第1磁性層
101と第2磁性層103の磁化方向は平行であり、次に図2
5(b)の状態になると、第1磁性層101と第2磁性層1
03の磁化方向は反平行になる。したがって、上記のよう
にワード線105に正負の再生電流パルスを流した時に、
抵抗値が低抵抗から高抵抗に変化したら、“1”が書き
込まれていると読み取ることができる。つまり、磁気抵
抗膜に一定の電圧を印加しておき、ワード線105に正負
の再生電流パルスを流した時に、磁気抵抗膜に流れる電
流が大きい状態から小さい状態に変化したら、書き込ま
れた情報は、“1”であると判断する。
【0021】以上説明したように、GMRメモリ素子
は、ワード線に書き込む情報に応じて方向の異なる書き
込み電流を流すことによって情報を記録することができ
る。また、ワード線に書き込み電流よりも小さい正負の
再生電流パルスを流し、この時の抵抗値の変化から記録
された情報が“0”か“1”か識別することができる。
このような記録再生方法は、不揮発、非破壊で、高速駆
動が可能であることから、理想的なメモリ特性が期待で
きる。
【0022】一方、記録及び再生の際に、GMRメモリ
素子から電流がリークすることを防止するため、通常、
GMR素子は絶縁体上に形成される。このようなGMR
メモリ素子の一例として、特開平9−45074号公報
には、絶縁性表面を持つ基板上に、単結晶シリコン膜が
形成された、所謂SOI(Silicon On Insulator)基板
を用いた例が記載されている。このようなGMRメモリ
素子の概略断面図を図26に示す。
【0023】図26において、206はシリコン基板、207
は絶縁層、208はエピタキシャル成長された単結晶シリ
コン層、209はCuから成るバッファー層、201は第1磁
性層、202は非磁性層、203は第1磁性層よりも室温にお
いて大きな保磁力を持つ第2磁性層、204は絶縁層、205
はワード線(書き込み線)をそれぞれ示す。ここで、シ
リコン基板206、絶縁層207及び単結晶シリコン層208が
SOI基板を構成している。図5に示すGMRメモリ素
子においても、情報の書き込み及び読み出しは、図22
〜図25で説明した方法と同様の方法で行われる。
【0024】図26に示すGMRメモリ素子は、絶縁層
204によってシリコン基板206への電流のリークを防止で
きる。また、図26の素子では、SOI基板上に、第1
磁性層201、非磁性層202及び第2磁性層203をエピタキ
シャル成長させることにより、小さな磁場で大きな磁気
抵抗値の変化を示し、書き込みが容易で信頼性の高いメ
モリ素子が得られる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
9−45074号公報に記載されたGMRメモリ素子に
おいて、SOI基板は単に磁気抵抗膜を形成するための
ベース部材として用いられているだけで、SOI基板の
特徴を十分に活かしたものとはいえなかった。
【0026】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解決し、SOI基板の特徴を十分に活かし、メモリ素子
を動作させるためのスイッチング素子が磁気抵抗膜とモ
ノリシックに形成された、集積度の高いGMRメモリ素
子を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、絶
縁性の表面を有する基板、前記基板の絶縁性表面上に形
成された単結晶半導体層、前記単結晶半導体層の少なく
とも一部に形成されたスイッチング素子、前記基板の絶
縁性表面上に形成された、第1磁性層と、第1磁性層よ
りも高い保磁力を有し、第1磁性層に非磁性層を間に挟
んで積層された第2磁性層とから成る磁気抵抗膜、及
び、前記磁気抵抗膜の近傍に、間に絶縁層を挟んで設け
られたワード線とから成り、前記スイッチング素子が、
磁気抵抗膜及びワード線のいずれかに電気的に接続され
ていることを特徴とする巨大磁気抵抗効果を利用したメ
モリ素子によって達成される。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のGMRメモリ素
子の第1の実施態様を示す概略断面図である。この第1
実施態様は、1ビットの情報を記憶する1つのメモリセ
ルと、このメモリセルのスイッチングを行う1つのスイ
ッチング素子とを有する、本発明の最もシンプルな構成
を示すものである。
【0029】図1において、41はシリコン基板、42
はシリコン基板41上に形成されたSiO2から成る絶
縁層、43は絶縁層42上に形成された単結晶シリコン
層をそれぞれ示す。これらシリコン基板41、絶縁層4
2及び単結晶シリコン層43が所謂SOI基板を構成す
る。絶縁層42の膜厚は作製しようとするメモリ素子の
構成によって適宜選択されるが、十分な絶縁性を得るた
め、100nm〜1μmの厚さに形成することが望まし
い。
【0030】このようなSOI基板は、例えば米国特許
第5371037号に記載されているように、多孔質シ
リコン層上にエピタキシャル成長された単結晶シリコン
層を、絶縁層を間に挟んで他の基板と貼り合せた後、多
孔質シリコン層を除去する方法によって形成される。ま
た、SOI基板は、シリコン基板の表面から所定の深さ
に酸素イオンを注入し、この後、熱処理することによっ
て表面の単結晶シリコン層の下に酸化シリコンから成る
絶縁層を形成する方法、あるいは米国特許第53745
64号に記載されているように、シリコン基板の表面か
ら所定の深さに水素イオンを注入した後、熱処理するこ
とによって表面の単結晶シリコン層の下にマイクロバブ
ル領域を形成し、単結晶シリコン層を他の基板に貼り合
せた後、マイクロバブル領域で基板を分離する方法な
ど、周知のいかなる方法で作製されたものでも用いるこ
とができる。
【0031】単結晶シリコン層43の一部には、ソース
領域48、ゲート領域49及びドレイン領域50が形成
されている。そして、ゲート領域49の上には、ゲート
絶縁層52を挟んでゲート電極53が設けられ、これら
によって電界効果型トランジスタ(FET)51が構成
されている。この電界効果型トランジスタ51は、周知
の半導体プロセスを用いて作製される。例えば、ソース
領域48、ゲート領域49及びドレイン領域50は、単
結晶シリコン層43の一部に不純物を拡散させる等の方
法で形成することができる。
【0032】単結晶シリコン層43の上には、磁気抵抗
膜47が形成されている。この磁気抵抗膜47は、単結
晶シリコン層43の上に、第1磁性層44、非磁性層4
5及び第2磁性層46を順に積層することによって形成
される。第2磁性層46は、第1磁性層44よりも室温
において高い保磁力を有している。つまり、第2磁性層
46は、図1で説明したメモリ層(書き込み層)の機能
を果たし、第1磁性層44は再生層(読み出し層)の機
能を果たす。第1磁性層44及び第2磁性層46は、共
にNi、Fe、Coやこれらの元素の少なくとも1種を
含む合金から形成される。そして、これら元素の組合わ
せあるいは組成を互いに異ならせることによって、第2
磁性層46が第1磁性層44よりも高い保磁力を有する
ように形成されている。これらの磁性層を形成する材料
としては、例えばCo、NiFe、NiFeCo、Fe
Co、CoFeBといった材料が用いられる。また、第
1磁性層44あるいは第2磁性層46を2層以上の多層
構成としても良い。例えば、第2磁性層46として、厚
さ5nmのCo層と厚さ30nmのFeMn層を積層し
た2層構成のものを用いても良い。
【0033】第1の磁性層44及び第2の磁性層46
は、逆の順に形成しても良い。即ち、単結晶シリコン層
43上に、第2磁性層46、非磁性層45及び第1磁性
層44の順に形成することもできる。また、第1の磁性
層44及び第2の磁性層46の膜厚は好ましくは、それ
ぞれ2〜100nmの範囲に形成される。
【0034】非磁性層45の材料としては、Cu、A
g、Au、Al、Mg等の金属が好適に用いられ、特に
好ましくはCuが用いられる。非磁性層45の膜厚は、
1〜10nmの範囲に形成されることが望ましい。成膜
方法にもよるが、1nm以下では膜が島状に成長するこ
とでピンホールが発生する恐れがある。このようなピン
ホールが発生すると、第1及び第2磁性層の相互作用に
より磁気抵抗が発現しない場合がある。一方、非磁性層
45が10nmより厚い場合には、第1及び第2磁性層
間の間隔が電子の平均自由行程に対し広すぎて、スピン
依存性散乱が減少するため、磁気抵抗が小さくなる。
【0035】前記電界効果型トランジスタ51のドレイ
ン領域50は、この磁気抵抗膜47の一端に電気的に接
続されてる。そして、この電界効果型トランジスタ51
は、磁気的抵抗膜47に電流を流す際のスイッチング素
子の機能を果たす。この点から、一部に電界効果型トラ
ンジスタ51が形成される単結晶シリコン層43の膜厚
は非常に重要である。単結晶シリコン層43の膜厚は、
50〜500nmの範囲に形成されることが望ましい。
【0036】単結晶シリコン層43の膜厚が50nmよ
り薄いと、格子欠陥の発生によって結晶性が悪化し、こ
の上に形成される磁気抵抗膜の均一性に悪影響を及ぼ
し、メモリ特性が低下したり、電界効果型トランジスタ
を作製するためにイオン注入を行った場合に、このイオ
ン注入によるダメージが絶縁層42にまでおよび、所望
の半導体特性が得られず、電界効果型トランジスタの動
作が不安定になる恐れが生じる。また、単結晶シリコン
層43の膜厚が500nmより厚いと、消費電力が大き
くなり、スイッチング速度が低下したり、磁気抵抗膜以
外に流れるリーク電流が増えて、磁気抵抗が低くなり、
再生時に大きな信号強度が得られない恐れがある。更
に、単結晶シリコン層43の膜厚が500nmより厚い
と、上記イオン注入によって注入されたイオンの濃度プ
ロファイルが生じ、この単結晶シリコン層43の一部に
作製された電界効果型トランジスタ51の動作特性にバ
ラツキが生じる場合がある。単結晶シリコン層43の膜
厚は、より望ましくは50〜250nmの範囲、更に望
ましくは60〜120nmに形成される。
【0037】上記磁気抵抗膜47上には、絶縁層54を
介してワード線(書き込み線)55が形成されている。
ワード線55は書き込み電流を流すために導電性の高い
材料で形成され、Al,Cu,Au等の金属膜から形成
されるのが望ましい。ワード線55の膜厚は、流す電流
の大きさや線幅によって決定されるが、通常、10〜1
000nmの範囲に形成されるのが望ましい。絶縁層5
4は、SiO2,SiN,Al23等の無機材料や、ノ
ボラック樹脂等の有機材料から形成される。この絶縁層
54の膜厚はワード線55に加えられる電力に対して必
要な絶縁耐圧に応じて決定されるが、通常5〜1000
nmの範囲に形成される。
【0038】図1では用いられていないが、単結晶シリ
コン層43と磁気抵抗膜47の間に、これらの層間の表
面自由エネルギーを調整し、より平坦性の高い界面構造
を実現する目的で、バッファ層を設けても良い。バッフ
ァ層の材料としては、Ta,Cu,Cr等の各種金属
や、SiN,SiO2,Al23等の絶縁体が用いられ
る。より好ましくはTaあるいはSiNが用いられる。
バッファ層の膜厚は2〜10nmの範囲に形成されるこ
とが望ましい。成膜方法にもよるが、2nmよりも薄い
と、島状に成長することにより膜質が不均一になる恐れ
があり、10nmよりも厚いと生産性が低下する恐れが
ある。
【0039】図6の実施態様において、ワード線55の
下の部分の磁気抵抗膜47が、1ビットの情報を記憶す
る最小単位であるメモリセルとなる。このメモリセルへ
の情報の書き込みは、図23(a),(b)で説明した
方法と同様に、ワード線55に流す電流の方向によって
“0”あるいは“1”が選択的に書き込まれる。例え
ば、ワード線55に紙面に垂直方向に奥側から手前側に
電流を流した時には“0”が、紙面に垂直方向に紙面手
前側から奥側に電流を流した時には“1”が書き込まれ
る。電流の流れる方向と“0”及び“1”との関係は反
対の関係でも構わない。
【0040】電界効果型トランジスタ51を情報書き込
みの際のスイッチングに用いることができる。電界効果
型トランジスタ51のソース領域48、ゲート電極53
及び磁気抵抗膜47の電界効果型トランジスタ51に接
続された端部と反対側の端部には、それぞれ端子56,
57及び58が電気的に接続されている。端子56と端
子58の間に電圧を印加し、端子57に電圧を印加する
と、電界効果型トランジスタ51がオン状態となり、磁
気抵抗膜47に電流が流れる。このように磁気抵抗膜4
7に電流が流れている状態の時に、ワード線55に書き
込み電流を流したときに、これらの電流による磁界が重
畳されて初めて情報が記録されるように、それぞれの電
流値を設定しても良い。この場合、電界効果型トランジ
スタ51がオフ状態では、磁気抵抗膜47には電流が流
れず、ワード線55に電流が流れていても、情報は書き
込まれない。つまり、電界効果型トランジスタ51をオ
ン/オフすることにより、情報の書き込みを制御でき
る。
【0041】一方、図1に示すGMRメモリ素子に書き
込まれた情報は、図24(a),(b)及び図25
(a),(b)で説明した方法と同様の方法で読み出す
ことができる。端子56と端子58の間に一定の電圧を
印加し、電界効果型トランジスタ51をオン状態にする
と、磁気抵抗膜47に読み出し電流が流れる。この状態
で、ワード線55に時間的に方向が切り換わる交流再生
パルス電流を印加すると、磁気抵抗膜47の抵抗値の変
化により、端子56及び58間に流れる電流が変化す
る。この電流変化、即ち電流が大きい状態から小さい状
態に変化するか、小さい状態から大きい状態に変化する
かによって、書き込まれた情報が“0”が“1”かを判
別することができる。
【0042】図1に示すGMRメモリ素子は、フォトリ
ソグラフィーに代表される周知の微細加工パターニング
方法を用いて作製することができる。また、第1及び第
2磁性層、非磁性層、絶縁層、ワード線等は、蒸着法、
スパッタリング法、分子ビームエピタキシー(MBE)
法など周知の各種方法を用いて成膜することができる。
【0043】図2〜図4は、上記のようなメモリセル
を、SOI基板上に、M×N個(M及びNはそれぞれ2
以上の整数)のマトリックス状に形成した本発明のGM
Rメモリ素子の第2実施態様を示す図である。図2はG
MRメモリ素子の平面図を示し、図3は図2におけるA
−Aに沿った概略断面図、図4は図2におけるB−Bに
沿った概略断面図である。これらの図において、同一の
部材には同一の符号を付している。
【0044】これらの図において、11はシリコン基板
を示し、このシリコン基板11上には、絶縁層12を介
して単結晶シリコン層13が形成されている。このシリ
コン基板11、絶縁層12及び単結晶シリコン層13
が、所謂SOI基板を構成している。本実施態様に用い
るSOI基板も、第1の実施態様で説明した周知の基板
作製方法を用いて作製される。単結晶シリコン層13
は、X方向に延びるライン状にパターニングされ、Y方
向に単結晶シリコン層13のラインがN本、互いに平行
に形成されている。また、単結晶シリコン層13は、X
方向にM個並んで配置された電界効果型トランジスタ4
−1〜4−Mを形成するためにも用いられている。上記
N本のライン及び電界効果型トランジスタ4−1〜4−
Mを形成した部分以外の単結晶シリコン層13は、絶縁
層12に達するまでエッチングすることによって除去さ
れている。
【0045】基板上に残された単結晶シリコン層13の
N本のラインの一方の端部にはそれぞれ電界効果型トラ
ンジスタ1−1〜1−Nが形成されている。おのおのの
電界効果型トランジスタ1−1〜1−Nは、ソース領域
20、ゲート領域21及びドレイン領域22を有し、ゲ
ート領域21上には、膜厚の薄いゲート絶縁層23を介
してゲート電極3−1〜3−Nが形成されている。ま
た、ソース領域20上のゲート絶縁層23には、コンタ
クトホール24が形成され、ソース領域20にソース電
極2−1〜2−Nが電気的に接続されている。これらの
電界効果型トランジスタ1−1〜1−Nは、第1の実施
態様で説明したように、不純物拡散等の周知の半導体プ
ロセスを用いて作製される。
【0046】一方、電界効果型トランジスタ4−1〜4
−Mは、ソース領域27、ゲート領域26及びドレイン
領域25を有し、ゲート領域26上には、膜厚の薄いゲ
ート絶縁層28を介してゲート電極6−1〜6−Mが形
成されている。また、ソース領域27上のゲート絶縁層
28には、コンタクトホール29が形成され、ソース領
域27にソース電極5−1〜5−Mが電気的に接続され
ている。これらの電界効果型トランジスタ4−1〜4−
Mも、電界効果型トランジスタ1−1〜1−Nと同様
に、基板上に残された単結晶シリコン層13を用いて、
不純物拡散等の周知の半導体プロセスによって作製され
る。
【0047】上記N本のライン状の単結晶シリコン層1
3上には、それぞれバッファ層14を介して磁気抵抗膜
8−1〜8−NがX方向に延びるN本のライン状に、Y
方向に互いに平行に形成されている。おのおのの磁気抵
抗膜8−1〜8−Nは、それぞれ第1磁性層15、非磁
性層16及び第2磁性層17から構成されている。これ
らの層は、第1の実施態様で説明したような材料で、同
様の膜厚に形成される。
【0048】磁気抵抗膜8−1〜8−Nの電界効果型ト
ランジスタ1−1〜1−Nが設けられた側の端部には、
それぞれセンス線(読み出し線)7−1〜7−Nが形成
されている。これらのセンス線7−1〜7−Nは、電界
効果型トランジスタ1−1〜1−Nのドレイン領域22
と磁気抵抗膜8−1〜8−Nとを良好に電気的に接続す
るためのもので、導電性の高い材料で形成され、Al,
Cu,Au等の金属膜から形成されるのが望ましい。ま
た、磁気抵抗膜8−1〜8−Nの他方の端部は、センス
線10によって互いに電気的に接続された上で、アース
されている。このセンス線10も、導電性の高いAl,
Cu,Au等の金属膜から形成されるのが望ましい。
【0049】上記磁気抵抗膜8−1〜8−N上には、絶
縁層19が形成されている。この絶縁層19は磁気抵抗
膜8−1〜8−N上を覆うだけでなく、これらの磁気抵
抗膜の間の領域の絶縁層12上にも形成され、これらの
間を埋め込んで、上面が平坦になるように形成されてい
る。この絶縁層19上には、Y方向に延びるライン上の
ワード線(書き込み線)18−1〜18−Mが、X方向
に並んで互いに平行に形成されている。これらのワード
線18−1〜18−Mの一方の端部は、図4に示すよう
に、ゲート絶縁層28に形成されたコンタクトホール3
0を通して、電界効果型トランジスタ4−1〜4−Mの
ドレイン領域25にそれぞれ電気的に接続されている。
また、ワード線18−1〜18−Mの他方の端部は、互
いに電気的に接続された上で、アースされている。絶縁
層19及びワード線18−1〜18−Mは、第1の実施
態様で説明した材料によって、同様の膜厚で形成され
る。
【0050】これらのワード線18−1〜18−Mの下
にある磁気抵抗膜8−1〜8−Nの部分が、それぞれ1
ビットの情報を記憶するメモリセルと成る。即ち、図1
で見ると、ワード線18−1〜18−Mと磁気抵抗膜8
−1〜8−Nとの交点(オーバーラップした部分)にそ
れぞれメモリセル9−1−1,9−1−2,・・・,9
−N−Mが形成され、M×N個のメモリセルがマトリッ
クス状に配置される。本実施態様では、それぞれのメモ
リセルは区切られていないが、各磁性層には磁壁が形成
されるため、ワード線の下の部分のみがメモリとして機
能する。このため、本実施例によれば、GMRメモリ素
子を作製する場合のパターニングが簡略化でき、作製コ
ストを抑えることが可能である。
【0051】図5は、図2〜図4に示すGMRメモリ素
子を用いたメモリ装置を示す回路図である。図5におい
て、図2〜図4と同一の部材には同一の符号を付し、詳
細な説明は省略する。
【0052】アドレスバス31は、書き込み及び読み出
しを行うメモリセルを指定するためのもので、特定のメ
モリセルを示すアドレス信号がセンスデコーダ33及び
ワードデコーダ32に送られ、書き込み及び読み出しが
実行される。センスデコーダ33は、電界効果型トラン
ジスタ1−1〜1−Nのオン/オフを切り換えて、磁気
抵抗膜に流す電流をコントロールすると共に、磁気抵抗
膜に流れる電流値を測定して、磁気抵抗膜の抵抗変化を
検出する機能を有している。一方、ワードデコーダ32
は、電界効果型トランジスタ4−1〜4−Mのオン/オ
フを切り換えると共に、ワード線に流す電流を発生し、
この電流値を制御する機能を有する。
【0053】メモリセルに対し情報を書き込む方法につ
いてセル9−2−2を例に説明する。
【0054】まず、アドレスバス31からセンスデコー
ダ33、ワードデコーダ32に対してセル9−2−2を
選択するアドレス信号が命令される。命令を受けたセン
スデコーダ33は電界効果型トランジスタ1−2のゲー
トに対しON命令を出してセル9−2−2が形成された
磁気抵抗膜8−2を選択し、センス電流をこの磁気抵抗
膜に流す。
【0055】一方、命令を受けたワードデコーダ32は
ワード線18−2に接続された電界効果型トランジスタ
4−2のゲートに対しON命令を出してワード線18−
2を選択し、ワード電流をワード線18−2に流す。こ
のときのワード電流は書き込み動作であるため読み出し
に用いられるワード電流よりも大きい電流が印加され
る。
【0056】かくして磁気抵抗膜8−2のワード線4−
2の直下に位置するセル9−2−2に対してそれぞれの
線に印加された電流が発生する磁界が重畳された合成磁
界が加えられる。
【0057】発生した合成磁界は読み出し層の磁化方向
だけでなく情報を貯える書き込み層の磁化方向も反転す
るだけの大きさを持つ。
【0058】したがって、その際のワード線電流の向き
により“0”,“1”が記録される。同様な手順を全て
のセルに対して行うことにより全メモリ領域に情報が高
速非破壊に書き込まれる。
【0059】メモリセルに対し情報を読み出す方法につ
いてセル9−2−2を例に説明する。
【0060】まず、アドレスバス31からセンスデコー
ダ33、ワードデコーダ32に対してセル9−2−2を
選択するようアドレス信号が命令される。命令を受けた
センスデコーダ33は、磁気抵抗膜8−2に接続された
電界効果型トランジスタ1−2のゲートに対しON命令
を出して磁気抵抗膜8−2を選択し、センス電流を磁気
抵抗膜8−2に流す。一方、命令を受けたワードデコー
ダ32はワード線18−2に接続された電界効果型トラ
ンジスタ4−2のゲートに対しON命令を出してワード
線18−2を選択し、ワード電流をワード線18−2に
印加する。
【0061】このときのワード電流は読み出し動作であ
るため書き込みに用いられるワード電流よりも小さい電
流が印加される。
【0062】かくして磁気抵抗膜8−2のワード線4−
2の直下に位置するセル9−2−2に対してそれぞれの
線に印加された電流が発生する磁界が重畳された合成磁
界が加えられる。
【0063】発生した合成磁界は情報を貯える書き込み
層の磁化方向は固定したままだが、読み出し層の磁化は
反転するだけの大きさを持つため、“0”,“1”いず
れか記録されている情報によりセンスデコーダでセンス
電流の向きを2方向に振ることにより抵抗変化を検出し
て情報を読み出すことができる。
【0064】同様な手順を全てのセルに対して行うこと
により全メモリ領域の情報が高速非破壊に読み出され
る。
【0065】本実施態様においても、情報の書き込み及
び読み出しの原理は、図23〜図25及び第1の実施態
様で説明した原理と同様である。
【0066】図5において、一点鎖線で囲った部分が、
図2〜図4に示すGMRメモリ素子に相当する。本実施
態様では、アドレスバス31、センスデコーダ33及び
ワードデコーダ32は、GMRメモリ素子とは別に作製
され、GMRメモリ素子に接続する例を示したが、これ
らの回路をSOI基板上の単結晶シリコン層を用いて形
成し、これらの回路をGMRメモリ素子と同一の基板上
にもノリシックに形成することもできる。
【0067】以下により具体的な実施例を示す。
【0068】〔実施例1〕図2〜図4に示す構成のGM
Rメモリ素子を作製した。磁気抵抗膜およびワード線の
数はそれぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモリ
セルが8×8のマトリックス状に配置された64ビット
のGMRメモリ素子とした。SOI基板としては、先に
引用した米国特許第5371037号に記載された方法
で作製された8インチサイズの基板を用いた。
【0069】Si層の厚さは30nm、50〜600n
mまで50nm刻みに、700〜1000nmまで10
0nm刻みに用意した。結晶方位は(100)で、軽く
ドープしたn形Siとなっている。SiO2の厚さは1
μmである。
【0070】この基板に対しフォトリソグラフィーによ
るパターニングを施して成膜やミリングをする領域をレ
ジストマスクで定義した。また、不純物元素の混入を防
ぐため、磁気抵抗膜以外の半導体プロセスを先に行い保
護膜でカバーした。
【0071】磁気抵抗膜の成膜にスパッタ装置を用い
て、到達圧力5×10-5Pa以下でバッファ層であるS
iN、第1磁性層であるNi80Fe20、非磁性層である
Cu、第2磁性層であるCo、絶縁膜であるSiN、セ
ンス線であるAl、ワード線であるAlを成膜した。
【0072】膜厚はそれぞれ、バッファ層であるSiN
が5nm、第1磁性層であるNi80Fe20が10nm、
非磁性層であるCuが5nm、第2磁性層であるCoが
10nm、絶縁膜であるSiNが30nm、センス線で
あるAlが30nm、ワード線であるAlが50nmで
ある。ここで、第1磁性層は軟磁性材料であり読み出し
(再生)層として、第2磁性層は硬磁性材料であり書き
込み(メモリ)層として機能する。
【0073】成膜時には、基板表面方向に同じ磁気異方
性を持つよう永久磁石を配置してある。永久磁石の発生
する磁界強度は、測定中心で20Oeとした。素子の加
工にはイオンミリングとリフトオフを併用して実際の素
子パターンを形成した。
【0074】上記のプロセスを経て作製した64ビット
のメモリ素子に対しアクセス信号を出して素子特性を評
価した。消費電力、アクセススピード、アクセス動作或
いはメモリとしての安定性というパラメータを勘案し総
合的に下した判断の結果を表1に示す。Si層の厚さが
50〜500nmの範囲で良好な特性が得られた。
【0075】中でも50〜250nmの範囲で最良の結
果が得られた。上記の結果を受け、より詳細に検討する
ためにSi層が50nmから250nmまで10nm刻
みのSOI基板を用意して同様な検討をしたところ、さ
らに望ましくは60〜120nmの範囲がよいことがわ
かった。30nmや550nmより厚いものでは特性が
悪く、消費電力が低下せずスイッチングが高速化しなか
ったり、スイッチングトランジスタの動作が不安定にな
った。
【0076】
【表1】
【0077】図6及び図7は、SOI基板上にメモリセ
ルをM×N個のマトリックス状に形成した本発明のGM
Rメモリ素子の第3の実施態様を示す図である。図6は
GMRメモリ素子の平面図を示し、図7は図6における
C−Cに沿った概略断面図である。Y方向に沿った概略
断面図は、図4と同様であるため省略した。図6及び図
7において、図2〜図4と同一の部材には同一の符号を
付し、詳細な説明は省略する。
【0078】本実施態様は、メモリセルを構成するワー
ド線の下の部分を除いて磁気抵抗膜を除去し、残った磁
気抵抗膜をセンス線(読み出し線)40−1−1,40
−2−1,・・・40−M−Nで接続した点でのみ第2
の実施態様と相違する。本実施態様によれば、これらの
センス線の導電率を調整することにより、電界効果型ト
ランジスタのドレイン領域に繋がる合成抵抗の大きさを
調整するものである。本実施態様も、第2の実施態様と
同様の材料、同様の方法で作製することができ、書き込
み及び読み出しも同様の方法で行われる。
【0079】〔実施例2〕図6及び図7に示す構成のG
MRメモリ素子を作製した。磁気抵抗膜およびワード線
の数はそれぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモ
リセルが8×8のマトリックス状に配置された64ビッ
トのGMRメモリ素子とした。SOI基板としては、先
に引用した米国特許5371037号に記載された方法
で作製された8インチサイズの基板を用いた。
【0080】磁気抵抗膜等の構成は、実施例1と同様の
材料を用い、同様の方法で作製した。センス線として
は、Al膜を用いた。
【0081】このように作製した64ビットのメモリ素
子に対し、アクセス信号を入力して素子特性を評価し
た。消費電力、アクセススピード、アクセス動作及びメ
モリとしての安定性に関しては、実施例1と全く同様の
結果が得られた。
【0082】単結晶シリコン層の厚さに関しては、50
〜500nm範囲で良好な結果が得られた。中でも50
〜250nmの範囲で最良の結果が得られた。30nm
や550nmより厚いものでは特性が悪く、消費電力を
低く抑えることができず、スイッチング速度が低かった
り、電界効果型トランジスタの動作が不安定になった。
【0083】図8及び図9は、SOI基板上にメモリセ
ルをM×N個のマトリックス状に形成した本発明のGM
Rメモリ素子の第4の実施態様を示す図である。図8は
GMRメモリ素子の平面図を示し、図9は図8における
D−Dに沿った概略断面図である。Y方向に沿った概略
断面図は、図4と同様であるため省略した。図8及び図
9において、図6及び図7と同一の部材には同一の符号
を付し、詳細な説明は省略する。
【0084】本実施態様は、ワード線によって発生する
磁界をメモリセルの部分に集中させるための磁界集中層
35及び36を、各メモリセルの両側にそれぞれ配置し
た点でのみ第3の実施態様と相違する。
【0085】ワード線に流す電流はセンス線と比べ大き
いため、発生する磁界が大きく合成磁界の主成分となっ
ている。ワード線によって発生する磁界は反磁界により
拡散する。セルを高集積化した場合にはメモリセル同士
の間隔が狭くなるため隣接セルのワード線によって発生
する磁界による影響が無視できなくなる。こうした影響
を抑えるためにはワード線での磁界をなるべく該当セル
に集中する必要がある。
【0086】強磁性層/非磁性層/強磁性層という構成
からなるメモリセルに対してそれを取り囲むように周囲
に透磁率の高い材料による磁界集中層を設けることによ
り、磁界集中層の中を発生磁界と反磁界が通過するため
該当セルへの集中化が達成される。
【0087】〔実施例3〕図8及び図9に示す構成のG
MRメモリ素子を作製した。磁気抵抗膜およびワード線
の数はそれぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモ
リセルが8×8のマトリックス状に配置された64ビッ
トのGMRメモリ素子とした。SOI基板としては、先
に引用した米国特許5371037号に記載された方法
で作製された8インチサイズの基板を用いた。
【0088】磁気抵抗膜等の構成は、実施例1と同様の
材料を用い、同様の方法で作製した。磁界集中層35及
び36としては、面積が4μm2のメモリセルの両側
に、2μm離して、幅10nm,高さ50nmのFeN
膜を形成した。
【0089】このように作製した64ビットのメモリ素
子に対し、アクセス信号を入力して素子特性を評価し
た。消費電力、アクセススピード、アクセス動作及びメ
モリとしての安定性を勘案し、総合的に判断した結果を
表2に示す。
【0090】単結晶シリコン層の厚さに関しては、50
〜500nm範囲で良好な結果が得られた。中でも、5
0〜250nmの範囲で最良の結果が得られた。30n
mや550nmより厚いものでは特性が悪く、消費電力
を低く抑えることができず、スイッチング速度が低かっ
たり、電界効果型トランジスタの動作が不安定になっ
た。
【0091】
【表2】
【0092】以上説明した実施態様はいずれも、磁気抵
抗膜の上に絶縁層を介してワード線を設けるものであっ
たが、本発明のGMRメモリ素子では、磁気抵抗膜の下
にワード線を設けることもできる。この例を以下に示
す。
【0093】図10及び図11は、図2〜図4で説明し
た第2の実施態様に対して、ワード線を磁気抵抗膜の下
部に設けた、本発明のGMRメモリ素子の第5の実施態
様を示す図である。ここで、図10は図3に対応するX
方向に沿った概略断面図であり、図11は図4に対応す
るY方向に沿った概略断面図である。図10及び図11
において、図2〜図4と同一の部材には、同一の符号を
付し、詳細な説明は省略する。
【0094】本実施態様においては、図3のワード線1
8−1〜18−Mに代えて、磁気抵抗膜8−1の下部
に、単結晶シリコン層13に埋め込まれるように、ワー
ド線59−1〜59−Mが設けられている。このため、
本実施態様では、図3及び図4に示される絶縁層19は
設けられていない。ワード線59−1の端部は、ゲート
絶縁層28に形成されたコンタクトホール30を通し
て、電界効果型トランジスタ4−1のドレイン領域25
に電気的に接続されている。
【0095】本実施態様においても、ワード線59−1
〜59−Mは、導電性の高いAl,Cu,Au等の金属
膜から形成されるのが望ましい。本実施態様において
は、ワード線と磁気抵抗膜を絶縁するため、バッファ層
14は絶縁性の材料から形成される必要がある。図10
及び図11では、ワード線59−1〜59−Mは単結晶
シリコン層13に埋め込まれるように形成されている
が、単結晶シリコン層13の表面に保護膜を形成し、こ
の上にワード線を形成するようにしても良い。本実施態
様も、これまで説明したいずれの実施態様とも同様の材
料、同様の方法で作製することができ、書き込み及び読
み出しも同様の方法で行われる。
【0096】以下、本実施態様の具体的な構成例を示
す。
【0097】〔実施例4〕磁気抵抗膜およびワード線の
数はそれぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモリ
セルが8×8のマトリックス状に配置された64ビット
のGMRメモリ素子とした。SOI基板としては、先に
引用した米国特許第5371037号に記載された方法
で作製された8インチサイズの基板を用いた。単結晶シ
リコン層の結晶方位は(100)で、軽くドープしたn
形シリコンとなっている。SiO2から成る絶縁層の厚
さは、1μmである。
【0098】この基板に対しフォトリソグラフィーによ
るパターニングを施した成膜やミリングをする領域をレ
ジストマスクで定義した。また、不純物元素の混入を防
ぐため、磁気抵抗膜以外の半導体プロセスを先に行い保
護膜でカバーした。さらに単結晶シリコン層の上にワー
ド線を形成した。ワード線であるAlの膜厚は50nm
である。
【0099】磁気抵抗膜の成膜にはスパッタ装置を用い
て、到達圧力5×10-5Pa以下でバッファ層であるS
iN、第1磁性層であるNi80Fe20、非磁性層である
Cu、第2磁性層であるCo、絶縁膜であるSiN、セ
ンス線であるAlを成膜した。膜厚はそれぞれ、バッフ
ァ層であるSiNが5nm、第1磁性層であるNi80
20が10nm、非磁性層であるCuが5nm、第2磁
性層であるCoが10nm、絶縁膜であるSiNが30
nmである。ここで、第1磁性層は軟磁性材料であり読
み出し(再生)層として、また第2磁性層は硬磁性材料
であり書き込み(メモリ)層として機能する。成膜時に
は、基板表面方向に同じ磁気異方性を持つよう永久磁石
を配置してある。永久磁石の発生する磁界強度は、測定
中心で200Oeとした。
【0100】素子の加工にはイオンミリングとリフトオ
フを併用して実際の素子パターンを形成した。
【0101】上記のプロセスを経て作製した64ビット
のメモリ素子に対しアクセス信号を出して素子特性を評
価した。消費電力、アクセススピード、アクセス動作あ
るいはメモリとしての安定性というパラメータを勘案し
総合的に評価したところ良好な特性を得ることができ
た。
【0102】図12は、図6及び図7で説明した第3の
実施態様に対して、ワード線を磁気抵抗膜の下部に設け
た、本発明のGMRメモリ素子の第6の実施態様を示す
図である。ここで、図12は図7に対応するX方向に沿
った概略断面図である。図12において、図7と同一の
部材には、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0103】本実施態様においては、図7のワード線1
8−1〜18−Mに代えて、磁気抵抗膜の下部に、単結
晶シリコン層13に埋め込まれるように、ワード線59
−1〜59−Mが設けられている。このため、本実施態
様では、図7に示される絶縁層19は設けられていな
い。
【0104】本実施態様においても、ワード線59−1
〜59−Mは、導電性の高いAl,Cu,Au等の金属
膜から形成されるのが望ましい。本実施態様において
は、ワード線と磁気抵抗膜を絶縁するため、バッファ層
14は絶縁性の材料から形成される必要がある。図12
では、ワード線59−1〜59−Mは単結晶シリコン層
13に埋め込まれるように形成されているが、単結晶シ
リコン層13の表面に保護膜を形成し、この上にワード
線を形成するようにしても良い。本実施態様も、これま
で説明したいずれの実施態様とも同様の材料、同様の方
法で作製することができ、書き込み及び読み出しも同様
の方法で行われる。
【0105】ここまで説明してきた実施態様において
は、磁気抵抗膜の膜面に平行に電流を流す、所謂CIP
(Current In Plane)型のものであっ
たが、GMRメモリ素子としては、膜面に垂直に電流を
流す所謂CPP(Current Perpendic
ular to the Plane)型のものも知ら
れている。これを以下に説明する。
【0106】GMRの構成を材料とメカニズムの観点か
ら分類すると、金属非磁性層を用いたスピン散乱型、一
方の強磁性層の磁化方向を反強磁性層で固定したスピン
バルブ型、絶縁体非磁性層を用いたスピントンネル型、
非磁性層中に磁性材料の微粒子を分散したグラニュラー
型、ペロプスカイト酸化膜を用いたCMR(Colos
sal Magneto Resistance)型等
がある。
【0107】スピン散乱型では非磁性層をCu等の金属
として2つの磁性層間のスピン依存散乱によりGMRが
発現する。すなわち磁性層の磁化の向きが平行な場合に
は、磁化と反対方向のスピンを持つ電子は散乱されるが
磁化と同じ向きのスピンを持つ電子は散乱されず、全体
として抵抗が低くなる。
【0108】逆に、磁性層の磁化の向きが反平行な場合
には、磁化と同方向なスピンを持つ電子、反対方向のス
ピンを持つ電子のいずれも散乱されるため全体として抵
抗が高くなる。MR比は、室温で5〜10%程度得ら
れ、電流と磁化の方向で決まる異方性磁気抵抗効果より
大きいが、スピントンネル型よりは小さい。
【0109】スピンバルブ型は、原理的にはスピン散乱
と同じだが、一方の強磁性層に反強磁性層を組み合わせ
ることで、磁化方向をピン止めしている点が異なる。
【0110】もう一方の磁性層の磁化方向は自由に回転
できる。磁化曲線を取ると磁化方向により非対称な形状
となり、ゼロ磁界付近で低抵抗から高抵抗へと線形に変
化するため、微小磁気をセンシングする磁気センサーに
適した構造となっている。現在ではハードディスクの読
み取りセンサとして実用化されている。
【0111】スピントンネル型では、非磁性層を絶縁体
として絶縁体を電子がトンネリングして2つの磁性層間
を移動し、スピン電子の状態密度の差に依存する形でG
MRが発現する。すなわち磁性層の磁化の向きが平行な
場合には、アップスピンを持つ電子はもう一方の強磁性
層の空いたアップスピンの状態に、ダウンスピンを持つ
電子はもう一方の強磁性層の空いたダウンスピンの状態
にトンネルできるためスピン電子の状態密度の差が小さ
くなり抵抗が低くなる。
【0112】逆に磁性層の磁化の向きが反平行な場合に
は、アップスピンを持つ電子、ダウンスピンを持つ電子
のいずれもトンネルできないためスピン電子の状態密度
の差が大きくなり抵抗が高くなる。MR比は室温で10
〜30%程度が得られ、スピン散乱型より大きい。ただ
し、絶縁体を挟んだ構造のため素子抵抗はスピン散乱型
より大きい。スピントンネル現象を利用しながら反強磁
性膜を使いスピンバルブ型として磁気抵抗膜の研究が次
世代のハードディスク読み取りセンサ用として盛んに研
究されている。
【0113】グラニュラー型には、非磁性層として金属
を用いたスピン散乱タイプと、絶縁体を用いたスピント
ンネルタイプが存在する。先述したスピン散乱型やスピ
ントンネル型では、各層ごとに役割分担を明確化してい
るのに対し、グラニュラー型では、マトリクス中に分散
した個々の微細磁性粒子のスピンに依存する形でGMR
を発現する点が大きな相違である。Co/AlOx系の
スピントンネルタイプにおいても、8%程度のMRが室
温で得られている。
【0114】GMR型ではペロブスカイト構造のMn酸
化物をスピン分極率のより高いペロブスカイトMn酸化
物で挟み込んだトンネル接合とするタイプやペロブスカ
イト註の層状構造をトンネル接合として利用するタイプ
が存在する。CMR型のスピン分極率は非常に高いため
極低温では400%ものMRが得られる。
【0115】GMRメモリ素子において、電流の流す方
向には、前述のように、CIP型とCPP型がある。先
に説明した第1〜第5の実施態様は全てCIP型であ
る。
【0116】CIPではスピン散乱型の磁気抵抗膜を用
いる。この場合1セルの抵抗はシート抵抗で10Ω程
度、センス線のシート抵抗は0.5Ωとなる。また、磁
気抵抗変化率は5〜10%程度とスピントンネル型と比
較して小さい。
【0117】CIP構造で多数のセルをセンス線に直列
接続して、その両端で信号検出する場合、繋っている多
数セルの抵抗値を合算した合成抵抗に対して1つのセル
分の抵抗変化を信号とするためSNが悪くなる。
【0118】これに対し、CPPでは、スピントンネル
型の磁気抵抗膜を用いるのがよく、この場合1セルの抵
抗は数kΩから数十kΩ程度とセンス線に比べて抵抗値
が大きい。また、磁気抵抗変化率も10〜30%程度と
スピン散乱型と比較して大きい。
【0119】すなわち磁気抵抗膜をセンス線に接続して
も十分大きな抵抗変化が得られ、よって大きなSNが得
られる。CPP構造では、センス線の交差点にセルを配
置するためセルを多数配置する場合、各々のセルは並列
に接続される。
【0120】このため特定のセルの抵抗を検出する場
合、そのセルに交差するセンス線に電流を流せば他のセ
ルの影響をあまり受けずに検出できるため、CIPと比
べSNは悪化しない。
【0121】したがって、CPP構造の方が1列のセン
ス線に接続可能なセル数が多く大規模なマトリクスを容
易に形成することができる。
【0122】つまり、メモリ素子として多数のメモリセ
ルを並べて駆動することを考えた場合にはCPP構造の
方が有利である。
【0123】以下に、磁気抵抗膜の膜面に垂直に電流を
流すCPP型の実施態様を説明する。
【0124】図13は、本発明のGMRメモリ素子の第
7の実施態様を示す概略断面図である。この第7の実施
態様は、1ビットの情報を記憶する1つのメモリセル
と、このメモリセルのスイッチングを行う1つのスイッ
チング素子とを有する、最もシンプルな構成を示すもの
である。
【0125】図13において、60はシリコン基板、6
1はシリコン基板60上に形成されたSiO2から成る
絶縁層をそれぞれ示す。絶縁層61上には単結晶シリコ
ン層が形成されている。これらシリコン基板60、絶縁
層61及び単結晶シリコン層が、所謂SOI基板を構成
する。絶縁層61の膜厚は作製しようとするメモリ素子
の構成によって適宜選択されるが、十分な絶縁性を得る
ため、100nm〜1μmの厚さに形成することが望ま
しい。
【0126】このようなSOI基板は、先に説明した米
国特許第5371037号に記載された方法、あるいは
米国特許第5374564号に記載されている方法など
によって作製される。
【0127】単結晶シリコン層は、一部を除いて絶縁層
61上からエッチング法などによって除去される。残っ
た単結晶シリコン層には、ソース領域70、ゲート領域
71及びドレイン領域72が形成されている。そして、
ゲート領域71の上には、ゲート絶縁層74を挟んでゲ
ート電極75が設けられ、これらによって電界効果型ト
ランジスタ(FET)73が構成されている。この電界
効果型トランジスタ73は、周知の半導体プロセスを用
いて作製される。例えば、ソース領域70、ゲート領域
71及びドレイン領域72は、単結晶シリコン層の一部
に不純物を拡散させる等の方法で形成することができ
る。
【0128】単結晶シリコン層が除去された絶縁層61
上には、下部センス(読み出し)線62が形成されてい
る。そして、この下部センス線62上には、磁気抵抗膜
66が形成されている。この磁気抵抗膜66は、下部セ
ンス線62上に、第1磁性層63、非磁性層64及び第
2磁性層65を順に積層することによって形成される。
第2磁性層65は、第1磁性層63よりも室温において
高い保磁力を有している。つまり、第2磁性層65は、
図1で説明したメモリ層(書き込み層)の機能を果た
し、第1磁性層63は再生層(読み出し層)の機能を果
たす。
【0129】第1磁性層63及び第2磁性層65は、共
にNi、Fe、Coやこれらの元素の少なくとも1種を
含む合金から形成される。そして、これら元素の組合わ
せあるいは組成を互いに異ならせることによって、第2
磁性層65が第1磁性層63よりも高い保磁力を有する
ように形成されている。これらの磁性層を形成する材料
としては、例えばCo、NiFe、NiFeCo、Fe
Co、CoFeBといった材料が用いられる。また、第
1磁性層63あるいは第2磁性層65を2層以上の多層
構成としても良い。例えば、第2磁性層65として、厚
さ5nmのCo層と厚さ30nmのFeMn層を積層し
た2層構成のものを用いても良い。
【0130】非磁性層64の材料としては、絶縁体が用
いられる。非磁性層が絶縁体の場合には、絶縁体を電子
がトンネリングして2つの磁性層間を移動し、スピン電
子の状態密度の差に依存する形でGMRが発現する。
【0131】すなわち、磁性層の磁化の向きが平行な場
合には、アップスピンを持つ電子は、もう一方の強磁性
層の空いたアップスピンの状態に、ダウンスピンを持つ
電子はもう一方の強磁性層の空いたダウンスピンの状態
にトンネルできるためスピン電子の状態密度の差が小さ
くなり抵抗が低くなる。
【0132】逆に、磁性層の磁化の向きが反平行な場合
には、アップスピンを持つ電子、ダウンスピンを持つ電
子のいずれもトンネルできないためスピン電子の状態密
度の差が大きくなり抵抗が高くなる。
【0133】絶縁体としては、Al,Si,Cu,Mg
等の酸化物や窒化物が用いられるが、フェルミ準位が他
の磁性層に近いAl酸化物がより好適に用いられる。非
磁性層の膜厚は0.5〜5nmである。
【0134】0.5nm以下では、成膜方法にもよるが
島状成長によるピンホール発生のおそれがあり、両磁性
層の相互作用により磁性抵抗が発現しない場合がある。
【0135】5nmより厚い場合には、両磁性層間の間
隙が電子の平均自由行程に対し広すぎてトンネリング確
率が減るため磁気抵抗が小さくなる。
【0136】第1磁性層63/非磁性層64/第2磁性
層65からなる磁気抵抗膜66は、メモリセルとして機
能するが、その接合面積の大きさは用いるプロセスや使
用用途に応じて適宜決定される。磁気抵抗膜の面積で規
格化した抵抗率は、10-5Ωcm2程度なので、メモリ
セルを駆動するトランジスタのオン抵抗の値(数kΩ)
に対し適合する1μm2以下が好適である。
【0137】前記電界効果型トランジスタ73のドレイ
ン領域72は、前記下部センス線62の一端に電気的に
接続されている。下部センス線62は、導電性の高い材
料で形成され、Al,Cu,Au等の金属膜から形成さ
れることが望ましい。ここで、下部センス線62の膜厚
は非常に重要である。この下部センス層62の膜厚を1
〜50nmの範囲とすることで信号のSNが大きく消費
電力より小さいメモリ特性が得られる。
【0138】1nmよりも薄い場合には、電気抵抗が大
きくなり回路全体でのSNが悪くなる。50nmより厚
い場合には、MRが低下してSNが悪くなる。下部セン
ス層の膜厚を変えて実施を繰り返した結果、より好適な
厚さは5〜20nmの範囲であることがわかった。
【0139】より詳細に検討するために下部センス層6
2が5〜20nmまでの1nm刻みのサンプルを用意し
て調査したところ、さらに望ましい範囲は6〜9nmで
あることがわかった。これは、2nm程度の島状成長し
なくなる膜厚限界において最良のメモリ特性が得られる
と予想していたのに対し意外な結果であった。
【0140】上記磁気抵抗膜66上には、紙面に垂直方
向に延びる上部センス線67が形成されている。更に、
上部センス線67上には、絶縁層68を介してワード線
(書き込み線)69が形成されている。上部センス線6
7及びワード線69は読み出し/書き込み電流を流すた
めに、それぞれ導電性の高い材料で形成され、Al,C
u,Au等の金属膜から形成されるのが望ましい。上部
センス線67及びワード線69の膜厚は、流す電流の大
きさや線幅によって決定されるが、通常、100〜10
00nmの範囲に形成されるのが望ましい。絶縁層68
は、SiO2,SiN,Al23等の無機材料や、ノボ
ラック樹脂等の有機材料から形成される。この絶縁層6
8の膜厚は上部センス線67或はワード線69に加えら
れる電力に対して必要な絶縁耐圧に応じて決定される
が、通常5〜1000nmの範囲に形成される。
【0141】図13では用いられていないが、下部セン
ス線62と磁気抵抗膜66の間に、これらの層間の表面
自由エネルギーを調整し、より平坦性の高い界面構造を
実現する目的で、バッファ層を設けても良い。バッファ
層の材料としては、Ta,Cu,Cr等の各種金属や、
SiN,SiO2,Al23等の絶縁体が用いられる。
より好ましくはTaあるいはSiNが用いられる。バッ
ファ層の膜厚は2〜10nmの範囲に形成されることが
望ましい。成膜方法にもよるが、2nmよりも薄いと、
島状に成長することにより膜質が不均一になる恐れがあ
り、10nmよりも厚いと生産性が低下する恐れがあ
る。
【0142】図13の実施態様において、上部センス線
67及びワード線69の下の部分の磁気抵抗膜66が、
1ビットの情報を記憶する最小単位であるメモリセルと
なる。このメモリセルへの情報の書き込みは、図23
(a),(b)で説明した方法と同様に、ワード線69
に流す電流の方向によって“0”あるいは“1”が選択
的に書き込まれる。例えば、ワード線69に紙面に垂直
方向に奥側から手前側に電流を流した時には“0”が、
紙面に垂直方向に紙面手前側から奥側に電流を流した時
には“1”が書き込まれる。電流の流れる方向と“0”
及び“1”との関係は反対の関係でも構わない。
【0143】電界効果型トランジスタ73を情報書き込
みの際のスイッチングに用いることができる。電界効果
型トランジスタ73のソース領域70、ゲート電極75
及び上部センス線67には、それぞれ端子76,77及
び78が電気的に接続されている。端子76と端子78
の間に電圧を印加し、端子77に電圧を印加すると、電
界効果型トランジスタ73がオン状態となり、磁気抵抗
膜66に電流が流れる。このように磁気抵抗膜66に電
流が流れている状態の時に、ワード線69に書き込み電
流を流したときに、これらの電流による磁界が重畳され
て初めて情報が記録されるように、それぞれの電流値を
設定しても良い。この場合、電界効果型トランジスタ7
3がオフ状態では、磁気抵抗膜66には電流が流れず、
ワード線69に電流が流れていても、情報は書き込まれ
ない。つまり、電界効果型トランジスタ73をオン/オ
フすることにより、情報の書き込みを制御できる。
【0144】一方、図13に示すGMRメモリ素子に書
き込まれた情報は、図24及び図25で説明した方法と
同様の方法で読み出すことができる。端子76と端子7
8の間に一定の電圧を印加し、電界効果型トランジスタ
73をオン状態にすると、磁気抵抗膜66に読み出し電
流が流れる。この状態で、ワード線69に時間的に方向
が切り換わる交流再生パルス電流を印加すると、磁気抵
抗膜66の抵抗値の変化により、端子76及び78間に
流れる電流が変化する。この電流変化、即ち電流が大き
い状態から小さい状態に変化するか、小さい状態から大
きい状態に変化するかによって、書き込まれた情報が
“0”か“1”かを判別することができる。
【0145】図13に示すGMRメモリ素子は、フォト
リソグラフィーに代表される周知の微細加工パターニン
グ方法を用いて作製することができる。また、下部セン
ス線、第1及び第2磁性層、非磁性層、上部センス線、
絶縁層、ワード線等は、蒸着法、スパッタリング法、分
子ビームエピタキシー(MBE)法など周知の各種方法
を用いて成膜することができる。
【0146】図13においては、磁気抵抗膜66の内、
第1磁性層63が下部センス線62上の全領域にわたっ
て形成されている例を示した。しかしながら、メモリセ
ルとして機能するのは、下部センス線62と上部センス
線67の交点(オーバーラップする部分)だけなので、
この部分を残して、磁気抵抗膜を除去しても良い。この
例を図14及び図15に示す。
【0147】図14及び図15は、本発明のGMRメモ
リ素子の第8の実施態様を示す図である。図14は概略
断面図であり、図15は概略斜視図である。図14及び
図15において、図13と同一の部材には同一の符号を
付し、詳細な説明は省略する。本実施態様においては、
図15のように、下部センス線62と上部センス線67
との交点に磁気抵抗膜66が設けられ、この磁気抵抗膜
66の膜面に垂直方向に電流が流れるように構成されて
いる。
【0148】図13に示した構成においても、図2〜図
4で説明した実施態様と同様に、メモリセルを、SOI
基板上に、M×N個(M及びNはそれぞれ2以上の整
数)のマトリックス状に形成することができる。この例
を図17に示す。図17は、本発明のGMRメモリ素子
の第9の実施態様を示す図で、先の第2の実施態様にお
ける図3に対応するX方向に沿った概略断面図である。
図17において、図13と同一の部材には同一の符号を
付し、詳細な説明は省略する。
【0149】図17の実施態様は、下部センス線62上
に、メモリセルが3個並んで形成された例を示す。各メ
モリセルは、共通の第1磁性層63上に形成された非磁
性層64−1,64−2,64−3及び第2磁性層65
−1,65−2,65−3から構成される。各々の磁気
抵抗膜上には、上部センス線67−1,67−2,67
−3が形成されている。これらの上部センス線67−
1,67−2,67−3には、それぞれ端子78−1,
78−2,78−3が接続されている。更に、上部セン
ス線67−1,67−2,67−3上には、絶縁層68
−1,68−2,68−3を介してワード線69−1,
69−2,69−3が形成されている。
【0150】図16は、図17に示すGMRメモリ素子
を用いたメモリ装置を示す回路図である。本図において
は、動作説明に用いる領域に限定して図面を省略してい
る。書き込み/読み出しを実行するセルを指定するアド
レス信号がアドレスバス81を通り、センスデコーダ8
3およびワードデコーダ82に送られる。センスデコー
ダ83は、図面横方向に伸びる下部センス線85の接続
先を決定し、スイッチトランジスタ84のゲートをコン
トロールするだけでなく、センス線における抵抗変化を
検出する役割を担う。
【0151】ワードデコーダ82は、図面縦方向に伸び
るワード線86の接続先を決定し、スイッチトランジス
タ90のゲートをコントロールするだけでなく、ワード
線86に印加する電流発生と書き込み/読み出しに対応
する電流値制御の役割を担う。
【0152】また、上部センス線88の接続先を決定
し、スイッチトランジスタ91のゲートをコントロール
する。上下のセンス線85,88の交差する直下には磁
性層/非磁性層/磁性層からなるメモリセル87が存在
する。図面上ではメモリセルを抵抗として表す。
【0153】ワード線86はセンス線が交差する直上に
存在する。ワード線86と上部センス線88の間には絶
縁膜が存在し電気的に接続していない。
【0154】メモリセルに対し情報を書き込む方法につ
いて、セルS3を例に説明する。まず、アドレスバス8
1からセンスデコーダ83、ワードデコーダ82に対し
て、セルS3を選択するようアドレス信号が命令され
る。命令を受けたセンスデコーダ83は、下部センス線
D3のスイッチトランジスタのゲートに対しON命令を
出して下部センス線D3を選択し、センス電流を下部セ
ンス線D3に印加する。
【0155】一方、命令を受けたワードデコーダ82
は、上部センス線U2のスイッチトランジスタのゲート
に対しON命令を出して上部センス線U2を選択し、下
部センス線D3に流したセンス電流が、第1磁性層/非
磁性層/第2磁性層からなるメモリ素子部を通過して上
部センス線U2に到達するようにする。
【0156】命令を受けたワードデコーダ82は、ワー
ド線W2のスイッチトランジスタのゲートに対しON命
令を出してワード線W2を選択し、ワード電流をワード
線W2に印加する。
【0157】このときのワード電流は、書き込み動作で
あるため読み出しに用いられるワード電流よりも大きい
電流が印加される。かくして下部センス線D3と上部セ
ンス線U2の直下に位置するセルS3に対して、ワード
線W2に印加された電流と上/下センス線に流れるセン
ス電流が発生する磁界が重畳された合成磁界が加えられ
る。発生した合成磁界は読み出し層の磁化方向だけでな
く情報を蓄える書き込み層の磁化方向も反転するだけの
大きさを持つ。
【0158】したがって、その際のワード線電流の向き
により“0”,“1”が記録される。
【0159】同様な手順を全てのセルに対して行うこと
で全メモリ領域に情報が高速非破壊に書き込まれる。
【0160】メモリセルに対し情報を読み出す方法につ
いて、セルS3を例に説明する。
【0161】まず、アドレスバス81からセンスデコー
ダ83、ワードデコーダ82に対して、セルS3を選択
するようアドレス信号が命令される。命令を受けたセン
スデコーダ83は、下部センス線D3のスイッチトラン
ジスタのゲートに対しON命令を出して、下部センス線
D3を選択し、センス電流を下部センス線D3に印加す
る。
【0162】一方、命令を受けたワードデコーダ82
は、上部センス線U2のスイッチトランジスタのゲート
に対しON命令を出して上部センス線U2を選択し、下
部センス線D3に流したセンス電流が、第1磁性層/非
磁性層/第2磁性層からなるメモリ素子部を通過して上
部センス線U2に到達するようにする。
【0163】命令を受けたワードデコーダ82は、ワー
ド線W2のスイッチトランジスタのゲートに対しON命
令を出してワード線W2を選択し、ワード電流をワード
線W2に印加する。このときのワード電流は、読み出し
動作であるため書き込みに用いられるワード電流よりも
小さい電流が印加される。
【0164】かくして下部センス線D3と上部センス線
U2の直下に位置するセルS3に対して、ワード線W2
に印加された電流と上部下部センス線に流れるセンス電
流が発生する磁界が重畳された合成磁界が加えられる。
【0165】発生した合成磁界は、情報を蓄える書き込
み層の磁化方向は固定したままだが、読み出し層の磁化
は反転するだけの大きさを持つため、“0”,“1”い
ずれか記録されている情報によりセンスデコーダでセン
ス電流の向きを2方向に振ることで抵抗変化を検出して
情報を読み出すことができる。同様な手順を全てのセル
に対して行うことで全メモリ領域の情報が高速非破壊に
読み出される。
【0166】以下により具体的な実施例を示す。
【0167】〔実施例5〕図17に示す構成のGMRメ
モリ素子を作製した。磁気抵抗膜およびワード線の数は
それぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモリセル
が8×8のマトリックス状に配置された64ビットのG
MRメモリ素子とした。SOI基板としては、先に引用
した米国特許第5371037号に記載された方法で作
製された8インチサイズの基板を用いた。
【0168】単結晶シリコン層の厚さは100nmのも
のを用意した。結晶方位は(100)で、軽くドープし
たn形Siとなっている。絶縁層であるSiO2の厚さ
は、1μmである。
【0169】この基板に対しフォトリソグラフィーによ
るパターニングを施して成膜やミリングをする領域をレ
ジストマスクで定義した。
【0170】また、不純物元素の混入を防ぐため、磁気
抵抗膜以外の半導体プロセスを先に行い保護膜でカバー
した。
【0171】磁気抵抗膜の成膜には、スパッタ装置を用
いて、到達圧力5×10-5Pa以下で下部センス層であ
るAl、第1磁性層であるNi80Fe20、非磁性層であ
るAlOx、第2磁性層であるCo、絶縁膜であるSi
N、上部センス層であるAl、ワード線であるAlを成
膜した。
【0172】下部センス層であるAlの膜厚を、0.5
〜100nmの間で変化させてサンプルを作製した。そ
れ以外の膜厚は固定で、それぞれ、第1磁性層であるN
80Fe20が25nm、非磁性層であるAlOxが1.
2nm、、第2磁性層であるCoが25nm、上部セン
ス層であるAlが50nm、絶縁膜であるSiNが11
0nm、ワード線であるAlが50nmである。
【0173】ここで、第1磁性層は、軟磁性材料であり
読み出し(再生)層として、第2磁性層は、硬磁性材料
であり書き込みメモリ層として機能する。非磁性層であ
るAlOxの作製には、はじめAlをスパッタした後、
装置内に酸素を導入して1000Paで125分間放置
してAlOx酸化膜を形成した。酸化膜の形成後には到
達圧力まで真空引きをして次の成膜を行った。成膜時に
は、基板表面方向に同じ磁気異方性を持つよう永久磁石
を配置してある。永久磁石の発生する磁界強度は、測定
中心で20Oeとした。
【0174】素子の加工には、イオンミリングとリフト
オフを併用して実際の素子パターンを形成した。
【0175】上記のプロセスを経て作製した64ビット
のメモリ素子に対してアクセス信号を出して素子特性を
評価した。SN、消費電力、アクセススピード、アクセ
ス動作あるいはメモリとしての安定性というパラメータ
を勘案し総合的に下した判断の結果を表3に示す。下部
センス層の厚さが1〜50nmの範囲で良好な特性が得
られた。中でも5〜20nmの範囲で最良の結果が得ら
れた。
【0176】上記の結果を受け、より詳細に検討するた
めに下部センス層が、5〜20nmまで1nm刻みのサ
ンプルを用意して同様な検討をした結果を表4に示す。
さらに望ましくは、6〜9nmの範囲が良いことがわか
った。50nmより厚いものではMRが低いためSNが
悪い。
【0177】逆に、0.5nmより薄いものでは島状成
長をするためか抵抗が大きくなりSNが悪くなる。これ
らのSNが悪化したサンプルでは、メモリ動作が不安定
になり、高速駆動に適さないことが明らかになった。
【0178】
【表3】
【0179】
【表4】
【0180】図18は、本発明のGMRメモリ素子の第
10の実施態様を示す図で、先の第2の実施態様におけ
る図3に対応するX方向に沿った概略断面図である。図
18において、図17と同一の部材には同一の符号を付
し、詳細な説明は省略する。
【0181】図18の実施態様は、下部センス線62上
に、メモリセルが3個並んで形成された例を示す。図1
7の第9の実施態様との相違は、第1磁性層63−1,
63−2,63−3がX方向に延びるライン状に形成さ
れたものではなく、各エッモリセルのそれぞれに分離し
て設けられている点、及び、ワード線によって発生する
磁界をメモリセルの部分に集中させるための磁界集中層
79及び80を、各メモリセルの両側にそれぞれ配置し
た点である。
【0182】以下により具体的な実施例を示す。
【0183】〔実施例6〕図18に示す構成のGMRメ
モリ素子を作製した。磁気抵抗膜およびワード線の数は
それぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモリセル
が8×8のマトリックス状に配置された64ビットのG
MRメモリ素子とした。SOI基板としては、先に引用
した米国特許第5371037号に記載された方法で作
製された8インチサイズの基板を用いた。
【0184】図23のように、一つのメモリセルを囲む
磁気集中層79,80を、3つのセルのそれぞれに対し
て設けた。本例の場合ではFeNを用いてセル面積4μ
2の外側に2μm隔てて厚さ100nm、高さ50n
mの磁気集中層を設けた。
【0185】磁気集中層を設けたこと以外は実施例5と
同じ構成としたGMRメモリを作製し素子特性を測定し
た。
【0186】SN、消費電力、アクセススピード、アク
セス動作あるいはメモリとしての安定性というパラメー
タを勘案し総合的に下した判断の結果は、実施例5と同
じで下部センス層の厚さが1〜50nmの範囲で良好な
特性が得られた。中でも5〜20nmの範囲で最良の結
果が得られた。50nmより厚いものではMRが低いた
めSNが悪い。
【0187】逆に0.5nmより薄いものでは島状成長
をするためか抵抗が大きくなりSNが悪くなる。これら
のSNが悪化したサンプルではメモリ動作が不安定にな
り、高速駆動に適さないことが明らかになった。
【0188】先に説明した第7〜第10実施態様におい
ては、単結晶シリコン層を除去した領域に、金属膜等か
ら成る下部センス層を形成したものであったが、単結晶
シリコン層に不純物をドーピングすることによって、こ
の単結晶シリコン層を下部センス線として用いることが
できる。この例を以下に示す。
【0189】図19は、本発明のGMRメモリ素子の第
11の実施態様を示す図である。本実施例は、図13に
示す第7の実施態様の下部センス線62に代えて、単結
晶シリコン層に不純物をドーピングすることによって形
成された下部センス線89が用いられている点に特徴を
有し、他の部分は第7の実施態様と全く同様に形成され
ている。図19において、図13と同一の部材には同一
の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0190】本実施態様においては、GMRメモリの下
部センス層を成膜によって作成するのではなく、SOI
基板の単結晶シリコン層にドーピングを施してパターニ
ングした単結晶シリコン層を下部センス層89として使
用することで、下部センス層89の厚さに対する敏感性
を完全に排除することが可能であり、信号のSNが大き
く消費電力が小さいメモリ特性が得られる。
【0191】単結晶シリコン層に対するドーピングは、
イオン注入装置を用いて行う。注入するイオンは単結晶
シリコン層の導電性を高める目的でドープされるため、
p型、n型いずれの不純物元素でもよい。具体的には、
P、B、Ge、As、S、Cl、C等が用いられる。た
だし、B等の軽量なp型元素ではイオン注入すると飛程
が大きく、拡散領域が広がる傾向にある。浅い結合を得
るため十分に注入エネルギを下げることは困難なため、
n型のAs等の重い元素を用いることが望ましい。注入
量は、シート抵抗を十分下げるため1014cm-2以上が
必要である。
【0192】ドーピングによる単結晶シリコン層を下部
センス層89として用いるためには、不要部分の単結晶
シリコン層を除去して必要なところのみに電流が供給さ
れるようパターニングする必要がある。単結晶シリコン
層のパターニングには、各種微細加工技術の応用で行う
ことが可能である。一例としては、単結晶シリコン層に
対しマスキングをフォトリソグラフィによって行い、次
にCF4によるドライエッチングによって不要な単結晶
シリコン層をエッチング除去する。エッチングの影響
は、除去される部分のみ残り、他の主要部はマスクによ
って覆われているためダメージを受けない。
【0193】しかも単結晶シリコン層の平坦性は高いた
め、その上に構成する磁性層・非磁性層間の界面の平坦
性も保たれる。従って、界面での散乱が生じにくくスピ
ンが保たれて磁性層間をトンネリングするため大きなM
Rが得られる。
【0194】さらには、ドーピング量により単結晶シリ
コン層の導電率が容易にコントロール可能なため、回路
に要求される特性に合わせて最適な配線抵抗を実現する
ことが容易である。
【0195】単結晶シリコン層の厚さは選択トランジス
タの特性に必要な仕様と下部センス線として機能させる
仕様に応じて50nmから1000nmの間で適宜選択
される。
【0196】図20は、本発明のGMRメモリ素子の第
12の実施態様を示す図である。本実施例は、図14に
示す第8の実施態様の下部センス線62に代えて、単結
晶シリコン層に不純物をドーピングすることによって形
成された下部センス線89が用いられている点に特徴を
有し、他の部分は第7の実施態様と全く同様に形成され
ている。図20において、図14と同一の部材には同一
の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0197】図21は、本発明のGMRメモリ素子の第
13の実施態様を示す図である。本実施例は、図17に
示す第9の実施態様の下部センス線62に代えて、単結
晶シリコン層に不純物をドーピングすることによって形
成された下部センス線89が用いられている点に特徴を
有し、他の部分は第8の実施態様と全く同様に形成され
ている。図21において、図17と同一の部材には同一
の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0198】以下により具体的な実施例を示す。
【0199】〔実施例7〕図21に示す構成のGMRメ
モリ素子を作製した。磁気抵抗膜およびワード線の数は
それぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモリセル
が8×8のマトリックス状に配置された64ビットのG
MRメモリ素子とした。SOI基板としては、先に引用
した米国特許第5371037号に記載された方法で作
製された8インチサイズの基板を用いた。単結晶シリコ
ン層の厚さは100nmのものを用意した。結晶方位は
(100)で、軽くドープしたn形Siとなっている。
絶縁層であるSiO2層の厚さは1μmである。
【0200】この基板に対しフォトリソグラフィーによ
るパターニングを施して成膜やミリングをする領域をレ
ジストマスクで定義した。また、不純物元素の混入を防
ぐため、磁気抵抗膜以外の半導体プロセスを先に行い保
護膜でカバーした。
【0201】次に下部センス層89を形成するため、フ
ォトリソグラフィーによるパターン形成を行った後にイ
オン注入により単結晶シリコン層の改質をN型不純物で
ある砒素の注入で行なう。このときの注入条件は、注入
エネルギーが80KeV、ドーズ量は1×1014/cm
2とした。砒素の質量数が75と大きいので飛程は小さ
くなり、100nmと薄い単結晶シリコン層においても
十分な注入が行える。さらに900℃の熱処理で活性化
を図る事で、単結晶シリコン層は下部センス層として使
うのに十分なシート抵抗を得ることができた。
【0202】磁気抵抗膜の成膜にはスパッタ装置を用い
て、到達圧力5×10-5Pa以下で第1磁性層63であ
るNi80Fe20、非磁性層64−1,64−2,64−
3であるAlOx、第2磁性層65−1,65−2,6
5−3であるCo、上部センス層67−1,67−2,
67−3であるAl、絶縁膜68−1,68−2,68
−3であるSiN、ワード線69−1,69−2,69
−3であるAlを成膜した。膜厚はそれぞれ、第1磁性
層63であるNi80Fe20が25nm、非磁性層64−
1,64−2,64−3であるAlOxが1.2nm、
第2磁性層65−1,65−2,65−3であるCoが
25nm、上部センス層67−1,67−2,67−3
であるAlが50nm、絶縁膜68−1,68−2,6
8−3であるSiNが110nm、ワード線69−1,
69−2,69−3であるAlが50nmである。ここ
で、第1磁性層63は軟磁性材料であり読み出し(再
生)層として、第2磁性層65−1,65−2,65−
3は硬磁性材料であり書き込み(メモリ)層として機能
する。非磁性層64−1,64−2,64−3であるA
lOxの作製には、はじめAlをスパッタした後、装置
内に酸素を導入して1000Paで125分放置してA
lOx酸化膜を形成した。酸化膜の形成後には、到達圧
力まで真空引きをして次の成膜を行った。成膜時には、
基板表面方向に同じ磁気異方性を持つよう永久磁石を配
置してある。永久磁石の発生する磁界強度は、測定中心
で20Oeとした。
【0203】素子の加工にはイオンミリングとリフトオ
フを併用して実際の素子パターンを形成した。
【0204】上記のプロセスを経て作製した64ビット
のメモリ素子に対する比較サンプルとして下部センス層
の作製方法以外は全て同一のプロセスによるメモリ素子
を作製した。下部センス層の成膜には磁気抵抗膜の成膜
と同様にスパッタ装置を用いて、到達圧力5×10-5
a以下でAlを25nm成膜した。両サンプルに対しア
クセス信号を出して素子特性を評価した。
【0205】上下センス線に対して1mA一定のセンス
電流を流し、トンネル抵抗の変化を電圧変動としてオシ
ロスコープで捉えた。リード線での残留抵抗やパッド・
プローブ間の接触抵抗の影響を排除するため電圧検出に
4端針測定法を用いている。ワード線には周期20ms
ec、幅1msecの矩形波信号を入力し、ワード線信
号に応じて発生する磁界と一定なセンス電流による発生
磁界との合成磁界で情報の読み出し、書き込みを行っ
た。ワード電流は、NiFe単独、あるいはNiFe、
Coいずれも磁化の向きが変わる磁界強度をあらかじめ
外部磁界発生機構を持つMR評価装置にて測定し、その
磁化強度に対応するレベルのワード電流をシミュレーシ
ョンの結果から求めて設定した。
【0206】SN、消費電力、アクセススピード、アク
セス動作あるいはメモリとしての安定性というパラメー
タを勘案した結果、ドーピングSi層を下部センス層と
するメモリ素子は、下部センス層をスパッタで成膜した
比較サンプルと同等レベルの特性が得られた。磁気抵抗
によって得られる信号レベルは今回作製したドーピング
Si層を下部センス層とするメモリ素子の方が大きかっ
た。Si層に不純物ドープを施して作製した下部センス
層の平坦性は高いため、その上に構成する磁性層、非磁
性層間の界面の平坦性も保たれる。従って、界面での散
乱が生じにくくスピンが保たれて磁性層間をトンネリン
グするため大きなMRが得られたためと考えられる。
【0207】以上説明した第11〜13の実施態様にお
いても、素子の作製は第7〜10の実施態様と同様、周
知の半導体プロセスを用いて行われる。また、メモリセ
ルへの情報の書き込み及び読み出しに関しても、図16
を用いて説明した先の実施態様と全く同様に行われる。
【0208】本発明は、以上説明した実施態様の他にも
種々の応用が可能である。例えば、絶縁層上に形成され
た単結晶シリコン層に代えて、GaAs等の他の単結晶
半導体から成る層を用いても良い。また、このような単
結晶半導体層は、シリコン基板上の絶縁層上に形成され
たものに限らず、ガラス基板等の基板全体が絶縁体から
成るものの上に形成されたものでも構わない。つまり、
単結晶半導体は、絶縁性の表面を有する基板上に形成さ
れたものであれば良い。
【0209】また、前述の実施態様において、磁気抵抗
膜及びワード線にそれぞれ接続された電界効果型トラン
ジスタに代えて、スイッチング素子としての機能を果た
すものであれば、どのような素子を用いても良い。
【0210】本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない限
りにおいて、このような応用例を全て包含するものであ
る。
【0211】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は絶縁性の
表面を有する基板上に単結晶半導体層を有し、この単結
晶半導体層にスイッチング素子が形成され、メモリセル
の磁気抵抗膜及びワード線のいずれかにスイッチング素
子が電気的に接続したので、メモリ素子を動作させるた
めのスイッチング素子が磁気抵抗膜とモノリシックに形
成された、集積度の高いGMRメモリ素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のGMRメモリ素子の第1の実施態様を
示す概略断面図である。
【図2】本発明のGMRメモリ素子の第2の実施態様を
示す概略平面図である。
【図3】図2におけるA−Aに沿った概略断面図であ
る。
【図4】図2におけるB−Bに沿った概略断面図であ
る。
【図5】第2の実施態様のGMRメモリ素子を用いたメ
モリ装置の回路図である。
【図6】本発明のGMRメモリ素子の第3の実施態様を
示す概略平面図である。
【図7】図6におけるC−Cに沿った概略断面図であ
る。
【図8】本発明のGMRメモリ素子の第4の実施態様を
示す概略平面図である。
【図9】図8におけるD−Dに沿った概略断面図であ
る。
【図10】本発明のGMRメモリ素子の第5の実施態様
を示す概略断面図である。
【図11】本発明のGMRメモリ素子の第5の実施態様
を示す概略断面図である。
【図12】本発明のGMRメモリ素子の第6の実施態様
を示す概略断面図である。
【図13】本発明のGMRメモリ素子の第7の実施態様
を示す概略断面図である。
【図14】本発明のGMRメモリ素子の第8の実施態様
を示す概略断面図である。
【図15】本発明のGMRメモリ素子の第8の実施態様
を示す概略斜視図である。
【図16】第8の実施態様のGMRメモリ素子を用いた
メモリ装置の回路図である。
【図17】本発明のGMRメモリ素子の第9の実施態様
を示す概略断面図である。
【図18】本発明のGMRメモリ素子の第10の実施態
様を示す概略断面図である。
【図19】本発明のGMRメモリ素子の第11の実施態
様を示す概略断面図である。
【図20】本発明のGMRメモリ素子の第12の実施態
様を示す概略断面図である。
【図21】本発明のGMRメモリ素子の第13の実施態
様を示す概略断面図である。
【図22】従来のGMRメモリ素子の構成を示す概略断
面図である。
【図23】従来のGMRメモリ素子における、情報の書
き込み方法を説明するための概略図である。
【図24】従来のGMRメモリ素子における、情報の読
み出し方法を説明するための概略図である。
【図25】従来のGMRメモリ素子における、情報の読
み出し方法を説明するための概略図である。
【図26】従来のGMRメモリ素子の他の構成例を示す
概略断面図である。
【符号の説明】
41 シリコン基板 42 絶縁層 43 単結晶シリコン層 44 第1磁性層 45 非磁性層 46 第2磁性層 47 磁気抵抗膜 48 ソース領域 49 ゲート領域 50 ドレイン領域 51 電界効果型トランジスタ 52 絶縁層 53 ゲート電極 54 絶縁層 55 ワード線 56 端子 57 端子 58 端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平11−109573 (32)優先日 平成11年4月16日(1999.4.16) (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性の表面を有する基板、前記基板の
    絶縁性表面上に形成された単結晶半導体層、前記単結晶
    半導体層の少なくとも一部に形成されたスイッチング素
    子、前記基板の絶縁性表面上に形成された、第1磁性層
    と、第1磁性層よりも高い保磁力を有し、第1磁性層に
    非磁性層を間に挟んで積層された第2磁性層とから成る
    磁気抵抗膜、及び、前記磁気抵抗膜の近傍に、間に絶縁
    層を挟んで設けられたワード線とから成り、前記スイッ
    チング素子が、磁気抵抗膜及びワード線のいずれかに電
    気的に接続されていることを特徴とする巨大磁気抵抗効
    果を利用したメモリ素子。
  2. 【請求項2】 前記単結晶半導体層の膜厚は、50〜5
    00nmの範囲にある請求項1記載のメモリ素子。
  3. 【請求項3】 前記単結晶半導体層の膜厚は、50〜2
    50nmの範囲にある請求項2記載のメモリ素子。
  4. 【請求項4】 前記単結晶半導体層の膜厚は、60〜1
    20nmの範囲にある請求項3記載のメモリ素子。
  5. 【請求項5】 更に、前記基板の絶縁性表面と磁気抵抗
    膜との間に設けられたバッファ層から成る請求項1記載
    のメモリ素子。
  6. 【請求項6】 前記ワード線は、前記基板の絶縁性表面
    と磁気抵抗膜との間に設けられている請求項1記載のメ
    モリ素子。
  7. 【請求項7】 更に、前記基板の絶縁性表面と磁気抵抗
    膜との間に設けられた下部センス線と、前記磁気抵抗膜
    上に設けられた上部センス線とから成り、前記磁気抵抗
    膜の非磁性層が絶縁性材料から形成されている請求項1
    記載のメモリ素子。
  8. 【請求項8】 前記ワード線は、絶縁層を介して前記上
    部センス線上に設けられている請求項7記載のメモリ素
    子。
  9. 【請求項9】 前記下部センス線の膜厚は、1〜50n
    mの範囲にある請求項7記載のメモリ素子。
  10. 【請求項10】 前記下部センス線の膜厚は、5〜20
    nmの範囲にある請求項9記載のメモリ素子。
  11. 【請求項11】 前記下部センス線は、前記単結晶半導
    体層のスイッチング素子が形成された部分以外の部分に
    不純物をドーピングして成る請求項7記載のメモリ素
    子。
  12. 【請求項12】 前記絶縁性の表面を有する基板は、シ
    リコン基板の表面にSiO2層が形成されて成る請求項
    1記載のメモリ素子。
  13. 【請求項13】 前記単結晶半導体層は、前記SiO2
    層上に形成された単結晶シリコン層から成る請求項12
    記載のメモリ素子。
  14. 【請求項14】 前記スイッチング素子は、ソース領
    域、ゲート領域、ドレイン領域を有する電界効果型トラ
    ンジスタから成る請求項1記載メモリ素子。
  15. 【請求項15】 更に、前記磁気抵抗膜の近傍に設けら
    れ、ワード線によって発生する磁界を磁気抵抗膜に集中
    させるための、高い透磁率を有する材料から成る磁界集
    中層から成る請求項1記載のメモリ素子。
  16. 【請求項16】 絶縁性の表面を有する基板、前記基板
    の絶縁性表面上に形成された単結晶半導体層、前記基板
    の絶縁性表面上に、第1の方向に延びるライン状に、第
    1の方向と直交する第2の方向に互いに平行に並んで配
    置され、おのおのが第1磁性層と、第1磁性層よりも高
    い保磁力を有し、第1磁性層に非磁性層を間に挟んで積
    層された第2磁性層とから成るN本(Nは2以上の整
    数)の磁気抵抗膜、前記磁気抵抗膜の近傍に、間に絶縁
    層を挟んで設けられ、第2の方向に延びるライン状に、
    第1の方向に互いに平行に並んで配置されたM本(Mは
    2以上の整数)のワード線、前記単結晶半導体層の少な
    くとも一部に形成され、それぞれ前記N本の磁気抵抗膜
    に電気的に接続されたN個の第1のスイッチング素子、
    及び、前記単結晶半導体層の少なくとも一部に形成さ
    れ、それぞれ前記M本のワード線に電気的に接続された
    M個の第2のスイッチング素子から成る巨大磁気抵抗効
    果を利用したメモリ素子。
  17. 【請求項17】 絶縁性の表面を有する基板、前記基板
    の絶縁性表面上に形成された単結晶半導体層、前記基板
    の絶縁性表面上に、マトリックス状にN×M個(N及び
    Mはそれぞれ2以上の整数)配置され、各々が第1磁性
    層と、第1磁性層よりも高い保磁力を有し、第1磁性層
    に非磁性層を間に挟んで積層された第2磁性層とを有す
    る磁気抵抗膜から成るメモリセル、第1の方向に延びる
    ライン状に、第1の方向と直交する第2の方向に互いに
    平行に並んで配置され、それぞれ第1の方向に並んで配
    置されたM個のメモリセルに電気的に接続されたN本の
    センス線、前記各メモリセルの近傍に、間に絶縁層を挟
    んで設けられ、第2の方向に延びるライン状に、第1の
    方向に互いに平行に並んで配置されたM本のワード線、
    前記単結晶半導体層の少なくとも一部に形成され、それ
    ぞれ前記N本のセンス線に電気的に接続されたN個の第
    1のスイッチング素子、及び、前記単結晶半導体層の少
    なくとも一部に形成され、それぞれ前記M本のワード線
    に電気的に接続されたM個の第2のスイッチング素子か
    ら成る巨大磁気抵抗効果を利用したメモリ素子。
  18. 【請求項18】 絶縁性の表面を有する基板、前記基板
    の絶縁性表面上に形成された単結晶半導体層、前記基板
    の絶縁性表面上に、マトリックス状にN×M個(N及び
    Mはそれぞれ2以上の整数)配置され、各々が第1磁性
    層と、第1磁性層よりも高い保磁力を有し、第1磁性層
    に非磁性層を間に挟んで積層された第2磁性層とを有す
    る磁気抵抗膜から成るメモリセル、第1の方向に延びる
    ライン状に、第1の方向と直交する第2の方向に互いに
    平行に並んで配置され、それぞれ第1の方向に並んで配
    置されたM個のメモリセルに電気的に接続され、前記基
    板の絶縁性表面と磁気抵抗膜との間に設けられたN本の
    下部センス線、前記各メモリセル上に、第2の方向に延
    びるライン状に、第1の方向に互いに平行に並んで配置
    され、それぞれ第2の方向に並んで配置されたN個のメ
    モリセルに電気的に接続されたM本の上部センス線、前
    記単結晶半導体層の少なくとも一部に形成され、それぞ
    れ前記N本の下部センス線に電気的に接続されたN個の
    第1のスイッチング素子、及び、前記単結晶半導体層の
    少なくとも一部に形成され、それぞれ前記M本の上部セ
    ンス線に電気的に接続されたM個の第2のスイッチング
    素子から成る巨大磁気抵抗効果を利用したメモリ素子。
  19. 【請求項19】 前記単結晶半導体層の膜厚は、50〜
    500nmの範囲にある請求項16乃至18のいずれか
    に記載のメモリ素子。
  20. 【請求項20】 前記単結晶半導体層の膜厚は、50〜
    250nmの範囲にある請求項19記載のメモリ素子。
  21. 【請求項21】 前記単結晶半導体層の膜厚は、60〜
    120nmの範囲にある請求項20記載のメモリ素子。
  22. 【請求項22】 更に、前記基板の絶縁性表面と磁気抵
    抗膜との間に設けられたバッファ層から成る請求項16
    または17記載のメモリ素子。
  23. 【請求項23】 前記ワード線は、前記基板の絶縁性表
    面と磁気抵抗膜との間に設けられている請求項16また
    は17記載のメモリ素子。
  24. 【請求項24】 前記N本のセンス線は、それぞれ第1
    の方向に並んで配置されたM個のメモリセルを繋ぐよう
    に、これらメモリセルの間に設けられている請求項17
    記載のメモリ素子。
  25. 【請求項25】 更に、前記M本の上部センス線上に、
    間に絶縁層を挟んで設けられ、第2の方向に延びるライ
    ン状に、第1の方向に平行に並んで配置されたM本のワ
    ード線を有し、前記磁気抵抗膜の被磁性層が絶縁材料か
    ら形成されており、前記端結晶半導体層の少なくとも一
    部に形成され、それぞれ前記M本のワード線に電気的に
    接続されたM個の第3のスイッチング素子を有する請求
    項18記載のメモリ素子。
  26. 【請求項26】 前記下部センス線の膜厚は、1〜50
    nmの範囲にある請求項18記載のメモリ素子。
  27. 【請求項27】 前記下部センス線の膜厚は、5〜20
    nmの範囲にある請求項26記載のメモリ素子。
  28. 【請求項28】 前記下部センス線は、前記単結晶半導
    体層のスイッチング素子が形成された部分以外の部分に
    不純物をドーピングして成る請求項18記載のメモリ素
    子。
  29. 【請求項29】 前記絶縁性の表面を有する基板は、シ
    リコン基板の表面にSiO2層が形成されて成る請求項
    16乃至18のいずれかに記載のメモリ素子。
  30. 【請求項30】 前記単結晶半導体層は、前記SiO2
    層上に形成された単結晶シリコン層から成る請求項29
    記載のメモリ素子。
  31. 【請求項31】 前記第1及び第2のスイッチング素子
    は、それぞれソース領域、ゲート領域、ドレイン領域を
    有する電界効果型トランジスタから成る請求項16乃至
    18のいずれかに記載のメモリ素子。
  32. 【請求項32】 更に、前記磁気抵抗膜の近傍に設けら
    れ、ワード線によって発生する磁界を磁気抵抗膜に集中
    させるための、高い透磁率を有する材料から成る磁界集
    中層から成る請求項16乃至18のいずれかに記載のメ
    モリ素子。
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