JP4095200B2 - 巨大磁気抵抗効果を利用したメモリ素子 - Google Patents

巨大磁気抵抗効果を利用したメモリ素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、巨大磁気抵抗(GMR)効果を用いたメモリ素子に関し、更に詳しくは、消費電力が小さく、メモリ特性に優れ、コンピュータ周辺機器に用いるのに適した安価なメモリ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータや電子機器に利用されるメモリ素子に関しては、激しい技術開発競争が繰り広げられ、日新月歩のスピードで技術が進展している。様々な新しいメモリ素子が提案されるなか、近年、非磁性層を強磁性層の間に挟み込んで成る磁気抵抗膜において、巨大磁気抵抗(GMR)効果が発見され、この現象を利用した磁気センサー、メモリ素子などが注目を集めつつある。本発明は、この巨大磁気抵抗(GMR)効果を用いたメモリ素子に関するものであり、以下、GMRメモリ素子と略称する。
【0003】
GMRメモリ素子の基本構造は、室温において互いに異なる保磁力を有する2つの強磁性層と、これらの強磁性層の間に挟み込んだ非磁性層とから成る。情報は、外部から磁場を印加し、これらの強磁性層の磁化の向きを切換えることによって書き込まれる。すなわち、互いに反対方向に磁化が向いている状態をそれぞれ“0”、“1”に対応させて、情報が記憶される。
【0004】
一方、記憶された情報を読み出す際には、書き込み時の磁場よりも弱い交流磁場を印加し、保磁力の小さい磁性層の磁化のみを反転させると共に、磁気抵抗膜に電流を流し、磁化の反転の前後の抵抗値の変化によって情報を読み出す。これは、2つの磁性層の磁化が同方向を向いている状態(平行状態)と、2つの磁性層の磁化が互いに反対の方向を向いている状態(反平行状態)とで、抵抗値が異なることを利用したものである。
【0005】
上記のようなGMRメモリ素子は、情報が磁気的に記憶されるため、放射線耐性に優れ、原理的に不揮発であり、書き換え可能で、且つ、書き換え回数の制限がないといった利点を有する。また、高速で情報の書き込み、読み出しを行うことができる。更に、既存の半導体技術を用いて素子サイズを小型化することにより、高密度の情報記憶が可能で、将来的にはダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)の置き換えに用いられることが期待される。このようなGMRメモリ素子に関しては、例えば特開平6−243673号公報に記載されている。
【0006】
GMRメモリ素子の動作原理を、以下により詳細に説明する。図22はGMRメモリ素子の基本構成を示す概略断面図である。図22において、101は第1磁性層、102は非磁性層、103は第2磁性層、104は絶縁層、105はワード線(書き込み線)示す。これらの層は、不図示の基板上に順次、積層されて形成される。
【0007】
上記第1磁性層101は軟磁性材料から形成され、第2磁性層103は硬磁性材料から形成される。軟磁性材料、硬磁性材料は、保磁力の大きさによって区別され、保磁力の高い磁性材料を硬磁性材料、保磁力の低い磁性材料を軟磁性材料と呼ぶ。つまり、図22のメモリ素子では、第2磁性層103は、第1磁性層101よりも室温において高い保磁力を有している。
【0008】
機能的には、第2磁性層103は書き込まれた情報を保持し、第1磁性層101は読み出し時に磁化が反転して、抵抗値を変化させる役割を果たす。したがって、第1磁性層101を再生層、第2磁性層103をメモリ層と呼ぶこともできる。
【0009】
図22のGMRメモリ素子への情報の書き込みは、ワード線105に電流を流すことによって発生する磁界で、メモリ層である第2磁性層103の磁化方向を変えることにより行われる。この様子を図23(a)及び(b)で説明する。これらの図において、図22と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0010】
図23(a)は、“0”を書き込む場合を示している。ワード線105に対し、紙面に垂直方向に奥側から手前側に向かって電流を流すと、矢印106-1の方向に磁界が発生する。書き込みの際には、大きな磁界を印加するので、再生層である第1磁性層101の磁化だけでなく、第2の磁性層103の磁化も右方向に向けられる。このような図23(a)の状態が“0”を示す。
【0011】
一方、図23(b)は、“1”を書き込む場合を示している。ワード線105に対し、紙面に垂直方向に手前側から奥側に向かって電流を流すと、矢印106-2の方向に磁界が発生する。そして、第1磁性層101及び第2の磁性層103の磁化が共に左方向に向けられる。このような図23(b)の状態が“1”を示す。
【0012】
上記のように書き込まれた情報は、ワード線105に書き込み時よりも小さい電流を方向を切り換えて流すことによって読み出すことができる。つまり、ワード線105に正及び負の再生電流パルスを順番に流し、再生層である第1磁性層101の磁化を反転させると共に、第1磁性層101、非磁性層102及び第2磁性層103から成る磁気抵抗膜に電流を流し、この間の磁気抵抗膜の抵抗値の変化を検出することによって、書き込まれた情報が再生される。
【0013】
上記のような情報再生の原理を、図24(a)、(b)及び図25(a)、(b)で説明する。これらの図において、図22と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0014】
まず、図23(a)のように“0”が記憶されている場合を説明する。図24(a)のようにワード線105に対し、はじめ紙面に垂直方向に手前側から奥側に向かって電流を流し、次に図25(a)のように紙面に垂直方向に奥側から手前側に向かって電流を流す。すると、はじめ紙面に垂直方向に手前側から奥側に向かって電流を流すと、矢印107に示す磁界が発生する。この磁界は、書き込み時よりも小さいため、第1磁性層101の磁化は図24(a)に示すように左向きに反転するが、第2磁性層103の磁化は右向きのままである。
【0015】
次に、紙面に垂直方向に奥側から手前側に向かって電流を流すと、矢印108に示す磁界が発生し、第1磁性層101の磁化は図25(a)に示すように右向きとなる。
【0016】
この間の2つの磁性層の磁化方向に注目すると、はじめに図24(a)に示す状態では第1磁性層101と第2磁性層103の磁化方向は反平行であり、次に図25(a)の状態になると、第1磁性層101と第2磁性層103の磁化方向は平行になる。磁気抵抗膜において、2つの磁性層の磁化方向が反平行の時は大きな抵抗値を示し、2つの磁性層の磁化方向が平行の時には小さな抵抗値を示す。したがって、上記のようにワード線105に正負の再生電流パルスを流した時に、抵抗値が高抵抗から低抵抗に変化したら、“0”が書き込まれていると読み取ることができる。
【0017】
上記抵抗値の変化は、例えば磁気抵抗膜に一定の電圧を印加しておき、ワード線105に再生電流パルスを流した時の電流値の変化によって検出することができる。つまり、上記のようにワード線105に正負の再生電流パルスを流した時に、磁気抵抗膜に流れる電流が小さい状態から大きな状態に変化したら、書き込まれた情報は、“0”であると判断する。
【0018】
次に、図23(b)のように“1”が記憶されている場合を説明する。図24(b)のようにワード線105に対し、はじめ紙面に垂直方向に手前側から奥側に向かって電流を流し、次に図25(b)のように紙面に垂直方向に奥側から手前側に向かって電流を流す。すると、はじめ紙面に垂直方向に手前側から奥側に向かって電流を流すと、矢印107に示す磁界が発生するが、第1磁性層101及び第2磁性層103の磁化方向は共に左向きのままである。
【0019】
次に、紙面に垂直方向に奥側から手前側に向かって電流を流すと、矢印108に示す磁界が発生し、第1磁性層101の磁化は図25(b)に示すように右向きに反転する。
【0020】
この間の2つの磁性層の磁化方向に注目すると、はじめに図24(b)に示す状態では第1磁性層101と第2磁性層103の磁化方向は平行であり、次に図25(b)の状態になると、第1磁性層101と第2磁性層103の磁化方向は反平行になる。したがって、上記のようにワード線105に正負の再生電流パルスを流した時に、抵抗値が低抵抗から高抵抗に変化したら、“1”が書き込まれていると読み取ることができる。つまり、磁気抵抗膜に一定の電圧を印加しておき、ワード線105に正負の再生電流パルスを流した時に、磁気抵抗膜に流れる電流が大きい状態から小さい状態に変化したら、書き込まれた情報は、“1”であると判断する。
【0021】
以上説明したように、GMRメモリ素子は、ワード線に書き込む情報に応じて方向の異なる書き込み電流を流すことによって情報を記録することができる。また、ワード線に書き込み電流よりも小さい正負の再生電流パルスを流し、この時の抵抗値の変化から記録された情報が“0”か“1”か識別することができる。このような記録再生方法は、不揮発、非破壊で、高速駆動が可能であることから、理想的なメモリ特性が期待できる。
【0022】
一方、記録及び再生の際に、GMRメモリ素子から電流がリークすることを防止するため、通常、GMR素子は絶縁体上に形成される。このようなGMRメモリ素子の一例として、特開平9−45074号公報には、絶縁性表面を持つ基板上に、単結晶シリコン膜が形成された、所謂SOI(Silicon On Insulator)基板を用いた例が記載されている。このようなGMRメモリ素子の概略断面図を図26に示す。
【0023】
図26において、206はシリコン基板、207は絶縁層、208はエピタキシャル成長された単結晶シリコン層、209はCuから成るバッファー層、201は第1磁性層、202は非磁性層、203は第1磁性層よりも室温において大きな保磁力を持つ第2磁性層、204は絶縁層、205はワード線(書き込み線)をそれぞれ示す。ここで、シリコン基板206、絶縁層207及び単結晶シリコン層208がSOI基板を構成している。図5に示すGMRメモリ素子においても、情報の書き込み及び読み出しは、図22〜図25で説明した方法と同様の方法で行われる。
【0024】
図26に示すGMRメモリ素子は、絶縁層204によってシリコン基板206への電流のリークを防止できる。また、図26の素子では、SOI基板上に、第1磁性層201、非磁性層202及び第2磁性層203をエピタキシャル成長させることにより、小さな磁場で大きな磁気抵抗値の変化を示し、書き込みが容易で信頼性の高いメモリ素子が得られる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−45074号公報に記載されたGMRメモリ素子において、SOI基板は単に磁気抵抗膜を形成するためのベース部材として用いられているだけで、SOI基板の特徴を十分に活かしたものとはいえなかった。
【0026】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、SOI基板の特徴を十分に活かし、メモリ素子を動作させるためのスイッチング素子が磁気抵抗膜とモノリシックに形成された、集積度の高いGMRメモリ素子を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、絶縁性の表面を有する基板、前記基板の絶縁性表面上に形成された単結晶半導体層、前記単結晶半導体層の少なくとも一部に形成されたスイッチング素子、前記基板の絶縁性表面上に形成された、第1磁性層と、第1磁性層よりも高い保磁力を有し、第1磁性層に非磁性層を間に挟んで積層された第2磁性層とから成る磁気抵抗膜、及び、前記磁気抵抗膜の近傍に、間に絶縁層を挟んで設けられたワード線とから成り、前記スイッチング素子が、磁気抵抗膜及びワード線のいずれかに電気的に接続されていることを特徴とする巨大磁気抵抗効果を利用したメモリ素子によって達成される。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のGMRメモリ素子の第1の実施態様を示す概略断面図である。この第1実施態様は、1ビットの情報を記憶する1つのメモリセルと、このメモリセルのスイッチングを行う1つのスイッチング素子とを有する、本発明の最もシンプルな構成を示すものである。
【0029】
図1において、41はシリコン基板、42はシリコン基板41上に形成されたSiO2から成る絶縁層、43は絶縁層42上に形成された単結晶シリコン層をそれぞれ示す。これらシリコン基板41、絶縁層42及び単結晶シリコン層43が所謂SOI基板を構成する。絶縁層42の膜厚は作製しようとするメモリ素子の構成によって適宜選択されるが、十分な絶縁性を得るため、100nm〜1μmの厚さに形成することが望ましい。
【0030】
このようなSOI基板は、例えば米国特許第5371037号に記載されているように、多孔質シリコン層上にエピタキシャル成長された単結晶シリコン層を、絶縁層を間に挟んで他の基板と貼り合せた後、多孔質シリコン層を除去する方法によって形成される。また、SOI基板は、シリコン基板の表面から所定の深さに酸素イオンを注入し、この後、熱処理することによって表面の単結晶シリコン層の下に酸化シリコンから成る絶縁層を形成する方法、あるいは米国特許第5374564号に記載されているように、シリコン基板の表面から所定の深さに水素イオンを注入した後、熱処理することによって表面の単結晶シリコン層の下にマイクロバブル領域を形成し、単結晶シリコン層を他の基板に貼り合せた後、マイクロバブル領域で基板を分離する方法など、周知のいかなる方法で作製されたものでも用いることができる。
【0031】
単結晶シリコン層43の一部には、ソース領域48、ゲート領域49及びドレイン領域50が形成されている。そして、ゲート領域49の上には、ゲート絶縁層52を挟んでゲート電極53が設けられ、これらによって電界効果型トランジスタ(FET)51が構成されている。この電界効果型トランジスタ51は、周知の半導体プロセスを用いて作製される。例えば、ソース領域48、ゲート領域49及びドレイン領域50は、単結晶シリコン層43の一部に不純物を拡散させる等の方法で形成することができる。
【0032】
単結晶シリコン層43の上には、磁気抵抗膜47が形成されている。この磁気抵抗膜47は、単結晶シリコン層43の上に、第1磁性層44、非磁性層45及び第2磁性層46を順に積層することによって形成される。第2磁性層46は、第1磁性層44よりも室温において高い保磁力を有している。つまり、第2磁性層46は、図1で説明したメモリ層(書き込み層)の機能を果たし、第1磁性層44は再生層(読み出し層)の機能を果たす。第1磁性層44及び第2磁性層46は、共にNi、Fe、Coやこれらの元素の少なくとも1種を含む合金から形成される。そして、これら元素の組合わせあるいは組成を互いに異ならせることによって、第2磁性層46が第1磁性層44よりも高い保磁力を有するように形成されている。これらの磁性層を形成する材料としては、例えばCo、NiFe、NiFeCo、FeCo、CoFeBといった材料が用いられる。また、第1磁性層44あるいは第2磁性層46を2層以上の多層構成としても良い。例えば、第2磁性層46として、厚さ5nmのCo層と厚さ30nmのFeMn層を積層した2層構成のものを用いても良い。
【0033】
第1の磁性層44及び第2の磁性層46は、逆の順に形成しても良い。即ち、単結晶シリコン層43上に、第2磁性層46、非磁性層45及び第1磁性層44の順に形成することもできる。また、第1の磁性層44及び第2の磁性層46の膜厚は好ましくは、それぞれ2〜100nmの範囲に形成される。
【0034】
非磁性層45の材料としては、Cu、Ag、Au、Al、Mg等の金属が好適に用いられ、特に好ましくはCuが用いられる。非磁性層45の膜厚は、1〜10nmの範囲に形成されることが望ましい。成膜方法にもよるが、1nm以下では膜が島状に成長することでピンホールが発生する恐れがある。このようなピンホールが発生すると、第1及び第2磁性層の相互作用により磁気抵抗が発現しない場合がある。一方、非磁性層45が10nmより厚い場合には、第1及び第2磁性層間の間隔が電子の平均自由行程に対し広すぎて、スピン依存性散乱が減少するため、磁気抵抗が小さくなる。
【0035】
前記電界効果型トランジスタ51のドレイン領域50は、この磁気抵抗膜47の一端に電気的に接続されてる。そして、この電界効果型トランジスタ51は、磁気的抵抗膜47に電流を流す際のスイッチング素子の機能を果たす。この点から、一部に電界効果型トランジスタ51が形成される単結晶シリコン層43の膜厚は非常に重要である。単結晶シリコン層43の膜厚は、50〜500nmの範囲に形成されることが望ましい。
【0036】
単結晶シリコン層43の膜厚が50nmより薄いと、格子欠陥の発生によって結晶性が悪化し、この上に形成される磁気抵抗膜の均一性に悪影響を及ぼし、メモリ特性が低下したり、電界効果型トランジスタを作製するためにイオン注入を行った場合に、このイオン注入によるダメージが絶縁層42にまでおよび、所望の半導体特性が得られず、電界効果型トランジスタの動作が不安定になる恐れが生じる。また、単結晶シリコン層43の膜厚が500nmより厚いと、消費電力が大きくなり、スイッチング速度が低下したり、磁気抵抗膜以外に流れるリーク電流が増えて、磁気抵抗が低くなり、再生時に大きな信号強度が得られない恐れがある。更に、単結晶シリコン層43の膜厚が500nmより厚いと、上記イオン注入によって注入されたイオンの濃度プロファイルが生じ、この単結晶シリコン層43の一部に作製された電界効果型トランジスタ51の動作特性にバラツキが生じる場合がある。単結晶シリコン層43の膜厚は、より望ましくは50〜250nmの範囲、更に望ましくは60〜120nmに形成される。
【0037】
上記磁気抵抗膜47上には、絶縁層54を介してワード線(書き込み線)55が形成されている。ワード線55は書き込み電流を流すために導電性の高い材料で形成され、Al,Cu,Au等の金属膜から形成されるのが望ましい。ワード線55の膜厚は、流す電流の大きさや線幅によって決定されるが、通常、10〜1000nmの範囲に形成されるのが望ましい。絶縁層54は、SiO2,SiN,Al23等の無機材料や、ノボラック樹脂等の有機材料から形成される。この絶縁層54の膜厚はワード線55に加えられる電力に対して必要な絶縁耐圧に応じて決定されるが、通常5〜1000nmの範囲に形成される。
【0038】
図1では用いられていないが、単結晶シリコン層43と磁気抵抗膜47の間に、これらの層間の表面自由エネルギーを調整し、より平坦性の高い界面構造を実現する目的で、バッファ層を設けても良い。バッファ層の材料としては、Ta,Cu,Cr等の各種金属や、SiN,SiO2,Al23等の絶縁体が用いられる。より好ましくはTaあるいはSiNが用いられる。バッファ層の膜厚は2〜10nmの範囲に形成されることが望ましい。成膜方法にもよるが、2nmよりも薄いと、島状に成長することにより膜質が不均一になる恐れがあり、10nmよりも厚いと生産性が低下する恐れがある。
【0039】
図6の実施態様において、ワード線55の下の部分の磁気抵抗膜47が、1ビットの情報を記憶する最小単位であるメモリセルとなる。このメモリセルへの情報の書き込みは、図23(a),(b)で説明した方法と同様に、ワード線55に流す電流の方向によって“0”あるいは“1”が選択的に書き込まれる。例えば、ワード線55に紙面に垂直方向に奥側から手前側に電流を流した時には“0”が、紙面に垂直方向に紙面手前側から奥側に電流を流した時には“1”が書き込まれる。電流の流れる方向と“0”及び“1”との関係は反対の関係でも構わない。
【0040】
電界効果型トランジスタ51を情報書き込みの際のスイッチングに用いることができる。電界効果型トランジスタ51のソース領域48、ゲート電極53及び磁気抵抗膜47の電界効果型トランジスタ51に接続された端部と反対側の端部には、それぞれ端子56,57及び58が電気的に接続されている。端子56と端子58の間に電圧を印加し、端子57に電圧を印加すると、電界効果型トランジスタ51がオン状態となり、磁気抵抗膜47に電流が流れる。このように磁気抵抗膜47に電流が流れている状態の時に、ワード線55に書き込み電流を流したときに、これらの電流による磁界が重畳されて初めて情報が記録されるように、それぞれの電流値を設定しても良い。この場合、電界効果型トランジスタ51がオフ状態では、磁気抵抗膜47には電流が流れず、ワード線55に電流が流れていても、情報は書き込まれない。つまり、電界効果型トランジスタ51をオン/オフすることにより、情報の書き込みを制御できる。
【0041】
一方、図1に示すGMRメモリ素子に書き込まれた情報は、図24(a),(b)及び図25(a),(b)で説明した方法と同様の方法で読み出すことができる。端子56と端子58の間に一定の電圧を印加し、電界効果型トランジスタ51をオン状態にすると、磁気抵抗膜47に読み出し電流が流れる。この状態で、ワード線55に時間的に方向が切り換わる交流再生パルス電流を印加すると、磁気抵抗膜47の抵抗値の変化により、端子56及び58間に流れる電流が変化する。この電流変化、即ち電流が大きい状態から小さい状態に変化するか、小さい状態から大きい状態に変化するかによって、書き込まれた情報が“0”が“1”かを判別することができる。
【0042】
図1に示すGMRメモリ素子は、フォトリソグラフィーに代表される周知の微細加工パターニング方法を用いて作製することができる。また、第1及び第2磁性層、非磁性層、絶縁層、ワード線等は、蒸着法、スパッタリング法、分子ビームエピタキシー(MBE)法など周知の各種方法を用いて成膜することができる。
【0043】
図2〜図4は、上記のようなメモリセルを、SOI基板上に、M×N個(M及びNはそれぞれ2以上の整数)のマトリックス状に形成した本発明のGMRメモリ素子の第2実施態様を示す図である。図2はGMRメモリ素子の平面図を示し、図3は図2におけるA−Aに沿った概略断面図、図4は図2におけるB−Bに沿った概略断面図である。これらの図において、同一の部材には同一の符号を付している。
【0044】
これらの図において、11はシリコン基板を示し、このシリコン基板11上には、絶縁層12を介して単結晶シリコン層13が形成されている。このシリコン基板11、絶縁層12及び単結晶シリコン層13が、所謂SOI基板を構成している。本実施態様に用いるSOI基板も、第1の実施態様で説明した周知の基板作製方法を用いて作製される。単結晶シリコン層13は、X方向に延びるライン状にパターニングされ、Y方向に単結晶シリコン層13のラインがN本、互いに平行に形成されている。また、単結晶シリコン層13は、X方向にM個並んで配置された電界効果型トランジスタ4−1〜4−Mを形成するためにも用いられている。上記N本のライン及び電界効果型トランジスタ4−1〜4−Mを形成した部分以外の単結晶シリコン層13は、絶縁層12に達するまでエッチングすることによって除去されている。
【0045】
基板上に残された単結晶シリコン層13のN本のラインの一方の端部にはそれぞれ電界効果型トランジスタ1−1〜1−Nが形成されている。おのおのの電界効果型トランジスタ1−1〜1−Nは、ソース領域20、ゲート領域21及びドレイン領域22を有し、ゲート領域21上には、膜厚の薄いゲート絶縁層23を介してゲート電極3−1〜3−Nが形成されている。また、ソース領域20上のゲート絶縁層23には、コンタクトホール24が形成され、ソース領域20にソース電極2−1〜2−Nが電気的に接続されている。これらの電界効果型トランジスタ1−1〜1−Nは、第1の実施態様で説明したように、不純物拡散等の周知の半導体プロセスを用いて作製される。
【0046】
一方、電界効果型トランジスタ4−1〜4−Mは、ソース領域27、ゲート領域26及びドレイン領域25を有し、ゲート領域26上には、膜厚の薄いゲート絶縁層28を介してゲート電極6−1〜6−Mが形成されている。また、ソース領域27上のゲート絶縁層28には、コンタクトホール29が形成され、ソース領域27にソース電極5−1〜5−Mが電気的に接続されている。これらの電界効果型トランジスタ4−1〜4−Mも、電界効果型トランジスタ1−1〜1−Nと同様に、基板上に残された単結晶シリコン層13を用いて、不純物拡散等の周知の半導体プロセスによって作製される。
【0047】
上記N本のライン状の単結晶シリコン層13上には、それぞれバッファ層14を介して磁気抵抗膜8−1〜8−NがX方向に延びるN本のライン状に、Y方向に互いに平行に形成されている。おのおのの磁気抵抗膜8−1〜8−Nは、それぞれ第1磁性層15、非磁性層16及び第2磁性層17から構成されている。これらの層は、第1の実施態様で説明したような材料で、同様の膜厚に形成される。
【0048】
磁気抵抗膜8−1〜8−Nの電界効果型トランジスタ1−1〜1−Nが設けられた側の端部には、それぞれセンス線(読み出し線)7−1〜7−Nが形成されている。これらのセンス線7−1〜7−Nは、電界効果型トランジスタ1−1〜1−Nのドレイン領域22と磁気抵抗膜8−1〜8−Nとを良好に電気的に接続するためのもので、導電性の高い材料で形成され、Al,Cu,Au等の金属膜から形成されるのが望ましい。また、磁気抵抗膜8−1〜8−Nの他方の端部は、センス線10によって互いに電気的に接続された上で、アースされている。このセンス線10も、導電性の高いAl,Cu,Au等の金属膜から形成されるのが望ましい。
【0049】
上記磁気抵抗膜8−1〜8−N上には、絶縁層19が形成されている。この絶縁層19は磁気抵抗膜8−1〜8−N上を覆うだけでなく、これらの磁気抵抗膜の間の領域の絶縁層12上にも形成され、これらの間を埋め込んで、上面が平坦になるように形成されている。この絶縁層19上には、Y方向に延びるライン上のワード線(書き込み線)18−1〜18−Mが、X方向に並んで互いに平行に形成されている。これらのワード線18−1〜18−Mの一方の端部は、図4に示すように、ゲート絶縁層28に形成されたコンタクトホール30を通して、電界効果型トランジスタ4−1〜4−Mのドレイン領域25にそれぞれ電気的に接続されている。また、ワード線18−1〜18−Mの他方の端部は、互いに電気的に接続された上で、アースされている。絶縁層19及びワード線18−1〜18−Mは、第1の実施態様で説明した材料によって、同様の膜厚で形成される。
【0050】
これらのワード線18−1〜18−Mの下にある磁気抵抗膜8−1〜8−Nの部分が、それぞれ1ビットの情報を記憶するメモリセルと成る。即ち、図1で見ると、ワード線18−1〜18−Mと磁気抵抗膜8−1〜8−Nとの交点(オーバーラップした部分)にそれぞれメモリセル9−1−1,9−1−2,・・・,9−N−Mが形成され、M×N個のメモリセルがマトリックス状に配置される。本実施態様では、それぞれのメモリセルは区切られていないが、各磁性層には磁壁が形成されるため、ワード線の下の部分のみがメモリとして機能する。このため、本実施例によれば、GMRメモリ素子を作製する場合のパターニングが簡略化でき、作製コストを抑えることが可能である。
【0051】
図5は、図2〜図4に示すGMRメモリ素子を用いたメモリ装置を示す回路図である。図5において、図2〜図4と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0052】
アドレスバス31は、書き込み及び読み出しを行うメモリセルを指定するためのもので、特定のメモリセルを示すアドレス信号がセンスデコーダ33及びワードデコーダ32に送られ、書き込み及び読み出しが実行される。センスデコーダ33は、電界効果型トランジスタ1−1〜1−Nのオン/オフを切り換えて、磁気抵抗膜に流す電流をコントロールすると共に、磁気抵抗膜に流れる電流値を測定して、磁気抵抗膜の抵抗変化を検出する機能を有している。一方、ワードデコーダ32は、電界効果型トランジスタ4−1〜4−Mのオン/オフを切り換えると共に、ワード線に流す電流を発生し、この電流値を制御する機能を有する。
【0053】
メモリセルに対し情報を書き込む方法についてセル9−2−2を例に説明する。
【0054】
まず、アドレスバス31からセンスデコーダ33、ワードデコーダ32に対してセル9−2−2を選択するアドレス信号が命令される。命令を受けたセンスデコーダ33は電界効果型トランジスタ1−2のゲートに対しON命令を出してセル9−2−2が形成された磁気抵抗膜8−2を選択し、センス電流をこの磁気抵抗膜に流す。
【0055】
一方、命令を受けたワードデコーダ32はワード線18−2に接続された電界効果型トランジスタ4−2のゲートに対しON命令を出してワード線18−2を選択し、ワード電流をワード線18−2に流す。このときのワード電流は書き込み動作であるため読み出しに用いられるワード電流よりも大きい電流が印加される。
【0056】
かくして磁気抵抗膜8−2のワード線4−2の直下に位置するセル9−2−2に対してそれぞれの線に印加された電流が発生する磁界が重畳された合成磁界が加えられる。
【0057】
発生した合成磁界は読み出し層の磁化方向だけでなく情報を貯える書き込み層の磁化方向も反転するだけの大きさを持つ。
【0058】
したがって、その際のワード線電流の向きにより“0”,“1”が記録される。同様な手順を全てのセルに対して行うことにより全メモリ領域に情報が高速非破壊に書き込まれる。
【0059】
メモリセルに対し情報を読み出す方法についてセル9−2−2を例に説明する。
【0060】
まず、アドレスバス31からセンスデコーダ33、ワードデコーダ32に対してセル9−2−2を選択するようアドレス信号が命令される。命令を受けたセンスデコーダ33は、磁気抵抗膜8−2に接続された電界効果型トランジスタ1−2のゲートに対しON命令を出して磁気抵抗膜8−2を選択し、センス電流を磁気抵抗膜8−2に流す。一方、命令を受けたワードデコーダ32はワード線18−2に接続された電界効果型トランジスタ4−2のゲートに対しON命令を出してワード線18−2を選択し、ワード電流をワード線18−2に印加する。
【0061】
このときのワード電流は読み出し動作であるため書き込みに用いられるワード電流よりも小さい電流が印加される。
【0062】
かくして磁気抵抗膜8−2のワード線4−2の直下に位置するセル9−2−2に対してそれぞれの線に印加された電流が発生する磁界が重畳された合成磁界が加えられる。
【0063】
発生した合成磁界は情報を貯える書き込み層の磁化方向は固定したままだが、読み出し層の磁化は反転するだけの大きさを持つため、“0”,“1”いずれか記録されている情報によりセンスデコーダでセンス電流の向きを2方向に振ることにより抵抗変化を検出して情報を読み出すことができる。
【0064】
同様な手順を全てのセルに対して行うことにより全メモリ領域の情報が高速非破壊に読み出される。
【0065】
本実施態様においても、情報の書き込み及び読み出しの原理は、図23〜図25及び第1の実施態様で説明した原理と同様である。
【0066】
図5において、一点鎖線で囲った部分が、図2〜図4に示すGMRメモリ素子に相当する。本実施態様では、アドレスバス31、センスデコーダ33及びワードデコーダ32は、GMRメモリ素子とは別に作製され、GMRメモリ素子に接続する例を示したが、これらの回路をSOI基板上の単結晶シリコン層を用いて形成し、これらの回路をGMRメモリ素子と同一の基板上にもノリシックに形成することもできる。
【0067】
以下により具体的な実施例を示す。
【0068】
〔実施例1〕
図2〜図4に示す構成のGMRメモリ素子を作製した。磁気抵抗膜およびワード線の数はそれぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモリセルが8×8のマトリックス状に配置された64ビットのGMRメモリ素子とした。SOI基板としては、先に引用した米国特許第5371037号に記載された方法で作製された8インチサイズの基板を用いた。
【0069】
Si層の厚さは30nm、50〜600nmまで50nm刻みに、700〜1000nmまで100nm刻みに用意した。結晶方位は(100)で、軽くドープしたn形Siとなっている。SiO2の厚さは1μmである。
【0070】
この基板に対しフォトリソグラフィーによるパターニングを施して成膜やミリングをする領域をレジストマスクで定義した。また、不純物元素の混入を防ぐため、磁気抵抗膜以外の半導体プロセスを先に行い保護膜でカバーした。
【0071】
磁気抵抗膜の成膜にスパッタ装置を用いて、到達圧力5×10-5Pa以下でバッファ層であるSiN、第1磁性層であるNi80Fe20、非磁性層であるCu、第2磁性層であるCo、絶縁膜であるSiN、センス線であるAl、ワード線であるAlを成膜した。
【0072】
膜厚はそれぞれ、バッファ層であるSiNが5nm、第1磁性層であるNi80Fe20が10nm、非磁性層であるCuが5nm、第2磁性層であるCoが10nm、絶縁膜であるSiNが30nm、センス線であるAlが30nm、ワード線であるAlが50nmである。ここで、第1磁性層は軟磁性材料であり読み出し(再生)層として、第2磁性層は硬磁性材料であり書き込み(メモリ)層として機能する。
【0073】
成膜時には、基板表面方向に同じ磁気異方性を持つよう永久磁石を配置してある。永久磁石の発生する磁界強度は、測定中心で20Oeとした。素子の加工にはイオンミリングとリフトオフを併用して実際の素子パターンを形成した。
【0074】
上記のプロセスを経て作製した64ビットのメモリ素子に対しアクセス信号を出して素子特性を評価した。消費電力、アクセススピード、アクセス動作或いはメモリとしての安定性というパラメータを勘案し総合的に下した判断の結果を表1に示す。Si層の厚さが50〜500nmの範囲で良好な特性が得られた。
【0075】
中でも50〜250nmの範囲で最良の結果が得られた。上記の結果を受け、より詳細に検討するためにSi層が50nmから250nmまで10nm刻みのSOI基板を用意して同様な検討をしたところ、さらに望ましくは60〜120nmの範囲がよいことがわかった。30nmや550nmより厚いものでは特性が悪く、消費電力が低下せずスイッチングが高速化しなかったり、スイッチングトランジスタの動作が不安定になった。
【0076】
【表1】
Figure 0004095200
【0077】
図6及び図7は、SOI基板上にメモリセルをM×N個のマトリックス状に形成した本発明のGMRメモリ素子の第3の実施態様を示す図である。図6はGMRメモリ素子の平面図を示し、図7は図6におけるC−Cに沿った概略断面図である。Y方向に沿った概略断面図は、図4と同様であるため省略した。図6及び図7において、図2〜図4と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0078】
本実施態様は、メモリセルを構成するワード線の下の部分を除いて磁気抵抗膜を除去し、残った磁気抵抗膜をセンス線(読み出し線)40−1−1,40−2−1,・・・40−M−Nで接続した点でのみ第2の実施態様と相違する。本実施態様によれば、これらのセンス線の導電率を調整することにより、電界効果型トランジスタのドレイン領域に繋がる合成抵抗の大きさを調整するものである。本実施態様も、第2の実施態様と同様の材料、同様の方法で作製することができ、書き込み及び読み出しも同様の方法で行われる。
【0079】
〔実施例2〕
図6及び図7に示す構成のGMRメモリ素子を作製した。磁気抵抗膜およびワード線の数はそれぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモリセルが8×8のマトリックス状に配置された64ビットのGMRメモリ素子とした。SOI基板としては、先に引用した米国特許5371037号に記載された方法で作製された8インチサイズの基板を用いた。
【0080】
磁気抵抗膜等の構成は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法で作製した。センス線としては、Al膜を用いた。
【0081】
このように作製した64ビットのメモリ素子に対し、アクセス信号を入力して素子特性を評価した。消費電力、アクセススピード、アクセス動作及びメモリとしての安定性に関しては、実施例1と全く同様の結果が得られた。
【0082】
単結晶シリコン層の厚さに関しては、50〜500nm範囲で良好な結果が得られた。中でも50〜250nmの範囲で最良の結果が得られた。30nmや550nmより厚いものでは特性が悪く、消費電力を低く抑えることができず、スイッチング速度が低かったり、電界効果型トランジスタの動作が不安定になった。
【0083】
図8及び図9は、SOI基板上にメモリセルをM×N個のマトリックス状に形成した本発明のGMRメモリ素子の第4の実施態様を示す図である。図8はGMRメモリ素子の平面図を示し、図9は図8におけるD−Dに沿った概略断面図である。Y方向に沿った概略断面図は、図4と同様であるため省略した。図8及び図9において、図6及び図7と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0084】
本実施態様は、ワード線によって発生する磁界をメモリセルの部分に集中させるための磁界集中層35及び36を、各メモリセルの両側にそれぞれ配置した点でのみ第3の実施態様と相違する。
【0085】
ワード線に流す電流はセンス線と比べ大きいため、発生する磁界が大きく合成磁界の主成分となっている。ワード線によって発生する磁界は反磁界により拡散する。セルを高集積化した場合にはメモリセル同士の間隔が狭くなるため隣接セルのワード線によって発生する磁界による影響が無視できなくなる。こうした影響を抑えるためにはワード線での磁界をなるべく該当セルに集中する必要がある。
【0086】
強磁性層/非磁性層/強磁性層という構成からなるメモリセルに対してそれを取り囲むように周囲に透磁率の高い材料による磁界集中層を設けることにより、磁界集中層の中を発生磁界と反磁界が通過するため該当セルへの集中化が達成される。
【0087】
〔実施例3〕
図8及び図9に示す構成のGMRメモリ素子を作製した。磁気抵抗膜およびワード線の数はそれぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモリセルが8×8のマトリックス状に配置された64ビットのGMRメモリ素子とした。SOI基板としては、先に引用した米国特許5371037号に記載された方法で作製された8インチサイズの基板を用いた。
【0088】
磁気抵抗膜等の構成は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法で作製した。磁界集中層35及び36としては、面積が4μm2のメモリセルの両側に、2μm離して、幅10nm,高さ50nmのFeN膜を形成した。
【0089】
このように作製した64ビットのメモリ素子に対し、アクセス信号を入力して素子特性を評価した。消費電力、アクセススピード、アクセス動作及びメモリとしての安定性を勘案し、総合的に判断した結果を表2に示す。
【0090】
単結晶シリコン層の厚さに関しては、50〜500nm範囲で良好な結果が得られた。中でも、50〜250nmの範囲で最良の結果が得られた。30nmや550nmより厚いものでは特性が悪く、消費電力を低く抑えることができず、スイッチング速度が低かったり、電界効果型トランジスタの動作が不安定になった。
【0091】
【表2】
Figure 0004095200
【0092】
以上説明した実施態様はいずれも、磁気抵抗膜の上に絶縁層を介してワード線を設けるものであったが、本発明のGMRメモリ素子では、磁気抵抗膜の下にワード線を設けることもできる。この例を以下に示す。
【0093】
図10及び図11は、図2〜図4で説明した第2の実施態様に対して、ワード線を磁気抵抗膜の下部に設けた、本発明のGMRメモリ素子の第5の実施態様を示す図である。ここで、図10は図3に対応するX方向に沿った概略断面図であり、図11は図4に対応するY方向に沿った概略断面図である。図10及び図11において、図2〜図4と同一の部材には、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0094】
本実施態様においては、図3のワード線18−1〜18−Mに代えて、磁気抵抗膜8−1の下部に、単結晶シリコン層13に埋め込まれるように、ワード線59−1〜59−Mが設けられている。このため、本実施態様では、図3及び図4に示される絶縁層19は設けられていない。ワード線59−1の端部は、ゲート絶縁層28に形成されたコンタクトホール30を通して、電界効果型トランジスタ4−1のドレイン領域25に電気的に接続されている。
【0095】
本実施態様においても、ワード線59−1〜59−Mは、導電性の高いAl,Cu,Au等の金属膜から形成されるのが望ましい。本実施態様においては、ワード線と磁気抵抗膜を絶縁するため、バッファ層14は絶縁性の材料から形成される必要がある。図10及び図11では、ワード線59−1〜59−Mは単結晶シリコン層13に埋め込まれるように形成されているが、単結晶シリコン層13の表面に保護膜を形成し、この上にワード線を形成するようにしても良い。本実施態様も、これまで説明したいずれの実施態様とも同様の材料、同様の方法で作製することができ、書き込み及び読み出しも同様の方法で行われる。
【0096】
以下、本実施態様の具体的な構成例を示す。
【0097】
〔実施例4〕
磁気抵抗膜およびワード線の数はそれぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモリセルが8×8のマトリックス状に配置された64ビットのGMRメモリ素子とした。SOI基板としては、先に引用した米国特許第5371037号に記載された方法で作製された8インチサイズの基板を用いた。単結晶シリコン層の結晶方位は(100)で、軽くドープしたn形シリコンとなっている。SiO2から成る絶縁層の厚さは、1μmである。
【0098】
この基板に対しフォトリソグラフィーによるパターニングを施した成膜やミリングをする領域をレジストマスクで定義した。また、不純物元素の混入を防ぐため、磁気抵抗膜以外の半導体プロセスを先に行い保護膜でカバーした。さらに単結晶シリコン層の上にワード線を形成した。ワード線であるAlの膜厚は50nmである。
【0099】
磁気抵抗膜の成膜にはスパッタ装置を用いて、到達圧力5×10-5Pa以下でバッファ層であるSiN、第1磁性層であるNi80Fe20、非磁性層であるCu、第2磁性層であるCo、絶縁膜であるSiN、センス線であるAlを成膜した。膜厚はそれぞれ、バッファ層であるSiNが5nm、第1磁性層であるNi80Fe20が10nm、非磁性層であるCuが5nm、第2磁性層であるCoが10nm、絶縁膜であるSiNが30nmである。ここで、第1磁性層は軟磁性材料であり読み出し(再生)層として、また第2磁性層は硬磁性材料であり書き込み(メモリ)層として機能する。成膜時には、基板表面方向に同じ磁気異方性を持つよう永久磁石を配置してある。永久磁石の発生する磁界強度は、測定中心で200Oeとした。
【0100】
素子の加工にはイオンミリングとリフトオフを併用して実際の素子パターンを形成した。
【0101】
上記のプロセスを経て作製した64ビットのメモリ素子に対しアクセス信号を出して素子特性を評価した。消費電力、アクセススピード、アクセス動作あるいはメモリとしての安定性というパラメータを勘案し総合的に評価したところ良好な特性を得ることができた。
【0102】
図12は、図6及び図7で説明した第3の実施態様に対して、ワード線を磁気抵抗膜の下部に設けた、本発明のGMRメモリ素子の第6の実施態様を示す図である。ここで、図12は図7に対応するX方向に沿った概略断面図である。図12において、図7と同一の部材には、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0103】
本実施態様においては、図7のワード線18−1〜18−Mに代えて、磁気抵抗膜の下部に、単結晶シリコン層13に埋め込まれるように、ワード線59−1〜59−Mが設けられている。このため、本実施態様では、図7に示される絶縁層19は設けられていない。
【0104】
本実施態様においても、ワード線59−1〜59−Mは、導電性の高いAl,Cu,Au等の金属膜から形成されるのが望ましい。本実施態様においては、ワード線と磁気抵抗膜を絶縁するため、バッファ層14は絶縁性の材料から形成される必要がある。図12では、ワード線59−1〜59−Mは単結晶シリコン層13に埋め込まれるように形成されているが、単結晶シリコン層13の表面に保護膜を形成し、この上にワード線を形成するようにしても良い。本実施態様も、これまで説明したいずれの実施態様とも同様の材料、同様の方法で作製することができ、書き込み及び読み出しも同様の方法で行われる。
【0105】
ここまで説明してきた実施態様においては、磁気抵抗膜の膜面に平行に電流を流す、所謂CIP(Current In Plane)型のものであったが、GMRメモリ素子としては、膜面に垂直に電流を流す所謂CPP(Current Perpendicular to the Plane)型のものも知られている。これを以下に説明する。
【0106】
GMRの構成を材料とメカニズムの観点から分類すると、金属非磁性層を用いたスピン散乱型、一方の強磁性層の磁化方向を反強磁性層で固定したスピンバルブ型、絶縁体非磁性層を用いたスピントンネル型、非磁性層中に磁性材料の微粒子を分散したグラニュラー型、ペロプスカイト酸化膜を用いたCMR(Colossal Magneto Resistance)型等がある。
【0107】
スピン散乱型では非磁性層をCu等の金属として2つの磁性層間のスピン依存散乱によりGMRが発現する。すなわち磁性層の磁化の向きが平行な場合には、磁化と反対方向のスピンを持つ電子は散乱されるが磁化と同じ向きのスピンを持つ電子は散乱されず、全体として抵抗が低くなる。
【0108】
逆に、磁性層の磁化の向きが反平行な場合には、磁化と同方向なスピンを持つ電子、反対方向のスピンを持つ電子のいずれも散乱されるため全体として抵抗が高くなる。MR比は、室温で5〜10%程度得られ、電流と磁化の方向で決まる異方性磁気抵抗効果より大きいが、スピントンネル型よりは小さい。
【0109】
スピンバルブ型は、原理的にはスピン散乱と同じだが、一方の強磁性層に反強磁性層を組み合わせることで、磁化方向をピン止めしている点が異なる。
【0110】
もう一方の磁性層の磁化方向は自由に回転できる。磁化曲線を取ると磁化方向により非対称な形状となり、ゼロ磁界付近で低抵抗から高抵抗へと線形に変化するため、微小磁気をセンシングする磁気センサーに適した構造となっている。現在ではハードディスクの読み取りセンサとして実用化されている。
【0111】
スピントンネル型では、非磁性層を絶縁体として絶縁体を電子がトンネリングして2つの磁性層間を移動し、スピン電子の状態密度の差に依存する形でGMRが発現する。すなわち磁性層の磁化の向きが平行な場合には、アップスピンを持つ電子はもう一方の強磁性層の空いたアップスピンの状態に、ダウンスピンを持つ電子はもう一方の強磁性層の空いたダウンスピンの状態にトンネルできるためスピン電子の状態密度の差が小さくなり抵抗が低くなる。
【0112】
逆に磁性層の磁化の向きが反平行な場合には、アップスピンを持つ電子、ダウンスピンを持つ電子のいずれもトンネルできないためスピン電子の状態密度の差が大きくなり抵抗が高くなる。MR比は室温で10〜30%程度が得られ、スピン散乱型より大きい。ただし、絶縁体を挟んだ構造のため素子抵抗はスピン散乱型より大きい。スピントンネル現象を利用しながら反強磁性膜を使いスピンバルブ型として磁気抵抗膜の研究が次世代のハードディスク読み取りセンサ用として盛んに研究されている。
【0113】
グラニュラー型には、非磁性層として金属を用いたスピン散乱タイプと、絶縁体を用いたスピントンネルタイプが存在する。先述したスピン散乱型やスピントンネル型では、各層ごとに役割分担を明確化しているのに対し、グラニュラー型では、マトリクス中に分散した個々の微細磁性粒子のスピンに依存する形でGMRを発現する点が大きな相違である。Co/AlOx系のスピントンネルタイプにおいても、8%程度のMRが室温で得られている。
【0114】
GMR型ではペロブスカイト構造のMn酸化物をスピン分極率のより高いペロブスカイトMn酸化物で挟み込んだトンネル接合とするタイプやペロブスカイト註の層状構造をトンネル接合として利用するタイプが存在する。CMR型のスピン分極率は非常に高いため極低温では400%ものMRが得られる。
【0115】
GMRメモリ素子において、電流の流す方向には、前述のように、CIP型とCPP型がある。先に説明した第1〜第5の実施態様は全てCIP型である。
【0116】
CIPではスピン散乱型の磁気抵抗膜を用いる。この場合1セルの抵抗はシート抵抗で10Ω程度、センス線のシート抵抗は0.5Ωとなる。また、磁気抵抗変化率は5〜10%程度とスピントンネル型と比較して小さい。
【0117】
CIP構造で多数のセルをセンス線に直列接続して、その両端で信号検出する場合、繋っている多数セルの抵抗値を合算した合成抵抗に対して1つのセル分の抵抗変化を信号とするためSNが悪くなる。
【0118】
これに対し、CPPでは、スピントンネル型の磁気抵抗膜を用いるのがよく、この場合1セルの抵抗は数kΩから数十kΩ程度とセンス線に比べて抵抗値が大きい。また、磁気抵抗変化率も10〜30%程度とスピン散乱型と比較して大きい。
【0119】
すなわち磁気抵抗膜をセンス線に接続しても十分大きな抵抗変化が得られ、よって大きなSNが得られる。CPP構造では、センス線の交差点にセルを配置するためセルを多数配置する場合、各々のセルは並列に接続される。
【0120】
このため特定のセルの抵抗を検出する場合、そのセルに交差するセンス線に電流を流せば他のセルの影響をあまり受けずに検出できるため、CIPと比べSNは悪化しない。
【0121】
したがって、CPP構造の方が1列のセンス線に接続可能なセル数が多く大規模なマトリクスを容易に形成することができる。
【0122】
つまり、メモリ素子として多数のメモリセルを並べて駆動することを考えた場合にはCPP構造の方が有利である。
【0123】
以下に、磁気抵抗膜の膜面に垂直に電流を流すCPP型の実施態様を説明する。
【0124】
図13は、本発明のGMRメモリ素子の第7の実施態様を示す概略断面図である。この第7の実施態様は、1ビットの情報を記憶する1つのメモリセルと、このメモリセルのスイッチングを行う1つのスイッチング素子とを有する、最もシンプルな構成を示すものである。
【0125】
図13において、60はシリコン基板、61はシリコン基板60上に形成されたSiO2から成る絶縁層をそれぞれ示す。絶縁層61上には単結晶シリコン層が形成されている。これらシリコン基板60、絶縁層61及び単結晶シリコン層が、所謂SOI基板を構成する。絶縁層61の膜厚は作製しようとするメモリ素子の構成によって適宜選択されるが、十分な絶縁性を得るため、100nm〜1μmの厚さに形成することが望ましい。
【0126】
このようなSOI基板は、先に説明した米国特許第5371037号に記載された方法、あるいは米国特許第5374564号に記載されている方法などによって作製される。
【0127】
単結晶シリコン層は、一部を除いて絶縁層61上からエッチング法などによって除去される。残った単結晶シリコン層には、ソース領域70、ゲート領域71及びドレイン領域72が形成されている。そして、ゲート領域71の上には、ゲート絶縁層74を挟んでゲート電極75が設けられ、これらによって電界効果型トランジスタ(FET)73が構成されている。この電界効果型トランジスタ73は、周知の半導体プロセスを用いて作製される。例えば、ソース領域70、ゲート領域71及びドレイン領域72は、単結晶シリコン層の一部に不純物を拡散させる等の方法で形成することができる。
【0128】
単結晶シリコン層が除去された絶縁層61上には、下部センス(読み出し)線62が形成されている。そして、この下部センス線62上には、磁気抵抗膜66が形成されている。この磁気抵抗膜66は、下部センス線62上に、第1磁性層63、非磁性層64及び第2磁性層65を順に積層することによって形成される。第2磁性層65は、第1磁性層63よりも室温において高い保磁力を有している。つまり、第2磁性層65は、図1で説明したメモリ層(書き込み層)の機能を果たし、第1磁性層63は再生層(読み出し層)の機能を果たす。
【0129】
第1磁性層63及び第2磁性層65は、共にNi、Fe、Coやこれらの元素の少なくとも1種を含む合金から形成される。そして、これら元素の組合わせあるいは組成を互いに異ならせることによって、第2磁性層65が第1磁性層63よりも高い保磁力を有するように形成されている。これらの磁性層を形成する材料としては、例えばCo、NiFe、NiFeCo、FeCo、CoFeBといった材料が用いられる。また、第1磁性層63あるいは第2磁性層65を2層以上の多層構成としても良い。例えば、第2磁性層65として、厚さ5nmのCo層と厚さ30nmのFeMn層を積層した2層構成のものを用いても良い。
【0130】
非磁性層64の材料としては、絶縁体が用いられる。非磁性層が絶縁体の場合には、絶縁体を電子がトンネリングして2つの磁性層間を移動し、スピン電子の状態密度の差に依存する形でGMRが発現する。
【0131】
すなわち、磁性層の磁化の向きが平行な場合には、アップスピンを持つ電子は、もう一方の強磁性層の空いたアップスピンの状態に、ダウンスピンを持つ電子はもう一方の強磁性層の空いたダウンスピンの状態にトンネルできるためスピン電子の状態密度の差が小さくなり抵抗が低くなる。
【0132】
逆に、磁性層の磁化の向きが反平行な場合には、アップスピンを持つ電子、ダウンスピンを持つ電子のいずれもトンネルできないためスピン電子の状態密度の差が大きくなり抵抗が高くなる。
【0133】
絶縁体としては、Al,Si,Cu,Mg等の酸化物や窒化物が用いられるが、フェルミ準位が他の磁性層に近いAl酸化物がより好適に用いられる。非磁性層の膜厚は0.5〜5nmである。
【0134】
0.5nm以下では、成膜方法にもよるが島状成長によるピンホール発生のおそれがあり、両磁性層の相互作用により磁性抵抗が発現しない場合がある。
【0135】
5nmより厚い場合には、両磁性層間の間隙が電子の平均自由行程に対し広すぎてトンネリング確率が減るため磁気抵抗が小さくなる。
【0136】
第1磁性層63/非磁性層64/第2磁性層65からなる磁気抵抗膜66は、メモリセルとして機能するが、その接合面積の大きさは用いるプロセスや使用用途に応じて適宜決定される。磁気抵抗膜の面積で規格化した抵抗率は、10-5Ωcm2程度なので、メモリセルを駆動するトランジスタのオン抵抗の値(数kΩ)に対し適合する1μm2以下が好適である。
【0137】
前記電界効果型トランジスタ73のドレイン領域72は、前記下部センス線62の一端に電気的に接続されている。下部センス線62は、導電性の高い材料で形成され、Al,Cu,Au等の金属膜から形成されることが望ましい。ここで、下部センス線62の膜厚は非常に重要である。この下部センス層62の膜厚を1〜50nmの範囲とすることで信号のSNが大きく消費電力より小さいメモリ特性が得られる。
【0138】
1nmよりも薄い場合には、電気抵抗が大きくなり回路全体でのSNが悪くなる。50nmより厚い場合には、MRが低下してSNが悪くなる。下部センス層の膜厚を変えて実施を繰り返した結果、より好適な厚さは5〜20nmの範囲であることがわかった。
【0139】
より詳細に検討するために下部センス層62が5〜20nmまでの1nm刻みのサンプルを用意して調査したところ、さらに望ましい範囲は6〜9nmであることがわかった。これは、2nm程度の島状成長しなくなる膜厚限界において最良のメモリ特性が得られると予想していたのに対し意外な結果であった。
【0140】
上記磁気抵抗膜66上には、紙面に垂直方向に延びる上部センス線67が形成されている。更に、上部センス線67上には、絶縁層68を介してワード線(書き込み線)69が形成されている。上部センス線67及びワード線69は読み出し/書き込み電流を流すために、それぞれ導電性の高い材料で形成され、Al,Cu,Au等の金属膜から形成されるのが望ましい。上部センス線67及びワード線69の膜厚は、流す電流の大きさや線幅によって決定されるが、通常、100〜1000nmの範囲に形成されるのが望ましい。絶縁層68は、SiO2,SiN,Al23等の無機材料や、ノボラック樹脂等の有機材料から形成される。この絶縁層68の膜厚は上部センス線67或はワード線69に加えられる電力に対して必要な絶縁耐圧に応じて決定されるが、通常5〜1000nmの範囲に形成される。
【0141】
図13では用いられていないが、下部センス線62と磁気抵抗膜66の間に、これらの層間の表面自由エネルギーを調整し、より平坦性の高い界面構造を実現する目的で、バッファ層を設けても良い。バッファ層の材料としては、Ta,Cu,Cr等の各種金属や、SiN,SiO2,Al23等の絶縁体が用いられる。より好ましくはTaあるいはSiNが用いられる。バッファ層の膜厚は2〜10nmの範囲に形成されることが望ましい。成膜方法にもよるが、2nmよりも薄いと、島状に成長することにより膜質が不均一になる恐れがあり、10nmよりも厚いと生産性が低下する恐れがある。
【0142】
図13の実施態様において、上部センス線67及びワード線69の下の部分の磁気抵抗膜66が、1ビットの情報を記憶する最小単位であるメモリセルとなる。このメモリセルへの情報の書き込みは、図23(a),(b)で説明した方法と同様に、ワード線69に流す電流の方向によって“0”あるいは“1”が選択的に書き込まれる。例えば、ワード線69に紙面に垂直方向に奥側から手前側に電流を流した時には“0”が、紙面に垂直方向に紙面手前側から奥側に電流を流した時には“1”が書き込まれる。電流の流れる方向と“0”及び“1”との関係は反対の関係でも構わない。
【0143】
電界効果型トランジスタ73を情報書き込みの際のスイッチングに用いることができる。電界効果型トランジスタ73のソース領域70、ゲート電極75及び上部センス線67には、それぞれ端子76,77及び78が電気的に接続されている。端子76と端子78の間に電圧を印加し、端子77に電圧を印加すると、電界効果型トランジスタ73がオン状態となり、磁気抵抗膜66に電流が流れる。このように磁気抵抗膜66に電流が流れている状態の時に、ワード線69に書き込み電流を流したときに、これらの電流による磁界が重畳されて初めて情報が記録されるように、それぞれの電流値を設定しても良い。この場合、電界効果型トランジスタ73がオフ状態では、磁気抵抗膜66には電流が流れず、ワード線69に電流が流れていても、情報は書き込まれない。つまり、電界効果型トランジスタ73をオン/オフすることにより、情報の書き込みを制御できる。
【0144】
一方、図13に示すGMRメモリ素子に書き込まれた情報は、図24及び図25で説明した方法と同様の方法で読み出すことができる。端子76と端子78の間に一定の電圧を印加し、電界効果型トランジスタ73をオン状態にすると、磁気抵抗膜66に読み出し電流が流れる。この状態で、ワード線69に時間的に方向が切り換わる交流再生パルス電流を印加すると、磁気抵抗膜66の抵抗値の変化により、端子76及び78間に流れる電流が変化する。この電流変化、即ち電流が大きい状態から小さい状態に変化するか、小さい状態から大きい状態に変化するかによって、書き込まれた情報が“0”か“1”かを判別することができる。
【0145】
図13に示すGMRメモリ素子は、フォトリソグラフィーに代表される周知の微細加工パターニング方法を用いて作製することができる。また、下部センス線、第1及び第2磁性層、非磁性層、上部センス線、絶縁層、ワード線等は、蒸着法、スパッタリング法、分子ビームエピタキシー(MBE)法など周知の各種方法を用いて成膜することができる。
【0146】
図13においては、磁気抵抗膜66の内、第1磁性層63が下部センス線62上の全領域にわたって形成されている例を示した。しかしながら、メモリセルとして機能するのは、下部センス線62と上部センス線67の交点(オーバーラップする部分)だけなので、この部分を残して、磁気抵抗膜を除去しても良い。この例を図14及び図15に示す。
【0147】
図14及び図15は、本発明のGMRメモリ素子の第8の実施態様を示す図である。図14は概略断面図であり、図15は概略斜視図である。図14及び図15において、図13と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施態様においては、図15のように、下部センス線62と上部センス線67との交点に磁気抵抗膜66が設けられ、この磁気抵抗膜66の膜面に垂直方向に電流が流れるように構成されている。
【0148】
図13に示した構成においても、図2〜図4で説明した実施態様と同様に、メモリセルを、SOI基板上に、M×N個(M及びNはそれぞれ2以上の整数)のマトリックス状に形成することができる。この例を図17に示す。図17は、本発明のGMRメモリ素子の第9の実施態様を示す図で、先の第2の実施態様における図3に対応するX方向に沿った概略断面図である。図17において、図13と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0149】
図17の実施態様は、下部センス線62上に、メモリセルが3個並んで形成された例を示す。各メモリセルは、共通の第1磁性層63上に形成された非磁性層64−1,64−2,64−3及び第2磁性層65−1,65−2,65−3から構成される。各々の磁気抵抗膜上には、上部センス線67−1,67−2,67−3が形成されている。これらの上部センス線67−1,67−2,67−3には、それぞれ端子78−1,78−2,78−3が接続されている。更に、上部センス線67−1,67−2,67−3上には、絶縁層68−1,68−2,68−3を介してワード線69−1,69−2,69−3が形成されている。
【0150】
図16は、図17に示すGMRメモリ素子を用いたメモリ装置を示す回路図である。本図においては、動作説明に用いる領域に限定して図面を省略している。書き込み/読み出しを実行するセルを指定するアドレス信号がアドレスバス81を通り、センスデコーダ83およびワードデコーダ82に送られる。センスデコーダ83は、図面横方向に伸びる下部センス線85の接続先を決定し、スイッチトランジスタ84のゲートをコントロールするだけでなく、センス線における抵抗変化を検出する役割を担う。
【0151】
ワードデコーダ82は、図面縦方向に伸びるワード線86の接続先を決定し、スイッチトランジスタ90のゲートをコントロールするだけでなく、ワード線86に印加する電流発生と書き込み/読み出しに対応する電流値制御の役割を担う。
【0152】
また、上部センス線88の接続先を決定し、スイッチトランジスタ91のゲートをコントロールする。上下のセンス線85,88の交差する直下には磁性層/非磁性層/磁性層からなるメモリセル87が存在する。図面上ではメモリセルを抵抗として表す。
【0153】
ワード線86はセンス線が交差する直上に存在する。ワード線86と上部センス線88の間には絶縁膜が存在し電気的に接続していない。
【0154】
メモリセルに対し情報を書き込む方法について、セルS3を例に説明する。まず、アドレスバス81からセンスデコーダ83、ワードデコーダ82に対して、セルS3を選択するようアドレス信号が命令される。命令を受けたセンスデコーダ83は、下部センス線D3のスイッチトランジスタのゲートに対しON命令を出して下部センス線D3を選択し、センス電流を下部センス線D3に印加する。
【0155】
一方、命令を受けたワードデコーダ82は、上部センス線U2のスイッチトランジスタのゲートに対しON命令を出して上部センス線U2を選択し、下部センス線D3に流したセンス電流が、第1磁性層/非磁性層/第2磁性層からなるメモリ素子部を通過して上部センス線U2に到達するようにする。
【0156】
命令を受けたワードデコーダ82は、ワード線W2のスイッチトランジスタのゲートに対しON命令を出してワード線W2を選択し、ワード電流をワード線W2に印加する。
【0157】
このときのワード電流は、書き込み動作であるため読み出しに用いられるワード電流よりも大きい電流が印加される。かくして下部センス線D3と上部センス線U2の直下に位置するセルS3に対して、ワード線W2に印加された電流と上/下センス線に流れるセンス電流が発生する磁界が重畳された合成磁界が加えられる。発生した合成磁界は読み出し層の磁化方向だけでなく情報を蓄える書き込み層の磁化方向も反転するだけの大きさを持つ。
【0158】
したがって、その際のワード線電流の向きにより“0”,“1”が記録される。
【0159】
同様な手順を全てのセルに対して行うことで全メモリ領域に情報が高速非破壊に書き込まれる。
【0160】
メモリセルに対し情報を読み出す方法について、セルS3を例に説明する。
【0161】
まず、アドレスバス81からセンスデコーダ83、ワードデコーダ82に対して、セルS3を選択するようアドレス信号が命令される。命令を受けたセンスデコーダ83は、下部センス線D3のスイッチトランジスタのゲートに対しON命令を出して、下部センス線D3を選択し、センス電流を下部センス線D3に印加する。
【0162】
一方、命令を受けたワードデコーダ82は、上部センス線U2のスイッチトランジスタのゲートに対しON命令を出して上部センス線U2を選択し、下部センス線D3に流したセンス電流が、第1磁性層/非磁性層/第2磁性層からなるメモリ素子部を通過して上部センス線U2に到達するようにする。
【0163】
命令を受けたワードデコーダ82は、ワード線W2のスイッチトランジスタのゲートに対しON命令を出してワード線W2を選択し、ワード電流をワード線W2に印加する。このときのワード電流は、読み出し動作であるため書き込みに用いられるワード電流よりも小さい電流が印加される。
【0164】
かくして下部センス線D3と上部センス線U2の直下に位置するセルS3に対して、ワード線W2に印加された電流と上部下部センス線に流れるセンス電流が発生する磁界が重畳された合成磁界が加えられる。
【0165】
発生した合成磁界は、情報を蓄える書き込み層の磁化方向は固定したままだが、読み出し層の磁化は反転するだけの大きさを持つため、“0”,“1”いずれか記録されている情報によりセンスデコーダでセンス電流の向きを2方向に振ることで抵抗変化を検出して情報を読み出すことができる。同様な手順を全てのセルに対して行うことで全メモリ領域の情報が高速非破壊に読み出される。
【0166】
以下により具体的な実施例を示す。
【0167】
〔実施例5〕
図17に示す構成のGMRメモリ素子を作製した。磁気抵抗膜およびワード線の数はそれぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモリセルが8×8のマトリックス状に配置された64ビットのGMRメモリ素子とした。SOI基板としては、先に引用した米国特許第5371037号に記載された方法で作製された8インチサイズの基板を用いた。
【0168】
単結晶シリコン層の厚さは100nmのものを用意した。結晶方位は(100)で、軽くドープしたn形Siとなっている。絶縁層であるSiO2の厚さは、1μmである。
【0169】
この基板に対しフォトリソグラフィーによるパターニングを施して成膜やミリングをする領域をレジストマスクで定義した。
【0170】
また、不純物元素の混入を防ぐため、磁気抵抗膜以外の半導体プロセスを先に行い保護膜でカバーした。
【0171】
磁気抵抗膜の成膜には、スパッタ装置を用いて、到達圧力5×10-5Pa以下で下部センス層であるAl、第1磁性層であるNi80Fe20、非磁性層であるAlOx、第2磁性層であるCo、絶縁膜であるSiN、上部センス層であるAl、ワード線であるAlを成膜した。
【0172】
下部センス層であるAlの膜厚を、0.5〜100nmの間で変化させてサンプルを作製した。それ以外の膜厚は固定で、それぞれ、第1磁性層であるNi80Fe20が25nm、非磁性層であるAlOxが1.2nm、、第2磁性層であるCoが25nm、上部センス層であるAlが50nm、絶縁膜であるSiNが110nm、ワード線であるAlが50nmである。
【0173】
ここで、第1磁性層は、軟磁性材料であり読み出し(再生)層として、第2磁性層は、硬磁性材料であり書き込みメモリ層として機能する。非磁性層であるAlOxの作製には、はじめAlをスパッタした後、装置内に酸素を導入して1000Paで125分間放置してAlOx酸化膜を形成した。酸化膜の形成後には到達圧力まで真空引きをして次の成膜を行った。成膜時には、基板表面方向に同じ磁気異方性を持つよう永久磁石を配置してある。永久磁石の発生する磁界強度は、測定中心で20Oeとした。
【0174】
素子の加工には、イオンミリングとリフトオフを併用して実際の素子パターンを形成した。
【0175】
上記のプロセスを経て作製した64ビットのメモリ素子に対してアクセス信号を出して素子特性を評価した。SN、消費電力、アクセススピード、アクセス動作あるいはメモリとしての安定性というパラメータを勘案し総合的に下した判断の結果を表3に示す。下部センス層の厚さが1〜50nmの範囲で良好な特性が得られた。中でも5〜20nmの範囲で最良の結果が得られた。
【0176】
上記の結果を受け、より詳細に検討するために下部センス層が、5〜20nmまで1nm刻みのサンプルを用意して同様な検討をした結果を表4に示す。さらに望ましくは、6〜9nmの範囲が良いことがわかった。50nmより厚いものではMRが低いためSNが悪い。
【0177】
逆に、0.5nmより薄いものでは島状成長をするためか抵抗が大きくなりSNが悪くなる。これらのSNが悪化したサンプルでは、メモリ動作が不安定になり、高速駆動に適さないことが明らかになった。
【0178】
【表3】
Figure 0004095200
【0179】
【表4】
Figure 0004095200
【0180】
図18は、本発明のGMRメモリ素子の第10の実施態様を示す図で、先の第2の実施態様における図3に対応するX方向に沿った概略断面図である。図18において、図17と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0181】
図18の実施態様は、下部センス線62上に、メモリセルが3個並んで形成された例を示す。図17の第9の実施態様との相違は、第1磁性層63−1,63−2,63−3がX方向に延びるライン状に形成されたものではなく、各エッモリセルのそれぞれに分離して設けられている点、及び、ワード線によって発生する磁界をメモリセルの部分に集中させるための磁界集中層79及び80を、各メモリセルの両側にそれぞれ配置した点である。
【0182】
以下により具体的な実施例を示す。
【0183】
〔実施例6〕
図18に示す構成のGMRメモリ素子を作製した。磁気抵抗膜およびワード線の数はそれぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモリセルが8×8のマトリックス状に配置された64ビットのGMRメモリ素子とした。SOI基板としては、先に引用した米国特許第5371037号に記載された方法で作製された8インチサイズの基板を用いた。
【0184】
図23のように、一つのメモリセルを囲む磁気集中層79,80を、3つのセルのそれぞれに対して設けた。本例の場合ではFeNを用いてセル面積4μm2の外側に2μm隔てて厚さ100nm、高さ50nmの磁気集中層を設けた。
【0185】
磁気集中層を設けたこと以外は実施例5と同じ構成としたGMRメモリを作製し素子特性を測定した。
【0186】
SN、消費電力、アクセススピード、アクセス動作あるいはメモリとしての安定性というパラメータを勘案し総合的に下した判断の結果は、実施例5と同じで下部センス層の厚さが1〜50nmの範囲で良好な特性が得られた。中でも5〜20nmの範囲で最良の結果が得られた。50nmより厚いものではMRが低いためSNが悪い。
【0187】
逆に0.5nmより薄いものでは島状成長をするためか抵抗が大きくなりSNが悪くなる。これらのSNが悪化したサンプルではメモリ動作が不安定になり、高速駆動に適さないことが明らかになった。
【0188】
先に説明した第7〜第10実施態様においては、単結晶シリコン層を除去した領域に、金属膜等から成る下部センス層を形成したものであったが、単結晶シリコン層に不純物をドーピングすることによって、この単結晶シリコン層を下部センス線として用いることができる。この例を以下に示す。
【0189】
図19は、本発明のGMRメモリ素子の第11の実施態様を示す図である。本実施例は、図13に示す第7の実施態様の下部センス線62に代えて、単結晶シリコン層に不純物をドーピングすることによって形成された下部センス線89が用いられている点に特徴を有し、他の部分は第7の実施態様と全く同様に形成されている。図19において、図13と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0190】
本実施態様においては、GMRメモリの下部センス層を成膜によって作成するのではなく、SOI基板の単結晶シリコン層にドーピングを施してパターニングした単結晶シリコン層を下部センス層89として使用することで、下部センス層89の厚さに対する敏感性を完全に排除することが可能であり、信号のSNが大きく消費電力が小さいメモリ特性が得られる。
【0191】
単結晶シリコン層に対するドーピングは、イオン注入装置を用いて行う。注入するイオンは単結晶シリコン層の導電性を高める目的でドープされるため、p型、n型いずれの不純物元素でもよい。具体的には、P、B、Ge、As、S、Cl、C等が用いられる。ただし、B等の軽量なp型元素ではイオン注入すると飛程が大きく、拡散領域が広がる傾向にある。浅い結合を得るため十分に注入エネルギを下げることは困難なため、n型のAs等の重い元素を用いることが望ましい。注入量は、シート抵抗を十分下げるため1014cm-2以上が必要である。
【0192】
ドーピングによる単結晶シリコン層を下部センス層89として用いるためには、不要部分の単結晶シリコン層を除去して必要なところのみに電流が供給されるようパターニングする必要がある。単結晶シリコン層のパターニングには、各種微細加工技術の応用で行うことが可能である。一例としては、単結晶シリコン層に対しマスキングをフォトリソグラフィによって行い、次にCF4によるドライエッチングによって不要な単結晶シリコン層をエッチング除去する。エッチングの影響は、除去される部分のみ残り、他の主要部はマスクによって覆われているためダメージを受けない。
【0193】
しかも単結晶シリコン層の平坦性は高いため、その上に構成する磁性層・非磁性層間の界面の平坦性も保たれる。従って、界面での散乱が生じにくくスピンが保たれて磁性層間をトンネリングするため大きなMRが得られる。
【0194】
さらには、ドーピング量により単結晶シリコン層の導電率が容易にコントロール可能なため、回路に要求される特性に合わせて最適な配線抵抗を実現することが容易である。
【0195】
単結晶シリコン層の厚さは選択トランジスタの特性に必要な仕様と下部センス線として機能させる仕様に応じて50nmから1000nmの間で適宜選択される。
【0196】
図20は、本発明のGMRメモリ素子の第12の実施態様を示す図である。本実施例は、図14に示す第8の実施態様の下部センス線62に代えて、単結晶シリコン層に不純物をドーピングすることによって形成された下部センス線89が用いられている点に特徴を有し、他の部分は第7の実施態様と全く同様に形成されている。図20において、図14と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0197】
図21は、本発明のGMRメモリ素子の第13の実施態様を示す図である。本実施例は、図17に示す第9の実施態様の下部センス線62に代えて、単結晶シリコン層に不純物をドーピングすることによって形成された下部センス線89が用いられている点に特徴を有し、他の部分は第8の実施態様と全く同様に形成されている。図21において、図17と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0198】
以下により具体的な実施例を示す。
【0199】
〔実施例7〕
図21に示す構成のGMRメモリ素子を作製した。磁気抵抗膜およびワード線の数はそれぞれ8本とし、セルサイズが2μm角のメモリセルが8×8のマトリックス状に配置された64ビットのGMRメモリ素子とした。SOI基板としては、先に引用した米国特許第5371037号に記載された方法で作製された8インチサイズの基板を用いた。単結晶シリコン層の厚さは100nmのものを用意した。結晶方位は(100)で、軽くドープしたn形Siとなっている。絶縁層であるSiO2層の厚さは1μmである。
【0200】
この基板に対しフォトリソグラフィーによるパターニングを施して成膜やミリングをする領域をレジストマスクで定義した。また、不純物元素の混入を防ぐため、磁気抵抗膜以外の半導体プロセスを先に行い保護膜でカバーした。
【0201】
次に下部センス層89を形成するため、フォトリソグラフィーによるパターン形成を行った後にイオン注入により単結晶シリコン層の改質をN型不純物である砒素の注入で行なう。このときの注入条件は、注入エネルギーが80KeV、ドーズ量は1×1014/cm2とした。砒素の質量数が75と大きいので飛程は小さくなり、100nmと薄い単結晶シリコン層においても十分な注入が行える。さらに900℃の熱処理で活性化を図る事で、単結晶シリコン層は下部センス層として使うのに十分なシート抵抗を得ることができた。
【0202】
磁気抵抗膜の成膜にはスパッタ装置を用いて、到達圧力5×10-5Pa以下で第1磁性層63であるNi80Fe20、非磁性層64−1,64−2,64−3であるAlOx、第2磁性層65−1,65−2,65−3であるCo、上部センス層67−1,67−2,67−3であるAl、絶縁膜68−1,68−2,68−3であるSiN、ワード線69−1,69−2,69−3であるAlを成膜した。膜厚はそれぞれ、第1磁性層63であるNi80Fe20が25nm、非磁性層64−1,64−2,64−3であるAlOxが1.2nm、第2磁性層65−1,65−2,65−3であるCoが25nm、上部センス層67−1,67−2,67−3であるAlが50nm、絶縁膜68−1,68−2,68−3であるSiNが110nm、ワード線69−1,69−2,69−3であるAlが50nmである。ここで、第1磁性層63は軟磁性材料であり読み出し(再生)層として、第2磁性層65−1,65−2,65−3は硬磁性材料であり書き込み(メモリ)層として機能する。非磁性層64−1,64−2,64−3であるAlOxの作製には、はじめAlをスパッタした後、装置内に酸素を導入して1000Paで125分放置してAlOx酸化膜を形成した。酸化膜の形成後には、到達圧力まで真空引きをして次の成膜を行った。成膜時には、基板表面方向に同じ磁気異方性を持つよう永久磁石を配置してある。永久磁石の発生する磁界強度は、測定中心で20Oeとした。
【0203】
素子の加工にはイオンミリングとリフトオフを併用して実際の素子パターンを形成した。
【0204】
上記のプロセスを経て作製した64ビットのメモリ素子に対する比較サンプルとして下部センス層の作製方法以外は全て同一のプロセスによるメモリ素子を作製した。下部センス層の成膜には磁気抵抗膜の成膜と同様にスパッタ装置を用いて、到達圧力5×10-5Pa以下でAlを25nm成膜した。両サンプルに対しアクセス信号を出して素子特性を評価した。
【0205】
上下センス線に対して1mA一定のセンス電流を流し、トンネル抵抗の変化を電圧変動としてオシロスコープで捉えた。リード線での残留抵抗やパッド・プローブ間の接触抵抗の影響を排除するため電圧検出に4端針測定法を用いている。ワード線には周期20msec、幅1msecの矩形波信号を入力し、ワード線信号に応じて発生する磁界と一定なセンス電流による発生磁界との合成磁界で情報の読み出し、書き込みを行った。ワード電流は、NiFe単独、あるいはNiFe、Coいずれも磁化の向きが変わる磁界強度をあらかじめ外部磁界発生機構を持つMR評価装置にて測定し、その磁化強度に対応するレベルのワード電流をシミュレーションの結果から求めて設定した。
【0206】
SN、消費電力、アクセススピード、アクセス動作あるいはメモリとしての安定性というパラメータを勘案した結果、ドーピングSi層を下部センス層とするメモリ素子は、下部センス層をスパッタで成膜した比較サンプルと同等レベルの特性が得られた。磁気抵抗によって得られる信号レベルは今回作製したドーピングSi層を下部センス層とするメモリ素子の方が大きかった。Si層に不純物ドープを施して作製した下部センス層の平坦性は高いため、その上に構成する磁性層、非磁性層間の界面の平坦性も保たれる。従って、界面での散乱が生じにくくスピンが保たれて磁性層間をトンネリングするため大きなMRが得られたためと考えられる。
【0207】
以上説明した第11〜13の実施態様においても、素子の作製は第7〜10の実施態様と同様、周知の半導体プロセスを用いて行われる。また、メモリセルへの情報の書き込み及び読み出しに関しても、図16を用いて説明した先の実施態様と全く同様に行われる。
【0208】
本発明は、以上説明した実施態様の他にも種々の応用が可能である。例えば、絶縁層上に形成された単結晶シリコン層に代えて、GaAs等の他の単結晶半導体から成る層を用いても良い。また、このような単結晶半導体層は、シリコン基板上の絶縁層上に形成されたものに限らず、ガラス基板等の基板全体が絶縁体から成るものの上に形成されたものでも構わない。つまり、単結晶半導体は、絶縁性の表面を有する基板上に形成されたものであれば良い。
【0209】
また、前述の実施態様において、磁気抵抗膜及びワード線にそれぞれ接続された電界効果型トランジスタに代えて、スイッチング素子としての機能を果たすものであれば、どのような素子を用いても良い。
【0210】
本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、このような応用例を全て包含するものである。
【0211】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は絶縁性の表面を有する基板上に単結晶半導体層を有し、この単結晶半導体層にスイッチング素子が形成され、メモリセルの磁気抵抗膜及びワード線のいずれかにスイッチング素子が電気的に接続したので、メモリ素子を動作させるためのスイッチング素子が磁気抵抗膜とモノリシックに形成された、集積度の高いGMRメモリ素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のGMRメモリ素子の第1の実施態様を示す概略断面図である。
【図2】本発明のGMRメモリ素子の第2の実施態様を示す概略平面図である。
【図3】図2におけるA−Aに沿った概略断面図である。
【図4】図2におけるB−Bに沿った概略断面図である。
【図5】第2の実施態様のGMRメモリ素子を用いたメモリ装置の回路図である。
【図6】本発明のGMRメモリ素子の第3の実施態様を示す概略平面図である。
【図7】図6におけるC−Cに沿った概略断面図である。
【図8】本発明のGMRメモリ素子の第4の実施態様を示す概略平面図である。
【図9】図8におけるD−Dに沿った概略断面図である。
【図10】本発明のGMRメモリ素子の第5の実施態様を示す概略断面図である。
【図11】本発明のGMRメモリ素子の第5の実施態様を示す概略断面図である。
【図12】本発明のGMRメモリ素子の第6の実施態様を示す概略断面図である。
【図13】本発明のGMRメモリ素子の第7の実施態様を示す概略断面図である。
【図14】本発明のGMRメモリ素子の第8の実施態様を示す概略断面図である。
【図15】本発明のGMRメモリ素子の第8の実施態様を示す概略斜視図である。
【図16】第8の実施態様のGMRメモリ素子を用いたメモリ装置の回路図である。
【図17】本発明のGMRメモリ素子の第9の実施態様を示す概略断面図である。
【図18】本発明のGMRメモリ素子の第10の実施態様を示す概略断面図である。
【図19】本発明のGMRメモリ素子の第11の実施態様を示す概略断面図である。
【図20】本発明のGMRメモリ素子の第12の実施態様を示す概略断面図である。
【図21】本発明のGMRメモリ素子の第13の実施態様を示す概略断面図である。
【図22】従来のGMRメモリ素子の構成を示す概略断面図である。
【図23】従来のGMRメモリ素子における、情報の書き込み方法を説明するための概略図である。
【図24】従来のGMRメモリ素子における、情報の読み出し方法を説明するための概略図である。
【図25】従来のGMRメモリ素子における、情報の読み出し方法を説明するための概略図である。
【図26】従来のGMRメモリ素子の他の構成例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
41 シリコン基板
42 絶縁層
43 単結晶シリコン層
44 第1磁性層
45 非磁性層
46 第2磁性層
47 磁気抵抗膜
48 ソース領域
49 ゲート領域
50 ドレイン領域
51 電界効果型トランジスタ
52 絶縁層
53 ゲート電極
54 絶縁層
55 ワード線
56 端子
57 端子
58 端子

Claims (20)

  1. 絶縁性の表面を有する基板
    前記基板の絶縁性表面上に形成された単結晶半導体層
    前記単結晶半導体層の少なくとも一部に配されたスイッチング素子と、
    前記基板の絶縁性表面上にされた、第1磁性層と第1磁性層よりも高い保磁力を有する第2の磁性層と前記第1、第2磁性層との間にされた非磁性層を含む磁気抵抗膜
    前記基板の絶縁性表面と前記磁気抵抗膜との間に設けられた下部センス線と、前記磁気抵抗膜上に設けられた上部センス線と、
    前記磁気抵抗膜の近傍に、間に絶縁層を挟んで設けられたワード線と、を含んで構成され
    前記スイッチング素子が、前記磁気抵抗膜及び前記ワード線のいずれかに電気的に接続され
    前記磁気抵抗膜の非磁性層が絶縁性材料から形成され、
    前記下部センス線は、前記単結晶半導体層のスイッチング素子が形成された部分以外の部分に不純物をドーピングして成ることを特徴とする巨大磁気抵抗効果を利用したメモリ素子。
  2. 前記単結晶半導体層の膜厚は、50〜500nmの範囲にある請求項1記載のメモリ素子。
  3. 前記単結晶半導体層の膜厚は、50〜250nmの範囲にある請求項2記載のメモリ素子。
  4. 前記単結晶半導体層の膜厚は、60〜120nmの範囲にある請求項3記載のメモリ素子。
  5. 更に、前記基板の絶縁性表面と磁気抵抗膜との間に設けられたバッファ層を有する請求項1記載のメモリ素子。
  6. 前記ワード線は、前記基板の絶縁性表面と磁気抵抗膜との間に設けられている請求項1記載のメモリ素子。
  7. 前記ワード線は、絶縁層を介して前記上部センス線上に設けられている請求項1記載のメモリ素子。
  8. 前記下部センス線の膜厚は、1〜50nmの範囲にある請求項1記載のメモリ素子。
  9. 前記下部センス線の膜厚は、5〜20nmの範囲にある請求項8記載のメモリ素子。
  10. 前記絶縁性の表面を有する基板は、シリコン基板の表面にSiO層が形成され、前記単結晶半導体層は、前記SiO 層上に形成された単結晶シリコン層から成る請求項1記載のメモリ素子。
  11. 前記スイッチング素子は、ソース領域、ゲート領域、ドレイン領域を有する電界効果型トランジスタから成る請求項1記載メモリ素子。
  12. 更に、前記磁気抵抗膜の近傍に設けられ、前記ワード線によって発生する磁界を前記磁気抵抗膜に集中させるための、高い透磁率を有する材料から成る磁界集中層を有する請求項1記載のメモリ素子。
  13. 絶縁性の表面を有する基板、前記基板の絶縁性表面上に形成された単結晶半導体層、前記基板の絶縁性表面上に、第1の方向に延びるライン状に、第1の方向と直交する第2の方向に互いに平行に並んで配置され、おのおのが第1磁性層と、第1磁性層よりも高い保磁力を有し、第1磁性層に非磁性層を間に挟んで積層された第2磁性層とから成るN本(Nは2以上の整数)の磁気抵抗膜、前記磁気抵抗膜の近傍に、間に絶縁層を挟んで設けられ、第2の方向に延びるライン状に、第1の方向に互いに平行に並んで配置されたM本(Mは2以上の整数)のワード線、前記単結晶半導体層の少なくとも一部に形成され、それぞれ前記N本の磁気抵抗膜に電気的に接続されたN個の第1のスイッチング素子、及び、前記単結晶半導体層の少なくとも一部に形成され、それぞれ前記M本のワード線に電気的に接続されたM個の第2のスイッチング素子から成る巨大磁気抵抗効果を利用したメモリ素子。
  14. 絶縁性の表面を有する基板
    前記基板の絶縁性表面上に形成された単結晶半導体層
    前記基板の絶縁性表面上に、マトリックス状にN×M個(N及びMはそれぞれ2以上の整数)配置され、各々が第1磁性層と第1磁性層よりも高い保磁力を有する第2磁性層と前記第1、第2磁性層の間された非磁性層とを有する磁気抵抗膜から成るメモリセル
    第1の方向に延びるライン状に、第1の方向と直交する第2の方向に互いに平行に並んで配置され、それぞれ第1の方向に並んで配置されたM個のメモリセルに電気的に接続され、前記基板の絶縁性表面と磁気抵抗膜との間に設けられたN本の下部センス線
    前記各メモリセル上に、第2の方向に延びるライン状に、第1の方向に互いに平行に並んで配置され、それぞれ第2の方向に並んで配置されたN個のメモリセルに電気的に接続されたM本の上部センス線
    前記単結晶半導体層の少なくとも一部に形成され、それぞれ前記N本の下部センス線に電気的に接続されたN個の第1のスイッチング素子
    前記単結晶半導体層の少なくとも一部に形成され、それぞれ前記M本の上部センス線に電気的に接続されたM個の第2のスイッチング素子と、を有し、
    前記下部センス線は、前記単結晶半導体層の第1のスイッチング素子が形成された部分以外の部分に不純物をドーピングして成る巨大磁気抵抗効果を利用したメモリ素子。
  15. 更に、前記M本の上部センス線上に、間に絶縁層を挟んで設けられ、第2の方向に延びるライン状に、第1の方向に平行に並んで配置されたM本のワード線を有し、前記磁気抵抗膜の磁性層が絶縁材料から形成されており、前記結晶半導体層の少なくとも一部に形成され、それぞれ前記M本のワード線に電気的に接続されたM個の第3のスイッチング素子を有する請求項14記載のメモリ素子。
  16. 前記下部センス線の膜厚は、1〜50nmの範囲にある請求項14記載のメモリ素子。
  17. 前記下部センス線の膜厚は、5〜20nmの範囲にある請求項16記載のメモリ素子。
  18. 前記絶縁性の表面を有する基板は、シリコン基板の表面にSiO層が形成され、前記単結晶半導体層は、前記SiO 層上に形成された単結晶シリコン層から成る請求項14乃至17のいずれかに記載のメモリ素子。
  19. 前記第1及び第2のスイッチング素子は、それぞれソース領域、ゲート領域、ドレイン領域を有する電界効果型トランジスタから成る請求項14乃至18のいずれかに記載のメモリ素子。
  20. 更に、前記磁気抵抗膜の近傍に設けられ、前記ワード線によって発生する磁界を前記磁気抵抗膜に集中させるための、高い透磁率を有する材料から成る磁界集中層から成る請求項14乃至19のいずれかに記載のメモリ素子。
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