JP2000348658A - 荷電粒子ビーム装置用カラム - Google Patents

荷電粒子ビーム装置用カラム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分解能を維持しつつビームの到達角度が大
きい状態で検査可能な荷電粒子ビームカラムを提供す
る。 【解決手段】 荷電粒子ビームカラムは、粒子供給源1
2と、対物レンズ20と、対物レンズと前方レンズ偏向
ユニット30を含み、これによって荷電粒子ビームを光
軸の方向に向けて、第1の方向から試料表面に当たるよ
うな経路に、光軸から離れて荷電粒子ビームを偏向し、
対物レンズの近傍に配置されたインレンズ偏向ユニット
40を含み、対物レンズとインレンズ偏向ユニットによ
って荷電粒子ビームを光軸の方向に再度向けて、第1の
方向と実質的に反対方向の第2の方向からビーム到達角
度が大きな状態で試料表面に当たるような経路に、変更
された荷電粒子ビームを再度方向付けする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、試料を検査するための荷電粒子
ビーム装置に関する。更に詳細に言えば、本発明は、あ
る到達角度で試料表面上にビームが到達するビームカラ
ムに関するものである。
【0002】
【背景技術】走査形電子顕微鏡(SEM)等の荷電粒子
ビーム装置では、荷電粒子ビームの典型的な開口角度及
び典型的な到達角度は数ミリラジアン程度のものであ
る。多くの応用では、荷電粒子ビームは、90〜180
ミリラジアンに対応する約5°〜10°とかなり大きな
角度でサンプル表面上に到達する。
【0003】このような到達角度を必要とする応用は、
試料表面を立体的に視覚化する場合である。SEMを用
いた立体写真技術は、走査形電子顕微鏡の開発初期の時
代まで遡る。実質的に比較的粗いサンプルの全ての部分
から電子が収集されるので、SEMの像はかなり「実際
の」外観を有するものとなる。このような実際の外観を
得られる主な理由は、ビーム衝突点で発生した二次電子
信号が、分散照射された巨視的対象物の表面の知覚的輝
度と同じように表面の局所的な傾斜で変化するためであ
る。更に、この信号が検出器からの弱い電界により収集
される効率性が変化することにより、位置関数として信
号が修正され、あたかもサンプル表面が影を含むように
見える。このように像は従来の白黒写真の視覚的手掛か
り(curs)を持っているが、これらの手掛かりは多くの
場合当てにならないものである。従って、確実な視覚情
報を提供する方法を得ることが必須となる。立体的な視
覚化は、そのような方法である。他のコード化メカニズ
ムでは不明瞭な結果を生じる状態のものを検出し解析す
ることは、有益であり、かつ時には不可欠なものであ
る。
【0004】別の応用では、試料表面に関する地形的な
情報が、例えば傾斜ビームで得た対の立体像の視差から
抽出される。更なる応用である試料の三次元結像でも、
例えば米国特許第5,734,164号公報に開示され
ているように、数度だけビームを傾斜させることを必要
とする。
【0005】これら全ての応用では、ビームを傾斜させ
るメカニズムが重要な役割を果たす。初期の解決策とし
ては、試料を機械的に傾けて二つの透視像を得て、立体
効果を達成していた。しかしながら、機械的な不完全性
により、試料が横方向に移動することは避けられず、対
の立体像の要素間に位置合わせ誤差を生じてしまうこと
がよくある。これは、集積回路のメモリセルアレイ等の
ように非常に規則的な構造物に関しては特に問題となる
ものである。
【0006】ビームの傾斜を電気的に実行する場合、横
軸の位置合わせに関する限り、試料が水平方向に維持さ
れているということが非常に重要な利点となる。更に、
電気的に傾斜させる作業は機械的に傾斜させるよりもか
なり高速に処理できる。しかしながら、電気的方法にも
欠点が幾つかある。ある方法において、ビームは、各光
線が電子源(図2を参照)の見掛けの位置と一致する点
から現れるように、対物レンズの上方で偏向される(前
方レンズ偏向)。このようにして、サンプル表面が集束
状態にある限り、各光線はサンプルの同じ領域に集束さ
れる。しかしながら、その結果として、ビームはレンズ
収差により付随して生じた劣化でかなり軸から外れて対
物レンズのフィールドを横切ることになる。特に、色収
差で得られる分解能は数10ナノメートルまでに制限さ
れる。多くの応用では、約5nmよりも高い分解能が要
求される。
【0007】別の方法として、偏向コイルが対物レンズ
の下方に配置されれば(後方レンズ偏向)、ビームは光
軸上でレンズを通過する(図3)。しかしながら、最終
レンズの下方にある偏向コイルの物理的寸法により、獲
得可能な最小作業距離、即ち最終レンズと被検査試料と
の間の獲得可能な最小距離が制限される。従って、作業
距離が広くなり器具の分解能が劣化することにより、許
容可能な程度の分解能を得ることができない。
【0008】
【発明の概要】本発明は、上述した従来例の欠点や不利
益を解消することを目的とする。特に、本発明は、試料
が、荷電粒子像の高分解能を維持しながらビームの到達
角度が大きい状態で検査可能である改良形の荷電粒子ビ
ームカラムを提供することを目的としている。この目的
を達成するために、本発明の一つの態様によれば、独立
の請求項1及び14に記載されたカラム及び請求項13
に記載された方法が提供される。
【0009】本発明の更なる好適な特徴、態様及び詳細
は、従属の請求項、明細書の記載及び添付の図面から明
らかになる。本発明の請求項は、本発明を一般的な用語
で規定するための第1の非制限的アプローチとして理解
されることを意図したものである。
【0010】一つの態様によれば、本発明は、大きなビ
ーム到達角度で荷電粒子ビームを試料表面に向けるため
のカラムを提供し、このカラムは、光軸に沿って伝播す
る荷電粒子ビームを供給するための粒子供給源と、荷電
粒子ビームを試料表面に集束させるための対物レンズ
と、粒子供給源と対物レンズとの間に配置された前方レ
ンズ偏向ユニットであり、対物レンズと前方レンズ偏向
ユニットを組み合わせることによって荷電粒子ビームを
光軸の方向に向けて、第1の方向から試料表面に当たる
ような経路に、光軸から離れて荷電粒子ビームを偏向す
るための前方レンズ偏向ユニットと、インレンズ偏向ユ
ニットと対物レンズのフィールドが重なるように対物レ
ンズの近傍に配置されたインレンズ偏向ユニットであっ
て、対物レンズとインレンズ偏向ユニットを組み合わせ
ることによって荷電粒子ビームを光軸の方向に向け直し
て、第1の方向と実質的に反対方向の第2の方向からビ
ーム到達角度が大きな状態で試料表面に当たるような経
路に、荷電粒子ビームを再度方向付けするためのインレ
ンズ偏向ユニットとを備える。
【0011】前方レンズ偏向ユニットと対物レンズのフ
ィールドは実質的に重ならないものが好ましい。更に、
インレンズ偏向ユニットと対物レンズが明らかに重なっ
ていれば利点となる。
【0012】上述したように、前方レンズ偏向は、対物
レンズを通るビーム経路を軸から外して、大きな色収差
を生じさせる原因となる。これらの色収差は、偏向器の
フィールドと対物レンズのフィールドとが重なり合わな
い限り、偏向システムの位置とは無関係であることが分
かっている。偏向システムがレンズのフィールド内に配
置される場合、色収差は減少する。偏向システムがレン
ズのフィールド内深くに配置されるか、若しくは一部分
でもレンズの下方にあれば、50%以上色収差を減少さ
せることが可能である。しかしながら、それでもこのよ
うなインレンズ偏向システムの色収差は、およそ数10
ナノメートルのものであるため、多くの応用では適用で
きないものである。
【0013】驚くべきことに、本発明により、前方レン
ズ偏向で生じた色収差が反対方向のインレンズ偏向で補
正可能であることが分かった。前方レンズ偏向とインレ
ンズ偏向を組み合わせることによって、インレンズ偏向
を実行しないときにビームがサンプルに当たる方向とは
実質的に反対の方向から電荷粒子ビームがサンプル表面
に当たることになる。
【0014】特定の理論に限定せずに考えると、この効
果は今のところ以下のように理解されている。例えば、
前方レンズ偏向システムを単独で用いると、ビーム到達
角度が5°の場合色収差は100nmとなり、インレン
ズ偏向システムを単独で用いると、ビーム到達角度が5
°の場合色収差は50nmとなり、即ち50%減少する
ことになる。前方レンズ偏向システムにビームを5°だ
け傾斜させ、インレンズ偏向システムにビームを10°
だけ反対方向に傾斜させると、最終的な傾斜角度は5°
になる。
【0015】反対方向でも、色収差は両方の場合とも1
00nmとなるため、これらの色収差はちょうど互いを
補正し合うことになる。ごく僅かな色収差で最終的なビ
ーム到達角度5°が結果として得られる。当然ながら、
インレンズシステムの別の減少要因として、他の相対斜
角を選択して補正を行う必要があることは当業者に認識
されるであろう。更に、本発明の実行は、偏向システム
の色収差の知識に左右されるものではない。予め選択さ
れたビーム到達角度で最小収差を得る前方レンズ偏向シ
ステムとインレンズ偏向システムの偏向角度は、結果と
して得られた像から実験的に抽出されるものである。
【0016】従って、本発明は、サンプル表面上での大
きなビーム到達角度が、色収差が大きいことから生じる
分解能を通常のように低減せずに得られるという利点を
有する。
【0017】好適な実施形態では、前方レンズ偏向ユニ
ットとインレンズ偏向ユニットは、25°よりも小さな
ビーム到達角度であり、好ましくは3°〜15°の到達
角度であり、更に好ましくは5°〜10°である到達角
度を供給するものである。上記に挙げた例では、3°の
ビーム到達角度を得るには、前方レンズ偏向システムを
励起して3°だけビームを偏向させ、更にインレンズ偏
向システムを励起して反対方向に6°だけビームを偏向
させることによって、最終的な傾斜角3°を得る。
【0018】更なる好適な実施形態では、前方レンズ偏
向ユニットは、粒子供給源の見掛けの位置と一致する点
から現れるように見える経路か、若しくは適用できる場
合は、粒子供給源の中間の像の見掛けの位置と一致する
点から現れるように見える経路に、光軸から離れて荷電
粒子ビームを偏向するための二つの偏向器を備える。
【0019】更なる好適な実施形態では、インレンズ偏
向ユニットは、試料表面で光軸と交差するように偏向ビ
ームを再方向付けする二つの偏向器を備える。
【0020】本発明の好適な態様において、これまで記
載した偏向システムは種々の対物レンズで使用可能であ
るが、対物レンズは複合磁気静電レンズである。好まし
くは、複合磁気静電レンズの静電部分は、静電減速レン
ズである。このような複合磁気静電レンズを用いること
によって、SEMの場合、数100電子ボルト等のよう
に、低加速エネルギで高分解能が得られる。このような
低加速エネルギは特に現在の半導体産業においては望ま
しいものであり、放射感度性の試料を帯電させたり損傷
を与えないように、又はそのどちらかを与えないように
する。好適な実施形態では、静電減速レンズは荷電粒子
として電子ビームエネルギを、5keVより低く、好ま
しくは2keVより低く、更に好ましくは約1keV以
下まで下げる。
【0021】好適な実施形態では、カラムは、試料と対
物レンズの極片間に電位差を印加するための手段を備え
る。従って、静電減速レンズは、試料と対物レンズの極
片間に設けられ、更なる電極が必要なくなる。しかしな
がら、このように発生した減速フィールドを補充及び/
又は修正するために更なる電極が存在する場合もあるこ
とは当業者により認識されるであろう。
【0022】十分な傾斜角を得るには、インレンズ偏向
ユニットの偏向フィールドの強度が、集束距離がより短
い対物レンズに対してより大きいものでなければならな
い。インレンズ偏向ユニットに対してこのように要求す
ることによって、標準結像モード、即ちビームを傾斜さ
せずにカラムが動作するモードで対物レンズの達成可能
な分解能を制限する強い対物レンズを使用しなくてもよ
い場合がある。
【0023】この制限を解消するために、本発明の更な
る好適な態様によれば、対物レンズは、集束距離が短い
下側レンズと、集束距離がより長い上側レンズとからな
る二段レンズである。ビームを傾斜させずに高分解能を
得る必要があれば、下側レンズのみが使用される。下側
レンズの集束距離は短いため、高分解能が達成される。
大きいビーム到達角度に関しては、上側のより弱いレン
ズのみが用いられ、僅かに低い分解能となり大きなビー
ム到達角度を得る。当業者に認識されているように、分
解能とビーム到達角度の必要な組み合わせに応じて、相
対的な励起強度で両方のレンズが同時に使用される場合
もある。
【0024】好ましくは、下側レンズの集束距離は約1
0mm以下であり、更に好ましくは下側レンズの集束距
離は約2mm〜約5mmの範囲のものである。上側レン
ズの集束距離は約40mm以下であり、更に好ましくは
上側レンズの集束距離は約10mm〜約20mmの範囲
のものである。多くの場合、上側レンズの集束距離は3
mmより長いものである。
【0025】更なる好適な実施形態では、インレンズ偏
向ユニットは、上側レンズの下方にあり、下側レンズに
近い方に配置される。
【0026】試料上方に両段を配置した二段レンズを用
いずに、試料の下方に更に強磁性のレンズを配置するこ
とも利点となる場合がある。ビームを傾斜させないモー
ドでは、高分解能が得られる。当業者に認識されている
ように、この場合においても、分解能とビーム到達角度
の必要な組み合わせに応じて相対励起強度で両レンズを
同時に使用することもある。また、更なる強磁性レンズ
を二段レンズと組み合わせて用いる場合もある。
【0027】好ましくは、カラムは試料表面上で荷電粒
子ビームを走査するための手段を更に備える。
【0028】本発明は、(a)光軸に沿って伝播する荷
電粒子ビームを供給するステップと、(b)試料表面に
荷電粒子ビームを集束させるステップとを備える、大き
なビーム到達角度で荷電粒子ビームを試料表面に向ける
ための方法であって、この方法は更に、(c)ビーム到
達角度を選択するステップと、(d)光軸に沿って伝播
する荷電粒子ビームを光軸から離れて偏向させるステッ
プであって、ビームを偏向させ集束させる作用を組み合
わせることによって荷電粒子ビームが方向付けられ、第
1の方向から試料表面に当たるように偏向の大きさが選
択され、前記偏向が試料表面の収差に第1の寄与をもた
らす偏向ステップと、(e)偏向された荷電粒子ビーム
を再度方向付けるステップであって、偏向されたビーム
を再方向付けして集束させる作用を組み合わせることに
よって荷電粒子を向けて、前記第1の方向と実質的に反
対の方向である第2の方向から大きなビーム到達角度で
試料表面に当たるように再方向付けが選択され、前記再
方向付けが試料表面の収差に第2の寄与をもたらす再方
向付けステップとを備えることを特徴とし、ステップ
(d)の偏向とステップ(e)の再方向付けは試料表面
の全収差が最小になるように選択されることを特徴とす
る。
【0029】偏向及び再方向付けはビーム到達角度を一
定に保ちながら変更可能である。このようにして、収差
に対する第1及び第2の寄与は、ビームの到達角度を変
えずに変更することが可能である。従って、本発明の実
施形態による方法では、偏向と再方向付けが調整され
て、一定の到達角度でサンプル表面上の(全)収差を最
小にする。上述した理論の枠内において、これは、偏向
及び再方向付けが収差に対する第1及び第2の寄与が本
質的に互いに補正し合うような場合である。
【0030】更なる態様によれば、本発明は、光軸に沿
って伝播する荷電粒子ビームを供給するための粒子供給
源と、荷電粒子ビームを試料表面に集束させるための対
物レンズと、光軸から荷電粒子ビームを偏向させ、粒子
供給源と対物レンズ間に配置されて前方レンズ偏向ユニ
ットと対物レンズのフィールドが実質的に全く重複しな
い前方レンズ偏向ユニットと、光軸の反対側に偏向され
た荷電粒子ビームを再方向付けし、対物レンズの近傍に
配置されて、インレンズ偏向ユニットと対物レンズの偏
向ユニットのフィールドが明らかに重複することによっ
て、対物レンズとインレンズ偏向ユニットを組み合わせ
た作用により、光軸に戻る方向に荷電粒子ビームを向け
て、荷電粒子ビームが大きなビーム到達角度で試料に当
たるインレンズ偏向ユニットとを備える、大きな傾斜ビ
ーム到達角度で荷電粒子ビームを試料表面に向けるため
のカラムを提供する。
【0031】本発明の別の態様によれば、定められた光
軸を有する荷電粒子カラムが提供され、このカラムは、
荷電粒子供給源と、対物レンズと、荷電粒子供給源と対
物レンズの間に配置された前方レンズ偏向ユニットと、
対物レンズに近接し、動作する際に対物レンズの集束フ
ィールドと重複する偏向フィールドを作るインレンズ偏
向ユニットとからなる定められた光軸を有する荷電粒子
カラムであって、前方レンズ偏向器は光軸から離れて荷
電粒子を偏向させるように動作可能であり、インレンズ
偏向器は荷電粒子を光軸に向けて偏向させるように動作
可能であることを特徴とする。
【0032】本発明の上述した態様や他のより詳細な態
様の幾つかは、以下の記載に記述されており、図面を参
照して部分的に説明されるであろう。
【0033】図面において、同じ参照番号は同じ要素を
指している。
【0034】
【好ましい実施形態の説明】以下には、本発明の好適な
実施形態は電子を荷電粒子として用いるものとして記載
されている。しかしながら、本発明は、電子の使用に限
られたものではなく、陽子、イオンや他の荷電粒子も同
様に使用することも含んでいる。
【0035】本発明をより良く理解するために、SEM
の従来の設計に関する典型的な問題が、図2及び図3に
示されている。一般的に、電子ビームは電子供給源12
から放出され、光軸16に沿って対物レンズ20の方向
に伝播する。本発明を理解するにはあまり重要ではない
電子供給源のアノード、コンデンサレンズ、開口部、走
査コイル、検出器等の要素は、図面では省略している。
対物レンズ20は、電子ビームを試料18の表面に集束
させる。電子ビームと試料18とを相互作用させて、適
切な検出器(図示せず)で収集され検出される二次電子
を発生させる。
【0036】図2では、二段の前方レンズ偏向ユニット
70が光軸16に沿って経路15aから経路15bにビ
ームを偏向し、これは粒子供給源12の見掛けの位置と
一致する点から現れるように見える。このように、偏向
されたビームは、サンプル表面が集束状態(光線15
d)にある限り、対物レンズ20によりあらゆる偏向に
対してサンプルの同じ領域に集束される。偏向により、
ビームはかなり軸から外れて対物レンズのフィールドを
横切るため、色収差が大きくなる。
【0037】軸上ビームでは、有限エネルギのビームの
広がりは、直径dcを有する最も混乱がない平円形のも
のとなり、この直径は dc=CcαΔE/E (1) で表わされる。ここで、Ccは色収差係数で、αは通常
集中角であり、ΔE/Eは電子ビームエネルギの分数変
分である。集中角αの軸上ビームの色収差を示す式
(1)はまた、電荷粒子ビームが軸ずれしてレンズを通
過する場所の状況を示すのに用いることも可能である。
この場合、等式(1)において集中角αはビーム到達角
度と置き換えなければならず、長さdcは細長いビーム
の断面の横方向の広がりである。典型的な集中角(数1
0分の1度)と比較してビーム到達角度が非常に大きい
(数度)と、色収差が大きくなる。
【0038】この効果を、E−ΔE,E,E+ΔEのエ
ネルギをそれぞれが有する電子を表わす光線15e、1
5d、15cによって図2に略図的に示されている。図
2に示されているように、色収差は像をぼやかし、獲得
可能分解能を数10ナノメートルに制限する。
【0039】図3は、偏向コイル82、84が対物レン
ズの下側に配置されて後方レンズ偏向システム80を形
成する代替的な従来の設計を示すものである。ビームが
対物レンズ20を通過した後、第1の偏向コイル82は
光軸から離すようにビームを偏向させ、第2の偏向コイ
ル84はビームを光軸に戻すように方向付けて、所望の
ビーム到達角度でサンプルに当たるようにする。ビーム
が光軸16上で対物レンズ20を通過するので、分解能
はレンズの軸外れ収差によって劣化することはない。し
かしながら、最終的なレンズ20の下側にあるコイルの
物理的寸法により、より長い焦点距離を有する対物レン
ズが必要となるため、獲得できる最小作業距離が制限さ
れてしまう。焦点距離がより長いと色収差や更に球面収
差まで大きくなる。従って、図3に示された解決法で
は、満足のいく像分解能は得ることができない。
【0040】図1(a)は、参照番号10で一般的に示
した本発明によるカラムのある特定の実施形態を示す図
である。上述したように、電子ビームは電子供給源12
から放出され、経路14a上を光軸16に沿って試料1
8の表面にビームを集束させる対物レンズ20の方へと
伝播する。前方レンズ偏向ユニット30は、電子供給源
12の見掛けの位置と一致する点から現れるように見え
るビームを光軸16から経路14bへと偏向するための
二つの偏向コイル32、34を備える。カラムの設計に
よるが、参照番号12は、電子供給源そのものか、若し
くは電子供給源の中間の像を表すものとされる。
【0041】前方レンズ偏向ユニット30は、電子供給
源12(若しくは電子供給源の中間の像)と対物レンズ
20との間に配置されるため、実際それぞれのフィール
ドとの間で重なり合う部分が存在しない。更に、前方レ
ンズ偏向ユニット30により発生した色収差は、前方レ
ンズ偏向ユニット30の位置とは無関係であり、選択さ
れたビーム到達角度にほぼ比例している。図1(a)に
示す実施形態では、前方レンズ偏向ユニット30により
発生した色収差は、5°の傾斜角につき100nmであ
った。インレンズ偏向ユニット40を用いずに、前方レ
ンズ偏向ユニット30のみが用いられれば、電子ビーム
は参照番号14cで略図的に示す経路をたどり、第1の
方向から試料の表面に当たる。図1(b)に示した表面
の平面図では、この第1の方向の試料表面への投射が矢
印14cで示されている。
【0042】それぞれのフィールドが重複するように対
物レンズのフィールドの内側に偏向システムが配置され
ると、色収差が減少する。偏向システムを対物レンズの
内側か若しくは僅かに下側に配置することによって、5
0%以上の色収差が減少可能である。図1(a)に略図
的に示されている実施形態では、更なる偏向システム、
即ちインレンズ偏向ユニット40が、色収差が50%減
少されるように配置される。このようにして、インレン
ズ偏向ユニット40の色収差は、5°の傾斜角につき5
0nmだけとなる。
【0043】インレンズ偏向ユニット40は、偏向コイ
ル42と44からなる二段のユニットである。図1
(a)の略図は、コイルの一つが対物レンズ20の主平
面上に位置し、もう一つのコイルがその主平面の下側に
位置する場合の配置を示しているが、偏向ユニット40
と対物レンズ20のフィールド間が重なり合う限り、他
の配列も可能である。それぞれのフィールド間の重複部
分はできるだけ大きい方が好ましい。
【0044】本発明の発明者等は、前方レンズ偏向ユニ
ット30の偏向によりビームの経路が軸から外れること
により生じる色収差が、インレンズ偏向ユニット40を
用いることで補正可能であることを観察した。上述した
ように、インレンズ偏向ユニット40を用いなければ、
電子ビームは経路14cをたどり、第1の方向から試料
表面に当たる。ここで、インレンズ偏向ユニット40を
用いてビームを再方向付けすれば、図1(a)の参照番
号14dで略図的に示された経路をとる。再度方向付け
することによって、第1の方向と実質的に反対の方向で
ある第2の方向から電子ビームが試料表面に当たること
になる。図1(b)は、矢印14dで示された、試料表
面への第2の方向の投影を示す。経路14dが対物レン
ズ20の主平面に近い位置にある光軸16と交差するこ
とが図1(a)から分かるが、必ずしもこれは必要な条
件ではない。
【0045】インレンズ偏向ユニット40が対物レンズ
20のフィールド内にあるので、予め選択した到達角度
で電子ビームがサンプルに当たるように、光軸へ戻すよ
うに方向付けることは、インレンズ偏向ユニット40だ
けの作用ではなく、インレンズ偏向ユニット40と対物
レンズ20とを組み合わせた作用によるものである。対
物レンズ20とインレンズ偏向ユニット40のフィール
ドのかなりの部分が重なり合うので、これらのビーム曲
げへの寄与は、図1(a)において図的に別々にできな
いものである。説明のため、図1(a)は、あたかも偏
向がインレンズ偏向ユニット40によってのみ生じてい
るかのように、単純化した方法でビーム経路を図示して
いる。
【0046】また、図1から図3に示されているビーム
経路は、磁気レンズによって生じるビームの回転を示し
ていないという点で更に単純化したものである。これら
の効果は、2次元の図面では図示が困難であるというこ
とと、これらの追加の効果は当業者によく知られたもの
であるということから、図示されていない。また、これ
らの効果は本発明を理解するには重要なことではない。
【0047】特定の理論に限定せずに考えると、現在、
色収差の補正は以下により説明されると考えられる。
【0048】最終的なビーム到達角度が5°であること
が望ましければ、前方レンズ偏向ユニット30は、イン
レンズ偏向ユニット40が動作しなければ、第1の方向
から到達角度5°で入るようになるレベルまで励起され
る。次いで、図1(a)では、ビームは経路14cをた
どり、右側から(図1(b)にも示されている)入る角
度5°で試料上に到達する。
【0049】次いで、前方レンズ偏向ユニット30が動
作しなければ、インレンズ偏向ユニット40は、第1の
方向と実質的に反対の方向である第2の方向から到達角
度10°で入るようになるレベルまで励磁される。次い
で、両偏向ユニット30、40は共に経路14dにな
り、第2の方向(図1(b)にも示されている)から入
る所望の到達角度10°−5°=5°となる。上述した
色収差の値に関して、導入される色収差は、第1の方向
に100nm(角度5°で100nm/5°)と、第2
の反対方向に100nm(角度10°で50nm/5
°)である。収差は両方向に等しいため、互いに補正し
あう。
【0050】偏向ユニットの色収差が異なる値をもつ場
合、同じビーム到達角度を得るために他の傾斜角を選択
しなければいけないことは明らかである。例えば、前方
レンズ偏向ユニットの収差が100nm/5°であり、
インレンズ偏向ユニットの収差が60nm/5°であれ
ば、傾斜角はそれぞれ、7.5°と12.5°となる。
次いで、ビーム到達角度は12.5°−7.5°=5°
であり、色収差が補正される(一つの方向に100nm
/5°*7.5°=150nmであり、それとは反対方
向に60nm/5°*12.5°=150nm)。
【0051】強調すべきことは、本発明の実行は、上述
したメカニズムの正確性や知識に依存しないものである
ことである。特に、上述した前方レンズ偏向ユニットと
インレンズ偏向ユニット30、40の収差と、傾斜角を
知る必要はない。本発明では、インレンズ偏向ユニット
40がビームを再方向付けすることによって、ビームが
第1の方向(即ち、インレンズ偏向ユニットを用いなか
った場合試料表面にビームが当たる方向)とは実質的に
反対の方向から到達し、更にインレンズ偏向ユニット4
0のフィールドは対物レンズ20のフィールドと重複す
るが、前方レンズ偏向ユニット30のフィールドとは重
複しないという知識で十分である。次いで、インレンズ
偏向ユニット40の収差は前方レンズ偏向ユニット30
と比較すると減少され、更に予め選択されたあらゆるビ
ーム到達角度では、色収差補正となる傾斜角が存在す
る。最大の補正で所望の到達角度が達成される特定の励
起は、得られる像から実験的に抽出される。
【0052】上述した例から、インレンズ偏向ユニット
40は、色収差が前方レンズ偏向ユニット30の色収差
により近いものであれば、より大きな角度で偏向しなけ
ればならないことは明らかである。従って、インレンズ
偏向ユニット40は、対物レンズ20のフィールド内の
深い位置に配置されるか、若しくはそれよりも僅かに下
方に配置されて、それぞれのフィールドがかなり重複す
ることが好ましい。
【0053】図面では、前方レンズ偏向ユニット30が
二つの偏向コイル32、34からなるものとして示して
いるが、例えば、参照番号12が電子供給源の中間の像
を表わすものである場合等、単一の偏向器のみからなる
前方レンズ偏向ユニット30を用いることも可能であ
る。次いで、単一の偏向器はほぼ中間の像の高さに配置
されることが有利である。この単一偏向器は、光軸16
から離れて電子供給源の中間の像から現れるように見え
る経路にビームを偏向するのには十分なものである。
【0054】本発明の別の実施形態が図4を参照して記
載される。この図は、二つの結像モードを可能とする対
物レンズ50をより詳細に示した図である。
【0055】集束距離がより短い対物レンズが使用され
れば、インレンズ偏向ユニット40の偏向フィールドの
強度を高めなければならないことが分かっている。集束
距離が非常に短い対物レンズを用いて作業するのが有利
な応用もある。これは、大きな偏向フィールドを有する
インレンズ偏向ユニットを必要とする。しかしながら、
インレンズ偏向ユニットのフィールドの最大強度には制
限があり、対物レンズの集束距離がある一定の値よりも
大きく、しばしば所望のものよりも大きくする必要がで
てくる。これは、標準結像モード、即ちビームを傾斜さ
せる必要がない場合のモードにおいて、このようなかな
り弱い対物レンズの達成可能な分解能は約5nmに制限
される。
【0056】図4の対物レンズ50は、この問題を二つ
の結像モードを提供することで解消しており、これらの
結像モードは、ビームを傾斜させる必要がない場合の光
分解能結像モードと、より低減された分解能を有するビ
ーム傾斜モードである。
【0057】対物レンズ50は、低加速エネルギで優れ
た分解能をもつ複合磁気静電レンズである。磁気レンズ
は、極片52と54で形成される焦点距離が短い下側レ
ンズと、極片54と56で形成される焦点距離がより長
い上側レンズとからなる二段レンズである。粒子ビーム
を減速させるための静電レンズは、電極58と下側磁気
レンズの下側極片52によって形成される。
【0058】光分解能が望ましく、更にビームを傾斜さ
せる必要がなければ、下側レンズ52及び54だけが使
用される。焦点距離が短いため、約2nmの分解能が得
られる。この場合、インレンズ偏向コイル40は走査コ
イル又はシフトコイルとして用いられる。
【0059】また一方で、ビームの到達角度を大きくす
る必要があれば、上側レンズ54、56が用いられる。
偏向ユニット40の偏向フィールドに対する制限はより
弱くなり、容易に解消される。このモードでは、分解能
が僅かに低くなる(約4nm)ことと引き換えに、大き
なビームの到達角度が得られる。もちろん、両レンズを
同時に使用して、高い分解能と大きな到達角度との釣り
合いを考慮しながら上記両極の間にある結果を得ること
もある。
【0060】本発明の特徴を実行する対物レンズの更な
る実施形態が図5〜図10に示されている。分かるよう
に、記載されているいかなるレンズも、図1(a)に示
した対物レンズ20として用いることができる。
【0061】図5では、対物レンズ120は単段の純粋
な磁気レンズである。約2keV以下のかなり低いエネ
ルギでの分解能を改良するために、磁気レンズを静電レ
ンズ、好ましくは静電減速レンズと組み合わせることも
ある。
【0062】対物レンズ220と試料18との間に、そ
れらのうちの一つに、通常は試料18に電位を印加する
ことによって、静電減速フィールドができる。図6の実
施形態では、負の電位Uが試料に印加され、また対物レ
ンズ220の極片252は接地されている。例えば、2
〜20keVの集束磁気レンズ内にあるビームエネルギ
では、例えば、負の電位Uは2〜20kVのもので、こ
の結果、到達エネルギは10eV〜2keVのものとな
る。このように到達エネルギが低いと、レンズの集束特
性や像の分解能が向上する。
【0063】図7には、対物レンズ320に対して更な
る実施形態が示されており、試料18に印加された電位
U1と、電極326に印加された電位U2は任意のもの
である。電極324、326と、それに対応する電位U
2とU3があり、サンプル上方で電子ビームを減速させ
る減速フィールドを発生させる静電レンズを形成する場
合もある。電位U3は、例えば2〜20kVのもので、
更に電位U2は、例えば0〜5kVのものである。また
別に、追加の電位U1が試料に印加されれば、電位は−
5kV〜5kV間で変化する。
【0064】電極326と電位U2は必要とされない
が、もしあれば試料表面でのフィールドの制御性が向上
する。
【0065】図8は、静電三電極(422、424、4
26)対物レンズ420と共に前方レンズ偏向システム
及びインレンズ偏向システムを用いた図である。インレ
ンズ偏向ユニット40は二つの偏向器42、44とを備
え、各偏向器は対物レンズ420の電極のうちの二つの
電極(422、424及び424、426)の間に配置
される。代替実施形態では、電極422、424、42
6が複数区分に分割され、インレンズ偏向ユニットがレ
ンズ区分の部分集合によって形成される。
【0066】図9は、図7に示す対物レンズ520を有
するカラムを示しているが、強磁気レンズ90を試料1
8の下方に配置して、ビームを傾斜しないで動作モード
で高分解能を達成する。もちろん、図4に関して記載し
たように、強磁気レンズ90はまた、ビームを傾斜させ
たモードで動作され、高い分解能と大きなビーム到達角
度との間の兼ね合い状態を得る。
【0067】図10は、二段磁気レンズと静電レンズと
を組み合わせた対物レンズ620を有し、図4の構造に
類似した構造を示している。2keV以下の低エネルギ
で改良された分解能を生じる電極624、626により
静電減速レンズが形成される。磁気レンズは極片652
と654により形成される下側レンズと、極片654、
656で形成される上側レンズを有する二段レンズであ
る。この実施形態では、下側レンズの焦点距離は、例え
ば4mmであるが、上側レンズの焦点距離は、例えば1
5mmである。このカラムは図4に関して上述したよう
に動作する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の実施形態によるビームカラ
ムの略図的垂直断面図であり、(b)は、(a)のビー
ムカラムの試料に対する略図的平面図である。
【図2】前方レンズ偏向システムを用いた従来のビーム
カラムの略図的垂直断面図である。
【図3】後方レンズ偏向システムを用いた従来のビーム
カラムの略図的垂直断面図である。
【図4】本発明の実施形態による二段対物レンズの拡大
図である。
【図5】本発明の更なる好適な実施形態によるビームカ
ラムの下部を示す垂直断面図である。
【図6】本発明の更なる好適な実施形態によるビームカ
ラムの下部を示す垂直断面図である。
【図7】本発明の更なる好適な実施形態によるビームカ
ラムの下部を示す垂直断面図である。
【図8】本発明の更なる好適な実施形態によるビームカ
ラムの下部を示す垂直断面図である。
【図9】本発明の更なる好適な実施形態によるビームカ
ラムの下部を示す垂直断面図である。
【図10】本発明の更なる好適な実施形態によるビーム
カラムの下部を示す垂直断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 37/28 H01J 37/28 B

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光軸に沿って伝播する荷電粒子ビームを
    供給するための粒子供給源と、 荷電粒子ビームを試料表面に集束させるための対物レン
    ズと、 粒子供給源と対物レンズ間に配置された前方レンズ偏向
    ユニットであって、 前記対物レンズと該前方レンズ偏向ユニットとを組み合
    わせた作用によって、荷電粒子ビームが光軸方向に向け
    られて第1の方向から試料表面に当たるような経路で光
    軸から離れるように荷電粒子ビームを偏向させるように
    適合された前方レンズ偏向ユニットと、 インレンズ偏向ユニットのフィールドと対物レンズのフ
    ィールドが重なるように前記対物レンズの近傍に配置さ
    れたインレンズ偏向ユニットであって、 前記対物レンズと該インレンズ偏向ユニットとを組み合
    わせた作用によって、電粒子ビームが光軸方向に再度向
    けられて、前記第1の方向とは実質的に反対方向の第2
    の方向から大きな傾斜ビーム到達角度で試料表面に当た
    るような経路で、偏向された荷電粒子ビームを再方向付
    けするように適合されたインレンズ偏向ユニットとを備
    える、傾斜ビーム到達角度で荷電粒子ビームを試料表面
    に向けるためのカラム。
  2. 【請求項2】 前方レンズ偏向ユニットと前記インレン
    ズ偏向ユニットは、25°より小さいビーム到達角度、
    好ましくは3°〜15°の到達角度、更に好ましくは5
    °〜10°の到達角度を提供するように適合されている
    請求項1記載のカラム。
  3. 【請求項3】 前方レンズ偏向ユニットは、前記粒子供
    給源の見掛けの(apparent)位置又は粒子供給源の中間
    の像(intermediate image)と一致する点から出てくる
    ように見える経路に、光軸から離れて荷電粒子ビームを
    偏向させるように適合されている二つの偏向器とを備え
    る請求項1記載のカラム。
  4. 【請求項4】 インレンズ偏向ユニットは、試料表面で
    光軸と交差するように偏向ビームを再方向付けする二つ
    の偏向器を備える請求項1記載のカラム。
  5. 【請求項5】 対物レンズは、複合磁気静電レンズであ
    り、好ましくは複合磁気静電レンズの静電部分は静電減
    速レンズである請求項1記載のカラム。
  6. 【請求項6】 試料と対物レンズの極片との間に電位を
    印加するための手段を更に備えた請求項5記載のカラ
    ム。
  7. 【請求項7】 対物レンズは、集束距離が短い下側レン
    ズと、集束距離がより長い上側レンズとを備える二段レ
    ンズである請求項1記載のカラム。
  8. 【請求項8】 下側レンズの集束距離は、約10mm以
    下であり、好ましくは約2mm〜約5mmである請求項
    7記載のカラム。
  9. 【請求項9】 上側レンズの集束距離は、約40mm以
    下であり、好ましくは約10mm〜約20mmである請
    求項7記載のカラム。
  10. 【請求項10】 インレンズ偏向ユニットは、上側レン
    ズの下方で下側レンズに近い方に配置される請求項7記
    載のカラム。
  11. 【請求項11】 試料の下方に配置される強磁気レンズ
    を更に備える請求項1記載のカラム。
  12. 【請求項12】 試料表面全体に荷電粒子ビームを走査
    するための手段を更に備える請求項1記載のカラム。
  13. 【請求項13】 (a)光軸に沿って伝播する荷電粒子
    ビームを供給するステップと、 (b)試料表面に荷電粒子ビームを集束させるステップ
    とを備える、大きなビーム到達角度で荷電粒子ビームを
    試料表面に向けるための方法であって、更に、 (c)ビーム到達角度を選択するステップと、 (d)光軸に沿って伝播する荷電粒子ビームを光軸から
    離れて偏向させるステップであって、 ビームを偏向させ集束させる作用を組み合わせることに
    よって荷電粒子ビームが方向付けられ、第1の方向から
    試料表面に当たるように偏向の大きさが選択され、 前記偏向が試料表面の収差に第1の寄与をもたらす偏向
    ステップと、 (e)偏向された荷電粒子ビームを再度方向付けるステ
    ップであって、 偏向されたビームを再方向付けし集束させる作用を組み
    合わせることによって荷電粒子が方向付けられ、前記第
    1の方向と実質的に反対の方向である第2の方向から前
    記大きなビーム到達角度で試料表面に当たるように再方
    向付けが選択され、 前記再方向付けが試料表面の収差に第2の寄与をもたら
    す再方向付けステップとを備えることを特徴とし、 ステップ(d)の偏向とステップ(e)の再方向付けは
    試料表面の全収差が最小になるように選択される方法。
  14. 【請求項14】 荷電粒子供給源と、 対物レンズと、 該荷電粒子供給源と該対物レンズの間に配置された前方
    レンズ偏向ユニットと、 該対物レンズに近接したインレンズ偏向ユニットとを備
    える、定められた(defined)光軸を有する荷電粒子カ
    ラムであって、 前記前方レンズ偏向器は光軸から離れて荷電粒子を偏向
    させるように動作可能であり、前記インレンズ偏向器は
    荷電粒子を光軸に向けて偏向させるように動作可能であ
    る定められた光軸を有する荷電粒子カラム。
  15. 【請求項15】 前方レンズ偏向器は、前記粒子供給源
    又は粒子供給源の中間の像から現れる経路に荷電粒子を
    光軸から離れて偏向させるように動作可能である二つの
    偏向器を備え、前記インレンズ偏向器は、被検査試料の
    表面の光軸と交差するように偏向されたビームを再方向
    付けするように動作可能である二つの偏向器を備える請
    求項14記載の荷電粒子カラム。
  16. 【請求項16】 前記対物レンズは、界浸レンズ、結合
    磁気静電レンズ、短集束距離及び長集束距離を有する二
    段レンズ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択
    されたレンズである請求項14記載のカラム。
  17. 【請求項17】 前記荷電粒子ビームを被検査試料の表
    面上で走査するための手段を更に備える請求項14記載
    のカラム。
  18. 【請求項18】 光軸に沿って伝播する荷電粒子ビーム
    を供給する荷電粒子供給源と、 集束フィールドを作る対物レンズと、 粒子供給源と対物レンズ間に配置され、励起されたと
    き、第1の方向に光軸から離れて荷電粒子ビームを偏向
    させる前方レンズ偏向ユニットと、 インレンズ偏向器ユニットとを備えた、試料上に傾斜ビ
    ーム到達角度を供給可能な荷電粒子カラムであって、 励起されたとき、前記インレンズ偏向ユニットは、集束
    フィールドと少なくとも部分的に重複する位置に偏向フ
    ィールドを作り、集束フィールド内の変曲点で粒子ビー
    ムを偏向させるカラム。
  19. 【請求項19】 変曲点は、光軸と集束フィールドの集
    束面との交点付近にある請求項18記載の荷電粒子カラ
    ム。
  20. 【請求項20】 前記偏向フィールドは前記集束フィー
    ルドと共に、第1の方向とは反対の方向にビームを偏向
    し、ビームが光軸と交差した後、光軸と試料が交差する
    位置で実質的に試料に当たるようにビームを再方向付け
    する請求項18記載の荷電粒子カラム。
  21. 【請求項21】 光軸に沿って伝播する荷電粒子ビーム
    を供給するステップと、 荷電粒子ビームを集束させるための集束フィールドを供
    給するステップと、 光軸から離れた荷電粒子ビームに、集束フィールド上に
    印加される第1の偏向を適用するステップと、 集束フィールドと少なくとも部分的に重複する荷電粒子
    ビームに第2の偏向を適用し、集束フィールドと共に、
    光軸周辺でビームを屈折させ傾斜角でビームを試料表面
    に到達させるステップとを備える、荷電粒子ビームを傾
    斜角で試料表面に到達させる方法。
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