JP4783338B2 - 試料を検査するための荷電粒子ビーム装置および方法 - Google Patents

試料を検査するための荷電粒子ビーム装置および方法 Download PDF

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Description

発明の分野
[0001]本発明は一般に、特に検査用途、試験用途、およびリソグラフィ用途などのための、荷電粒子ビーム装置、および荷電粒子ビームを用いて試料を撮像する方法に関する。より詳細には、本発明は、試料斜角部撮像装置、高傾斜角度装置、および対応する装置を用いて試料を検査する方法に関する。具体的には、本発明は、荷電粒子ビーム装置、および荷電粒子ビーム装置を用いて試料を検査する方法に関する。
発明の背景
[0002]荷電粒子ビーム装置には、複数の産業分野において、それだけには限らないが、製造中の半導体デバイスの検査、リソグラフィの露光システム、デバイスの検出、およびシステムの試験を含む多くの機能がある。したがって、マイクロメートルおよびナノメートルのスケール内で試料を構成し検査するという高い需要がある。
[0003]マイクロメートルおよびナノメートルスケールのプロセス制御、検査、または構成は、荷電粒子ビーム、たとえば電子ビームを用いて行われることが多く、この荷電粒子ビームは、電子顕微鏡または電子ビームパターン発生器などの荷電粒子ビーム装置内で生成され集束される。荷電粒子ビームは、その波長が短いために、たとえば光子ビームと比べてすぐれた空間分解能を提供する。
[0004]たとえば1次電子ビームによって発生した信号は、比較的粗い表面の実際上すべての部分から収集することができる。試料上に堆積された個々の層の剥離、または試料中の亀裂は、検査されるべき試料の縁部から見えることがある。この試料の縁部または斜角部を検査することが望ましいことがある。さらに、試料の下方の縁部または斜角部の部分、あるいは試料の底面の部分を検査することが望ましいこともある。
発明の概要
[0005]上記の観点から本発明は、改良された荷電粒子ビーム装置、および荷電粒子ビーム装置を動作させる改良された方法を提供しようとするものである。
[0006]この目的は、独立請求項1に記載の荷電粒子装置によって、また、独立請求項16に記載の試料を検査する方法によって達成される。
[0007]一実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置が提供される。この荷電粒子ビーム装置は、1次荷電粒子ビームを集束するための第1対物レンズを含み、この第1対物レンズは光軸を画定する。荷電粒子ビーム装置は、試料配置領域を画定する試料台と、試料に衝突させるためのビーム経路に向けて1次荷電粒子ビームを第1対物レンズと試料配置領域の間で偏向させるための偏向ユニットとを含み、この偏向ユニットは、光軸と、衝突させるためのビーム経路との間に少なくとも約60°の偏向角を生成するようになっている。
[0008]別の実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置が提供される。この荷電粒子ビーム装置は、1次荷電粒子ビームを集束するための第1対物レンズを含み、この第1対物レンズは光軸を画定する。荷電粒子ビーム装置は、試料配置領域を画定する試料台と、試料に衝突させるためのビーム経路に向けて1次荷電粒子ビームを第1対物レンズと試料配置領域の間で偏向させるための偏向ユニットとを含み、この偏向ユニットは、光軸に対して移動可能である。
[0009]別の実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置を用いて試料を検査する方法が提供される。この方法は、1次荷電粒子ビームを発生させるステップと、第1のモードで試料を検査するステップとを含む。この第1モードは、試料の斜角部または縁部に向けて1次荷電粒子ビームを第1対物レンズと試料の間で偏向させることを含む。
[0010]通常、この方法はさらに、第2のモードで試料を検査するステップを含むこともできる。この第2モードは、1次荷電粒子ビームを用いて試料の表面を検査することを含む。
[0011]上記の実施形態と組み合わせることができるさらなる利点、特徴、態様、および細部は、従属請求項、説明、および図面から明らかになる。
[0012]試料の検査あるいは試験はまた、試料の縁部または斜角部を含むこともできる。構成された表面、縁部、または斜角部である、潜在的に関連した試料の領域すべてを撮像するために、試料を機械的に移動させることが可能である。しかし、このような機械的な移動は不正確であり、かつ遅い。したがって、本明細書に記載された実施形態は、試料の斜角部、縁部、および/または下方の表面の部分を評価するために改良された装置、および改良された方法を提供する。いくつかの実施形態は、構成された試料の表面の追加評価を可能にする。
[0013]実施形態はまた、開示された方法を実施するための装置で、記載されたそれぞれの方法のステップを実行する装置部分を含む装置も対象とする。これらの方法のステップは、ハードウェア構成要素、適切なソフトウェアがプログラムされたコンピュータ、これら2つの任意の組合せ、あるいはその他のどんな方法によっても実行することができる。さらに、実施形態はまた、記載された装置を動作させる方法も対象とする。この方法は、装置のあらゆる機能を実施するための、または装置のあらゆる部分を製造するための方法のステップを含む。
[0014]上記のいくつか、および本発明のより詳細なその他の態様を下記で説明し、また部分的に図を参照して示す。
図面に沿っての詳細な説明
[0023]本適用例の範囲を限定することなく、以下では、荷電粒子ビーム装置またはその構成要素は、例示的に電子ビーム装置またはその構成要素と呼ばれる。それによって、電子ビームは特に、検査用またはリソグラフィ用に利用することができる。本発明はなお、荷電粒子、および/またはその他の2次および/または後方散乱の荷電粒子の他の供給源を使用する装置および構成要素に適用して試料画像を得ることができ、あるいは試料をパターン化することもできる。
[0024]図面の以下の説明中では、同じ参照番号は同じ要素を指す。全体として、個々の実施形態に関して相違点だけを説明する。
[0025]本明細書で「試料」と呼ばれるものは、それだけには限らないが、半導体ウェハ、半導体加工物、および光学板やメモリディスクなどのその他の加工物を含む。本発明の実施形態は、材料がその上に堆積される、または構築される全体的に平坦などんな加工物にも適用することができる。試料は、構築されるべき、または層がその上に堆積される平坦な表面、反対側の表面、縁部および一般に斜角部を含む。
[0026]図1は第1の実施形態を示す。電子エミッタ101が1次電子ビームを光軸102に沿って放射する。集束レンズ103が1次電子ビームを形成する。第1対物レンズ104は、1次荷電粒子ビームを集束する。
[0027]対物レンズの定義によって、対物レンズは試料に最も近いレンズと定義されるので、第1対物レンズ104は「第1」と呼ばれる。上記を考慮に入れると、本明細書に記載された実施形態中で、たとえばあるレンズが一適用例では対物レンズになり、別の適用例ではレンズ一般になることがある。たとえば図4bに関して説明されているように試料120の表面122を評価または検査する場合には、第1対物レンズ104(404)は、上記の定義によって対物レンズになる。さらに、偏向ユニット123および後段レンズ134がなければ、第1対物レンズ104は、当業者にはシステムの対物レンズと考えられるはずである。したがって、後段レンズ134が試料に最も近いとしても、したがって上記の定義によっていくつかの適用例ではシステムの対物レンズであっても、レンズ104は第1対物レンズと呼ばれ、レンズ134は後段レンズと呼ばれる。同じ呼称が、別の実施形態の相当するレンズについても使用される。それでも、第1対物レンズと呼ばれるレンズは、少なくともいくつかの適用例、またはいくつかの動作様式では、対物レンズになることができると理解されたい。
[0028]図1に示された実施形態中に、アパーチャ、走査偏向器、調整偏向器、収差補正器などのようなその他のビーム誘導手段を、1次電子ビームが偏向ユニット132に入る前に設けることができる。
[0029]偏向ユニット132中で、1次電子ビームは偏向角αで偏向される。この偏向角αは、走査偏向または電子ビーム傾斜機構に使用される偏向角よりもかなり大きい。通常、偏向角は60°と135°の間である。一実施形態によれば、偏向角は80°と100°の間とすることができる。通常、偏向角は約90°である。後段レンズ134は、1次電子ビームを試料120の縁部124、または斜角部126に集束する。試料120、偏向ユニット132、および後段レンズ134は、台110上に配置される。
[0030]図1中で、後段レンズ134はアインゼル(Einzel)レンズである。後段レンズ134は3つの電極を含む。それに関して、中央の電極は、外側の2つの電極とは異なる電位にある。別の実施形態によれば、3つ未満の電極、たとえば2つの電極を備える後段レンズを使用することができる。2つの電極によって形成されたレンズは、1次電子ビームを加速または減速する。それによって、試料からの1次電子ビームのビームランディングエネルギーを、カラム内の1次ビームエネルギーと比べてさらに変化させることができる。上記の異なる後段レンズはまた、本明細書に記載されたその他の実施形態と組み合わせることもできる。
[0031]試料120の縁部124または斜角部126に1次電子ビームが衝突するとき、2次粒子または後方散乱粒子が試料から放出される。この粒子は、検出器105によって検出することができる。対応するその信号は、1次荷電粒子ビームの走査の動きと合わせて、たとえば、試料120の縁部124または斜角部126の画像を生成するために利用することができる。
[0032]図1は、集束レンズ103、および第1対物レンズ104を概略的に示す。一実施形態によれば、集束レンズは、励磁コイルを含む磁界レンズとすることができる。第1対物レンズは、複合電磁界レンズとすることができる。複合電磁界レンズは、磁極片および励磁コイルを含む。さらに、レンズ電極が通常、磁極片の下に含まれる。このレンズ電極は、たとえば減速レンズを実現することができる。
[0033]別の実施形態によれば、レンズ103および104のそれぞれ、または両方は、一般的な電界レンズ、アインゼルレンズ、磁界レンズ、複合電磁界レンズ、減速レンズ、加速レンズ、またはそれらの組合せとすることができる。様々なタイプのレンズが、たとえばJ. Frosien、 S. Lanio、 H.P. Feuerbaumの「High Precision electron optical system for absolute and CD−measurements on large specimens」、 Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 363, (1995)に、より詳細に記載されている。同文献の全体を参照により本明細書に組み込む。
[0034]図1、または図4〜7の実施形態のいずれにも使用できる偏向ユニットの実施形態が、図2A〜3に記載されている。図2Aに示される一実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置は、1次荷電粒子ビームを偏向できる、扇形電磁界偏向ユニットの形態の偏向ユニット232を含む。一般に、扇形電磁界偏向ユニットは、1次荷電粒子ビームの伝搬方向に対して実質的に垂直の方向に1次荷電粒子ビームを偏向させることができる。別の実施形態によれば、扇形電磁界偏向ユニットは、補足的に集束ユニット、すなわちレンズとして働く。図2Aの扇形電磁界偏向ユニット232は、電子ビームを曲げるように働く負極性荷電電極237および正極性荷電電極235を有する。その各電位は、それぞれ接続部236および238を介して加えられる。扇形電界偏向ユニットは、電子ビームに対する1次元での集束作用をもたらす2つの電極237および235を含む。
[0035]図2Aに示された実施形態は、さらに後段レンズ234を含む。後段レンズ234は、一実施形態によれば、3つの電極を含むアインゼルレンズとして設けられる。別の実施形態によれば、図1に関して説明したように、その他のレンズを使用して試料120の縁部124または斜角部126に1次電子ビームを集束することができる。
[0036]図2A中で、偏向角αは約90°として示されている。この偏向角αは、1次電子ビームが試料120に衝突する前の、光軸102と電子ビーム伝搬方向202との間の角度であり、約90°である。
[0037]一般に、本明細書で開示された実施形態と組み合わせることができる扇形電磁界偏向ユニットは、静電型、磁界型、または複合電磁界型とすることができる。静電偏向扇形に必要な空間は、磁気部品を含む扇形に必要な空間よりも小さいので、静電扇形が通常使用される。たとえば、非半球形の静電偏向扇形は、丸く成形された2つの電極を有することができる。この扇形電磁界偏向ユニットは、追加の側板を有することができる。扇形電磁界偏向ユニットはさらに、円柱レンズや四重極などのような非点収差集束要素と組み合わせることもできる。別の実施形態によれば、扇形電磁界偏向器は、球形、またはトロイダルとも呼ばれる楕円形とすることができる。
[0038]本明細書に記載された実施形態によれば、扇形電磁界偏向ユニットの湾曲部の半径は、約5mm〜約40mmとすることができる。一実施形態によれば、湾曲部の半径は、約10mm〜13mmとすることができる。
[0039]図2Bに示された実施形態中で、後段レンズには、接地された2つの電極234’が設けられる。中央電極は、管234”の形で設けられる。偏向ユニット232の偏向角は、90°未満として示されている。
[0040]一般に、本明細書に記載されたすべての実施形態に関して、偏向角は、試料の全面にわたって電子ビームを走査するように生成される偏向角、または立体画像などを得るための、1次電子ビームのビーム傾斜用に生成される偏向角よりもかなり大きい。この偏向角は一般に60°〜135°の範囲であり、さらにはより大きく、たとえば最大で180°までである。偏向角はまた、70°〜90°の範囲とすることもできる。一般に偏向角は、試料の縁部または斜角部を評価するのに十分なだけ大きくなければならない。
[0041]別の実施形態によれば、試料の下方の縁部または斜角部を評価することが望ましいことがある。さらに、下方の表面(処理されるべき試料表面の反対側の面)の部分を評価することが望ましいことさえもある。この場合には、偏向角は通常90°よりも大きい。偏向角は、90°を超え145°までの範囲になることがある。試料の下方部分の検査は、2つの選択仕様、またはそれらの組合せによって実現することができる。一方では、扇形電磁界偏向器は、90°を超える偏向角を導入することができる。他方では、電子ビームカラムと試料台を互いに傾斜させることができる。たとえば、電子ビームカラムの光軸が傾斜している場合には、90°、90°未満、または90°超の偏向角によって、試料の下方表面への電子ビームの衝突が可能になる。電子ビームカラムの光軸と試料台を互いに傾斜させることはまた、別の実施形態によれば、90°よりも大きい扇形電磁界の偏向と組み合わせることもできる。
[0042]一般に、電子ビーム偏向扇形電磁界偏向器は、円筒形または半球形のどちらにすることもできる。円筒形のタイプには、ビームが曲げられるときに電子が一方の平面に集束され、それにほぼ垂直な他方の平面には集束されないという難点がある。半球形偏向扇形電磁界偏向器は、両方の平面に2次ビームを集束する。円筒形扇形電磁界偏向器は、横方向平面内の集束を実現するようにバイアスをかけた側板を備えて使用し、半球扇形と同様の集束特性を得ることができる。たとえば側板(図示せず)は、図2Aの状態に関して、扇形電界電極235と237の間のギャップの前後に配置することができる。
[0043]図2Cに示された実施形態では、荷電粒子ビーム装置は、扇形電磁界偏向ユニットの形の偏向ユニット232を含む。この扇形電界偏向ユニットは、電子ビームに対する1次元での集束作用をもたらす2つの電極を含む。2次元での集束は、四重極要素238によって実現することができる。四重極要素238はまた、本明細書に記載されたその他の実施形態に適用することもできる。任意選択で、1対の側板を設けることができる。さらに、扇形電磁界偏向ユニットと円柱レンズまたは四重極とのそれぞれの組合せの、非点収差が低減された集束を得るために、四重極の代わりに円柱レンズを使用することも可能である。
[0044]一般に、本明細書に記載された実施形態中に、電界偏向器、磁界偏向器、または複合電磁界偏向器を使用することができる。生成される偏向角を考慮に入れると、一般に扇形電磁界偏向器を使用することができる。実施形態によれば、複合扇形電磁界偏向器を使用することができる。それによって、補足的な収差補正が扇形電磁界偏向器に含まれることがある。
[0045]図3中では、扇形電磁界偏向ユニットは、半球扇形電磁界ユニット332として示されている。その各電位は、それぞれ接続部236および238を介して加えられる。半球扇形電磁界ユニットは、扇形電磁界ユニットの無収差集束特性を可能にする。したがって、非点収差が小さくなる。さらに、3つの電極を含むアインゼルレンズの形の後段レンズ334が示されている。別の実施形態によれば、1次電子ビームを集束するためにその他のレンズを使用することができる。
[0046]半球扇形電磁界ユニットが扇形電磁界ユニットの無収差集束特性を可能にするので、別の実施形態によれば、補足的な集束ユニットが不必要である。それを考慮に入れると、後段レンズ334は省略することができる。
[0047]上記の扇形電磁界偏向ユニットは、ある程度まで1次荷電粒子を少なくとも偏向の平面内に集束する。半球扇形電磁界ユニットが設けられる場合には、扇形電磁界偏向ユニットは、互いにほぼ垂直の少なくとも2つの平面内に1次荷電粒子ビームを集束する。一般に、扇形の集束特性は、高分解能用途には不十分と考えられることがある。しかし、その適用分野の分解能要件に応じ、扇形電磁界偏向ユニットの集束特性を使用して、試料の縁部または斜角部にビームを集束することができる。それによって、後段レンズなしで画像を生成することができる。
[0048]たとえば100nm未満の高い分解能が必要な場合には、たとえば図2A、2C、および3に関して説明した実施形態に示されたように、後段レンズを適用することができる。分解能の値は、構成要素の大きさに基づいてある程度変わる。すなわち、約10mmの湾曲部の半径での集束の場合に例示的に与えられる100nmの値は、光学構成要素の大きさに基づき50nm〜300nmの範囲になることがある。
[0049]図4Aおよび図4Bは、別の実施形態を示す。図4A中には、台部、すなわちその上の構成要素をX方向に移動させるためのX方向台411Xが設けられている。台部411Xは試料120、ならびに偏向ユニット132および後段レンズ134を保持する。Y方向台は台部411Yによって形成され、その上の構成要素をY方向に移動させることができる。さらに、試料120は光軸102の方向のZ方向に、Z方向台411Zで形成される台部によって移動させることができる。試料120は、台部411Θによって回転させることができる。偏向ユニット132および後段レンズ134は、台部112上に配置される。
[0050]図4A中では、台は、1次電子ビームが偏向ユニット132に入り、試料120の縁部124または斜角部126に向けて偏向されるように、位置決めされている。図4B中では、台は、試料120の表面122に直接1次電子ビームを照射できるように、台部411Yの移動によって位置決めされている。どちらの場合でも、検出器405は、1次電子ビームの衝突によって発生した2次粒子または後方散乱粒子を検出することができる。したがって、図4Aおよび図4Bに関して説明した実施形態では、試料120の縁部124、斜角部126および表面122を撮像し、検査し、あるいは試験することができる。
[0051]図4Aおよび図4Bでは、光軸102に沿って伝搬する1次電子ビームは、第1対物レンズ404によって1次集束される。第1対物レンズ404は、磁極片、および電極404Bを含む複合電磁界レンズである。
[0052]一実施形態によれば、1次電子ビームは、偏向ユニット132の中心で集束される。それによって、収差および集束特性に対する偏向ユニット132の影響は、最小化することができる。さらに、一実施形態によれば、偏向ユニット132は、無収差ビーム誘導特性を実現するために半球形であり、あるいは半球形に近い。さらに別の実施形態によれば、1次電子ビームは偏向ユニット132の中心で集束され、偏向ユニット132は半球形であり、あるいは半球形に近い。図4A中では、試料120上の最終集束は、後段レンズ134によって行われる。
[0053]図4Aおよび図4Bは、1次電子ビームを走査するための走査偏向器441を示す。1次電子ビームは、試料の各部分上をラスタ走査される。2次粒子または後方散乱粒子は、1次電子ビームの衝突の現在位置から検出される。図4A中では、1次電子ビームは、走査偏向器441によって試料120の縁部124上または斜角部126上を走査させる。図4B中では、1次電子ビームは、走査偏向器441によって試料120の表面122上を走査させる。
[0054]図4A中では、試料の縁部全体または斜角部全体を、たとえば約100μm×100μmの走査領域にわたって1次電子ビームを走査することによって撮像し、検査し、あるいは試験することができる。その後、試料は、台部411Θによって別の位置に移動させることができる。次いで、試料の別の領域を、走査領域の範囲内で評価することができる。ウェハは、たとえば典型的な約0.2〜0.6mmの厚さでよい。検査の対象となる縁部または斜角部の領域に応じて、試料の縁部または斜角部の別の領域を走査領域内で評価するために、Z方向台部411Zの移動もまた加えることができる。
[0055]図4B中では、走査偏向器441は、試料120の表面122上に1次電子ビームを走査する。やはり走査領域を撮像し、検査し、あるいは試験することができ、その後、試料の別の領域を走査領域内で撮像できるように、試料を別の位置まで移動させることができる。
[0056]一実施形態によれば、試料の各部分はまた、一方向の1次電子ビームの走査移動と、別方向の試料の移動とによって撮像し、検査し、あるいは試験することもでき、後者の移動は試料台によってもたらされる。
[0057]一般に、ウェハの表面、ウェハの縁部、およびウェハの斜角部は、本明細書に記載された実施形態によって撮像することができる。
[0058]一実施形態によれば、第1モードで試料を撮像または検査する方法が提供される。上記のように、1次電子ビームは、試料の縁部または斜角部に向けて偏向される。
[0059]1次粒子ビームは、偏向させる前に、第1対物レンズによって集束することができる。さらに、偏向角は一般に60°〜135°の範囲にある。使用される偏向ユニット、第1対物レンズ、および分解能要件に応じ、後段レンズを使用して、偏向後の1次電子ビームを集束することができる。
[0060]別の実施形態によれば、1次電子ビームを試料の縁部または斜角部に向けて偏向させるための偏向ユニット、および試料は、第1の検査モードの位置から第2の検査モードの位置まで移動される。第2検査モードの位置では、試料の表面を撮像し、検査し、試験し、あるいはパターニングするために、試料の表面に1次電子ビームが照射される。
[0061]両方の評価モードで、1次電子ビームを走査領域内で走査させて、試料の一部分をラスタ走査する。次いで、試料の位置を変えて、縁部、斜角部または表面の別の領域を走査領域内に配置することができる。したがって、試料のすべての領域を撮像し、検査し、試験し、あるいはパターン化することができる。
[0062]図5は、別の実施形態を示す。その中に偏向ユニット532が示されている。偏向ユニット532は集束偏向ユニットである。偏向ユニット532の集束特性は、1次電子ビームを試料120の縁部または斜角部に集束するために利用される。図5に示される実施形態では、後段レンズが省かれている。
[0063]図6に示された実施形態中では、台部512Xおよび512Yが、偏向ユニットおよび後段レンズの下に設けられている。それによって偏向ユニットおよび後段レンズは、試料120とは独立してX方向およびY方向に移動させることができる。このX方向おおびY方向の独立した動きは、1次電子ビームに対する試料の補足的な調整に利用することができる。たとえば、試料と後段レンズとの間の距離をさらに調整することができる。別の実施形態では、後段レンズの集束強度による、試料と後段レンズの間の距離の調整を含むことができる。
[0064]別の実施形態によれば、偏向ユニットおよび試料の、X方向およびY方向の独立した動きはまた、別の台部によって実現することもできる。これらの台部は、たとえば試料120の下に設けることができる。
[0065]図6に関して説明した実施形態はまた、第1の検出器605Aおよび第2の検出器605Bも含む。第1検出器605Aは、第1対物レンズの上に位置する円盤形検出器である。検出器605Aは、中央に配置できる開口を含み、1次電子ビームが検出器を通り抜けることができるようにする。検出器605Aに関するさらなる詳細は、たとえば「SECONDARY PARTICLE DETECTOR」という名称の、1998年11月17日出願の国際公開第99/26273号パンフレットに、より詳細に記載されている。同文献の全体を本明細書に組み込む。
[0066]検出器605Bは、後段レンズの近く、または試料上の、1次電子ビームの衝突領域の近くに位置する。それによって、試料の縁部または斜角部を撮像している間に発生する2次粒子または後方散乱粒子は、検出器605Bを用いて検出することができる。
[0067]別の実施形態(図示せず)によれば、図4Aおよび図4Bに示された検出器405に類似の検出器を付加的に設けることができる。一般に、図4Aおよび図4Bに示された検出器405は、縁部/斜角部評価、および表面評価により2次荷電粒子または後方散乱荷電粒子を検出するのに十分なだけ大きな検出範囲を有する。
[0068]図4Aと図4Bの間での水平方向の移動は、通常25〜30mmの範囲にある。この移動は十分に小さいので、図4Aおよび図4Bに示された両方の評価モードで、検出器405(図4Aおよび図4B参照)を用いて信号を検出することができる。図4Aおよび図4Bの検出器405は通常、第1対物レンズ404のできるだけ近くに配置される。
[0069]本明細書に記載された実施形態中には、両方の評価モードに利用される第1対物レンズの外側の検出器、カラム内の検出器、斜角部撮像検出器、またはそれらの組合せを設けることができる。
[0070]別の実施形態によれば、試料の下方の縁部または斜角部を評価することが望ましいことがある。さらに、下方の表面(処理されるべき試料表面の反対側の面)の部分を評価することが望ましいことさえもある。この場合には、偏向角は通常90°よりも大きい。偏向角は、90°を超え145°までの範囲になることがある。一実施形態によれば、扇形電磁界偏向器は、90°を超える偏向角を導入することができる。別の選択仕様によれば、電子ビームカラムと試料台を互いに傾斜させることができる。たとえば、電子ビームカラムの光軸が傾斜している場合には、偏向角がより小さいと、試料の下方表面への電子ビームの衝突が可能になる。電子ビームカラムの光軸と試料台を互いに傾斜させることはまた、さらに別の実施形態によれば、90°よりも大きい扇形電磁界の偏向と組み合わせることもできる。
[0071]試料の下方斜角部、または試料の下方表面の一部分が評価されるべき実施形態では、1次ビームが衝突する試料位置から放出される2次粒子を検出器が検出できる場合に、図1、4A、4B、および5に関して説明した実施形態による検出システムを適用することができる。別の選択仕様によれば、図6に関して説明した実施形態と類似の検出システムもまた適用することができる。さらに別の選択仕様によれば、特に試料の下方表面からの信号収集を改善するために、別の検出器を設けることが望ましいことがある。そのために、試料の下方表面からの収集効率が改善された別の検出器が設けられる。
[0072]試料の下方斜角部、または試料の下方表面の一部分が評価されるべき実施形態では、図4Aおよび図4Bに関して説明した、評価モード間で取り替える選択仕様を設けることできる。すなわち、偏向ユニットが光軸に対して移動可能な、つまり光軸に実質的に垂直な平面内で移動可能な実施形態に加えて、固定ビーム傾斜、または調整可能ビーム傾斜を用いた実施形態を利用することができる。光軸が試料表面または試料台表面に対して傾斜しているならば、偏向ユニットの動きはもはや、実質的に垂直な平面内にはないことになる。
[0073]一般に、本明細書に記載されたすべての実施形態では、光軸に対する動きは、光軸を偏向ユニット、および試料の表面の一部分と整合できるようにする動きと考えられている。
[0074]図7の実施形態は、荷電粒子ビーム装置700を示す。電子銃730は、エミッタ731およびサプレッサ732を含む。1次電子ビームは、実質的に光軸702に沿って放射される。ハウジング720の銃チャンバ721は、アパーチャ733によって次のチャンバ722から分離されている。アパーチャ733はまた、アノードとしても働く。1次電子ビームは、集束レンズ740、ならびに1次電子ビームの整合用の偏向ユニット742および744によって形成され、誘導される。この1次電子ビームは、検出器705Aの開口を通り抜け、電極704Bを含む第1対物レンズ704によって集束される。1次電子ビームが偏向ユニット732に入り、試料の縁部または斜角部に向けて偏向されるような位置に、試料台711が示されている。後段レンズ734は1次電子ビームを集束する。図1〜6に関して説明した検出器、偏向ユニット、後段レンズ、および試料台に関する修正は、図7に示された実施形態に導入することができる。
[0075]上記は、本発明の実施形態を対象としているが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明のその他のさらなる実施形態を考案することができ、また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定される。
試料の縁部または斜角部を撮像するための偏向ユニットおよび後段レンズを含む、荷電粒子ビーム装置の第1の実施形態の概略図である。 縁部または斜角部撮像用偏向ユニットの実施形態を示す図である。 縁部または斜角部撮像用偏向ユニットの実施形態を示す図である。 縁部または斜角部撮像用偏向ユニットの実施形態を示す図である。 縁部または斜角部撮像用偏向ユニットの別の実施形態を示す図である。 試料の縁部または斜角部を撮像するための偏向ユニットおよび後段レンズを含む、荷電粒子ビーム装置の一実施形態の概略図である。 試料の表面を撮像するための異なる撮像モードに対する図4Aの実施形態の概略図であり、この実施形態は、試料の縁部または斜角部を撮像するための偏向ユニットおよび後段レンズを含む。 試料の縁部または斜角部を撮像するための偏向ユニットを含む、荷電粒子ビーム装置の一実施形態の概略図である。 試料の縁部または斜角部を撮像するための偏向ユニット、後段レンズ、および別個の検出器を含む、荷電粒子ビーム装置の一実施形態の概略図である。 試料の縁部または斜角部を撮像するための偏向ユニット、および後段レンズを含む、荷電粒子ビーム装置の一実施形態の概略図である。
符号の説明
101…電子エミッタ、102…光軸、103…集束レンズ、104…第1対物レンズ、105…検出器、110…試料台、120…試料、122…試料の表面、124…試料の縁部、126…試料の斜角部、132…偏向ユニット、134…後段レンズ、202…電子ビーム伝搬方向、232…偏向ユニット、234…後段レンズ、235…正極性荷電電極、236…接続部、237…負極性荷電電極、238…接続部(四重極要素)、332…半球扇形電磁界ユニット、334…後段レンズ、336…接続部、338…接続部、404…第1対物レンズ、404B…電極、405…検出器、411x…X方向台、411y…Y方向台、411z…Z方向台、411Θ…回転台、441…走査偏向器、512x…台部、512y…台部、532…偏向ユニット、605A…第1検出器、605B…第2検出器、700…荷電粒子ビーム装置、702…光軸、704…第1対物レンズ、704B…電極、705A…検出器、720…ハウジング、721…銃チャンバ、722…チャンバ、730…電子銃、731…エミッタ、732…サプレッサ(偏向ユニット)、733…アパーチャ、740…集束レンズ、742…偏向ユニット、744…偏向ユニット。

Claims (17)

  1. 光軸(102、702)を画定し、1次荷電粒子ビームを集束する第1対物レンズ(104、404、704)と、
    試料配置領域を画定する試料台(110、411、711)と、
    試料に衝突させるためのビーム経路に向けて1次荷電粒子ビームを前記第1対物レンズと前記試料配置領域の間で偏向させるための偏向ユニット(132、232、323、532、732)と
    を備え、前記偏向ユニットが前記光軸(102、702)に対して移動可能である荷電粒子ビーム装置であって、
    前記偏向ユニット(132、232、323、532、732)が、前記光軸(102、702)と前記衝突させるためのビーム経路との間に少なくとも約60°の偏向角を生成するようになっている、前記荷電粒子ビーム装置。
  2. 前記偏向ユニット(132、232、323、532、732)が、前記光軸と前記衝突させるためのビーム経路との間に約70°〜約135°の偏向角を生成するようになっている、請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置。
  3. 前記偏向ユニットが扇形電磁界偏向ユニットである、請求項1または2に記載の荷電粒子ビーム装置。
  4. 前記偏向ユニットと前記試料配置領域の間に後段レンズ(134、234、334、734)をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
  5. 前記偏向ユニットと前記試料配置領域の間の前記後段レンズがアインゼルレンズである、請求項4に記載の荷電粒子ビーム装置。
  6. 前記偏向ユニット(132、232、323、532、732)が前記試料台(110、411、711)上に配置される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
  7. 前記試料台が、X方向の移動用のX方向台(411X)、Y方向の移動用のY方向台(411Y)、およびZ方向の移動用のZ方向台(411Z)を備え、前記偏向ユニット(132、232、323、532、732)が、前記X方向台および前記Y方向台の動きに追従するようになっている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
  8. 前記偏向ユニットが前記X方向台および/またはY方向台に固定して連結される、請求項7に記載の荷電粒子ビーム装置。
  9. 前記試料台(110、411、711)が、走査領域内に試料の縁部を位置決めするように前記試料を回転させるΘ方向台を備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
  10. 前記偏向ユニットが、第1の方向に集束するための扇形電磁界偏向ユニットと、第2の方向に集束するための四重極ユニット、円柱レンズ、または側板とを備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
  11. 前記偏向ユニットが半球扇形電磁界偏向ユニットを備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
  12. 前記偏向ユニットが扇形電界偏向ユニットである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
  13. 前記偏向ユニット(132、232、323、532、732)が、前記第1対物レンズ(104、404、704)によって生成されたクロスオーバに配置される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
  14. 前記偏向ユニットが、前記試料の縁部と前記光軸(102、702)の間の距離を20mmと40mmの間にすることができるように配置され、寸法設定される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
  15. 荷電粒子ビーム装置を用いて試料を検査する方法であって、
    1次荷電粒子ビームを生成するステップと、
    前記試料の斜角部または縁部に向けて前記1次荷電粒子ビームを第1対物レンズ(104、404、704)と前記試料の間で偏向させることを含む、第1のモードで前記試料を検査するステップと
    を含み、
    前記1次荷電粒子ビームが、前記第1対物レンズと前記試料の間に配置された偏向ユニット(132、232、323、532、732)を用いて、少なくとも60°の角度だけ偏向される、前記方法。
  16. 前記試料の縁部または斜角部にある走査領域を前記1次荷電粒子ビームで走査するステップと、
    前記走査領域を走査している間に画像を生成するステップと、
    前記試料の別の縁部を前記走査領域内に配置するために前記試料を回転させるステップと
    をさらに含む、請求項15に記載の試料を検査する方法。
  17. 前記荷電粒子ビーム装置の光軸(102、702)に対して前記偏向ユニット(132、232、323、532、732)を第2の位置に移動させて、前記1次荷電粒子ビームが前記偏向ユニットを通り抜けないようにするステップと、
    前記試料の表面を前記1次荷電粒子ビームで検査することを含む、第2のモードで試料を検査するステップと
    をさらに含む、請求項15または16に記載の試料を検査する方法。
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