JP2011253729A - 走査電子顕微鏡装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】直立カラムを用いて得られるトップダウン像と同程度の高分解能の傾斜像を得ることのできる傾斜カラム付の走査電子顕微鏡装置を提供する。
【解決手段】直立カラム100と傾斜カラム200を有し、傾斜カラム200の対物レンズ24の先端磁極25を磁極本体から分離して電気的に絶縁し、試料13に近づけて配置し、対物レンズ24の先端磁極25と試料13とを同電位に保つことにより、直立カラム100でリターディングをして高分解能トップダウン観察、傾斜カラム200で短焦点動作による高分解能傾斜観察を可能とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料面上に収束した電子線を走査して測長や検査解析を行う傾斜カラム付の走査電子顕微鏡装置に関する。
近年、半導体の微細化技術が進み、FinFETのような3次元構造をもつ新しい半導体が実用化されつつある。これにともない半導体の研究や生産において使用される検査装置、測長装置には真上からの観察ではよく見えない垂直に近い角度のデバイスの側壁、凹部の底面などの微細な3次元形状を観察したいという要求がでてきている。特に高い分解能を求められる半導体の検査、測長の目的には電子線をもちいた走査型電子顕微鏡(canning lectron icroscope; SEM)が用いられている。たとえば測長電子顕微鏡(Critical Dimension SEM; CD−SEM)は加速電圧1kV以下で2nm程度の高い分解能を有する。このような装置で上記3次元形状を観察するには真上からでなく、斜めからの視点で観察する傾斜観察が必要になる。傾斜観察の手法には(1)試料を傾斜させる(例えば、特許文献1)、(2)カラムを傾斜させる(例えば、特許文献2、特許文献3)、(3)電子線を傾斜照射する(例えば、特許文献4)などの手法が提唱されている。更に、特許文献5や特許文献6には直立、傾斜の2つの電子光学系をもつ電子線装置の例が開示されている。
特開2001−185066号公報 特開2001−56306号公報 特開平10−228879号公報 特開2000−348658号公報 米国特許第6812462号明細書 特開2006−313680号公報
特許文献1に開示されている上記(1)の試料を傾ける方法では、例えば直径が300mmあるウェハを搭載する試料ステージ全体を傾斜させる方法では、非常に大きな機構と試料室の空間が必要であり、傾斜するために時間もかかる。特許文献2や3に記載の上記(2)のカラムを傾斜させる方法では、カラムを傾斜するために時間がかかり、スループットが劣る。また、特許文献4に記載の上記(3)の試料表面に対して電子線を傾斜させる場合は電子線を試料に傾斜照射するとレンズ収差のために走査スポットがぼけるので、分解能が損なわれる。電子光学系の工夫で収差を補正したとしても、分解能を損なわずに対応できるのは傾斜角5度程度までであり、それ以上の例えば30度もの大角度傾斜が必要となると補正が困難であり、良好な分解能が得られない。そのため、特許文献5や6に記載の直立カラム・傾斜カラムの2カラム方式が現実的と考えられる。そこで、発明者等は2カラム方式について更に検討した。
半導体ウェハ検査・測長用電子顕微鏡装置において、試料に照射するために加速した電子線を試料に負電圧をかけて減速するリターディングの手法により、ランディング電圧1kV以下で2nm以下程度の低加速超高分解能計測が実現している。しかし、これと同程度の分解能で傾斜30度程度の大角度傾斜観察も可能な装置を実現することは困難である。その理由は、試料傾斜、カラム傾斜どちらの場合でも、リターディング法を行うため試料に負電圧を印加すると、試料−対物レンズ間に傾斜電界が生じ、一次電子、2次電子とも偏向して、正常なSEM像を得ることができなくなるからである。傾斜観察にリターディング法を使わず、試料−対物レンズ間が無電界の場合、加速電圧1kV以下で2nm程度の低加速超高分解能を実現するためには作動距離(ワーキングディスタンス;WD)を1mm程度にまで近づけなければならない。そこで、この状態で直立カラムでのトップダウン観察(試料の上からの観察)にリターディング法を使ったところ、試料に負電圧が印加され、傾斜カラム対物レンズ−試料間で放電を起こしてしまうという新たな課題が生じることが判明した。
この課題に関しては特許文献1〜6のいずれにも開示されていない。また、特許文献5や特許文献6においては複数カラムの傾斜観察用装置が開示されているがリターディング法への言及はなく、特に傾斜観察での高分解能化の手法についてはふれられていない。
本発明の目的は、直立カラムを用いて得られるトップダウン像と同程度の高分解能の傾斜像を得ることのできる傾斜カラム付の走査電子顕微鏡装置を提供することにある。
直立カラムと傾斜カラムの少なくとも2本のカラムを持つ装置において、対物レンズの磁極先端を磁極本体から分離、電気的に絶縁し、直立カラムでトップダウン像を観察する場合は、試料および傾斜カラム磁極先端を負の同電位にしてリターディング観察をおこなう。傾斜カラムで傾斜像を観察する場合は試料および傾斜カラム磁極先端をアース電位にする。
直立カラムでトップダウン像を観察するときには低加速で高分解能を得るために試料にリターディング電圧をかける。このとき傾斜カラム対物レンズ磁極先端−試料間は同電位なのでここでは放電しない。一方傾斜観察の場合には傾斜カラム対物レンズ−試料間には電界がかからないので、傾斜カラム磁極先端は試料の極近傍1mm以下程度まで近づけて設けることが可能で、直立カラムと同程度の超高分解能を得ることができる。
本発明の第一の実施例に係る、半導体計測(測長)・傾斜観察のための走査電子顕微鏡装置の概略図である。 本発明の第二の実施例に係る、半導体計測・分析・傾斜観察のための走査電子顕微鏡装置の概略図である。 本発明の第一の実施例に係る走査電子顕微鏡装置における傾斜カラム対物レンズ先端部の概略断面図である。 傾斜カラムにおけるWDと分解能との相関図である。 観察試料の一例(ラインパターン)の斜視図である。 測長及び外観検査の処理フローを示す図である。 本発明の第三の実施例に係る走査電子顕微鏡装置の概略図である。
第1の実施例について図1、図3〜図6を用いて説明する。図1は本実施例に係る半導体計測(測長)・傾斜観察のための傾斜カラム付の走査電子顕微鏡装置の概略構成図を示す。本実施例での傾斜カラムの傾斜角度は30度であるが、5度〜45度で有効である。本実施例では直立カラムにより測長のためのトップダウン画像を取得し、トップダウン画像でわからない側壁などの観察および、トップダウン画像で発見された残渣や異物などを観察・分析するために傾斜カラムを使用する。同時に同一視野を観察することはしない。
先ず、直立カラム100について説明する。直立カラム100内に配置される電子源1としてはタングステンの単結晶に酸化ジルコニウムを拡散させたショットキー電子源を使用する。電子源1を加熱し、引き出し電極3との間に+2kV程度の電圧を印加することにより、ショットキー電子を放出させることができる。サプレッサー電極2には負電圧が印加されショットキー電子源1の先端以外から放出される電子を抑制する。
引き出し電極3の穴を出た電子は第一陽極4、第二陽極5で形成される静電レンズにより加速、収束され電子線となる。その電子線は、続いて第一コンデンサーレンズ6、コンデンサー絞り7、第二コンデンサーレンズ8を経てセミインレンズ型の対物レンズ9に至り、試料13面上でスポットを形成する。
そのスポットは、スキャンコイル10でその電子線を走査することにより試料13上で走査される。その際試料13から発生する2次電子あるいは反射電子は反射板20に入射する。そのとき反射板20で発生または反射する電子は検出器11で検出され、輝度信号に変換される。輝度信号をスキャン(走査)と同期してディスプレイ上で画像化することにより試料13表面の形状や組成の情報が得られる。
対物レンズ9の上磁極12にはブースター電源21により正電圧が印加され、試料13(半導体ウェハ)にはリターディング電源14により試料ステージ17を介して負電圧が印加される。これらにより対物レンズ9に加速されて入射する電子線は、試料13直前で減速される。このとき対物レンズ9の色収差の影響はリターディングのないときより相対的に軽減され、小さいスポット径が得られるので、高分解能観察が可能になる。
試料13上を走査される電子線により発生する2次電子は試料13表面の帯電に影響されて検出器11への到達率が変化する。安定した画像を得るためには試料13表面の帯電を安定させることが必要であり、帯電制御板15を試料13の近傍上方に設けて、帯電制御電源16によりリターディング電圧と同電圧または少し異なる電位を与えて2次電子の試料への戻り量を調整することにより試料13の帯電を制御する。帯電制御板15と試料13との間の静電容量を変化させないため、試料13のどこを観察していても常に試料全体を覆えるほど帯電制御板15の径は試料13より大きいことが望ましい。
試料13を載せる試料ステージ17は少なくとも水平方向への移動と、水平面内での回転が可能であり、高さ方向の微調整機構をそなえておいてもよい。半導体ウェハの装置への導入はゲートバルブ18を開いて試料ローディング装置19によりおこなう。
次に、傾斜カラムについて説明する。傾斜カラム200の電子銃22は前記直立カラムに使用したものと同じものあるいは、直立カラムより最高加速電圧の高い電子銃を用いる。対物レンズ24は単磁極型として、試料に1mm以下程度まで近づけることが可能な、先端形状が鋭角のコーン状のものである。図3に傾斜カラム対物レンズ24の詳細を示す。傾斜カラム対物レンズ24は単磁極型レンズであり、先端磁極25を分離絶縁してある。パーマロイあるいは純鉄製の磁路241は、先端部に段をつけてある。これは先端磁極との間を電気的に絶縁し、磁気的には対向面積を多くしてつながりをよくするためである。この段の部分に絶縁材の薄いカラー242を介して先端磁極を絶縁ネジ243により取り付ける。リターディング電圧を絶縁できるだけの絶縁材の厚みが必要だがテフロン(登録商標)などを使えばカラーの厚みは0.2mm程度でよい。
試料から発生した2次電子は対物レンズ24の内を通りExB型偏向器23で軌道を曲げられて検出器11で検出される。帯電制御板15には対物レンズ24の絶縁された先端磁極25が通る穴が開いており、先端磁極25は帯電制御板15よりも試料に近づけることにより短焦点動作で高分解能を得る。この点について図4を用いて説明する。図4は傾斜カラムにおけるワーキングディスタンス(WD)と分解能との相関図(計算)である。WDが小さければほぼ比例して分解能もよくなることが期待され、できるだけ対物レンズ先端と試料を近づける工夫が必要なことがわかる。WDを1mm程度とすることにより直立カラムと同程度の分解能を得ることができる。
傾斜像観察は帯電制御板15と先端磁極25、試料13を同電位にした状態で行われる。傾斜カラム200で傾斜像を観察する場合にはリターディングを使用しない(試料13や帯電制御板15に電圧を印加しない)ので、試料13から放出される2次電子、反射電子を効率よく捕捉するため対物レンズ24内部の内筒244には電源245により+数Vから+100V程度の正電圧が印加される。図3に示すように内筒の外側には絶縁筒246およびその外側にスキャンコイル247などコイル類が置かれている。内筒の内側を進んだ2次電子は筒の上方に置かれているExB偏向器23に入射し、方向を曲げられて2次電子検出器11で検出される。反射電子は反射板20に当たった後、3次電子を発生し、それが2次電子検出器11で検出される。先端磁極はパーメンダーあるいはパーマロイあるいは純鉄製で絶縁カラーを介して絶縁ネジで対物レンズ磁路に固定される。
傾斜観察の回転方位は試料ステージ17が回転機能を持つので、任意に選ぶことができる。直立カラム100と傾斜カラム200は試料チャンバー26を共有している。傾斜カラム200の対物レンズ磁場は試料13面上に漏れており、戻り磁場も含めて、直立カラム100の対物レンズ9の磁場に影響を与えないよう、両カラムは十分な距離を隔てて設置される。そのために同一視野のトップダウン像と傾斜像を同時に撮ることはこの実施例ではしない。本実施例の傾斜カラムにおいて、対物レンズの中でその磁極先端が試料に最も近い。磁極先端と試料との距離は帯電制御板と試料との距離よりも短い。
直立カラムでトップダウン像を観察する場合は、試料13および傾斜カラム先端磁極25を帯電制御電源16およびリターディング電源14を使って負の同電位にしてリターディング観察をおこなう。なお、±100Vの範囲以内であれば同電位とする。傾斜カラムで傾斜像を観察する場合は試料13および傾斜カラム先端磁極25を、帯電制御電源16およびリターディング電源14を出力オフにしてアース電位にする。なお、アース電位に対して±50Vの範囲以内であればアース電位とする。
トップダウン像観察時に、異物や欠陥のある位置座標を記憶しておき、後でステージを移動および回転してその座標位置を傾斜カラム200直下にセットし、傾斜カラム200を使って異物や欠陥の任意の方向からの傾斜像を観察することができる。図5に観察試料の一例(ラインパターン)の斜視図を示す。パターンの根元のダレaや、異物b、パターンの垂直立ち上がり角度cなどは真上からの観察Vと、傾斜観察Sを組み合わせることにより、より正確に評価することが可能になる。
直立カラム100は計算機305により直立カラム制御装置101を介して加速電圧、レンズ電流、偏向、画像検出など画像取得のための電子光学系が制御される。傾斜カラム200も同様に計算機305により傾斜カラム制御装置201を介して電子光学系が制御される。リターディング電源14、帯電制御電源16は同様に計算機305により試料電圧制御装置401を介して制御される。即ち、トップダウン像を観察する場合、計算機305は、試料13、傾斜カラム先端磁極25及び帯電制御板15を負の同電位とするように試料電圧制御装置401を介してリターディング電源14及び帯電制御電源16を制御する。また、傾斜像を観察する場合、計算機305は、試料13、傾斜カラム先端磁極25及び帯電制御板15をアース電位とするように試料電圧制御装置401を介してリターディング電源14及び帯電制御電源16を制御する。
他に図示していないが真空排気シーケンス、試料ステージ17、試料ローディング装置19などそれぞれに制御装置を持ち、それらの制御装置も計算機305により制御される。
次に、本実施例に係る走査電子顕微鏡装置を用いて試料に形成したパターンの測長及び外観検査を行う例について図6を用いて説明する。図6は測長外観検査の処理フローを示す図である。
先ず、試料(ウェハ)13を試料ローディング装置19にセットし入力端末300から操作者が測長条件(電子線照射エネルギー、リターディング電源電圧設定、帯電制御電源電圧設定、測長検査する領域指定、データ取得地点の点数、寸法計測の条件などを入力する。次にスタートを入力すると、ウェハが電子顕微鏡内にロードされる。ビーム校正では先に入力した条件で電子線を出し、次に自動アライメントプログラム(公知)が動作してアライメントを行う。ここで画像取得できる状態になるので、次に設定時に入力された計測位置にステージが移動され、トップダウン画像が取得され、その画像をもとに計算機により寸法計測が行われる。次にその画像が外観検査プログラム(公知)にかかり、異物や想定寸法と違う値が検出された異常結果を抽出し記憶装置301に保存する。これをすべての計測位置について計測が終わるまで繰り返した後、抽出された異常結果を出した位置座標にステージが移動し、リターディング電位、帯電制御電位をアース電位にもどし、傾斜カラムで傾斜画像を取得する。
その後トップダウン画像と傾斜画像をもとに異物分類プログラムにより異物分類がなされ、検査結果のデータとして記憶装置301に保存される。その後ウェハがアンロードされ測長外観検査が終了する。これにより、良好な測長結果及び直立カラムと同等の分解能を有する傾斜画像を取得することができた。
以上述べたように、本実施例によれば、試料、傾斜カラム磁極先端及び帯電制御板を所望の同電位に制御可能な制御手段を有することにより、直立カラムを用いて得られるトップダウン像と同程度の高分解能の傾斜像を得ることのできる傾斜カラム付の走査電子顕微鏡装置を提供することができる。
第2の実施例について、図2を用いて説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。
図2は本実施例に係る半導体計測・分析・傾斜観察のための走査電子顕微鏡装置の概略図である。実施例1と同様な2本カラムの直立カラム100には左右に検出器11が取り付けられている。傾斜をもった反射板30により反射電子の試料13からの出射方向によって、検出器毎に、検出されない出射方向ができるので、画像は陰影をおびる。試料13上に異物や欠陥があると、左右検出器11の陰影像が顕著に異なるので、それを利用して異物、欠陥の自動分類をおこなう。また本直立カラム100では左右検出器11の出力を合成してトップダウン画像を形成しパターン測長をすることもできる。
傾斜カラム200では、実施例1と同様に傾斜観察をおこなうだけでなく、EDS(Energy Dispersive X−ray Spectrometer)分析器33がついており、トップダウン観察で検出した異物の元素分析をおこなう。EDS分析に高加速電圧が必要な場合があり、本実施例では傾斜カラムの電子銃、鏡体レンズ系は標準的な汎用SEMと同様、加速電圧30kVまで対応している。
本実施例に係る走査電子顕微鏡を用い、トップダウン像を観察する場合、計算機305は、試料13、傾斜カラム先端磁極25及び帯電制御板15を負の同電位とするように試料電圧制御装置401を介してリターディング電源14及び帯電制御電源16を制御し、傾斜像を観察する場合、計算機305は、試料13、傾斜カラム先端磁極25及び帯電制御板15をアース電位とするように試料電圧制御装置401を介してリターディング電源14及び帯電制御電源16を制御して半導体計測・分析・傾斜観察を行ったところ、異物の元素分析ができ、また良好な測長結果及び直立カラムと同等の分解能を有する傾斜画像を取得することができた。
以上述べたように、本実施例によれば、試料、傾斜カラム磁極先端及び帯電制御板を所望の同電位に制御可能な制御手段を有することにより、直立カラムを用いて得られるトップダウン像と同程度の高分解能の傾斜像を得ることのできる傾斜カラム付の走査電子顕微鏡装置を提供することができる。また、分析器を備えることにより、異物の元素分析を行うことができる。
第3の実施例について、図7を用いて説明する。なお、実施例1又は2に記載され、本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。
図7は本実施例に係る、帯電制御板を含まない走査電子顕微鏡装置の概略図である。帯電しにくい試料、大電流電子線を必要としない検査をもっぱら行う場合には帯電制御板は必要ない。この場合は直立カラム100で試料13にリターディング電圧をかけながらトップダウン像を観察し、傾斜カラム200で傾斜観察を行う場合はリターディング電圧をオフにして試料を接地電位にして傾斜観察を行う。
トップダウン像を観察する場合、計算機305は、試料13及び傾斜カラム先端磁極25を負の同電位とするように試料電圧制御装置401を介してリターディング電源14を制御し、傾斜像を観察する場合、計算機305は、試料13及び傾斜カラム先端磁極25をアース電位とするように試料電圧制御装置401を介してリターディング電源14を制御して測長外観検査を行ったところ、良好な測長結果及び直立カラムと同等の分解能を有する傾斜画像を取得することができた。
以上述べたように、本実施例によれば、試料及び傾斜カラム磁極先端を所望の同電位に制御可能な制御手段を有することにより、直立カラムを用いて得られるトップダウン像と同程度の高分解能の傾斜像を得ることのできる傾斜カラム付の走査電子顕微鏡装置を提供することができる。また、帯電しにくい試料の場合等では帯電制御板を省くことができ構成がシンプルな走査電子顕微鏡を提供することができる。
以上、本願発明を詳細に説明したが、以下に主な発明の形態を列挙する。
(1)第1の電子源を備えた傾斜カラムと、第2の電子源を備えた直立カラムと、前記第1及び前記第2の電子源からの電子が照射可能な試料ステージとを備えた走査電子顕微鏡装置であって、
前記傾斜カラムの対物レンズの磁極の前記試料ステージに近い先端部が本体部から分離され電気的に絶縁されており、前記試料ステージ上に載置される試料と前記傾斜カラムの前記先端部とを同電位とする機構を有することを特徴とする走査電子顕微鏡装置。
(2)傾斜カラムと、直立カラムと、試料ステージと、前記試料ステージに載置される試料の直上となる位置に前記試料の帯電を制御するために可変電圧を印加できる帯電制御板とを備えた電子線装置であって、
前記傾斜カラムの対物レンズの磁極の前記試料ステージに近い先端部は、本体部から分離され電気的に絶縁されており、
前記傾斜カラムの前記先端部は、前記試料との距離が前記帯電制御板と前記試料との距離よりも短くなるように配置されるものであることを特徴とする走査電子顕微鏡装置。
(3)傾斜カラムと、直立カラムと、試料ステージと、これらを制御する計算機とを備えた走査電子顕微鏡装置であって、
前記傾斜カラムの対物レンズの磁極の前記試料ステージに近い先端部は、本体部から分離され電気的に絶縁されており、
前記計算機は、前記直立カラムを用いてトップダウン像を観察する場合、前記試料ステージに載置される試料と前記先端部とが負の同電位となるように、前記傾斜カラムを用いて傾斜像を観察する場合、前記試料と前記先端部とがアース電位となるように制御するものであることを特徴とする走査電子顕微鏡装置。
1…電子源、2…サプレッサー電極、3…引き出し電極、4…第一陽極、5…第二陽極、6…第一コンデンサーレンズ、7…コンデンサー絞り、8…第二コンデンサーレンズ、9…対物レンズ、10…スキャンコイル、11…検出器、12…上磁極、13…試料、14…リターディング電源、15…帯電制御板、16…帯電制御電源、17…試料ステージ、18…ゲートバルブ、19…試料ローディング装置、20…反射板、21…ブースター電源、22…電子銃、23…ExB型偏向器、24…対物レンズ、25…先端磁極、26…試料チャンバー、30…反射板、33…EDS分析器、100…直立カラム、101…直立カラム制御装置、200…傾斜カラム、201…傾斜カラム制御装置、241…磁路、242…絶縁カラー、243…絶縁ネジ、244…内筒、245…電源、246…絶縁筒、247…スキャンコイル、300…入力端末、301…記憶装置、305…計算機、401…試料電圧制御装置。

Claims (15)

  1. 第1の電子源を備えた傾斜カラムと、第2の電子源を備えた直立カラムと、前記第1及び前記第2の電子源からの電子が照射可能な試料ステージとを備えた走査電子顕微鏡装置であって、
    前記傾斜カラムの対物レンズの磁極の前記試料ステージに近い先端部が本体部から分離され電気的に絶縁されており、前記試料ステージ上に載置される試料と前記傾斜カラムの前記先端部とを同電位とする機構を有することを特徴とする走査電子顕微鏡装置。
  2. 前記傾斜カラムの対物レンズは単磁極型対物レンズであり、前記直立カラムの対物レンズはシュノーケル型対物レンズであり、前記試料ステージは水平面内の移動と水平面内での回転機能を有することを特徴とする請求項1に記載の走査電子顕微鏡装置。
  3. 傾斜カラムと、直立カラムと、試料ステージと、前記試料ステージに載置される試料の直上となる位置に前記試料の帯電を制御するために可変電圧を印加できる帯電制御板とを備えた電子線装置であって、
    前記傾斜カラムの対物レンズの磁極の前記試料ステージに近い先端部は、本体部から分離され電気的に絶縁されており、
    前記傾斜カラムの前記先端部は、前記試料との距離が前記帯電制御板と前記試料との距離よりも短くなるように配置されるものであることを特徴とする走査電子顕微鏡装置。
  4. 前記試料ステージが水平面内の移動と水平面内での回転機能を有し、
    前記試料ステージに載置される前記試料に形成されたパターン寸法の計測とパターン外観検査または前記試料上の異物検査を行うために用いられるものであることを特徴とする請求項3に記載の走査電子顕微鏡装置
  5. 傾斜カラムと、直立カラムと、試料ステージと、これらを制御する計算機とを備えた走査電子顕微鏡装置であって、
    前記傾斜カラムの対物レンズの磁極の前記試料ステージに近い先端部は、本体部から分離され電気的に絶縁されており、
    前記計算機は、前記直立カラムを用いてトップダウン像を観察する場合、前記試料ステージに載置される試料と前記先端部とが負の同電位となるように、前記傾斜カラムを用いて傾斜像を観察する場合、前記試料と前記先端部とがアース電位となるように制御するものであることを特徴とする走査電子顕微鏡装置。
  6. 前記同電位は、負の電位であることを特徴とする請求項1記載の走査電子顕微鏡装置。
  7. 前記同電位は、アース電位であることを特徴とする請求項1記載の走査電子顕微鏡装置。
  8. 前記試料と前記先端部とは、リターディング電源に接続されており、
    前記リターディング電源は、前記計算機に接続された試料電圧制御装置に接続されており、
    前記計算機は、前記試料と前記先端部とが所望の同電位となるように、前記試料電圧制御装置を介して前記リターディング電源を制御するものであることを特徴とする請求項5記載の走査電子顕微鏡装置。
  9. 前記試料の帯電を制御する帯電制御板と、前記帯電制御板に接続された帯電制御電源とを更に有することを特徴とする請求項6記載の走査電子顕微鏡装置。
  10. 前記計算機は、前記試料と前記先端部と前記帯電制御板が所望の同電位となるように、前記試料電圧制御装置を介して前記リターディング電源と前記帯電制御電源とを制御するものであることを特徴とする請求項9記載の走査電子顕微鏡装置。
  11. 前記傾斜カラムは、前記試料から放出される2次電子、反射電子を効率よく捕捉するための捕獲手段を更に有することを特徴とする請求項5記載の走査電子顕微鏡装置。
  12. 前記捕獲手段は、前記傾斜カラムの対物レンズの内部に配置されることを特徴とする請求項11記載の走査電子顕微鏡装置。
  13. 前記先端部と前記本体部とは絶縁材の薄いカラーで絶縁されていることを特徴とする請求項5記載の走査電子顕微鏡装置。
  14. 前記直立カラムは、前記試料からの電子を反射する傾斜をもった反射板と、前記反射板からの電子を検出する検出器とを有することを特徴とする請求項5記載の走査電子顕微鏡装置。
  15. 前記傾斜カラムは、元素分析器を有することを特徴とする請求項5記載の走査電子顕微鏡装置。
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