JP2005292157A - ウェハ欠陥検査方法及びウェハ欠陥検査装置 - Google Patents
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Abstract
よび段差等を電子ビームにより検査する技術において、高分解能で、かつ検査速
度の高速化を実現する欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】 被検査半導体7の表面に電子ビームを減速させる電界を形成し減
速電界により被検査半導体の表面に到達し得ないエネルギーの成分を含む、一定
の面積を持った電子ビーム(面状の電子ビーム)を被検査半導体表面の極近傍で反
射させて結像レンズ11により結像し、被検査半導体表面の複数の領域の画像を
取得して画像記憶部に記憶させる。この記憶された複数の領域の画像同士を比較
することによって、上記領域内における欠陥の有無および欠陥の位置を計測する
。
【選択図】 図1
Description
この負の電位は、ウエハの最表面付近で大部分の電子ビームが戻される程度の値とする。具体的には電子源(cathode またはelectron source)の電位よりも0.5V〜5V高い負の電位とする。これにより引き戻された電子を結像させる(以降、試料に衝突せずに電界により引き戻された電子を「引き戻された電子」または「ミラー電子」と呼ぶことにする。)。そして、上記複数の照射領域の拡大像を順次形成し、これら複数の照射領域の拡大像を電気的な画像信号に変換して、上記複数の照射領域についての画像信号同士を比較する。これにより上記各照射領域についてのパターン欠陥を高分解能でかつ高速に検出することが可能となる。
また、試料に対向する円孔電極(aperture electrode)が電子レンズとして大きく作用する場合には、前記対物レンズによって、円孔レンズ(aperture lens)の焦点面(focal plane)に前記電子ビームの焦点を配置すれば、前記試料表面に対して進行方向を略平行にそろえ略垂直に入射する面状の電子ビームを形成することができる。
半導体試料のパターンのショート、断線などの導通不良を検査するためには、この予備照射により生じる正常パターンと欠陥パターン間の電圧差を検出して不良パターンを検出することが可能となる。しかし、欠陥パターンの抵抗が比較的小さい場合には蓄積した電荷が周りへ逃げてしまうので、予備照射で生じた正常パターンと欠陥パターンとの電位差は長時間保持されない。この場合には、試料に電子を注入して正常パターンと欠陥パターンとの電位差を発生させる手段と試料に当たらずに反射して結像する電子をほぼ同じ場所でほぼ同時に照射する手段を設けることが必要となる。不良パターンおよび絶縁膜パターンを負に帯電させる要求に対しては、試料電位に対してeVnだけ余分なエネルギーの電子ビームを試料に照射して、絶縁物が負電圧Vnに帯電して安定する条件で画像を取得すれば、不良パターンおよび絶縁物パターンを負に帯電させた状態で画像を取得することができる。また、不良パターンおよび絶縁膜パターンを正に帯電させる要求には、画像を取得するビームと試料を正に帯電させるための電子ビームや光を同時、あるいは交互に照射することにより解決される。
すなわち、連続移動する前記試料移動ステージの位置をリアルタイムに計測するステージ位置計測機構を備え、かつ、連続移動に伴い前記ステージ移動中に発生する位置変動を前記ステージ位置計測機構により測定し、前記電子ビーム照射光学系の前記電子ビーム偏向機構にフィードバックするようにして、前記電子ビームと前記試料との位置関係が、所定の方向にほぼ等速に移動するように構成する。
図1に、本発明の動作原理を説明するために必要な最低限の構成要素を示したものである。電子源1より放出された電子ビームは、コンデンサレンズ2により収束されビームセパレータ3の周辺で、かつ対物レンズの前焦点面にクロスオーバ(crossover)を形成する。電子ビームは、ビームセパレータ3によりウェハ7に垂直な光軸に偏向される。ビームセパレータ3は上方からの電子ビームに対してのみ偏向作用を持つ。たとえば、電場と磁場を直行させたE×B偏向器を用いる。ビームセパレータ3により偏向された電子ビームは、対物レンズ6により試料(ウェハ)表面に垂直な方向にそろった面状の電子ビームが形成される。
T=(0.01/x)2・t
=(1.6e-19・0.012・(3√2)2)/(I・η・C2・Pix2) ・・・(1)なお、t=((1.6e-19・(3√2)2)/(I・η・C2))・(x2/Pix2)
ここで、tはノイズをコントラストCよりも小さくするために電子ビームが同一場所にとどまっていなければならない時間である。つまりSEM式の場合は電子ビームプローブが一画素を照射する時間である。また、面ビーム照射の場合はある一点にビームが向けられている必要がある時間でありこの時間をショット時間と呼ぶことにする。
したがって(1)式の√2が不要となり(2)式のようになる。
T=(0.01/x)2・t
=(1.6e-19・0.012・(3)2)/(I・η・C2・Pix2) ・・・(2)なお、t=((1.6e-19・(3)2)/(I・η・C2))・(x2/Pix2)
ここで、各方式におけるη、Cを見積もることにする。SEM式の場合は照射した電子ビームとほぼ同数の二次電子が放出し、そのほぼ100%を検出器に取り込むことができるためηはほぼ1である。
たとえば、放出角100mrad以下の二次電子により画像を形成した場合の分解能は約100nmであることを示している。計算条件として、ウェハに照射する電子のエネルギーは500eV、ウェハ表面は5kV/mmの強電界下にあり、二次電子のエネルギー幅は5eVである。二次電子のエネルギー分布は10eV以上に広がって分布しているが、放出エネルギー2eVを中心とした±2.5eVの成分のみを結像に利用することとした。これは全二次電子のおよそ1/2に相当する。
この場合に、ビーム電流と検査時間の関係を表したものが、図8である。なお、この関係は、Pix=40nmで計算した。本発明が、他の方式と比較して圧倒的な短時間で検査可能であることがわかる。
この大きさもある許容範囲であれば問題ない。このクロスオーバの位置を正確に制御し、しかも電子銃やコンデンサレンズの収差を十分に低減させた電子光学系では、試料への入射角の広がりは0.5mrad以下に抑えることができた。この入射角の広がりはミラー電子による試料表面の拡大像の分解能を決める要因のひとつであり以下の式で表される。
ここで、r0は入射角の広がりで決まる分解能、βは最大入射半角、Zmは電子を引き戻す電界が生じている距離である。
α=X/(2f) ・・・(5)
式(4)(5)から、例えば対物レンズの焦点距離fが10mmで面状ビームの大きさXを40μmとしたときは、クロスオーバ位置のずれΔfが10mm程度ずれても問題ない。これを前焦点面でのビーム直径に換算すると約40μmとなる。いずれにしろ、電子ビームのクロスオーバを対物レンズの前焦点面の近傍に配置させることで十分な分解能を得られることがわかる。
また、あまり小さい電位では表面の凹凸や電位等のわずかな変化を極端に強いコントラストとして画像化してしまい、真に必要な欠陥のみを検出することが困難となってしまう。
以下、この動作と構成について説明する。
ただし、ステージ8が連続移動していると、同一場所の画像を形成するのに必要な時間である1ショットの間にもステージ8が移動して、試料表面上での照射位置が変化してしまう。そこで、1ショットの間に照射位置が変化しないように、照射系偏向器5により照射電子ビームをステージ8の移動に追従させるようにした。また、静止座標系である電子光学系から見ると、電子ビーム照射位置は移動するから結像レンズ11により作られる像12も移動してしまう。この移動が生じないようにするために、結像系偏向器10を照射系偏向器5と連動動作させるようにした。
光学画像検出素子(CCD)17は、その受光面上に結像された光学像を電気的な画像信号に変換して出力する。出力された画像信号は、画像処理部104に送られ、そこで画像信号処理が行われる。
実施例1では、1ショットの電子ビーム照射領域の面積が50μm×50μmとかなり大きいため、半導体試料の拡大像の周辺部に歪みが生じると云う問題や照射領域内でのビーム電流密度の均一性に問題が生じる場合がある。画像歪みや電流密度の不均一性が固定的に生じている場合には、光ファイバー束16のファイバー素線配列に変化を付けることで補正可能である。また、画像信号の取得感度や画像処理に重みを付けることでも補正できるが、それらが時間的に変動する場合には、それらの方法では対応が困難となる。
本実施例では、試料表面画像を電気信号に変換する素子として、時間蓄積型のCCDセンサを用いた。この素子はTDIセンサと呼ばれるもので、光学式検査装置において一般的に使用されている。それ以外は、先の実施例2の場合と同様である。このTDIセンサの動作概念を、図16を参照して説明する。
一方、ステージ8のx方向移動速度は200mm/secであるから、ステージ8がx方向に丁度1ショット分(5μm)移動するに要する時間は25μsecとなる。このように、x方向に1ショット分(5μm)のステージ移動に要する時間とy方向に20ショット分(100μm)の電子ビーム走査に要する時間とを一致させ、無駄時間が生じるのを防いでいる。この方法によって試料表面積1cm2の画像を取得するには、上述の5μm×100μmの単位走査領域についての走査所要時間(25μsec)の2×105倍を要することになるので、試料表面積1cm2当たりの検査所要時間は5secとなる。
本実施例は、SEM画像が取得可能な電子光学系を採用したものである。図17に、その構成を示す。
本実施例は、試料に注入して正常パターンと欠陥パターンとの電位差を生じさせる電子線と、試料に当たらずに反射して結像する電子線とをほぼ同じ場所でほぼ同時に照射する手段を設けたものである。図18にその構成を示す。電子源1より放出された電子線は、ビームセパレータ3によりウェハ7に垂直な光軸方向に偏向され、対物レンズ6により試料(ウェハ)表面に垂直な方向にそろった面状の入射電子線301が形成される。 試料(ウェハ)7には、電子線の加速電圧とほぼ同じ負の電位が試料印加電源9によって印加されている。試料印加電源9は円孔レンズ電極41と試料7の間の電位差をも設定できるようになっており、円孔レンズ電極(aperture lens electrode)41と試料7の間の減速電界を可変できるような構成である。たとえば、形状欠陥を検出する場合には、減速電界を通常より強く設定して形状欠陥の検出感度を向上させることができる。円孔レンズ電極41と試料7の間で入射電子線301は急速に減速されて、試料7の表面に形成された半導体パターン形状や帯電の状態を反映した電界により入射電子線301は試料に吸収されるか、試料の直上で向きを変えて反射電子線302となる。
試料7の表面に絶縁物が存在する場合には、入射電子線301を試料7に注入して、絶縁物が帯電した状態で画像を取得する。たとえば、図19の断面図は、シリコン基板(Si)310上に絶縁膜(SiO2膜)311が形成されたウェハにコンタクトホール加工後タングステン(W)の電極部が埋め込まれた試料を示したものである。電極部は基板と低抵抗で導通している正常電極部312と、中央部には電極の底にあるSiO2の残渣(residue)により基板と高抵抗状態である不良電極部313がある。
一次電子線に対する二次電子の放出比(the mean number of secondary electrons excited per incident electron )が1より小さい極低エネルギーの電子線を絶縁物試料に照射すると、絶縁物試料は負電荷(電子)が蓄積することにより負帯電する。例えば、SiO2は約30eV以下の照射エネルギーで、二次電子の放出比が1未満となり負帯電する。図19(a)は絶縁膜311を負帯電させる場合の初期照射の状態を示したものである。試料7に照射する入射電子線301のエネルギーは、試料7が帯電しない初期状態において、照射エネルギーeV0を含むエネルギー拡がり(energy spread)を持ったものとする。ここで、照射エネルギーは試料7に対する電子源1の電位差と照射電子線のエネルギー拡がりで定められるものである。入射電子線301を試料7に照射し続けると、絶縁膜311の負帯電は低エネルギーの入射電子線を反発するようになるまで進行し、絶縁膜311に進入する電子数と絶縁膜311から周辺へ逃げていく電子数が釣り合った電位まで負帯電して安定する。特に、絶縁膜311中に蓄積した電子が周辺部に逃げていかない場合には、絶縁膜311は入射電子線301が進入しなくなる電位まで負帯電して安定する。電極部もまた、進入する電子と電極部から周辺へ逃げていく電子数が釣り合うような電位になる。すなわち、正常電極部312に注入された電子は低抵抗で接触している基板310に流れ込むのでほとんど負帯電しないが、不良電極部313は抵抗値が大きく、周辺部へ逃げていく電子数が小さいので負帯電した状態となる。図19(b)に示すように、等電位面314はこれらの電極および絶縁物電位を反映し、V0の等電位面315が絶縁膜311および不良電極部313の直上近傍に形成されて、エネルギーV0より小さい入射電子線301を反射させるが、正常電極部312の直上近傍にはV0の等電位面315が形成されずに入射電子線301は正常電極部312に衝突するので、反射電子線302の結像像(image)は正常電極部312と不良電極部313の直上近傍の等電位面形状の差を反映した像となる。
図21(a)は3x3列の70nm角プラグパターンの正常部が0V、中央パターンの不良部が−1V、SiO2膜が−2Vに帯電した場合に、正常部電位0Vより1.2Vほど大きなエネルギーで照射した電子線が反射して結像したミラー結像像の模式図である。正常部は電子がパターンに衝突して吸収されるので暗パターン、高抵抗のオープン欠陥は負帯電しており電子は当たらずに反射して結像されるので明パターンのコントラストとして識別される。
ここで、絶縁物311の帯電電位は入射電子線301のエネルギーeV0に依存するので、入射電子線301のエネルギーを変化させることによって、絶縁物311の帯電電位を自由に制御することができる。
また、試料の基板の電位(0V)に対してeV1のエネルギーを持った入射電子線301はすべてV1の等電位面316で反射されるが、V1の等電位面316の形状は正常電極部312と不良電極部313の直上近傍では大きく異なるので、eV1のエネルギーを持った入射電子線301を反射させた反射電子線302の結像像でも正常電極部312と不良電極部313とを識別できる像を得ることができる。
絶縁膜の帯電電圧が安定するまでの時間の目安は以下のようになる。絶縁膜の上下に電極がある平行平板コンデンサと考えれば、絶縁膜の膜厚をD、電極面積をD、真空の誘電率をε0、絶縁膜の誘電率をεrとおいて、コンデンサの静電容量(capacitance of capacitor)C=ε0εrS/Dで表わされる。たとえば、膜厚0.4μm、εr=4の絶縁膜に照射面積20μm角で1μAの電流を照射すれば、1Vの電圧に帯電する時間はおおよそ35nsとなるので、一瞬の内に帯電して安定化する。絶縁膜が一瞬に帯電して安定しない場合には、図20に示すように、検査方向(走査)方向の前方に電子線照射領域を画像取得領域より大きく取り、画像取得前に電子線をあらかじめ照射できる構成とした。また、電子線取得領域を画像取得領域とほぼ等しく取る場合には、画像取得領域に電子線を照射して、帯電が安定化した後に画像取得するように画像取得回路を制御する構成としても良い。
ここで、ウェハ7に当たらずに反射する反射電子線302とは別に、ウェハ(試料)7に入射電子線301が衝突することによって試料7から二次電子が発生するが、二次電子の放出角度分布(angular distribution of secondary electrons)は図7に示すように分散した形となる。そこで、対物レンズ6の後焦点面(back focal plane)近傍に設けたコントラストアパーチャ12を小さくしてやれば、角度分散した二次電子はほとんどコントラストアパーチャ12により吸収されるので、試料に当たらずに反射するビームのみで画像を形成することができる。
電気的欠陥を検出するためには、基板との接合状態によりパターン内の電子の移動方向を制御する必要もある。そこで、絶縁膜を負帯電だけでなく正帯電させることが必要である。絶縁膜311を正帯電させるためには、一次電子線に対する二次電子の放出比が1より大きいエネルギーの電子線を照射しなければならない。図19(c)は絶縁膜311を正帯電させる場合の初期照射の状態を示したものである。まず、例えば、まず試料電位を基準として、試料7にエネルギーeVbのエネルギーの入射電子線301を照射する。例えば、Vbとして500Vを選べば、試料7からの2次電子放出比が1より大きくなるので、絶縁物311は正電位に帯電し、正電位に帯電したことによって生じる障壁(potential barrier)によって試料に引き戻される電子により電位が安定するまで帯電が進行する。
このように絶縁物311および不良電極部313が正帯電した後に、図19(d)に示すように絶縁物パターンにも当たらないeVpのエネルギーの電子を照射すれば、Vpの等電位面317は正常電極部312と不良電極部313の直上近傍では大きく異なるので、正帯電部の電位の歪みを検出することができる。照射する入射電子線301のエネルギーを増やしていくと、絶縁膜311が正帯電しているので、パターン部より早く絶縁膜311に入射電子線301が衝突する。
絶縁膜311に入射電子線301が衝突すると正帯電していた電位が緩和されてしまうので、試料に照射するエネルギーとしては、絶縁膜に電子線が衝突しないような条件に選ぶ必要がある。ただし、正帯電させる電子線と画像を取得する電子線を同時に試料7へ照射する場合には、画像を取得する電子線が絶縁物に衝突して得られる絶縁物への電子の注入と、正帯電させる電子線により得られる絶縁物の電子放出が平衡状態になるように絶縁物の正帯電の電位が安定するので、同時照射の場合には正帯電電位を制御することが可能である。
図21(b) は3x3列の電極の内、正常電極部312が0V、中央パターンの不良電極部313が+1V、絶縁膜311が+2Vに帯電した場合に、入射電子線301を上記の条件、すなわち正常電極部電位0Vより1.9Vほど小さなエネルギーで照射した条件で結像した場合のミラー結像像の模式図である。正常電極部と不良電極部のパターンの電位差を反映して、試料7と円孔レンズ41の間に形成される等電位面は、正常パターン近傍と不良部のパターン近傍では異なる形状になる。試料に衝突しないで反射した電子線の軌道は、反射される位置における等電位面の形状に大きく依存し、正常パターン近傍で反射した電子線と不良部のパターン近傍で反射した電子線とでは、電子線の結像位置が大きく変化する。図21(b)は正常パターンの近傍で反射した電子の結像面付近に投影レンズの物面位置を合わせたものであり、正常パターンが明るいコントラストとなる像が形成される。また、欠陥パターンの前方で反射した電子の結像面付近に投影レンズの物面位置を合わせることも可能となり、その場合には図21(b)が反転した図21(a)のような像を得ることができる。
上記の操作を1つの電子源で実現させるには、試料印加電源9と電子源電源23との相対電圧、すなわち電子源電源23あるいは試料印加電源9の印加電圧を周期的に切り替えることにより実現できる。例えば、図22に示すように、試料印加電源電圧を基準として電子源電源23に印加する電圧を周期的に切り替えるとする。まず、ステージ8あるいは照射系偏向器5を用いて、所定の検査領域に電子線を移動し、試料を正帯電させる電圧+Vb、例えば500Vを電子源電源23から電子源1に印加して一定時間照射することにより、所定の検査領域を正帯電させる。次に、電子源電源23に供給する電圧を画像取得する電圧−Vpに切り替えて電子源1に印加することにより、試料ポテンシャルに対し−eVpほどエネルギーの小さいビームを所定の検査領域に照射して、試料が正帯電した状態で一定時間画像を取得することができる。検査領域を移動するたびにこの操作を周期的に繰り返すことにより、試料を正帯電させた状態で連続して画像を取得することができる。
試料直前で引き戻されて結像する電子線を発生する電子源とは別に、一次電子線に対する二次電子の放出比が1より大きいエネルギーの電子線を同時に照射するための電子源を新たに配置することで、試料を正帯電させると同時に画像を取得することが可能となる。図23に本実施例の構成を示す。
電子源1はウェハ7よりわずかに正電位に置かれており、電子源1から放出された入射電子線301はウェハ7の直上で引き戻されて反射電子線302となる。
一方、第二の電子源71とウェハ7とは約500Vの電位差を持ち、第二の電子源71から放出された電子線303は試料に500eVのエネルギーで照射される。磁界プリズム(magnetic prism)73はVsの電圧にフローティングされたシールド電極74に覆われており、磁界プリズム73に入射する電子線はeVsのエネルギーだけ減速されて偏向を受け、磁界プリズム73を出射する電子線はエネルギーeVsだけ加速される。例えば、電子源1から出射した電子線301は、磁界プリズム73の直前で約500Vまで減速され、磁界プリズム72に入射する。一方、第二の電子源71から出射した電子線303は、磁界プリズム73に入射する直前に約1000Vまで減速され、磁界プリズム73に入射する。ここでプリズム内の磁束密度を5ガウスに設定すれば、電子線301はサイクロトロン半径150mm、電子線302は半径約210mmの軌道を描いて同一光軸304 に入射することにより、同一視野を異なるエネルギーの電子線で照射することができる。試料の直上近傍で引き戻された反射電子線302は、磁界プリズム73に入射して入射電子線と反対方向に偏向された後、中間レンズ(intermediate lens)13、投影レンズ(projection lens)14を通じて、蛍光版15上に結像される。
<実施例7>
図24に示す本実施例は、第二の電子源201および第二の照射レンズ202を配置して、第二の電子源201から出射した電子線303を円孔レンズ電極41下部に衝突させて発生した弾性散乱電子304を試料7に照射できるような構成である。円孔レンズ電極41下部に電子線を衝突させて発生した弾性散乱電子304の光軸方向のエネルギー成分が円孔レンズ電極41と試料7の間に印加される電圧で減速されるエネルギーより大きければ、弾性散乱電子304は試料面に達する。例えば、弾性散乱電子304の方向分布が光軸402に対し30度傾斜した方向にピークを持っていれば、第二の電子源201から生じる電子線303の加速電圧としては、円孔レンズ電極41と試料7の間に印加される電圧に500V/COS30°= 577V加えた電圧を与えてやれば、弾性散乱した電子304のピーク成分は試料7に約500Vの加速電圧で照射できるので、試料7を正帯電させることができる。電極下部に衝突させる電子線303の角度および位置は、弾性散乱電子304が減速電界で軌道(trajectory)を変えることを考慮して、結像させるための照射電子線301と照射位置がほぼ同じくなるように設定するが、アライナ204にビーム傾斜機能とビーム位置移動機能を持たせ、照射位置が調整できるようにしている。
<実施例8>
図25に示す本実施例は、試料を帯電させる手段として光源251を配置して、試料に光線252を同時照射できるような構成である。試料7に試料7を構成する物質の仕事関数より大きなエネルギーの光線を照射すれば、試料7から光電子が放出されることによって、試料7を正帯電させることができる。図26の断面図は、シリコン(Si)上に絶縁膜(SiO2膜)が形成されたウェハにコンタクトホール加工後タングステン(W)プラグが埋め込まれた試料7を示したものである。中央部のプラグ底部にSiO2の残渣に起因する高抵抗のオープン欠陥が存在する。
図26(a)は絶縁膜311を正帯電させる場合の初期照射の状態を示したものである。試料7の電位に対して電子源1の電位は+Vpの正電位に置かれ、電子源1から出射した電子線301は円孔電極41と試料7の間で減速されて、試料の直上近傍で方向を変えて反射電子線302となる。SiO2の仕事関数はおおよそ9eVであるので、光線252として9eVよりエネルギーの高い紫外線を同時に試料に照射すれば、SiO2で構成される絶縁膜311は光電子305を放出するので、図26(b)に示すように、絶縁膜311が正帯電して絶縁膜311直上近傍の等電位面314は湾曲するようになる。絶縁膜311の正帯電がさらに進行すると、入射電子線301の一部が絶縁膜311に達するようになり、絶縁膜311からの光電子305の放出量と入射電子線301の絶縁膜311への到達量が等しくなるような平衡状態で絶縁膜311の正帯電電位は安定する。この状態で反射された電子線302を結像すると、絶縁膜311の部分が暗くなるとともに、絶縁膜近傍の電位歪を反映するような像が形成されるので、パターン正常部と異常部とのコントラストが高い像を取得できる。光源251から出射した光線252の光軸404と照射電子線301の光軸402とは、試料上で概一致するように調整されているが、光線252の試料7での照射領域を照射電子線301の照射領域より広く取ることによって、ステージを移動させて連続的に画像を取得する際には、一定時間光線252を照射して試料を正帯電させた状態で試料7に照射電子線301を照射することができる。同時に発生した光電子305は反射電子線の光路内に配置されたコントラストアパーチャ12により吸収させることができるので、コントラストの高い結像電子像を得ることができる。
<実施例9>
本実施例では、ビームセパレータ3として、E×B型偏向器(E×B deflector)2組と球面型の静電型プリズム(electrostatic prism)2組を組み合わせて、入射電子線と反射電子線を分離する構成を用いた。その構成図を図27に示す。この構成では試料から反射した反射電子線はE×B型偏向器54を直進するように設定されており、入射電子線301は2組のE×B型偏向器を逆方向に動作させるとともに、2組の静電型プリズムも逆方向に動作させてレンズ結像条件を最適に選ぶことにより、照射系および結像系の収差を低減できる構成である。さらに、結像系および照射系をステージに対して垂直に並べられる構成となっているので、機械振動などによる電子光学系への影響を最小限に低減できる効果がある。以下、構成の詳細を説明する。試料から反射した反射電子線に対しては、E×B型偏向器54は磁界と電界の作用が打ち消すように動作して、反射電子線はE×B型偏向器54内を直進する。さらに、反射電子線の像点をE×B型偏向器54近傍に置くことによりE×B型偏向器54で発生するレンズ収差を小さくするようにしている。電子源から出た入射電子線301はコンデンサレンズによって光軸401上の結像点403に結像した後、E×B型偏向器51に入射して、約15度偏向される。偏向した入射電子線301は静電型プリズム52に入射して、円形軌道を描き、所定の角度回転しながら、集束レンズ作用を受ける。静電型プリズム52を出た入射電子線301は静電型プリズム53に入射し、反対方向に回転しながら集束作用を受ける。静電型プリズム53を出射した入射電子線301はE×B型偏向器54に入射し、E×B型偏向器51とは反対方向に約15度偏向を受けて、照射系の対物レンズ光軸402に入射して、結像点404に結像する。ここで、静電型プリズム51と結像点403との間の距離と静電型プリズム53と結像点404の間の距離をほぼ等しく置き、静電型プリズム51をほぼ平行で出射した入射電子線301が静電型プリズム53にほぼ平行に入射する条件になるように上記静電型プリズムの動作条件を選べば、この2組の静電型プリズムの収差はほぼ補正される。
たとえば、回転角200度、半径50mmの静電型プリズムに静電型プリズム51とコンデンサレンズ結像点403との間の距離約170mmから入射エネルギー10keVで入射電子線301が入射するとプリズム出射時には入射電子線301はほぼ平行となり、静電型プリズム54出射時にはほぼ対称の位置、静電型プリズム53と結像点404の間の距離約170mmの位置に集束する。この条件では、静電型プリズム51と静電型プリズム54の収差は打ち消しあってほぼ零になるので、試料に高輝度な入射電子線301を照射することが可能となる。
<実施例10>
本実施例は試料高さや傾斜角が変動しても正確な検査ができる手段を設けたものである。大口径のウェハは、ウェハのそり等による変形により試料の高さや傾斜角度が面内で大きく変動してしまうので、試料高さが変動しても結像位置が変動しない手段と、試料傾斜角が変動しても常に試料面に垂直に入射電子線が入射するための手段が必須である。
図28はウェハが傾斜した場合にも、試料に垂直に入射電子線301が入射するための制御方法を説明するものである。
xyz直交座標系において、z方向を光軸に取り、通常はz=0のxy平面内にある試料表面が、z=0を通り、x方向にθだけ傾斜している面内にあるとすると、試料7と円孔レンズ41電極間の距離をLと置けば、電界強度のz方向成分Ezおよびx方向成分Exはそれぞれ、Ez≒E、Ex≒(1−z/L)Eで近似される。x方向およびz方向について電子の運動方程式を解けば、入射電子線301が試料7に一番近づいた状態で試料7にほぼ垂直に入射する条件は、円孔レンズ41を通過する角度βが
をおおむね満たすことであることがわかる。
さらに、円孔レンズ41の焦点距離は、円孔レンズ41の円孔の直径がLに対して十分小さければf=4Lと近似できるので、このような条件においては、円孔レンズ41に入射する入射電子線301の角度を2sinθだけ傾ければ良いことがわかる。
そこで、たとえば、対物レンズ7と円孔レンズ41の間にアライナ42を配置して、試料がx方向にθ傾いた場合には、概2θだけ傾斜するように作用させれば、常に試料に垂直に入射電子線301を照射することができる。ここで、このアライナ42は入射電子線301と反射電子線302とで同じ方向に作用するように静電型のアライナを用いるほうが望ましい。
試料高さの変動に対する補正は以下のように行う。円孔レンズ41の焦点距離fは、f=4Lで近似され、試料の下L/3の位置に試料から反射した反射電子線の虚像(virtual image)が形成される。対物レンズ7の物面位置(object plane)はこの円孔レンズ41の虚像位置(virtual image plane)となるので、試料高さが変動すると円孔レンズ41の虚像位置が変動し、対物レンズ(objective lens)7の像面位置も変動してしまうことになる。そこで、試料高さからLを算出して、円孔レンズの虚像位置すなわち対物レンズの物面位置を算出して、常に対物レンズの像面位置が一定となるように対物レンズの強度(lens excitation)を制御すれば,試料高さが変動しても常に像がボケないように制御することができる。
半導体ウェハ7の高さ分布は、あらかじめ検査前にウェハ内の数十点以上の高さ計測点について、高さ測定器26などの高さ計測手段を用いて計測される。試料の特定点の傾斜角は隣接した高さ計測点との高度差を、隣接した高さ計測点までの距離で割ることにより求めることができる。隣接した複数の高さ計測点との傾斜角計測値の平均を取ることにより、計測値の制度を向上させることができる。
任意の検査位置に対応する傾斜角データは上記高さ測定点の傾斜角データを補間することにより求めることができる。検査時にはこの検査位置座標に対応したウェハ傾斜データに基づいて、アライナ42の強度を制御することにより、ウェハ面内で常に試料に垂直に入射電子線301を照射することが可能となる。
Claims (16)
- 試料表面に向けて照射したときにその平面形状が2次元的な広がりを有する面状の電子ビームを、試料表面に対向する電極の電位を基準として負の電圧を印加された試料表面の複数の照射領域に順次照射し、前記電子ビームを形成する電子のうち前記試料表面に衝突せずに前記試料の表面付近で引き戻された電子を結像手段に結像させ、前記結像手段を用いて前記複数の照射領域にそれぞれ対応する複数の電子像を電気的な複数の画像信号に変換し、前記複数の画像信号を相互に比較することにより、前記試料に形成されたパターン欠陥を検出するように構成したものであり、前記複数の照射領域内にはそれぞれ実質的に同一形状のパターンが存在することを特徴とする欠陥検査方法。
- 前記面状の電子ビームが、前記試料表面に対して進行方向を略平行にそろえ略垂直に入射するようにして、前記複数の照射領域の各々を照射するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
- 前記電子ビームの照射に先立って、前記試料表面を所望の電位に帯電させるための帯電工程を有することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
- 前記電子ビームの照射と併行して、前記試料表面を所望の電位に帯電させるための帯電工程を有することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
- 前記帯電工程は前記電子ビーム照射手段と同じ光学系を用い、前記電子ビームを照射するための電子源と前記試料との間に所望の電位差を与えることが可能に構成され、第1の電位差(電位差の値が0である場合を含む。)を与えることにより前記試料表面を所望の電位に帯電させ、その後に前記第1の電位差の値とは異なる値である第2の電位差(電位差の値が0である場合を含む。)を与えることにより入射した前記電子ビームを前記試料表面に衝突させずに前記試料の表面付近で引き戻させることを特徴とする請求項4記載の欠陥検査方法。
- 時刻t1から時刻t2までの時間に前記第1の電位差を前記電極と前記試料との間に印加し、時刻t3から時刻t4(但し、t1≠t2、t3≠t4)までの時間に前記第2の電位差を前記電極と前記試料との間に印加するようにし、前記電極と前記試料との間に印加する電位差を前記第1の電位差、第2の電位差の順序で交互に付与してその電位差の値を周期的に変化させることを特徴とする請求項5記載の欠陥検査方法。
- 前記試料表面の照射領域に順次照射する前記電子ビームのエネルギ値は、前記試料表面の絶縁膜を正帯電させるために必要な値であることを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
- 電子源から発生させた、かつ、試料表面に向けて照射したときにその平面形状が2次元的な広がりを有する面状の電子ビームを、試料表面に対向する電極の電位を基準として負の電圧を印加された試料表面の複数の照射領域に順次照射する第1の電子光学系と、
前記表面に向けて照射した前記電子ビームを形成する電子が前記試料表面付近で引き戻されるような電界を前記試料表面付近に発生させるための手段と、
前記電子ビームを形成する電子のうち前記試料表面に衝突せずに前記試料の表面付近で引き戻された電子を、その電子軌道の延長線上に設けられた結像手段に結像させる第2の電子光学系と、
前記結像手段を用いて前記複数の照射領域にそれぞれ対応する複数の電子像を電気的な複数の画像信号に変換する画像信号検出手段と、
前記複数の画像信号を相互に比較することにより、前記試料に形成された欠陥を検出するための画像信号処理手段とを有し、
前記複数の照射領域内にはそれぞれ実質的に同一形状のパターンが存在することを特徴とする欠陥検査装置。 - 前期第一の電子光学系は電子ビームを発生する電子銃と、該電子銃から放出した電子ビームを集束するコンデンサレンズと、前記コンデンサレンズと試料との間に配置された対物レンズとを少なくとも有し、前記コンデンサレンズによって前記対物レンズの電子源側の焦点面(focal plane)近傍に前記電子ビームの焦点を配置して、前記面状の電子ビームが、前記試料表面に対して進行方向を略平行にそろえ略垂直に入射するようにして、前記複数の照射領域の各々を照射するよう構成したことを特徴とする請求項8記載の欠陥検査装置。
- 連続移動する前記試料移動ステージの位置をリアルタイムに計測するステージ位置計測機構を備え、かつ、連続移動に伴い前記ステージ移動中に発生する位置変動を前記ステージ位置計測機構により測定し、前記電子ビーム照射光学系の前記電子ビーム偏向機構にフィードバックするようにして、前記電子ビームと前記試料との位置関係が、所定の方向にほぼ等速に移動するように構成したことを特徴とする請求項8記載のパターン欠陥検査装置。
- 前記電子ビームの照射に先立って、前記試料表面を所望の電位に帯電させるための帯電手段を有することを特徴とする請求項8記載の検査装置。
- 前記電子ビームの照射と併行して、前記試料表面を所望の電位に帯電させるための帯電手段を有することを特徴とする請求項8記載の検査装置。
- 前記試料表面を所望の電位に帯電させるための帯電手段が前記同じ光学系を用いる場合で、前記電子ビームを照射するための電子源と前記試料との間に所望の電位差を与えるための電源が設けられ、第1の電位差(電位差の値が0である場合を含む。)を与えることにより前記試料表面を所望の電位に帯電させ、その後に前記第1の電位差の値とは異なる値である第2の電位差(電位差の値が0である場合を含む。但し、前記第1および第2の電位差がともに0とはならない。)を与えることにより入射した前記電子ビームを構成する電子を前記試料表面に衝突させずに前記試料の表面付近で引き戻させることを特徴とする請求項11記載の欠陥検査装置。
- 前記試料表面の複数の照射領域に順次照射する電子のエネルギ値は、前記試料表面の絶縁膜を正帯電させるために必要な値であることを特徴とする請求項8記載の欠陥検査装置。
- 光源から発生させた、かつ、試料表面に向けて照射したときにその平面形状が2次元的な広がりを有する面状の光線を所望の入射エネルギで前記試料に入射する第1の手段と、
電子源から発生させた、かつ、試料表面に向けて照射したときにその平面形状が2次元的な広がりを有する面状の電子ビームを、前記試料表面近傍で減速させ、前記試料表面に衝突せずに前記試料表面近傍で少なくともその一部が引き戻されるように照射する第2の手段と、
前記電子ビームを形成する電子のうち前記試料表面に衝突せずに前記試料の表面付近で引き戻された電子を、その電子軌道の延長線上に設けられた結像手段に結像させる電子光学系と、
前記結像手段を用いて前記複数の照射領域にそれぞれ対応する複数の電子像を電気的な第1、第2および第3の画像信号に変換する画像信号検出手段と、
前記複数の画像信号を相互に比較することにより、前記試料に形成された欠陥を検出するための画像信号処理手段とを有し、
前記複数の照射領域内にはそれぞれ実質的に同一形状のパターンが存在することを特徴とする欠陥検査装置。 - 前記所望の入射エネルギとは、前記試料表面の少なくとも一部を正帯電させるために必要なエネルギであることを特徴とする請求項15記載の欠陥検査装置。
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