JP2000348346A - データ記録装置の記録用クロック信号発生装置 - Google Patents

データ記録装置の記録用クロック信号発生装置

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JP2000348346A
JP2000348346A JP11203173A JP20317399A JP2000348346A JP 2000348346 A JP2000348346 A JP 2000348346A JP 11203173 A JP11203173 A JP 11203173A JP 20317399 A JP20317399 A JP 20317399A JP 2000348346 A JP2000348346 A JP 2000348346A
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recording
clock signal
phase difference
recording clock
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JP11203173A
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Toshihiro Shigemori
俊宏 重森
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 隣接するグルーブトラックからのクロストー
クが存在する場合であっても記録媒体の回転に正確に同
期した記録用クロック信号を生成し得る記録用クロック
信号発生装置を低コストで提供する。 【解決手段】 所定の周波数成分を有するウォブル信号
でウォブリングしたデータ記録用トラックを有すると共
に、当該ウォブル信号とは所定の位相関係を有するプリ
ピットが形成されたDVD−R31に、データを記録す
るタイミング情報を担う、ウォブル信号に位相同期した
記録用クロック信号を出力するにあたって、グルーブト
ラックから抽出したウォブル信号に応じた信号と、デー
タ記録用トラックであるグルーブトラックと隣接するグ
ルーブトラックの間の領域から検出したプリピット信号
との位相差信号に基づいてクロック信号の位相を調整す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、記録可能な光デ
ィスクに記録用クロック信号を用いてデータを記録する
光ディスク駆動装置において当該記録用クロック信号を
生成する記録用クロック信号発生装置、ハードディスク
等の記録可能な記録媒体に記録用クロック信号を用いて
データを記録するデータ記録装置において当該記録用ク
ロック信号を生成する記録用クロック信号発生装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】一回のみ記録可能な追記型光ディスクと
してCD−R(Compact Disc−Recor
dable)が公知である。このCD−Rには、ディス
ク上のトラックの位置情報等のプリ情報で所定の周波数
(22.05KHz)を有する搬送波をFM変調したウ
ォブル信号に応じて、ディスク半径方向に僅かに揺動
(ウォブリング)されたグルーブトラック(データ記録
トラック)が存在する。
【0003】近年、従来のCD−Rに対して大幅に記録
容量を向上させた情報記録媒体として、いわゆるDVD
−R(Digital Versatile Disc
−Recordable)についての研究開発が行なわ
れている。
【0004】このDVD−Rは、高密度記録するために
隣接するトラック間のピッチがCD−Rの略半分とされ
ている。このため、光ビームを照射したグルーブトラッ
クに隣接するグルーブトラックからの漏れ込み、いわゆ
るクロストークが無視できなくなる。
【0005】そして、隣接する左右のグルーブトラック
からのクロストークがあると、抽出ウォブル信号は隣接
するグルーブトラックのウォブル信号成分による干渉を
受けることになり、その振幅や位相が変動してしまう。
【0006】特に、位相の変動、すなわちジッタを伴う
ことにより、上記クロストークの影響を受けた抽出ウォ
ブル信号からは、ディスクの回転に正確に同期したクロ
ック信号を生成できなくなるという問題がある。
【0007】そこで、上記の問題を解決する技術とし
て、特開平10−293926号公報に記載された記録
用クロック信号発生装置が提案されている。これは、所
定の周波数成分を有するウォブル信号でウォブリングし
たデータ記録用トラックを有すると共に、当該ウォブル
信号とは所定の位相関係を有するプリピットが形成され
た光ディスクに、前記ウォブル信号に位相同期した記録
用クロック信号に基づいてデータを記録するデータ記録
装置における記録用クロック信号発生装置である。
【0008】そして、上記ウォブル信号を抽出するウォ
ブル信号抽出手段と、当該抽出されたウォブル信号に位
相同期した上記記録用クロック信号を発生する発生手段
と、上記プリピットを検出してプリピット検出信号を発
生するプリピット検出手段と、上記抽出されたウォブル
信号の位相と前記プリピット検出信号との位相を比較し
て位相調整信号を出力する位相調整信号生成手段と、上
記位相調整信号に基づいて上記記録用クロック信号の位
相を調整する位相調整手段とを備えて構成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来の記録用クロック信号発生装置では、位相調
整手段として位相器を必要としているため、装置の回路
コストが増加するという問題があった。
【0010】この発明は上記の点に鑑みてなされたもの
であり、隣接するグルーブトラックからのクロストーク
が存在する場合であっても記録媒体の回転に正確に同期
した記録用クロック信号を生成し得る記録用クロック信
号発生装置を低コストで提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の目的を
達成するため、所定の周波数成分を有するウォブル信号
でウォブリングしたデータ記録用トラックを有すると共
に、当該ウォブル信号とは所定の位相関係を有するプリ
ピットが形成された光ディスク等の記録媒体に、上記ウ
ォブル信号に位相同期した記録用クロック信号に基づい
てデータを記録するデータ記録装置の記録用クロック信
号発生装置であって、上記ウォブル信号を抽出するウォ
ブル信号抽出手段と、上記ウォブル信号と上記記録用ク
ロック信号との位相を比較して第1の位相差信号を発生
する第1の位相比較手段と、上記プリピットを検出して
プリピット検出信号を発生するプリピット検出手段と、
上記プリピット検出信号と上記記録用クロック信号との
位相を比較して第2の位相差信号を発生する第2の位相
比較手段と、上記第1の位相差信号と上記第2の位相差
信号とに応じた周波数制御信号を発生する周波数制御信
号発生手段と、上記周波数制御信号によって制御された
周波数を有する上記記録用クロック信号を発生する発振
手段を備えた記録用クロック信号発生装置を提供する。
【0012】また、上記のようなデータ記録装置の記録
用クロック信号発生装置において、上記周波数制御信号
発生手段を、上記第1の位相差信号を積分した信号と上
記第2の位相差信号とを加算して周波数制御信号を出力
するようにするとよい。
【0013】さらに、上記のようなデータ記録装置の記
録用クロック信号発生装置において、上記周波数制御信
号発生手段を、上記第1の位相差信号を積分した信号と
上記第2の位相差信号の低周波成分を減衰した信号とを
加算して周波数制御信号を出力するようにするとよい。
【0014】また、上記のようなデータ記録装置の記録
用クロック信号発生装置において、上記記録用クロック
信号と上記ウォブル信号との位相差に基づいて上記記録
用クロック信号を発生する発振回路を備えたPLL回路
と、そのPLL回路のロック状態を判定し、その判定結
果に応じてロック状態検出信号を発生するロック状態検
出手段を設け、上記周波数制御信号発生手段を、上記ロ
ック状態検出信号に応じて非ロック状態では上記第2の
位相差信号のみに応じた周波数制御信号を出力し、ロッ
ク状態では上記第1の位相差信号を積分した信号と上記
第2の位相差信号とを加算して周波数制御信号を出力す
るようにするとよい。
【0015】さらに、上記のようなデータ記録装置の記
録用クロック信号発生装置において、上記記録用クロッ
ク信号と上記ウォブル信号との位相差に基づいて上記記
録用クロック信号を発生する発振回路とを備えたPLL
回路と、そのPLL回路のロック状態を判定し、その判
定結果に応じてロック状態検出信号を発生するロック状
態検出手段を設け、上記周波数制御信号発生手段を、上
記ロック状態検出信号に応じて非ロック状態では上記第
2の位相差信号のみに応じた周波数制御信号を出力し、
ロック状態では上記第1の位相差信号を積分した信号と
上記第2の位相差信号の低周波成分を減衰した信号とを
加算して周波数制御信号を出力するようにするとよい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて具体的に説明する。本願発明の一実施形態
の記録用クロック信号発生装置によれば、所定の周波数
成分を有するウォブル信号でウォブリングしたデータ記
録用トラックを有すると共に、当該ウォブル信号とは所
定の位相関係を有するプリピットが形成された光ディス
クであるDVD−Rに、データを記録するタイミング情
報を担う、ウォブル信号に位相同期した記録用クロック
信号を出力するにあたって、当該DVD−Rのグルーブ
トラックから抽出したウォブル信号に応じた信号と、デ
ータ記録用トラックであるグルーブトラックと隣接する
グルーブトラックの間の領域(以下、「ランドトラッ
ク」と称する)から検出したプリピット信号との位相差
信号に基づいてクロック信号の位相を調整する。
【0017】ここで、プリピット信号はウォブル信号と
所定の位相関係をもって記録されている。更に、プリピ
ット信号は、隣接するランドトラック位置には存在しな
いため、かかるプリピット信号はクロストークの影響を
受けることなく検出される。
【0018】したがって、隣接するグルーブトラックの
ウォブル信号によるクロストークによって、所望のグル
ーブトラックにおける抽出ウォブル信号の時間軸が変動
した場合でもプリピットによって正確なタイミング情報
を担う記録用クロック信号に補正することができる。
【0019】次に、特開平10−293926号公報に
記載された記録用クロック信号発生装置に基づいて、本
願発明に好適な実施の形態について図面を用いて説明す
る。始めに、プリ情報に対応したプリピットを形成する
と共に、後述のグルーブトラックを所定の周波数でウォ
ブリングさせた光ディスクとしてのDVD−Rについて
図2及び図3を用いて説明する。
【0020】まず、図2を用いてDVD−Rの構造につ
いて説明する。図2において、DVD−R31はデータ
記録層としての色素膜35を備えた1回のみ情報データ
の書き込みが可能な色素型DVD−Rであり、データ記
録用トラックとしてのグルーブトラック32と当該グル
ーブトラック32に再生光又は記録光としてのレーザビ
ーム等の光ビームBを誘導するためのガイド用トラック
としてのランドトラック33が形成されている。
【0021】また、それらを保護するための保護膜37
及び記録されたデータを再生する際に光ビームBを反射
するための金蒸着膜36を備えている。そして、このラ
ンドトラック33にプリ情報に対応するプリピット34
が形成されている。このプリピット34はDVD−R3
1を出荷する前に予め形成されているものである。
【0022】更に、当該DVD−R31においては、グ
ルーブトラック32をディスクの回転速度に対応する周
波数でウォブリングさせている。このウォブリングされ
たグルーブトラック32は、上記プリピット34と同様
に、DVD−R31を出荷する前に予め形成されるもの
である。
【0023】そして、DVD−R31に記録情報データ
(プリ情報以外の本来記録するべき画像情報等の情報デ
ータ)を記録する際には、後述のデータ記録装置におい
て、このグルーブトラック32のウォブリング周波数を
抽出することによりDVD−R31を所定の回転速度で
回転制御すると共に、プリピット34を検出することに
より予めプリ情報を取得し、それに基づいて記録光とし
ての光ビームBの最適出力等が設定されると共に、記録
情報データを記録すべきDVD−R31上の位置を示す
アドレス情報等が取得され、このアドレス情報に基づい
て記録情報データが対応する記録位置に記録される。
【0024】ここで、記録情報データの記録時には、光
ビームBをその中心がグルーブトラック32の中心と一
致するように照射してグルーブトラック32上に記録情
報データに対応する記録情報ピットを形成することによ
り、記録情報データを記録する。
【0025】この時、光スポットSPの大きさは、図2
に示したように、その一部がグルーブトラック32だけ
ではなくランドトラック33にも照射されるように設定
される。
【0026】そして、このランドトラック33に照射さ
れた光スポットSPの一部の反射光を用いてプッシュプ
ル法(グルーブトラック32の接線方向、すなわち、D
VD−R31の回転方向に平行な分割線により分割され
た光検出器を用いたプッシュプル法(以下、「ラジアル
プッシュプル方式」と称する))により、プリピット3
4からプリ情報を検出して当該プリ情報が取得されると
共にグルーブトラック32からウォブル信号を抽出して
ディスクの回転に同期した後述する記録用クロック信号
が取得される。
【0027】次に、上記DVD−R31に予め記録され
ているプリ情報の記録フォーマットについて、図3を用
いて説明する。
【0028】なお、図3において、上段は記録情報デー
タにおける記録フォーマットを示し、下段の波形は当該
記録情報データを記録するグルーブトラック32のウォ
ブリング状態(グルーブトラック32の平面図)を示
し、記録情報データとグルーブトラック32のウォブリ
ング状態の間の上向き矢印は、プリピット34が形成さ
れる位置を模式的に示すものである。
【0029】ここで、図3においては、グルーブトラッ
ク32のウォブリング状態は、理解が容易のため実際の
振幅よりも大きい振幅を用いて示している。なお、記録
情報データは当該グルーブトラック32の中心線上に記
録される。
【0030】図3に示すように、上記DVD−R31に
記録される記録情報データは、予め情報単位としてのシ
ンクフレーム毎に分割されている。そして、26のシン
クフレームにより一のレコーディングセクタが形成さ
れ、更に、16のレコーディングセクタにより一のEC
C(Error Correcting Code)ブ
ロックが形成される。
【0031】なお、一のシンクフレームは、上記記録情
報データを記録する際の記録フォーマットによって規定
されるピット間隔に対応する単位長さ:Tの1488倍
(1488T)の長さを有しており、更に、一のシンク
フレームの先頭の14Tの長さの部分はシンクフレーム
毎の同期をとるための同期情報SYとして用いられる。
【0032】一方、上記DVD−R31に記録されるプ
リ情報は、シンクフレーム毎に記録される。ここで、プ
リピット34によりDVD−R31にプリ情報が記録さ
れる場合は、記録情報における夫々のシンクフレームに
おける同期情報SYが記録される領域に隣接するランド
トラック33上に、プリ情報における同期信号を示すも
のとして必ず一のプリピット34が形成されると共に、
当該同期情報SY以外の当該シンクフレーム内の前半部
分に隣接するランドトラック33上に、記録すべきプリ
情報の内容を示すものとして二又は一のプリピット34
が形成される。
【0033】なお、同期情報SY以外の当該シンクフレ
ーム内の前半部分については、記録すべきプリ情報の内
容によってはプリピット34が形成されない場合もあ
る。
【0034】この際、一のレコーディングセクタにおい
ては、偶数番目のシンクフレーム(以下、「EVENフ
レーム」と称する)のみにプリピット34が形成されて
プリ情報が記録される。
【0035】すなわち、図3において、EVENフレー
ムにプリピット34が形成された場合には(図3に実線
上向き矢印で示す)、それに隣接するODDフレームに
はプリピット34は形成されない。
【0036】一のEVENフレームとそれに続くODD
フレームにおける上記各プリピット34(シンクフレー
ムの先頭から夫々プリピットB0,B1及びB2とす
る)の有無の関係は、当該一のEVENフレームがレコ
ーディングセクタの先頭であるか否か、及び当該一のE
VENフレームとそれに続くODDフレームに記録すべ
き情報の内容に対応して設定される。
【0037】より詳細には、EVENフレームにプリピ
ットを形成する場合には、レコーディングセクタの先頭
のシンクフレームにおいては、全てのプリピット34
(プリピットB0,B1及びB2)が形成されており、
レコーディングセクタの先頭以外のシンクフレームにお
いては当該シンクフレームに記録すべきプリ情報が
「1」のときにはプリピットB0及びB1のみが形成さ
れており、記録すべきプリ情報が「0」のときにはプリ
ピットB0及びB1が形成されている。
【0038】また、ODDフレームにプリピットを形成
する場合には、レコーディングセクタの先頭のシンクフ
レームにおいては、プリピットB0及びB1が形成され
ており、レコーディングセクタの先頭以外のシンクフレ
ームにおいては上記EVENフレームの場合と同様であ
る。
【0039】なお、プリピット34をEVENフレーム
/ODDフレームのいずれのシンクフレームに形成する
かは、隣接するランドトラック上に先行し形成されたプ
リピット34の位置に依存して決められる。
【0040】すなわち、プリピット34は通常EVEN
フレームに形成されるが、当該EVENフレームにプリ
ピット34を形成した場合に、先行して形成された隣接
するランドトラック上のプリピット34とDVD−R3
1のディスクの径方向において近接する時には、ODD
フレームにプリピット34が形成されるのである。
【0041】このように形成することにより、隣接する
ランドトラック位置にはプリピット34が存在しなくな
るためプリピット34の検出に当たってはクロストーク
による影響を低減できる。
【0042】一方、グルーブトラック32は、全てのシ
ンクフレームに亘って140KHzの一定ウォブリング
周波数f0(一のシンクフレーム内に8波分のウォブル
信号が入る周波数)でウォブリングされている。
【0043】そして、後述のデータ記録装置において、
この一定のウォブリング周波数f0を抽出することで、
スピンドルモータの回転制御のための信号が検出される
と共に、記録用クロック信号が生成される。
【0044】なお、プリピット34とウォブル信号との
位相関係を一定にするため、プリピットB0は、シンク
フレームの開始位置からの所定位置(例えば、7T分離
れた位置)に形成され、プリピットB0から186T
(1488T/8)分づつ離れてプリピットB1及びB
2が形成される(プリピットの形成方法については特願
平8年第310941号に添付された明細書及び図面に
詳細に説明されているので参照)
【0045】次に、データ記録装置に含まれる本願発明
に係る記録用クロック信号発生装置について説明する。
始めに、この実施形態に係る記録用クロック信号発生装
置を含むデータ記録装置の全体構成及び動作について図
1を用いて説明する。
【0046】図1に示すように、データ記録装置Sは、
ピックアップ1と、スピンドルモータ2と、スピンドル
ドライバ3と、レーザ駆動回路4と、パワー制御回路5
と、エンコーダ6と、再生増幅器8と、デコーダ9と、
プロセッサ(CPU)10と、回転制御のための基準ク
ロック信号を発生する基準クロック発生器11と、BP
F(BandPassFilter)12と、プリピッ
ト検出手段としてのプリピット信号検出器13と、プリ
ピット信号デコーダ14と、ウォブル信号抽出手段とし
てのウォブル信号抽出器15と、回転制御信号を発生す
る位相比較器17と、PLL(PhaseLocked
Loop)回路18とから構成されている。
【0047】これらのうち、BPF12、プリピット信
号検出器13、ウォブル信号抽出器15、PLL回路1
8が、本願発明における記録用クロック信号発生装置G
を構成する。また、当該データ記録装置Sには、外部の
ホストコンピュータから(図示を省略する)記録すべき
情報データがインタフェース7を介して入力される。
【0048】次に、このデータ記録装置Sの全体の動作
を説明する。ピックアップ1は、図示を省略したレーザ
ダイオード、偏光ビームスプリッタ、対物レンズ、光検
出器等を含み、記録動作の際は、レーザ駆動回路4から
供給される、記録情報データに基づいたレーザ駆動信号
に応じて変化する出射パワーで光ビームBをDVD−R
31の情報記録面に照射して記録情報データの記録を行
なうと共に、読取り動作の際は、一定の出射パワー(読
取パワー)で光ビームBをDVD−R31に照射して、
その反射光を光検出器で受光する様に動作する。
【0049】また、ピックアップ1は情報記録面に照射
した光ビームのかかる情報記録面からの反射光を光検出
器で受光し、これを電気信号に変換して、例えばラジア
ルプッシュプル方式に基づく演算処理を施すことによ
り、上記プリピット34及びグルーブトラック32のウ
ォブル信号並びに記録情報データ等を担う検出信号SD
Tを生成し、再生増幅器8に出力する。
【0050】再生増幅器8は、ピックアップ1から出力
されたプリピット34のプリピット信号及びグルーブト
ラック32のウォブル信号を担う検出信号SDTを増幅
し、プリピット34のプリピット信号及びグルーブトラ
ック32のウォブル信号を含むプリ情報信号Sppを記
録用クロック信号発生装置GにおけるBPF12に出力
すると共に、読取り動作の際には、既に記録されている
記録情報データに対応する増幅信号Spをデコーダ9に
出力する。
【0051】デコーダ9は、入力された増幅信号Spに
対して8/16復調及びデインターリーブを施すことに
より当該増幅信号Spをデコードして復調信号SDMを
生成し、この復調信号SDMをCPU10に出力する。
【0052】一方、BPF12は、再生増幅器8から供
給されたプリ情報信号Sppに含まれるノイズ成分を除
去してウォブル信号の所定位置(例えば、最大振幅位
置)プリピット信号が重畳された複合信号Spc(図4
の(a)を参照)をプリピット信号検出器13並びにウ
ォブル信号抽出器15に出力する。
【0053】プリピット信号検出手段であるプリピット
信号検出器13は、複合信号Spcを所定の基準値、例
えば、図4の(a)におけるウォブル信号の最大振幅器
より大なるレベルVrpと比較する図示を省略したコン
パレータからなり、複合信号Spcの振幅レベルが上記
基準値Vrpよりも大となる期間、プリピットの存在す
る期間、パルス信号であるプリピット検出信号SPDを
プリピット信号デコーダ14並びに記録用クロック信号
発生手段であるPLL回路18に出力する。
【0054】プリピット信号デコーダ14は、供給され
たプリピット検出信号SPDから、DVD−R31上の
アドレス情報を含むプリ情報を復号して、CPU10に
出力する。
【0055】一方、ウォブル信号抽出手段であるウォブ
ル信号抽出器15は、複合信号Spcを所定の基準値、
例えば、図4の(a)におけるウォブル信号のPP(P
eaktoPeak)値の中間レベルVr0と比較する
図示を省略したコンパレータを備え、複合信号Spcの
振幅レベルを上記基準値Vr0よりも大となる期間H
(High)レベルとなるパルス信号(図4の(b)を
参照)を、抽出ウォブル信号SWBとして、位相比較器
17及び記録用クロック信号発生手段であるPLL回路
18に出力する。
【0056】PLL回路18は、位相比較器181、1
86、LPF182、187、積分器(積分回路)18
3、加算器(加算回路)184、VCO185、分周器
188からなり、記録用クロック信号SCRとしてエン
コーダ6並びにパワー制御回路5に出力する。
【0057】一方、位相比較器17は、入力された抽出
ウォブル信号SWBと基準クロック発生器11から供給
されるDVD−R31の回転速度の基準周波数成分を担
う基準クロック信号SREFとの位相比較を行ない、そ
の差信号を回転制御信号としてスピンドルドライバ3を
介してスピンドルモータ2に供給する。これによりスピ
ンドルサーボが構成されDVD−R31は、所定の回転
数で回転せしめられる。
【0058】一方、インタフェース7は、CPU10の
制御の下、図示を省略したホストコンピュータから送信
されてくる記録情報データSRRに対して、これをデー
タ記録装置に取り込むためのインタフェース動作を行な
い、当該記録情報データをCPU10を介してエンコー
ダ6に出力する。
【0059】エンコーダ6は、PLL回路18から供給
される記録用クロック信号SCRをタイミング信号とし
て、ECC処理、8/16変調処理並びにスクランブル
処理を施し、変調信号SREを生成してパワー制御回路
5に出力する。
【0060】パワー制御回路5は、ディスク上に形成さ
れる記録ピットの形状を良好にするべく、記録用クロッ
ク信号発生装置Gから出力される記録用クロック信号S
CRに基づいて、変調信号SREの波形変換(いわゆ
る、ライトストラテジ処理)を行ない、記録信号SDと
してレーザ駆動回路4に出力する。
【0061】レーザ駆動回路4は、ピックアップ1にお
ける図示を省略したレーザダイオードを実際に駆動し
て、供給された記録信号SDに応じた出射パワーで光ビ
ームBを出射せしめるためのレーザ駆動信号を出力す
る。
【0062】CPU10は、記録動作の際は、プリピッ
ト信号デコーダ14から供給されるプリ情報からアドレ
ス情報を取得し、当該アドレス情報に対応するDVD−
R31上の位置に記録情報データを記録する様にデータ
記録装置全体を制御する。
【0063】また再生動作の際は、CPU10は、復調
信号SDMからDVD−Rディスク31に記録されてい
る記録情報データを取得し、かかる記録情報データを外
部のホストコンピュータに出力する様に、データ記録装
置全体を制御する。
【0064】次に、本願発明に係る記録用クロック信号
発生装置Gのより具体的な構成について説明する。図1
に示した実施形態は、本発明の請求項1と共に請求項2
に関わる記録用クロック信号発生装置の具体例を示すも
のである。
【0065】VCO185は、記録用クロック信号SC
Rを発生する。その基準周波数は、周期が1Tとなる周
波数である。記録用クロック信号SCRは、分周器18
8によって所定比だけ分周され、フィードバッククロッ
クSFBとなる。
【0066】図3に示したように、1つのシンクフレー
ムの周期は、記録用クロック信号SCRの周期で示すと
1488周期にあたり、また、抽出ウォブル信号SWB
の周期で示すと8周期に当たる。したがって、抽出ウォ
ブル信号SWBの周期は、記録用クロック信号SCRの
周期が示すと1488/8=186周期に当たる。
【0067】分周器188の分周比を186の半分の9
3周期とすると、フィードバッククロックSFBの周波
数は、抽出ウォブル信号SWBの2倍となる。位相比較
器181は、プリピット検出信号SPDと、フィードバ
ッククロックSFBとの位相を比較し、位相差に応じた
信号を発生する。位相比較器181の構成例を図5に、
動作時の各部動作波形を図6にそれぞれ示す。
【0068】図6に示すように、同一信号に、の
異なる動作波形が示されているものは、はプリピット
検出信号SPDの位相がフィードバッククロックSFB
の位相に対して進んでいる場合の動作波形を、は一致
している場合の動作波形を、は遅れている場合の動作
波形をそれぞれ示している。
【0069】図6に示すように、図5に示すロジック回
路300から出力される信号のうち、PPUPは、フィ
ードバッククロックSFBの立上りから立ち上がりまで
を1サイクルとすると、プリピット検出信号SPDが発
生するサイクルの後半で、Hレベルとなる。
【0070】そのパルス幅は、の場合、すなわち、プ
リピット検出信号SPDの位相がフィードバッククロッ
クSFBの位相と一致している場合には、1/2サイク
ル分のパルス幅となる。
【0071】また、の場合、すなわち、プリピット検
出信号SPDの位相がフィードバッククロックSFBの
位相に対して進んでいる場合には、1/2サイクル分よ
りも広いパルス幅となり、の場合、すなわち、遅れて
いる場合には、1/2サイクル分よりも狭いパルス幅と
なる。つまり、PPUPのパルス幅は、プリピット検出
信号SPDとフィードバッククロックSFBとの位相差
に応じて変化する。
【0072】図6に示すように、図5に示すロジック回
路300から出力される信号のうち、PPDNは、プリ
ピット検出信号SPDが発生するサイクルの次のサイク
ルの前半でHレベルとなり、そのパルス幅は1/2サイ
クル分である。
【0073】図5に示すロジック回路300から出力さ
れる信号PPUP、PPDNは、それぞれ積分回路40
0に入力される。積分回路400は、PPUPがHの期
間中は、所定の傾きで出力電圧PPV1を上昇させ、P
PDNがHの期間中は、所定の傾きで出力電圧PPV1
を下降させる。
【0074】なお、PPUPがHとなる直前には、積分
回路出力PPV1は、基準電圧PPVrefのレベルに
初期化されている。
【0075】前述のように、の場合にはPPUPパル
ス幅>PPDNパルス幅に、の場合にはPPUPパル
ス幅=PPDNパルス幅に、の場合にはPPUPパル
ス幅<PPDNパルス幅にそれぞれなるから、図6に示
すように、積分回路出力PPV1は、基準電圧PPVr
efに対して一組のPPUP、PPDNパルスが発生し
終わった時点で、の場合にはPPV1>PPVre
f、の場合にはPPV1=PPVref、の場合に
はPPV1<PPVrefになる。
【0076】つまり、PPV1の電圧レベルは、一組の
PPUP、PPDNパルスが発生し終わった時点で、プ
リピット検出信号SPDと、フィードバッククロックS
FBとの位相差に応じて変化する。
【0077】図5に示すロジック回路300から出力さ
れる信号PPSHは、サンプルホールド回路500にサ
ンプリング信号として入力される。PPSHは、図6に
示すように、PPDN発生サイクルの後半でHとなり、
1/2サイクル分のパルス幅をもっている。
【0078】サンプルホールド回路500は、PPSH
発生部分で、積分回路400の出力PPV1をサンプリ
ングする。この結果、サンプルホールド回路500の出
力PPV2は、プリピット検出信号SPDと、フィード
バッククロックSFBとの位相差に応じた電圧レベルと
なる。
【0079】図5に示すロジック回路300から出力さ
れる信号PPDSCHGは、積分回路400の出力電圧
PPV1を、基準電圧PPVrefのレベルに初期化す
るための信号である。PPDSCHGは、図6に示すよ
うに、PPSH発生サイクルの次のサイクルの前半でH
となり、1/2サイクル分のパルス幅をもっている。
【0080】なお、図6に示すように、フィードバック
クロックSFBの1サイクル中に、プリピット検出信号
SPDが発生しない場合には、PPUP,PPDN,P
PSH,PPDSCHGの各パルスも発生しないため、
サンプルホールド回路500の出力PPV2は、その前
に得られたプリピット検出信号SPDと、フィードバッ
ククロックSFBとの位相差に応じた電圧レベルに保持
される。
【0081】また、DVD−R31におけるウォブル信
号を担うグルーブとプリピット信号を担うプリピット
は、図3に示した通り、所定の位相関係をもって記録さ
れている。
【0082】しかしながら、クロストークの影響によ
り、隣接するグルーブトラックからのウォブル信号成分
の漏れ込みがあると、かかるウォブル信号成分との干渉
によって、当該グルーブトラックからの抽出ウォブル信
号SWBに時間軸上での変動が生じることになる。
【0083】一方、上記の通り、プリピット信号はDV
D−R31の径方向には近接して形成されることはない
ため、隣接するランドトラックからのクロストークの影
響は受けないから、複合信号SPCから検出されるプリ
ピット検出信号SPDはクロストークに基づく時間軸上
での変動を伴わない正確なタイミング信号と見なすこと
ができる。
【0084】したがって、プリピット検出信号SPD
と、フィードバッククロックSFBとの位相差を検出す
ることにより、記録クロックSRCの正確な位相を検出
することが可能になる。
【0085】図1に示した位相比較器186は、抽出ウ
ォブル信号SWBとフィードバッククロックSFBとの
位相を比較し、位相差に応じた信号を発生する。位相比
較器出力は、ローパスフィルタ(LPF)187、加算
器184を経由して、VCO185に供給される。
【0086】また、VCOから出力される記録用クロッ
ク信号SCRは、前述のように分周器188によって所
定比だけ分周され、フィードバッククロックSFBとな
り、位相比較器181にフィードバックされる。
【0087】したがって、位相比較器186、LPF1
87、加算器184、VCO185、分周器188は、
抽出ウォブル信号SWBに同期して動作するローカルP
LLを構成している。
【0088】このローカルPLL構成だけであれば、ク
ロストークによる抽出ウォブル信号SWBの時間軸上で
の変動のために、記録用クロックSRCの位相は正確に
は制御できない。
【0089】本発明では、プリピット検出信号SPDと
フィードバッククロックSFBとの位相差を検出する位
相比較器181の出力が、LPF182、積分器183
を通過後、加算器184によって上記ローカルPLLの
ループ中に加算されている。
【0090】図7に、上記構成のPLLのオープンルー
プ周波数特性を示す。同図中の(A)で示す周波数特性
カーブは、抽出ウォブル信号SWBを入力する位相比較
器186、LPF187、加算器184、VCO18
5、分周器188を経由するループのオープンループ周
波数特性である。
【0091】図7の(A)の周波数特性カーブは、LP
F187のカットオフ周波数f1以下の周波数において
は、−20dB/decの勾配となる。図7の(B)で
示す周波数特性カーブは、プリピット検出信号SPDを
入力する位相比較器181、LPF182、積分器18
3、加算器184、VCO185、分周器188を経由
するループのオープンループ周波数特性である。
【0092】図7の(B)の周波数特性カーブは、図7
の(A)と異なり、ループ中に積分器が存在するため、
LPF182のカットオフ周波数f2以下の周波数にお
いては、−40dB/decの勾配となる。
【0093】図7の(C)で示す周波数特性カーブは、
上記構成のPLLの、総合的なオープンループ周波数特
性であり、これは、図7の(A)と(B)のゲインを加
算したものである。
【0094】図7の(C)の周波数特性カーブは、図7
の(A)と(B)のゲインが一致する周波数f3を境界
に、低周波側では図7の(A)のゲインが支配的であ
り、−40dB/decの勾配を有し、高周波側では図
7の(B)のゲインが支配的であり、−20dB/de
cの勾配となる。
【0095】そして、周波数特性カーブが−20dB/
decとなる周波数領域に交差周波数f0を設定するこ
とにより、PLLの動作安定性が得られる。
【0096】ところで、隣接するグルーブトラックから
のウォブル信号成分の漏れ込みによって生じる当該グル
ーブトラックからの抽出ウォブル信号SWBの時間軸上
での変動は、比較的低い周波数で変動する。
【0097】例えば、半径rの位置のトラックnのある
角度から一周分進んだ位置は、ちょうど隣接トラックn
+1位置である。この間のトラック長さTL(n)は、
数1に示すようになる。なお、数中「*」は乗算記号で
あり、「/」は除算記号である。
【0098】
【数1】TL(n)=2*π*r
【0099】また、ウォブル一周期分のトラックに沿っ
た方向の長さをLwとすると、半径rの位置のトラック
nの、隣接トラックn+1とのウォブル位相差は、数2
に示すようになる。
【0100】
【数2】φ(n)=2*π*r/Lw
【0101】さらに、トラックn+1の同じ角度から一
周分進んだ隣接トラックn+2までのトラック長さTL
(n+1)は、トラックピッチをTpとするとトラック
ピッチ分の半径増加が生じているから、数3に示すよう
になる。
【0102】
【数3】TL(n+1)=2*π*(r+1*Tp)
【0103】また、トラックn+1の隣接トラックn+
2とのウォブル位相差は、数4に示すようになる。
【0104】
【数4】 φ(n+1)=2*π*(r+1*Tp)/Lw
【0105】さらに、トラックn+2の同じ角度から一
周分進んだ隣接トラックn+3までのトラック長さTL
(n+2)は、トラックピッチをTpとするとトラック
ピッチ分の半径増加が生じているから、数5に示すよう
になる。
【0106】
【数5】TL(n+2)=2*π*(r+2*Tp)
【0107】また、トラックn+1の隣接トラックn+
2とのウォブル位相差は、数6に示すようになる。
【0108】
【数6】 φ(n+2)=2*π*(r+2*Tp)/Lw
【0109】このようにして、隣接トラック間のウォブ
ル位相差は、トラックを進む毎に増加していくことにな
る。その増加の割合は、上記数に基づいて1トラックあ
たり数7に示すようになる。
【0110】
【数7】2*π*Tp/Lw
【0111】例えば、実際的な値として、トラックピッ
チ0.74μm、ウォブル長24.8μmとすると、隣
接トラック間のウォブル位相差は、1トラックあたり
0.187周期となる。逆に表現すると、隣接トラック
間のウォブル位相差が一周期変化するのは、5.33ト
ラック毎とである。
【0112】つまり、隣接するグルーブトラックからの
ウォブル信号成分の漏れ込みによって、生じる当該グル
ーブトラックからの抽出ウォブル信号SWBの時間軸上
での変動速度は、ディスク回転数の1/5.33という
比較的遅い速度である。
【0113】ここで、再び図7に示した上記構成のPL
Lのオープンループ周波数特性を考える。前述のよう
に、総合的なオープンループ周波数特性は低周波領域で
は、図7の(B)のゲイン、すなわち、プリピット検出
信号SPDと、フィードバッククロックSFBとの位相
差に基づくループゲインが支配的である。
【0114】このため、比較的低い周波数で生じる抽出
ウォブル信号SWBの時間軸上での変動の影響は、時間
軸上での変動を伴わないプリピット検出信号SPDと、
フィードバッククロックSFBとの位相差に基づくルー
プゲインに十分に抑圧され、ディスクの回転に高い精度
で同期した記録用クロック信号を生成することが可能と
なる。
【0115】このように、本発明では、クロストークの
影響を無視できないウォブル信号に基づいて生成される
クロック信号の時間軸上の変動を、クロストークの影響
を受けないプリピットを用いて補正するので、ディスク
の回転に高い精度で同期した記録用クロック信号を生成
することが可能となる。
【0116】次に、クロック信号発生装置の別の実施の
形態を図8を用いて説明する。この実施の形態は本発明
の請求項3に関わる記録用クロック信号発生装置の具体
例を示すものである。
【0117】図8に示すデータ記録装置Sの記録用クロ
ック信号発生装置G以外の部分の構成と動作は図1に基
づいて説明したものと略同一である。また、BPF1
2、プリピット信号検出器13、ウォブル信号抽出器1
5、PLL回路18が、記録用クロック信号発生装置G
を構成する点も図3の装置と同様である。
【0118】PLL回路18は、位相比較器181、1
86、LPF182、187、積分器183、リードラ
グフィルタ189、加算器184、VCO185、分周
器188からなり、記録用クロック信号SCRとしてエ
ンコーダ6並びにパワー制御回路5に出力する。
【0119】ここで、図1に示したデータ記録装置Sと
異なる点は、LPF187、加算器184の間に、リー
ドラグフィルタ189が追加されていることである。そ
して、リードラグフィルタ189以外の動作は、図1に
示したデータ記録装置Sと同様である。
【0120】図9に上記構成のPLLのオープンループ
周波数特性を示す。同図の(A)で示す周波数特性カー
ブは、抽出ウォブル信号SWBを入力する位相比較器1
86、LPF187、リードラグフィルタ189、加算
器184、VCO185、分周器188を経由するルー
プのオープンループ周波数特性である。
【0121】図9の(A)の周波数特性カーブは、リー
ドラグフィルタ189のリード周波数をf3、ラグ周波
数をf4、LPF187のカットオフ周波数をf1とす
ると(ここで、f3<f4<f1)、f3以下の周波数
領域では−20dB/decの勾配、f3からf4間の
周波数領域では0dB/decの勾配、f4からf1間
の周波数領域では−20dB/decの勾配となる。
【0122】図7の(A)の周波数特性カーブに比べ、
図9の(A)はリードラグフィルタの作用により、f4
以下の周波数におけるゲインが低くなっている。図9の
(B)で示す周波数特性カーブは、プリピット検出信号
SPDを入力する位相比較器181、LPF182、積
分器183、加算器184、VCO185、分周器18
8を経由するループのオープンループ周波数特性であ
る。図9の(B)の周波数特性カーブは、図7の(B)
の周波数特性カーブと同様である。
【0123】図9の(C)で示す周波数特性カーブが、
上記構成のPLLの総合的なオープンループ周波数特性
であり、これは、図9の(A)と(B)のゲインを加算
したものである。
【0124】図9の(C)の周波数特性カーブは、図9
の(A)と(B)のゲインが一致する周波数f3を境界
に、低周波側では図9の(A)のゲインが支配的であ
り、−40dB/decの勾配を有し、高周波側では図
9の(B)のゲインが支配的であり、−20dB/de
cの勾配となる。
【0125】図9の(C)の周波数特性カーブは、図7
の(C)の周波数特性カーブと同様である。
【0126】前述のように、隣接するグルーブトラック
からのウォブル信号成分の漏れ込みによって、生じる当
該グルーブトラックからの抽出ウォブル信号SWBの時
間軸上での変動速度は、比較的遅い速度である。
【0127】また、図7に示したオープンループ周波数
特性の説明で述べたように、総合的なオープンループ周
波数特性は低周波領域では、図7の(B)のゲイン、す
なわち、プリピット検出信号SPDと、フィードバック
クロックSFBとの位相差に基づくループゲインが支配
的であるが、図8に示した実施例、すなわち、図9に示
した周波数特性では、図1に示した実施例に比べ、図9
の(A)のゲイン、すなわち抽出ウォブル信号SWB
と、フィードバッククロックSFBとの位相差に基づく
ループゲインは、リードラグフィルタの作用により、f
4以下の周波数におけるゲインがより低くなっている。
【0128】このため、比較的低い周波数で生じる抽出
ウォブル信号SWBの時間軸上での変動の影響が、時間
軸上での変動を伴わないプリピット検出信号SPDと、
フィードバッククロックSFBとの位相差に基づくルー
プゲインに抑圧される効果がより大きくなり、ディスク
の回転により高い精度で同期した記録用クロック信号を
生成することが可能となる。
【0129】次に、記録用クロック信号発生装置の別の
実施の形態を、図10を用いて説明する。この実施の形
態は本発明の請求項4に関わる記録用クロック信号発生
装置の具体例を示すものである。図10に示すデータ記
録装置Sの記録用クロック信号発生装置G以外の部分の
構成と動作は図1に基づいて示したものと略同一であ
る。
【0130】記録用クロック信号発生装置Gは、BPF
12、プリピット信号検出器13、ウォブル信号抽出器
15、PLL回路18のほか、ロック判定回路が追加さ
れている。
【0131】前述のように、グルーブトラックは、すべ
てのシンクフレームに140KHzの一定ウォブリング
周波数でウォブリングされているため、抽出ウォブル信
号SWBも140KHzの一定周波数になるのに対し、
プリピットは、プリ情報の内容などによって、形成され
たりされなかったりするため、プリピット検出信号SP
Dは、一定周波数とはならず間欠的な信号である。
【0132】本発明のPLL回路は、プリピット検出信
号SPDと、フィードバッククロックSFBとの位相差
に基づいて動作するが、このような間欠的な信号にロッ
クするPLL回路は、ロック開始時点の初期周波数を、
入力信号の周波数に近づけておかないと、入力信号にロ
ックできない場合がある。
【0133】ロック判定回路は、プリピット検出信号S
PDと、フィードバッククロックSFBとを入力し、P
LL回路18のロック状態を検出する。ロック状態の判
定は、たとえば、ある期間にわたって、プリピット検出
信号SPDのうち、B0に対応するものを抽出した数
と、フィードバッククロックSFBのパルス数の関係を
監視することなどによって実現できる。
【0134】PLL回路18は、位相比較器181、1
86、LPF182、187、スイッチ190、積分回
路183、加算回路184、VCO185、分周器18
8からなり、記録用クロック信号SCRとしてエンコー
ダ6並びにパワー制御回路5に出力する。
【0135】図1に示したデータ記録装置Sと異なる点
は、積分器183に、スイッチ190によって、LPF
182、187のいずれか一方が選択されて入力されて
いることである。スイッチ190以外の動作は、図1に
示したデータ記録装置Sと同様である。
【0136】スイッチ190は、ロック判定回路から出
力されるロック状態判定信号に応じて、非ロック状態で
はLPF187の出力信号を選択し、ロック状態ではL
PF182の出力信号を選択する。したがって、ロック
状態におけるPLL回路18の動作と周波数特性は、図
1に示したPLL回路と同様である。
【0137】まず、非ロック状態においては、積分器1
83には抽出ウォブル信号SWBを入力する位相比較器
186の出力がLPF187を通過した後に入力され
る。このため、PLL回路18は、プリピット検出信号
SPDとは関連なく、抽出ウォブル信号SWBだけにロ
ックするように動作する。また、抽出ウォブル信号SW
Bはプリピット検出信号SPDとは異なり、一定周波数
の信号であるため、PLL回路のロック動作は速やかに
行なわれる。
【0138】ロック動作が完了した時点では、積分器1
83の出力は、VCO185の発振周波数の定常偏差等
を補正できるだけの電圧レベルが保持されている。ま
た、ロック動作完了をロック判定回路が判定すると、積
分器183には、プリピット検出信号SPDを入力する
位相比較器181の出力がLPF182を通過した後に
入力される。
【0139】この切替によって、PLL回路18の動
作、周波数特性は図3のPLL回路と同様となるわけで
あるが、切替時点で、積分器183の出力は、VCO1
85の発振周波数の定常偏差等を補正できるだけの電圧
レベルが保持されているため、ロックはずれを起こすこ
となく、プリピット検出信号SPDに対するロック動作
が可能になる。
【0140】このため、本実施例では、クロストークの
影響を無視できないウォブル信号に基づいて生成される
クロック信号の時間軸上の変動を、クロストークの影響
を受けないプリピットを用いて補正するので、ディスク
の回転に高い精度で同期した記録用クロック信号を生成
することが可能となるほか、PLLのロックが速やかに
安定に行なわれる。
【0141】次に、記録用クロック信号発生装置の別の
実施の形態を、図11を用いて説明する。この実施の形
態は本発明の請求項5に関わる記録用クロック信号発生
装置の具体例を示すものである。
【0142】図11に示すデータ記録装置SのPLL回
路18以外の部分の構成と動作は、図10に示したもの
と略同一である。PLL回路18は、位相比較器18
1、186、LPF182、187、スイッチ190、
積分器183、リードラグフィルタ189、加算器18
4、VCO185、分周器188からなり、記録用クロ
ック信号SCRとしてエンコーダ6並びにパワー制御回
路5に出力する。
【0143】図10に示したデータ記録装置Sと異なる
点は、LPF187、加算器184の間に、リードラグ
フィルタ189が追加されていることである。この点
は、図8に示したものと同様である。
【0144】このため、本実施例では、図8に示した実
施形態と同様にして、比較的低い周波数で生じる抽出ウ
ォブル信号SWBの時間軸上での変動の影響が時間軸上
での変動を伴わないプリピット検出信号SPDと、フィ
ードバッククロックSFBとの位相差に基づくループゲ
インに抑圧される効果がより大きくなり、ディスクの回
転によって高い精度で同期した記録用クロック信号を生
成することが可能となる。
【0145】また、図10に示した実施形態と同様にP
LLのロックが速やかに且つ安定に行なわれる。
【0146】このようにして、図1に示した実施形態で
は、クロストークの影響を無視できないウォブル信号に
基づいて生成されるクロック信号の時間上の変動を、ク
ロストークの影響を受けないプリピットを用いて補正す
るので、ディスクの回転に高い精度で同期した記録用ク
ロック信号を生成することが可能となる。
【0147】また、図8に示した実施形態では、抽出ウ
ォブル信号SWBと、フィードバッククロックSFBと
の位相差に基づくループゲインは、リードラグフィルタ
の作用により、低周波領域のゲインがより低くなってい
る。
【0148】このため、比較的低い周波数で生じる抽出
ウォブル信号SWBの時間軸上での変動の影響が、時間
軸上での変動を伴わないプリピット検出信号SPDと、
フィードバッククロックSFBの位相差に基づくループ
ゲインに抑圧される効果がより大きくなり、ディスクの
回転により高い精度で同期した記録用クロック信号を生
成することが可能になる。
【0149】さらに、図10に示した実施形態では、ク
ロストークの影響を無視できないウォブル信号に基づい
て生成されるクロック信号の時間軸上の変動を、クロス
トークの影響を受けないプリピットを用いて補正するの
で、ディスクの回転に高い精度で同期した記録用クロッ
ク信号を生成することが可能となるほか、PLLのロッ
クが速やかに且つ安定に行なわれる。
【0150】さらにまた、図11の実施形態では、図8
に示した実施形態と同様に、比較的低い周波数で生じる
抽出ウォブル信号SWBの時間軸上での変動の影響が、
時間軸上での変動を伴わないプリピット検出信号SPD
と、フィードバッククロックSFBとの位相差に基づく
ループゲインに抑圧される効果がより大きくなり、ディ
スクの回転により高い精度で同期した記録用クロック信
号を生成することが可能になる。また、図10に示した
実施形態と同様にPLLのロックが速やかに且つ安定に
行なわれる。
【0151】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
るデータ記録装置の記録用クロック信号発生装置によれ
ば、隣接するグルーブトラックからのクロストークが存
在する場合であっても記録媒体の回転に正確に同期した
記録用クロック信号を低コストで生成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態のデータ記録装置の記録
用クロック信号発生装置の構成を示すブロック図であ
る。
【図2】光ディスク上のウォブリンググルーブとプリピ
ットの関係を示す図である。
【図3】図1に示すDVD−Rの記録フォーマット例を
示す図である。
【図4】図1に示すデータ記録装置の記録用クロック信
号発生装置の動作の説明に供する信号波形図である。
【図5】図1に示した位相比較器の構成を示すブロック
図である。
【図6】図5に示した位相比較器の動作の説明に供する
信号波形図である。
【図7】この発明の実施形態のPLL回路のオープンル
ープ周波数特性を示す線図である。
【図8】この発明の他の実施形態のデータ記録装置の記
録用クロック信号発生装置の構成を示すブロック図であ
る。
【図9】この発明の他の実施形態のPLL回路のオープ
ンループ周波数特性を示す線図である。
【図10】この発明のまた他の実施形態のデータ記録装
置の記録用クロック信号発生装置の構成を示すブロック
図である。
【図11】この発明のさらに他の実施形態のデータ記録
装置の記録用クロック信号発生装置の構成を示すブロッ
ク図である。
【符号の説明】
1:ピックアップ 2:スピンドルモータ 3:スピンドルドライバ 4:レーザ駆動回路 5:パワー制御回路 6:エンコーダ 7:インタフェース 8:再生増幅器 9:デコーダ 11:基準クロック発生器 12:BPF 13:プリピット信号検出器 14:プリピット信号デコーダ 15:ウォブル信号抽出器 17:位相比較器 18:PLL回路 19:ロック判定回路 31:DVD−R 181,186:位相比較器 182,187:LPF 183:積分器 184:加算器 185:VCO 188:分周器 189:リードラグフィルタ 190:スイッチ 300:ロジック回路 400:積分回路 500:サンプルホールド回路 G:記録用クロック信号発生装置 S:データ記録装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の周波数成分を有するウォブル信号
    でウォブリングしたデータ記録用トラックを有すると共
    に、当該ウォブル信号とは所定の位相関係を有するプリ
    ピットが形成された光ディスク等の記録媒体に、前記ウ
    ォブル信号に位相同期した記録用クロック信号に基づい
    てデータを記録するデータ記録装置の記録用クロック信
    号発生装置であって、 前記ウォブル信号を抽出するウォブル信号抽出手段と、 前記ウォブル信号と前記記録用クロック信号との位相を
    比較して第1の位相差信号を発生する第1の位相比較手
    段と、 前記プリピットを検出してプリピット検出信号を発生す
    るプリピット検出手段と、 前記プリピット検出信号と前記記録用クロック信号との
    位相を比較して第2の位相差信号を発生する第2の位相
    比較手段と、 前記第1の位相差信号と前記第2の位相差信号とに応じ
    た周波数制御信号を発生する周波数制御信号発生手段
    と、 前記周波数制御信号によって制御された周波数を有する
    前記記録用クロック信号を発生する発振手段とを備えた
    ことを特徴とする記録用クロック信号発生装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のデータ記録装置の記録用
    クロック信号発生装置において、 前記周波数制御信号発生手段は、前記第1の位相差信号
    を積分した信号と前記第2の位相差信号とを加算して周
    波数制御信号を出力するようにしたことを特徴とする記
    録用クロック信号発生装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のデータ記録装置の記録用
    クロック信号発生装置において、 前記周波数制御信号発生手段は、前記第1の位相差信号
    を積分した信号と前記第2の位相差信号の低周波成分を
    減衰した信号とを加算して周波数制御信号を出力するよ
    うにしたことを特徴とする記録用クロック信号発生装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のデータ記録装置の記録用
    クロック信号発生装置において、 前記記録用クロック信号と前記ウォブル信号との位相差
    に基づいて前記記録用クロック信号を発生する発振回路
    を備えたPLL回路と、 該PLL回路のロック状態を判定し、その判定結果に応
    じてロック状態検出信号を発生するロック状態検出手段
    を設け、 前記周波数制御信号発生手段は、前記ロック状態検出信
    号に応じて非ロック状態では前記第2の位相差信号のみ
    に応じた周波数制御信号を出力し、ロック状態では前記
    第1の位相差信号を積分した信号と前記第2の位相差信
    号とを加算して周波数制御信号を出力するようにしたこ
    とを特徴とする記録用クロック信号発生装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のデータ記録装置の記録用
    クロック信号発生装置において、 前記記録用クロック信号と前記ウォブル信号との位相差
    に基づいて前記記録用クロック信号を発生する発振回路
    とを備えたPLL回路と、 該PLL回路のロック状態を判定し、その判定結果に応
    じてロック状態検出信号を発生するロック状態検出手段
    を設け、 前記周波数制御信号発生手段は、前記ロック状態検出信
    号に応じて非ロック状態では前記第2の位相差信号のみ
    に応じた周波数制御信号を出力し、ロック状態では前記
    第1の位相差信号を積分した信号と前記第2の位相差信
    号の低周波成分を減衰した信号とを加算して周波数制御
    信号を出力するようにしたことを特徴とする記録用クロ
    ック信号発生装置。
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