JP3961338B2 - 光ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクにデータを記録する光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ビームを用いてデータを記録再生する光ディスク装置が種々開発されている。特に追記録可能な光ディスクとしてCD−R/RW、DVD−RAM、DVD−R/RWなどが開発されている。
【0003】
DVD−R/RWの場合、記録位置を特定するために、グルーブトラックの左右のランドトラックにランドプリピットと呼ばれる凸形状のピットが設けられている。ランドプリピットの検出はグルーブトラックに光ビームを照射したときに得られるプッシュプル信号を所定のスライスレベルで2値化することにより行う。
【0004】
さらに、回転する光ディスクの線速度に同期した記録クロック信号を得るためにトラックを所定の周期でうねりを持たせている。このうねりのことをウォブルと呼ぶ。ウォブルはランドプリピットと所定の位相関係を保つように配置されている。ウォブルの検出はランドプリピットと同様にプッシュプル信号を所定のスライスレベルで2値化することにより行う。ウォブルの周波数を検出しその周波数に対して所定の逓倍を行うことにより、記録マークの単位時間長さに対応した記録クロック信号を得ることができる。
【0005】
DVD−R/RWの記録は、一般的にはこのランドプリピット信号を基準に、ウォブルから得られた記録クロック信号に同期して行われる。その際、前に記録したデータがある場合は、前に記録したデータと新たに記録するデータとの間に隙間や上書きといった不連続が発生しないよう、非常に高精度な記録位置制御が要求される。
【0006】
ところが、DVD−R/RWのトラックピッチは0.74μmであり、同様に追記録可能な光ディスクであるCD−R/RWの1.6μmと比較してトラックピッチが半分以下と小さく、光ビームを照射しているトラックに隣接するトラックからの干渉(クロストーク)の影響がより顕著に表れる。このクロストークによるウォブルの振幅、位相の変動は、ウォブルの周波数に対して所定の逓倍することにより得られる記録クロックに少なからずジッタ成分として影響が現れる。ウォブルより抽出した記録クロックは主に記録データの同期等の、記録のタイミング生成に用いられるため、この記録クロックのジッタによって記録の位置ずれを引き起こす可能性がある。
【0007】
さらに、ランドプリピット信号自体も既に記録された記録マークとの干渉や、記録中の記録マーク形成中とその以外の状態での光ビームのパワー差等によリジッタ成分を持っている。
【0008】
したがって、ランドプリピット信号を基準に記録タイミングを決定し記録する場合、前に記録するデータと新たに記録するデータとの間に不連続が発生することがある。このような不連続は再生時のビット同期処理、フレーム同期処理に影響し、前に記録したデータと新たに記録したデータとの結合部を良好に再生できないといった問題が発生していた。
【0009】
そのような課題を解決する為に、「特開2000−187947号公報 光ディスク記録装置」に示す光ディスク装置のように、前に記録したデータに含まれる同期信号を再生し、その同期信号より新たに記録するデータのタイミングを調整するような方式が考案されている。
【0010】
また、前述したクロストークの影響や記録時の状態の差により、前に記録したデータから得られる再生クロックと新たに記録したデータから得られる再生クロックの周波数および位相が異なる場合がある。
【0011】
このような場合、前に記録したデータと新たに記録するデータとの結合部で再生クロックの周波数が安定するまで良好に再生できないといった問題が発生していた。
【0012】
そのような課題を解決する為に、「特開2000−298955号公報 情報記録装置および情報記録方法」に示す光ディスク装置のように、前に記録したデータより得られる再生クロックの周波数あるいは位相に記録クロックの周波数あるいは位相を同期させ、記録開始後、所定の時定数をもって記録クロックの周波数あるいは位相を本来のものに復帰させるような方式が考案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のような光ディスク装置においては、次にあげる問題があった。
【0014】
まず、前に記録したデータに含まれる同期信号を再生し、その同期信号より新たに記録するデータのタイミングを調整する場合、前に記録したデータのずれが新たに記録するデータにもずれが残留してしまう。
【0015】
また、前に記録したデータより得られる再生クロックの周波数あるいは位相に記録クロックの周波数あるいは位相を同期させ、記録開始後、所定の時定数をもって記録クロックの周波数あるいは位相を本来のものに復帰させる場合、記録開始後の記録クロックの周波数あるいは位相が変化する過渡状態において発生する記録クロックの周波数誤差が積算し、記録位置にタイミング誤差が発生し、新たに記録するデータにずれが発生してしまう。
【0016】
これらの記録位置ずれは、追記をするたびに蓄積し、大きなずれを引き起こす可能性がある。
【0017】
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、以前に記録したデータに新たにデータを追記する場合において、以前に記録したデータと新たに記録するデータとの連続性を確保しつつ、記録位置のずれが蓄積されることを防止する光ディスク装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ディスク装置は、光ディスクに記録されているデータに連続するように新たなデータを前記光ディスクに記録する記録手段と、前記データが記録されている位置と前記データが本来記録されるべき位置とのずれ量を検出する検出手段と、前記新たなデータの終端を記録する位置と前記新たなデータの終端が本来記録されるべき位置とのずれ量が前記検出手段によって検出されたずれ量より小さくなるように、前記新たなデータを記録する位置を調整する調整手段とを備え、これにより、上記目的が達成される。
【0019】
前記調整手段は、前記新たなデータの終端を記録する位置と前記新たなデータの終端が本来記録されるべき位置とのずれ量が実質的にゼロとなるように、前記新たなデータを記録する位置を調整してもよい。
【0020】
前記記録手段は、記録クロックに同期して、前記新たなデータを前記光ディスクに記録し、前記調整手段は、前記記録クロックの周波数を制御することによって、前記新たなデータを記録する位置を調整してもよい。
【0021】
前記光ディスク装置は、前記記録クロックの基準周波数を検出する基準周波数検出手段をさらに備え、前記調整手段は、前記記録クロックの周波数が前記基準周波数に近づくように前記記録クロックの周波数を制御してもよい。
【0022】
本発明の他の光ディスク装置は、光ディスクに予め形成されている所定のプリピットを検出し、前記所定のプリピットを検出したことに応答してプリピットシンク検出信号を出力するプリピットシンク検出回路と、前記光ディスクに記録されているデータに含まれる所定の同期信号を検出し、前記同期信号を検出したことに応答してデータシンク検出信号を出力するデータシンク検出回路と、記録クロックを生成する記録クロック生成回路と、前記データシンク検出信号を基準に、前記記録クロックに同期して、新たなデータを前記光ディスクに記録する記録回路系とを備え、前記記録クロック生成回路は、前記プリピットシンク検出信号と前記データシンク検出信号との時間的なずれを検出し、前記検出された時間的なずれを補正するように前記記録クロックの周波数を制御し、これにより、上記目的が達成される。
【0023】
前記記録クロック生成回路は、前記プリピットシンク検出信号を基準に、前記記録クロックに同期した第1の矩形波を生成する第1のタイミング信号生成器と、前記データシンク検出信号を基準に、前記記録クロックに同期した第2の矩形波を生成する第2のタイミング信号生成器と、前記第1の矩形波の位相と前記第2の矩形波の位相との差がゼロに近づくように前記記録クロックの周波数を制御する制御回路とを含んでいてもよい。
【0024】
前記第1のタイミング信号生成器は、前記記録クロックを分周することにより前記第1の矩形波を生成し、前記第2のタイミング信号生成器は、前記記録クロックを分周することにより前記第2の矩形波を生成してもよい。
【0025】
前記記録クロック生成回路は、前記プリピットシンク検出信号に応答して第1の所定値にプリセットされる第1のタイマーと、前記データシンク検出信号に応答して第2の所定値にプリセットされる第2のタイマーと、前記第1のタイマーの値と前記第2のタイマーの値との差がゼロに近づくように前記記録クロックの周波数を制御する制御回路とを含んでいてもよい。
【0026】
前記第1のタイマーと前記第2のタイマーとは、前記記録クロックに同期して動作してもよい。
【0027】
前記光ディスクには、所定の周期のウォブルを有するトラックが形成されており、前記光ディスク装置は、前記ウォブルを検出し、前記ウォブルの周波数を示すウォブル信号を出力するウォブル検出回路をさらに備え、前記記録クロック生成回路は、前記ウォブル信号に応じて、前記記録クロックの周波数を制御してもよい。
【0028】
前記記録クロック生成回路は、前記新たなデータの記録を開始する前は、前記ウォブル信号に応じて前記記録クロックの周波数を制御し、前記新たなデータの記録を開始した後は、前記ウォブル信号と前記検出された時間的なずれとに応じて前記記録クロックの周波数を制御してもよい。
【0029】
前記光ディスク装置は、前記光ディスクに記録されているデータから再生クロックを生成する再生クロック生成回路をさらに備え、前記記録クロック生成回路は、前記新たなデータの記録を開始する前は、前記再生クロックに応じて前記記録クロックの周波数を制御し、前記新たなデータの記録を開始した後は、前記ウォブル信号と前記検出された時間的なずれとに応じて前記記録クロックの周波数を制御してもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】
はじめに、本発明における光ディスク装置で記録再生する光ディスクの一例として、DVD−R/RW(Digital Versatile Disk−Recordable/Re-Recordable)規格に準拠した光ディスクについて説明する。
【0031】
図10は、DVD−R/RW規格に準拠した光ディスクの構成を示す。
【0032】
この光ディスクは、螺旋上に形成された記録溝(グルーブトラック)を有している。グルーブトラックに光ビームが照射されると、グルーブトラックの記録膜の光学的特性が変化する。その結果、グルーブトラックの上に記録マークが形成される。このようにして、グルーブトラックにデータが記録される。なお、記録膜の材料としては、有機色素または相変化材料などが使用される。
【0033】
記録されるデータは、1以上のECC(Error Correction Code)ブロックを含む。ECCブロックとは、誤り訂正の最小単位である。
【0034】
ECCブロックは、16個のセクタ(セクタ0〜セクタ15)を含む。16個のセクタのそれぞれは、26個のフレーム(フレーム0〜フレーム25)を含む。
【0035】
26個のフレームのそれぞれは、2バイトの同期信号(SY)と、1488Tのデータ(すなわち、32Tのシンクコードと1456Tのデータコード)とを含む。32Tのシンクコードと1456Tのデータコードとは、91バイトのデータを8−16変調することによって得られる。ここで、「1T」とは、記録マークの単位時間長さのことをいう。「1T」は、DVD−R/RWの標準速度では、38.2ns(1/(26.16MHz))に相当する。
【0036】
シンクコードは「14Tの長さを有する記録マークと4Tの長さを有するスペース」を含むコード、あるいは、「14Tの長さを有するスペースと4Tの長さを有する記録マーク」を含むコードである。ここで、スペースとは、記録マークと記録マークとに挟まれた領域をいう。
【0037】
各セクタの先頭フレーム(フレーム0)には、データIDと呼ばれる4バイトの番地情報とIED(ID Error Detection code)と呼ばれる2バイトのID誤り検出コードが設けられている。
【0038】
グルーブトラックは、所定の周期のうねり(ウォブル)を有している。このウォブルの周波数は、DVD−R/RWの標準速度では約140.6KHzである。ウォブルの周波数を186逓倍(140.6KHz×186=26.16MHz)することにより、記録マークの単位時間長さのクロック信号を得ることができる。すなわち1ウォブルは186T周期であり、1フレーム(1488T)に8ウォブルある計算になる。
【0039】
また、光ディスク上には記録の位置基準および物理番地情報として、グルーブトラックとグルーブトラックとの間のランドトラックに、ランドプリピット(LPP、Land Pre−Pit)と呼ばれるピットが光ディスクの製造過程において予め形成されている。
【0040】
ランドプリピットは、光ビームが照射される面より見て凸形状を有している。ランドプリピットは、内周側のグルーブトラックと対応づけられ、内周側のグルーブトラックのウォブルの頂点に位置している。
【0041】
1セクタに含まれる26個のフレームのうち、偶数番目のフレームはEVENフレームと呼ばれ、奇数番目のフレームはODDフレームと呼ばれる。特に、セクタの先頭フレーム(フレーム0)はEVENシンクフレームと呼ばれ、セクタの2番目のフレーム(フレーム1)はODDシンクフレームと呼ばれる。
【0042】
原則として、EVENフレームの8ウォブルのうち先頭3ウォブルの頂点位置に(表1)に示す変換を行ったLPPコードが配置されている。しかし、グルーブトラックからみて内周側と外周側のLPPコードが重なる場合には、例外的に、外周側のLPPコードをODDフレームにシフトして配置することになっている。隣接するLPPコードが互いに干渉(クロストーク)することを防ぐためである。
【0043】
1セクタに含まれる13個のLPPコードを(表1)のテーブルを用いて変換することにより、1セクタにつき、13ビットの情報(シンクコード1ビットと12ビットのLPP情報)を得ることができる。
【0044】
【表1】
図11は、13ビットの情報(シンクコード1ビットと12ビットのLPP情報)の構成を示す。この情報は、ECCブロック(16セクタ)単位で1まとまりになっている。12ビットのLPP情報のうち先頭の4ビット(bit1〜bit4)は、RA(Relative Address)と呼ばれ、ECCブロック内のセクタ番号を示す。12ビットのLPP情報のうち残りの8ビット(bit5〜bit12)は、ECCブロックにつき2対のECCブロックアドレス(以下、プリピットアドレスという)と誤り訂正コード(パリティ)とを示す。
【0045】
図12は、DVD−R/RW規格に準拠した光ディスクにデータを記録するタイミングを説明するための図である。DVD−R/RW規格では、データはECCブロック単位に記録される。データの記録開始位置は、ECCブロックの境界から18バイト後方にずれた位置である。データの記録終了位置も、ECCブロックの境界から18バイト後方にずれた位置である。このように、以前に記録したデータの終端はECCブロックの境界から18バイト後方にずれた位置となるため、新たなデータの記録をECCブロックの境界から18バイト後方にずれた位置から開始するようにすれば、既に記録したデータと新たに記録するデータとの結合部でデータの不連続が生じることがない。
【0046】
新たなデータのシンクコードに含まれる14Tの長さのマークまたはスペースの中心が記録されるグルーブトラック上の円周方向の位置と、そのグルーブトラックに隣接するランドトラックに配置されたランドプリピットの円周方向の位置とがほぼ一致するように、新たなデータはグルーブトラックに記録される。
【0047】
既に記録したデータに結合して新たなデータを記録することをリンキングという。既に記録したデータと新たに記録するデータとの結合部でデータの不連続が発生しないようにリンキングを行うためには非常に高い精度で記録位置を制御することが要求される。
【0048】
図13Aは、既に記録したデータの記録位置が前方にずれている場合におけるリンキングを説明するための図である。この場合には、既に記録したデータと新たに記録するデータとの結合部に隙間が生じてしまう。
【0049】
図13Bは、既に記録したデータの記録位置が後方にずれている場合におけるリンキングを説明するための図である。この場合には、既に記録したデータと新たに記録するデータとの結合部でデータの重ね書きが生じてしまう。
【0050】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態1の光ディスク装置100を説明する。同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0051】
図1は、本発明による実施の形態1の光ディスク装置100の構成を示す。
【0052】
光ディスク装置100は、光ディスク1に情報を記録し、または、光ディスク1に記録された情報を再生する。光ディスク装置100は、スピンドルモータ2と、ピックアップ3と、モータドライバ4と、パワー制御回路5と、光ビーム駆動回路6と、再生増幅回路7と、プリピット再生回路8と、ウォブル再生回路9と、データ再生回路10と、再生クロック生成回路11と、プリピットウィンドウ保護回路12と、プリピットシンク検出回路13と、プリピット復調回路14と、プリピットアドレス抽出回路15と、データシンク検出回路16と、データシンクウィンドウ保護回路17と、8−16復調回路18と、データID抽出回路19と、記録クロック生成回路20と、ロック検出回路21と、システムコントローラ22と、記録制御回路23と、誤り訂正回路24と、8−16変調回路25とを含む。
【0053】
モータドライバ4は、光ディスク1が所定の回転周波数で回転するようにスピンドルモータ2を駆動する。
【0054】
ピックアップ3は、所定の再生パワーを有する光ビームを光ディスク1に照射する。ピックアップ3から出力される光ビームは、光ビーム駆動回路6から出力される駆動信号によって駆動される。光ビーム駆動回路6は、パワー制御回路5から出力される再生パワー制御信号に基づいて制御される。
【0055】
光ディスク1に照射された光ビームは、光ディスク1によって反射されてピックアップ3に入射する。光ディスク1からの反射光は、光ビームが照射された記録膜の光学的特性、物理的特性に応じた性質を有している。
【0056】
ピックアップ3は、複数の受光回路(図示せず)を備え、入射する反射光の光量をそれぞれ電気信号に変換する。
【0057】
再生増幅回路7は、複数の受光回路による変換によって得られた電気信号を全加算し、その全加算した信号をさらに増幅することにより、RF(Radio Frequency)信号を生成する。また、再生増幅回路7は、トラックに対してほぼ平行に分割された受光回路によってそれぞれ変換された電気信号の差を示す差信号を求め、その差信号さらに増幅することにより、プッシュプル信号を生成する。
【0058】
プリピット再生回路8は、プッシュプル信号のレベルと所定のスライスレベルとを比較するコンパレータ(図示せず)を備え、プッシュプル信号のレベルが所定のスライスレベルより大きい場合にはHレベルの信号を出力し、プッシュプル信号のレベルが所定のスライスレベルより小さい場合にはLレベルの信号を出力する。このようにして、パルス状のプリピット信号がプリピット再生回路8から出力される。ここで、所定のスライスレベルは、プッシュプル信号のランドプリピット部分の最大レベルとプッシュプル信号のウォブルによる揺らぎ部分の最大レベルとのほぼ中間値となるように設定される。
【0059】
ウォブル再生回路9は、ウォブルの周波数(DVD−R/RWの標準速度で140.6kHz近傍)成分が通過するBPF(Band Pass Filter)(図示せず)と、BPFによりノイズ成分およびランドプリピット成分が除去された後の信号のレベルと所定のスライスレベルとを比較するコンパレータ(図示せず)とを備え、その信号のレベルが所定のスライスレベルより大きい場合にはHレベルの信号を出力し、その信号のレベルが所定のスライスレベルより小さい場合にはLレベルの信号を出力する。このようにして、ウォブルの周波数を表す矩形波状のウォブル信号がウォブル再生回路9から出力される。ここで、所定のスライスレベルは、ウォブル信号の振幅のほぼ中間値となるように設定される。
【0060】
データ再生回路10は、RF信号のレベルと所定のスライスレベルとを比較するコンパレータ(図示せず)を備え、RF信号のレベルが所定のスライスレベルより大きい場合にはHレベルの信号を出力し、RF信号のレベルが所定のスライスレベルより小さい場合にはLレベルの信号を出力する。このようにして、矩形波状のデータ再生信号がデータ再生回路10から出力される。ここで、所定のスライスレベルは、所定の区間において、RF信号を2値化した信号のHレベルの積分値とRF信号を2値化した信のLレベルの積分値とがほぼ等しくなるように設定される。
【0061】
再生クロック生成回路11は、データ再生信号のHレベルあるいはLレベルの最小の長さ(3T)に再生クロックの3周期が入り、データ再生信号のHレベルあるいはLレベルの最大の長さ(14T)に再生クロックの14周期が入るように再生クロックの周波数を制御することにより、1Tの長さに相当する周波数を有する再生クロックを生成する。
【0062】
プリピットウィンドウ保護回路12は、プリピット再生回路8から以前に出力されたプリピット信号のタイミングに基づいて次のプリピット信号がプリピット再生回路8から出力されるタイミングを予測し、その予測されたタイミング以外でプリピット再生回路8から出力されたプリピット信号を除外する。これにより、プリピットの誤検出を低減することが可能になる。
【0063】
プリピットシンク検出回路13は、プリピットウィンドウ保護回路12から出力されるプリピット信号の中から、所定のプリピット(例えば、セクタの先頭フレーム(フレーム0)に対応づけて予め形成されているランドプリピット)に相当するプリピットシンク検出信号を抽出する。
【0064】
なお、プリピットウィンドウ保護回路12は省略してもよい。プリピットウィンドウ保護回路12の有無にかかわらず、プリピットシンク検出回路13は、光ディスク1に予め形成されている所定のプリピット(例えば、セクタの先頭フレーム(フレーム0)に対応づけて予め形成されているランドプリピット)を検出し、その所定のプリピットを検出したことに応答してプリピットシンク検出信号を出力するように動作する。
【0065】
プリピット復調回路14は、プリピットシンク検出信号に同期して、プリピット信号を(表1)に従って変換する。これにより、4ビットのRA(Relative Address)と8ビットのデータとを含むLPP情報が得られる。
【0066】
プリピットアドレス抽出回路15は、LPP情報に含まれるRAに基づいてLPP情報に含まれるデータをメモリに格納し、メモリに格納されたデータに対して所定の誤り訂正を行い、メモリに格納されたデータからプリピットアドレスを抽出する。
【0067】
データシンク検出回路16は、データ再生信号を再生クロックのタイミングで同期化することにより、光ディスク100に記録されたデータに含まれる所定の同期信号を検出し、その所定の同期信号を検出したことに応答してデータシンク検出信号を出力する。ここで、光ディスク100に記録されたデータに含まれる所定の同期信号とは、例えば、「14Tの長さを有する記録マークと4Tの長さを有するスペース」を含むシンクコード、または、「14Tの長さを有するスペースと4Tの長さを有する記録マーク」を含むシンクコードである。
【0068】
データシンクウィンドウ保護回路17は、データシンク検出回路16から以前に出力されたデータシンク検出信号のタイミングに基づいて次のデータシンク検出信号がデータシンク検出回路16から出力されるタイミングを予測し、その予測されたタイミング以外でデータシンク検出回路16から出力されたデータシンク検出信号を排除する。これにより、光ディスク1に記録されたデータに含まれる所定の同期信号(例えば、シンクコード)の誤検出を低減することが可能になる。
【0069】
8−16復調回路18は、データシンクウィンドウ保護回路17から出力されるデータシンク検出信号に応答して、データ再生信号に対して8−16復調を行い、復調データを出力する。
【0070】
なお、データシンクウィンドウ保護回路17は省略してもよい。この場合、8−16復調回路18は、データシンク検出回路16から出力されるデータシンク検出信号に応答して、データ再生信号に対して8−16復調を行い、復調データを出力するようにすればよい。
【0071】
データID抽出回路19は、復調データからデータIDを抽出する。
【0072】
記録クロック生成回路20は、記録クロックを生成するとともに、プリピットシンク検出信号とデータシンク検出信号との時間的なずれを検出し、その検出された時間的なずれを補正するように記録クロックの周波数を制御する。記録クロック生成回路20の構成は後述する。
【0073】
ロック検出回路21は、記録クロックが所定周波数の範囲内でかつ安定していることを検出し、ロック信号を出力する。
【0074】
システムコントローラ22は、抽出されたプリピットアドレスあるいはデータIDを参照してピックアップ3がデータを記録すべき位置に到達したことを確認し、かつ、記録クロックが安定したことを示すロック信号を検出した場合に、記録制御回路23に記録の指示を行う。
【0075】
記録制御回路23は、システムコントローラ22からの記録指示に基づいて記録動作を制御する。具体的には、記録制御回路23は、記録開始点の直前にデータが記録されているか否かを判定し、記録開始点の直前にデータが記録されていない場合にはプリピット信号に基づいて記録開始点を決定し、記録開始点の直前にデータが記録されている場合にはデータシンク検出信号に基づいて記録開始点を決定する。
【0076】
記録開始点の直前にデータが記録されているか否かを判定は、例えば、リードイン領域に記録されているTOC情報を参照することによって行われる。あるいは、RF信号の振幅が一定以上であるか否かに応じて記録開始点の直前にデータが記録されているか否かを判定するようにしてもよいし、同期信号の検出が一定以上あるか否かに応じて記録開始点の直前にデータが記録されているか否かを判定するようにしてもよい。
【0077】
このように、記録開始点の直前にデータが記録されている場合には、データシンク検出信号に基づいて記録開始点を決定することにより、その記録されているデータに連続するように新たなデータの記録を開始することが可能になる。従って、記録制御回路23は、誤り訂正回路14、8−16変調回路25、パワー制御回路5、光ビーム駆動回路6およびピックアップ3とともに、光ディスクに記録されているデータに連続するように新たなデータを光ディスク100に記録する記録手段として機能し得る。
【0078】
記録制御回路23は、記録ゲート信号を出力する。例えば、記録ゲート信号が活性化状態(Hレベル)であることは記録を許可することを示し、記録ゲート信号が非活性化状態(Lレベル)であることは記録を禁止することを示す。この場合には、記録ゲート信号が非活性化状態(Lレベル)から活性化状態(Hレベル)に遷移する点(すなわち、記録ゲート信号の立ち上がりエッジ)が記録開始点に相当する。
【0079】
記録ゲート信号が活性化されると、誤り訂正回路24は、記録されるデータに誤り訂正コードを付加する。8−16変調回路25は、誤り訂正回路24から出力される信号を8−16変調し、その結果得られる変調信号を記録クロックに同期して出力する。
【0080】
また、記録ゲート信号が活性化されると、パワー制御回路5は、記録パワー制御信号を光ビーム駆動回路6に出力する。
【0081】
光ビーム駆動回路6は、所定のライトストラテジに基づいて2値の変調信号を所定のパルスパターンを有する駆動信号に変換し、その駆動信号を出力する。
【0082】
ピックアップ3は、駆動信号に応じた光ビームを光ディスク1に照射し、記録膜の光学的特性を変化させることにより記録マークを形成する。
【0083】
以下、記録クロック生成回路20の構成を詳細に説明する。
【0084】
図1に示されるように、記録クロック生成回路20は、第1のタイミング信号生成器26と、第2のタイミング信号生成器27と、位相差検出器28と、フィルタ29と、PLL30とを含む。
【0085】
第1のタイミング信号生成器26は、プリピットシンク検出信号を基準に、記録クロックに同期した第1の矩形波を生成する。このような第1の矩形波は、例えば、記録クロックに同期してカウント値を1つずつ増加させるカウンタ(第1のカウンタ)を用いて生成され得る。第1のカウンタのカウント値は、記録ゲート信号の状態(活性化状態または非活性化状態)にかかわらず、プリピットシンク検出信号に応答して所定値(A)にプリセットされる。第1のタイミング信号生成器26は、第1のカウンタのカウント値が所定値(B)に到達すると、第1の矩形波のレベルをHレベルからLレベルに遷移させ、第1のカウンタのカウント値が所定値(C)に到達すると、第1の矩形波のレベルをLレベルからHレベルに遷移させる。
【0086】
なお、第1のカウンタのカウント値が所定値(D)に到達すると、第1のカウンタのカウント値が「0」にリセットされる。その後、第1のカウンタのカウント値は、記録クロックに同期して再び1つずつ増加される。このようにして、HレベルとLレベルとを交互に繰り返す第1の矩形波が第1のタイミング信号生成器26から出力される。
【0087】
第2のタイミング信号生成器27は、データシンク検出信号を基準に、記録クロックに同期した第2の矩形波を生成する。このような第2の矩形波は、例えば、記録クロックに同期してカウント値を1つずつ増加させるカウンタ(第2のカウンタ)を用いて生成され得る。第2のカウンタのカウント値は、記録ゲート信号が非活性化状態にある場合に限り、データシンク検出信号に応答して所定値(E)にプリセットされる。第2のタイミング信号生成器26は、第2のカウンタのカウント値が所定値(B)に到達すると、第2の矩形波のレベルをHレベルからLレベルに遷移させ、第2のカウンタのカウント値が所定値(C)に到達すると、第2の矩形波のレベルをLレベルからHレベルに遷移させる。
【0088】
なお、第2のカウンタのカウント値が所定値(D)に到達すると、第2のカウンタのカウント値が「0」にリセットされる。その後、第2のカウンタのカウント値は、記録クロックに同期して再び1つずつ増加される。このようにして、HレベルとLレベルとを交互に繰り返す第2の矩形波が第2のタイミング信号生成器27から出力される。
【0089】
なお、所定値(A)および所定値(E)は、新たなデータがグルーブトラック上の理想的な位置(すなわち、新たなデータのシンクコードに含まれる14Tの長さのマークまたはスペースの中心が記録されるグルーブトラック上の円周方向の位置とそのグルーブトラックに隣接するランドトラックに配置されたランドプリピットの円周方向の位置とが一致する位置)に記録された場合に、第1の矩形波の位相と第2の矩形波の位相との差が実質的に0になるように予め設定される。ここで、本明細書では、「実質的に0」とは、光ディスク装置100の設計上許容し得る0を含む所定の範囲を包含することを意味する。
【0090】
また、所定値(D)は、ウォブル1周期の長さの倍数に等しくなるように予め設定される。
【0091】
このように、第1のタイミング信号生成器26と第2のタイミング信号生成器27とは、光ディスク1に記録されているデータに新たなデータを追記する場合において、光ディスク1に記録されているデータの位置とそのデータが本来記録されるべき位置とのずれ量を検出する検出手段として機能する。光ディスク1に記録されているデータの位置は、例えば、データシンク検出信号に基づいて求められる。そのデータが本来記録されるべき位置は、例えば、プリピットシンク検出信号に基づいて求められる。
【0092】
位相差検出器28は、第1の矩形波の位相と第2の矩形波の位相との差を示す第1の位相差信号を出力する。なお、記録ゲート信号が活性化状態にある場合に限り、位相差検出器28が動作するようにしてもよい。
【0093】
フィルタ29は、第1の位相差信号の時間変化量を制限し、その制限された時間変化量を有する第1の位相差信号を補正量信号としてPLL30に出力する。このように第1の位相差信号の時間変化量を制限する理由は、光ディスク装置100によって記録されたデータを再生するデータ再生用PLLおいて再生クロックの生成が十分に追従できるように応答速度を調整するためである。従って、このような応答速度の調整が不要な場合には、フィルタ29は省略され得る。フィルタ29は、例えば、LPFによって実現され得る。
【0094】
PLL30は、補正量信号が実質的にゼロレベル(すなわち、第1の矩形波の位相と第2の矩形波の位相との差が「0」)に近づくように記録クロックの周波数を制御する。
【0095】
このように、位相差検出器28とフィルタ29とPLL30とは、第1の矩形波の位相と第2の矩形波の位相との差が0に近づくように記録クロックの周波数を制御する制御回路として機能する。
【0096】
さらに、位相差検出器28とフィルタ29とPLL30とは、光ディスク1に記録されているデータに新たなデータを追記する場合において、光ディスク1に記録されているデータの位置がそのデータが本来記録されるべき位置からずれている場合であっても、新たなデータの終端を記録する位置が新たなデータの終端が本来記録されるべき位置に一致するように(すなわち、新たなデータの終端を記録する位置と新たなデータの終端が本来記録されるべき位置とのずれ量が実質的にゼロとなるように)、新たなデータを記録する位置を調整する調整手段として機能する。新たなデータを記録する位置は、例えば、記録クロックの周波数を調整することによって調整され得る。
【0097】
なお、上記調整手段は、上述した場合において、新たなデータの終端を記録する位置と新たなデータの終端が本来記録されるべき位置とのずれ量が、光ディスク1に記録されているデータの位置とそのデータが本来記録されるべき位置とのずれ量より小さくなるように、新たなデータを記録する位置を調整するようにしてもよい。
【0098】
さらに、光ディスク装置100が記録クロックの基準周波数を検出する基準周波数検出手段をさらに備えている場合には、上記調整手段は、記録クロックの周波数がその基準周波数に近づくように、記録クロックの周波数を制御するようにしてもよい。例えば、ウォブル再生回路9(図1)は、基準周波数検出手段として機能し得る。ウォブル再生回路9から出力されるウォブル信号の周波数を記録クロックの基準周波数として使用することができるからである。
【0099】
図2は、PLL30の構成を示す。
【0100】
PLL30は、ノイズフィルタ31と、位相比較器32と、チャージポンプ33と、第1のLPF34と、VCO35と、分周器36と、位相差検出器37と、加算器38と、第2のLPF39と、位相シフト器40とを含む。
【0101】
ノイズフィルタ31は、ウォブル信号に含まれる所定量以下のHパルスおよびLパルスをノイズとして除去する。
【0102】
位相比較器32は、ノイズが除去されたウォブル信号の位相と位相シフト器40から出力される移相分周クロックの位相とを比較し、それらの信号の位相差を示す第2の位相差信号を出力する。
【0103】
チャージポンプ33は、第2の位相差信号を電圧レベル信号に変換する。第1のLPF34は電圧レベル信号から高域成分を除去する。高域成分が除去された電圧レベル信号がVCO35に入力される。
【0104】
VCO35は、電圧レベル信号に対応した周波数で発振することにより、記録クロックを生成する。
【0105】
分周器36は、記録クロックを186分周することにより得られる分周クロックを出力する。
【0106】
位相差検出器37は、プリピット信号が入力されるたびに、プリピット信号の位相とウォブル信号の位相との差を検出し、検出された位相差を示す第3の位相差信号を出力する。
【0107】
第2のLPF39は、第3の位相差信号から高域成分を除去し、時間変化量に制限をつけて出力する。
【0108】
加算器38は、第2のLPF39の出力信号と補正量信号とを加算し、加算補正量信号を生成する。
【0109】
位相シフト器40は、分周クロックの位相を加算補正量信号に応じて移相することにより、移相分周クロックを位相比較器32に出力する。
【0110】
次に、図3〜図5を参照して、本来記録されるべき位置からずれた位置にデータが記録されている場合において、その記録されているデータとの連続性を確保しつつ、その記録位置のずれの蓄積を防止するように、新たなデータを光ディスク1に記録する光ディスク装置100の動作を説明する。
【0111】
図3は、光ディスク1に記録されているデータの位置が本来記録されるべき位置より前方にずれている場合における、プリピット信号、プリピットシンク検出信号およびデータシンク検出信号の波形の一例を示す。
【0112】
プリピット信号は、プリピット再生回路8(図1)から出力される。プリピットシンク検出信号は、プリピットシンク検出回路13(図1)から出力される。データシンク検出信号は、データシンク検出回路16(図1)から出力される。
【0113】
第1のタイミング信号生成器26は、プリピットシンク検出信号に基づいて、第1の矩形波を出力する。第2のタイミング信号生成器27は、データシンク検出信号に基づいて、第2の矩形波を出力する。
【0114】
図4は、図3に示される場合における、第1のタイミング信号生成器26および第2のタイミング信号生成器27の動作を示す。
【0115】
第1のタイミング信号生成器26に内蔵されるカウンタ(第1のカウンタ)は、記録クロックに同期してカウント値を1つずつ増加させる。第1のカウンタのカウント値は、プリピットシンク検出信号に応答して「24」にプリセットされる。第1のタイミング信号生成器26は、第1のカウンタのカウント値が「46」に到達すると、第1の矩形波のレベルをHレベルからLレベルに遷移させ、第1のカウンタのカウント値が「139」に到達すると、第1の矩形波のレベルをLレベルからHレベルに遷移させる。
【0116】
なお、第1のカウンタのカウント値が「185」に到達すると、第1のカウンタのカウント値が「0」にリセットされる。その後、第1のカウンタのカウント値は、記録クロックに同期して再び1つずつ増加される。このようにして、HレベルとLレベルとを交互に繰り返す第1の矩形波が第1のタイミング信号生成器26から出力される。第1の矩形波の周期は186Tである。従って、第1の矩形波は、第1のタイミング信号生成器26が記録クロックを分周することにより生成され得る。
【0117】
第2のタイミング信号生成器27に内蔵されるカウンタ(第2のカウンタ)は、記録クロックに同期してカウント値を1つずつ増加させる。第2のカウンタのカウント値は、データシンク検出信号に応答して「32」にプリセットされる。第2のタイミング信号生成器27は、第2のカウンタのカウント値が「46」に到達すると、第2の矩形波のレベルをHレベルからLレベルに遷移させ、第2のカウンタのカウント値が「139」に到達すると、第2の矩形波のレベルをLレベルからHレベルに遷移させる。
【0118】
なお、第2のカウンタのカウント値が「185」に到達すると、第2のカウンタのカウント値が「0」にリセットされる。その後、第2のカウンタのカウント値は、記録クロックに同期して再び1つずつ増加される。このようにして、HレベルとLレベルとを交互に繰り返す第2の矩形波が第2のタイミング信号生成器27から出力される。第2の矩形波の周期は186Tである。従って、第2の矩形波は、第2のタイミング信号生成器27が記録クロックを分周することにより生成され得る。
【0119】
光ディスク1に記録されているデータの位置が本来記録されるべき位置に一致している場合(すなわち、光ディスク1に記録されているデータの位置ずれがない場合)には、第1の矩形波と第2の矩形波とは、それらの位相差が実質的に「0」となるように調整されている。従って、光ディスク1に記録されているデータの位置が本来記録されるべき位置より前方にずれている場合には、図4に示されるように、第1の矩形波より前に位相がずれた状態で第2の矩形波が出力されることになる。
【0120】
その後、所定の条件が満たされると、システムコントローラ22は、記録の指示を記録制御回路23に出力する。
【0121】
記録制御回路23は、記録の指示に従って記録ゲート信号を活性化するとともに、データシンク検出信号を基準に、記録クロックに同期して新たなデータを光ディスク1に記録するように、記録回路系(誤り訂正回路24、8−16変調回路25、パワー制御回路5および光ビーム駆動回路6)を制御する。
【0122】
記録回路系(誤り訂正回路24、8−16変調回路25、パワー制御回路5および光ビーム駆動回路6)は、データシンク検出信号を基準に、記録クロックに同期して新たなデータを光ディスク1に記録する。
【0123】
図5は、図3に示される場合における、各信号の波形と、各回路の動作とを示す。
【0124】
記録ゲート信号が活性化されると、記録回路系の各回路は記録動作を開始するとともに、第2のタイミング信号生成器27に内蔵される第2のカウンタのプリセットを禁止する。これにより、光ディスク1に記録されているデータの位置が本来記録されるべき位置より前方にずれている場合には、記録開始直後においては、第1の矩形波より前に位相がずれた状態で第2の矩形波が出力される。記録開始後においては、記録位置のずれの補正に応じて第1の矩形波と第2の矩形波との位相差が変化する。
【0125】
位相差検出器28は、第1の矩形波と第2の矩形波との位相差を検出し、第1の位相差信号を出力する。フィルタ29は、この第1の位相差信号に時間変化量に制限をつけた補正量信号を出力する。
【0126】
記録開始前は、PLL30は、プリピット信号とウォブル信号とに応じて記録クロックの周波数を制御する状態にある。記録開始後は、PLL30は、補正量信号をPLL30のループに加算することにより、プリピット信号とウォブル信号に加えてさらに補正量信号に応じて、記録クロックの周波数を制御する。具体的には、第1の矩形波より前に位相がずれた状態で第2の矩形波が出力されている場合には、記録クロックの周波数が低くなるように記録クロックの周波数を制御すればよい。逆に、第1の矩形波より後に位相がずれた状態で第2の矩形波が出力されている場合には、記録クロックの周波数をが高くなるように記録クロックの周波数を制御すればよい。
【0127】
上述した記録クロックの周波数の制御動作を記録位置のずれが「0」になるまで(すなわち、第1の矩形波と第2の矩形波との位相差がなくなるまで)繰り返し、記録位置のずれがなくなった時点でプリピット信号とウォブル信号とに基づいて記録クロックの周波数を制御する状態に切り替える。
【0128】
なお、プリピット信号とウォブル信号とに応じて記録クロックの周波数を制御する代わりに、ウォブル信号に応じて記録クロックの周波数を制御するようにしてもかまわない。
【0129】
このように、以前に記録したデータと新たに記録するデータとの結合部においては、データシンク検出信号を基準に新たなデータを記録するため、以前に記録したデータと新たに記録するデータとの連続性を確保することができる。また、以前に記録したデータが本来の記録位置からずれていたとしても、そのずれ量を検出し、その検出されたずれ量に応じて記録クロックの周波数を制御するため、記録位置のずれが残留することがない。
【0130】
なお、PLL30がプリピット信号およびウォブル信号の両方を用いて記録クロックの周波数を制御する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。PLL30にプリピット信号およびウォブル信号が入力されなくてもよい。PLL30は、少なくとも、記録クロック生成のPLLのループに補正量信号を加算して、記録クロックの周波数を制御することができればよい。
【0131】
例えば、補正量信号に応じて位相比較器32の一方の入力である移相分周クロックをさらにシフトする構成を例として説明したが、補正量信号に応じて位相比較器32のもう一方の入力であるノイズフィルタ31から出力されたウォブル信号をさらにシフトする構成としてもよい。
【0132】
また、補正量信号を電圧レベル信号に変換した後、チャージポンプ33の出力にアナログ的に加算しても同様の効果が得られる。
【0133】
図6は、PLL30の他の構成を示す。
【0134】
図6に示されるように、PLL30は、図2に示される構成に加えて、セレクタ601と、位相差検出器602と、第3のLPF603と、位相シフト器604とを含む。この構成によれば、第2の矩形波によってもPLLの周波数を制御することができる。
【0135】
セレクタ601は、切換信号に応じて、位相シフト器604によって移相された第2の矩形波とノイズフィルタ31から出力されたウォブル信号とを切り替える。
【0136】
位相差検出器602は、位相シフト器604によって移相された第2の矩形波とノイズフィルタ31から出力されたウォブル信号との位相差を検出し、その検出された位相差を示す第4の位相差信号を出力する。
【0137】
第3のLPF603は、第4の位相差信号から高域成分を除去し、制限された時間変化量を有する第4の位相差信号を第2の補正量信号として位相シフト器604に出力する。
【0138】
位相シフト器604は、第2の矩形波の位相とウォブル信号の位相とが一致するように、第2の補正量信号に応じて第2の矩形波の位相をシフトする。
【0139】
図7は、図6に示される場合における、各信号の波形と、各回路の動作とを示す。
【0140】
記録開始前には、第2のタイミング信号生成器27に内蔵される第2のカウンタを再生クロック生成回路11(図1)から出力される再生クロックに同期して動作させることにより、第2のタイミング信号生成器27が、再生クロックに同期した第2の矩形波を出力する。
【0141】
さらに、記録開始前には、位相シフト器604が、第2の補正量信号に応じて第2の矩形波とウォブル信号との位相差を補正するように(例えば、第2の矩形波の位相とウォブル信号の位相とが一致するように)動作する。この動作は、図7に示される※1の期間の動作に対応する。第2の矩形波とウォブル信号との位相差の補正が完了すると(例えば、第2の矩形波の位相とウォブル信号の位相とが一致すると)、セレクタ601は、ウォブル信号に代えて第2の矩形波を選択するように制御される。その結果、PLL30は、再生クロックを分周することによって得られる第2の矩形波を逓倍することにより、記録クロックを生成するように動作する。この動作は、図7に示される※2の期間の動作に対応する。この動作により、再生クロックの周波数と等しい周波数を有する記録クロックを得ることができる。
【0142】
記録開始後のPLL30の動作は、図5を参照して上述したPLL30の動作と同様である。
【0143】
このことにより、記録開始前には、再生クロックに基づいて生成される第2の矩形波を用いて記録クロックの周波数を制御し、記録開始後には、記録位置のずれを補正し、プリピット信号およびウォブル信号に応じて記録クロックの周波数を制御することができる。これにより、光ディスク1に記録されているデータから得られる再生クロックの周波数に同期して記録クロックが得られるため、光ディスク1に記録されているデータと新たに記録するデータの記録クロックの周波数の差が小さくすることができる。その結果、光ディスク1に記録されているデータと新たに記録するデータの再生クロックの周波数においても連続性を確保することが可能になる。
【0144】
(実施の形態2)
次に、図面を参照しながら、本発明による実施の形態2の光ディスク装置200を説明する。同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0145】
図8は、本発明による実施の形態2の光ディスク装置200の構成を示す。
【0146】
図8に示されるように、光ディスク装置200の構成は、記録クロック生成回路20の構成を除いて、図1に示される光ディスク装置100の構成と同一である。
【0147】
記録クロック生成回路20は、第1のタイマー801と、第2のタイマー802と、引き算器803と、フィルタ29と、PLL30とを含む。
【0148】
図9は、第1のタイマー801および第2のタイマー802の動作を示す。
【0149】
第1のタイマー801は、記録クロックに同期してカウント値を1つずつ増加させる第1のカウンタを有している。第1のカウンタのカウント値は、記録ゲート信号の状態(活性化状態または非活性化状態)にかかわらず、プリピットシンク検出信号に応答して所定値(F)にプリセットされる。第1のタイマー801は、第1のカウンタのカウント値を第1のタイマー801の値として出力する。
【0150】
なお、第1のカウンタのカウント値が1フレームに相当する1488カウントに到達すると、第1のカウンタのカウント値が0にリセットされる。その後、第1のカウンタのカウント値は、記録クロックに同期して再び1つずつ増加される。
【0151】
第2のタイマー802は、記録クロックに同期してカウント値を1つずつ増加させる第2のカウンタを有している。第2のカウンタのカウント値は、記録ゲート信号が非活性化状態にある場合に限り、データシンク検出信号に応答して所定値(G)にプリセットされる。第2のタイマー802は、第2のカウンタのカウント値を第2のタイマー802の値として出力する。
【0152】
なお、第2のカウンタのカウント値が1フレームに相当する1488カウントに到達すると、第2のカウンタのカウント値が0にリセットされる。その後、第2のカウンタのカウント値は、記録クロックに同期して再び1つずつ増加される。
【0153】
第1のタイマー801のプリセット値(所定値(F))と第2のタイマー802のプリセット値(所定値(G))とは、新たなデータがグルーブトラック上の理想的な位置(すなわち、新たなデータのシンクコードに含まれる14Tの長さのマークまたはスペースの中心が記録されるグルーブトラック上の円周方向の位置とそのグルーブトラックに隣接するランドトラックに配置されたランドプリピットの円周方向の位置とが一致する位置)に記録された場合に、第1のタイマー801の値と第2のタイマー802の値との差が実質的に0になるように予め設定される。
【0154】
引き算器803は、第1のタイマー801の値と第2のタイマー802の値との差を示す差信号を出力する。なお、記録ゲート信号が活性化状態にある場合に限り、引き算器803が動作するようにしてもよい。
【0155】
フィルタ29は、引き算器803から出力される差信号の時間変化量を制限し、その制限された時間変化量を有する差信号を補正量信号としてPLL30に出力する。このように差信号の時間変化量を制限する理由は、光ディスク装置200によって記録されたデータを再生するデータ再生用PLLにおいて再生クロックの生成が十分に追従できるように応答速度を調整するためである。従って、このような応答速度の調整が不要な場合には、フィルタ29は省略され得る。フィルタ29は、例えば、LPFによって実現され得る。
【0156】
PLL30は、補正量信号が実質的にゼロレベル(すなわち、第1のタイマー801の値と第2のタイマー802の値との差が「0」)に近づくように記録クロックの周波数を制御する。
【0157】
このように、引き算器803とフィルタ29とPLL30とは、第1のタイマー801の値と第2のタイマー802の値との差が0に近づくように記録クロックの周波数を制御する制御回路として機能する。
【0158】
PLL30の構成は、実施の形態1で説明したPLLの構成と同様である。
【0159】
このように、以前に記録したデータと新たに記録するデータとの結合部においては、データシンク検出信号を基準に新たなデータを記録するため、以前に記録したデータと新たに記録するデータとの連続性を確保することができる。また、以前に記録したデータが本来の記録位置からずれていたとしても、そのずれ量を検出し、その検出されたずれ量に応じて記録クロックの周波数を制御するため、記録位置のずれが残留することがない。
【0160】
また、第1のタイマー801の値と第2のタイマー802の値とを演算することにより補正量を導出することができるため、記録クロック生成回路20をディジタル回路として構成することができる。特に、引き算器803、フィルタ29などの機能は、ソフトウェア処理で実現することも可能である。これにより、回路規模の縮小と同時に、フィルタ特性を容易に変更することが可能になる。
【0161】
【発明の効果】
本発明の光ディスク装置によれば、光ディスクに記録されているデータに新たなデータを追記する場合において、光ディスクに記録されているデータに連続するように新たなデータが光ディスクに記録される。これにより、光ディスクに記録されているデータと新たなデータとの連続性を確保することができる。また、光ディスクに記録されているデータの位置がそのデータが本来記録されるべき位置からずれている場合であっても、新たなデータの終端を記録する位置と新たなデータの終端が本来記録されるべき位置とのずれ量が、光ディスクに記録されているデータの位置とそのデータが本来記録されるべき位置とのずれ量より小さくなるように、新たなデータを記録する位置が調整される。これにより、記録位置のずれが蓄積されることが防止される。
【0162】
本発明の他の光ディスク装置によれば、光ディスクに記録されているデータに新たなデータを追記する場合において、データシンク検出信号を基準に新たなデータが光ディスクに記録される。これにより、光ディスクに記録されているデータと新たなデータとの連続性を確保することができる。また、プリピットシンク検出信号とデータシンク検出信号との時間的なずれを検出し、その時間的なずれを補正するように記録クロックの周波数が制御される。これにより、記録位置のずれが蓄積されることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の形態1の光ディスク装置100の構成を示すブロック図
【図2】PLL30の構成を示すブロック図
【図3】プリピット信号、プリピットシンク検出信号およびデータシンク検出信号の波形の一例を示す図
【図4】第1のタイミング信号生成器26および第2のタイミング信号生成器27の動作を示す図
【図5】各信号の波形と、各回路の動作とを示す図
【図6】PLL30の他の構成を示すブロック図
【図7】各信号の波形と、各回路の動作とを示す図
【図8】本発明による実施の形態2の光ディスク装置200の構成を示すブロック図
【図9】第1のタイマー801および第2のタイマー802の動作を示す図
【図10】DVD−R/RW規格に準拠した光ディスクの構成を示す図
【図11】13ビットの情報(シンクコード1ビットと12ビットのLPP情報)の構成を示す図
【図12】DVD−Rの追記録のタイミングを示す図
【図13A】以前に記録されたデータの記録位置が前方にずれている場合におけるリンキングを説明するための図
【図13B】以前に記録されたデータの記録位置が後方にずれている場合におけるリンキングを説明するための図
【符号の説明】
11 再生クロック生成回路
13 プリピットシンク検出回路
16 データシンク検出回路
20 記録クロック生成回路
26 第1のタイミング信号生成器
27 第2のタイミング信号生成器
28 位相差検出器
29 フィルタ
30 PLL
801 第1のタイマー
802 第2のタイマー
803 引き算器
Claims (4)
- 光ディスクに記録されているデータに連続するように新たなデータを前記光ディスクに記録する記録手段と、
前記データが記録されている位置と前記データが本来記録されるべき位置とのずれ量を検出する検出手段と、
前記新たなデータの終端を記録する位置と前記新たなデータの終端が本来記録されるべき位置とのずれ量が前記検出手段によって検出されたずれ量より小さくなるように、前記新たなデータを記録する位置を調整する調整手段と
を備えた、光ディスク装置。 - 前記調整手段は、前記新たなデータの終端を記録する位置と前記新たなデータの終端が本来記録されるべき位置とのずれ量が実質的にゼロとなるように、前記新たなデータを記録する位置を調整する、請求項1に記載の光ディスク装置。
- 前記記録手段は、記録クロックに同期して、前記新たなデータを前記光ディスクに記録し、
前記調整手段は、前記記録クロックの周波数を制御することによって、前記新たなデータを記録する位置を調整する、請求項1に記載の光ディスク装置。 - 前記光ディスク装置は、前記記録クロックの基準周波数を検出する基準周波数検出手段をさらに備え、
前記調整手段は、前記記録クロックの周波数が前記基準周波数に近づくように前記記録クロックの周波数を制御する、請求項3に記載の光ディスク装置。
Priority Applications (1)
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