JP4086414B2 - 情報記録方法及び情報記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、記録可能且つ情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットとを有するDVD―R等の記録媒体に対して、プリピット位置信号を基に高精度に記録位置制御をして情報の記録を行なう情報記録方法と、DVD−Rドライブ等の記録可能型光ディスクに情報を記録する記録再生装置。
【0002】
【従来の技術】
近年、CD−R/RWのような記録可能な光ディスク記録再生装置が実用化され、データの追記や書換えといった用途での利用も進んでいる。
ただ、これら記録可能型光ディスク記録再生装置において追記や書換えを行なう時、記録時に正確な記録位置制御ができないと、前回記録したデータに重ねて記録をしてしまい、旧データあるいは新旧双方のデータを破壊してしまうことになる。
【0003】
そこで従来では、旧データに連続して新データを記録する際は、その間に所定量のリンキング領域を設け、そのリンキング領域に、例えばダミーデータや所定のデータを記録し、その後に新データの記録を行なっていた。
【0004】
しかし、このリンキング領域には情報の記録ができないため、記録可能な容量を減少させ、記録領域を有効に使用できないという問題があった。
そこで、記録時に正確な記録位置制御が可能になれば、不要なデータを記録するリンキング領域が不必要、あるいは最小限に留めることができ、記録領域を有効に使用することができる。
【0005】
従来、ウォブルしたグルーブを有すると共に、これらグルーブ間の領域に所定間隔でピットが形成されている光記録媒体に対して、このウォブルから検出したウォブル信号により光ディスクの回転を制御するとともにピットから検出したピット信号により位置を制御する情報記録装置(例えば、特開平9−326138号公報参照)があった。
このような情報記録装置では、狭いトラックピッチにおいてもアドレス情報や光ディスクの回転制御情報を正確に得ることができ、高密度記録が可能となる。
【0006】
また、少なくとも二つのパワーを有する2種類の光ビームについて、いずれの光ビームを照射した場合であってもプリピットを検出可能なプリピット検出装置及び当該プリピット検出装置を備えた情報記録装置(例えば、特開平10−283638号公報参照)があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようなウォブルしたグルーブを有すると共に、これらグルーブ間の領域(ランド)に所定間隔でプリピットを形成するという光ディスクと、このウォブルから検出したウォブル信号により光ディスクの回転を制御すると共にプリピットから検出したプリピット信号により位置を制御する情報記録装置では、狭いトラックピッチにおいてもアドレス情報やディスクの回転制御情報を正確に得ることはできるが、セクタの先頭にアドレス情報を配置する方法ではない(つまり記録トラックであるグルーブにはアドレスピットが存在しない)ので、高密度記録が可能となり、アドレス情報により記録情報が不連続になることがなく再生専用ディスクとの互換性に優れた方式である。
【0008】
しかしながら、このような光ディスクでは、高密度記録するためにトラックピッチを狭めており、このため光ビームを照射したトラックに隣接するグルーブからの漏れ込み、いわゆるクロストークが無視できなくなる。
【0009】
そして、隣接する内外周のグルーブからのクロストークがあると、ウォブル信号は隣接するトラックのウォブル信号成分の干渉を受けることとなり、振幅や位相が変動する。
したがって、このウォブル信号を用いて記録位置制御を行なう場合、特に位相変動が生じると、正確な記録位置制御をするには精度的に不十分である。
【0010】
一方、プリピットは互いに干渉しないよう配置されているので、プリピットから検出したプリピット信号は光ディスク上での位置を精度よく検出でき、正確な記録位置制御を行なうのに好適である。
【0011】
しかしながら、記録中にプリピット信号を検出する際には、光源のパワーが記録マークを形成するパワーと形成しない(つまりスペースになる)パワーとで異なるため、プリピット信号を双方において良好に検出するのは困難であり、特に、プリピット信号の位置検出に誤差を生じることがある。
【0012】
そこで、上記問題点の一部を解決するものとして、上述した後者の情報記録装置のように、記録パワーと再生パワー(記録マークを形成しないパワー)とで各々プリピットを検出する手段を持ち、各々の検出結果の論理和をとってプリピット信号を出力するものでは、記録中であってもプリピットの有無を確実に検出できる。
【0013】
しかしながら、プリピット位置を精度よく検出するには不十分である。
さらには、記録波形を単一の矩形波ではなく複数個のパルスにより1つの記録マークを形成するという、いわゆるマルチパルス記録方法があり、これは大容量記録に適した記録方法とされ、よく用いられている。
【0014】
例えば、DVD−Rなどはこの方法で記録される。
特に、このマルチパルス記録方法での記録中にプリピット信号を検出する際には、個々のパルス幅が短く光源の発光状態が短時間に切り替わるため、記録マーク形成中プリピット信号を精度よく検出するのは極めて困難である。
【0015】
また、既記録領域においてプリピット信号を検出する際には、記録マークとスペースの反射率に差があるため、プリピット信号の振幅が変動し、プリピットと記録マークとの位置関係によってはプリピット信号の位置検出に誤差を生じることがある。
【0016】
このように、上述した従来技術の情報記録装置では、この問題点を解決することができなかった。
つまり、既記録領域、特には記録中に、プリピット信号の位置まで精度よく検出するのは困難であり、つまりは記録位置制御を精度よく行なうことができないという問題があった。
【0017】
さらに、最悪の場合には、プリピット信号自体が検出できない、あるいは誤検出をしてしまうというという問題も生じ、記録位置制御が行なえなかったり、誤って制御されてしまうという問題まで引き起こしかねない。
【0018】
本発明はこのような問題を鑑みてなされたものであり、情報記録トラック間の領域に所定間隔でプリピットが形成された記録媒体に情報の記録を行なう際、このプリピットから検出したプリピット信号によって記録位置を制御する情報記録装置において、既記録領域あるいは記録中であってもプリピット信号位置を精度よく検出する情報記録方法及び情報記録装置を提供し、情報記録媒体に対する精度のよい記録位置制御を可能にし、不要なデータを記録するリンキング領域をより少なくあるいは不必要にし、情報記録媒体の記録領域を有効に使用できるようにすることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、上記同期情報が上記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、上記プリピットの少なくとも一部に上記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録方法において、上記同期パターンをスペースにする同期情報を生成する同期情報生成工程と、その工程によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換する記録パルス列生成工程と、上記プリピットの位置の検出信号に基づいて記録位置制御を行なう記録位置制御工程とからなる。
【0020】
また、情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、上記同期情報が上記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、上記プリピットの少なくとも一部に上記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録方法において、複数個の同期情報の一部は同期パターンをスペースにする同期情報として生成し、残りの同期情報は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報として生成する同期情報生成工程と、その工程によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換する記録パルス列生成工程と、上記プリピットの位置の検出信号に基づいて記録位置制御を行なう記録位置制御工程とからなるようにするとよい。
【0021】
さらに、情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、上記同期情報が上記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、上記プリピットの少なくとも一部に上記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録方法において、上記プリピットが上記情報単位の整数倍の間隔で形成されており、上記プリピットに隣接して位置する場合は同期パターンをスペースにする同期情報を生成し、隣接して位置しない場合は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を生成する同期情報生成工程と、その工程によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換する記録パルス列生成工程と、上記プリピットの位置の検出信号に基づいて記録位置制御を行なう記録位置制御工程とからなるようにするとよい。
【0022】
また、情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、上記同期情報が上記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、上記プリピットの少なくとも一部に上記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録方法において、上記プリピットに隣接して位置する同期パターンが所定量連続してマークである場合は同期パターンをスペースにする同期情報を生成し、それ以外の場合は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を生成する同期情報生成工程と、その工程によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換する記録パルス列生成工程と、上記プリピットの位置の検出信号に基づいて記録位置制御を行なう記録位置制御工程とからなるようにするとよい。
【0023】
さらに、上記のような情報記録方法において、上記同期情報生成工程に、上記記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を複数個の中から選択して生成する際、その複数個の同期情報による低周波成分抑圧量が同程度あるいは所定範囲内の差であるとき、同期パターンをスペースにする方を優先して選択する工程を設けるとよい。
【0024】
また、情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、上記同期情報が前記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、上記プリピットの少なくとも一部に上記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録装置において、上記同期パターンをスペースにする同期情報を生成する同期情報生成手段と、上記プリピットの位置を検出するプリピット位置信号検出手段と、その手段によって検出されたプリピット位置信号に基づいて記録位置制御信号を生成する記録位置制御信号生成手段と、上記同期情報生成手段によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換し、上記記録位置制御信号生成手段によって生成された記録位置制御信号に従って上記記録パルス列の出力を開始するエンコード手段を設けたものを提供する。
【0025】
さらに、情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、上記同期情報が前記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、上記プリピットの少なくとも一部に上記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録装置において、複数個の同期情報の一部は同期パターンをスペースにする同期情報として生成し、残りの同期情報は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報として生成する同期情報生成手段と、上記プリピットの位置を検出するプリピット位置信号検出手段と、その手段によって検出されたプリピット位置信号に基づいて記録位置制御信号を生成する記録位置制御信号生成手段と、上記同期情報生成手段によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換し、上記記録位置制御信号生成手段によって生成された記録位置制御信号に従って上記記録パルス列の出力を開始するエンコード手段を設けるとよい。
【0026】
また、情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、上記同期情報が上記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、上記プリピットの少なくとも一部に上記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録装置において、上記プリピットが上記情報単位の整数倍の間隔で形成されており、上記プリピットに隣接して位置する場合は同期パターンをスペースにする同期情報を生成し、隣接して位置しない場合は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を生成する同期情報生成手段と、上記プリピットの位置を検出するプリピット位置信号検出手段と、その手段によって検出されたプリピット位置信号に基づいて記録位置制御信号を生成する記録位置制御信号生成手段と、上記同期情報生成手段によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換し、上記記録位置制御信号生成手段によって生成された記録位置制御信号に従って上記記録パルス列の出力を開始するエンコード手段を設けるとよい。
【0027】
さらに、情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、上記同期情報が上記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、上記プリピットの少なくとも一部に上記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録装置において、上記プリピットに隣接して位置する同期パターンが所定量連続してマークの場合は、その同期パターンをスペースにする同期情報を生成し、それ以外の場合は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を生成する同期情報生成手段と、上記プリピットの位置を検出するプリピット位置信号検出手段と、その手段によって検出されたプリピット位置信号に基づいて記録位置制御信号を生成する記録位置制御信号生成手段と、上記同期情報生成手段によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換し、上記記録位置制御信号生成手段によって生成された記録位置制御信号に従って上記記録パルス列の出力を開始するエンコード手段を設けるとよい。
【0028】
また、上記のような情報記録装置において、上記記録位置制御信号生成手段が、上記プリピットを、上記所定情報単位に相当する間隔あるいはその整数倍の間隔で形成されたシンクプリピットと、アドレス情報などを示す情報プリピットとによって構成し、上記シンクプリピットに上記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なうとき、上記プリピット位置信号のうちの上記シンクプリピットに対応するものであるシンクプリピット位置信号であり、なおかつ隣接して位置した同期パターンがスペースであるものに基づいて記録位置制御信号を生成する手段であるようにするとよい。
【0029】
さらに、上記のような情報記録装置において、上記記録位置制御信号生成手段が、上記プリピット位置信号あるいは上記シンクプリピット位置信号に位相同期し、上記所定情報単位毎の同期を示すフレーム信号を生成する手段を有し、その手段によって生成されたフレーム信号に基づいて上記記録位置制御信号を生成する手段であるようにするとよい。
【0030】
また、上記のような情報記録装置において、上記同期情報生成手段に、上記シンクプリピットに隣接して位置する同期パターンをスペースにする同期情報が所定量の上記所定情報単位連続してなかった場合は、同期パターンをスペースにする同期情報を生成し、それ以外の場合は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を選択するように指示する同期情報指示信号を生成して、上記所定量を上記フレーム信号を精度よく生成するのに十分な値に設定する手段を設けるとよい。
【0031】
さらに、上記のような情報記録装置において、上記同期情報生成手段に、上記記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を複数から選択して生成する際、その複数個の同期情報による低周波成分抑圧量が同程度あるいは所定範囲内の差であるとき、同期パターンをスペースにする方を優先して選択する手段を設けるとよい。
【0032】
この発明の情報記録方法と情報記録装置は、記録情報に所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されて、この同期情報が上記プリピットより十分長い同期パターンを含むものであって、上記プリピットの少なくとも一部に上記同期パターンが隣接して位置するように記録が行なわれることに着目し、このプリピットに隣接して位置する同期パターンがスペースであれば、記録中及び既記録領域でも高精度にプリピットを検出できるようになるので、このような同期情報を生成することにより、上記課題を解決することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、本発明に好適な記録媒体の実施形態と、この記録媒体に記録する情報の形態について説明する。
【0034】
この実施形態の記録媒体は、情報記録トラックであるグルーブの間の領域であるランドに所定の間隔でプリピットが形成されている。
そこで、より具体的に説明するため、この形態を持つ記録媒体であるDVD−Rを例に取って以下の説明を行なう。
【0035】
DVD−Rは、更に情報記録トラックであるグルーブが所定の周波数でウォブルしている。
図3はDVD−Rのウォブルとプリピットの配置を模式的に示した図である。
【0036】
図3の(a)に示すように、DVD―Rでは、記録媒体に記録されるデータは予め情報単位であるシンクフレーム毎に分割され、“26シンクフレーム”で“1セクタ”が、“16セクタ”で“1ECC(Error Correcting Code)ブロック”が構成される。
そして、各々のシンクフレームの先頭にはシンクフレーム毎の同期をとるための同期情報“SY”が存在する。
【0037】
また、記録される原データは所定の変調規則に従って変調コードに変換される。その原データ“8ビット”を“16ビット”のコードに変調するため、8/16変調と呼ぶ。この変調規則は公知技術を用いればよいのでその詳細な説明を省く。
【0038】
DVD―Rには、その変調コード列をNRZI(Non Return toZero Inverted)変換したパルス列を記録する。
その記録するパルス列の1チャネルビット長を“T”とすると、最短パルス幅は“3T”,最長パルス幅は“11T”となる。
また、変調する際、記録パルス列の低周波成分を抑圧する工夫がなされている(この詳細説明は省く)。
【0039】
この低周波成分抑圧を判断するものとして、いわゆるDSV(DigitalSum Value)の絶対値がある。
DSVとは、2つの状態をとるビット列の一方の状態を“+1”,他方の状態を“−1”,としてビット列の先頭から累積した値である。
【0040】
このDSVの絶対値が小さければ、低周波成分が小さいことになり、記録パルス列のDSVが小さくなるように変調コードを選択する。
この記録パルス列の間には、1シンクフレーム毎に同期情報“SY”が挿入されている(ここでは、“32ビット”とする)。
【0041】
この同期情報“SY”を確実に捕らえられるよう、つまり確実にシンクフレーム同期が取れるように、同期情報“SY”には、データ変調部分に出現する最長パルス幅である“11T”よりも十分長い“14T”幅のパルス(以下適宜、シンクパルスあるいは請求項中では同期パターンと呼ぶ)が埋め込まれている。
【0042】
また、セクタ内のフレーム位置が識別できるように複数種の同期情報“SY”を持ち、各々の同期情報“SY”は、前シンクフレームとの接続部分で変調規則を満足させ、かつ、低周波成分を抑圧させるため、さらに複数個のパターンから選択される。
【0043】
図3の(b)は同期情報“SY”の拡大図であり、前述のDSVの絶対値により判定し、低周波成分がなるべく抑圧できるように、“パターン1”または“パターン2”の何れかを選択する。
【0044】
つまり、“14T”幅パルスのシンクパルスが、記録マークか(パターン2)、スペースか(パターン1)に選択される。
同図では正パルスを記録マーク、負パルスをスペースとする。
これは、生成するコードと前シンクフレームの最終パルスの極性から容易に判別することができる。
【0045】
例えば、図3の(b)においては、前シンクフレームの最終パルスはマークであるので、“パターン1”を選択すればシンクパルスがスペースに、一方、最終パルスがスペースであるならば、“パターン2”を選択すればシンクパルスがスペースになる。
【0046】
逆に言えば、多少の低周波成分の発生を容認すれば(DSV絶対値の多少の増加を容認すれば)、シンクパルスをマークにするかスペースにするかは任意に選択することができる。
【0047】
通常、同期情報“SY”は記録情報に対して十分短いので、同期情報の強制選択による多少の低周波成分の発生は十分許容できる範囲である。
なお、選択される同期情報コードは本来用意されている(変調規則を満足した)コードから選択されるので、本発明により記録された情報が変調規則の乱れを生じさせるものではない。
つまり、通常のデコーダを有した情報再生装置で復調することができる。
【0048】
一方、記録媒体には予め所定の一定周波数(ウォブル周波数“fw”)でウォブルしたグルーブと、グルーブと隣接する一方の(この実施形態では外周側とする)ランドに同期信号を示すものとして1つのプリピットがシンクフレーム毎に形成されていると共に(以下、このプリピットを特に「シンクプリピット」という)、アドレス情報などを示すものとして“0〜2”のプリピットが形成されている。
【0049】
プリピットの示すシンクフレームは、図3の(a)に示すように、偶数番目のシンクフレーム(以下「EVENフレーム」という)と奇数番目のシンクフレーム(以下「ODDフレーム」という)とで1つのペアを構成しており、通常プリピットは「EVENフレーム」の位置に配置されるが、両隣のランドにプリピットが配置されることが予想される場合には、互いの干渉などを避けるために「ODDフレーム」にシフトして配置される。
【0050】
つまり、ペアを構成する「EVENフレーム」と「ODDフレーム」の何れか一方のフレームにのみプリピットを配置する。
なお、隣接する他方の(内周側の)ランドには別のグルーブに対応づけられたプリピットが形成されている。
【0051】
また、ウォブル周波数“fw”はシンクフレーム周波数の“8倍”であり、プリピットは1シンクフレーム中の最初の3つのウォブルの略頂点に位置するよう配置される。そのうちの最初のプリピットがシンクプリピットである。
【0052】
なお、プリピットのトラック方向の長さは、再生信号検出への影響を低減させるため、検出できる範囲で極力小さい方が適しており、数Tの長さで形成されることが多い。
【0053】
次に、記録媒体にデータを記録する際には、同期情報“SY”中のシンクパルス(“14T”の長さの記録マークまたはスペース)がシンクプリピットに隣り合うように位置するよう、プリピットに同期して記録される。
この時、精度よく同期して記録できるように記録位置制御するための基準となるのがプリピット信号である。
【0054】
したがって、プリピット信号の検出精度が重要であり、これは記録中はもちろんのこと、追記や書換えの際には、既に記録したトラックの再生時の検出精度も重要となる。
【0055】
図4の(a)は、上述のようにプリピットに同期して情報を記録した記録媒体とプリピット信号との関係を示す模式図である。
シンクプリピットには、シンクパルス(図中では斜線を施した記録マークm)が隣り合うように記録されているが、シンクプリピット以外のプリピットには記録データ部が隣り合うため、“3T”から“11T”の記録マークまたはスペースが隣り合うように記録される。
【0056】
プリピット信号中の点線部Aは未記録時のプリピット信号であり、プリピットに対して十分長い(例えば、シンクパルス)スペースが記録された場合もこのようになる。
【0057】
同図からわかるように、一定のスライスレベル“Vth”により二値化したプリピット信号“Spit”は、隣接するトラックに記録マークが形成されると、位相変動が生ずることになり、特にシンクプリピット以外のプリピットでは、記録情報に依存して位相変動することになる。
【0058】
一方、図4の(b)は、プリピットに同期して情報を記録している最中のプリピット信号と光源の記録パワーとの関係を示す模式図である。
ここでは説明を簡単にするため、光源が“P1”のパワーの時スペースが、“P2”のパワーの時マークが形成されるものとする。
【0059】
照射する光ビームがシンクプリピットにかかる期間は、一定のパワー(“P1”または“P2”)である。一方、シンクプリピット以外のプリピットにかかる期間はパワーが変化するため、二値化したプリピット信号“Spit”は記録情報に依存して位相変動することになる。
【0060】
また、前述したように、マルチパルス記録方法での記録の際には、シンクプリピット以外のプリピットはもちろんのこと、シンクプリピットであっても記録マーク形成中プリピット信号“Spit”を精度よく検出するのは極めて困難である。
【0061】
従って、記録位置制御はシンクプリピットにより行なうのが好適である。
さらには、シンクプリピットに隣り合うシンクパルスはスペースであることがより望ましい。
【0062】
本発明の実施形態の情報記録装置は、シンクプリピットに隣り合うシンクパルスがスペースになるように同期情報を生成し、これにより正確な記録位置制御を行なう。
【0063】
次に、本発明の情報記録装置の一実施形態を示し、全体構成及び動作について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の情報記録装置の一実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【0064】
この情報記録装置は、ピックアップ(PU)10と、再生信号処理部16と、デコーダ17と、エンコーダ12と、レーザ駆動部11と、サーボ部15と、記録媒体1を回転させるスピンドルモータ14と、回転制御部20とを備えている。
【0065】
また、外部のホストコンピュータ等のデータ処理装置(図示を省略する)とのインタフェース手段を含むコントローラ13と、プリピット信号検出部18と、プリピット信号デコーダ19と、記録クロック信号生成部22と、ウォブル信号検出部21と、プリピット位置信号検出部23と、記録位置制御信号生成部24と、同期情報指示部25も備えている。
【0066】
ピックアップ10は、光源であるレーザや受光手段等を含み、レーザから出射された光ビームを記録媒体1上に集光し、記録媒体1からの反射光を受光信号へ変換するものである。
【0067】
レーザ駆動部11は、レーザの光量を所望の値に制御・駆動するものであり、記録時には記録データ“Wdata”に基づいてレーザを変調する。
この時、記録クロック信号“Swck”を基準信号として変調を行なう。
【0068】
エンコーダ12は、記録クロック信号“Swck”を基準信号とし、コントローラ13から入力される記録すべきデータをECC処理,8−16変調処理,インタリーブ処理などを施し、記録データ“Wdata”を生成する。
この際、記録位置制御信号に従って記録を開始、つまり記録データ“Wdata”の出力を開始する。
【0069】
再生信号処理部16は、ピックアップ10からの受光信号を処理するものであり、再生信号,サーボ信号,及びプッシュプル信号“Spp”を生成する。
ここで周知の通り、プッシュプル信号は記録媒体1からの反射光をトラック接線方向に平行に2分割された受光素子で受光し、これら2分割された受光素子出力の差分信号である。
【0070】
図2は、上記プッシュプル信号“Spp”の一例を示す線図である。
図2に示すように、プッシュプル信号はウォブル信号とプリピット信号とが重畳された信号となる。
【0071】
このプッシュプル信号のプリピット成分は、走査しているグルーブに隣接する内外周のランドに形成されたプリピットが上下に現れ、上側のプリピット4が当該グルーブに対応づけられたプリピットである(ウォブルが略最大となる時に現れる)。
【0072】
このうち、先頭のプリピットはシンクプリピット4sであり、通常、2シンクフレーム毎に現れる。
但し、EVEN,ODDフレームシフトの切り換りでは、1または3シンクフレーム間隔になることもある。
【0073】
一方、下側のプリピット5は別のグルーブに対応づけられたプリピットである。このように、ウォブルに対する位相は刻々変化する。
【0074】
なお、プッシュプル信号“Spp”は、後段での信号処理がしやすいよう、2分割された受光素子出力の差分信号をゲイン調整(例えば、受光和信号により調整)などの処理を施してもよい。
【0075】
さらには、プッシュプル信号“Spp”は、HPF(High Pass Filter)によってDC成分を抑制した後の信号でもよい。
そうすれば、プッシュプル信号のオフセットを取り除ける。
【0076】
デコーダ17は、再生信号をデコードして復調信号を生成しコントローラに出力する。
サーボ部15は、サーボ信号に基づきピックアップ10からの光ビームを記録媒体1の任意の位置に照射するように制御する。
【0077】
回転制御部20は、ウォブル信号“Swbl”が所定の周波数となるように記録媒体1の回転を制御するものであり、スピンドルモータ14は、この制御信号に基づいて記録媒体1を回転させる。
ここでは、ウォブル信号を用いているが、プリピットも所定間隔で形成されたものであるので、これを利用してもよい。
【0078】
プリピット信号検出部18は、プッシュプル信号“Spp”からプリピット信号“Spit”を生成し、プッシュプル信号“Spp”と所定の閾値“Vthpit”(図2を参照)とを比較するコンパレータなどによって構成される。
【0079】
プリピット信号デコーダ19は、プリピット信号“Spit”をデコードすることにより、記録媒体1に予めプリフォーマットされているアドレス情報などを取得し、コントローラ13に出力する。
【0080】
ウォブル信号検出部21は、プッシュプル信号“Spp”からBPF(Band Pass Filter)などによってウォブル信号を抽出し、ウォブル信号“Swbl”を検出するものである。
【0081】
記録クロック信号生成部22は、ウォブル信号“Swbl”,プリピット信号“Spit”あるいはプリピット位置信号“Spit”、あるいはこれらを組み合わせた信号に基づいて記録クロック信号“Swck”を生成するものであり、通常、いわゆるPLL(Phase Locked Loop)回路により構成される。そして、記録するデータはこの記録クロック信号“Swck”を基にして信号処理を行なう。
【0082】
プリピット位置信号検出部23は、プッシュプル信号“Spp”からプリピットの位置を高精度に検出したプリピット位置信号“Spit”を検出するものであり、プリピット信号検出部18と同様にプッシュプル信号“Spp”と所定の閾値とを比較するコンパレータなどによって構成できる。
【0083】
このように、プリピット位置信号検出部23の一部もしくは全ては、プリピット信号検出部18と共通化できるが、図1では本発明の要旨をより明確にするため別手段として示している。
【0084】
この実施形態の情報再生装置によれば、たとえ簡便な一定スライスレベルによるコンパレータであっても、少なくともシンクプリピットの位置は高精度に検出することができる。
【0085】
また、シンクプリピットのみ抽出し、プリピット位置信号を生成するものにしてもよい。さらに、より高精度に位置検出をできる構成にすれば、さらに好適になる。
【0086】
記録位置制御信号生成部24は、コントローラ13からの記録開始指示あるいは記録開始アドレス指示などに従って、プリピット位置信号“Spit”に同期した記録位置制御信号を生成するものであり、エンコーダ12に出力する。
【0087】
ここで、PLL回路などによってプリピット位置信号に位相同期したフレーム同期信号“Sfs”を生成し、このフレーム同期信号“Sfs”を基にして記録位置制御信号を生成すれば、たとえノイズなどによってプリピット位置信号を誤検出しても正確に記録位置を指示することができる。
【0088】
同期情報指示部25は、同期情報“SY”に含まれるシンクパルス(“14T幅”のパルス)がスペースになるようにエンコーダ12に指示する同期情報指示信号を生成する。
【0089】
次に、エンコーダ12の詳細な構成とその動作について説明する。
図5は、上記エンコーダ12の内部構成と関連部とを示すブロック図である。
エンコーダ12は、データ前処理部30と、8/16変調部31と、同期情報発生部32と、NRZI変換部33とから構成されている。
【0090】
前述の通り、このエンコーダ12の処理は記録クロック信号“Swck”を基準とし、記録データ“Wdata”の出力の開始は、記録位置制御信号によって制御する。
【0091】
データ前処理部30は、コントローラ13から入力された記録情報のECC処理やインタリーブ処理などを行なう。
8/16変調部31は、データ前処理を終えた記録情報を所定の変調規則に従って変調するものであり、また、同期情報発生部32で生成した同期情報“SY”を1シンクフレーム毎に付加する。
この時、低周波成分が抑圧されるように変調を行なうようにするのは前述の通りである。
【0092】
同期情報発生部32は、同期情報“SY”を生成するものであり、前シンクフレームとの接続部分で変調規則を満足させるコードを選択し、かつ低周波成分を抑圧させるために、さらに複数個のコードから選択する。
【0093】
この低周波成分抑圧条件によって何れかのコードから選択する際、シンクパルスが記録マークになるかスペースになるかが決定される。
ここで前述の如く、同期情報を強制的に選択しても、重大な問題になることはない。
【0094】
この選択は、同期情報指示部25の生成した同期情報指示信号によって行ない、同期情報指示信号が有効である時はシンクパルスがスペースになるコードを、無効である時は低周波成分を抑圧させるコードを選択する。
【0095】
NRZI変換部33は、8/16変調部31の出力した変調コードをNRZI変換し、記録パルス列(記録データ“Wdata”)に変換するものである。
すなわち、上記同期情報指示部25と同期情報発生部32によって上記同期情報生成手段の機能を果たす。
【0096】
次に、同期情報指示信号の生成アルゴリズムについて説明する。
まず、第1のアルゴリズムは、常に同期情報指示信号を有効とする。
つまり、全てのシンクパルスがスペースとなるように同期情報“SY”の生成を指示するものであり、簡便な構成で全てのシンクプリピットにおいて高精度なプリピット位置信号“Spit”が得られることになり、高精度な記録位置制御が可能になる。
【0097】
第2のアルゴリズムは、複数フレーム中の一部のフレームを有効にする。
DVD−RのようにEVEN,ODDの1ペアのフレーム中のどちらか一方にのみプリピットが存在する場合は、その1ペアのフレームを有効にすればよい。
【0098】
例えば、4フレーム中、1ペアの(2つの)フレームを有効にすれば、4フレーム中の少なくとも1つのシンクプリピットはスペースシンクパルスと一致するので、これを基に記録位置制御を行なえばよい。
【0099】
また、残りの同期情報指示信号を無効としている2フレームでは、同期情報は低周波成分抑圧条件に従って選択できるので、低周波成分抑圧効果減少の影響も少なくすることができる。
【0100】
なお、シンクプリピットがマークのシンクパルスと一致する場合は、その時のプリピット位置信号を無視すれば、記録位置制御を高精度に行なえる。
すなわち、スペースシンクパルスと一致するシンクプリピットの位置信号で記録位置制御を行なう。
そして、以下のアルゴリズムに基づいた処理においても同様にすればよい。
【0101】
第3のアルゴリズムは、EVENあるいはODDフレームの何れか一方のフレームを有効とし、他方を無効とする。
図6は、上記アルゴリズムによって同期情報発生部32を動作させた時の各信号を示す線図である。
【0102】
図6の(a)はプリピットを示す信号で、図中に黒丸を付して示したプリピットはスペースシンクパルスと一致するシンクプリピットを示している。
つまり、高精度に位置検出のできるプリピットを示している。
図6の(b)は、プリピット位置信号に位相同期したフレーム同期信号“Sfs”である。
【0103】
図6の(c)は、シンクパルスがスペースの時のみハイになる仮想の信号であり、図中に「×」記号を付して示した同期情報コード選択により(低周波成分抑圧条件により)“ハイ”または“ロー”になる。
図6の(d)は、正論理の同期情報指示信号であり、この信号がハイ(有効)の時、シンクパルスがスペースになるようなコードを強制的に選択する。
【0104】
通常は、EVENフレームで“ハイ”にし、プリピットがODDフレームにシフトした時、同期情報指示信号もODDフレームが“ハイ”になるようにする。
例えば、EVENフレーム中にプリピットが検出できなかった(または、所定回数検出できなかった)場合にシフトさせればよく、ODDからEVENへの切り換えも同様にすればよい。
【0105】
プリピットのフレームシフトは頻繁に起こるものではないので、このようにすれば、切り換わり目以外のほとんどのシンクプリピットでスペースのシンクパルスと一致し、高精度なプリピット位置信号が得られ、またプリピットが存在しない(同期情報指示信号が無効である)フレームの同期情報は低周波成分抑圧条件に従って選択できるので、低周波成分抑圧効果減少の影響もさらに少なくすることができる。
【0106】
第4のアルゴリズムは、所定量のフレーム数の間、シンクプリピットとスペースシンクパルスが一致しなかった場合、同期情報指示信号を有効にする。
このとき、記録位置制御は所定量のフレームに一度プリピット位置信号が高精度に検出できればよい。
【0107】
図7は、上記アルゴリズムによって同期情報発生部32を動作させた時の各信号を示す線図であり、図中の各信号は図6と同じである。
所定量:nのフレーム数の間、シンクプリピットとスペースシンクパルスが一致しなかった場合、同期情報指示信号が有効になり、次の(またはその次の)フレームのシンクパルスが強制的にスペースになるように選択する。
【0108】
もちろん、低周波成分抑圧条件に従って選択した同期情報がスペースシンクフレームでシンクプリピットと所定フレーム以内に一致(各々のシンクプリピットに対して略1/2の確率で一致)すれば、強制的に選択する必要はなくなる。
【0109】
このようにして、高精度な記録位置制御に十分な間隔でプリピット位置信号が得られ、かつ、他のほとんどのフレームの同期情報は低周波成分抑圧条件に従って選択できるので、低周波成分抑圧効果減少の影響はほとんど無視できる。
【0110】
さらに、上述の2〜4のアルゴリズムにおいて、低周波成分抑圧条件に従って同期情報を選択する際、選択対象である同期情報による各々の低周波成分抑圧効果、つまりDSVの絶対値が同程度あるいは所定範囲以内の差であれば、シンクパルスがスペースになる方の同期情報を優先的に選択しても低周波成分抑圧効果はほとんど減少せず、その上、シンクプリピットとスペースシンクパルスの一致が増加するために高精度なプリピット位置信号が多く得られ、記録位置制御精度も向上する。
【0111】
なお、この実施形態において説明した記録媒体は、追記型の光ディスクであるDVD−Rであったが、相変化材料を記録層に用いた書換え可能型光ディスクなどにも同じように適用することができ、その他の記録層材料によるものでも適用できることは言うまでもない。
【0112】
さらには、プリフォーマットの形式においても、ウォブルしたトラック(グルーブもしくはランド)とそのトラックに隣接した一方もしくは双方のトラック(ランドもしくはグルーブ)にプリピットが形成された記録媒体に対しても、本発明に係わる効果は同様に得られる。
【0113】
また、(ウォブルなしで)プリピットのみによってプリフォーマットされたものであってもよい。
【0114】
この実施形態の情報再生装置は、記録位置制御の基となるプリピットに隣接して位置する同期パターンがスペースとなるように同期情報を生成しているので、プリピット位置信号は記録中あるいは既記録領域であっても高精度に検出でき、すなわち精度のよい記録位置制御が可能になる。
したがって、不要なデータを記録するリンキング領域をより少なく、あるいは不必要にし、記録領域を有効に使用することが可能になる。
【0115】
また、複数個の同期情報の一部を同期パターンがスペースになる同期情報を、残りを記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を生成しているので、複数個の情報単位中、少なくとも一部のプリピット位置信号は記録中あるいは既記録領域であっても高精度に検出できるため、上述の効果とともに低周波成分抑圧効果減少の影響も少なくすることができる。
【0116】
さらに、上記プリピットが上記情報単位の整数倍の間隔で形成されたものであって、上記プリピットに隣接して位置する場合は同期パターンがスペースになる同期情報を、それ以外は前記記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を生成しているので、ほとんどのプリピットにおいてプリピット位置信号は記録中あるいは既記録領域であっても高精度に検出することができ、より精度のよい記録位置制御が可能になり、かつ、低周波成分抑圧効果減少の影響も少なくすることができる。
【0117】
また、プリピットに隣接して位置する前記同期パターンが所定量連続してマークであった場合は上記同期パターンがスペースになる同期情報を、それ以外の場合は上記記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報をそれぞれ生成しているので、高精度な記録位置制御に十分な間隔で高精度なプリピット位置信号が得られ、かつ、他のほとんどの同期情報は低周波成分抑圧条件に従って選択できるので、低周波成分抑圧効果減少の影響をほとんど無視することができる。
【0118】
さらに、上述の1〜4の何れか一つの同期情報生成工程に基づいて上記同期パターンがスペースになるように同期情報を選択するように指示する同期情報指示信号を生成する同期情報指示部と、上記同期情報指示信号に従って同期情報を生成する同期情報発生部と、上記プリピットの位置を検出するプリピット位置信号検出部と、上記プリピット位置信号に基づいて記録位置制御信号を生成する記録位置制御信号生成部と、上記同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードを記録パルス列に変換し、上記記録位置制御信号に従って上記記録パルス列の出力を開始するエンコーダを備えているので、簡便な構成で上述した各効果が得られる。
【0119】
また、上記プリピットが、上記所定情報単位に相当する間隔あるいはその整数倍の間隔で形成されたシンクプリピットと、アドレス情報などを示す情報プリピットとにより構成されたものであって、上記シンクプリピットに上記同期パターンが隣接して位置するよう記録を行なう際、上記記録位置制御信号生成部が、上記プリピット位置信号のうち、上記シンクプリピットに対応するものであるシンクプリピット位置信号でなおかつ隣接して位置した同期パターンがスペースであるものにのみに基づいて記録位置制御信号を生成するので、記録中あるいは既記録領域では精度的に不十分であるプリピットには依らないため、記録位置制御を高精度に行なえる。
【0120】
さらに、上記記録位置制御信号生成部が、上記プリピット位置信号あるいは上記シンクプリピット位置信号に位相同期し、上記所定情報単位毎の同期を示すフレーム信号を生成し、上記フレーム信号に基づいて上記記録位置制御信号を生成するので、たとえノイズなどによってプリピット位置信号を誤検出しても正確に記録位置制御ができる。
【0121】
また、上記同期情報指示部が、上記シンクプリピットに隣接して位置する上記同期パターンがスペースとなる同期情報が所定量:nの上記所定情報単位連続してなかった場合には上記同期パターンがスペースになる同期情報を、それ以外の場合には上記記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を選択するよう指示する同期情報をそれぞれ指示する指示信号を生成するので、上記所定量:nが上記フレーム信号を精度よく生成するのに十分なものであるので、高精度な記録位置制御に十分な間隔でプリピット位置信号が得られ、かつ、他のほとんどの同期情報は低周波成分抑圧条件に従って選択できるので、低周波成分抑圧効果減少の影響はほとんど無視できる。
【0122】
さらに、上述の同期情報生成工程が、上記記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を複数から選択して生成する際、上記複数個の同期情報による上記低周波成分抑圧量が同程度あるいは所定範囲内の差であるならば、上記同期パターンがスペースとなる方を優先して選択しているので、記録パルス列の低周波成分が同程度あるいは微増するだけでプリピットに隣接して位置する同期パターンがスペースになるものが増え、つまり高精度に位置検出のできるプリピットが増えるので、より高精度な記録位置制御が可能になる。
【0123】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の情報記録方法及び情報記録装置によれば、情報記録トラック間の領域に所定間隔でプリピットが形成された記録媒体に情報の記録を行なう際、このプリピットから検出したプリピット信号によって記録位置を制御するとき、既記録領域あるいは記録中であってもプリピット信号位置を精度よく検出し、情報記録媒体に対する精度のよい記録位置制御を可能にし、不要なデータを記録するリンキング領域をより少なくあるいは不必要にするので、情報記録媒体の記録領域を有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の情報記録装置の一実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した再生信号処理部16によって生成されるプッシュプル信号の一礼を示す線図である。
【図3】この実施形態におけるDVD−Rのウォブルとプリピットの配置を模式的に示した図である。
【図4】この実施形態におけるプリピットに同期して情報を記録した記録媒体とプリピット信号との関係とそのプリピット信号と光源の記録パワーとの関係を示す模式図である。
【図5】図1に示したエンコーダ12の内部構成と関連部とを示すブロック図である。
【図6】図5に示した同期情報発生部32をこの発明に係わるアルゴリズムによって動作させた時の各信号を示す線図である。
【図7】図5に示した同期情報発生部32をこの発明に係わる他のアルゴリズムによって動作させた時の各信号を示す線図である。
【符号の説明】
1:記録媒体 10:ピックアップ(PU)
11:レーザ駆動部 12:エンコーダ
13:コントローラ 14:スピンドルモータ
15:サーボ部 16:再生信号処理部
17:デコーダ 18:プリピット信号検出部
19:プリピット信号デコーダ
20:回転制御部 21:ウォブル信号検出部
22:記録クロック信号生成部
23:プリピット位置信号検出部
24:記録位置制御信号生成部
25:同期情報指示部 30:データ前処理部
31:8/16変調部 32:同期情報発生部
33:NRZI変換部
Claims (13)
- 情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、前記同期情報が前記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、前記プリピットの少なくとも一部に前記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録方法において、
前記同期パターンをスペースにする同期情報を生成する同期情報生成工程と、該工程によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換する記録パルス列生成工程と、前記プリピットの位置の検出信号に基づいて記録位置制御を行なう記録位置制御工程とからなることを特徴とする情報記録方法。 - 情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、前記同期情報が前記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、前記プリピットの少なくとも一部に前記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録方法において、
複数個の同期情報の一部は同期パターンをスペースにする同期情報として生成し、残りの同期情報は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報として生成する同期情報生成工程と、該工程によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換する記録パルス列生成工程と、前記プリピットの位置の検出信号に基づいて記録位置制御を行なう記録位置制御工程とからなることを特徴とする情報記録方法。 - 情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、前記同期情報が前記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、前記プリピットの少なくとも一部に前記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録方法において、
前記プリピットが前記情報単位の整数倍の間隔で形成されており、
前記プリピットに隣接して位置する場合は同期パターンをスペースにする同期情報を生成し、隣接して位置しない場合は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を生成する同期情報生成工程と、該工程によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換する記録パルス列生成工程と、前記プリピットの位置の検出信号に基づいて記録位置制御を行なう記録位置制御工程とからなることを特徴とする情報記録方法。 - 情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、前記同期情報が前記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、前記プリピットの少なくとも一部に前記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録方法において、
前記プリピットに隣接して位置する同期パターンが所定量連続してマークである場合は同期パターンをスペースにする同期情報を生成し、それ以外の場合は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を生成する同期情報生成工程と、該工程によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換する記録パルス列生成工程と、前記プリピットの位置の検出信号に基づいて記録位置制御を行なう記録位置制御工程とからなることを特徴とする情報記録方法。 - 請求項2乃至4のいずれか一項に記載の情報記録方法において、
前記同期情報生成工程に、前記記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を複数個の中から選択して生成する際、その複数個の同期情報による低周波成分抑圧量が同程度あるいは所定範囲内の差であるとき、同期パターンをスペースにする方を優先して選択する工程を設けたことを特徴とする情報記録方法。 - 情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、前記同期情報が前記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、前記プリピットの少なくとも一部に前記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録装置において、
前記同期パターンをスペースにする同期情報を生成する同期情報生成手段と、
前記プリピットの位置を検出するプリピット位置信号検出手段と、
該手段によって検出されたプリピット位置信号に基づいて記録位置制御信号を生成する記録位置制御信号生成手段と、
前記同期情報生成手段によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換し、前記記録位置制御信号生成手段によって生成された記録位置制御信号に従って前記記録パルス列の出力を開始するエンコード手段とを設けたことを特徴とする情報記録装置。 - 情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、前記同期情報が前記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、前記プリピットの少なくとも一部に前記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録装置において、
複数個の同期情報の一部は同期パターンをスペースにする同期情報として生成し、残りの同期情報は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報として生成する同期情報生成手段と、
前記プリピットの位置を検出するプリピット位置信号検出手段と、
該手段によって検出されたプリピット位置信号に基づいて記録位置制御信号を生成する記録位置制御信号生成手段と、
前記同期情報生成手段によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換し、前記記録位置制御信号生成手段によって生成された記録位置制御信号に従って前記記録パルス列の出力を開始するエンコード手段とを設けたことを特徴とする情報記録装置。 - 情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、前記同期情報が前記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、前記プリピットの少なくとも一部に前記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録装置において、
前記プリピットが前記情報単位の整数倍の間隔で形成されており、前記プリピットに隣接して位置する場合は同期パターンをスペースにする同期情報を生成し、隣接して位置しない場合は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を生成する同期情報生成手段と、
前記プリピットの位置を検出するプリピット位置信号検出手段と、
該手段によって検出されたプリピット位置信号に基づいて記録位置制御信号を生成する記録位置制御信号生成手段と、
前記同期情報生成手段によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換し、前記記録位置制御信号生成手段によって生成された記録位置制御信号に従って前記記録パルス列の出力を開始するエンコード手段とを設けたことを特徴とする情報記録装置。 - 情報記録トラック間の領域に所定間隔で形成されたプリピットを有する記録媒体に対し、所定情報単位毎に同期をとるための同期情報が挿入されている記録情報を記録する際、前記同期情報が前記プリピットよりも十分長い同期パターンを含むものであって、前記プリピットの少なくとも一部に前記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なう情報記録装置において、
前記プリピットに隣接して位置する同期パターンが所定量連続してマークの場合は、その同期パターンをスペースにする同期情報を生成し、それ以外の場合は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を生成する同期情報生成手段と、
前記プリピットの位置を検出するプリピット位置信号検出手段と、
該手段によって検出されたプリピット位置信号に基づいて記録位置制御信号を生成する記録位置制御信号生成手段と、
前記同期情報生成手段によって生成された同期情報を挿入しながら記録情報を所定の変調規則に従って変調した変調コードの記録パルス列に変換し、前記記録位置制御信号生成手段によって生成された記録位置制御信号に従って前記記録パルス列の出力を開始するエンコード手段とを設けたことを特徴とする情報記録装置。 - 請求項6乃至9のいずれか一項に記載の情報記録装置において、
前記記録位置制御信号生成手段が、前記プリピットを、前記所定情報単位に相当する間隔あるいはその整数倍の間隔で形成されたシンクプリピットと、アドレス情報などを示す情報プリピットとによって構成し、前記シンクプリピットに前記同期パターンが隣接して位置するように記録を行なうとき、前記プリピット位置信号のうちの前記シンクプリピットに対応するものであるシンクプリピット位置信号であり、なおかつ隣接して位置した同期パターンがスペースであるものに基づいて記録位置制御信号を生成する手段であることを特徴とする情報記録装置。 - 請求項6乃至9のいずれか一項に記載の情報記録装置において、
前記記録位置制御信号生成手段が、前記プリピット位置信号あるいは前記シンクプリピット位置信号に位相同期し、前記所定情報単位毎の同期を示すフレーム信号を生成する手段を有し、該手段によって生成されたフレーム信号に基づいて前記記録位置制御信号を生成する手段であることを特徴とする情報記録装置。 - 請求項6乃至11のいずれか一項に記載の情報記録装置において、
前記同期情報生成手段に、前記シンクプリピットに隣接して位置する同期パターンをスペースにする同期情報が所定量の前記所定情報単位連続してなかった場合は、同期パターンをスペースにする同期情報を生成し、それ以外の場合は記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を選択するように指示する同期情報指示信号を生成して、前記所定量を前記フレーム信号を精度よく生成するのに十分な値に設定する手段を設けたことを特徴とする情報記録装置。 - 請求項7乃至9のいずれか一項に記載の情報記録装置において、
前記同期情報生成手段に、前記記録パルス列の低周波成分を抑圧する同期情報を複数から選択して生成する際、その複数個の同期情報による低周波成分抑圧量が同程度あるいは所定範囲内の差であるとき、同期パターンをスペースにする方を優先して選択する手段を設けたことを特徴とする情報記録装置。
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