JP2000345121A - Pvc粘着テープ - Google Patents

Pvc粘着テープ

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(57)【要約】 【課題】 耐熱性に優れ、変色の少ないPVC粘着テー
プを提供する。 【解決手段】 塩化ビニル樹脂からなる支持体と粘着剤
からなる粘着層とを有するPVC粘着テープにおいて、
塩化ビニル樹脂に用いられている可塑剤がポリエステル
系可塑剤であり、かつ、支持体と粘着層との間にウレタ
ン系ラテックスからなる下塗り層を有するPVC粘着テ
ープ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電線の集束などに用
いられるPVC粘着テープ、特に、耐熱性が求められる
分野に応用されるPVC粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】PVC粘着テープは、塩ビテープ、塩ビ
絶縁テープなどとも云われ、ポリ塩化ビニル、可塑剤及
び各種充填剤(顔料)などからなる塩化ビニル樹脂より
構成される支持体に粘着剤が塗布されてなるものあり、
電気的接続部の絶縁、電線の集束を始め一般的な用途を
含めて広く用いられている。
【0003】この用途の一例として、ワイヤーハーネス
分野を挙げることができる。ワイヤーハーネスは多数の
被覆電線からなり、その主要部には、電線保護及び自動
車内各所への配索を容易にする目的で、PVC粘着テー
プがテープ幅方向1/2ずつ重なるように巻かれてい
る。
【0004】ワイヤーハーネスの一部はエンジンルーム
内各種機器にも配索されるが、エンジンルームでの繰り
返しの熱履歴により、ワイヤーハーネスに巻かれたPV
C粘着テープが変色し、著しく美観を損なうと云った問
題点があった。
【0005】ここで、特開平8−259909号公報記
載の技術では支持体原料である可塑剤としてポリエステ
ル系可塑剤を、粘着剤原料である酸化防止剤としてフェ
ノール系酸化防止剤を用いることによって、耐熱性を向
上させることが提案されている。しかしながらこの技術
を以てしても、変色を充分なレベルに抑えることができ
なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来の問題点を改善する、すなわち、エンジンルーム内な
どの高熱によっても変色の少ないPVC粘着テープを提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のPVC粘着テー
プは上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、
塩化ビニル樹脂からなる支持体と粘着剤からなる粘着層
とを有するPVC粘着テープにおいて、塩化ビニル樹脂
に用いられている可塑剤がポリエステル系可塑剤であ
り、かつ、支持体と粘着層との間にポリウレタン系ラテ
ックスからなる下塗り層を有するPVC粘着テープであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のPVC粘着テープにおい
て、塩化ビニル樹脂からなる支持体と粘着剤からなる粘
着層との間にポリウレタン系ラテックスからなる下塗り
層がないと、PVC粘着テープの熱履歴による変色を小
さいものとすることができず、本発明の効果は得られな
い。このようなポリウレタン系ラテックスからなる下塗
り層と、支持体を構成する塩化ビニル樹脂中の可塑剤で
あるポリエステル系可塑剤とによって、熱履歴による変
色の少なく、かつ、充分な粘着性を有するPVC粘着テ
ープを得ることができる。
【0009】本発明において、支持体を構成する塩化ビ
ニル樹脂のベース樹脂であるポリ塩化ビニルとしては、
通常、重合度が800〜2000、好ましくは1000
〜1500程度のものが望ましい。
【0010】また、支持体に使用される可塑剤として
は、ポリエステル系可塑剤であることが必要である。こ
の可塑剤はベース樹脂100重量部に対し、30〜15
0重量部添加する。この配合割合が30重量部未満で
は、可塑化効果が不充分であり、テープの柔軟性が損な
われることがある。一方、この配合割合が、150重量
部超では、テープの引張強さが低下しやすくなる。この
配合割合は、柔軟性及び引張強さのバランスからみて、
ベース樹脂100重量部に対して、40〜60重量部の
範囲が好ましい。
【0011】塩化ビニル樹脂には可塑剤の他、必要に応
じて、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、クレー、酸化チタンなどの充填剤・顔料、
鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系、カルシウム−亜鉛系あ
るいは錫系などのポリ塩化ビニル用安定剤などを配合す
ることができる。これらの成分の配合割合は、通常、ベ
ース樹脂であるポリ塩化ビニル100重量部に対して、
充填剤・顔料は1〜50重量部、安定剤が1〜5重量部
である。
【0012】支持体は上記原料を混練したのちフィルム
状に加工して得る。このとき必要に応じて熱安定性を向
上させるために、架橋構造を導入する。その場合、上記
支持体原料に架橋助剤としては、例えば、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール
トリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート、ジア
リルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルイタコネ
ート、トリアリルシアヌレート、トリアリルホスフェー
トなどの架橋助剤を通常ベース樹脂100重量部に対し
て0.5〜5重量部添加する。
【0013】本発明では、粘着剤としてポリウレタン系
ラテックスからなるものを使用する。その他、ポリウレ
タン系ラテックスの他ゴム系粘着剤は天然ゴム、イソプ
レンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチル
ゴムなどの合成ゴムのラテックスあるいはこれらを適宜
に混合し、ポリテルペン系、ガムロジン、ロジンエステ
ル系、フェノール樹脂、クロマンインデン樹脂、石油系
炭化水素樹脂などの粘着付与剤、酸化防止剤、また、必
要に応じて軟化剤を添加して得ることができる。なお、
上記ゴム成分としては、天然ゴム30〜70重量%と合
成ゴム70〜30重量%との混合物が好ましい。
【0014】酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止
剤であることが、変色防止効果が高いため好ましい。フ
ェノール系の酸化防止剤としては、4−ヒドロキシメチ
ル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジメ
チル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブ
チル−p−クレゾール、4,4′−メチレン−ビス−
(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4−ジオキ
シジフェニル、ヒドロキノン・モノベンジルエーテル、
2,6−ジアミルヒドロキノン、テトラキス〔メチレン
−3(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕メタンなどを挙げることができる。
【0015】これら混合比率は通常、ゴム成分100重
量部(ラテックスを用いるときにはその乾燥後重量とし
て)あたり、粘着付与剤40〜100重量部(エマルジ
ョン状の粘着付与剤を用いるときにはその乾燥後重量と
して)、酸化防止剤1〜5重量部(エマルジョン状の酸
化防止剤を用いるときにはその乾燥後重量として)であ
る。これら粘着剤層はPVC粘着テープとして求められ
る粘着性その他の性能が得られる厚さ(通常0.005
mm以上0.05mm以下)である必要がある。
【0016】ここで、本発明のPVC粘着テープは上述
した塩化ビニル樹脂からなる支持体と粘着剤からなる粘
着層との間に下塗り層を有する。この構成でないと、本
発明の効果が得られず、また、PVC粘着テープとして
求められる粘着性が不足する。
【0017】下塗り層としては、絶縁性、耐熱性などP
VC粘着テープの原料として求められる性能を持ち、粘
着剤成分が支持体に移行するのを妨げ、かつ、粘着剤及
び支持体との間に剥がれなどを生じないような成分で構
成される。そのようなものとして、ゴムを挙げることが
できる。このようなゴム層は製膜性を有するラテックス
を塗布し、乾燥させることで得ることができる。なお、
ゴム成分としては、特に、ポリウレタン系のゴムを用い
たときに高い効果が得られる。
【0018】本発明のPVC粘着テープにおいて、下塗
り層の厚さは0.001mm以上であることが望まし
い。0.001mm以下であると、本発明の効果が充分
には得られない。
【0019】
【実施例】以下に本発明のPVC粘着テープについての
実施例及び比較例について説明する。支持体を形成する
塩化ビニル樹脂は重合度1100のポリ塩化ビニルを1
00重量部、可塑剤としてフタル酸エステル系可塑剤
(協和発酵製ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DO
P))あるいはポリエステル系可塑剤(旭電化製アデカ
サイザーPN170)のいずれかを50重量部、複合安
定剤(旭電化製RUP103)を4重量部、及び充填剤
として炭酸カルシウム(白石カルシウム工業製ホワイト
ンYSBを20重量部となるよう混練し、フィルム化し
て厚さ0.1mmのフィルムを得た。
【0020】下塗り層としては、これら支持体にポリウ
レタンラテックスであるハイドランAP−60(大日本
インキ化学工業製、以下「ポリウレタン系」とも云う)
あるいは天然ゴム系ラテックスであるMGラテックス
(天然ゴムにメタクリル酸メチルをグラフト重合したも
の、以下「天然ゴム系」とも云う)を塗布して厚さ0.
005mmのゴム層を設けた。なお、下塗り層は比較例
においては設けない場合もある。
【0021】粘着剤としては、天然ゴム系ラテックス
(ガスリー社製スタンダード)と合成ゴム系ラテックス
(イーテック社製PL4602A)とをそれぞれ含有固
形分重量比が2:3となるように混合して混合ラテック
スを得た。この混合ラテックスの含有固形分を100重
量部として、またフェノール系酸化防止剤(チバガイギ
ー社製チヌビンB75)を含有固形分換算で0.5重量
部を添加して粘着剤(エマルジョン)とし、乾燥後の厚
さが0.03mmとなるように塗布し、乾燥させて粘着
層を形成した。
【0022】このようにして粘着シートを作成した後テ
ープ状に切断してPVC粘着テープとした。本発明に係
るPVC粘着テープの概念を図1にモデル化して示す。
すなわち、ポリエステル系可塑剤を可塑剤として有する
支持体と、粘着剤からなる粘着層との間に下塗り層が配
されている。
【0023】なお、比較のため、下塗り層あり・なし、
粘着層あり・なし、及び下塗り層も粘着層をも有さない
テープとともに空気中72時間120℃に保ってこれら
の変色状況を調べた。
【0024】そのときの変色状態を視認で調べ、変色の
少ない良好なものを◎、比較的変色の少ないものを○、
変色のかなり多いものを△、非常に多いものを×と評価
し、また、同時に、色彩色差計(ミノルタ社製CR30
0)を用いてJIS Z8730に準拠して熱処理前後
の色差を調べた。
【0025】
【表1】
【0026】表1により本発明の実施例のPVC粘着テ
ープは耐熱性に優れ、長時間の熱履歴によっても変色が
ほとんどないことが判る。
【0027】
【発明の効果】本発明のPVC粘着テープは、熱履歴に
よっても変色が極めて少ない優れたPVC粘着テープで
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るPVC粘着テープの概念を示す
モデル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA08H AH02B AH02H AK15A AK25 AK25J AK41A AK41H AK51C AL04 AL05 AN01 AN01J AN02 AR00B BA03 BA07 BA10A BA10B CA04A CA06B CA23 CC00C GB46 JL13B JM01C JN28 4J004 AA04 AA05 AA07 AA17 AB01 CA05 CC02 CD06 FA05

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル樹脂からなる支持体と粘着剤
    からなる粘着層とを有するPVC粘着テープにおいて、
    塩化ビニル樹脂に用いられている可塑剤がポリエステル
    系可塑剤であり、かつ、支持体と粘着層との間にポリウ
    レタン系ラテックスからなる下塗り層を有することを特
    徴とするPVC粘着テープ。
  2. 【請求項2】 粘着剤が酸化防止剤としてフェノール系
    酸化防止剤を有することを特徴とする請求項1に記載の
    PVC粘着テープ。
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