JP2000337662A - 天井吹出し・床吸込み型躯体蓄熱空調システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】躯体蓄熱を利用した従来の空調システムでは、
蓄熱のための床スラブを天井側とした床吹出し式のもの
が多く、このような方式では、天井空間の床スラブの下
方に連通ダクト等のダクト類を配置するため、天井側の
必要スペースが大きく、一部に下り天井が必要となり、
また調和空気の流れに違和感が感じられる場合がある。 【解決手段】そこで本発明では、居室３の床側の床スラ
ブ１の他端側において、この床スラブと床５の間の床下
空間７内で、連通口９ａ同士を連通ダクト１０により連
通させ、空調機１２の吐出側を、空気ダクトを介して天
井側の床スラブと天井間の天井空間に開口した吹出口１
４と、連通ダクトに選択的に連通させる構成とすると共
に、空調機の吸込側は、空気ダクトを介して床下空間
と、連通ダクトに選択的に連通させる構成とし、天井に
吹出口、床に吸込口を構成した天井吹出し、床吸込み型
躯体蓄熱空調システムを提案するものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、天井吹出し、床吸
込み型躯体蓄熱空調システムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近来、空調機の始動直後から室内環境を
良好にすることを目的としたり、または空調負荷のピー
クカットによる熱源・空調機器の容量低減を計る目的
で、空調が必要な時間外に空調機を蓄熱運転してコンク
リート躯体に予め熱（冷熱を含む）を蓄熱しておき、こ
の熱を、空調が必要な時間に利用することができる躯体
蓄熱を利用した空調システムが提案されている。例えば
特願平９−２８２０９号等の願書に添付した明細書及び
図面参照。

【０００３】この空調システムは、建築物の構造体によ
り構成された閉鎖空間、例えば中空スラブにより構成し
た床スラブの中空部を蓄熱・放熱用の空気通路として構
成し、空調機から空調空間を経て空調機に還流する調和
空気経路の適所に上記床スラブの空気通路を配置した構
成を基本構成としている。

【０００４】このような空調システムの一例を説明する
と、例えば図６に示すものは、空調機１０１の吐出側１
０２からの調和空気を、ＯＡフロア等の二重床１０３と
床スラブ１０４との間に構成した床下空間１０５を介し
て床１０３に設けた吹出口１０６から部屋の居室空間１
０７に供給すると共に、天井パネル１０８に設けた吸込
口１０９から、この天井パネル１０８と天井側の床スラ
ブ１０４との間の天井空間１１０に流入させ、ここを通
過させて空調機１０１の吸込側１１１に還流させる床吹
き出し式の空調システムにおいて、床スラブ１０４は中
空部１１２を有する床スラブにより構成し、この中空部
１１２により蓄熱・放熱用の空気通路を構成して、上記
調和空気を必要に応じてこの蓄熱用空気通路に流すよう
にしたものである。

【０００５】図６に示すように、並列に近接配置された
多数の中空部１１２は図中右端側において、隣接するも
の同士を連通させて直列空気通路を構成することによ
り、これらの直列空気通路の両端を共に図中左端側に構
成している。そして空調機１０１の吐出側１０２からの
調和空気を上記直列空気通路の夫々の一端側に供給する
ために、天井空間１１０の床スラブ１０４の下方に、上
記中空部１１２と直角の方向に連通ダクト１０３を配置
しており、この連通ダクト１０３から各直列空気通路の
一端側に枝ダクト１１４を設置して、これらの各直列空
気通路の一端側を連通させている。一方、直列空気通路
の他端側は連通口１１５により天井空間１１０と連通さ
せている。

【０００６】このような構成においては、空調が必要な
時間外、特に、電力料金の単価が安い夜間において必要
な時間だけ空調機１０１を運転し、調和空気を上記蓄熱
用の空気通路に流して循環させる蓄熱運転を行うことに
より、空調機１０１の運転により発生した熱（冷熱を含
む）を、中空部１１２を構成した天井側の床スラブ１０
４に蓄熱することができる。また空調時においては、居
室空間１０７に流す調和空気を、その上流側又は下流側
において上記蓄熱用空気通路に流す運転を行うことによ
り、床スラブ１０４に蓄えた熱を調和空気により回収し
て居室空間１０７の空調に供することができる。例え
ば、夜２２時から翌朝８時までの１０時間に蓄熱運転を
行って床スラブに蓄熱し、昼間にその大半を放熱して利
用する。尚、図中実線及び破線の矢印は蓄熱運転時の調
和空気の流れ、１点鎖線の矢印は空調運転時の調和空気
の流れを示すものであり、後者の空調運転においては、
調和空気の経路は、天井空間１１０のみを流して空調機
１０１の吸込側１１１に還流する経路と、天井空間１１
０から上記蓄熱用空気通路を流れて空調機１０１の吸込
側１１１に還流する経路とを選択できる構成であり、こ
のような運転を行うためのダクト配置、切替機構等を適
宜に構成している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】以上のような従来の躯
体蓄熱空調システムでは、以下に示すような課題があ
る。 ａ．天井空間の床スラブの下方に連通ダクト等のダクト
類を配置するため、この空気ダクトを収めるための天井
ふところが必要で、一部に下り天井１１６が必要とな
り、天井高が低くなってしまう。 ｂ．調和空気は、床側から噴出して天井側に吸い込まれ
る上向流のため、什器等の配置で流れのバランスが崩れ
る場合があり、違和感が感じられる場合がある。 本発明は、以上の課題を解決することを目的とするもの
である。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明では、建物の床スラブを、並列した中空部
を有する中空スラブにより構成し、隣接した一対の中空
部毎に、床スラブの一端側で相互に連通させて直列空気
通路を構成すると共に、床スラブの他端側に外部との連
通口を構成し、居室の床側の床スラブの他端側におい
て、この床スラブと床の間の床下空間内で、前記直列空
気通路の一端側に対応する連通口同士を連通ダクトによ
り連通させ、空調機室に設置した空調機の吐出側を、空
気ダクトを介して天井側の床スラブと天井間の天井空間
に開口した吹出口と、連通ダクトに選択的に連通させる
構成とすると共に、空調機の吸込側は、空気ダクトを介
して床下空間と、連通ダクトに選択的に連通させる構成
とし、天井に吹出口、床に吸込口を構成した天井吹出
し、床吸込み型躯体蓄熱空調システムを提案する。

【０００９】以上の本発明によれば、蓄熱のための直列
空気通路を構成する床スラブは、床側として、連通ダク
ト等のダクト類を床下空間に設置することにより、天井
の必要スペースを低減すると共に、床吹出し空調を受け
入れられない人にも対応できる天井吹出し・床吸込み型
の空調システムを構成することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図を参
照して説明する。図１、図２は本発明の空調システムの
実施の形態を運転動作毎に概念的に表した断面図であ
り、図３は図１のＡ−Ａ線断面図である。また図５、図
６は夫々図１、図２の運転動作に対応する動作毎に表し
た調和空気系統の構成の例を示す系統図である。符号１
はコンクリート床スラブであり、この床スラブ１は並列
した中空部２を有する中空スラブにより構成している。
符号３は居室であり、４は天井、５は床である。天井４
と上方の床スラブ１との間には天井空間６を設けてお
り、また床５と下方の床スラブ１との間には床下空間７
を設けている。床スラブ１は上述したとおり並列した中
空部２を有する中空スラブにより構成しており、隣接し
た一対の中空部２毎に、床スラブ１の一端側（図１、図
２中の左側、図３中の下側）で連通口８により相互に連
通させて直列空気通路を構成すると共に、床スラブ１の
他端側（図１、図２中の右側、図３中の上側）に、外部
との連通口９ａ，９ｂを構成している。そして床下空間
４内の前記床スラブ１の他端側において、前記直列空気
通路の一端側に対応する連通口９ａ同士を連通ダクト１
０により連通させる。符号１１は空調機１２を設置した
空調機室であり、空調機１２の吐出側を第１の空気ダク
ト１３を介して天井空間６に開口した吹出口１４と、第
２の空気ダクト１５を介して前記連通ダクト１０と選択
的に連通させる構成としている。一方、空調機１２の吸
込側は、第３の空気ダクト１６を介して床下空間７と、
第４の空気ダクト１７を介して連通ダクト１０に選択的
に連通させる構成としている。尚、符号１８ａ，１８
ｂ，１８ｃ，１８ｄは、上述した連通を選択するダンパ
ーである。尚、図４、図５において符号２１は空調機本
体を示すものである。そして天井４には天井空間６から
居室３内への吹出口１９を設けると共に、床５に居室３
内から床下空間７への吸込口２０を設けている。

【００１１】以上の構成の空調システムにつき、その運
転方法を説明する。図１、図３及び図４は例えば冷房期
の空調時間外、特に、電力料金の単価が安くなる夜間に
おける蓄熱運転状態を示すもので、図４では図中ハッチ
ングを付したダンパーが開状態（他は閉状態）を示すも
のである。この蓄熱運転では、空調機１２の吹出側から
の調和空気、即ち、この場合、冷風は、図中に矢印で示
すように、第２の空気ダクト１５を通り、連通ダクト１
０を経て連通口９ａから中空部２内に流入する。こうし
て中空部２内に流入した冷風は、中空部２を空気通路と
して連通口８を介して連通口９ｂ方向に流れ、この際、
床スラブ１を冷やす。即ち、床スラブ１には、いわゆる
冷熱が蓄積される。このように床スラブ１を冷やした冷
風は、連通口９ｂから床下空間７内に流出し、床下空間
７から第３の空気ダクト１６を経て空調機１２の吸込側
に還流して循環に供される。

【００１２】このような蓄熱運転は、上述したように電
力料金の単価が安くなる夜間において、予め設定した所
定の時間だけ行うようにしたり、床スラブ１の適所に設
置した温度センサを用いて、設定温度となるように制御
して運転することができる。また、このような蓄熱運転
では、空調機１２における空気の吹き出し温度を、15℃
等に設定することにより、より効率的に床スラブ１に蓄
熱を行うことができる。

【００１３】以上のようにして、夜間、必要な時間だけ
空調機１２を蓄熱運転して床スラブ１に冷熱を蓄え、空
調が必要な時間が始まった時点で再び空調機１２を空調
運転、即ち冷房運転する。この冷房運転の状態は図２、
図５に示しており、上述と同様に図５中にハッチングを
付したダンパーが開状態（他は閉状態）を示すものであ
る。即ち、この冷房運転では、空調機１２の吹出側から
の冷風は、図中に矢印で示すように、第１の空気ダクト
１３を通り、吹出口１４から天井空間６内に流入すると
共に、天井空間６内から吹出口１９を経て居室３内に吹
き出す。一方、居室３内の空気が吸込口２０から床下空
間７内に流入し、次いで連通口９ｂから中空部２内に流
入する。中空部２内に流入した空気は、中空部２を空気
通路として連通口８を経て連通口９ａ方向に流れ、この
際、床スラブ１に蓄熱されている冷熱により冷やされ
る。即ち、中空部２を流れる空気により、蓄熱されてい
る冷熱が回収される。こうして冷やされた空気は、連通
口９ａから連通ダクト１０を通り、第４の空気ダクト１
７を経て空調機１２の吸込側に還流する。そして空調機
１２により必要な温度に冷やされて、再び、上述したよ
うに天井側から居室３内に吹き出し、こうして蓄熱運転
時に床スラブ１に蓄熱された冷熱は、居室３の冷房に供
される。尚、居室３から吸込口２０を通して床下空間７
内に流入した空気は、以上の経路により空調機１２の吸
込側に還流させる代わりに、図５中に２点鎖線で示すよ
うに、中空部２の空気通路を通過させずに、床下空間７
内から直接に第３の空気ダクト１６を経て還流させるこ
ともできる。

【００１４】以上は本発明の実施の形態を、冷房期の運
転について説明しているが、暖房期の運転においても同
様な動作で、蓄熱運転において温風を中空部２内に流し
て床スラブ１に蓄熱を行うと共に、蓄熱されている熱を
放熱して居室３の暖房に供することができる。

【００１５】尚、図１〜図３において、符号２２は建物
の廊下を示すものであり、即ち、以上に説明した実施の
形態では、空調機室１１は居室３から廊下２２を隔てた
位置に構成しているが、空調機室１１は居室３に隣接し
て構成する等、適所に構成できるものである。

【００１６】また、図中、符号２３は、床スラブ１の長
さが長い場合に、ぺリメータ処理を行うためのファン・
ヒーターである。

【００１７】

【発明の効果】本発明は以上のとおりであるので、次の
ような効果がある。 ａ．蓄熱のための直列空気通路を構成する床スラブを床
側として、連通ダクト等のダクト類を床下空間に設置し
たので、天井の必要スペースを低減して、下り天井をな
くすことができる。 ｂ．天井吹出し・床吸込み型の空調システムであるの
で、調和空気流に違和感がなく、床吹出し空調を受け入
れられない人にも対応できる。 ｃ．居室の床側に蓄熱をするので、建物の最上階の居室
についても、屋上からの熱負荷を低減することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の空調システムの実施の形態を蓄熱運
転動作において表した概念的断面図である。

【図２】 本発明の空調システムの実施の形態を空調運
転動作において表した概念的断面図である。

【図３】 図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】 図１の運転動作に対応して表した調和空気系
統の実施の形態を示す系統図である。

【図５】 図２の運転動作に対応して表した調和空気系
統の実施の形態を示す系統図である。

【図６】 躯体蓄熱を利用した空調システムの一例を示
す透視図である。

【符号の説明】

１ 床スラブ ２ 中空部 ３ 居室 ４ 天井 ５ 床 ６ 天井空間 ７ 床下空間 ８ 連通口 ９ａ，９ｂ 連通口 １０ 連通ダクト １１ 空調機室 １２ 空調機 １３ 第１の空気ダクト １４ 吹出口 １５ 第２の空気ダクト １６ 第３の空気ダクト １７ 第４の空気ダクト １８ ダンパー １９ 吹出口 ２０ 吸込口 ２１ 空調機本体 ２２ 廊下 ２３ ファン・ヒーター

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建物の床スラブを、並列した中空部を有
   する中空スラブにより構成し、隣接した一対の中空部毎
   に、床スラブの一端側で相互に連通させて直列空気通路
   を構成すると共に、床スラブの他端側に外部との連通口
   を構成し、居室の床側の床スラブの他端側において、こ
   の床スラブと床の間の床下空間内で、前記直列空気通路
   の一端側に対応する連通口同士を連通ダクトにより連通
   させ、空調機室に設置した空調機の吐出側を、空気ダク
   トを介して天井側の床スラブと天井間の天井空間に開口
   した吹出口と、連通ダクトに選択的に連通させる構成と
   すると共に、空調機の吸込側は、空気ダクトを介して床
   下空間と、連通ダクトに選択的に連通させる構成とし、
   天井に吹出口、床に吸込口を構成したことを特徴とする
   天井吹出し、床吸込み型躯体蓄熱空調システム