JP2000266363A - 空調システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 省エネルギー，省スペース，多機能化を実現
した空調システムを提供する。 【解決手段】 インテリア系統の空調を受け持つ床吹出
空調機８と、床下空間６に連通する状態で設置されると
ともに、ペリメータ吹出口からの空気の吹き出し機能と
床下空間６への空気の吹き出し機能とを有するペリメー
タ空調機１１と、ペリメータ空調機１１に一体に設けら
れるとともに、外気取入口１３に通じる通風路を開閉可
能でかつ外気取入口１３から取り入れられた外気の導入
先をペリメータ空調機１１と室内空間１との間で切り換
え可能なダンパー１４とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空調システムに係
り、特に、省エネルギー，省スペース，多機能化を実現
した空調システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、室内の空調が不要な夜間に空調機
からの空調空気（温風，冷風）を利用して建物の躯体
（構造体）に熱を蓄積しておき、この蓄積した熱を実際
の空調時間帯（日中）に利用する方式（躯体蓄熱方式）
が知られている。また、躯体蓄熱方式を採用した従来の
空調システムとしては、建物の天井に設置した空調機か
ら直接、天井内の床スラブに空調空気を吹き付けて躯体
蓄熱を行うものが知られている。

【０００３】ところで、空調方式には、空調機で生成し
た空調空気を天井面の吹出口から吹き出させる天井吹き
出し空調方式と、空調機で生成した空調空気を床面の吹
出口から吹き出させる床吹き出し空調方式がある。特
に、近年においては、暖房時における足元の冷え防止や
浮遊粉塵の抑止などの理由により、床吹き出し空調方式
が増加する傾向にある。また従来では、主に省エネルギ
ーの観点から、自然換気を併用した冷房方式（自然換気
併用冷房）も行われている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記躯
体蓄熱方式を採用した従来の空調システムでは、建物の
天井に設置した空調機から直接、天井内の床スラブに空
調空気を吹き付けて躯体蓄熱を行うため、床吹き出し空
調方式を採用することができなかった。また、従来の自
然換気併用冷房は、空調システムとは別個に、外壁の開
口（窓の開閉等）をコントロールするものであるため、
二重の外気取り入れを必要としていた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係る空調システ
ムでは、インテリア系統の空調を受け持つインテリア空
調機と、床下空間に連通する状態で設置されるととも
に、ペリメータ吹出口からの空気の吹き出し機能と前記
床下空間への空気の吹き出し機能とを有するペリメータ
空調機と、このペリメータ空調機に一体に設けられると
ともに、外気取入口に通じる通風路を開閉可能でかつ該
外気取入口から取り入れられた外気の導入先を前記ペリ
メータ空調機と室内空間との間で切り換え可能な切り換
え手段とを備えた構成を採用している。

【０００６】上記構成からなる空調システムによれば、
インテリア空調機が床吹き出し方式か天井吹き出し方式
かに関わらず、ペリメータ空調機によって空調空気をペ
リメータ吹出口から吹き出させることにより、ペリメー
タ系統の空調を行うことが可能であるうえに、上記ペリ
メータ空調機によって空調空気を床下空間に吹き出させ
ることにより、躯体蓄熱を行うことも可能となる。ま
た、ペリメータ空調機に一体に設けた切り換え手段に
て、外気取入口からの外気の取り入れとその導入先を適
宜切り換えることにより、外気取入口からの外気を室内
空間に導入して自然換気併用冷房を行うことが可能とな
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しつつ詳細に説明する。図１は本発明の実
施形態に係る空調システムの縦断面図である。

【０００８】図１において、空調の対象となる室内空間
（例えば、事務室）１は、床面２及び天井面３によって
所定の高さに区画形成されている。このうち、床面２に
は床吹出口４が形成され、天井面３にはレタン開口５が
形成されている。床吹出口４は、室内空間１と床下空間
６とを連通する状態で形成され、レタン開口５は、室内
空間１と天井空間７とを連通する状態で形成されてい
る。

【０００９】床吹出空調機８は、インテリア系統の空調
を受け持つものである。この床吹出空調機８は、図示せ
ぬコントローラからの制御信号に従って空気調和のため
の処理（清浄、冷却、減湿、加熱、加湿等）を行い、こ
れによって生成された空調空気を送風ファン（不図示）
の圧力により床下空間６を介して床吹出口４から吹き出
させる。

【００１０】床吹出空調機８の下部には、床下空間６に
臨むサプライダクト９が接続され、同上部には、天井空
間７に臨むレタンダクト１０が接続されている。このう
ち、サプライダクト９は、床吹出空調機８から送り出さ
れた空調空気を床下空間６に導くためのもので、レタン
ダクト１０は、レタン開口５を介して天井空間７に回収
された空気を床吹出空調機８に戻すためのものである。

【００１１】一方、窓際のペリメータ部分には、上記床
下空間６に連通する状態でペリメータ空調機１１が設置
されている。このペリメータ空調機１１は、図示せぬペ
リメータ吹出口から窓際に沿って空気を吹き出す機能
（以下、ペリメータ吹出機能という）と床下空間６に向
けて空気を吹き出す機能（以下、床下吹出機能という）
とを有するもので、その内部には、図示せぬ空気吹き出
しのための送風機と空調空気（冷風，温風）を生成する
ためのクーリングコイル及びヒーティングコイルを備え
ている。また、床下空間６には冷温水配管１２が設けら
れ、この冷温水配管１２を介してペリメータ空調機１１
内の空調用コイル（クーリングコイル，ヒーティングコ
イル）に冷水又は温水が供給される構成になっている。

【００１２】さらに、ペリメータ空調機１１に隣接する
窓下の部分には、外気（新鮮空気）を取り入れるための
外気取入口１３が設けられている。また、ペリメータ空
調機１１の設置空間から外気取入口１３に通じる通風路
には、ペリメータ空調機１１と一体にダンパー１４が設
けられている。このダンパー１４は、図示せぬコントロ
ーラからの制御信号に従って動作することにより、上記
通風路を開閉するとともに、外気取入口１３から取り入
れられた外気の導入先を室内空間１とペリメータ空調機
１１との間で切り換えるもので、このダンパー１４によ
り切り換え手段が構成されている。

【００１３】続いて、本実施形態に係る空調システムに
おいて、図示せぬコントローラからの制御信号に基づく
動作機能につき、図面を用いて説明する。

【００１４】先ず、夏期の空調時間帯では、ダンパー１
４を“閉”状態として床吹出空調機８とペリメータ空調
機１１を冷房運転させる。これにより、図２に示すよう
に、床吹出空調機８から送り出された空調空気（冷風）
は、サプライダクト９及び床下空間６を通して床吹出口
４から室内空間１に吹き出され、ペリメータ空調機１１
から送り出された空調空気（冷風）は、ペリメータ吹出
口（不図示）から窓際に沿って吹き出される。これによ
り、床吹き出しによるインテリア系統の冷房と、ペリメ
ータ系統の冷房が行われる。なお、天井面３のレタン開
口５から天井空間７に回収された空気は、レタンダクト
１０を通して床吹出空調機８に戻される。

【００１５】一方、夏期の夜間では、ダンパー１４を
“閉”状態として床吹出空調機８の運転を停止させ、こ
の状態でペリメータ空調機１１を冷房運転させる。この
場合、ペリメータ空調機１１には冷温水配管１２から冷
水が供給され、この状態で図示せぬ送風機による床下吹
出機能が作動する。これにより、図３に示すように、ペ
リメータ空調機１１から吹き出された空気（冷風）が床
下空間６に直に供給される。ここで、室内空間１に人が
居なくなる夜間では、床吹出口４からの吹出温度の制約
がなく、かつ室内空間１を空調する必要もないため、床
下空間６に対しては低温度（吸い込み／吹き出しの温度
差が大）で且つ小風量の冷風を供給する。これにより、
床下空間６が効率良く冷やされるため、その床下空間６
に面するコンクリートスラブ等に冷たい熱を蓄積（躯体
蓄熱）することができる。

【００１６】また、冬期の空調時間帯でインテリア系統
を冷房する場合には、ダンパー１４を“閉”状態として
床吹出空調機８を冷房運転させる。これにより、図４に
示すように、床吹出空調機８から送り出された空調空気
（冷風）が、サプライダクト９及び床下空間６を通して
床吹出口４から室内空間１に吹き出される。これによ
り、冬期空調時間帯において床吹き出しによるインテリ
ア系統の冷房が行われる。このとき、ペリメータ空調機
１１においては、その床下吹出機能により窓際の冷たい
空気を窓下に排気し、かつ排気した空気を適度に暖める
ことにより、冷気による不快感（コールドドラフト）を
防止することができる。

【００１７】一方、冬期の夜間では、ダンパー１４を
“閉”状態として床吹出空調機８の運転を停止させ、こ
の状態でペリメータ空調機１１を暖房運転させる。この
場合、ペリメータ空調機１１には冷温水配管１２から温
水が供給され、この状態で図示せぬ送風機によるペリメ
ータ吹出機能が作動する。これにより、図５に示すよう
に、ペリメータ空調機１１から送風された空気（温風）
が床下空間６に直に供給される。ここで、室内空間１に
人が居なくなる夜間では、上記同様に床吹出口４からの
吹出温度の制約がなく、かつ室内空間１を空調する必要
もないため、床下空間６に対しては高温度（吸い込み／
吹き出しの温度差が大）で且つ小風量の温風を供給す
る。これにより、床下空間６が効率良く暖められるた
め、その床下空間６に面するコンクリートスラブに暖か
い熱を蓄積（躯体蓄熱）することができる。

【００１８】これに対して、中間期の昼間では、床吹出
空調機８の冷房運転を適宜停止させるとともに、ダンパ
ー１４を“開”状態として外気の導入先をペリメータ空
調機１１に切り換える。これにより、図６に示すよう
に、外気取入口１３から取り入れられた外気が、ペリメ
ータ空調機１１を介して床下空間６に送り出され、さら
に床吹出口４から室内空間１に導入される。そのため、
いちいち外壁の開口をコントロールしなくても、自然換
気を併用した冷房を行うことができる。

【００１９】また、中間期の夜間では、床吹出空調機８
の運転を停止させるとともに、ダンパー１４を“開”状
態として外気の導入先を室内空間１に切り換える。これ
により、図７に示すように、外気取入口１３から取り入
れられた外気が窓下の部分から室内空間１に導入され
る。そのため、いちいち外壁の開口をコントロールしな
くても、室内空間１にこもった熱気を自然換気によって
除去するナイトパージによって建物を冷却することがで
きる。

【００２０】このように本実施形態の空調システムによ
れば、床吹き出しによる空調方式を採用したうえで、ペ
リメータ空調機１１による躯体蓄熱を実現し、空調の熱
負荷を夜間に移行させることができる。これにより、空
調システムにおける空調負荷（冷房負荷、暖房負荷）の
ピーク値（最大負荷）を低減することができる。また、
空調負荷の低減に伴い、装置容量（熱源機器、空調機器
等の容量）を低減したり、ダクト、配管のサイズを小さ
くしてイニシャルコストを下げることができる。

【００２１】図８は躯体蓄熱の効果を説明するもので、
（ａ）は躯体蓄熱が無い場合の熱負荷シミユレーション
結果を示し、（ｂ）は躯体蓄熱が有る場合の熱負荷シミ
ユレーション結果を示している。図から明らかなよう
に、躯体蓄熱の有り無しによる熱負荷のピーク値（最大
負荷）を見てみると、躯体蓄熱有りの場合が躯体蓄熱無
しの場合よりも装置容量として約３０％低減しているこ
とが分かる。

【００２２】また、ペリメータ空調機１１に自然換気機
能を持たせた（一体化した）ことで、省スペース化が図
られるとともに、いちいち外壁の開口をコントロールし
なくても、ペリメータ空調機１１自体の自然換気機能に
よって自然換気併用冷房を行うことができる。これによ
り、主に中間期において、外気を導入する自然換気併用
冷房を行うことにより、床吹出空調機８の運転を必要最
小限に抑えて省エネルギーを図ることができる。さら
に、外気温度が室内温度よりも低い夜間に外気を導入す
るナイトパージを行うことにより、年間の冷房負荷を低
減することができる。

【００２３】図９は自然換気併用冷房の効果を説明する
もので、図中白抜きの棒グラフが自然換気併用冷房有り
の場合、図中黒塗りの棒グラフが自然換気併用冷房無し
の場合を示している。図から明らかなように、自然換気
併用冷房を行った場合には年間を通して各月の積算冷房
負荷が低減し、年間の冷房負荷としては約１５％の低減
が図られている。このことからも、自然換気併用冷房が
省エネルギーに大きな効果をもたらすことが理解でき
る。

【００２４】なお、上記実施形態においては、上述のよ
うに躯体蓄熱と自然換気の機能を併せ持つペリメータ空
調機１１を、床吹出空調機８と組み合わせて一つの空調
システムを構成しているが、本発明はこれに限らず、図
示せぬ天井吹出空調機との組み合わせで一つの空調シス
テムを構成することも可能である。

【００２５】また、上記実施形態では、ペリメータ空調
機１１の構成として、冷温水による冷却，加熱方式を採
用したが、これ以外にも、例えばコンプレッサ，室内コ
イル，送風機等による空冷ヒートポンプ方式を採用し、
これに自然換気併用冷房機能を付加した構成としてもよ
い。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係る空調シ
ステムによれば、インテリア空調機に床吹き出し方式を
採用した場合でも、ペリメータ系統を受け持つペリメー
タ空調機によって躯体蓄熱を行うことができる。これに
より、熱負荷を夜間に移行して装置容量とイニシャルコ
ストを低減することが可能となる。また、ペリメータ空
調機に一体に設けた切り換え手段にて、外気取入口から
の外気の取り入れとその導入先を適宜切り換えることに
より、自然換気併用冷房を行って省エネルギー効果を得
ることができる。また、ペリメータ系統の空調機に躯体
蓄熱と自然換気の機能を併設したことにより、省スペー
ス化を図ることができる。その結果、省エネルギー，省
スペース，多機能化を実現した空調システムを提供する
ことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態に係る空調システムの構成を
説明する図である。

【図２】実施形態の空調システムの動作機能を説明する
図（その１）である。

【図３】実施形態の空調システムの動作機能を説明する
図（その２）である。

【図４】実施形態の空調システムの動作機能を説明する
図（その３）である。

【図５】実施形態の空調システムの動作機能を説明する
図（その４）である。

【図６】実施形態の空調システムの動作機能を説明する
図（その５）である。

【図７】実施形態の空調システムの動作機能を説明する
図（その６）である。

【図８】躯体蓄熱の効果を説明する図である。

【図９】自然換気併用冷房の効果を説明する図である。

【符号の説明】

１…室内空間、４…床吹出口、６…床下空間、８…床吹
出空調機（インテリア空調機）、１１…ペリメータ空調
機、１３…外気取入口、１４…ダンパー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インテリア系統の空調を受け持つインテ
   リア空調機と、 床下空間に連通する状態で設置されるとともに、ペリメ
   ータ吹出口からの空気の吹き出し機能と前記床下空間へ
   の空気の吹き出し機能とを有するペリメータ空調機と、 前記ペリメータ空調機に一体に設けられるとともに、外
   気取入口に通じる通風路を開閉可能でかつ該外気取入口
   から取り入れられた外気の導入先を前記ペリメータ空調
   機と室内空間との間で切り換え可能な切り換え手段とを
   備えることを特徴とする空調システム。