JP3656077B2 - 室内循環流路と外気供給流路を併設した下部吹出空調機 - Google Patents

室内循環流路と外気供給流路を併設した下部吹出空調機 Download PDF

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【0001】
本発明は、下部吹出空調方式における空調機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
空調方式には従来から種々の方式が知られているが、どの方式も基本的には快適空間、すなわち温度的に均一で、空気質において汚染物質が許容量以下の空間を形成させることを主目的とし、これらを建設費を安く、エネルギ−消費が少なくなるように様々な工夫を凝らせて目的を達成しようとしている。
【0003】
近年、その方式の1つとして床吹出し空調方式とか下吹出し空調方式が提案され快適性、省エネルギー性に威力を発揮している。参考までに提案されている従来の技術を列挙すると(1)特許公報:平1−57259冷暖房方法、(2)公開特許公報:特開平4−143538換気方法、(3)公開特許公報:特開平7−243664床吹出し空調システム、(4)公開特許公報:特開平7−243665拡散板を用いた床吹出し空調システム、(5)公開特許公報:特開平7−250803空調空気床吹出し装置、(6)公開特許公報:特開平7−293996ウォールスルー型空調システム、などがある。既に本発明者も「下吹出し、上吸込み空調方法」(特開平6−272890)および「新鮮空気導入による下部吹出空調方式」(特願6−39316)を提案している。
【0004】
これら下吹出し空調方式においては、吹出し空気が直接人体に当たることから冷房時の吹出し空気温度を21〜24℃と高くし、快適性と省エネルギーを確保している。このことは吹出し空気温度が高いために冷却による除湿ができないなどの欠点がある。そのために空調において必要とする換気のため外気を利用して冷却除湿して供給する方法が用いられている。
【0005】
空調の設計としては室内の空気環境条件に対する熱負荷計算中心に行なわれている。空気環境条件としては建築物における衛生的環境の確保に関する法律(略称ビル衛生管理法)のビル環境衛生管理基準に室内空気環境基準が6要素示されている。その内の温度、湿度条件を見ると温度条件は17℃以上28℃以下、湿度条件は湿度404%以上70%以下となっている。しかし幅が大き過ぎるので、設計では省エネルギーのことも配慮して冷房時は温度26℃・湿度60%、暖房時は温度22℃・湿度40%を用いることが多い。熱負荷は室内負荷と空調装置負荷とに大別され、室内負荷としてはもっぱら建物の外壁からの熱の流入出を中心として負荷計算をする方法が用いられている。これに冷房の場合は人、照明、事務用機器など室内で発生する熱を加え熱負荷とし、これを打ち消す熱量を供給して冷房している。暖房の場合は建物の外壁からの熱の流出のみを熱負荷とし室内で発生する熱を無視して装置を設計している。
【0006】
空調装置負荷としてはこの室内負荷に換気用外気の負荷を加えたものである。換気用外気の量としては室内の在室者の数によって決定しており、一人当たり一時間約25立法メートル程度を採用することが多い。
【0007】
空調システムとしては建物の外周部のペリメーター部と内部のインテリヤ部に区別する場合もあるが負荷計算と装置の関係などが確立されておらずもっぱら設計者の裁量で設計されている。下部吹出空調方式の設計法も従来の方法を利用しているのが現状である。
【0008】
空調装置の運転方法に関しては各機器の運転を運転者管理者の経験で行なう方法が採られている。夏が来て暑くなると冷房運転を行ない、冬が来て寒くなると暖房運転を行なう。夏冬の冷暖切り替えに際しては自動機器の設定温湿度の変更と動作の変更、吹出し口の方向の変更など合わせ行なっている。後の室内環境についてはもっぱら自動制御の作動に任せているのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
下部吹出空調機に対し、換気のための外気を専用空調機において冷却除湿など処理して供給することのみによって室の快適環境を実現するものにおいては、負荷の多い場合に外気処理風量が過大となり省エネルギーの面で問題がある場合や供給ダクトが大きくなり過ぎて建設コストがかさみ不経済になる欠点があった。
【0010】
ファンコイルユニット式下部吹出空調機の場合において、外気専用空調機で冷却除湿など処理した外気を室内空気と同様に吸込み側で供給する方法においては、ファンコイルユニットの能力が削減されるため空調機を大きくする必要があり不経済になる欠点がある。
【0011】
下部吹出空調方式と従来の空調方式では負荷に対する考え方が根本的に違うので従来の設計方法では空調機の容量決定ができないなどの問題がある。また従来の設計方法では省エネルギー設計の指針が建築外壁の断熱特性のみに帰結し、空調負荷として大きな割合である外気の扱いが省エネルギーの指針から外されており、運転時においての省エネルギーはもっぱら外気量の削減に向かうことからシックビルの原因にもなるなど欠点があった。
【0012】
空調装置の運転方法に関しても運転者管理者の経験で行なう方法が採られているため運転に際しての判断基準が不明確となり空調の質が運転管理者の経験の優劣になってしまう欠点があった。また従来の空調では室内における平面温度分布に偏りが生ずることから室内サーモ取り付け位置によっては室温制御が適切に行われず空調の欠点として苦情の原因になることもあった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来の下吹出し空調設備において湿度の除去が出来ないことや負荷が多い場合に設備が過大となること・省エネルギー対策が難しいなどの欠点に鑑みなされたものである。
【0014】
本発明者が既に発明している「下吹出し、上吸込み空調方法」(特開平6ー272890)および「新鮮空気導入による下部吹出空調方式」(特願6ー39316)を組み合わせることによって両者の欠点を補足し合い、より多くの効果が期待できる。すなわち空調設備の適正化、運転の簡素化、エネルギーの削減などである。
【0015】
つまり下部吹出空調機に対し換気のための外気を導入するに当たり、外気処理専用空調機において冷却除湿など処理した外気を下部吹出空調機に設けた外気専用流路に供給することによって問題を解決する。
【0016】
【作用】
外気処理空調機において冷房時には冷却除湿、暖房時には加熱加湿、中間期には除塵処理した空気を給気ダクトを用いて室内の下部吹出空調機の外気専用流路に供給することによって下部吹出空調機のみでは解決できない除湿を達成できると同時に空調機のファンとコイルを供給外気量に相当する大きさだけ縮小できる。これは下部吹出空調機の吸込み口部に供給する場合にファンとコイルが増大することとの比較において彼我の差は誠に大きいと言える。もちろん下部吹出空調機においては冷却除湿しないからドレンは発生しないのでドレン配管は不要である。
【0017】
中間期には除塵処理した空気を下部吹出空調機の外気専用流路に供給することによって外気冷房が可能となるので下部吹出空調機のファンの運転は休止することも可能であり、それに伴って下部吹出空調機に熱源を供給するヒートポンプと冷温水ポンプも休止できるからエネルギー消費の面で経済的となる。
【0018】
吹出し空気が直接居住者に当たる下部吹出空調方式においては、従来の冷却除湿方法の吹出し空気温度の18℃以下では低過ぎるので、外気処理空調機において冷却除湿した空気を下部吹出空調機の外気専用流路に供給する際に誘引機構によって室内空気と混合し居住者が快適に感ずる21〜24℃の範囲にする。外気専用空調機において冷却除湿した後再加熱する方法もあるが省エネルギーの面で不利である。
【0019】
以上のように下部吹出空調機を改良することによって各々が単独では達成できない特徴のある空調方式が実現できる。まず下部吹出空調方式の設計に際しては居住域の考えがある[下吹出し、上吸込み空調方法(特開平6ー272890)参照]からこれに則した熱負荷計算法が可能となる。また換気に関しても単独で供給できるシステムであることから人に対する必要換気量の考えから1歩進めて省エネルギーを考慮した外気の導入を計ることが可能となる。
【0020】
運転に際しても外気の導入と熱負荷の除去を分離していることから外気温度、室内温度を積極的に指標として利用することが可能となり、運転管理者の経験から温度(湿度を含む)を指標とした全自動運転が可能になる。下吹出し空調方式は室内において温度成層をなすから室内サーモの取り付け位置による平面温度分布の偏りがなくなるので快適空調が約束される。
【0021】
【実施例】
図1は外気供給機能を有する下部吹出空調機の正面図ある。下部吹出空調機1はケーシング2によって形成され表面には、上部より室内空気の吸込み口3、室内への吹出し口4および外気供給ダクト接続部5が配設されている。機器運転用スイッチなどは図示を省略する。ケーシング2の内部は、外気供給部(外気専用流路)とファンコイル部の隔壁6が設けられている。隔壁6を境として外気供給部には誘引ノズル7があり、ファンコイル部には除塵用フィルター8、室内空気循環用ファン9、ファン駆動用モーター10、ファン架台11、室内空気と熱源の熱交換用コイル12、凝縮水を受けるドレンパン13が配設されている。コイル12へ熱源を供給する配管は図示を省略している。
【0022】
図2はAーA断面図で吸込口3、吹出し口4、外気供給ダクト接続部5、誘引ノズル7および外気と室内空気との混合部が示されている。
【0023】
図3はBーB断面図で吸込口3、吹出し口4、フィルター8、ファン9、ファン架台11、コイル12、ドレンパン13が配設されている。コイル12へ熱源を供給する配管は図示が省略されている。
【0024】
図4は空調機器の設置状況を示す建築物の縦断面図である。改良した下吹出し空調方式の構成と機能の説明に特に必要でない部分、重複する部分は省略している。建物本体14は外壁15、窓16、床17、天井18、シャフト19などにより構成されている。
【0025】
室内20には下部吹出空調機1などが設置され、下吹出し空調方式で重要な居住域21は2点鎖線で表されている。その他室内には窓16にブラインド22、天井18に排気口23、室内サーモ24、室内ヒューミディー25が設置され、天井内26は、外気給気ダクト27、排気ダクト28、排気吸込み口29、下部吹出空調機1への熱源供給配管30の設置場所となっている。本下吹出し空調方式では冷房時の除湿は外気空調機にて行うので下部吹出空調機1はドレン配管を必要としない。ドレンパン13は緊急時対策用である。ドレン配管が不必要なことは建設コストの削減、運転管理の簡素化に大いに役立つ。なお下部吹出空調機1、室内温度計測・制御用室内サーモ24、室内温度計測・制御用室内ヒューミディー25などへの電力配線は図示を省略している。
【0026】
屋上には下吹出し空調方式を構成する各種空調機器、すなわち外気空調機31、外気空調機31への熱源ヒートポンプ32、外気空調機31への熱源供給配管(冷温水配管または冷媒配管)33、下部吹出空調機1への熱源ヒートポンプ34、熱源ヒートポンプ34用冷温水ポンプ35、下部吹出空調機1への熱源供給配管36(図示は冷温水であるが冷媒配管でも同じである。)、ヘッダー37、下部吹出空調機への熱源供給用冷温水ポンプ38、水温調整三方弁39、加湿用の水配管40、外気温計測・制御発信用の外気サーモ41、下部吹出空調機への供給水温計測・制御発信用水温サーモ42などが設置されている。
【0027】
外気空調機31の構成を見るとケーシング43の内部には外気と排気の隔壁44、
外気供給送風機445加湿器46、熱交換器47、除塵用フィルター48、隔壁43にはバイパスダンパー49、排気と外気の全熱交換器(フィルター付)50、外気取り入れ口(ダンパー付)51、排風幾52、排気口(ダンパー付)53などである。
【0028】
シャフト19内は各室への外気給気ダクト27、排気ダクト28、下部吹出空調機1への熱源供給配管30の設置場所となっている。外気給気ダクト27には外気給気計測・制御発信用外気給気サーモ54が取り付けられている。なお各種空調機器の駆動用・制御用の電気配線は図示省略されている。
【0029】
本下部吹出空調機1の運転方法は室内空気環境に対し外気供給部へ外気を導入しての換気によるものとファンコイル部のファン9を運転するとともにコイル12へ熱源を供給して冷却・加熱してのものとで行なわれる。
【0030】
外気供給部に外気を導入しての換気による運転に際しては、外気空調機31を運転して行なわれる。この運転は空調の省エネルギーを考える上で特に重要である。下部吹出空調機1が外気供給部とファンコイル部によって構成されているから、外気導入空調を省エネルギーのために室温を満足出来ない状態で供給する場合においてもファンコイル部の運転によって補完できるから外気空調機31の運転は大胆な省エネルギー運転をすることが出来る。換気はビルが稼働する時は必ず必要であるから温度調整よりも優先順位は上位に位置する。本下吹出し空調方式は換気優先を積極的に利用したことに特徴がある。
【0031】
空調の負荷としては▲1▼外壁を通しての熱の流入出、▲2▼人体、照明、事務機器などの内部発生熱、▲3▼換気に伴う外気負荷である。この中で▲2▼内部発生熱は常時冷房負荷であり他の▲1▼と▲3▼とは根本的に異なる負荷である。これをシステム設計の基本にすることで運転は簡単になり省エネルギーにも寄与するものとなる。
【0032】
下吹出し空調方式においては床面から上部に向かって押し出し気流が生じている。
また人体、事務機器などからは放熱に伴う対流による上昇気流が発生する。両者相互に作用して下から上に向かって温度勾配のある空間を形成する。これは温度的に層を成すから成層空調方式(下吹吹出し空調方式と成層空調方式は同じである)とも呼ばれている。成層空調における室温とは床上1,100mmの温度を基準にしている。
【0033】
▲2▼内部発生熱は居住域(一般には床上1,700mmまでを言う)内での発生熱とそれ以外の空間での発生熱とに区別して考える。成層空調方式は居住域を快適空間にすることを目的にする空調方式で居住域外の温度は特には問題にしない。しかし床を通して下の階の熱が流入して居住域負荷となる。両者を加えたものが居住域負荷となる。成層空調方式の特徴である温度勾配により上部が高温になることから下階上部からの熱がスラブを通して移動する。天井に取り付けられている機器からの発生熱の負荷をどの程度にするかは換気量に掛かっている。従来の天井内換気のない場合には全て空調熱負荷になっていた。空調負荷にしないためにはスラブの断熱性能の向上が必要であるとともに天井内換気風量の決定が重要である。したがって省エネルギーを考慮した空調を考える場合は外気負荷とのバランスを考えて決定する必要がある。換気風量決定の目安としては居住域負荷の3℃〜8℃温度差の風量と居住域外発生熱のバランスで決定するとともに必要最低新鮮空気量の確保も忘れてはならない。本実施例では居住域外発生熱の約1/3程度の熱移動で計画する。また外気そのまま導入時と熱源必要時では風量を調整することが必要である。このように成層空調方式は従来の空調方式(混合空調方式と言う)と比較して負荷の少ない省エネルギー空調方式となる。
【0034】
成層空調方式の設計法の説明に空気調和・衛生工学便覧(第12版)3空気調和設備設計編64頁2・4・3冷暖房熱負荷簡易計算法(HASS112)を参考にして行なう。
【0035】
設計条件として東京地方の事務所ビルとする。空調は年間通じて冷房期・中間期・暖房期・中間期の循環である。各期間の温湿度条件は人の着衣条件を入れて冷房期温度26℃湿度60%、暖房期温度22℃湿度40%、中間期は両者の間で運転することが、快適性と省エネルギーを考慮した運転条件である。通産省では省エネルギーの運転条件として冷房期温度28℃、暖房期温度20℃を発表しているが快適性からは十分とは言えない。
【0036】
成層空調方式の設計に際しては、まず居住域での発熱量を計算する。居住域の発熱としては人体で10Kcal/m2h(0.2人/m2)、事務機械など12Kcal/m2hとして計22Kcal/m2hとなる。居住域外の発熱としては天井照明の発熱・蛍光灯として20Kcal/m2h、電気配線などは無視して内部発熱は合計42Kcal/m2hとなる。床の熱貫流率を2.12Kcal/hm2℃として居住域への流入熱を約1/3程度とすると居住域の熱負荷は28.6Kcal/m2h、排気熱量は13.4Kcal/m2hとなる。
【0037】
この条件で換気風量を求めると15.0m3/m2h、温度上昇は3.1℃となる。必要最低換気量4.0m3/m2h(必要新鮮空気量)にすると6.1℃の温度上昇となり、床面からの流入熱量は13.0Kcal/m2hとなり居住域での負荷が増大する。同様に排気熱量は、7.0Kcal/m2hとなり6.4Kcal/m2h減少する。この面から考えると風量の減少が排出熱量の減少を来し省エネルギー面からは推奨できない。しかし外気熱負荷の面から考えると室内温湿度条件、冷房期温度26℃湿度60%、暖房期温度22℃湿度40%から離れるに従って負荷は増大するから両方のバランスを考慮して換気風量を決定する。外気量を減少させることが省エネルギーになるとする従来の考え方は見直す必要がある。風量減少が省エネルギーにつながるとする考え方にはスラブの断熱特性が問題となる。
【0038】
前述の考察から外気のみの風量15.0m3/m2hの換気運転を冷房期の場合は温湿度条件を考慮して室温26.0 ℃より1.0℃低い25.0℃まで熱源を使用しない運転を行う。東京地方の昼間(午前8時から12時間:年間4,380時間)25.0℃以上になる時間は空気調和工学会発行の標準気象によると年間897時間(20.5%)である。この25.0℃以上になる時は外気調和機31に冷房熱源を供給する。この時の供給風量と供給温度は外気温度によって決定する。風量の最低は必要新鮮空気量の4.0m3/m2hであり、供給温度の最低は17.0℃とし両者ともこれを下回ることにはしない。
【0039】
外気の供給温度が25.0℃では室温が26.0℃より高くなる期間が生ずるがこの期間は下部吹出空調機本体1のファンコイル部の運転により温度調節を行う。室温より低温の空気を積極的に利用して省エネを計るのである。
【0040】
暖房期の室温は22.0℃であり内部発熱は通過熱量を加えて28.6Kcal/m2h、外風量15.0m3/m2hとすると温度差は6.7℃となるから供給温度は15.3℃となる。外気温度が15.0℃を下回る時間は、冷房期の条件とすると年間1,852時間(42.4%)である。天井内発熱により排気は3.1℃温度上昇するから暖房期においては排気温度は25.1℃になる。供給温度つまり外気温度が15.3℃を下回るようになると外気空調機31において外気給気サーモ54の信号によりバイパスダンパー49を開けて排気をバイパスして供給温度15.3℃を保つよう調整する。外気温度が-1.0℃となった時、供給温度15.3℃を保つ外気風量は9.5m3/m2hとなり必要新鮮空気量の4.0m3/m2hを上回るので問題とならない。これは暖房時には外気調和機31に暖房熱源を供給する必要のないことを意味する。したがって熱源供給は冷房期の897時間(20.5%)である。従来換気量がエネルギー消費の増大を来すので換気量を絞ってシックビルの原因になったことを考えると彼我のさは大きい。
【0041】
内部発熱と換気量と換気負荷について述べたが残る外壁負荷について述べる。空調負荷3個のうち最も空調技術者が注力するのが外壁負荷である。建物の諸元として階高3.5m、天井高2.7m、腰0.8m、窓1.7m*4.8m、スパン6.0mの外壁として外壁負荷を検討する。成層空調においては冷房と暖房では負荷の扱いが異なったものになる。冷房の負荷は下部吹出空調機1の吸込み口上端に300mmを加えた高さを負荷計算の面積算出に用いる。上記建物の場合では、冷房外壁面積は6.0m*2.2m=13.2m2、窓面積は4.8m*1.3m=6.2m2、窓面積比は47%となる。従来の空調方式では天井高さを用いていたから冷房負荷外壁面積は16.2m2、,窓面積8.2m2、窓面積比は51%となる。南面基準で比較すると成層空調では57*13.2=753Kcal/h(126Kcal/hm)であり、従来空調方式では59*16.2=956Kcal/h(160Kcal/hm)となる(成層空調の27%アップ)。成層空調負荷計算高さ2.2m超部分の負荷は外壁近くの天井に設ける排気口23から排出される。また計算に用いた2.2m部分からも対流による上昇流が発生しており1部は排気口23から排出される。ふかの軽減となる。
【0042】
暖房の負荷は従来空調方式と同様に考えてよい。外壁面積16.2m2、,窓面積8.2m2、窓面積比は51%であるから82*16.2=1,328Kcal/h(222Kcal/hm)である。この熱量は下部吹出空調機1のファンコイル部の負荷と考える。
【0043】
室内20の熱負荷は冷房期場合は外壁負荷と内部負荷とも冷却負荷であり、暖房期の場合は外壁負荷は加熱負荷、内部負荷は冷却負荷と相反する負荷が存在する。冷房期の時は積極的に換気を利用して室内を冷却する方法を用い熱源負荷の軽減を計り、暖房期の場合も同様に換気を利用して内部発熱の負荷を除去する。ここで考えられるのは暖房期に更に内部発生熱を外壁負荷に利用できないかと言うことである。これは外気調和機31における外気供給温度をどのようにするかによって決定される。室内20においてペリペーターとインテリヤとの関係から外気調和機31をペリメーター用とインテリヤ用に分割して換気のために供給する外気供給を外壁負荷を分担させるような温度とすることは建設コストの面から重要である。つまり下部吹出空調機1の外気供給部の負荷とするかファンコイル部の負荷とするかであるが、基本的には下部吹出空調機1が最小になるよう計画する。それには居住域内部発熱量によって決定する換気風量との関係において決定する。冷房期に外気導入による空調を省エネルギーのために室温を満足出来ない状態で供給する場合にはファンコイル部の運転によって補完する方法など運転方法によって対処する。
【0044】
排熱回収機器として全熱交換器50が設置されているが冷房期期には排気温度が外気温度以上になることもあり使用しなくてよい。暖房期において使用するのは外壁からの熱損失が内部発熱を上回る場合である。外気給気サーモ53の設定温度を給気温度が下回る場合には全熱交換器50を運転する。更に下回る場合には外気空調機熱源ヒートポンプ32を運転し給気温度を確保する。これらのことは建物の熱的性質すなわち外壁からの熱損失と内部発熱との関係を考慮した空調計画をする必要がある。
【0045】
実際の運転方法を考察するとまず換気の運転になる。換気の運転は管理者またはタイマーによる運転司令によって外気空調機31が運転に入り連動して排風幾52が運転に入る。外気空調機31が運転に入ると下部吹出空調機1の外気供給部の誘引ノズル7から新鮮空気が供給される。その時上部吸込口3から室内空気が吸い込まれ新鮮空気と室内空気は混合して吹出し口4から室内に供給される。外気空調機用ヒートポンプ32は外気用サーモ41との司令によって運転される。外気用サーモ41で25.0℃以上になると外気空調機用ヒートポンプ32が運転され、外気給気ダクト26に取り付けられている外気給気用サーモ54の信号により予め設定されている給気温度になるよう運転される。更に風量についても予め設定されている換気風量になるよう運転される。排風幾52も連動して変更される。バイパスダンパー49は閉じられたままである。これらの風量の変更はダンパーによる場合とインバーターによる回転数制御による場合がある。
【0046】
外気用サーモ41が16.0℃未満になると外気給気ダクト26に取り付けられている外気給気用サーモ54の信号によりバイパスダンパー49が徐々に開かれ15.3℃になるよう制御される。この状態は必要新鮮空気量の4m3/m2hになるまで行なわれる。更に外気温度が下がり必要新鮮空気量の4m3/m2hしても15.3℃が維持できない場合は全熱交換器50を運転して排気から熱回収を計って15.3℃を維持する。更に外気温度が下がり全熱交換器50を運転して排気から熱回収を計っても15.3℃が維持できない場合は外気空調機用ヒートポンプ32を運転する。これらは内部発熱の大きさと外壁からの熱損失の大きさの関係から決定される。構造体からの熱損失に比較して内部発熱の大きい建物、つまり外壁面積に比べて床面積の大きな建物では全熱交換器50が省略出来たり、外気空調機用ヒートポンプ32の暖房運転を必要としない場合もある。これらは建物の熱的性質に掛かっている。
【0047】
換気運転に加えて室内20に対する空調運転がある。まず冷房運転は室内20の室温が26℃を上回ると管理者または室内サーモ24の信号により下部吹出空調機1のファンコイル部、下部吹出空調機用ヒートポンプ34、同冷温水ポンプ35、下部吹出空調機用冷温水ポンプ38が冷房運転を開始する。室温調整は室内サーモ24によって水温調整用三方弁39にて下部吹出空調機1への供給水温を調整して行う。図示は一系統であるが室数が多い場合にはゾーンを設定してゾーン毎に下部吹出空調機用冷温水ポンプ38、水温調整用三方弁39にて供給水温を調整して行う場合と各室の室内サーモ24の信号の内、最も室温の高い部屋の信号によって水温調整用三方弁39が作動し適温になるよう制御する場合がある。この水温は最も低い水温になるので各室は室内サーモ24で下部吹出空調機1への冷水の供給を制御して室温調整を行なうかファンコイルの風量を調整して室温制御を行なう。建設コストの関係から各室の室内サーモ24の信号で水温調整を行なわず供給水温サーモ42にて一定水温を設定供給する場合もある。各室の温度調整は室内サーモ24で水量または風量を調整して行なう。あまり行われないが
代表室に取り付けた室内ヒューミディ25の信号により除湿運転を行うことも出来る設備になっているが説明は省略する。
【0048】
冷房運転と同様暖房運転について見ると、室内20の室温が22℃を下回ると管理者または室内サーモ24の信号により下部吹出空調機1のファンコイル部、下部吹出空調機用ヒートポンプ34、同冷温水ポンプ35、下部吹出空調機用冷温水ポンプ38は暖房運転を開始する。運転方法は冷房の場合と同様にするが温度の上下は逆になる。暖房の場合は温度調整に加えて湿度調整を必要とする場合がありこの時は代表室に取り付けた室内ヒューミディ25の信号により加湿用の水配管40から加湿器46に水を供給して行う。
【0049】
室内サーモ24と室内ヒューミディー25の取付位置を検討すると下吹出し空調方式は成層を成すから平面的には取り付け場所を選ばないが、高さ方向には温度勾配があるので注意が必要である。主に生活する高さを中心に考えればよい。高さとしては1,100mmが一般的に用いられている。寝室、病院など生活の場が低い場合は取付高さを700mmから900mm程度に低くすることによって省エネルギー運転が可能となる。
【0050】
説明において温度基準で説明しているものについては温湿度基準としても同じである。同様に下部吹出空調機1においては外気供給時に誘引を用いて説明しているがそれは誘引装置を用いた方が省エネルギーとしての効果が優れているからで外気を再熱法によって処理して直接供給場合も同等である。また外気空調機熱源ヒートポンプと下部吹出空調機用ヒートポンプと熱源系統を分割して説明したが1台で両方に供給する場合もある。
【0051】
【発明の効果】
本発明は下吹出し空調方式の特徴に加えて従来の熱負荷中心の空気調和の考え方を換気の考え方に改めた点に特徴があり、次のような効果が期待できる。
1)下部吹出空調機を外気供給部とファンコイル部に隔壁を設け区分することによって、各々の特徴を生かすと同時に相互補完し合って新規の運転ができる。
2)換気中心の空調はシックビルに見られる室内環境の悪化を防止できる。
3)導入外気による外気冷房が空調エネルギーの省エネルギーに寄与する。
4)設計法として内部発熱と換気量を関係ずけて省エネルギーを達成できる設計手法を確立した。
5)外気温度と室内温度を指標にした運転法を確立し無人運転を可能にした。
6)換気中心の空調方式であるから夜間外気が低温になった時、深夜電力を使った換気運転を行い構造物に畜熱されている熱を放熱させることによる畜熱装置として運転が可能になった。
【0052】
従来の設計法が外壁からの熱流出入中心の考え方であったから省エネルギーと言えば外壁の断熱性能向上と換気風量の削減であったものが下吹出し空調方式を採用することによって換気による省エネルギーの達成、床断熱による省エネルギーの達成など省エネルギーを考える範囲を拡大し、更に換気風量を増加させることによる健康な室内環境を実現できる効果は大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】外気供給機能を有する下部吹出空調機の正面図。
【図2】図1のAーA断面図。
【図3】図1のBーB断面図。
【図4】空調機器の設置状況を示す建築物の縦断面図。
【符号の説明】
1 下部吹出空調機
2 ケーシング
3 吸込み口
4 吹出し口
5 外気供給ダクト接続部
6 隔壁
7 誘引ノズル
8 フィルター
9 ファン
10 モーター
11 ファン架台
12 コイル
13 ドレンパン
14 建物本体
15 外壁
16 窓
17 床
18 天井
19 シャフト
20 室内
21 居住域
22 ブラインド
23 排気口
24 室内サーモ
25 室内ヒューミディー
26 天井内
27 外気給気ダクト
28 排気ダクト
29 排気吸込み口
30 熱源供給配管
31 外気空調機
32 外気空調機熱源ヒートポンプ
33 外気空調機配管
34 下部吹出空調機熱源ヒートポンプ
35 熱源ヒートポンプ用冷温水ポンプ
36 下部吹出空調機熱源配管
37 ヘッダー
38 下部吹出空調機用冷温水ポンプ
39 水温調整三方弁
40 加湿用の水配管
41 外気サーモ41
42 供給水温サーモ
43 ケーシング
44 隔壁
45 外気供給送風機
46 加湿器
47 熱交換器
48 フィルター
49 バイパスダンパー
50 全熱交換器(フィルター付)
51 外気取り入れ口(ダンパー付)
52 排風幾
53 排気口(ダンパー付)
54 外気給気サーモ

Claims (1)

  1. 床に設置した下部吹出空調機1は、ケーシングの上部に吸込み口3・下部に吹出し口4を設け、吸込み口3に近接して外気供給ダクト接続部5を設け、空調機側内には誘引ノズル7を設け、吸込口から室内空気を誘引するようにし、外気空調機31から供給外気を供給し、下部に吹出し口4から室内に吹出し、この外気空調機31を通した空気で室内の空調を主体的に行い、室温が満足出来なくなった場合は、隣接して設けているファンコイルが運転に入り、設定温度を維持するようにした、外気による空調を主体のファンコイル併設型下部吹出空調機
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