JP2000337275A - スクロール式流体機械 - Google Patents

スクロール式流体機械

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JP2000337275A
JP2000337275A JP11145498A JP14549899A JP2000337275A JP 2000337275 A JP2000337275 A JP 2000337275A JP 11145498 A JP11145498 A JP 11145498A JP 14549899 A JP14549899 A JP 14549899A JP 2000337275 A JP2000337275 A JP 2000337275A
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sliding surface
lip portion
lip
fixed scroll
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JP11145498A
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Yoshio Kobayashi
義雄 小林
Katsushi Hidano
克史 肥田野
Kiminobu Iwano
公宣 岩野
Susumu Sakamoto
晋 坂本
Yasuhiko Sekino
保彦 関野
Junichi Nagasawa
潤一 長沢
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Tokico Ltd
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Tokico Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定スクロールと旋回スクロールとの間に外
径側リップ部と内径側リップ部とを有するリップシール
を設け、シール性、耐久性の向上を図る。 【解決手段】 旋回スクロール7の鏡板7A外周にはリ
ップシール17を設け、このリップシール17には、径
方向に間隔をもって外径側リップ部と内径側リップ部と
を設ける。また、外径側リップ部は固定スクロール2の
フランジ部2Dに弾性的に摺接し、内径側リップ部は、
リップシール17が初期状態にあるときに、隙間を介し
てフランジ部2Dと対面する。そして、リップシール1
7は、まず外径側リップ部によってケーシング1内の油
液が圧縮室9に侵入するのを防止し、この外径側リップ
部に摩耗、へたり等が生じた場合には、内径側リップ部
がフランジ部2Dと弾性的に摺接することによって圧縮
室9をシールする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば空気圧縮
機、真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、スクロール式流体機械は、ケー
シングと、該ケーシングに設けられ鏡板に渦巻状のラッ
プ部が立設された固定スクロールと、前記ケーシングに
回転可能に設けられた駆動軸と、前記ケーシング内で該
駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ、鏡板に前記固定
スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画
成するラップ部が立設された旋回スクロールと、前記ケ
ーシング内に収容された油液を前記各圧縮室から遮断す
るため前記固定スクロールと旋回スクロールとの摺動面
をシールするシール部材とを備えたものが知られている
(例えば、特開平2−264180号公報等)。
【0003】この種の従来技術によるスクロール式流体
機械は、外部から駆動軸を回転駆動し、旋回スクロール
を固定スクロールに対して一定の偏心寸法をもって旋回
運動させることにより、固定スクロールの外周側に設け
た吸込口から空気等の流体を吸込みつつ、この流体を固
定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部と
の間の各圧縮室内で順次圧縮し、固定スクロールの中心
部に設けた吐出口から圧縮流体を外部に向けて吐出す
る。
【0004】ここで、旋回スクロールの背面側には、該
旋回スクロールを駆動軸の先端側に旋回可能に連結する
旋回軸受と、旋回スクロールに作用するスラスト荷重を
支持するスラスト受部等とが設けられている。このた
め、従来技術では、駆動軸と一体に回転する油掻き等を
ケーシング内に設け、この油掻きによって掻き上げられ
たケーシング内の油液をスラスト受部や旋回軸受等の給
脂部位に供給する構成としている。
【0005】また、シール部材は、例えば旋回スクロー
ル表面側の各圧縮室を取囲む位置で固定スクロールと旋
回スクロールとの摺動面に設けられた環状のフェイスシ
ール等によって構成されている。そして、このフェイス
シールは、例えば固定スクロール側の摺動面に設けられ
た環状溝等に装着され、この状態で旋回スクロール側の
摺動面と摺接している。これにより、フェイスシール
は、旋回スクロールが旋回運動を行うときに、その背面
側に供給されるケーシング内の油液が旋回スクロールの
表面側に廻り込んで各圧縮室内に侵入するのを防止して
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術では、旋回スクロール表面側の各圧縮室を取囲む
位置で固定スクロールと旋回スクロールとの摺動面にフ
ェイスシールを設け、このフェイスシールにより各圧縮
室を油液等からシールする構成としている。
【0007】しかし、旋回スクロールが旋回運動すると
きには、その摺動面が固定スクロール側に装着したフェ
イスシールに対して周方向だけでなく径方向にも摺動す
るため、フェイスシールは、これらの摺動面に供給され
る油液を径方向外向きに掻取るように押除けつつ旋回ス
クロールとの間をシールし続けなければならない。
【0008】このため、従来技術では、フェイスシール
の僅かな摩耗、へたり等によっても、固定スクロールと
旋回スクロールとの間のシール性が低下し易くなり、高
いシール性能を長期間に亘って維持するのが難しいとい
う問題がある。
【0009】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明の目的は、ケーシング内の空間か
ら圧縮室を安定してシールでき、そのシール性を長期間
に亘って良好に保持できると共に、シール部材の耐久
性、信頼性を向上できるようにしたスクロール式流体機
械を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明は、ケーシングと、該ケーシングに設けら
れ鏡板に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロール
と、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、
前記ケーシング内で該駆動軸の先端側に旋回可能に設け
られ、鏡板に前記固定スクロールのラップ部と重なり合
って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された旋回
スクロールと、前記ケーシング内に収容された油液を前
記各圧縮室から遮断するため前記固定スクロールと旋回
スクロールとの摺動面をシールするシール部材とを備え
てなるスクロール式流体機械に適用される。
【0011】そして、請求項1の発明が採用する構成の
特徴は、シール部材は、前記鏡板の径方向外側に位置す
る外径側リップ部と該外径側リップ部の径方向内側に位
置する内径側リップ部とから構成したことにある。
【0012】このように構成することにより、例えばス
クロール式流体機械の初期運転時等には、その外径側リ
ップ部と内径側リップ部のうちいずれか一方のリップ部
(例えば、長尺に形成した方のリップ部)を用いて固定
スクロールと旋回スクロールとの摺動面をシールするこ
とができる。また、この一方のリップ部に摩耗、へたり
等の劣化が生じたときには、他方のリップ部を用いてシ
ール部材のシール性能を維持することができる。
【0013】また、請求項2の発明によると、シール部
材の外径側リップ部は、内径側リップ部よりも大きな突
出長さをもって前記固定スクロールの摺動面側に向けて
突出させる構成としている。
【0014】これにより、例えばシール部材が初期状態
であるときには、外径側リップ部が固定スクロールの摺
動面と弾性的に摺接することによって摺動面をシールで
きると共に、内径側リップ部は摺動面から離間した状態
に保持することができる。また、外径側リップ部に摩
耗、へたり等の劣化が生じたときには、内径側リップ部
が固定スクロールの摺動面に弾性的に摺接するようにな
り、この内径側リップ部を用いてシール部材のシール性
能を維持することができる。
【0015】さらに、請求項3の発明によると、シール
部材は、前記外径側リップ部が前記固定スクロールの摺
動面と弾性的に摺接し、前記内径側リップ部は少なくと
も前記シール部材が初期状態にあるときに前記固定スク
ロールの摺動面と隙間を介して対面する構成としてい
る。
【0016】これにより、シール部材が初期状態にある
ときには、外径側リップ部を用いて固定スクロールと旋
回スクロールとの摺動面をシールすることができる。ま
た、外径側リップ部に摩耗、へたり等が生じたときに
は、内径側リップ部を用いてシール部材のシール性能を
維持することができる。
【0017】また、請求項4の発明によると、シール部
材は前記内径側リップ部が複数の環状突起からなり、該
各環状突起は前記固定スクロールの摺動面側に向けて突
出する突出寸法が前記鏡板の径方向外側から径方向内側
に向けて順次小さくなるように構成している。
【0018】これにより、外径側リップ部の劣化後に
は、内径側リップ部の各環状突起のうち最も外側の環状
突起から内側の環状突起に向けて各環状突起が順番に固
定スクロールと摺接するようになる。従って、シール部
材は、外径側リップ部とこれらの環状突起とを用いて固
定スクロールと旋回スクロールとの間をシールし続ける
ことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態による
スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を
例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。ここで、
図1ないし図4は本発明の第1の実施の形態を示してい
る。
【0020】1はスクロール式空気圧縮機の外枠となる
有底筒状のケーシングで、該ケーシング1は、環状の底
部1Aと、該底部1Aの外周側から後述の固定スクロー
ル2側に向けて延設された筒部1Bと、底部1Aの中央
に突設された軸受部1Cと、筒部1Bの内周側に突設さ
れ、後述の旋回スクロール7に作用するスラスト荷重を
受承する環状のスラスト受部1D等とによって構成さ
れ、ケーシング1内には潤滑油となる油液が収容されて
いる。
【0021】2はケーシング1の先端側に固着された固
定スクロールで、該固定スクロール2は、略円板状に形
成され中心が後述する駆動軸3の軸線と一致するように
配設された鏡板2Aと、該鏡板2Aの表面に立設された
渦巻状のラップ部2Bと、鏡板2Aの外周側からラップ
部2Bを取囲むように軸方向に突出した筒部2Cと、該
筒部2Cの外周側から径方向外向きに突設された環状の
フランジ部2D等とによって構成されている。
【0022】ここで、フランジ部2Dは、図2に示す如
く、外周側がケーシング1の筒部1Bに衝合されると共
に、ケーシング1側の表面の一部が旋回スクロール7と
摺動する環状の摺動面2Eとなっている。
【0023】3はケーシング1内に軸受4,5によって
回転可能に支持された駆動軸で、該駆動軸3は、その基
端側が駆動源(図示せず)に連結され、先端側はクラン
ク3Aとなってケーシング1内に延びている。そして、
クランク3Aは、その軸線が駆動軸3の軸線に対して寸
法δだけ偏心している。また、駆動軸3の外周側には、
旋回スクロール7の旋回運動に対して駆動軸3の回転バ
ランスをとるバランスウエイト6が設けられている。
【0024】7は固定スクロール2と対面してケーシン
グ1内に旋回可能に設けられた旋回スクロールで、該旋
回スクロール7は、図1、図2に示す如く、円板状に形
成された鏡板7Aと、該鏡板7Aの表面側から軸方向に
立設された渦巻状のラップ部7Bと、鏡板7Aの背面側
中央に突設され、旋回軸受8を用いて駆動軸3のクラン
ク3Aに回転可能に取付けられたボス部7C等とから構
成されている。
【0025】ここで、鏡板7Aは、その表面側外周の一
部が固定スクロール2の摺動面2Eと摺接する環状の摺
動面7Dとなり、鏡板7Aの背面側はケーシング1のス
ラスト受部1Dと摺接している。また、鏡板7Aの外周
側には、図3に示す如く径方向外向きに突出した環状の
段部7Eが設けられている。
【0026】そして、旋回スクロール7は、固定スクロ
ール2のラップ部2Bに対し例えば180度だけずらし
て重なり合うように配設され、両者のラップ部2B,7
B間には複数の圧縮室9,9,…が画成されている。ま
た、スクロール式空気圧縮機の運転時には、固定スクロ
ール2の外周側に設けた吸込口10から外周側の圧縮室
9内に空気を吸込みつつ、この空気を旋回スクロール7
が旋回運動する間に各圧縮室9内で順次圧縮し、最後に
中心側の圧縮室9から固定スクロール2の中心に設けた
吐出口11を介して外部に圧縮空気を吐出する。
【0027】12はケーシング1のスラスト受部1Dと
旋回スクロール7との間に摺動可能に設けられたオルダ
ムリングで、該オルダムリング12は、旋回スクロール
7の旋回運動するときに、その背面側で互いに直交する
2軸方向に摺動し、旋回スクロール7の自転を防止する
ものである。
【0028】13はケーシング1内に設けられた給脂ポ
ンプで、該給脂ポンプ13は、電動モータ等の駆動源
(図示せず)により駆動され、ケーシング1のスラスト
受部1D内に設けられた給脂通路14に油液を吐出する
ものである。そして、この油液は、旋回スクロール7の
内部に設けられた給脂通路15と、駆動軸3内に設けら
れた他の給脂通路16等とを通じて駆動軸3、軸受4,
5、旋回スクロール7の背面側、旋回軸受8等の給脂部
位に供給され、これらの給脂部位を潤滑、冷却した後に
ケーシング1内に還流する。
【0029】17は固定スクロール2と旋回スクロール
7との間に設けられたシール部材としてのリップシール
17で、該リップシール17は、図1ないし図3に示す
如く、後述の芯金18と、ゴムシール19とから構成さ
れている。
【0030】18は断面L字状の筒体として形成された
芯金で、該芯金18は、図3に示す如く、例えば圧入等
の手段により旋回スクロール7の鏡板7Aの外周側に取
付けられた筒部18Aと、該筒部18Aの一端側から径
方向外向きに突出する環状の鍔部18Bとから構成され
ている。
【0031】19は例えばゴム等の弾性材料により一体
形成された環状のゴムシールで、該ゴムシール19は、
後述の取付部20、延設部21、外径側リップ部22、
内径側リップ部23等によって構成されている。
【0032】20は芯金18を介して旋回スクロール7
の鏡板7Aに取付けられた断面略コ字状の取付部で、該
取付部20は、例えば焼付け、接着等の手段により芯金
18の鍔部18Aに固着されると共に、その端部20A
が旋回スクロール7の段部7Eに弾性的に当接し、旋回
スクロール7と芯金18との間をシールしている。
【0033】21は基端側が取付部20に一体形成され
た延設部で、該延設部21は、先端側が固定スクロール
2の摺動面2Eに向けテーパ状に拡開して斜め外向きに
延びている。そして、延設部21は、固定スクロール2
側から外径側リップ部22等を介して反力を受けること
により、例えば図3中に仮想線で示す自由長状態の位置
から実線で示す位置へと弾性変形した状態に保持されて
いる。これにより、延設部21は、外径側リップ部22
と内径側リップ部23とを固定スクロール2に向けて矢
示A方向に押圧している。
【0034】22は延設部21の先端側に一体形成され
た外径側リップ部で、該外径側リップ部22の先端側
は、内径側リップ部23の先端側よりも大きな突出長さ
をもって固定スクロール2の摺動面2E側に向けて突出
し、この摺動面2Eに弾性的に摺接すると共に、所謂ワ
イパのように摺動面2Eから油液を掻取る構成となって
いる。
【0035】即ち、外径側リップ部22は、旋回スクロ
ール7が旋回運動するときに、この摺動面2Eに付着す
る油液を先端側で掻取るように径方向外向きに押除け、
固定スクロール2と旋回スクロール7との摺動面2E,
7D間をシールしている。これにより、外径側リップ部
22等は、これらの摺動面2E,7Dの間を介して圧縮
室9側に油液が侵入するのを防止する構成となってい
る。
【0036】23は延設部21の先端側に一体形成して
設けられた内径側リップ部で、該内径側リップ部23
は、外径側リップ部22の径方向内側に間隔をもって配
置されている。また、内径側リップ部23の先端側は、
固定スクロール2の摺動面2E側に向けて突出し、後述
の如くリップシール17が初期状態にあるときには、予
め定められた寸法S0 をもつ軸方向の隙間を介して摺動
面2Eと対面している。
【0037】そして、外径側リップ部22のシール性能
が摩耗、へたり等の劣化によって低下したときには、図
4に示す如く内径側リップ部23が延設部21の復元力
等によって固定スクロール2の摺動面2Eに弾性的に摺
接するようになる。これにより、内径側リップ部23
は、外径側リップ部22とほぼ同様に、摺動面2Eに付
着する油液を先端側で掻取るように径方向外向きに押除
けつつ摺動面2E,7D間をシールし、外径側リップ部
22の劣化時にもリップシール17のシール性能を維持
するものである。
【0038】なお、24は固定スクロール2と旋回スク
ロール7との摺接面2E,7D間に装着されたフェイス
シールで、該フェイスシール24は、図2に示す如く、
リップシール17と共に圧縮室9を油液からシールする
ものである。
【0039】本実施の形態によるスクロール式空気圧縮
機は上述の如き構成を有するもので、次にその作動につ
いて説明する。
【0040】まず、駆動軸3が回転すると、旋回スクロ
ール7は、オルダムリング12等により自転を規制され
た状態で駆動軸3を中心として寸法δの旋回半径をもっ
た円運動(旋回運動)を行う。この結果、固定スクロー
ル2と旋回スクロール7のラップ部2B,7B間では、
各圧縮室9が径方向外側から内側に向けて連続的に縮小
する。これにより、吸込口10から吸込んだ外気は各圧
縮室9で順次圧縮され、圧縮空気となって吐出口11か
ら外部の空気タンク(図示せず)等に貯留される。
【0041】そして、旋回スクロール7の旋回運動中に
は、給脂ポンプ13から吐出される油液が給脂通路1
4,15,16等を通じてケーシング1内の各給脂部位
に供給されると共に、その一部はケーシング1のスラス
ト受部1Dと旋回スクロール7の背面側との間を通じて
旋回スクロール7の外周側等にも到達する。
【0042】また、リップシール17は、例えば空気圧
縮機の総運転時間が比較的短い初期運転時等に、図3に
示す如く外径側リップ部22の先端側だけが固定スクロ
ール2の摺動面2Eと弾性的に摺接した状態(初期状
態)を保ち、このとき内径側リップ部23は、摺動面2
Eからほぼ寸法S0 だけ離れた状態を保持している。
【0043】これにより、外径側リップ部22は、旋回
スクロール7の旋回運動中に固定スクロール2の摺動面
2Eから油液を掻取りつつ摺動面2E,7D間をシール
し、鏡板7A等の外周側から圧縮室9側に油液が侵入す
るのを防止する。
【0044】一方、空気圧縮機を長期間に亘って使用す
るうちには、外径側リップ部22が摩耗、へたり等の劣
化によって例えば図4に示す外径側リップ部22′のよ
うに変形することがある。この結果、外径側リップ部2
2′は、固定スクロール2の摺動面2Eに対して十分な
接触圧を保持できなくなり、摺動面2Eから油液を掻取
る機能が低下する場合がある。
【0045】この場合、内径側リップ部23は、外径側
リップ部22の接触圧が不足すると、延設部21の復元
力等により固定スクロール2に向けて図4中の矢示A方
向に変位し、その摺動面2Eに弾性的に摺接するように
なる。これにより、内径側リップ部23は、摺動面2E
から油液を掻取りつつ摺動面2E,7D間を液密にシー
ルし、リップシール17は各圧縮室9をシールした状態
に保つことができる。
【0046】かくして、本実施の形態では、リップシー
ル17のゴムシール19を、取付部20、延設部21、
外径側リップ部22、内径側リップ部23等により構成
し、外径側リップ部22が固定スクロール2の摺動面2
E側に向けて内径側リップ部23よりも大きな突出長さ
をもって突出する構成としたので、リップシール17が
初期状態にあるときには、外径側リップ部22により摺
動面2E,7D間をシールすることができる。
【0047】そして、この外径側リップ部22が劣化し
た場合でも、新たに内径側リップ部23が固定スクロー
ル2の摺動面2Eと摺接することにより、この内径側リ
ップ部23を用いて前記摺動面2E,7D間をシールし
続けることができ、各圧縮室9にケーシング1内の油液
が侵入するのを防止することができる。従って、これら
のリップ部22,23を用いて各圧縮室9を長期間に亘
り安定的にシールでき、耐久性、信頼性を向上させるこ
とができる。
【0048】また、リップシール17に2個のリップ部
22,23を設けることにより、これらのリップ部2
2,23を用いて摺動面2Eから油液を掻取りつつ摺動
面2E,7D間を効率よくシールでき、従来技術のフェ
イスシール等と比較してリップシール17のシール性能
を確実に向上させることができる。
【0049】この場合、リップシール17が初期状態に
あるときには、外径側リップ部22が摺動面2Eと弾性
的に摺接し、内径側リップ部23が隙間を介して摺動面
2Eと対面するようにしたので、外径側リップ部22が
劣化する以前に内径側リップ部23が摺動面2Eと無駄
に摺動して早期に劣化するのを防止でき、そのシール性
能を外径側リップ部22が劣化するまで温存しておくこ
とができる。
【0050】しかも、リップシール17は、初期状態で
外径側リップ部22が摺動面2Eに摺接し内径側リップ
部23が摺動面2Eから離間した状態となることによ
り、図3に示す如くこれらのリップ部22,23間に形
成される空間Sを外径側リップ部22の内周側に配置で
き、この空間S内に外径側リップ部22の外側から供給
される油液が溜るのを防止することができる。
【0051】また、リップシール17には弾性変形可能
な延設部21を設けたので、延設部21の復元力等によ
り外径側リップ部22と内径側リップ部23とを摺動面
2Eに安定して押付けることができる。
【0052】次に、図5は本発明の第2の実施の形態を
示し、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一
の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するも
のとする。
【0053】31は本実施の形態のスクロール式空気圧
縮機に用いられるシール部材としてのリップシールで、
該リップシール31は、前記第1の実施の形態によるリ
ップシール17とほぼ同様に、芯金32と、ゴムシール
33とからなり、ゴムシール33は、取付部34、延設
部35と、後述の外径側リップ部36、内径側リップ部
37等とから構成されている。しかし、本実施の形態で
は、内径側リップ部37が例えば3個の環状突起37
A,37B,37Cからなり、リップシール31は実質
的に4個のリップ部を備える構成となっている。
【0054】36は鏡板7Aの径方向外側に配置された
外径側リップ部で、該外径側リップ部36は、第1の実
施の形態の外径側リップ部22とほぼ同様に、延設部3
5の復元力等によって固定スクロール2の摺動面2Eに
弾性的に摺接している。
【0055】37は外径側リップ部36の径方向内側に
設けられた内径側リップ部で、該内径側リップ部37
は、例えば3個の環状突起37A,37B,37Cから
なり、これらの環状突起37A,37B,37Cは径方
向に間隔をもって同心円状に配置されている。そして、
環状突起37A,37B,37Cは、外径側リップ部3
6とほぼ同様に、基端側が延設部35に一体形成され、
先端側が固定スクロール2の摺動面2E側に向けて突出
すると共に、この摺動面2Eに対する環状突起37A,
37B,37Cの突出寸法は、径方向外側から径方向内
側に向けて順次小さくなるように形成されている。
【0056】即ち、環状突起37A,37B,37Cの
うち外周側に位置する環状突起37Aは、先端側が寸法
S1 の隙間を介して摺動面2Eと対面し、中間位置の環
状突起37Bは、先端側が寸法S2 の隙間を介して摺動
面2Eと対面している。また、内周側の環状突起37C
は、先端側が寸法S3 の隙間を介して摺動面2Eと対面
している。そして、これらの隙間の寸法S1 ,S2 ,S
3 は、径方向外側から径方向内側に向けて順次大きくな
っている(S1 <S2 <S3 )。
【0057】これにより、外径側リップ部36が劣化し
たときには、まず内径側リップ部37の環状突起37A
が固定スクロール2の摺動面2Eに弾性的に摺接し、こ
の環状突起37Aが劣化したときには、これとほぼ同様
に環状突起37B,37Cが順番に摺動面2Eと摺接す
る構成となっている。
【0058】かくして、このように構成される本実施の
形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果
を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、
リップシール31に対して、外径側リップ部36と、例
えば3個の環状突起37A,37B,37Cからなる内
径側リップ部37とを設け、摺動面2Eに対する環状突
起37A,37B,37Cの突出寸法を径方向外側から
内側に向けて順次小さくなるように構成している。
【0059】これにより、仮りに外径側リップ部36と
内径側リップ部37の環状突起37Aに摩耗、へたり等
の劣化が生じた場合でも、次に環状突起37Bを用いて
固定スクロール2の摺動面2Eをシールでき、この環状
突起37Bの劣化時には、さらに環状突起37Cを用い
て摺動面2Eをシールし続けることができる。従って、
これらの外径側リップ部36と内径側リップ部37の環
状突起37A,37B,37Cによってリップシール3
1の寿命を大幅に延ばすことができる。
【0060】なお、第2の実施の形態では、外径側リッ
プ部36の径方向内側に3個の環状突起37A,37
B,37Cからなる内径側リップ部37を設ける構成と
したが、本発明はこれに限らず、内径側リップ部を例え
ば2個の環状突起または4個以上の環状突起により構成
してもよく、また外径側リップ部も複数の環状突起によ
って構成してもよい。
【0061】また、前記各実施の形態では、スクロール
式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて
説明したが、本発明はこれに限らず、例えば真空ポン
プ、冷媒圧縮機等にも広く適用できるものである。
【0062】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1の発明によ
れば、シール部材を外径側リップ部と内径側リップ部と
から構成したので、例えばシール部材が初期状態にある
ときには、外径側リップ部と内径側リップ部のうちいず
れか一方のリップ部を用いて固定スクロールと旋回スク
ロールとの摺動面をシールできると共に、この一方のリ
ップ部が劣化したときには、他方のリップ部を用いて前
記摺動面をシールし続けることができる。従って、シー
ル部材は、外径側リップ部と内径側リップ部とを用いて
圧縮室を長期間に亘り安定的にシールでき、ケーシング
内の油液が圧縮室に侵入するのを確実に防止できると共
に、耐久性、信頼性を向上させることができる。
【0063】また、請求項2の発明によれば、外径側リ
ップ部は内径側リップ部よりも大きな突出長さをもって
固定スクロールの摺動面側に向けて突出する構成とした
ので、例えばシール部材が初期状態にあるときには、外
径側リップ部により固定スクロールと旋回スクロールと
の摺動面をシールすることができる。また、このとき内
径側リップ部を摺動面から離間した状態に保持でき、内
径側リップ部が固定スクロールと無駄に摺動して劣化す
るのを防止できると共に、外径側リップ部によってこれ
らのリップ部間に形成される隙間に油液が溜るのを防ぐ
ことができる。そして、外径側リップ部が劣化したとき
には、内径側リップ部を用いて前記摺動面をシールし続
けることができ、シール部材の耐久性を高めることがで
きる。
【0064】さらに、請求項3の発明によれば、シール
部材は、外径側リップ部が固定スクロールの摺動面と弾
性的に摺接し、内径側リップ部は少なくともシール部材
が初期状態にあるときに固定スクロールの摺動面と隙間
を介して対面する構成としたので、シール部材が初期状
態にあるときには、外径側リップ部により固定スクロー
ルと旋回スクロールとの摺動面をシールでき、この外径
側リップ部が劣化した場合には、内径側リップ部が前記
摺動面に摺接することにより、両者の摺動面をシールし
続けることができる。
【0065】また、請求項4の発明によれば、内径側リ
ップ部を複数の環状突起により構成し、該各環状突起の
突出寸法が径方向外側から内側に向けて順次小さくなる
ように構成したので、外径側リップ部の劣化後には、内
径側リップ部の各環状突起のうち最も外側の環状突起か
ら内側の環状突起に向けて各環状突起を順番に固定スク
ロールと摺接させることができる。従って、シール部材
は、外径側リップ部と内側リップ部の各環状突起とを用
いて固定スクロールと旋回スクロールとの間を長期間に
亘って安定的にシールし続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるスクロール式
空気圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】固定スクロールと旋回スクロールとの摺動面の
近傍を示す図1中の要部拡大図である。
【図3】図2中のリップシールを示す拡大断面図であ
る。
【図4】外径側リップ部が劣化して内径側リップ部が固
定スクロールに摺接した状態を示すリップシールの拡大
断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に用いるリップシー
ルを示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング 2 固定スクロール 2A,7A 鏡板 2B,7B ラップ部 2E,7D 摺動面 3 駆動軸 7 旋回スクロール 9 圧縮室 17,31 リップシール(シール部材) 22,36 外径側リップ部 23,37 内径側リップ部 37A,37B,37C 環状突起
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩野 公宣 神奈川県綾瀬市小園1116番地 トキコ株式 会社相模工場内 (72)発明者 坂本 晋 神奈川県綾瀬市小園1116番地 トキコ株式 会社相模工場内 (72)発明者 関野 保彦 神奈川県綾瀬市小園1116番地 トキコ株式 会社相模工場内 (72)発明者 長沢 潤一 神奈川県川崎市川崎区富士見1丁目6番3 号 トキコ株式会社内 Fターム(参考) 3H029 AA02 AA15 AA21 AB02 AB06 BB16 BB44 BB48 CC03 CC05 CC09 CC19 3H039 AA02 AA09 AA12 BB04 BB05 BB15 BB26 CC02 CC03 CC05 CC08 CC31 CC33

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシングと、該ケーシングに設けられ
    鏡板に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロール
    と、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、
    前記ケーシング内で該駆動軸の先端側に旋回可能に設け
    られ、鏡板に前記固定スクロールのラップ部と重なり合
    って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された旋回
    スクロールと、前記ケーシング内に収容された油液を前
    記各圧縮室から遮断するため前記固定スクロールと旋回
    スクロールとの摺動面をシールするシール部材とを備え
    てなるスクロール式流体機械において、 前記シール部材は、前記鏡板の径方向外側に位置する外
    径側リップ部と該外径側リップ部の径方向内側に位置す
    る内径側リップ部とから構成したことを特徴とするスク
    ロール式流体機械。
  2. 【請求項2】 前記シール部材の外径側リップ部は、内
    径側リップ部よりも大きな突出長さをもって前記固定ス
    クロールの摺動面側に向けて突出させる構成としてなる
    請求項1に記載のスクロール式流体機械。
  3. 【請求項3】 前記シール部材は、前記外径側リップ部
    が前記固定スクロールの摺動面と弾性的に摺接し、前記
    内径側リップ部は少なくとも前記シール部材が初期状態
    にあるときに前記固定スクロールの摺動面と隙間を介し
    て対面する構成としてなる請求項1または2に記載のス
    クロール式流体機械。
  4. 【請求項4】 前記シール部材は前記内径側リップ部が
    複数の環状突起からなり、該各環状突起は前記固定スク
    ロールの摺動面側に向けて突出する突出寸法が前記鏡板
    の径方向外側から径方向内側に向けて順次小さくなるよ
    うに構成してなる請求項1,2または3に記載のスクロ
    ール式流体機械。
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