JP2000336746A - 梁・床のコンクリート分離打設工法およびコンクリート分離打設による梁・床構造 - Google Patents
梁・床のコンクリート分離打設工法およびコンクリート分離打設による梁・床構造Info
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Abstract
クリートを分離打設する際に、堰板清掃作業等の面倒な
作業を不要となし、かつ、梁コンクリート表面の仕上げ
作業性を向上する。 【解決手段】 床型枠42の上面31よりも所定長さd
だけ下方の位置まで伸びる補強筋25を、梁上端主筋2
3と梁下端主筋22の回りに巻回した剪断補強筋24と
交互に位置するように、梁上端主筋23に取り付けてお
く。床型枠42の上面と同じレベルに達するまで梁型枠
41内に高強度コンクリートを打設し、続いて、高強度
コンクリート上および床型枠上に普通強度コンクリート
を打設する。高強度コンクリート内に埋設される長さd
は筋径の20倍以上とする。
Description
構造の建築物において、柱、梁等、非常に大きい荷重が
かかる部位と、かかる荷重の程度がそれほど大きくはな
いその他の部位とに異種のコンクリートを打設するため
の分離打設工法、及び、そのような異種のコンクリート
を打設してなる梁・床構造に関する。
骨組構造には高強度コンクリート(36N/mm2<Fc≦60N/m
m2,但しFcはコンクリートの設計基準強度)が用いられ
るが、高強度コンクリートは普通強度のコンクリート(2
4N/mm2≦Fc≦36N/mm2)に比べて一般的に粘性が高く、そ
のために、特に床スラブつまり床部材のコンクリートと
しては好ましくない施工性を呈する。
負担するのであるから、建物の階数に強度を左右される
ことがない。つまり、柱、梁は高強度コンクリートを必
要とするが、床スラブは必要としない。
公報に記載の如く、梁部と床部とで、高強度コンクリー
トと粘性の高くない普通強度コンクリートとを打ち分け
る、つまり分離打設する方法が採られている。この場
合、主構造材の性能を損なわないようにするために、コ
ンクリートの打ち分けを梁や柱の内部では行なわず、梁
部の両側の床部との境界に堰板を設けてコンクリートを
打ち分ける方法が採られる。
分離打設工法で使用される型枠の平面図、図7はその型
枠を用いて施工された梁及び床の断面図を示している。
これらの図において、3は梁型枠、4’は半製床版、
6’は堰板の役目をする波鉄板コッター(以下、単にコ
ッター)、8はコッター6’の溝条7’に挿通されたス
ラブ筋、9および10はそれぞれコッター6’を境界面
として梁型枠内および床版4’上に分離打設され一体と
なっている高強度コンクリートおよび普通強度コンクリ
ート、11はトラス筋である。コッター6’は、梁と床
との境界部の剛性と連続性を高めるため、波形加工され
た鉄板で形成されると共に、全体として凹凸に屈曲した
状態で配されて床版4’に取り付けられる。そして、コ
ッター6’の内側の床版4’上および梁型枠3内に高強
度コンクリート9が打設される一方、コッター6’外側
の床版4'上に普通強度コンクリート10が打設され、
図7に示す梁および床スラブが施工される。
強度コンクリートと普通強度コンクリートを打ち分ける
このようなコンクリート打設工法は、コスト面で有利な
方法である。
来の工法では、堰板で仕切られた梁と床との境界部の剛
性と連続性を高めるため、つまり、高強度コンクリート
部分と普通強度コンクリート部分との良好な一体性を確
保するために、堰板自体を波形に加工したり、堰板を凸
凹に配置したり、トラス筋やスラブ筋などの床鉄筋を配
筋する等の特殊な加工が要求されるので、それらの加工
および型枠施工に手間を要する。また、上記従来の工法
では、普通強度コンクリートの打設は、最初に打設され
た高強度コンクリートが固まるのを待って行なわれるた
め、施工時間が全体として長くなる。また、高強度コン
クリートの打設作業とそれに続く普通強度コンクリート
の打設作業との間に、高強度コンクリートの打設によっ
て堰板の反対側表面に付着した不要なコンクリートをき
れいに取り除くための作業が必要であり、面倒である上
に、やはりこれも施工時間を長くする要因となってい
る。
は、床スラブは普通強度コンクリートとなるが、床スラ
ブ上面に連続する梁の上端面は依然粘性のある高強度コ
ンクリートとなるため、その箇所でのコンクリート表面
仕上げのための作業性がよくないという問題は依然残っ
ている。
工法を改善すべくなされたもので、その目的は、コンク
リートを打設する際に、従来は必須であった堰板に対す
る特殊な加工や複雑な配置あるいは堰板表面の清掃作業
等の面倒な作業を必要とせず、また、高強度コンクリー
トと普通強度コンクリートとを連続して打設することが
でき、さらには梁上端面部分の仕上げ作業を楽に行なう
ことができ、したがって、全体として従来の工法よりも
作業性を高めて施工時間を短縮できる梁・床のコンクリ
ート分離打設工法およびそのような工法で施工される梁
・床構造を提供することにある。
に、請求項1に記載の梁・床のコンクリート分離打設工
法は、梁型枠と床型枠とを接合し、梁型枠内および床型
枠上に異種のコンクリートを打設する梁・床のコンクリ
ート分離打設工法において、梁型枠に接合した床型枠上
に堰板を配し、上記梁型枠内および上記堰板内側に高強
度コンクリートを打設し、続いて、上記高強度コンクリ
ートが固まらないうちに、上記堰板を除去して、床型枠
上に上記高強度コンクリートの上面と同じレベルまで普
通強度コンクリートを打設することを特徴としている。
リートを打設した直後に取り外すので、高強度コンクリ
ートと普通強度コンクリートとは、堰板を介さないで、
直接接合される。したがって、堰板を介して両コンクリ
ートを接合する場合には必要であった高強度コンクリー
ト打設後の面倒な堰板表面の清掃は不要である。また、
堰板とコンクリートの付着強度を高めるための工夫(つ
まり堰板自体に凹凸をつけたり、堰板を凹凸に配置する
こと)も不要である。この結果、施工性が向上する。ま
た、施工時間の短縮も図ることができる。
離打設工法は、梁型枠と床型枠とを接合し、梁型枠内お
よび床型枠上に異種のコンクリートを打設する梁・床の
コンクリート分離打設工法において、上記床型枠の上面
よりも上方の位置に配設された複数の梁上端主筋に、上
記床型枠の上面よりも所定の長さだけ下方の位置まで伸
びる補強筋を、上記梁上端主筋の長手方向に間隔をおい
て取り付け、上記床型枠の上面と同じレベルに達するま
で梁型枠内に高強度コンクリートを打設して、この高強
度コンクリート内に上記補強筋を上記所定の長さだけ埋
設し、次いで、上記高強度コンクリート上および上記床
型枠の上面上に普通強度コンクリートを打設することを
特徴としている。
型枠の上面レベルより上には打設されない。そして、同
一レベルとなった高強度コンクリート上面と床型枠上面
との上に同時に普通強度コンクリートが打設される。つ
まり、普通強度コンクリートは高強度コンクリートの横
ではなく上に打設されるので、堰板を使用する必要がな
い。したがって、従来の工法における堰板に関連した作
業性の悪さは完全に解消される。また、この工法では、
床スラブだけでなく梁の上端部分にも普通強度コンクリ
ートを使用するので、梁部分においてもコンクリート表
面の仕上げ作業が楽に行なえる。したがって、請求項2
の工法は、上記従来の工法の問題点をすべて解決でき
る。
クリートを使用するので、高強度コンクリートの使用量
がその分少なくて済み、コンクリート材料費が低減す
る。また、補強筋の使用により、梁の普通強度コンクリ
ート部分を補強しているので、高強度コンクリートの使
用量が少ないにも拘わらず、曲げ剪断破壊力に対して十
分な耐力と変形性能を梁に与えることができる。
いので、高強度コンクリート打設後、単にコンクリート
を切り替えるだけで、連続して普通強度コンクリート打
設が行なえる。
された鉄筋を個々の補強筋として用いることを特徴とし
ている。2以上の逆U字形に形成された鉄筋を用いる場
合には、全体として略櫛形となるように組み合わせて、
個々の補強筋として用いればよい。
側に向けて梁上端主筋の上方から差し込むことによっ
て、梁上端主筋に取り付けることができる。このよう
に、補強筋は単に梁上端主筋間に差し込んでいけばいい
ので、補強筋の取り付けが簡単に行える。
端主筋に取り付けられる複数の補強筋を長尺の鉄筋に所
定の間隔をあけて連結しておくことによって、上記複数
の補強筋を一体的に取り扱うことを特徴としている。
扱うので、一回の動作で複数の補強筋を梁上端主筋に同
時に取り付けられる。補強筋を個別に取り付ける場合に
比べると、格段に施工性が向上する。
クリート内に埋設される補強筋の上記所定の長さを、こ
の補強筋の直径の20倍以上とすることを特徴としてい
る。
強筋の定着長を直径の20倍以上とするのである。この
数値は、発明者が実験によって確認した数値であり、こ
のような寸法にすることにより、普通強度コンクリート
内にある梁上端主筋の付着強度および上下方向に接合す
る高強度コンクリートと普通強度コンクリートとの一体
性が確保される。
打設による梁・床構造は、梁下端主筋を有する下側の高
強度コンクリート部分と、梁上端主筋を有する上側の普
通強度コンクリート部分とからなる梁と、上記梁の普通
強度コンクリート部分と同じ普通強度コンクリートで形
成された床スラブとを備え、上記高強度コンクリート部
分と上記普通強度コンクリート部分には、上記梁上端主
筋と上記梁下端主筋の回りに巻回された剪断補強筋が梁
の長手方向に所定間隔を置いて埋設されており、上記隣
り合う剪断補強筋の間には、梁上端主筋に取り付けら
れ、端部が高強度コンクリート部分内に入り込んでいる
補強筋が存することを特徴としている。
端部が梁の高強度コンクリート部分内に入り込んでいる
補強筋が梁上端主筋に取り付けてあるので、梁上端主筋
の付着強度が確保され、梁の高強度コンクリート部分と
梁および床スラブ側の普通強度コンクリートとが強固に
一体化されている。そして、梁上端主筋を有する部分が
普通強度コンクリートで形成されているにも拘わらず、
曲げ剪断破壊力に対して、梁全体が高強度コンクリート
部分のみからなる場合と同等以上の耐力や変形性能を得
ることが可能となる。また、梁の一部が普通強度コンク
リート部分となっているので、梁全体を高強度コンクリ
ートのみで形成する場合に比べて、高強度コンクリート
の使用量が少なく、その分この梁・床構造は低コストで
施工される。
高強度コンクリート部分と普通強度コンクリート部分と
の境界面が、上記床スラブの下端面と同一レベルにある
ことを特徴としている。この梁・床構造は、請求項2に
記載のコンクリート分離打設工法の使用を可能とする。
ては、上記補強筋は逆U字形に形成された鉄筋からなる
ことを特徴としている。2以上の逆U字形に形成された
鉄筋を補強鉄筋として用いる場合には、全体として略櫛
形となるように組み合わせればよい。この請求項に記載
の梁・床構造は、請求項3に記載のコンクリート分離打
設工法の使用を可能とする。
強筋の高強度コンクリート部分に埋設されている端部の
長さは、この補強筋の直径の20倍以上である。請求項
5に関連して説明したように、高強度コンクリート内に
おける補強筋の定着長をその直径の20倍以上としたこ
とにより、梁上端主筋の付着強度が確保され、梁の高強
度コンクリートと梁および床スラブの普通強度コンクリ
ートとが確実に強固に一体化される。
明の第1の実施の形態である工法により施工され、梁型
枠および床型枠がまだ取り外されていない状態での梁・
床構造を示している。また、図2は梁コンクリート内の
配筋状態を示す断面図であり、図3(A)および(B)
はそれぞれ図2のA−A線断面図およびB−B線断面図
である。これらの図では、図を簡単明瞭にするために、
コンクリート断面部分のハッチングは省略すると共に、
コンクリート内に埋設されている鉄筋は実線で示してい
る。また、床部分の鉄筋は本発明とは直接関係ないの
で、図面を簡単にするために省略している。
構造は、梁20と床スラブ30とからなり、梁20は、
床スラブ30の下面31と同一のレベルにある面を境界
面(打継ぎ面)21として、梁下部20aと梁上部20
bとに分かれる。床スラブ下面31より下側に位置する
梁下部20aは高強度コンクリートを用いて形成されて
いる。一方、床スラブ下面31より上側に位置する梁上
部20bは、床スラブ30と同一の普通強度コンクリー
トを用いて形成されているので、床スラブ30との間に
は境界がない。
梁の幅方向に一定の間隔をおいて、複数の梁下端主筋2
2(図示したものでは4本)が埋設されており、梁の長
手方向に延びている。同様に、梁上部20bの普通強度
コンクリートには、梁の幅方向に一定の間隔をおいて、
複数の梁上端主筋23(図示したものでは4本)が埋設
されており、梁の長手方向に延びている。梁下端主筋2
2と梁上端主筋23は上下方向に対向する位置に埋設さ
れている。
れら主筋22,23の長手方向つまり梁20の長手方向
に一定の間隔をおいて剪断補強筋(フープ筋)24が巻
回されている。この剪断補強筋24は、全ての梁下端主
筋22と梁上端主筋23の回りに巻回された鉄筋と、中
央に位置する2つの梁下端主筋22と2つの梁上端主筋
23のみの回りに巻回された鉄筋とからなる。剪断補強
筋24の下部は高強度コンクリート内に埋設定着されて
おり、剪断補強筋24の上部は普通強度コンクリート内
に埋設定着されている。
向において剪断補強筋24と交互に位置するように、梁
上部20bと梁下部20aとの境界21を跨いで梁下部
20a内へ入り込んでいる補強筋25が複数取り付けら
れている。これら補強筋25は、逆U字形の第1部分2
5aと逆U字形の第2部分25bとからなり、これら両
部分は25a,25bは適宜な方法で(結束筋による結
束、溶接等)結合され、ちょうど上記剪断補強筋24の
下半分を切り取ってできる櫛形状となっている。補強筋
25の逆U字形第1部分25aの両端部分は、梁の最外
側に位置する梁上端主筋23の外側を回って下降してお
り、逆U字形第2部分25bの両端部分は中央に位置す
る2つの梁上端主筋23の外側を回って下降している。
補強筋25の役目は、普通強度コンクリート内に埋設さ
れている梁上端主筋23の付着割裂ひび割れの発生や進
展を防止して、梁の普通強度コンクリート部分の強度を
補うと共に、打継ぎ面21における普通強度コンクリー
トと高強度コンクリートとの一体性を高めることにあ
る。
る定着長d(図3(B)参照)、つまり、打継ぎ面21
から補強筋端面までの長さは、この補強筋25の直径の
20倍以上である。このような寸法により、補強筋25
はその機能を十分に果たし、梁上端主筋の付着強度が確
保され、高強度コンクリートと普通強度コンクリートと
は確実に一体化される。梁の普通強度コンクリート部分
の耐力、変形性能も確保される。
った梁部分の曲げ剪断破壊試験の結果を示している。試
験体No.1は高強度コンクリート(強度:Fc60)
のみで形成した梁、試験体No.2は梁下部20aを高
強度コンクリート、梁上部20bを普通強度コンクリー
ト(強度:Fc30)で形成し、補強筋25を取り付け
ていない梁、試験体No.3は図1から図3に示した本
実施形態に相当し、梁下部20aを高強度コンクリー
ト、梁上部20bを普通強度コンクリートで形成し、隣
り合う剪断補強筋24の間に補強筋25を1つずつ配し
た梁、試験体No.4は梁下部20aを高強度コンクリ
ート、梁上部20bを普通強度コンクリートで形成し、
隣り合う剪断補強筋24の間に補強筋25を2つずつ配
した梁である。試験体No.3と試験体No.4が本発
明によるものである。なお、これら試験体の構成とし
て、梁下端主筋22、梁上端主筋23、および剪断補強
筋(フープ筋)24を埋設することは全試験体に共通で
あり。また、使用した剪断補強筋24と補強筋25の直
径は同一であり、試験体No.3,No.4における補
強筋25の高強度コンクリート内の定着長は補強筋の直
径の20倍とした。
軸にとり、曲げ剪断破壊力に対する最大耐力比を縦軸に
とっている。この最大耐力比は、梁全体を高強度コンク
リートで形成した試験体No.1の最大耐力を100%
として求めた値(%)である。高強度コンクリートと普
通強度コンクリートを単に打ち継いだだけで補強筋25
を一切用いない試験体No.2の最大耐力は梁全体を高
強度コンクリートで形成した試験体No.1の最大耐力
の約81%しかなかった。これに対して、本発明に係る
試験体の場合には、試験体No.3は約95%と、試験
体No.1に比べて遜色なく、試験体No.4にいたっ
ては約102%と、試験体No.1を超える最大耐力を
示した。また、ここには図示はしていないが、試験体N
o.3およびNo.4は、変形性能についても高強度コ
ンクリートのみで構成された試験体No.1と同等以上
であることが確かめられた。これにより、本発明の有効
性が実証された。
0bには高価な高強度コンクリートを用いていないの
で、その分、コンクリート材料費は抑えられている。
る工法を、場所打ちする場合で説明する。まず、梁型枠
41と床型枠42とを図1に示すように接合したのち、
床型枠42上に図示しない鉄筋を配筋する一方、梁型枠
41内に梁下端主筋22、梁上端主筋23、剪断補強筋
25、および補強筋25を図1,2に示す状態に配筋す
る。この際、補強筋25の梁上端主筋23への取り付け
は、予め2つの逆U字形部分25a,25bを図3に示
すように櫛形に組んだ補強筋25を、剪断補強筋25、
25間に1つずつ、上方から梁上端主筋23間に差し込
むことによって、簡単かつ短時間に達成できる。
(床スラブ下面31に対応)と同一のレベルまで高強度
コンクリートを打ち込む。そして、この高強度コンクリ
ートが固まらないうちに、つまり、高強度コンクリート
の限界打ち継ぎ時間の限度内に、流し込むコンクリート
を普通強度コンクリートに切り替え、高強度コンクリー
トの上および床型枠42の上面に同時に、所定の厚さだ
け、普通強度コンクリートを打ち込む。このとき、梁の
打ち継ぎ部分21は、棒状振動機で入念に締め固め、一
体とする。そして、最後に、コンクリート表面が平らに
なるように仕上げ作業を行なう。このとき、表面に露出
しているコンクリートはすべて普通強度コンクリートな
ので、仕上げ作業はスムーズに行なえる。
堰板は一切用いないので、堰板を設置する手間が完全に
省ける。さらに、この工法は、高強度コンクリートが固
まらないうちに普通強度コンクリートを打ち込むもので
あり、高強度コンクリートの打設作業と普通強度コンク
リートの打設作業との間には、上記従来の工法に要求さ
れていた堰板の清掃等の煩わしい作業は不要である。高
強度コンクリートの硬化を待つ時間も不要である。つま
り、2種類のコンクリートを連続して打設でき、境界面
を棒状振動機で入念に締め固めることで、一体性が確保
できる。さらに、この工法は、床だけではなく梁上部に
も普通強度コンクリートを使用するので、梁上面に高強
度コンクリートが露出する従来の工法に比べて、仕上げ
作業が容易に行なえる。以上のことから、この工法は、
上述した従来の工法に比べて、全体として格段に手間が
かからず、作業が楽に行なえ、その結果、作業時間を短
縮できる。
ば、さらに作業が楽になり、作業時間も短縮できる。こ
の補強筋アセンブリは、複数の補強筋25(例えば、梁
1つ分に設置すべき数だけの補強筋)を、それらの両角
において、2本の長尺の組立用鉄筋26に連結して、一
体的に取り扱えるようにしたものである。従って、複数
の補強筋25を個別に取り付ける場合に比べて、施工性
が向上する。
4に示したその変形例では、各補強筋25を、異なるサ
イズの2つの逆U字形部分25a、25bを組み合わせ
て形成したが、同サイズの逆U字形の鉄筋を2つ組み合
わせて形成してもよい。この場合、逆U字形の鉄筋を1
種類だけ用意すればよいので、効率的である。また、上
記実施の形態では、梁上端主筋23の数が4つだったの
で、2つの逆U字形の鉄筋を組み合わせて補強筋25と
したが、組み合わせる逆U字形の鉄筋の本数は梁上端主
筋23の本数によって決定すればよい。また、上記実施
の形態では、各梁上端主筋23の外側をいずれかの逆U
字形の鉄筋が取り巻くようにしていた。これは確かに望
ましいことであるが、これに限るものではなく、建物の
条件によっては、両端に位置する梁上端主筋23の外側
を回って下降する逆U字形第1部分25aだけで補強筋
25を構成することもできるであろう。また、補強筋2
5は、U形以外にも、普通強度コンクリートと高強度コ
ンクリートとの一体性を高め、普通強度コンクリート部
分の梁主筋の付着強度を補強するものである限り、いか
なる形状を用いてもよい。
る補強筋25の数は、要求される耐力に応じて決定すべ
きであり、上述したものに限定する必要はない。
プレキャスト梁を使用する場合にも適用できる。 (第2の実施の形態)次に、本発明の別の実施の形態
(図示せず)である梁・床のコンクリート分離打設工法
を説明する。この実施の形態は、梁全体を従来と同様に
高強度コンクリートで形成し、床スラブのみを普通強度
コンクリートで形成するものである。
型枠と床型枠とを接合し、梁型枠内および床型枠上に配
筋する。但し、この実施の形態では、第1の実施の形態
とは異なり、梁全体を従来と同様に高強度コンクリート
で形成し、床スラブのみを普通強度コンクリートで形成
するものであるので、第1の実施の形態で使用した補強
筋25は使用しない。また、床スラブの普通強度コンク
リートとそれに接合される梁上側部分の高強度コンクリ
ートとの一体性を高めるために、梁と床とに跨る鉄筋を
配する。
向する辺に沿って設置する。この堰板は、後述するよう
に、梁の高強度コンクリートを打設した後、直ちに除去
してしまうものであり、したがって、コンクリートとの
一体性(付着強度)を考慮しなくともよいので、上記従
来の工法で使用されていた堰板(コッター)のようには
波形等の複雑な形状にする必要も、複雑な配置も必要な
い。したがって、堰板設置作業が従来に比べて簡単にな
り、堰板設置時間の短縮化を図ることができる。また、
堰板の製作、設置に関連する費用を上記従来の工法に比
べて低減することが可能である。本工法で用いる堰板に
関しては、床型枠上に配筋された鉄筋を通すために、櫛
形に形成する程度の工夫をすれば十分である。
強度コンクリートを打設して、梁を形成する。高強度コ
ンクリートを打設した後、直ちに堰板を取り外す。そし
て、高強度コンクリートが固まらないうちに、高強度コ
ンクリートの両側の普通強度コンクリートを床型枠上に
打設する。堰板を取り外したとき、高強度コンクリート
は床スラブ領域に流れ込み、後に打設する普通強度コン
クリートとの境界部分において若干混ざり合う可能性は
ある。しかし、逆に、高強度コンクリートが固まってい
ないが故に、両コンクリート間の付着力に関しては問題
はないはずである。
業を行なって、梁、床のコンクリート打設作業を完了す
る。
が固まらないうちに堰板を取り外して普通強度コンクリ
ートを連続打設することから、1)堰板の設置作業が簡
単となり、2)高強度コンクリート打設後の堰板表面を
きれいにする作業が不要となり、また、3)高強度コン
クリートが固まるのを待つ必要もなくなる。この結果、
全体として、従来よりも施工時間を短縮することができ
る。但し、この工法は従来同様、梁全体を高強度コンク
リートで形成するものなので、梁上面の仕上げ作業の困
難性という問題は残る。
プレキャスト梁を使用する場合にも適用できる。
載の梁・床のコンクリート分離打設工法は、堰板は梁の
高強度コンクリートを打設した直後に取り外してしま
い、床スラブの普通強度コンクリートと梁の高強度コン
クリートとを直接接合するので、堰板を介して梁の高強
度コンクリートと床スラブの普通強度コンクリートとを
接合する場合には必要であった高強度コンクリート打設
後の面倒な堰板表面の清掃は不要となる。また、堰板と
コンクリートの付着強度を高めるための堰板の複雑な加
工および複雑な配置も不要となる。故に、上述した従来
の工法よりも施工性を高めることができ、施工時間の短
縮も図ることができる。
ート分離打設工法は、高強度コンクリートの打設を床型
枠の上面レベルまでとし、同一レベルとなった高強度コ
ンクリート上面と床型枠上面との上に同時に普通強度コ
ンクリートを打設するものであるから、堰板の使用自体
を不要とできる。したがって、従来の工法における堰板
に関連した問題点をすべて解消できる。また、この工法
では、床スラブだけでなく梁の上端部分にも普通強度コ
ンクリートを使用するので、梁部分においてもコンクリ
ート表面の仕上げ作業が楽に行なえる。したがって、請
求項2の工法は、上記従来の工法の問題点をすべて解決
できる。
クリートを使用するので、高強度コンクリートの使用量
がその分少なくて済み、コストを低減できる。また、補
強筋の使用により、梁の普通強度コンクリート部分を補
強でき、高強度コンクリートの使用量が少ないにも拘わ
らず、曲げ剪断破壊力に対して、梁全体を高強度コンク
リートのみで施工した場合と同程度、あるいはそれ以上
の耐力と変形性能を梁に与えることができる。
成された鉄筋を個々の補強筋として用いており、補強筋
は単に梁上端主筋間に差し込んでいけばいいので、補強
筋の取り付けが簡単に行える。
強筋を長尺の鉄筋を介して互いに連結してこれら複数の
補強筋を一体的に取り扱うものであり、一回の動作で複
数の補強筋を梁上端主筋に同時に取り付けることができ
るので、補強筋を個別に取り付ける場合に比べると、格
段に施工性が向上する。
度コンクリート内に埋設される補強筋の上記所定の長さ
を、この補強筋の直径の20倍以上としているので、梁
上端主筋の付着強度が確保でき、上下方向に接合する高
強度コンクリートと普通強度コンクリートとを確実に強
固に一体化できる。
打設による梁・床構造は、梁自体を下側の高強度コンク
リート部分と上側の普通強度コンクリート部分とから形
成すると共に、通常設けられる梁剪断補強筋の他に、端
部が高強度コンクリート部分に入り込んでいる補強筋を
梁上端主筋に取り付けているので、梁上端主筋の付着強
度が確保でき、梁の高強度コンクリート部分と梁および
床スラブ側の普通強度コンクリートとを強固に一体化で
きる。したがって、梁上端主筋を有する部分が普通強度
コンクリートで形成されているにも拘わらず、曲げ剪断
破壊力に対して、梁全体が高強度コンクリート部分のみ
からなる場合と同等以上の耐力や変形性能を得ることが
可能となる。また、梁の上端面部分には普通強度コンク
リートが露出することになるので、この梁を施工する際
のコンクリート表面の仕上げ作業を容易にできる。さら
に、梁の一部に普通強度コンクリートが使用されている
ので、梁全体を高強度コンクリートのみで形成する場合
に比べて、高強度コンクリートの使用量が少なく、その
分この梁・床構造は低コストで施工できる。
高強度コンクリート部分と普通強度コンクリート部分と
の境界面が、上記床スラブの下端面と同一レベルにある
ので、請求項2に記載のコンクリート分離打設工法を使
用して施工することができる。したがって、請求項2の
効果と同様の効果を有する。
記補強筋が逆U字形に形成された鉄筋からなるので、請
求項3に記載のコンクリート分離打設工法によって施工
することができる。したがって、請求項3の発明の効果
と同様の効果を有する。
を全体として略櫛形となるように組み合わせて補強筋と
して用いる場合には、逆U字型に形成された鉄筋を1つ
のみ使用する場合に比べて、高強度コンクリート部分に
埋設されている補強筋の量が全体として多くなるので、
その分、高強度コンクリート部分と普通強度コンクリー
ト部分とをより強固に一体化できる。
上記補強筋の高強度コンクリート部分に埋設されている
端部の長さは、この補強筋の直径の20倍以上であるの
で、請求項5の発明と同様、梁上端主筋の付着強度が確
保でき、上下方向に接合する高強度コンクリートと普通
強度コンクリートとを確実に強固に一体化できる。
す図である。
の配筋状態を示す断面図。
線断面図およびB−B線断面図。
を示す斜視図。
る型枠の平面図。
界面(打継ぎ面)、22…梁下端主筋、23…梁上端主
筋、24…剪断補強筋、25…補強筋、26…組立用鉄
筋、30…床スラブ、31…床スラブ下面(床形枠上
面)、41…梁型枠、42…床型枠。
Claims (9)
- 【請求項1】 梁型枠と床型枠とを接合し、梁型枠内お
よび床型枠上に異種のコンクリートを打設する梁・床の
コンクリート分離打設工法において、 梁型枠に接合した床型枠上に堰板を配し、 上記梁型枠内および上記堰板内側に高強度コンクリート
を打設し、 続いて、上記高強度コンクリートが固まらないうちに、
上記堰板を除去して、床型枠上に上記高強度コンクリー
トの上面と同じレベルまで普通強度コンクリートを打設
することを特徴とする梁・床のコンクリート分離打設工
法。 - 【請求項2】 梁型枠と床型枠とを接合し、梁型枠内お
よび床型枠上に異種のコンクリートを打設する梁・床の
コンクリート分離打設工法において、 上記床型枠の上面よりも上方の位置に配設された複数の
梁上端主筋に、上記床型枠の上面よりも所定の長さだけ
下方の位置まで伸びる補強筋を、上記梁上端主筋の長手
方向に間隔をおいて取り付け、 上記床型枠の上面と略同じレベルに達するまで梁型枠内
に高強度コンクリートを打設して、この高強度コンクリ
ート内に上記補強筋を上記所定の長さだけ埋設し、 次いで、上記高強度コンクリート上および上記床型枠の
上面上に普通強度コンクリートを打設することを特徴と
する梁・床のコンクリート分離打設工法。 - 【請求項3】 請求項2に記載の工法において、逆U字
形に形成された鉄筋を個々の補強筋として用いることを
特徴とする工法。 - 【請求項4】 請求項3に記載の工法において、上記梁
上端主筋に取り付けられる複数の補強筋を長尺の鉄筋に
所定の間隔をあけて連結しておくことによって、上記複
数の補強筋を一体的に取り扱うことを特徴とする工法。 - 【請求項5】 請求項2乃至4のいずれか1つに記載の
工法において、上記高強度コンクリート内に埋設される
補強筋の上記所定の長さを、この補強筋の直径の20倍
以上とすることを特徴とする工法。 - 【請求項6】 梁下端主筋を有する下側の高強度コンク
リート部分と、梁上端主筋を有する上側の普通強度コン
クリート部分とからなる梁と、 上記梁の普通強度コンクリート部分と同じ普通強度コン
クリートで形成された床スラブとを備え、 上記高強度コンクリート部分と上記普通強度コンクリー
ト部分には、上記梁上端主筋と上記梁下端主筋の回りに
巻回された剪断補強筋が梁の長手方向に所定間隔を置い
て埋設されており、 上記隣り合う剪断補強筋の間には、梁上端主筋に取り付
けられ、端部が高強度コンクリート部分内に入り込んで
いる補強筋が存することを特徴とするコンクリート分離
打設による梁・床構造。 - 【請求項7】 請求項6に記載の梁・床構造において、 上記梁の高強度コンクリート部分と普通強度コンクリー
ト部分との境界面は、上記床スラブの下端面と同一レベ
ルにあることを特徴とする梁・床構造。 - 【請求項8】 請求項6または7に記載の梁・床構造に
おいて、 上記補強筋は、逆U字形に形成された鉄筋からなること
を特徴とする梁・床構造。 - 【請求項9】 請求項6乃至8のいずれか1つに記載の
梁・床構造において、 上記補強筋の高強度コンクリート部分に埋設されている
端部の長さは、この補強筋の直径の20倍以上であるこ
とを特徴とする梁・床構造。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN109025274A (zh) * | 2018-09-03 | 2018-12-18 | 哈尔滨鸿盛房屋节能体系研发中心 | 一种现浇混凝土u型上梁模块及连接插片 |
CN109469241A (zh) * | 2018-11-27 | 2019-03-15 | 中建钢构四川有限公司 | 装配式钢筋桁架楼承板组合结构及其施工方法 |
JP6977204B1 (ja) * | 2021-05-18 | 2021-12-08 | 株式会社富士昭技研 | 合成小梁 |
CN115653177A (zh) * | 2022-11-12 | 2023-01-31 | 广东南海国际建筑设计有限公司 | 一种现浇钢筋混凝土空心楼盖施工方法 |
-
1999
- 1999-06-02 JP JP15496999A patent/JP4021588B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2022177672A (ja) * | 2021-05-18 | 2022-12-01 | 株式会社富士昭技研 | 合成小梁 |
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